JP2015046318A - リチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅広い温度環境下に適応させることができるリチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法を提供する。【解決手段】無機粒子と無機結着剤を含み、無機粒子同士の間隙により形成される空隙を有する多孔質層と、リチウムイオン伝導性を有し、多孔質層の空隙内に配置される固体電解質とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法に関するものである。
近年、リチウムイオン伝導性部材は、二次電池などに用いられ、小型で高い出力が得られることから、自動車や携帯電話など様々な装置への利用が進められている。また、リチウムイオン伝導性部材に用いられる電解質について、液体電解質に比べて液漏れのおそれが低いことから、全固体高分子電解質やゲル電解質などの固体電解質を用いることが注目されており様々な開発が行われている。
例えば、特許文献1には、「少なくとも一種の主鎖に酸素原子を含有する有機高分子化合物、少なくとも一種の無機酸化物、及びリチウム電解質塩を含む無機/有機複合高分子固体電解質膜を組み込んだリチウム二次電池であって、無機酸化物の平均粒径が100nm以下であって、高分子化合物と無機酸化物の和を100%としたときに、無機酸化物を10〜30質量%程度の割合で含み、固体電解質膜の厚みが40μm以下であるリチウム二次電池。」が開示されている(請求項1)。
特開2002−280072号公報
ここで、リチウムイオン伝導性部材を用いた二次電池などは、幅広い温度環境下での使用に対応することが求められている。例えば、二次電池を自動車に搭載した場合、零下30℃などの低温環境から50℃などの高温環境まで幅広い温度環境下で使用される。
そして、リチウムイオン伝導性部材を幅広い温度環境に適応させる必要があるが、固体電解質は液体電解質と比べて熱抵抗が高いため、低温環境下では、固体電解質の温度を上昇させることが難しく、二次電池から所定の電圧が得られないといった問題があった。また、高温環境下では、充放電の反応により高温とされた固体電解質内の温度を放熱して低下させることが難しく、固体電解質の劣化を招いてしまうといった問題があった。
このため、特許文献1のように固体電解質を用いたリチウムイオン伝導性部材を幅広い温度環境に適応させることは困難であった。
そこで、本発明は、幅広い温度環境に適応させることができるリチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、固体電解質を特定の無機材料で構成された多孔質層の空隙内に配置することにより、リチウムイオン伝導性部材を幅広い温度環境に適応することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供する。
(1) 無機粒子と無機結着剤を含み、無機粒子同士の間隙により形成される空隙を有する多孔質層と、
リチウムイオン伝導性を有し、多孔質層の空隙内に配置される固体電解質と
を備えるリチウムイオン伝導性部材。
(2) 空隙は、多孔質層に30%以上50%以下の空隙率で形成される(1)に記載のリチウムイオン伝導性部材。
(3) 無機粒子は、0.1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する(1)または(2)に記載のリチウムイオン伝導性部材。
(4) 無機粒子は、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性部材。
(5) 無機結着剤は、リン酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウムおよび塩化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性部材。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性部材と、リチウムイオン伝導性部材を挟んで配置される一対の電極とを有するリチウムイオン蓄電素子。
(7) (6)に記載のリチウムイオン蓄電素子を有するリチウムイオン二次電池。
(8) (1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性部材を製造するリチウムイオン伝導性部材の製造方法であって、
無機粒子と無機結着剤を含む混合液を乾燥させることにより、空隙を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
多孔質層形成工程で形成された多孔質層およびリチウムイオン伝導性を有する固体電解質の少なくとも一方をプレスすることにより、多孔質層の空隙内に固体電解質が充填されたリチウムイオン伝導性部材を得る電解質充填工程と、
を有するリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
