JP2015048475A - 水性インク組成物、及び画像形成装置 - Google Patents

水性インク組成物、及び画像形成装置 Download PDF

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Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
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Manabu Seo
学 瀬尾
祐馬 臼井
Yuma Usui
祐馬 臼井
英臣 佐久間
Hideomi Sakuma
英臣 佐久間
大島 久慶
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久慶 大島
宏之 山下
Hiroyuki Yamashita
宏之 山下
貴彦 松本
Takahiko Matsumoto
貴彦 松本
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亮太 鈴木
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Mizuki Odagiri
瑞樹 小田切
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健 日原
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Abstract

【課題】反応液といったインク以外の消耗品を使用せず、様々な記録用紙に高画質な画像を得ることが可能なインク組成物の提供。【解決手段】顔料と、水性溶媒と、ポリマーと、ノニオン性顔料分散剤とを含有する水性インク組成物であって、前記ポリマーが、前記水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーであり、前記水性インク組成物における前記顔料の分散粒径が、170nm未満であり、前記水性インク組成物の表面張力が、52mN/m以上である水性インク組成物である。前記ポリマーが末端にカルボキルシル基かアミン基を有するアクリル酸エステル又はアクリルアマイドからなるモノマーからなるAブロックとラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーからなるBブロックとを含有するABAトリブロックポリマーである水性インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ヘッドによりインク等の記録液を吐出して画像形成を行うインクジェット方式の画像形成装置に記録液として用いられる水性インク組成物、及びこの水性インク組成物を用いて画像形成を行う画像形成装置に関する。
インクジェット方式で画像を記録用紙に記録する際に、記録用紙の繊維にそってインクが浸透する文字や細線の印字周辺部の滲み(フェザリング)、二色重ね部分の色境界でのにじみ(ブリーディング)、浸透不足による液滴合一(ビーディング)、水性インクの場合のインク水分による記録用紙の変形(カール、しわ)などが画像品質を損ねる問題となる。また、インクジェット方式は、微細なノズル孔からインクを吐出するため、ノズル目詰まりが信頼性を損ねる問題となる。
ブリーディング、及びビーディングを抑えるために、インクに界面活性剤などを添加することによりインクの記録用紙への浸透性を高めることが通常行われている。インクの浸透性を高めるとフェザリングが発生しやすくなるので、黒色インクのみ浸透性の低いインクを使用するなど工夫がなされている。
しかし、その場合には、黒色インクの乾燥性が悪く高速印字が困難であるという問題が残っている。
そのため、高速印字でもフェザリング等の滲みが発生しないように、インクに含まれる着色剤を不溶化するような多価金属塩及び酸性化合物を含む反応液をあらかじめ記録用紙に塗布しておいて、その上から高浸透性インクにより印字することで画像品質と速度対応を両立できるようになっている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ノズルの目詰まりを防ぎ、インクが乾燥したあとも少量の水で再分散することができるインクとして、水不溶性色材及び分散剤のほかに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する構成が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この構成の材料を用いてポリマー又は電解質と共にインクを作製すると、凝集、ポリマーの増粘阻害などの不具合を起こすことがある。
ノズル目詰まりに対しては、定期的なメンテナンス動作(空吐出、強制吸引)が必要である。一方で、インク非浸透性の中間転写体上にインクジェットでインク像を形成し、その後インク像を中間転写体から記録用紙に転写する中間転写方式と呼ばれる方法が提案されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
中間転写方式では、インクジェット記録ヘッドを記録用紙から離して配置することができ、記録用紙の紙粉の付着によるノズル目詰まりを抑制することができる。また、通常の記録用紙では困難なヘッド−メディア間ギャップ維持が中間転写方式では容易なためインク着弾ロバスト性が高く、また紙種対応性が良く、従って信頼性の高い記録方式と言える。
しかし、記録用紙へのインク転写率を上げるには表面エネルギーの低い中間転写体材料が必要で、そのような中間転写体上ではインクは激しくビーディングが起こる問題点があった。
そこで、中間転写体をあらかじめ加熱しておき、中間転写体へインクが着弾すると水分が蒸発してインクが増粘することでビーディングを抑えることがなされている。
しかし、この方法では加熱によってインクのノズル目詰まりを助長する問題があり、また、水分などの溶媒蒸発には大きなエネルギーを必要とする問題がある。
そのため、インクに含まれる着色剤を不溶化するような反応液を中間転写体上に塗布する方法が検討されている(例えば、特許文献7〜11参照)。
これらの技術における反応液は、中間転写体上や記録用紙上の画像品質に係わる課題(フェザリング、ブリーディング、ビーディング)に対して効果的である。しかしながら、インクの他に消耗品が増えることや、別途塗布装置が必要となるなど、装置サイズが大きくなりコストが上がる要因となる。
したがって、反応液といったインク以外の消耗品を使用せず、様々な記録用紙に高画質な画像を得ることが可能なインク組成物の提供が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、反応液といったインク以外の消耗品を使用せず、様々な記録用紙に高画質な画像を得ることが可能なインク組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の水性インク組成物は、
顔料と、水性溶媒と、ポリマーと、ノニオン性顔料分散剤とを含有する水性インク組成物であって、
前記ポリマーが、前記水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーであり、
前記水性インク組成物における前記顔料の分散粒径が、170nm未満であり、
前記水性インク組成物の表面張力が、52mN/m以上であることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、反応液といったインク以外の消耗品を使用せず、様々な記録用紙に高画質な画像を得ることが可能なインク組成物を提供することができる。
図1Aは、本発明の水性インク組成物中に溶解したABA型トリブロックコポリマーの一例の概念図である。 図1Bは、図1AにおいてpH処理した後の粘度変化(増粘)状態の一例の概念図である。 図2は、本発明を適用した画像形成装置の一例にかかる概略正面図である。 図3Aは、図2に示した画像形成装置においてインクジェットヘッドから中間転写体に本発明の水性インク組成物(記録液)が付与される様子を示す一例の概略図である(その1)。 図3Bは、図2に示した画像形成装置においてインクジェットヘッドから中間転写体に本発明の水性インク組成物(記録液)が付与される様子を示す一例の概略図である(その2)。 図3Cは、図2に示した画像形成装置においてインクジェットヘッドから中間転写体に本発明の水性インク組成物(記録液)が付与される様子を示す一例の概略図である(その3)。 図4は、図2に示した画像形成装置においてカソードとアノードとの間に形成される記録液による液柱の状態を示す一例の概念図である。 図5は、図2に示した画像形成装置においてpHに応じて記録液の粘度変化が起こることを説明するための概念図である。 図6は、本発明を適用した画像形成装置の他の実施例にかかる概略正面図である。
(水性インク組成物)
本発明の水性インク組成物は、顔料と、水性溶媒と、ポリマーと、ノニオン性顔料分散剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明の水性インク組成物は、pH変化により増粘可能なポリマーの機能を阻害しない顔料分散剤と、該ポリマーとを含有し、高画質が形成できる高信頼な水性インク組成物である。
<顔料>
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、黒色顔料などが挙げられる。前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどが挙げられる。前記黒色顔料としては、例えば、酸化鉄などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。
また、前記顔料としては、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用され得る。
前記顔料としては、具体的には、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(ベンガラ)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
前記水性インク組成物における前記顔料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、濃度及び色再現性に劣ることがあり、40質量%を超えると、吐出不良を起こすことがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、画像の品質の安定性の点で有利である。
前記水性インク組成物における前記顔料の分散粒径は、170nm未満である。前記分散粒径が、170nm以上であると、顔料分散安定性が悪くなるばかりでなく、前記水性インク組成物の吐出安定性も劣化し、画像濃度などの画像品質も低くなり好ましくない。前記分散粒径の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記分散粒径は、20nm以上であることが、好ましい。前記分散粒径が、20nm未満であると、前記水性インク組成物の保存安定性、及びプリンタでの噴射特性は安定し高い画像品質が得られるが、そのように細かな粒径にまで分散せしめるのは、分散操作及び分級操作が複雑となり、経済的に前記水性インク組成物を製造することが困難となることがある。
前記分散粒径は、前記水性インク組成物を顔料濃度0.5質量%に希釈調整したインク溶液にて、例えば、大塚電子社製の粒径アナライザー FPAR−1000を用いて測定することができる。
前記分散粒径は、キュムラント法による平均粒径ともいう。
<水性溶媒>
前記水性溶媒としては、例えば、水、水溶性有機溶媒などが挙げられる。
前記水性インク組成物においては、水を主な水性溶媒として使用するが、前記水性インク組成物を所望の物性にするため、あるいは前記水性インク組成物の乾燥によるノズルの詰まりを防止するため、前記水溶性有機溶媒を保湿剤成分として使用することが好ましい。
前記水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
また、その他の保湿成分として、ソルビトール等の糖アルコール、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリエチレングリコール等の高分子、また、尿素、乳酸、クエン酸塩、アミノ酸系といった天然保湿成分も用いることが可能である。
これらの保湿成分は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
前記水性インク組成物における前記水溶性有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。
<ポリマー>
前記ポリマーは、前記水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーである。
前記水性インク組成物において、前記ポリマーは、前記水性溶媒に溶解していることが好ましい。
前記ポリマーとしては、例えば、以下のABA型トリブロックコポリマーが好ましい。
<<ABA型トリブロックコポリマー>>
前記ABA型トリブロックコポリマーは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有する。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、Xは、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記Mにおける一価の金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
