JP2015047126A - 高圧抽出液を用いたコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焙煎コーヒー豆を加圧抽出して得られる高圧抽出液と、前記焙煎コーヒー豆とは異なる焙煎コーヒー豆を常圧抽出して得られる大気圧抽出液とを、高圧抽出液由来の可溶性固形分:大気圧抽出液由来の可溶性固形分が、90:10〜40:60の割合となるように混合する工程を含む、コーヒー飲料の製造方法。パルミチン酸カーウェオールとパルミチン酸カフェストールの総量が0.3mg/kgである高圧抽出液。
【選択図】なし
Description
1.焙煎コーヒー豆を加圧抽出して得られる高圧抽出液と、
前記焙煎コーヒー豆とは異なる焙煎コーヒー豆を常圧抽出して得られる大気圧抽出液とを、
高圧抽出液由来の可溶性固形分:大気圧抽出液由来の可溶性固形分が、90:10〜40:60の割合となるように混合する工程を含む、
コーヒー飲料の製造方法。
2.高圧抽出液が、コーヒー脂質の低減処理されたものであり、高圧抽出液における(A)パルミチン酸カーウェオール及び(B)パルミチン酸カフェストールの総量[(A)+(B)]が0.3mg/kg以下である、上記1に記載の方法。
本工程では、焙煎コーヒー豆を大気圧よりも高い圧力条件下で100℃の水を加圧することにより、100℃を越える熱水、具体的には100℃より高く230℃以下の熱水で抽出する。抽出水の温度は、100℃より高く200℃以下が好ましく、110℃以上190℃以下がより好ましく、120℃以上180℃以下がさらに好ましい。この温度の抽出水を供給するには、耐圧性の抽出機を用い、密閉状態において抽出水を1.0〜17.0kg/cm2、好ましくは2.0〜11.0kg/cm2の加圧で達成できる。
抽出は公知の方法により行うことができるが、アロマの劣化を防ぐために抽出水の保持時間を短くするのが好ましい。例えば、長いカラム型の抽出機を用いて高圧抽出液を得る場合、カラム内を通過する抽出液の速度は、0.15〜0.30m/分程度に速くするのが好ましい。
本工程では、工程1)で使用した焙煎コーヒー豆とは異なる焙煎コーヒー豆を常圧抽出して大気圧抽出液を得る。ここで、工程1)で使用した焙煎コーヒー豆と異なる焙煎コーヒー豆とは、工程1)で使用した焙煎コーヒー豆とコーヒー豆の種類が完全一致しないもの、ブレンド豆の場合はそのブレンド比率が異なるもの、焙煎度合いが異なるものなどをいう。工程1)で使用した焙煎コーヒー豆と異なるものであれば、コーヒー豆の種類は特に制限されないが、快い豊富な芳香成分をより多く回収するためにアラビカ種の豆を含むことが好ましく、具体的には、アラビカ種の豆を豆全体に対して40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上含むことが好ましい。また、コーヒー豆の粉砕は、中挽き及び/又は細挽き程度にすることが好ましい。具体的には、平均粒子径が0.5〜2mm、好ましくは1〜2mm程度の粉砕である。
抽出には、公知の装置および方法を用いることができるが、抽出水の温度は、70〜100℃が好ましく、75〜100℃がより好ましく、80〜95℃がさらに好ましい。また、アロマ成分に富んだ抽出液を得るために、抽出水の保持時間を長くすることが好ましい。例えば、長いカラム型の抽出機を用いて大気圧抽出液を得る場合、カラム内を通過する抽出液の速度は、0.03〜0.3m/分、好ましくは0.03〜0.15m/分、より好ましくは0.06〜0.15m/分とする。
本工程では、工程1)で得られた高圧抽出液と工程2)で得られた大気圧抽出液とを混合する。高圧抽出液と大気圧抽出液との混合割合は、製品に含まれるRIとして、90:10〜40:60、好ましくは80:20〜40:60とするのが好ましい。この範囲で混合すると、香味に優れているのはもちろん、香りとコクのバランスがとれ、しかも不快な沈殿物の発生もないコーヒー飲料を製造することができる。ここで、RI(可溶性固形分)は、屈折率計や糖度計を用いて、例えば、Brix値として測定することができる。
工程3において混合した抽出液は、常法によって調合、殺菌し、容器に充填することによって、容器詰めコーヒー飲料となる。例えば、コーヒー抽出液に必要に応じて、甘味成分(糖類、高甘味度甘味料など)、乳成分(牛乳、脱脂粉乳、クリームなど)、香料、pH調整剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム)及び各種添加剤(乳化剤、安定剤など)を添加して調合液を得、加熱殺菌処理を行う。調合液の殺菌方法としては、高温で短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法(UHT殺菌法)と、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法とがあり、いずれの方法を用いてもよいが、本発明の製造方法は、特にレトルト殺菌を伴うコーヒー飲料の製造において効果的である。殺菌条件は、コーヒー飲料の調合液の特性、及び用いる容器に応じて適宜設定すればよいが、UHT殺菌法の場合、通常120〜150℃で1〜120秒間程度、好ましくは130〜145℃で30〜120秒間程度の条件であり、レトルト殺菌法の場合、通常110〜130℃で10〜30分程度、好ましくは120〜125℃で10〜20分間程度の条件である。充填される容器は、殺菌方法や保存方法に合わせて適宜選択すればよく、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、紙容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。