(9) 混合液は、7質量%以上50質量%以下の水分量を有する(8)に記載のリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
(10) 電解質充填工程において、多孔質層および固体電解質の少なくとも一方は加熱しつつプレスされる(8)または(9)に記載のリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
以下に説明するように、本発明によれば、過酷な温度環境下に幅広く適応させることができるリチウムイオン伝導性部材、リチウムイオン蓄電素子、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン伝導性部材の製造方法を提供することができる。
本発明のリチウムイオン伝導性部材の好適な実施形態の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のリチウムイオン伝導性部材の製造方法の一例を説明する断面図である。 固体電解質の露出面に形成された微小な凹凸形状を示す断面図である。 本発明のリチウムイオン蓄電素子の好適な実施形態の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の好適な実施形態の一例を示す模式的な断面図である。
[リチウムイオン伝導性部材]
本発明のリチウムイオン伝導性部材は、無機粒子と無機結着剤を含み、無機粒子同士の間隙により形成される空隙を有する多孔質層と、リチウムイオン伝導性を有し、多孔質層の空隙内に配置される固体電解質とを備えるものである。
次に、本発明のリチウムイオン伝導性部材の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のリチウムイオン伝導性部材の好適な実施形態の一例を示す断面模式図である。
図1(A)に示すように、本発明のリチウムイオン伝導性部材1は、多孔質層2と、多孔質層2内に配置される固体電解質3とを備えている。
多孔質層2は、無機粒子4を含み、無機結着剤5が無機粒子4間を互いに連結するように配置されている。そして、多孔質層2内には、無機粒子4同士の間隙により、多孔質層2の互いに対向する一方の面7と他方の面8を連通するように空隙6が形成されている。
一方、固体電解質3は、多孔質層2の空隙6内を満たすように充填され、多孔質層2の一方の面7と他方の面8からそれぞれ外部に露出する露出面9aおよび9b(最外面)を有する。なお、固体電解質3は、リチウムイオン伝導性部材1の熱抵抗を低下させる観点から、多孔質層2の一方の面7および他方の面8を超えて外部に露出する部分が少ないのが好ましく、図1(A)に示すように、多孔質層2の一方の面7および他方の面8の同一面内に固体電解質3の露出面9aおよび9bが位置する、すなわち多孔質層2の厚さと固体電解質3の厚さが同等となるのが好ましい。
また、図1(B)に示すように、本発明のリチウムイオン伝導性部材1は、固体電解質3の露出面9aおよび9bを外部から保護する理由から、固体電解質3の露出面9aおよび9bが多孔質層2の一方の面7および他方の面8より内側に位置する、すなわち固体電解質3の厚さを多孔質層2の厚さより小さくして多孔質層2内のみに固体電解質3を配置することがより好ましい。
<多孔質層>
上記多孔質層は、後述する無機粒子からなる集合体であり、リチウムイオン伝導性部材の熱抵抗を低下させるためのものである。多孔質層は、無機結着剤を介して無機粒子を互いに結着させることにより、内部に空隙が形成された集合体とすることができる。
上記多孔質層の空隙率(固体電解質が充填される空隙部分の割合)は、30%以上50%以下であるのが好ましい。多孔質層の空隙率が30%以上であると、多孔質層の一方の面から他方の面に至る途中で空隙が大きく狭められることなく、ある程度一定の大きさで連通する少なくとも1つの空隙を形成することができ、空隙内に充填された固体電解質に一定の導通部分が確保されてイオン伝導性を高く保つことができる。また、空隙率が50%以下であると、リチウムイオン伝導性部材の熱抵抗を低く抑えることができる。
ここで、空隙率は、幾何学法により測定した全空隙率をいうが、本発明においては、嵩密度をアルキメデス法により算出し、真密度を気相置換法(ピクノメータ法)により測定し、得られた結果を下記式(1)に代入した値を空隙率とした。
空隙率(%)={1−(嵩密度/真密度)}×100・・・(1)
また、上記多孔質層の一方の面および他方の面は、それぞれ多孔質層の最も外側に位置する部分を同一平面内に含む面とした。
<無機粒子>
上記多孔質層に含まれる無機粒子は、0.1μm以上5μm以下の平均粒子径を有するのが好ましい。無機粒子の平均粒子径が上記の範囲内であると、多孔質層に30%以上50%以下の空隙率を確保して、空隙内に充填される固体電解質のイオン伝導性を高く保つことができる。
ここで、平均粒子径とは、上記無機粒子の粒子径の平均値をいい、本発明においては、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。