前記Rにおける炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜11のアルキレン基がより好ましく、炭素数10のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記R12における炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜13のアルキレン基がより好ましく、炭素数11のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記一般式(1)におけるR、X、R、及びMの組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、pHによる粘度変化(増粘作用)がより優れる点で、Rが水素原子であり、Xが酸素原子であり、Rが炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mがナトリウムである組合せ、Rが水素原子であり、Xが−NH−であり、Rが炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せ、Rがメチル基であり、Xが酸素原子であり、Rが炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mがナトリウムである組合せ、Rがメチル基であり、Xが−NH−であり、Rが炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せが好ましい。
前記一般式(1)で表されるモノマーとしては、例えば、6−アクリルアミドヘキサン酸、11−アクリルアミドウンデカン酸、8−アクリルアミドオクタン酸、12−アクリルアミドドデカン酸などが挙げられる。
前記一般式(1)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(1)で表されるモノマーは、下記一般式(1’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(1’)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、Xは、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記一般式(2)におけるR11、X11、R12、R13、及びR14の組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、pHによる粘度変化(増粘作用)がより優れる点で、R11が水素原子であり、X11が酸素原子であり、R12が炭素数9〜13のアルキレン基であり、R13及びR14がエチル基である組合せ、R11が水素原子であり、X11が−NH−であり、R12が炭素数9〜13のアルキレン基であり、R13及びR14がエチル基である組合せが好ましい。
前記一般式(2)で表されるモノマーとしては、例えば、アクリルアミドデシル−N,N−ジエチルアミン、アクリルアミドウンデシル−N,N−ジエチルアミン、アクリルアミドドデシル−N,N−ジエチルアミンなどが挙げられる。
前記一般式(2)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(2)で表されるモノマーは、下記一般式(2’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(2’)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記Aブロックが前記一般式(1’)で表される場合は、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する水性インク組成物を酸性にすることにより、増粘作用が発現する。具体的には図1A及び図1Bに示すように、pHがアルカリ性での一般式(1’)側鎖末端のカルボン酸が脱プロトン化した状態(カルボキシルイオン)のAブロックであるP(A1)では、そのカルボキシルイオンによってABA型トリブロックコポリマーは水性溶媒中で溶解しているが、pHが酸性での側鎖末端のカルボン酸がプロトン化した状態のAブロックであるP(A2)では、Aブロックの疎水性が高まり、水性溶媒中ではAブロック同士での分子間疎水会合が起きるために、pH変化に応じた増粘作用が発現する。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記Aブロックが前記一般式(2’)で表される場合は、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する水性インク組成物をアルカリ性にすることにより、増粘作用が発現する。具体的には図1A及び図1Bに示すように、pHが酸性での一般式(2’)側鎖末端のアミンがプロトン化した状態(アンモニウムイオン)のAブロックであるP(A1)では、そのアンモニウムイオンによってABA型トリブロックコポリマーは水性溶媒中で溶解しているが、pHがアルカリ性での側鎖末端のアミンが脱プロトン化した状態のAブロックであるP(A2)では、Aブロックの疎水性が高まり、水性溶媒中ではAブロック同士での分子間疎水会合が起きるために、pH変化に応じた増粘作用が発現する。なお、図1A中P(B)は、Bブロックを表す。
前記Aブロックは、pHによる粘度変化効果を阻害しない範囲において、前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表されるモノマー以外のその他のモノマーを構成単位に有していてもよい。前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Aブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーが、酸性条件により増粘作用を発現するABA型トリブロックコポリマーである場合には、前記Aブロックとしては、前記一般式(1)で表されるモノマーを構成単位として95モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーが、アルカリ条件により増粘作用を発現するABA型トリブロックコポリマーである場合には、前記Aブロックとしては、前記一般式(2)で表されるモノマーを構成単位として95モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。
なお、前記構成単位には、重合の際の開始剤残基、連鎖移動剤残基は含まれない。
<<<Bブロック>>>
前記Bブロックは、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有する。
前記親水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、前記親水性モノマーの親水性とは、例えば、25℃の水1Lにモノマーが100g以上溶解することをいう。溶解したかどうかは、水が透明かどうかで判断でき、目視により確認することができる。
前記親水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(3)で表されるモノマーが好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(3)で表されるモノマーは、下記一般式(3’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(3’)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
前記親水性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド(AA)、メタクリルアミド(MA)、N−メチルアクリルアミド(MAA)、N−メチルメタクリルアミド(MMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA)、N,N−ジエチルメタクリルアミド(DEMA)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、N−ビニルピロリドン(NVP)、ビニルアルコール(VA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記Bブロックは、pHによる粘度変化効果を阻害しない範囲において、前記親水性モノマー以外のその他のモノマーを構成単位に有していてもよい。前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましい。
前記Bブロックは、前記親水性モノマーを構成単位として90モル%以上含有することが好ましく、95モル%以上含有することがより好ましく、99モル%以上含有することが更により好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。なお、前記構成単位には、重合の際の開始剤残基、連鎖移動剤残基は含まれない。
<<<平均重合度>>>
前記Aブロックの平均重合度〔P(A)〕と前記Bブロックの平均重合度〔P(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(I)及び下記式(II)を満たすことが、増粘作用がより優れる点で好ましい。
3<〔P(A)〕<10 ・・・式(I)
20<〔P(B)〕/〔P(A)〕<300 ・・・式(II)
なお、前記平均重合度〔P(A)〕は、前記ABA型トリブロックコポリマーの両末端の各前記Aブロックの重合度の平均値である。
前記〔P(A)〕が、3以下であると、前記Aブロック同士の分子間疎水会合力が弱くなり、pH変化に応じた増粘作用が低下することがある。前記〔P(A)〕が、10以上であると、増粘作用の発現に必要なHやOHが多量に必要になり粘度変化の応答性が低下することがあったり、分子間疎水会合力が強すぎてポリマー凝集による相分離が起きて結果として増粘作用が起きなかったりする。
前記〔P(B)〕/〔P(A)〕が、20以下であると、増粘作用の発現に必要なHやOHが多量に必要になり粘度変化の応答性が低下することがあったり、ポリマー凝集が起きたりする。前記〔P(B)〕/〔P(A)〕が、300以上であると、ポリマーの水溶性が高いため、前記Aブロックを疎水化しても疎水会合による増粘作用が起こりにくくなることがある。
前記平均重合度は、例えば、H−NMRにより測定できる。
また、前記ABA型トリブロックコポリマーにおける個々の前記Aブロックの重合度〔P(A’)〕と前記平均重合度〔P(B)〕とは、下記式(XI)及び式(XII)を満たすことが、更に増粘作用がより優れる点から好ましい。
3<〔P(A’)〕<10 ・・・式(XI)
20<〔P(B)〕/〔P(A’)〕<300 ・・・式(XII)
個々の前記Aブロックの重合度〔P(A’)〕は、例えば、H−NMRにより測定できる。
前記平均重合度〔P(A)〕と前記平均重合度〔P(B)〕とは、下記式(I’)及び下記式(II’)を満たすことが、より好ましい。
4<〔P(A)〕<6 ・・・式(I’)
100<〔P(B)〕/〔P(A)〕<200 ・・・式(II’)
前記式(I’)及び前記式(II’)を満たすことにより、増粘作用が顕著に優れる。その結果、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する水性インク組成物がゲル化する程度の増粘作用が得られる。ここで「ゲル化」とは、系が流動性を失った状態をいい、例えば、せん断速度が1/sのときのせん断粘度が10,000mPa・s以上である状態をいう。
<<<分子量分布>>>
前記ABA型トリブロックコポリマーの分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用がより優れる点で、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましい。なお、下限値は、1.00である。
前記分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記ABA型トリブロックコポリマーの平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記式(III)で表される平均分子量などが挙げられる。
〔P(A)〕×Mn(A)×2+〔P(B)〕×Mn(B) ・・・式(III)
ただし、前記式(III)中、〔P(A)〕及び〔P(B)〕は、前記式(I)及び式(II)を満たす。
ここで、Mn(A)は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるモノマーの分子量であり、Mn(B)は前記親水性モノマーの分子量である。
前記平均分子量が前記式(III)の範囲より小さいと、水性インク組成物において前記ABA型トリブロックコポリマーが低濃度の場合に、増粘作用が小さくなることがある。前記平均分子量が前記式(III)の範囲より大きいと、増粘作用を発現する前の水性インク組成物の粘度が高くなりインクジェットのノズルから吐出ができなくなることがある。
前記ABA型トリブロックコポリマーの数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000〜300,000が好ましく、50,000〜100,000がより好ましい。
ここで、前記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記ABA型トリブロックコポリマーは、重合の際の開始剤残基、又は連鎖移動剤残基を有してもよい。前記開始剤残基、及び前記連鎖移動剤残基は、前記ABA型トリブロックコポリマーの末端に有していてもよく、前記Aブロックと前記Bブロックとの連結部に有していてもよく、前記Bブロック中に有していてもよい。
前記水性インク組成物における前記ABA型トリブロックコポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜5質量%が好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、pHに応じた増粘効果が小さく、よって中間転写体上での滲み防止ができない場合がある。前記含有量が、5質量%を超えると、増粘作用を発現する前の水性インク組成物の粘度が高くなりインクジェットのノズルから吐出ができなくなることがある。
前記ABA型トリブロックコポリマーは、ジチオエステルやトリチオカーボネートを連鎖移動剤として用いたRAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer、可逆的付加開裂連鎖移動)法により製造されることが、ブロック化しやすく分子量分布が狭い点で好ましい。前記ABA型トリブロックコポリマーが前記RAFT法により製造されたことは、例えば、ポリマー中の連鎖移動剤の残基の存在により確認できる。前記連鎖移動剤の残基の存在は、例えば、H−NMRにより確認できる。
