JP2015048223A - シート材の剥離方法および剥離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの厚みにばらつきがあっても、副資材を用いることなく、ワークを傷つけずに確実にシート材を剥離することを目的とする。
【解決手段】張り渡された弦1sをシート材92bと板材91との境目Pbから侵入させて、シート材92bの剥離部を形成する工程と、シート材92bの剥離部が形成された部分を掴み、シート材92bを板材91から全面剥離する工程と、を含み、剥離部を形成する工程では、弦1sを張り渡す弓状部1dを駆動して、弦1sを板材91の側端部に対向する所定位置に配置させる動作と、弦1sが板材91の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力Fで当たるように弓状部1dを面に平行な方向に駆動する動作と、押圧力Fを維持しながら弦1sが側端部に沿って境目Pbに達するまで移動するように弓状部1dを面に垂直な方向に駆動する動作と、を一連動作として順次実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば液晶パネルの偏光板の保護シートなどのように、板材の表面に貼付されているシート材の剥離方法および剥離装置に関するものである。
板材を保護するために貼付されているシート材には、サイズが板材よりも大きく、掴みしろのあるものと、サイズが板材と同等もしくは小さく、掴みしろのないものがある。シート自体の省資源では、掴みしろのないシート材の方が好ましいが、剥離のきっかけ(剥離部)を生成するために、粘着剤等の副資材が増加することがあった。
そこで、掴みしろのないシート材に対して副資材を用いずに、剥離部を生成するため、例えば、弾性を有する爪状の部材をワーク(板材に保護シートを張り付けた状態のもの)の端部に当てた状態で、上方に移動させてシートの端部に剥離部分を形成する剥離装置(例えば、特許文献1参照。)、ワーク面の端部近傍部分を押圧したり、プレートをシート材と板材の境目に侵入させたりする剥離装置(例えば、特許文献2参照。)、あるいは、ニードルをシート材に突き刺す剥離装置(例えば、特許文献3参照。)等が考案されてきた。
特開2000−247537号公報(段落0026、図8) 特開2005−17444号公報(段落0008〜0009、図1〜図2、段落0022〜0024、図9) 特開2011−131954号公報(段落0020〜0023、0028〜0033、図1〜図5)
しかしながら、いずれの手法もワーク(板材部分)を傷つけずに剥離部を形成することが難しいという問題を抱えている。例えば、特許文献1や2では、爪状の部材や剛体をワークに押しあてているが、剥離を生じやすくするために押圧力を大きくしていくと、ワークに傷をつける恐れがある。また、特許文献3においても、剥離を生じやすくするためには、ニードルを深く突き刺す必要があり、ワークに傷をつける恐れがある。とくに、プレートを境目部分に侵入させたり、ニードルを突き刺したりする場合には、板材とシート材の境目部分の高さや深さを正確に把握しなければ、ワークを傷つけずに剥離部を生じさせることは困難であった。
この発明は、掴みしろのないシート材に対し、ワークの厚みにばらつきがあっても、副資材を用いることなく、ワークを傷つけずに確実にシート材を剥離することができるシート材の剥離方法および剥離装置を得ることを目的としている。
本発明にかかるシート材の剥離方法は、表面にシート材が貼付された板材から前記シート材を剥離する方法であって、前記板材を保持する工程と、張り渡された弦を前記シート材と前記板材との境目から侵入させて、前記シート材の剥離部を形成する工程と、前記シート材の剥離部を掴み、前記シート材を前記板材から全面剥離する工程と、を含み、前記剥離部を形成する工程では、前記弦を張り渡す弓状部を駆動して、前記弦を前記板材の側端部に対向する所定位置に配置させる動作と、前記弦が前記側端部のうち前記板材の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力で当たるように前記弓状部を前記表面に平行な方向に駆動する動作と、前記押圧力を維持しながら前記弦が前記側端部に沿って前記境目に達するまで移動するように前記弓状部を前記表面に垂直な方向に駆動する動作と、を一連動作として順次実行することを特徴とする。
本発明にかかる剥離装置は、表面にシート材が貼付された板材から前記シート材を剥離する剥離装置であって、前記板材を保持する保持部と、弦が張り渡されるとともに、前記弦が前記板材の側端部に対向する所定位置から、前記側端部のうち前記板材の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力で当たるように前記表面に平行な方向に駆動したのち、前記押圧力を維持しながら前記弦が前記側端部に沿って前記シート材と前記板材との境目に移動するように前記表面に垂直な方向に駆動するように構成された弓状部を有し、前記弦を前記境目から侵入させて、前記シート材に剥離部を形成する剥離部形成部と、前記シート材の剥離部を掴み、前記シート材を前記板材から全面剥離する全面剥離部と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、弦を所定押圧力で押し当てた状態で、ワークの側端部に沿って保護シートと板材との境目まで移動させるようにしたので、ワークの厚みにばらつきがあっても、副資材を用いることなく、ワークを傷つけずに確実にシート材を剥離することができる。
本発明の実施の形態1にかかる剥離装置の構成を説明するための側面図である。 本発明の実施の形態1にかかる剥離装置の構成を説明するための底面図である。 本発明の実施の形態1にかかる剥離装置を前下方から見たときの斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するための工程ごとの状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態1にかかる剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態2にかかる剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するための工程ごとの状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態2の他の例にかかる剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するためのある工程での状態を示す側面図である。
実施の形態1.