上記無機粒子は、特に限定されず、例えば、従来公知の金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸化物などを用いることができ、中でも、金属酸化物を用いるのが好ましい。
上記無機粒子としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、極微細炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸化物;また、その他に、カルシウムカーボネート、方解石、大理石、石膏、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、セリサイト、光学ガラス、ガラスビーズなどが挙げられる。
この中でも、リチウムイオン伝導性部材の熱抵抗を低く抑えることができ且つ後述する無機結着剤との親和性が良好となる理由から、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムが好ましい。
また、上記無機粒子は、2種類以上の粒子や、2種類以上の平均粒子径を有する粒子を併用してもよい。
種類や平均粒子径の異なる粒子を併用することにより、上記多孔質層の強度の向上や、上記多孔質層の熱抵抗の低下を図ることができる。
更に、本発明においては、上記無機粒子の形状は特に限定はされず、例えば、球状、多面体状(例えば、20面体状、12面体状等)、立方体状、4面体状、表面に凹凸状ないし凸状の突起を複数有する形状(以下、「コンペイトウ形状」ともいう。)、板状、針状等いずれであってもよい。
<無機結着剤>
上記多孔質層に含まれる無機結着剤は、リン酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウムおよび塩化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種(以下、本段落においては「リン酸アルミニウム等」という。)である。
ここで、一般的に、無機粒子を結着させるためには、焼結を行うことが知られているが、特定の空隙を確保するためには、焼結の進行を制御する必要があった。
これに対し、本発明においては、リン酸アルミニウム等を無機結着剤として用いることにより、所定の厚さと空隙率を有する多孔質層を焼結せずに形成し、経年変化に強い多孔質層を形成することができる。
これは、リン酸アルミニウム等が、結着の初期において糊に似た挙動を示し、有機バインダー(例えば、エポキシ樹脂)などで結着するよりも無機粒子同士の空隙を保持する力が強いためであると考えられる。
<リン酸アルミニウム>
上記リン酸アルミニウムは、狭義のリン酸アルミニウムだけではなく、リン酸アルミニウムの他に、例えば、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
また、上記リン酸アルミニウムとしては、市販のリン酸と市販の硫酸アルミニウム(または、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、および、これらの混合物)とを水の存在下で反応させて得ることができる。さらに、塩化アルミニウムは水酸化アルミニウムの反応を触媒的に進行させる役割を有すると考えられるため、上記反応においては、水酸化アルミニウムと塩化アルミニウムの両方を添加することが好ましく、塩化アルミニウムの量が水酸化アルミニウムの量に対して、5〜10%であることが好ましい。なお、反応物の中和が必要な場合は水酸化ナトリウム溶液を用いることができ、硫酸アルミニウムは、硫酸とアルミナとを反応させて製造してもよい。
本発明においては、上記リン酸アルミニウムと共に、リン酸塩化合物を用いてもよい。
上記リン酸塩化合物としては、水に不溶性であれば特に限定されず、その具体例としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸バリウム、リン酸アルミニウム、リン酸ガリウム、リン酸ランタン、リン酸チタニウム、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
また、上記リン酸塩化合物を上記リン酸アルミニウムと併用する場合、50質量%以上がリン酸アルミニウムであるのが好ましい。
<ケイ酸ナトリウム>
上記ケイ酸ナトリウムは、ケイ酸ソーダまたは水ガラスとも呼ばれるものであり、メタケイ酸のナトリウム塩であるNa2SiO3が一般的だが、その他に、Na4SiO4、Na2Si25、Na2Si49なども用いることができる。
メタケイ酸のナトリウム塩は、二酸化ケイ素を炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと融解して得ることができる。
<塩化アルミニウム>
上記塩化アルミニウムは、無水塩化アルミニウム、塩化アルミニウム6水和物、ポリ塩化アルミニウム(水酸化アルミニウムを塩酸に溶解させて生成する塩基性塩化アルミニウムの重合体)のいずれであってもよい。