<<<ABA型トリブロックコポリマーの製造方法>>>
前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リビングラジカル重合などが挙げられる。
前記リビングラジカル重合としては、例えば、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization、原子移動ラジカル重合)法、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)法、前記RAFT法などが挙げられる。これらの中も、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(2)で表されるモノマーの重合に適している点、並びに狭い分子量分布が得られ易く、重合の制御が容易である点で、RAFT法が好ましい。
−RAFT法によるABA型トリブロックコポリマーの製造−
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二官能性連鎖移動剤(二箇所からポリマー鎖が伸びるように重合される)によるAブロック2倍体合成工程と、Bブロック合成工程とを含む製造方法や、単官能性連鎖移動剤(一箇所からポリマー鎖が伸びるように重合される)による3ステップ重合(Aブロック→Bブロック→Aブロックの順で重合する)による製造方法などが挙げられる。
以下、二官能性連鎖移動剤(二箇所からポリマー鎖が伸びるように重合される)による製造方法について説明する。
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法としては、例えば、Aブロック2倍体合成工程と、Bブロック合成工程とを含む製造方法が挙げられる。
−−Aブロック2倍体合成工程−−
前記Aブロック2倍体合成工程としては、連鎖移動剤の存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを、重合開始剤を用いて重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Aブロック2倍体合成工程により、2つの前記Aブロックが連鎖移動剤を介して結合したAブロック2倍体が得られる。
前記連鎖移動剤としては、前記RAFT法に用いることができ、かつ脱離基を2つ有する連鎖移動剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオカルボニルチオ化合物などが挙げられる。前記チオカルボニルチオ化合物としては、例えば、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネート、キサンタートなどが挙げられる。これらの中でも、副反応が少なく前記一般式(1)で表されるモノマー、前記一般式(2)で表されるモノマーなどのアクリル系モノマー、アクリルアミド系モノマーの重合に適している点でトリチオカーボネートが好ましく、S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートがより好ましい。
前記重合開始剤としては、ラジカル重合を開始可能な開始剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、過硫酸系重合開始剤などが挙げられる。前記アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられる。前記過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。前記過硫酸系重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、塩化物系溶媒、芳香族系溶媒、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、流動パラフィンなどが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。前記塩化物系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。前記非プロトン性極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記溶媒としては、前記重合開始剤のラジカル発生温度よりも沸点が高い溶媒が好ましい。
前記Aブロック2倍体合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
−−Bブロック合成工程−−
前記Bブロック合成工程としては、前記Aブロック2倍体合成工程により得られた前記Aブロック2倍体及び重合開始剤存在下で親水性モノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロック合成工程においては、前記Aブロック2倍体における前記Aブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記Aブロックの末端に前記親水性モノマーがラジカル的に付加して成長反応することで前記ABA型トリブロックコポリマーが得られる。
前記親水性モノマーは、前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて説明した前記親水性モノマーである。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Aブロック2倍体合成工程において例示した前記重合開始剤などが挙げられる。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
前記Bブロック合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Aブロック2倍体合成工程において例示した前記溶媒などが挙げられる。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記溶媒と、前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記Bブロック合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
なお、前記RAFT法により得られる前記ABA型トリブロックコポリマーにおいては、前記Bブロック中に連鎖移動剤の残基が存在する。
<ノニオン性顔料分散剤>
前記ノニオン性顔料分散剤は、前記顔料を分散させる分散剤として用いられる。
前記ABA型トリブロックコポリマーの増粘効果に影響が少ないのは、顔料に多点吸着している分散剤である。
前記ノニオン性顔料分散剤としては、ポリマーの側鎖のイオンとの相互作用の少ないノニオン性顔料分散剤が好ましい。
前記ノニオン性顔料分散剤のHLB値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12.0以上が好ましい。前記HLB値が、12.0未満であると、前記ノニオン性顔料分散剤の前記顔料への吸着は行われるが、前記水性溶媒への分散力が弱く、凝集を起こしてしまい分散粒径が大きく吐出不良を起こしてしまうことがある。
ここで、本発明において、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、グリフィン法によって求められる値である。
前記ノニオン性顔料分散剤は、エチレンオキサイドを構成単位に有することが好ましい。
前記ノニオン性顔料分散剤を用いると、pHの制御を電気的に行う場合において電解質を前記水性インク組成物に含有させる場合においても、顔料の水性溶媒中への溶解度や分散状態への影響が小さいため、好ましい。顔料に対する分散剤の吸着力が弱いと、ポリマーの親水基に分散剤が吸着してしまい、顔料の分散安定性が保たれない不具合が生じることがある。
前記ノニオン性顔料分散剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
分散剤の添加により表面張力が下がりすぎると、前記ポリマーの増粘効果が低下してしまう。そのため、表面張力を維持したまま分散性が得られる点で、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
前記ノニオン性顔料分散剤としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)(HLB14、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)(HLB15、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20EO)(HLB17、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)(HLB11.5、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(6EO)(HLB8.5、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル)などが挙げられる。
特許第3484187号公報に記載の化学式(I)で表される化合物も分散剤として使用できるが、アルキル基を用いた場合は、炭素数は16〜70が望ましく、連続した長鎖アルキルである必要はなく、ランダムな組成であってもよい。また、後述する画像形成システムにおいては、分散粒径が小さくかつ、表面張力を55mN/m以上に保つことが好ましく、そのためにはアルキル鎖が分岐状、またはランダムに存在し顔料に対する吸着点が多いことが好ましい。さらには高分子タイプの分散剤であることで、安定して吸着する。また、比較的分子量が低いものであってもソルビットやソルビタンの構造を持つものが表面張力の低下を抑えることが確認されている。
前記水性インク組成物における前記ノニオン性顔料分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記顔料に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、インクの分散安定性が悪く凝集などの経時劣化や目詰まりを起こすことがあり、90質量%を超えると、表面張力が下がりすぎて吐出不良や画像形成時の顔料の凝集阻害や画像のにじみを起こすことがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、吐出安定性及び画像品質の点で有利である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色樹脂微粒子、前記ポリマー以外の親水性高分子化合物、樹脂エマルジョン、ラテックス、電解質、pH調整剤、pH緩衝剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、防錆剤などが挙げられる
<<着色樹脂微粒子>>
前記着色樹脂微粒子としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を油性染料、分散染料、顔料等により着色したものが挙げられる。
前記水性インク組成物における前記着色樹脂微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<親水性高分子化合物>>
前記ポリマー以外の親水性高分子化合物としては、例えば、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、セラックなどが挙げられる。半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、力ルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性スチレン−アクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレン−アクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレン−マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩などが挙げられる。
<<樹脂エマルジョン、ラテックス>>
前記水性インク組成物には、着色剤を含まない樹脂エマルジョン、ラテックスなどを添加してもよい。前記樹脂エマルジョンの種類によっては、転写紙表面で樹脂エマルジョンが皮膜を形成し、画像形成が行われた場合の転写紙の耐光性、耐水性、耐擦性を向上させる利点がある。懸濁相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。市販の樹脂エマルジョンの例としては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、DIC株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)などが挙げられる。
前記水性インク組成物における前記樹脂エマルジョンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その樹脂成分が前記水性インク組成物の0.1質量%〜40質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
前記顔料の分散剤、着色エマルジョン、ラテックス、水溶性高分子化合物などは、前記ABA型トリブロックコポリマーと併せて、転写工程における中間転写体から被記録体への転写率を向上させるのに効果的である。
<<電解質>>
前記水性インク組成物に含有される水を電気分解させるには、前記水性インク組成物のイオン伝導性を上げるための電解質を前記水性インク組成物に含有させることが好ましい。
前記電解質としては、例えば、無機アルカリ金属塩、有機アルカリ金属塩、有機アンモニウム塩などが挙げられる。