図1〜図5は、本発明の実施の形態1にかかるシート材の剥離方法および剥離装置について説明するためのもので、図1は剥離装置の剥離部を形成する部分近傍の側面図、図2は剥離装置の剥離部を形成する部分近傍の底面図、図3は剥離装置の剥離部を形成する部分を前下方から見たときの斜視図、図4(a〜e)は剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するための工程ごとの剥離装置及びワークの状態を示す側面図、図5は剥離装置の動作、およびシート材の剥離方法を説明するためのフローチャートである。
本発明の実施の形態1にかかる剥離装置10は、図1〜図3に示すように、シート材92が貼付された板材91(まとめてワーク90)を保持するためのワーク保持部3と、ワーク保持部3に保持されたワーク90に対して、シート材92の剥離部を形成するための剥離部形成部1と、剥離部形成部1が形成した剥離の起点となる剥離部をもとに、ワーク90(厳密には板材91)からシート材92を全面的に剥離する全面剥離部2とを備えたものである。なお、剥離動作では、剥離部形成部1や全面剥離部2は、ワーク90の面に平行な方向において、基本的に辺に対して45度の角度(対角線方向:図中x方向)で、ワーク90の角(側端部)からワーク90内に進行するように移動する。以下、詳細に説明する。
剥離部形成部1は、張り渡した弦1sをワーク90に押し付けることで剥離部を形成するものであり、弦1sを自重で垂れない程度に張り渡すとともにその位置を調整して、ワーク90に対して押圧力Fを発生させるように駆動する弓状部1dと、弓状部1dの弦1sを張り渡す両端(根元)部分に、弦1sと弓状部1dとを繋ぐように設けられ、押し付け力を管理するために弦1sの張力を測定する張力測定部1mとを備えている。
弦1sとして、本実施の形態では、極細のピアノ線を適用したが、ワーク90(板材91)やシート材92の材質に合わせて好適な材質と太さに変更してよい。また、張力測定部1mは、測定された張力の時間変化を図示しない計算機に出力できるものを用いる。図3では弓状部1dの弦1sを張り渡す両端に張力測定部1mを配置している例を示しているが、実際に張力を測定する機器は片側のみに設置しても構わない。また、本実施の形態では、弦1sのワーク90への押圧力を後述するように弦1sの張力から算出するようにしているが、それに限ることはなく、弓状部1dにかかる力を測定し、その力から押圧力Fを算出するようにしてもよい。
弓状部1dは、弦1sが繋がれた張力測定部1mをワーク90の面に平行な方向における進行方向(図中のx方向)とワーク90の厚み方向(図中z方向)に移動させることができるように構成されている。張力測定部1m(弦1sの根元)の座標は、図示しない座標測定手段によって知ることができるものとする。座標測定手段は、目盛り付き測定器具でも、電子的な測定手段でもいずれでも構わないが、座標を上述した押圧力Fの算出に用いる場合は、測定結果を計算機に出力できる機能が必要となる。
全面剥離部2は、シート把持部2cと、シート把持部2cをワーク90の辺に対して45度のライン(あるいは対角線(図中、x方向))上のシート材92の全面を剥離するのに十分な距離を駆動する全面駆動部2d(図では途中部分までを示す。)により構成される。ここでは、シート把持部2cとして機械式把持を用いたものを示す。シート把持部2cは、シート材92を把持するため、先端部分をワーク90の厚み方向(図中z方向)で駆動する機能も有するものとする。
ワーク保持部3は、掴みしろがないシート材92が貼り付けられたワーク90を位置決め保持するためのもので、基本的には、ワーク90を保持面3fに対して固定し、保持する為のステージである。ワーク90の保持方式としては、吸着保持、粘着保持、機械式把持など、ワーク90が固定できればいずれでも構わない。また、保持面3fには、ワーク90の角部をセットする基準位置を示す基準マーク3pが記されている。