上記多孔質層には、上記無機粒子と無機結着剤以外に、他の化合物を含有してもよい。他の化合物としては、例えば、分散剤、反応促進剤等が挙げられ、また、これらと、上記無機粒子と無機結着剤との反応生成物等も挙げられる。
<固体電解質>
上記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有し、上述した多孔質層の空隙内に保持されるように全固体高分子電解質またはゲル電解質として固体化された電解質である。
固体電解質は、リチウム電解質塩を含有している。リチウム電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiCF3SO3、LiPF6、LiPFn(CkF(2k+1)(6-n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)、LiI、LiBF4、LiCF3CO2、LiSCN、LiN(SO2CF3)2及びLiN(SO2F)2等のリチウム塩を挙げることができる。これらのリチウム電解質塩は、2種類以上の電解質を混合して用いてもよい。
また、固体電解質は、イオン伝導性ポリマーを含有することが好ましい。イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの誘導体(例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル等)を挙げることができる。
また、固体電解質は、上述した多孔質層の一方の面および他方の面からそれぞれ露出する露出面に微小な凹凸形状を有するのが好ましい。これにより、固体電解質の露出面の表面積が向上するため、露出面に電極などを配置した時の接触抵抗を抑制することができる。
[リチウムイオン伝導性部材の製造方法]
以下に、本発明のリチウムイオン伝導性部材の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、無機粒子と無機結着剤を含む混合液を乾燥させることにより、空隙を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、多孔質層形成工程で形成された多孔質層およびリチウムイオン伝導性を有する固体電解質の少なくとも一方をプレスすることにより、多孔質層の空隙内に固体電解質を充填する電解質充填工程とを有するリチウムイオン伝導性部材の製造方法である。
ここで、無機粒子、無機結着剤および固体電解質としては、上述した本発明のリチウムイオン伝導性部材で説明したものと同様のものを用いることができる。
次に、本発明の製造方法が有する各工程について、所望により有していてもよい任意の工程とともに説明する。
<多孔質層形成工程>
上記多孔質層形成工程は、無機粒子と無機結着剤を含む混合液を乾燥させることにより、空隙を有する多孔質層を形成する工程である。
例えば、後述する混合液を平坦な成形台上にスクリーン印刷などの方法で塗布することで混合液を平面状に成形し、この成形体を後述する乾燥方法で乾燥することにより平面形状を有する多孔質層を得ることができる。
ここで、後述する電解質充填工程において電解質の充填を容易にするために、多孔質層を複数の部分に分けて形成するのが好ましい。例えば、図2(A)に示すように、最終的な目的物である多孔質層2と比べて、それぞれ厚さを1/2とした2つの成形体11aおよび11bが形成されるように混合液を成形する。続いて、図2(B)に示すように、2つの成形体11aおよび11bを後述する乾燥方法により乾燥させることで、成形体11aおよび11bに含まれる水分12が蒸発して空隙6が形成されると共に無機粒子4同士が無機結着剤5で結着され、目的物である多孔質層2と比べて厚さが薄い2つの多孔質層13aおよび13bを作製することができる。
なお、多孔質層の空隙率は、混合液に含まれる水分量を増やすほど高くすることができ、また無機粒子の平均粒子径を大きくするほど高くすることができる。本発明においては、多孔質層の空隙率が30%以上50%以下となるように、混合液に含まれる水分量と無機粒子の平均粒子径を調節するのが好ましい。
(混合液)
上記混合液は、上記無機粒子と上記無機結着剤とを含有する溶液であれば特に限定されないが、上記無機粒子と上記無機結着剤とを含有するスラリーであるのが好ましい。
また、上記混合液中の上記無機結着剤の含有量は、上記無機粒子100質量部に対して5〜50質量部であるのが好ましい。
本発明においては、上記無機結着剤として上記リン酸アルミニウムを用いる場合、上記混合液は、リン酸、水酸化アルミニウムおよび水を含有する液体を利用し、この液体中でリン酸と水酸化アルミニウムを反応させることによりリン酸アルミニウムを生成させた反応溶液を用いることができる。なお、リン酸アルミニウムが生成していることは、赤外分光光度計で形成した多孔質層の表面を分析すれば容易に確認することができる。
同様に、上記無機結着剤として上記塩化アルミニウムを用いる場合、上記混合液は、塩酸、水酸化アルミニウムおよび水を含有する液体を利用し、この液体中で塩酸と水酸化アルミニウムを反応させることにより塩化アルミニウムを生成させた反応溶液を用いることができる。なお、塩化アルミニウムが生成していることは、赤外分光光度計で形成した多孔質層の表面を分析すれば容易に確認することができる。