前記無機アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記有機アルカリ金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸水素カリウムなどが挙げられる。
前記有機アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化コリンなどが挙げられる。
2価以上の多価金属塩は、イオン性の着色剤(例えば、顔料)及び前記ABA型トリブロックコポリマーの溶解又は分散性を損ねるので、前記電解質は、1価の金属塩であることが好ましい。特に前記電解質としては、第四級アンモニウム塩を用いることが好ましい。第四級アンモニウムイオンは中心元素に結合したアルキル基によって電荷分散しており、着色剤(例えば、顔料)などのイオン成分との静電相互作用が小さく、また、第四級アンモニウムイオンは水とのクラスターを形成しにくく、着色剤(例えば、顔料)などのイオン成分の溶解又は分散に必要な水和水を奪うことも少ないので、着色剤(例えば、顔料)の溶解性及び分散性への影響は小さい。単位分子量あたりの導電率(モルイオン伝導率)は分子量の小さい化合物が高く、四級アンモニウム塩のなかで特にテトラメチルアンモニウム塩が好ましい。また、カウンターイオンとして塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等があるが、塩化物イオンはアノードで電極反応を起こして塩素を発生するおそれがある。そのため、不活性な硝酸イオン及び硫酸イオンが好ましい。
前記水性インク組成物における前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜5質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、通電量が十分得られないことがあり、5質量%を超えると、顔料の分散安定性が悪くなることがある。
<<pH調整剤>>
前記pH調整剤としては、酸性pH調整剤、アルカリ性pH調整剤などが挙げられる。
前記酸性pH調整剤としては、例えば、ホウ酸、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸、塩化アンモニウムなどが挙げられる。前記有機酸としては、例えば、酢酸などが挙げられる。
前記アルカリ性pH調整剤としては、例えば、アルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アミン類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物、四級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。前記炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等などが挙げられる。前記アミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
吐出時の前記水性インク組成物の粘度は、1mPa・s〜20mPa・sが好ましく、2mPa・s〜8mPa・sがより好ましい。前記水性インク組成物は、後述する着弾時のpH変化による増粘により、吐出時の少なくとも10倍、好ましくは100倍、より好ましくは1,000倍以上の粘度増加を生じ、ゲル状態になる。図5にブリッジした液注と、pH変化による増粘の概略図を示してある。その他、前記水性インク組成物の物性の好適な範囲としては、導電率は、0.1S/m〜5S/mが好ましく、1S/m〜3S/mがより好ましい。
前記水性インク組成物の表面張力は、52mN/m以上であり、55mN/m以上であることが好ましい。前記表面張力が52mN/m未満であると、ビーディングが生じる。
前記表面張力は、例えば、表面張力計(PocketDyne、KRUSS社製)により測定することができる。
前記水性インク組成物は、色味を変えることなく、pHによって粘度変化(増粘)するという特性を有している。すなわち、前述の図1A及び図1Bのように、ABA型トリブロックコポリマーの両Aブロック末端の親水から疎水変化に伴う分子間疎水会合(物理架橋)を起こして前記水性インク組成物中にネットワーク構造を形成することで前記水性インク組成物の粘度が増加する。このように、前記水性インク組成物は、pH変化に応答して粘度変化を示すpH応答性インク組成物となっている。増粘は、ゲル化を伴って生じる場合がある。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、記録ヘッドを少なくとも有し、好ましくは中間転写体、pH制御手段、転写手段を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
<記録ヘッド>
前記記録ヘッドとしては、本発明の前記水性インク組成物を吐出するノズルを有する記録ヘッドであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固定式のフルライン型の記録ヘッド、シャトル型の記録ヘッドなどが挙げられる。
前記フルライン型の記録ヘッドとしては、例えば、被記録体の最大幅に対応した長さを有する記録ヘッドなどが挙げられる。
前記シャトル型の記録ヘッドとしては、例えば、中間転写体の表面が移動する方向に対して直交する方向(主走査方向)に移動する記録ヘッドなどが挙げられる。
前記記録ヘッドの形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記記録ヘッドは、例えば、複数のノズルが形成されているノズル板と、各ノズルに対応したインク室と、インク吐出部材とを有する。
前記記録ヘッドは、少なくとも一部が導電性を有することが好ましい。前記記録ヘッドとしては、例えば、導電性を有するノズル板を有する記録ヘッドなどが挙げられる。前記導電性を有するノズル板としては、例えば、ノズル板全体が導電性部材からなるノズル板、前記水性インク組成物と接する面が導電処理されたノズル板などが挙げられる。これらの中でも、記録ヘッドのインク室内のみに電極を設けるとガス生成物が発生したときに吐出不具合が起きることがあることから、それを防ぐために、ノズル板全体が導電性部材からなるノズル板が好ましい。
前記導電性部材としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。
前記記録ヘッドには、前記水性インク組成物が充填される。前記水性インク組成物は、例えば、前記水性インク組成物が収容されたインク収容手段から前記記録ヘッド(前記記録ヘッドの前記インク室)に供給される。
前記インク吐出部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、形状変形素子方式のインク吐出部材、加熱ヒータ方式のインク吐出部材などが挙げられる。前記形状変形素子方式のインク吐出部材としては、例えば、圧電素子などが挙げられる。前記圧電素子を用いた場合には、前記圧電素子に印加される電圧パルスに応じて、前記ノズルから前記水性インク組成物が吐出される。
前記記録ヘッドは、前記水性インク組成物を前記中間転写体に付与するときに前記中間転写体との間で前記水性インク組成物の液柱を形成可能な距離で、前記中間転写体に対向して配設されていることが好ましい。
<中間転写体>
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写ローラ、中間転写ベルトなどが挙げられる。
前記中間転写体へは、前記記録ヘッドによって前記水性インク組成物が付与される。
前記中間転写体は、少なくともその表面が導電性を有していることが好ましい。
前記中間転写体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性支持体と前記導電性支持体上に導電層とを有する中間転写体などが挙げられる。
前記導電性支持体の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレスなどが挙げられる。
前記導電層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性を有し、かつ撥水性及び弾性を有する点から、撥水性ゴム材料と導電性材料とを有することが好ましい。前記導電層が撥水性を有することで、前記水性インク組成物によるインク画像が前記中間転写体の前記導電層から紙などの被記録体へ転写されやすくなる。また、前記導電層が弾性を有することで、前記中間転写体の前記導電層が紙の繊維に沿って変形することで接触面積が向上し高い転写率が達成できる。
前記撥水性としては、水の後退接触角で60°以上が好ましく、80°以上がより好ましい。上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100°以下が好ましい。
前記撥水性ゴム材料としては、例えば、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。
前記導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、金、銀、銅などが挙げられる。
前記導電層の導電性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電気抵抗率で1,000Ω・cm以下が好ましく、10Ω・cm以下がより好ましい。
前記導電層の硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、JIS−Aで60以下が好ましく、40以下がより好ましい。下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20以上が好ましい。
前記導電層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mm〜1mmが好ましく、0.2mm〜0.6mmがより好ましい。
前記中間転写体と前記記録ヘッドとの間のギャップとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜300μmが好ましく、100μm〜200μmがより好ましい。前記ギャップが、50μm未満であると、ギャップを保つことが困難になることがあり、300μmを超えると、前記水性インク組成物の表面張力により、前記中間転写体と前記記録ヘッドとの間で、前記水性インク組成物による液柱が形成されずに、前記水性インク組成物が液滴化することがある。
<pH制御手段>
前記pH制御手段としては、前記中間転写体に前記記録ヘッドによって付与された前記水性インク組成物のpHを変化させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液柱に対して電圧を印加する電圧印加部材であることが好ましい。
前記pH制御手段によって、前記水性インク組成物のpHを変化させると前記水性インク組成物の粘度は変化する。
前記電圧印加部材としては、例えば、電源などが挙げられる。
また、前記pH制御手段は、前記水性インク組成物が付与される前の被記録体にpH調整剤を付与する手段であってもよい。
<転写手段>
前記転写手段としては、pHの変化によって粘度が変化した前記水性インク組成物を前記中間転写体から被記録体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧部材などが挙げられる。
前記加圧部材としては、例えば、加圧ローラなどが挙げられる。
前記加圧部材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に撥水性部材の層を設けた構造などが挙げられる。
前記基材としては、例えば、樹脂、金属などが挙げられる。
前記撥水性部材としては、例えば、フッ素系樹脂、ゴムなどが挙げられる。
前記フッ素系樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などが挙げられる。
前記ゴムとしては、例えば、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。
前記加圧部材の表面の撥水性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水の後退接触角で60°以上が好ましく、80°以上がより好ましい。上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100°以下が好ましい。
前記加圧部材の表面の硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、JIS−Aで60以上が好ましく、80以上がより好ましい。上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100以下が好ましい。
前記加圧の際の加圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1kgf/cm〜100kgf/cmが好ましい。
図2に、本発明を適用した画像形成装置の一例の概略を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタとしてのプリンタであってフルカラーの画像形成を行うことが可能となっている。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行う。