基準マーク3pの位置も、上述した座標測定手段によって表すようにしている。基準マーク3pの位置は剥離装置10に対して常に固定されているので、ここを座標測定手段の原点とすることが望ましい。基準マーク3pの位置は、弦1sを押し当てるワーク90の角部をセットする基準である。したがって、ワーク保持部3に対して弦1sが平行に保たれている限りは、ワーク90と弦1sの接点は、基準マーク3pと張力測定部1m(弦1sの根元)の座標から求めることができる。以上より、シート材初期剥離時の弦1sの形は、左右の張力測定部1m(弦1sの根元と繋がっている)とワーク90と弦1sの接点の3点の座標より一意に求めることができる。
そして、後述する弦1sからワーク90に働く押圧力Fは、張力測定部1mで測定した弦1sの張力Tと、角部(側端部)、弦1sの両根元部分(張力測定部1m)の3点の座標より求めた弦1sの形から求める。具体的には、シート材92aの剥離を続ける間、張力Tのデータおよび2つの張力測定部1mの位置データが、上述した計算機にリアルタイムで出力され、計算機はそれらのデータから算出した押圧力Fおよびその経時的変化に基づいて、剥離動作の制御を行う。
つぎに、上述した剥離装置10を用いてシート材92を剥離する方法について図4の工程ごとの側面図、および図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図4では、対象となるワーク90には、被保護部材である板材91の両面に掴みしろのないシート材92a、92bがそれぞれ貼付されている場合を示しており、シート材92bを剥離対象とした場合について説明する。なお、説明においては、ワーク90の厚み方向であるz方向を垂直方向、ワーク90の面に平行な方向のうち、剥離動作における進行方向であるx方向を水平方向と称する。その際、図4(a〜e)では、弦1sとワーク90との位置関係を説明するため、剥離部形成部1については、弦1sのワーク90の辺に対する45度のラインによる切断面部分のみを示し、他の部分は記載を省略している。
はじめに、図4(a)に示すように、シート材92a側を保持面3fに向け、角部が基準マーク3pに一致するように、ワーク90をワーク保持部3の所定位置に設置(保持)する(ステップS10)。そして、弦1sの初期位置として、水平方向で角部から所定距離離れ、垂直方向でワーク90の板材91の厚み部分の中間部分の位置に移動させる(ステップS20)。さらに、弦1sをワーク90に向けて水平移動させて角部にあて、所定押圧力Fdに到達するまで、水平移動を継続する(ステップS30〜S40)。
なお、所定押圧力Fdは、予め試験により求めておいた、剥離部の形成に必要な押圧力Fr以上で、かつワーク90に傷が発生する押圧力Fiよりも小さな値になるように設定(Fr≦Fd<Fi)されている。そして、以降の工程においても、Fiを超えないように弓状部1dの動作を制御することで、ワーク90を傷つけることなく剥離をおこなうことができる。
つぎに、水平方向の位置を維持したまま、押圧力Fが所定値Fs以下になるまで、図4(b)に示すように、弦1sが保持面3fから離れる方向、つまり板材91部分から剥離対象のシート材92b部分に向けて垂直方向に移動するように、弓状部1dを駆動する(ステップS50〜S60)。
弓状部1dの垂直方向への移動につられ、弦1sのワーク90の角部に接する部分も、垂直方向に移動するが、板材91に当たっている間は、押圧力F(張力T)は変化しない。しかし、弦1sは所定押圧力Fdでワーク90の角部に押し当てられながら垂直方向に移動する。そのため、図4(c)に示すように板材91の部分から板材91とシート材92bの境目Pbに到達すると、弦1sはシート材92bと板材91との境目Pbから内部に向けて侵入し、張力(押圧力F)が低下することになる。