ここで、反応式に従う化学量論比で混合液を調整すると、反応が進むとともに液の粘度が急激に上昇するため、予め若干過剰の水を添加しておくことが望ましい。
また、形成される多孔質層の空隙中にリン酸根または塩酸根が残存することは基板の腐食等を引き起こすため、化学量論比よりも若干過剰の水酸化アルミニウムを添加しておくことが望ましい。
また、上記混合液は、後述する乾燥方法により乾燥された際に30%以上50%以下の空隙率を有する多孔質層が形成されるように、7質量%以上50質量%以下の水分量を有することが好ましい。また、上記混合液は、30%以上50%以下の空隙率を有する多孔質層が形成されるように、0.1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する無機粒子を含有することが好ましい。
(乾燥方法)
上記混合液の乾燥方法は特に限定されず、一般的に用いられる方法を選択できるが、無機結着剤により無機粒子が結着する反応を進めるために焼成(加熱乾燥)することが好ましい。
また、上記乾燥の温度は、100〜300℃が好ましく、150〜280℃であるのがより好ましく、200〜250℃であるのがさらに好ましい。
水分を除去する観点から100℃以上が好ましく、また、無機結着剤としてリン酸アルミニウムを用いる場合には、リン酸と水酸化アルミニウムの反応を進めて結着させるために150℃以上とするのが好ましく、さらに、得られたリン酸アルミニウムに残存する吸着水を完全に除去する観点から200℃以上とするのが好ましい。
乾燥時間に関しては5分〜60分が好ましく、20分〜40分がより好ましい。短時間では反応の進行が不十分であり、長時間になると製造コストが増大するためである。
また、無機結着剤としてリン酸アルミニウムを用いる場合には、上記混合液は水分を含む液のため、上記焼成(加熱乾燥)をする際に、焼成前に、リン酸アルミニウムが生成反応や結着反応を起こさない100℃以下の温度で乾燥させてもよい。
この多孔質層形成工程により、空隙を有する多孔質層が形成される。
<電解質充填工程>
上記電解質充填工程は、多孔質層形成工程で形成された多孔質層およびリチウムイオン伝導性を有する固体電解質の少なくとも一方をプレスすることにより、多孔質層の空隙内に固体電解質が充填されたリチウムイオン伝導性部材を得る工程である。
ここで、上記多孔質層に充填する上記固体電解質は、本発明のリチウムイオン伝導性部材において説明したものと同様である。
上記多孔質層および上記固体電解質の少なくとも一方は、固体電解質の充填を容易にするために、例えばホットプレスにより、加熱しつつプレスすることが好ましい。この時、加熱温度を固体電解質のガラス転移温度以上の値に設定して、固体電解質がスムーズに充填されるように固体電解質の粘度を低下させることが好ましい。
また、上述した多孔質層形成工程において、多孔質層を複数の部分に分けて形成した場合には、複数の多孔質層で固体電解質を挟んでプレスすることで多孔質層に固体電解質を容易に充填することができる。すなわち、図2(C)に示すように、固体電解質3を挟むように2つの多孔質層13aおよび13bを配置し、多孔質層13aおよび13bを互いに近づけるように一方の面7と他方の面8をホットプレスする。例えば、ポリエチレンオキシドと過塩素酸リチウムが混合された固体電解質3を用いる場合には、60℃〜100℃程度の温度で且つ1×102N/cm2〜5×103N/cm2の加圧下で、1分〜30分程度ホットプレスすることで、多孔質層13aおよび13b内に固体電解質3を容易に充填することができる。これにより、図2(D)に示すように、多孔質層13aおよび13b内に固体電解質3が均等に充填されると共に多孔質層13aの接合面14aと多孔質層13bの接合面14bを互いに熱圧着して1つの多孔質層2を形成することができる。
この電解質充填工程により、多孔質層の空隙内に固体電解質が充填されたリチウムイオン伝導性部材が得られる。
ここで、多孔質層の空隙内に固体電解質をプレスして充填することにより、固体電解質が多孔質内の無機粒子と接触しつつ充填されていくため、図3に示すように、多孔質層2の一方の面7および他方の面8からそれぞれ露出する固体電解質3の露出面9aおよび9bに微小な凹凸15を容易に形成することができる。これにより、固体電解質3の露出面9aおよび9bの表面積が向上し、露出面9aおよび9bに対する接触抵抗を低下させることができる。
なお、固体電解質の露出面により多くの微小な凹凸を形成して保護する観点から、図1(B)に示すように、固体電解質の露出面が多孔質層の一方の面および他方の面より内側に位置するように固体電解質を多孔質層内に充填するのが好ましい。これにより、図1(B)に示す固体電解質の露出面は、多孔質層内に位置されるため、例えばホットプレスする際にプレス板に露出面が直接接触することがなく、露出面を保護してより多くの微小な凹凸を保持することができる。