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体(被記録体)としてこれに画像形成を行うことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である転写紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、転写紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であってもよい。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な、当該色のインクとしての水性インク組成物(以下、「記録液」と称することがある)を吐出するノズルを有する記録ヘッドとしてのヘッド61Y、61M、61C、61BKを有している。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、画像形成装置100の本体99の略中央部に配設された中間転写ドラムである中間転写体37の外周面に対向する位置に、図2で示すような順で配設されている。同図において各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための画像形成手段としての記録液吐出装置であるインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。なお、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、図2の紙面に垂直な方向に複数が並設された態様で、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられたラインヘッドである。
中間転写体37は、A1方向に回転している状態で、各ヘッド61BK、61C、61M、61Yに対向する領域で、各ヘッド61BK、61C、61M、61Yから黒、シアン、マゼンタ、イエローの記録液が順次重ね合わされる態様で吐出されて付与され、その表面である一次画像形成面上に一次画像である画像が形成されるようになっている。このように、画像形成装置100は、ヘッド61BK、61C、61M、61Yを中間転写体37に対向させA1方向に並設したタンデム構造となっている。
ヘッド61BK、61C、61M、61Yによる中間転写体37に対する記録液の吐出すなわち付与は、黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色の画像領域が中間転写体37上の同じ位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
図2に示すように、画像形成装置100は、ヘッド61BK、61C、61M、61Yをそれぞれ備えたインク吐出装置60BK、60C、60M、60Yと、中間転写体37を備え中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写紙Sを搬送する用紙搬送ユニットとしての搬送ユニット10と、転写紙Sを多数枚積載可能であり積載した転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ユニット20と、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み言い換えるとプリント済みの転写紙Sを多数積載可能な排紙台25とを有している。
画像形成装置100は、また、中間転写体37の上方において中間転写体37に対向するように配設され、記録液が転写紙Sに転写された後の中間転写体37から、中間転写体37上すなわち一次画像形成面上に残留している記録液を除去してクリーニングするためのクリーニング手段としてのクリーニングユニットであるクリーニング装置40と、ヘッド61BK、61C、61M、61Yを一体に支持したヘッド支持体としてのキャリッジ62とを有している。
画像形成装置100はまた、図3Bに示すようにヘッド61Y、61M、61C、61BKから吐出された直後の記録液による液柱がヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との間を一時的にブリッジした状態で中間転写体37とヘッド61Y、61M、61C、61BK(またはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK)との間に電位差が形成されるように、かかる液柱状態の記録液に電極酸化反応もしくは電極還元反応に起因する電流成分を含んだ通電を行う電圧印加部材としての通電手段33と、画像形成装置100の動作全般を制御する、図示しないCPU、メモリ等を含む制御手段としての制御部98とを有している。
搬送ユニット10は、中間転写体37の他に、中間転写体37に対向して配置され中間転写体37に従動回転し中間転写体37との間の転写部31を転写紙Sが通過するときに中間転写体37上に担持された記録液による一次画像をその転写紙Sに転写して転写記録する転写手段としての転写ローラ38を有している。
搬送ユニット10は、また、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に向けて搬送する搬送ローラ32と、搬送ローラ32によって搬送されてきた転写紙Sを一旦停止させるとともに、中間転写体37上に形成された画像が中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写部31に至るタイミングに応じて停止させた転写紙Sを転写部31に給送するレジストローラ34とを有している。
搬送ユニット10は、また、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に案内するとともに、転写部31を通過した転写紙Sを排紙台25に案内するガイド板39と、中間転写体37をA1方向に回転駆動する図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。このように、画像形成装置100は、転写紙Sへの画像形成を、中間転写体37を用いて間接的に行う間接方式の画像形成装置となっている。
図3A〜図3Cに示すように、中間転写体37は、アルミニウム製の支持体37aと、支持体37a上に形成された導電性シリコーンゴム製の導電層37bからなっている。支持体37aの材質はアルミニウムに限られるものではなく、良導電性で機械的強度がある必要があり、金属や合金によって形成される。また、図の中間転写体37はローラで示してあるが、ベルトであってもよい。導電37bは、導電性シリコーンゴム製に限らず、導電性及び撥水性が高く平滑な弾性材料で形成すればよい。導電層37bの導電性は、中間転写体37とヘッド61Y、61M、61C、61BK(またはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK)との間に電圧を印加して、これらの間に形成された記録液の液柱に水の電気分解を起こさせるのに必要な機能である。導電層37bの撥水性は、記録液が中間転写体37の導電層37bから転写紙Sへ転写するときの転写しやすさの指標となり、撥水性が高いほど転写率がよい。ただしその反面、撥水性が高いと、粘度が不十分な記録液では、導電層37bへの着弾位置での固定化が困難でビーディングの原因となるというトレードオフの関係がある。導電層37bの弾性は、転写の際に必要な機能で、導電層37bが転写紙Sの繊維に沿って変形することで接触面積が向上し高い転写率が達成される。低い圧力で転写するには導電層37bの材料としてある程度柔らかい材料を選択しなければならない。
導電層37bのこれらの機能を満たす材料としては、例えば、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料に、カーボンブラックやカーボンナノチューブ、金や銀などの金属微粒子を混入させた導電性ゴムが挙げられる。導電性を上げるためには導電性微粒子を増やすことが考えられるが、弾性や撥水性の低下要因となる。導電性は、支持体37aと導電層37bとの膜厚方向に対して有していればよく、面方向には絶縁の異方導電性であってもよい。導電性微粒子の大きさは、画像を構成する20μm〜50μm程度のドットより十分小さい必要があり、0.1μm以下であれば問題ない。また、導電層37bは、撥水性を上げるためシリーコンオイルを含浸させたものでも構わないし、単層構造、多層構造のどちらでも構わない。
図2に示すように、給紙ユニット20は、転写紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する送り出しローラとしての給紙ローラ22と、給紙トレイ21及び給紙ローラ22を支持した筐体23と、給紙ローラ22を、ヘッド61Y、61M、61C、61BKにおける記録液の吐出タイミングに合わせるように回転駆動し転写紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等とを有している。
クリーニング装置40は、中間転写体37に当接し中間転写体37上の記録液をクリーニングするための絶縁性のクリーニング部材としての図示しないクリーニングブレードを有している。クリーニングブレードは、中間転写体37にその一部すなわち先端を当接することで、中間転写体37表面の記録液、具体的には転写後に残留している記録液を掻き取るような機能があればよく、耐磨耗性を有する。
キャリッジ62は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKに劣化等が生じたときにこれらが新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。ヘッド61Y、61M、61C、61BKもそれぞれ、劣化等が生じたときに新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、独立して本体99に対して着脱可能となっている。これによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、用いる記録液の色が異なるものの、その余の点では互いに略同様の構成となっている。インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、ヘッド61Y、61M、61C、61BKをそれぞれ複数、主走査方向に並設され、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、画像形成装置100はフルライン型となっている。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、複数のヘッド61Y、61M、61C、61BKに供給される当該色の記録液を収容したメインタンクとしての記録液カートリッジであるインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKと、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内に収容された記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに向けて圧送し給送するための供給ポンプとしての図示しないポンプと、ポンプによってインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK側から供給されてきた記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに分配して供給する記録液供給部であるインク供給部(以下、「ディストリビュータタンク」と称することがある。)とを有している。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKはまた、ディストリビュータタンク内の記録液量の不足を検出するために同記録液量を検知する記録液量検知手段である図示しないインク量検知センサと、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKとディストリビュータタンクとの間の記録液の給送路をポンプとともに形成している図示しないパイプと、ディストリビュータタンクと各ヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間の記録液の給送路を形成している図示しないパイプとを有している。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、内部の記録液が消費されて残り少なくなったとき、あるいはなくなったとき等に新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。
ポンプは、制御部98によって作動を制御される。具体的には、インク量検知センサによってディストリビュータタンク内の記録液量の不足が検出されたことを条件として、ヘッド61Y、61M、61C、61BKによる記録液の吐出が停止されているときに、この不足が検出されなくなるまで駆動され、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内の記録液をディストリビュータタンクに供給する。この点、制御部98は記録液供給制御手段であるインク供給制御手段として機能する。その他、制御部98は、画像形成装置100において駆動される構成については、特に説明しない場合であっても、その駆動を制御するようになっている。
図3A〜図3Cに示すように、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、同図において下方を向く記録液吐出側において、導電性部材である導電性オリフィス61a及び絶縁性部材である絶縁性オリフィス61bを備えたノズル板61dと、導電性オリフィス61a及び絶縁性オリフィス61bに形成された孔が互いに連通して形成された微小なノズル61cとを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、また、図示を省略するが、ノズル61cから記録液を液滴化して吐出させ中間転写体37に着弾させるための、画像信号に基づいて駆動されるアクチュエータとして、ピエゾ素子の変位で液室内の記録液に圧力を加えてノズル61cから記録液を吐出させるピエゾ方式の可動アクチュエータを有しているが、アクチュエータは他の方式の可動アクチュエータであってもよい。その他、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、ヒータ加熱で発生するバブルで液室内の記録液に圧力を加えてノズル61cから記録液を吐出させるサーマル方式等の加熱膜沸騰方式を用いてもよい。
何れにしても、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、画像信号に応じて駆動され、中間転写体37を介して転写紙Sに記録液を付与して画像を形成する。ノズル61cは各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに多数備えられているが、同図においてはそのうちの1つのみを図示している。ノズル61cの径は、25μmとされている。