このとき、図示しない計算機は、押圧力Fの変動パターンとして、張力Tの経時的変化を解析して剥離部の形成が成功したか否かを判断する(ステップS70〜S80)。具体的には、弦1sが板材91との境目Pbから内部に向けて侵入したときの変動パターンの条件を予め記録しておき、取得された変動パターンが記録された条件と合致するか否かにより、剥離部の形成が成功したか否かを判断する。
例えば、弦1sが垂直方向に移動している(ステップS50)際、板材91の角部に当たっている間は、張力T(押圧力)変化がほとんどなく、張力(押圧力F)はFdに近い値を持続する。そして、成功時には、弦1sが板材91との境目Pbから内部に侵入するので、張力T(押圧力F)はFs以下の値になだらかに減少する。一方、失敗時には、弦1sが境目Pbを超えてシート材92b側に移行し、さらにシート材92bを超えて空振りしてしまい、張力がFs以下の値に急激に減少する。つまり、張力T(押圧力F)がFs以下に低下する際の時間当たりの変化量が閾値以下であれば成功(ステップS80で「Y」)、閾値以上であれば失敗(ステップS80で「N」)というように判断することができる。
失敗の場合は、ステップS20に戻り、再トライする。成功の場合は、図4(d)に示すように、弦1sの水平方向の移動距離が所定値に達するまで、弓状部1dを水平方向に移動する(ステップS90〜S100)。このとき、シート把持部2cで把持できる程度まで、弦1sの侵入範囲、つまり、剥離部が拡大される。
上記のように剥離部が必要範囲まで拡大されると、全面剥離工程(ステップS200)として、図4(e)に示すように、剥離部部分をシート把持部2cで把持し、シート把持部2cをワーク90の他端側まで水平方向に移動するように全面駆動部2dを駆動する。これにより、シート材92bが板材91から全面剥離される。
上述したシート材(シート材92)の剥離方法あるいは剥離装置10によれば、掴みしろのないシート材92の剥離部の形成の際にワーク90に働く押圧力Fを、ワーク90に傷が発生する押圧力Fi未満となるように、制御できるので、ワーク90を傷つけずに剥離部を形成することが可能である。とくに、押圧力Fは、張力測定部1mにより計測された張力Tと座標測定手段により求められた弦1sの形から導出できるので、図示しない計算機(コンピュータ)により、弓状部1dの移動速度(初期剥離速度)および位置の調整により、所望の押圧力Fに制御できる。
このとき、従来例の例えば特許文献2に開示された方法のうちの、ワーク面の端部近傍部分を押圧する方法と異なり、本実施の形態および後述する各実施の形態では、ワーク90に向かう力は、保護すべき面ではなく、ワーク90の側端部に向かう。そのため、剥離部形成の安定性とワークの傷発生率の間のトレードオフの関係を弱める効果も有する。
また、例えば、特許文献2に開示された方法のうちの、プレートを境目部分に侵入させる方法と異なり、本実施の形態および後述する各実施の形態では、弦1sがワーク90の側端部上を板材91の部分から境目Pbに向かって、連続して移動するように構成している。そのため、ワークのバラツキによって、境目Pbの位置(とくに厚み)が変化しても、シート材92よりも圧倒的に厚みの厚い板材91に弦1sを押し付けることができ、空振りするような事態を回避できる。そして、無為に板材91を押圧し続けるような事態も回避できる。
そのため、トライアル当たりの剥離部の形成率が向上するのはもちろんのこと、例えば、ステップS80で失敗したことが判明したとしても、パラメータ(特許文献2におけるプレートの垂直位置)を再調整する必要なく、容易に再トライアルが行える。このことは、ワークに応じてワークの高さを測定したり、調整したりする機構を省略することにつながり、工程や装置の簡略化にも貢献する。
つまり、従来の剥離方法や剥離装置では、剥離部を確実に形成させられる保証はないにもかかわらず、剥離部形成の成否を確認できず、効率よく剥離を行うことが困難であった。しかし、本実施の形態および後述する各実施の形態にかかるシート材の剥離方法および剥離装置10では、剥離部形成の成功率が高まるとともに、成否判断も容易にでき、確実に剥離を行うことができる。