〔使用機種〕
・MS:4000QTRAP(AB Sciex社製)
・LC:1290Infinity(Agilent Technologies社製)
〔LC条件〕
・移動相:(A)0.1%ギ酸水溶液、(B)エタノール
・流速:0.4ml/分
・グラジエント条件:0−1分(80%B)、1−5分(80−100%B)、5−7.5分(100%B)、初期移動相による平衡化2.5分
・カラム:Agilent Technologies社製 Zorbax Eclipse Plus RRHD C18 1.8μm 2.1×150mm
・カラム温度:45℃
・導入量:1μl
〔MS条件〕
・イオン源:Heated Nebulizer
・CUR:20
・CAD:Medium
・NC:5
・TEM:400
・GS1:40
・ihe:ON
・切り替えバルブ条件:カラムを通過した移動相のうち、4.5〜5.8分のみをMSに導入した
〔MRM条件〕
・パルミチン酸カーウェオール:535.41→279.17(Q1→Q3)
・パルミチン酸カフェストール:537.43→281.19(Q1→Q3)
・DP:95
・EP:10
・CE:21
・CXP:12
本実施例においては、上記条件でパルミチン酸カーウェオール標準品(MP Biomedicals社製)およびパルミチン酸カフェストール標準品(LKT Labs社製)を分析して検量線をあらかじめ作成し、試料中のパルミチン酸カーウェオールおよびパルミチン酸カフェストールを定量した。上記条件におけるパルミチン酸カーウェオールの溶出時間は5.1分、パルミチン酸カフェストールの溶出時間は5.2分であった。
工程1:カラム型の密閉可能な抽出機内に、粗挽き(平均粒子径が2〜3mm程度)に粉砕した焙煎コーヒー豆(ブラジルアラビカ:45%、ブラジルロブスタ:55%)を投入し、温水を投入して抽出機内の圧力を上昇させ、140℃の温水で抽出して抽出液を得た。この抽出液を焙煎コーヒー豆の粉砕物を積層させたカラムに通液して、抽出液中のコーヒー脂質を低減したコーヒーエキスを得、冷却後、一晩静置して遠心分離処理して、高圧抽出液を得た。高圧抽出液中のパルミチン酸カーウェオールおよびパルミチン酸カフェストール含量は、それぞれ0.004mg/kgおよび0.004mg/kgであり、その総量は約0.01mg/kgであった。
高圧抽出液を以下に変える以外は、実施例1と同様にして容器詰めコーヒー飲料を製造した。
上記工程1’で得られた高圧抽出液と実施例1の大気圧抽出液とを混合し、高温殺菌して得られたコーヒー飲料は、高圧抽出液:大気圧抽出液の混合割合(RI換算)が、90:10〜40:60、好ましくは80:20〜40:60の場合に、芳香性と呈味性の両立が達成され、香りとコクのバランスがとれた飲料となった。
Claims (2)
- 焙煎コーヒー豆を加圧抽出して得られる高圧抽出液と、
前記焙煎コーヒー豆とは異なる焙煎コーヒー豆を常圧抽出して得られる大気圧抽出液とを、
高圧抽出液由来の可溶性固形分:大気圧抽出液由来の可溶性固形分が、90:10〜40:60の割合となるように混合する工程を含む、
コーヒー飲料の製造方法。 - 高圧抽出液が、コーヒー脂質の低減処理されたものであり、高圧抽出液における(A)パルミチン酸カーウェオール及び(B)パルミチン酸カフェストールの総量[(A)+(B)]が0.3mg/kg以下である、請求項1に記載の方法。
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JP2013181464A JP2015047126A (ja) | 2013-09-02 | 2013-09-02 | 高圧抽出液を用いたコーヒー飲料の製造方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007129937A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | Chemi Com Japan Corp | コーヒーエキスの製造法及びこれを含む飲料及び食品 |
JP2013042703A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Suntory Holdings Ltd | 循環式及び/又は多管式によるコーヒー抽出液の製造方法 |
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2013
- 2013-09-02 JP JP2013181464A patent/JP2015047126A/ja active Pending
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JP2013042703A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Suntory Holdings Ltd | 循環式及び/又は多管式によるコーヒー抽出液の製造方法 |
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