導電性オリフィス61aは記録液吐出側におけるヘッド61Y、61M、61C、61BKの表面をなしている。この導電性オリフィス61aは電極として機能している。また、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKにカソードとして電極を設ける場合は、導電性オリフィス61aは不要である。図示していないが、インクカートリッジ内蔵電極の場合は、インクカートリッジの電極と中間転写体37の間を通電手段33によって電位差を設ける構成となる。
また、絶縁性オリフィス61bはヘッド61Y、61M、61C、61BKに収容された記録液と導電性オリフィス61aとの間を絶縁するためにこれらの間に介在するように設けられている。絶縁性オリフィス61bの材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されない。
本形態では導電性オリフィス61aと絶縁性オリフィス61bとが接合した二重構造となっているが、これらは必ずしも接合されたものでなくともよく、また絶縁性オリフィス61bと記録液との間に他の層を介在させてもよい。
図3A〜図3C示すように、通電手段33は、電源33aと、電源33aを支持体37aと導電性オリフィス61aとに接続した特に図示しない電気回路と、制御部98の機能の一部として実現され電源33aによる電圧の印加タイミング、印加時間を制御する電圧印加制御手段とを有している。電源33aは、電気回路により、陽極を支持体37aに接続され、陰極を導電性オリフィス61aに接続されている。よって、通電手段33は、支持体37a、中間転写体37をアノードとして備え、導電性オリフィス61a(またはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKに内蔵の電極)をカソードとして備えている。通電手段33は、後述するように、記録液が電気分解する電圧を支持体37aとヘッド61Y、61M、61C、61BK(またはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKに内蔵の電極)との間に印加するための電圧印加部材として機能する。
このような構成の画像形成装置100においては、画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、中間転写体37が各ヘッド61BK、61C、61M、61Yに対向しながらA1方向に回転し、この過程で、黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色の画像領域が中間転写体37の同じ位置に重なるよう、各ヘッド61BK、61C、61M、61Yから、黒、シアン、マゼンタ、イエローの記録液が、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で吐出され、中間転写体37上に一時的に画像が担持される。
このとき、電圧印加制御手段としての制御部98により、通電手段33が駆動され、電源33aから支持体37aと導電性オリフィス61aとの間に電圧が印加されている。
この状態で、記録液が、各ヘッド61BK、61C、61M、61Yから中間転写体37上に付与される。このとき、まず、ヘッド61BK、61C、61M、61Yから、図3Aに示すように、ノズル61bにおいてメニスカスを形成している記録液が、図3Bに示すように、中間転写体37に向けて移動し、記録液の先端が中間転写体37に着弾して、ノズル61cと中間転写体37との間に、記録液からなる液柱のブリッジが一時的に形成され、次いで、図3Cに示すように、記録液からなる液柱のブリッジが分断されることによって、中間転写体37に担持され、中間転写体37上に記録液による画像が形成される。ブリッジを形成している液柱の径は10μm程度であり、ブリッジ分断後に中間転写体37に担持されている記録液のドット径は50μm程度である。
そして、図3Cに示した、記録液からなる液注のブリッジが形成された状態では、通電手段33により、水の電気分解が起こり、中間転写体37をアノードとした場合は、中間転写体上では記録液が酸性となり、前記一般式(1)のモノマーによって構成されるABA型トリブロックコポリマーを含有した記録液では増粘効果が得られる。また、中間転写体37をカソードとした場合は、中間転写体がアルカリ性となり、前記一般式(2)のモノマーによって構成されるABA型トリブロックコポリマーを含有した記録液では増粘効果が得られる。アノード、及びカソードで起きる水の電気分解反応を下記に示す。
カソード:4HO+4e→2H+4OH・・・反応式(1)
アノード:2HO→4H+O+4e ・・・反応式(2)
なお、記録液のブリッジを形成する時間は、インク物性(粘度・表面張力)のほかに圧電素子に印加される電磁パルスのピーク電圧とパルス幅等により制御可能で、よって上記電極反応で流れるファラデー電流の積算値である通電電荷量(発生するプロトン総量や水酸化物イオン総量)は調整可能である。
ここで、図4を用いて、カソード及びアノードの間に形成される液柱のブリッジについて説明する。液柱のブリッジBの内部では、カチオン及びアニオンは、それぞれカソードC及びアノードAの近傍に移動する。その結果、カソードC及びアノードAの表面に、それぞれ電気二重層E及びEが形成されるが、電気二重層E及びEの充電速度は、液柱のブリッジBの導電率、記録液に含まれるイオンの濃度でほぼ決定される。このとき、電気二重層Eの電圧が数Vに達すると、水が電気分解して前記ファラデー電流が流れる。その結果、両電極近傍のpHが変化して記録液が増粘する。このようにして、電極界面での電気二重層形成に相当する非ファラデー電流と、水の電気分解に起因したファラデー電流とが発生する。中間転写体37に記録液による画像を形成するためには、通電手段33による印加電圧は、水の理論分解電圧である1.23Vや一般的な水の電気分解の条件である数V〜十数Vでは不十分であり、数十V〜数百Vであることが好ましいが、数十V〜数百Vでは水の電気分解の反応抵抗はほぼ無視できるほど小さく、記録液の溶液抵抗が支配的となる。液柱のブリッジBが形成されてからノズル61c近傍で液柱が分断してブリッジ状態が終わるのは数μs〜数十μsで、この時間とファラデー電流の積が前記通電電荷量であり、この値が大きいほど水素イオン発生量及び水酸化物イオン発生量が増えるので、記録液の粘度変化も大きくなる場合がある。
中間転写体37上での記録液の増粘を、図5の濃い色で示している増粘部Gで示す。pHは中間転写体37の電極界面で最も酸性又はアルカリ性に偏っているので、増粘部Gは、記録液の、中間転写体37表面に当接している部分及びその近傍に多く存在することになる。増粘部Gの存在により、記録液ドットは中間転写体37に固定されて、中間転写体37の低表面エネルギーによって記録液ドットの位置がずれるといったビーディングの問題は抑制される。
通電手段33は、ブリッジBが形成された状態で中間転写体37と導電性オリフィス61a(または図示していないがインクカートリッジに内蔵した電極)との間に電圧を印加して記録液に含まれる水を電気分解することで、記録液を増粘させるためのpH処理を行うようになっている。このような通電手段33とこれを駆動する電圧印加制御手段としての制御部98とは、かかるpH処理を行うpH制御手段として機能する。
かかる電気分解を行うためには、ブリッジBを形成することが不可欠である。そのため、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、記録液を中間転写体37に付与するときに中間転写体37との間でかかるブリッジBを形成可能な距離で、中間転写体37に対向して配設されている。具体的には導電性オリフィス61aの表面と中間転写体37の表面とのギャップ距離が、50μm〜300μmの間で設定され、好ましくは100μm〜200μmであって、本形態では100μmとされている。ギャップ距離が200μmを超えると、記録液の種類や吐出方法によっては、ブリッジする前に記録液の表面張力により液柱がノズル61c近傍で分断して通常の液滴化が起きてしまい、導電性オリフィス61aと中間転写体37との間での記録液のブリッジによる水の電気分解が不可能となるためである。また、ギャップが小さければ記録液の着弾精度が向上するなどの利点が得られるが、ギャップ距離が50μmを下回るとそのギャップを保つことが困難となる。
中間転写体37上に担持された画像の先端が転写部31に到達するタイミングに合わせて、給紙ユニット20から給送された一枚の転写紙Sが転写部31に供給され、転写ローラ38が連れ回りしながら、転写部31を通過する転写紙Sに圧力をかけて中間転写体37に密着させ、中間転写体37上に担持されている画像を転写紙Sの表面に転写させる転写工程で、転写紙Sに画像が形成される。このように、転写ローラ38は、pH処理によって粘度が変化した記録液を中間転写体37から転写紙Sに転写するようになっている。転写によって画像が形成された転写紙Sは、排紙台25に案内され排紙台25上に積載される。
このように増粘した記録液が転写紙Sに転写されるので、転写紙Sが普通紙である場合であっても、フェザリングやブリーディング、ビーディングとともに防止ないし抑制されつつ、高速で高画像濃度、高画質の画像形成が可能である。
また、高速の画像形成を行うには、記録液を速乾性とすることを要するため、記録液は転写紙Sへの吸収性を高めるための浸透剤を付与することが一般的であるが、この場合は記録液が転写紙Sの奥深くまで浸透し、いわゆる裏抜けを生じ、両面画像形成に不向きとなる。しかし、かかる増粘した記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されるため裏抜けが防止ないし抑制され、両面画像形成にも適している。
画像形成装置100では記録液が増粘するため、粘度変化がない場合と比べて、記録液は転写紙S内部に浸透しにくくなり、速乾性が低下するとも考えられる。しかし、転写ローラ38は、中間転写体37から記録液を転写紙Sに転写すると同時に、記録液と転写紙Sとに中間転写体37との間で圧力を加えることで、前述のように転写紙S内部の浸透ではなく内部転写紙Sの表面方向に拡がる効果が与えられる。そのため、画像濃度向上が可能である。また、凹凸のある普通紙のような転写紙Sに対して、弾性を有した中間転写体37がこの凹凸にならって記録液の転写率を上げるには圧力を加える必要がある。このように、転写ローラ38と中間転写体37とは記録液と転写紙Sとに圧力を印加する圧力印加手段として機能するようになっている。
転写ローラ38は、記録液による汚れ防止の観点から、表面エネルギーの低い撥水性部材を表面に配設されていることが好ましい。よって、転写ローラ38は、表面に、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料、樹脂や金属、ゴムの表面にフッ素処理をした導電層を有している。
転写ローラ38の表面部材としての物性は、撥水性については水の後退接触角が60°以上、好ましくは80°以上であり、硬度についてはJIS−Aで60以上、好ましくは80以上である。また、導電層の厚みは0.1mm〜1mm程度がよく、0.2mm〜0.6mmが好適である。
加圧するときの圧力としては、1kgf/cm〜100kgf/cmが好ましく、5kgf/cm〜20kgf/cmがより好ましい。転写紙S上の記録液を加圧することで画像濃度・転写率を上げる以外にも、記録液のドットの平滑性を向上させることが可能となり、画像の光沢性が改善されるという利点がある。
図6に、画像形成装置100の別の構成例を示す。この画像形成装置100において、図2に示した画像形成装置100に備えられたのと同様の構成については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、図2に示した画像形成装置100と異なる点について主に説明する。なお、図6に示した画像形成装置100では制御部98の図示を省略している。
図6に示す画像形成装置100は、図1に示した画像形成装置100が備えている中間転写体37、転写ローラ38を備えておらず、ヘッド61Y、61M、61C、61BKとガイド板39とが対向した記録液の吐出部53において転写紙Sへの画像形成を直接的に行う直接方式の画像形成装置となっている。
図6に示す画像形成装置100は、通電手段33を備えておらず、記録液への通電を行わない。そのため、pH制御手段として、転写紙Sに付与された記録液の粘度を変化せしめるためのpH処理を、記録液を付与される前の転写紙Sに対して行うpH処理部50を備えている。よって、図6に示す画像形成装置100は、転写紙Sに付与される前の記録液に対して中間転写体37への記録液の付与と同時にpH処理を行う図2に示した画像形成装置100と異なっている。
なお、図2に示した画像形成装置100は、転写紙Sの搬送方向において給紙ユニット20の下流側且つ転写部31の上流側、あるいはA1方向においてクリーニング装置40の下流側且つヘッド61Y、61M、61C、61BKの上流側に、pH処理部50を有していてもよい。この場合、通電手段33を省略して、中間転写体37とヘッド61Y、61M、61C、61BK(またはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKにそれぞれ内蔵した電極)との間での電圧印加を省略することも可能であり、このような省略を行う場合には、導電性オリフィス61a(またはインクカートリッジの内蔵した電極)、中間転写体37の導電性は不要であり、たとえば導電層37bは単にシリコーンゴム製とすることが可能である。ただし、図2に示した画像形成装置100はpH処理部50を備えていない点でこれを備える場合に比べてコスト、小型化の面で有利である。
図6に示す画像形成装置100は、図2に示した画像形成装置100が備えている中間転写体37、転写ローラ38を備えていないことに伴って、圧力印加手段として、圧力印加部70を備えている。なお、図2に示した画像形成装置100は、転写紙Sの搬送方向において転写部31の下流側且つ排紙台25の上流側に、圧力印加部70を備えていてもよい。
pH処理部50は、転写紙S表面にpH調整剤を塗布する化学的処理を行う。塗布方法は、ローラ塗布、ブレード塗布、ワイヤーバー塗布、インクジェット等によるミスト塗布など何れの場合であってもよいが、本形態ではインクジェットによるミスト塗布を採用している。