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる剥離装置10によれば、表面にシート材92bが貼付された板材91からシート材92bを剥離する剥離装置10であって、板材91(シート材92を含めるとワーク90)を保持するワーク保持部3と、弦1sが張り渡されるとともに、弦1sが板材91の側端部に対向する所定位置から、前記側端部のうち板材91の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力Fで当たるように前記表面に平行な方向に駆動したのち、押圧力Fを維持しながら弦1sが前記側端部に沿ってシート材92bと板材91との境目Pbに移動するように前記表面に垂直な方向に駆動するように構成された弓状部1dを有し、弦1sを境目Pbから侵入させて、シート材92bに剥離部を形成する剥離部形成部1と、シート材92bの剥離部を掴み、シート材92bを板材91から全面剥離する全面剥離部2と、を備えるように構成したので、ワーク90の厚みにばらつきがあっても、板材91を傷つけることがなく、弦1sを確実に境目Pbに侵入させることができるので、副資材を用いることなく、ワーク(板材91)を傷つけずに確実にシート材92bを剥離することができる。
とくに、前記所定位置に弦1sを配置してからの弓状部1dの一連の駆動における押圧力Fの経時的変化に基づいて、剥離部が形成されたか否かを判定する起点形成状況判定部(図示しない計算機)を備えるように構成したので、剥離部の成否を把握することができる。
また、剥離部形成部1は、剥離部が形成されたと判定されるまで、一連の駆動を繰り返すように構成したので、より確実に剥離部を形成できる。また、一連の駆動を繰り返す際にシート面の位置を調整したりする必要もないので、容易に剥離部形成の成功率を向上させることができる。
また、弦1sの張力を測定する張力測定部1mを有し、測定した張力から押圧力Fを算出(例えば、起点形成状況判定部)するようにしたので、押圧力Fだけでなく、弦1sの状態も把握することができる。
また、本実施の形態1にかかるシート材92bの剥離方法によれば、表面にシート材92bが貼付された板材91からシート材92bを剥離する方法であって、板材91(シート材92を含めるとワーク90)を保持する工程と、張り渡された弦1sをシート材92bと板材91との境目Pbから侵入させて、シート材92bの剥離部を形成する工程と、シート材92bの剥離部が形成された部分を掴み、シート材92bを板材91から全面剥離する工程と、を含み、剥離部を形成する工程では、弦1sを張り渡す弓状部1dを駆動して、弦1sを板材91の側端部に対向する所定位置に配置させる動作と、弦1sが板材91の厚さ方向における中間部分の側端部(角部)に所定の押圧力Fで当たるように弓状部1dを前記面に平行な方向に駆動する動作と、押圧力Fを維持しながら弦1sが側端部に沿って境目Pbに達するまで移動するように弓状部1dを前記面に垂直な方向に駆動する動作と、を一連動作として順次実行するように構成したので、ワーク90の厚みにばらつきがあっても、板材91を傷つけることがなく、弦1sを確実に境目Pbに侵入させることができるので、副資材を用いることなく、ワーク(板材91)を傷つけずに確実にシート材92bを剥離することができる。
とくに、一連動作における押圧力Fの経時的変化に基づいて、剥離部が形成されたか否かを判定する起点形成状況判定工程を含むように構成したので、剥離部の成否を把握することができる。
また、剥離部を形成する工程では、起点形成状況判定工程により剥離部が形成されたと判定されるまで、一連動作を繰り返すように構成したので、より確実に剥離部を形成できる。また、一連動作を繰り返す際にシート面の位置を調整したりする必要もないので、容易に剥離部形成の成功率を向上させることができる。
実施の形態2.