また、リチウムイオン伝導性部材への電極等の設置を容易にする観点から、図1(A)に示すように、固体電解質の露出面が多孔質層の一方の面および他方の面の同一面内に位置するように固体電解質を多孔質層内に充填するのが好ましい。
[リチウムイオン蓄電素子]
以下に、本発明のリチウムイオン蓄電素子について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン蓄電素子は、上述した本発明のリチウムイオン伝導性部材と、リチウムイオン伝導性部材を挟んで配置される一対の電極とを有する蓄電素子であり、例えば、図4に示すリチウムイオン蓄電素子が挙げられる。
図4は、本発明のリチウムイオン蓄電素子の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。
図4のリチウムイオン蓄電素子21は、上述したリチウムイオン伝導性部材1と、リチウムイオン伝導性部材1を挟んで配置される一対の電極(正極22aおよび負極22b)とを有する。正極22aは、リチウムイオン伝導性部材1の一方の面7から露出する固体電解質3の露出面9aに接合されており、負極22bは、リチウムイオン伝導性部材1の他方の面8から露出する固体電解質3の露出面9bに接合されている。
なお、図3に示すように、固体電解質3の露出面9aおよび9bに微小な凹凸15を形成した場合には、正極22aおよび負極22bは、それぞれ露出面9aおよび9bの微小な凹凸15形状に沿うような微小な凹凸が表面に形成されたものを配置することが好ましい。
例えば、固体電解質3の露出面9aおよび9bに対して正極22aおよび負極22bを押し込むことにより、正極22aおよび負極22bの表面はある程度の柔軟性を有するため変形し、微小な凹凸15形状に沿うように正極22aおよび負極22bをそれぞれ配置することができる。また、図1(B)に示すように、固体電解質3の露出面9aおよび9bが多孔質層2の一方の面7および他方の面8より内側に位置する場合にも、正極22aおよび負極22bを押し込むことにより、正極22aおよび負極22bが多孔質層2の内部に入り込むと共にその表面が固体電解質3の微小な凹凸15形状に沿うように変形し、微小な凹凸15形状に沿うように正極22aおよび負極22bをそれぞれ配置することができる。
これにより、正極22aと露出面9a並びに負極22bと露出面9bの接触面積をそれぞれ向上させることができ、接触抵抗を低下させることができる。
<一対の電極>
上記一対の電極は、リチウムイオン伝導性部材を介したリチウムイオンの授受により充放電可能な材料から構成されており、リチウムイオン蓄電素子を組み入れるデバイス(例えば、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンキャパシタなど)に応じてその材料を選択することができる。
例えば、リチウムイオン蓄電素子をリチウムイオン二次電池に用いる場合には、正極はコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびニッケル酸リチウムなどのリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として含有することが好ましく、負極はチタン酸化物、チタン酸リチウム、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物および酸化珪素などを負極活物質として含有するのが好ましい。
<リチウムイオン伝導性部材>
上記リチウムイオン伝導性部材は、上述したように、多孔質層の空隙内に固体電解質を充填したもので、上記正極と上記負極の間のリチウムイオンの移動を媒介する機能を有する。
ここで、リチウムイオン伝導性部材は、多孔質層の空隙率を30%以上50%以下とすることで、空隙内に充填される固体電解質のイオン伝導性が多孔質層に阻害されることを抑制し、正極と負極の間のイオン伝導率を高く保つことができる。
また、リチウムイオン伝導性部材は、上記正極と上記負極にそれぞれ接合される固体電解質の露出面に微小な凹凸を形成して表面積を向上させることで、正極および負極に対する接触抵抗を低下させることができ、固体電解質と正極または負極との間でイオンの伝達が妨げられることを抑制することができる。
また、リチウムイオン伝導性部材は、多孔質層により熱抵抗が低下されており、例えば低温環境下では多孔質層を介して外部で発生した熱を固体電解質に伝導することにより固体電解質の温度低下を抑制するなど、温度環境の変化に伴うリチウムイオン蓄電素子の機能低下を抑制して幅広い温度環境下に適応させることができる。
[リチウムイオン二次電池]
以下に、本発明のリチウムイオン二次電池について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した本発明のリチウムイオン蓄電素子を有する二次電池であり、例えば、図5に示すリチウムイオン二次電池が挙げられる。
図5は、本発明のリチウムイオン二次電池の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。