そのため、pH処理部50は、転写紙Sの搬送方向においてレジストローラ34の上流側且つ搬送ローラ32の下流側でガイド板39に対向して配設され、転写紙SにpH調整剤を付与するpH調整剤付与手段としてのヘッド51と、ヘッド51にpH調整剤を供給するpH調整剤供給手段としてのpH調整剤収容部52とを有している。
アルカリ性の記録液を酸性にするための酸性pH調整剤としては、例えば、ホウ酸、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸、塩化アンモニウム等の無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸をその成分としている。pH調整剤を水溶液とする場合は、記録液について述べたような保湿成分を添加してもよい。
酸性の記録液をアルカリ性にするためのアルカリ性pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物、四級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を用いることが可能である。
pH調整剤収容部52は、pH調整剤を収容しているとともに、収容しているpH調整剤をヘッド51に供給する。ヘッド51は、pH調整剤収容部51から供給されたpH調整剤を、転写紙Sがヘッド51とガイド板39との間を通過するタイミングで転写紙Sに向けて吐出する。
圧力印加部70は、転写紙Sの搬送方向において吐出部53の下流側且つ排紙台25の上流側に配設されている。圧力印加部70は、互いに圧接された加圧ローラ71、72と、加圧ローラ71を回転駆動し、加圧ローラ72を加圧ローラ71に従動回転させる図示しないモータとを有しており、これら加圧ローラ71、72の間に、吐出部53において記録液を付与された転写紙Sを通過させるようになっている。加圧ローラ71、72の表面に設けられた材料の構成や物性、つまり膜厚や硬度、表面エネルギーといったのは、中間転写体37、転写ローラ38とそれぞれ同じであり、加圧ローラ71、72相互間の圧力は、中間転写体37、転写ローラ38との間の圧力と同じである。
このような構成の画像形成装置100においては、画像形成開始の旨の所定信号の入力により、給紙ユニット20から給送された一枚の転写紙Sが吐出部53に向けて給送される。この転写紙Sは、搬送ローラ32を経た後、吐出部53において記録液を付与される側の面に、pH処理部50によってpH調整剤を塗布される。次いで、この転写紙Sは、レジストローラ34によってタイミングを計られて吐出部53に供給され、吐出部53を通過する過程で、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像領域が同じ位置に重なるよう、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKから、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が、その搬送方向において上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で吐出され、画像が形成される。
記録液は、転写紙Sに付与されると、その着弾、浸透の際にpH調整剤と反応しpH変化して増粘して、図5に示したのと同様にして、図示しない増粘部を生ずる。増粘部は、記録液の、転写紙S表面に当接している部分及びその近傍に多く存在することになる。増粘部の存在により、ドットが大きくなったり位置がずれたりといったビーディングの問題は抑制される。
また、増粘した記録液中の色剤によって画像が形成されることにより、転写紙Sが普通紙である場合であっても、フェザリングやブリーディングがビーディングとともに防止ないし抑制されつつ、高速で高画像濃度、高画質の画像形成が可能である。
また、高速の画像形成を行うには、記録液を速乾性とすることを要するため、記録液は転写紙Sへの吸収性が一般に高いが、この場合には記録液が転写紙Sの奥深くまで浸透し、いわゆる裏抜けを生じ、両面画像形成に不向きとなる。しかし、かかる記録液の増粘により記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されるためかかる裏抜けが防止ないし抑制され、両面画像形成にも適している。
画像形成装置100では記録液が増粘するため、粘度変化がない場合と比べて、記録液は転写紙S内部に浸透しにくくなり、速乾性が低下しうる。しかし、吐出部53において画像が形成された転写紙Sは、圧力印加部70を通過するときに、記録液とともに圧力を印加されることで、転写紙Sの表面方向への記録液の拡がる力を与えるために、速乾性を与えるとともに画像濃度を向上させることができる。また、かかる圧力の印加は、速乾性の担保及び画像濃度向上のみならず、転写紙Sに対する記録液とくに記録液中の色剤の定着性を向上させるとともに、記録液のドットの平滑性を向上させることが可能となり、画像の光沢性を改善させるという利点がある。
圧力印加部70を通過した転写紙Sは、排紙台25に案内され排紙台25上に積載される。転写紙Sは、圧力印加部70によって記録液の定着性が向上しているため、排紙台25へのスタックの際の、他の転写紙Sの裏面への記録液の転写(裏移り)が防止ないし抑制される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
H−NMR測定>
合成例において、H−NMR測定には、JEOL JNM−ECX500 FT NMR SYSTEM(日本電子株式会社製)を用いた。
<GPC測定>
GPC測定は、以下の条件で行った。
−AaU(X)(Aブロックのみの状態)の分子量測定条件−
デガッサ:ERC 3215アルファ(ショーデックス社製)
ポンプ:PU−2085plus(JASCO社製)
カラムオーブン:U−620 TYPE30(スガイケミ社製)
屈折率検出器:RISE−61(ショーデックス社製)
カラム:
Shodex Asahipak GF−1G 7B(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex Asahipak GF−7M HQ(分析カラム1本、ショーデックス社製)
展開溶媒:0.1M LiClOメタノール溶液
−ABA型トリブロックコポリマーの分子量測定条件−
デガッサ:ERC 3215アルファ(ショーデックス社製)
ポンプ:DP−8020(東ソー株式会社製)
カラムオーブン:CTO−10ASVP(株式会社島津製作所)
屈折率検出器:RI−8020(東ソー株式会社製)
カラム:
Shodex OHpak SB−G(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex OHpak SB−804HQ(分析カラム2本、ショーデックス社製)
展開溶媒:アセトニトリル:水(pH8、50mMリン酸)=10:90(体積比)
(合成例1)
<11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)の合成>
40.3gの11−アミノウンデカン酸と36gの水酸化ナトリウムとを1.5Lの脱イオン水に溶解し、そこへ56.6gのアクリロイルクロリドと0.1gの重合禁止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)との混合物を約15分間かけて滴下した。その後、室温で3時間攪拌し、続いて6N塩酸を用いてpHを約3に調整し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収し、回収物をアセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させ沈殿物を得た。得られた沈殿物を再度、吸引ろ過で回収し、減圧乾燥して11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)を得た。
(合成例2)
<連鎖移動剤(S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート)の合成>
27.4gのカーボンジスルフィド、107.5gのクロロホルム、52.3gのアセトン、2.29gの臭化テトラブチルアンモニウム及び120mLのミネラルスピリットの混合物をアルゴンで10分間脱気した。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で脱気後の混合物に50%水酸化ナトリウム水溶液を約90分間かけて滴下した後、約9時間攪拌した。続いて、900mLの脱イオン水を加えて、更に12M塩酸120mLを加えた。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で約30分間攪拌し、黄土色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収した。回収した回収物を50℃で減圧乾燥して得られた粗精製物を、アセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させて精製を行い、連鎖移動剤であるS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートを得た。
(合成例3)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」の合成>
RAFT重合により、ABA型トリブロックコポリマーを合成した。以下にその方法を示す。
−AaUの10量体の合成−
合成例1で得られたたAaU、合成例2で得られた連鎖移動剤(S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート)をAaUの5分の1当量、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を連鎖移動剤の10分の4当量を、メタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒としてH−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。重合物は、連鎖移動剤の両側にそれぞれ平均重合度が5で11−アクリルアミドウンデカン酸が重合した、AaUの10量体「AaU(10)」であった。
また、GPC測定による分子量分布(Mw/Mn)は、1.15であった。
−ABA型トリブロックコポリマーの合成−
得られたAaU(10)、ジメチルアクリルアミド(DMA)をAaU(10)の90モル倍、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)をAaU(10)中の連鎖移動剤の10分の4当量を、メタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。その後、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)にメタノール溶液を入れて16時間水で透析を行い、pH9に調整して更に6時間水で透析を行った。得られた溶液を濃縮し、更に凍結乾燥によりABA型トリブロックコポリマーを得た。
得られたABA型トリブロックコポリマーについて、重水を溶媒としたH−NMR測定を行い、DMA由来のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が900のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」であった。
また、GPC測定による分子量分布(Mw/Mn)は、1.17であった。
以後の実施例で用いるABA型トリブロックコポリマーは本合成例で得られたAaU(5)−DMA(900)−AaU(5)を用いた。
(実施例1)
記録液(水性インク組成物)は、以下のように調製した。
<ブラックインクの調製>
<<ブラック分散液(顔料分散液)>>
・カーボンブラック(NIPEX150、degussa社製) 10部
・テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO) 3部
(HLB14、日光ケミカルズ株式会社製)
・蒸留水 87部
上記組成を混合し、ビーズミルで1週間攪拌してブラック分散液(顔料分散液)を得た。得られたブラック分散液(顔料分散液)を用いて以下のインクを調製した。
<<インクの調製>>
・顔料分散液(顔料濃度10%) 50.0%
・グリセリン 25.0%
・トリエチレングリコール 15.0%
・硝酸テトラメチルアンモニウム 3.0%
・合成例3で得られたABA型トリブロックコポリマー 2.0%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル 0.9%
・デヒドロ酢酸ソーダ 0.1%
・蒸留水 残量
上記組成を混合した後、水酸化リチウムの5%水溶液によりpH9.1に調整し、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過して、水性インク組成物(ブラックインク)を得た。
<イエローインクの調製>
ブラックインクの調製において、カーボンブラック(NIPEX150、degussa社製)をピグメントイエロー74(大日精化工業株式会社製、エロー No.55)に代えた以外は、ブラックインクの調製と同様にして、イエローインクを調製した。
<マゼンタインクの調製>
ブラックインクの調製において、カーボンブラック(NIPEX150、degussa社製)をピグメントレッド122(大日精化工業株式会社製、レッド No.63)に代えた以外は、ブラックインクの調製と同様にして、マゼンタインクを調製した。
<シアンインクの調製>
ブラックインクの調製において、カーボンブラック(NIPEX150、degussa社製)をピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製、シアニンブルー A−043)に代えた以外は、ブラックインクの調製と同様にして、シアンインクを調製した。
(実施例2)