本実施の形態2にかかる剥離装置では、上記実施の形態1にかかる剥離装置に、全面剥離にスムーズに移行するための補助動作を行う剥離補助部を追加したものである。図6(a〜c)は、本発明の実施の形態2にかかる剥離装置の構成およびシート材の剥離方法について説明するためのもので、剥離部が形成されてから全面剥離に移行する際の工程ごとの剥離装置及びワークの状態を示す側面図である。また、図7は本実施の形態2にかかる剥離装置を用い、図6(a)に対応する工程において、剥離部が形成された時の状況が異なる場合の状態を示す側面図である。図中、実施の形態1と同様のものには同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態2にかかる剥離装置10には、シート材92bの剥離部が形成された部分を板材91から垂直方向に引き離す剥離補助部4を設けるようにした。剥離補助部4は、シート材92bの剥離部が形成された部分を、シート把持部2cでの把持が容易になる程度に板材91から離すためのものである。具体的には、図6(a)に示すように、シート面を吸着あるいは粘着等によって捕捉する捕捉面4aを垂直方向に駆動できるように構成している。なお、剥離補助部4は水平方向にも駆動できるように構成している。
そして、上記のような構成を備えることで、例えば、剥離部を形成した際に、シート材92bの端部が再び板材91側に接してしまったような場合でも、以下に示すようにして剥離を行うことができる。はじめに、図6(a)に示すように、シート材92bの剥離部が形成された部分に捕捉面4aが当たるよう、剥離補助部4を保持面3fに向かって駆動させる。
そして、捕捉面4aがシート材92bを捕捉したまま剥離補助部4を保持面3fから離れる方向に駆動すると、図6(b)に示すように、板材91に接しているシート材92bの端部を、板材91から離すことができる。このようにして、シート把持部2cの掴みしろが確保できたら、図6(c)に示すようにシート材92bの端部をシート把持部2cで把持し、捕捉面4aをシート材92bから離す。これにより、実施の形態1で説明したように、全面剥離工程(ステップS200)に移行することができる。
なお、上記例では、弦1sが境目Pbから侵入した後に、端部が板材91側に接触してしまう場合について説明したが、剥離補助部4は、弦1sがシート材92bと板材91との間に侵入できなかった場合でも効果を発揮する。例えば、弦1sが境目Pbを通り越してしまった場合でも、図7に示すように、シート材92bの端面を押して、端面周辺を撓ませることができれば、撓んだ部分を剥離補助部4により捕捉して板材91から離反させることができる。これにより、シート把持部2cの掴みしろを確保し、スムーズに全面剥離に移行することができる。
なお、剥離補助部4でのシート材92bの捕捉を、粘着機構で行う場合でも、剥離部を形成するために用いるのとは異なり、強力な粘着を必要としないので、捕捉面4aを付け替える必要はなく、副資材が必要になるわけではない。
以上のように、本発明の実施の形態2にかかる剥離装置10によれば、全面剥離部2での剥離部が形成された部分を掴む成功率が低い場合や、弦1sが掴みしろのないシート材92bと板材91の境目Pbに侵入することができない場合であっても、板材91を傷つけずにシート材92bを剥離することが可能である。また、起点形成状況判定部(図示しない計算機)で剥離部の成否だけではなく、形成の度合いを判定させるようにし、その判定結果に応じて、剥離補助部4の使用を判断させるようにすれば、効率よくシート材92bの剥離を実施できる。
実施の形態3.
本実施の形態3にかかる剥離装置では、全面剥離において、把持ではなく、吸着保持や粘着保持により、剥離部を形成した部分を掴むようにしたものである。この構成によれば、剥離補助部4から全面剥離部2への切り替えが不要となるので、実施の形態2の効果に加え、さらに効率的に掴みしろのないシート材92を剥離できるという利点がある。なお、把持の代わりに粘着機構で行う場合でも、剥離部を形成するために用いるのとは異なり、強力な粘着を必要としないので、副資材が必要になるわけではない。
実施の形態4.
本実施の形態4にかかる剥離装置では、弦がワークの側端部に沿ってスムーズに移動できるよう、弦の根元部分に回転機構を設けたものである。具体的には、弦1sが移動する際に、弦1sと側端部との摩擦により回転できるように、張力測定部1mに糸回転機構を設けたものである。糸回転機構としては、例えば、張力測定部1mに、図示しないベアリングを組み込む構成が考えられる。
剥離部を形成する工程において、弦1sを鉛直方向に移動させる際(ステップS50、図4(b)〜図4(c))、弦1sとワーク90との摩擦が大きい場合、あるいはワーク90の側端部の平面度が粗い場合に、弦1sがワーク90の側端部に引っ掛かることが考えられる。しかし、この構成によれば、弦1sと側端部との間に引っ掛かりが発生したとしても、弦1sが回転することで、スムーズに弦1sを境目Pbに向けて鉛直方向に移動させることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5にかかる剥離装置では、弦がワークの側端部に沿ってスムーズに移動できるよう、弦を振動させる振動機構を設けたものである。具体的には、弦1sの根元である張力測定部1mに、偏芯したおもりをつけたモーターの回転による遠心力によって振動を発生させるという構成が考えられる。
この構成によれば、弦1sが微小に振動しているので、弦1sと側端部との間に引っ掛かりが発生したとしても、スムーズに弦1sを境目Pbに向けて鉛直方向に移動させることができる。さらに、弦1sが板材91とシート材92bとの境目Pbに達した際に、板材91とシート材92bの間に侵入するための推進力を得ることもできる。
つまり、上記実施の形態4に示す回転機構あるいは、実施の形態5に示す振動機構は、弦1sのワーク90の側端部に沿った移動を補助するための弦移動補助機構と言うことができ、弦移動補助機構を備えたことで、より剥離部を形成する成功率がさらに高まる。
実施の形態6.
本実施の形態6にかかる剥離装置では、剥離部を容易に形成するため、弦を発熱体で構成したものである。具体的には、弦1sを電熱線のような発熱体で構成するとともに、弦1sに電流を流す機構を設け、剥離部を形成する際に弦1sを所定の温度に昇温できるようにしたものである。
この構成によれば、弦1sがワーク90の側端部を押圧している間、弦1sから発せられる熱がシート材92bと板材91に伝わる。そのため、例えば、シート材92bと板材91に、高温の場合、傷ができにくいという温度依存性がある場合に、板材91を傷つけずに、シート材92bを剥離することが、より安定的に実行できる。
1:剥離部形成部、 1d:弓状部、 1s:弦、 1t:張力測定部、 2:全面剥離部、 2c:シート把持部、 2d:全面駆動部、回路基板、 3:ワーク保持部、 3f:保持面、 3p:基準マーク、 4:剥離補助部、 4a:吸着面、 10:剥離装置、 90:ワーク、 91:板材、 92:シート材、
F:押圧力、 Fr:剥離部形成に必要な押圧力、 Fi:板材に傷を発生させる押圧力、 Pb:シート材と板材との境目。

Claims (8)

  1. 表面にシート材が貼付された板材から前記シート材を剥離する剥離装置であって、
    前記板材を保持する保持部と、
    弦が張り渡されるとともに、前記弦が前記板材の側端部に対向する所定位置から、前記側端部のうち前記板材の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力で当たるように前記表面に平行な方向に駆動したのち、前記押圧力を維持しながら前記弦が前記側端部に沿って前記シート材と前記板材との境目に移動するように前記表面に垂直な方向に駆動するように構成された弓状部を有し、前記弦を前記境目から侵入させて、前記シート材に剥離部を形成する剥離部形成部と、
    前記シート材の剥離部を掴み、前記シート材を前記板材から全面剥離する全面剥離部と、
    を備えたことを特徴とする剥離装置。
  2. 前記所定位置に前記弦を配置してからの前記弓状部の一連の駆動における前記押圧力の経時的変化に基づいて、前記剥離部が形成されたか否かを判定する起点形成状況判定部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
  3. 前記剥離部形成部は、前記剥離部が形成されたと判定されるまで、前記一連の駆動を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の剥離装置。
  4. 前記弦の張力を測定する張力測定部を有し、
    前記張力から前記押圧力を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の剥離装置。
  5. 前記弦の前記側端部に沿った移動を補助するための弦移動補助機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の剥離装置。
  6. 表面にシート材が貼付された板材から前記シート材を剥離する方法であって、
    前記板材を保持する工程と、
    張り渡された弦を前記シート材と前記板材との境目から侵入させて、前記シート材の剥離部を形成する工程と、
    前記シート材の剥離部を掴み、前記シート材を前記板材から全面剥離する工程と、を含み、
    前記剥離部を形成する工程では、
    前記弦を張り渡す弓状部を駆動して、前記弦を前記板材の側端部に対向する所定位置に配置させる動作と、
    前記弦が前記側端部のうち前記板材の厚さ方向における中間部分に所定の押圧力で当たるように前記弓状部を前記表面に平行な方向に駆動する動作と、
    前記押圧力を維持しながら前記弦が前記側端部に沿って前記境目に達するまで移動するように前記弓状部を前記表面に垂直な方向に駆動する動作と、を一連動作として順次実行することを特徴とするシート材の剥離方法。
  7. 前記一連動作における前記押圧力の経時的変化に基づいて、前記剥離部が形成されたか否かを判定する起点形成状況判定工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のシート材の剥離方法。
  8. 前記剥離部を形成する工程では、
    前記起点形成状況判定工程により、前記剥離部が形成されたと判定されるまで、前記一連動作を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のシート材の剥離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016018839A (ja) * 2014-07-07 2016-02-01 凸版印刷株式会社 剥離きっかけ作製装置及び方法

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