実施例1において、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)をモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)(HLB15、日光ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。
(実施例3)
実施例1において、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)
をポリオキシエチレンセチルエーテル(20EO)(HLB17、日光ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。
(比較例1)
実施例1において、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)をテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)(HLB11.5、日光ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。
(比較例2)
実施例1において、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)をテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(6EO)(HLB8.5、日光ケミカルズ株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。
(比較例3)
実施例1において、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)をノニオン性共重合体(BYK192、ビックケミー社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。
(実施例4)
実施例1において、硝酸テトラメチルアンモニウムを用いない以外は、実施例1と同様にして、各インク(ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク)を調製した。画像形成の際、紙面のpHはクエン酸水溶液で3に調製した。図6に記載の画像形成装置で画像を形成した。
<分散粒径の測定>
調製した水性インク組成物を顔料濃度0.5%に希釈調整したインク溶液にて分散粒径を測定(大塚電子社製、粒径アナライザー FPAR−1000)した。下記基準で評価した。結果を表1に示した。
〔評価基準〕
○:分散粒径が150nm未満
△:分散粒径が150以上170nm未満
×:分散粒径が170nm以上
<表面張力>
顔料濃度4%に調整した水性インク組成物の表面張力を表面張力計(PocketDyne、KRUSS社製)を用いて測定した評価を行った。下記基準で評価した。結果を表1に示した。
〔評価基準〕
○:表面張力が55mN/m以上
△:表面張力が52mN/m以上55mN/m未満
×:表面張力が52mN/m未満
表1中、*)の分散粒径は、電解質である硝酸テトラメチルアンモニウムを含有しない時の水性インク組成物の分散粒径である。
以上より、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)(HLB14)分散剤を用いた実施例1の水性インク組成物は、電解質を含有する系における顔料の分散粒径、表面張力ともに良好であった。モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)(HLB15)分散剤を用いた実施例2の水性インク組成物は、顔料の分散粒径がやや大きめであったが表面張力も高く維持されており良好であった。ポリオキシエチレンセチルエーテル(20EO)(HLB17)分散剤を用いた実施例3の水性インク組成物は、顔料の分散粒径が小さく、表面張力がやや低下したが、粘度上昇に影響しない。
一方、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)(HLB11.5)分散剤は、HLBも10以上で親水性はあるが顔料の分散がうまくできず分散粒径が大きくなってしまい吐出に不適な状態となった(比較例1)。テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(6EO)(HLB8.5)分散剤を用いた比較例2の水性インク組成物は、特許第3484187号公報の請求項1に記載の条件と同じ化合物を用いているが、他の種類の分散剤を含有しない本発明の系においては顔料を分散させることができなかった。比較例3のノニオン性共重合体は電解質中の分散安定性が悪く、また表面張力が低いためポリマーの増粘を阻害した。
<画像の評価結果>
図2に示した画像形成装置100を用いて、実施例1〜3、比較例3のブラックインクを使用して、画像評価を行った。なお、比較例1〜2は、電解質中で不安定なためインクとして調整できなかった。
画像形成装置100において、中間転写体37は、支持体37aが直径20mm、長さ250mmのアルミ素管であり、支持体37aの外周に導電層37bとして体積抵抗率が50Ω・cmの導電性シリコーンゴム層を0.2mmの厚みで形成したものであり、200mm/sで回転駆動させている。
転写ローラ38は、荷重20kgf/cmで中間転写体37に押し当てられており、中間転写体37に連れ回りする。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、ノズル板61dが金属で構成された、株式会社リコー製GX−5000に用いられているライン型記録ヘッドであり、中間転写体37とのギャップは約100μmで配置している。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、制御部98によって構成された圧電素子駆動手段により、中間転写体37表面に任意のパターンの記録液のドットを形成可能である。
記録液(水性インク組成物)によって中間転写体37上に形成されたドットは、中間転写体37と転写ローラ38との間に、転写紙Sとしての普通紙(type6200)を通紙することで、転写紙S表面に転写した。
制御部98によって構成された圧電素子駆動手段により、1ドットあたり10pLの記録液滴が3回重なるように記録液を吐出し、A1方向である副走査方向に約1インチ幅の連続した帯状領域に、主走査方向、副走査方向ともに600dpiのブラックインク網点を形成した。なお記録液の吐出時に流れる電流も計測した。
中間転写体37の駆動を途中で止め、中間転写体37上のブラックインク網点をデジタルマイクロスコープで観察してビーディング具合を評価した。
<評価結果>
実施例1〜3の水性インク組成物は、ビーディングが抑制されていた。比較例3の水性インク組成物は、ビーディングが生じていた。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
たとえば、pHの調整は、被記録体上の水性インク組成物に対して行ってもよい。ただし、上述の各形態のように、水性インク組成物が着弾するときにpHの調整が行われる構成のほうが、着弾時のビーディングに対して有利である。
中間転写体はローラ状でなく、無端ベルト状であってもよい。
また、本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、他のタイプの画像形成装置、すなわち、複写機、ファクシミリの単体、あるいはこれらの複合機、これらに関するモノクロ機等の複合機、その他、電気回路形成に用いられる画像形成装置、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であってもよい。
実施例4のインクを用いて図6の装置にて通電を行わないで紙面または中間転写媒体上にpH調整剤を塗布することによりインクの増粘を起こす系においても、ビーディングが抑制されておりインクの増粘効果が得られている。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 顔料と、水性溶媒と、ポリマーと、ノニオン性顔料分散剤とを含有する水性インク組成物であって、
前記ポリマーが、前記水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーであり、
前記水性インク組成物における前記顔料の分散粒径が、170nm未満であり、
前記水性インク組成物の表面張力が、52mN/m以上であることを特徴とする水性インク組成物である。
<2> ノニオン性顔料分散剤が、エチレンオキサイドを構成単位に有し、前記ノニオン性顔料分散剤のHLB値が、12.0以上である前記<1>に記載の水性インク組成物である。
<3> ノニオン性顔料分散剤が、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の水性インク組成物である。
<4> 電解質を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の水性インク組成物である。
<5> 水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーが、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有するABA型トリブロックコポリマーである前記<1>から<4>のいずれかに記載の水性インク組成物である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、Xは、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の水性インク組成物を吐出するノズルを有する記録ヘッドを有することを特徴とする画像形成装置である。
<7> 記録ヘッドによって水性インク組成物が付与される中間転写体と、
前記中間転写体に前記記録ヘッドによって付与された前記水性インク組成物のpHを変化させるpH制御手段と、
pHの変化によって粘度が変化した前記水性インク組成物を前記中間転写体から被記録体に転写する転写手段とを有する前記<6>に記載の画像形成装置である。
<8> 記録ヘッドが、水性インク組成物を中間転写体に付与するときに前記中間転写体との間で前記水性インク組成物の液柱を形成可能な距離で、前記中間転写体に対向して配設されており、
pH制御手段が、前記液柱に対して電圧を印加する電圧印加部材である前記<7>に記載の画像形成装置である。
10 搬送ユニット
20 給紙ユニット
21 給紙トレイ
22 給紙ローラ
23 筐体
25 排紙台
31 転写部
32 搬送ローラ
33 通電手段
33a 電源
34 レジストローラ
39 ガイド板
37 中間転写体
37a 支持体
37b 導電層
38 転写ローラ
39 ガイド板
40 クリーニング装置
50 pH処理部
51 ヘッド
52 pH調整剤収容部
53 吐出部
60Y、60M、60C、60BK インク吐出装置
61Y、61M、61C、61BK ヘッド
61a 導電性オリフィス
62 キャリッジ
70 圧力印加部
71、72 加圧ローラ
81Y、81M、81C、81BK インクカートリッジ
98 制御部
99 画像形成装置の本体
100画像形成装置
A アノード
B 液柱のブリッジ
C カソード
電気二重層
電気二重層
G 増粘部
S 転写紙
特開平11−10856号公報 特開2000−44855号公報 特開2000−63719号公報 特許第3484187号公報 米国特許第4538156号明細書 米国特許第5099256号明細書 特開2003−246135号公報 特開2002−370441号公報 特開2005−170036号公報 特開2003−82265号公報 特開2008−19286号公報

Claims (8)

  1. 顔料と、水性溶媒と、ポリマーと、ノニオン性顔料分散剤とを含有する水性インク組成物であって、
    前記ポリマーが、前記水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーであり、
    前記水性インク組成物における前記顔料の分散粒径が、170nm未満であり、
    前記水性インク組成物の表面張力が、52mN/m以上であることを特徴とする水性インク組成物。
  2. ノニオン性顔料分散剤が、エチレンオキサイドを構成単位に有し、前記ノニオン性顔料分散剤のHLB値が、12.0以上である請求項1に記載の水性インク組成物。
  3. ノニオン性顔料分散剤が、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の水性インク組成物。
  4. 電解質を含有する請求項1から3のいずれかに記載の水性インク組成物。
  5. 水性インク組成物のpHの変化によって前記水性インク組成物の粘度を変化可能なポリマーが、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有するABA型トリブロックコポリマーである請求項1から4のいずれかに記載の水性インク組成物。
    ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、Xは、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の水性インク組成物を吐出するノズルを有する記録ヘッドを有することを特徴とする画像形成装置。
  7. 記録ヘッドによって水性インク組成物が付与される中間転写体と、
    前記中間転写体に前記記録ヘッドによって付与された前記水性インク組成物のpHを変化させるpH制御手段と、
    pHの変化によって粘度が変化した前記水性インク組成物を前記中間転写体から被記録体に転写する転写手段とを有する請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 記録ヘッドが、水性インク組成物を中間転写体に付与するときに前記中間転写体との間で前記水性インク組成物の液柱を形成可能な距離で、前記中間転写体に対向して配設されており、
    pH制御手段が、前記液柱に対して電圧を印加する電圧印加部材である請求項7に記載の画像形成装置。
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