図5に示すリチウムイオン二次電池31は、いわゆる円筒型と呼ばれるものであり、一端部が開放された中空円柱形状の電池缶32を有し、この電池缶32の内部に、上述したリチウムイオン伝導性部材1を介して正極22aと負極22bとを巻回すことにより上述したリチウムイオン蓄電素子21が積層された巻回電極体33と、巻回電極体33の両側部に配置された絶縁板34aおよび34bとが収容されている。また、電池缶32の一端部に形成された開口部を塞ぐように電池蓋35が配置され、この電池蓋35と正極22aが正極リード36で電気的に接続されると共に、電池缶32と負極22bが負極リード37で電気的に接続されている。
ここで、リチウムイオン蓄電素子21は、多孔質層2の両側部38および39がそれぞれ絶縁板33および34と当接するように配置されることが好ましい。また、絶縁板33および34は、絶縁性が保たれ且つ熱伝導率がより高いものを用いることが好ましい。これにより、リチウムイオン蓄電素子21と外部との間の熱伝導を効率よく行うことができ、例えば、リチウムイオン二次電池31を自動車に設置した場合には、低温環境下において、自動車のエンジン等で発生した熱を絶縁板33および34を介して多孔質層2に効率よく伝達して固体電解質の温度低下を抑制するなど、温度環境の変化に伴うリチウムイオン二次電池31の機能低下を抑制して幅広い温度環境下に適応させることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<リチウムイオン伝導性部材の作製>
(実施例1)
(多孔質層の作製)
アルミナゾル520(平均粒子径:20nm、固形分濃度:20%、日産化学工業株式会社製)41gと、リン酸85%(和光純薬工業株式会社製)48gと、水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)11gとを混合した多孔質層形成溶液(混合液)を調製した。
調製した多孔質層形成溶液を平坦な成形台上に塗布して2つの平面状の成形部分を形成した後に、180℃で5分間乾燥させることにより、それぞれ厚さ30μmの2つの多孔質層を作製した。
なお、多孔質層におけるリン酸アルミニウム(無機結着剤)の存在は、赤外分光法(IR)により確認した。
(固体電解質の作製)
ドライルーム中で、高分子電解質として平均分子量(Mv)400万のポリエチレンオキサイド(PEO、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)に、[PEO中のエチレンオキサイド部位数] / [リチウムイオン数](以後、[EO] / [Li]と記載)=20の割合でリチウム電解質塩として過塩素酸リチウム(LiClO4)を加えて、乳鉢中で均一に混合し、一定量の混合物を厚さ50μmの離型フィルム(三井化学東セロ株式会社製、高機能ポリオレフィンフィルム、オピュラン(R))に挟み、75℃の温度で且つ1×102N/cm2〜1×103N/cm2の圧力下で、10分間ホットプレスした後に、離型フィルムを剥がすことで固体電解質を作製した。
(リチウムイオン伝導性部材の作製)
次に、2つの多孔質層の間に固体電解質を挟んだ構造体を、厚さ50μmの離型フィルム(三井化学東セロ株式会社製、高機能ポリオレフィンフィルム、オピュラン(R))に挟み、75℃の温度で且つ1×102N/cm2〜1×103N/cm2の圧力下で、10分間ホットプレスした後に、離型フィルムを剥がすことでイオン伝導性部材を作製した。
(実施例2)
以下に示す組成のバインダー液A100gに、無機粒子として平均粒子径が0.52μmのアルミナ(AL−160SG−3、昭和電工株式会社製)を100g添加し、撹拌して調製された多孔質層形成溶液(混合液)を用いて多孔質層を作製した以外は、実施例1と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
<バインダー液Aの組成>
・リン酸85% (和光純薬工業株式会社製) 48g
・水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製) 11g
・水 41g
(実施例3)
多孔質層形成溶液に用いる無機粒子を平均粒子径が4μmのアルミナ(AL−47−H、昭和電工株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例4)
多孔質層形成溶液に用いる無機粒子を平均粒子径が12μmのアルミナ(AS−40、昭和電工株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例5)
3号ケイ酸ソーダ原液(比重1.4、富山化学株式会社製)と水を質量比1:1となるように混合したバインダー液B100gに、無機粒子として平均粒子径が0.52μmのアルミナ(AL−160SG−3、昭和電工株式会社製)を100g添加し、撹拌して調製された多孔質層形成溶液(混合液)を用いて多孔質層を作製した以外は、実施例1と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例6)
以下に示す組成のバインダー液C100gに、無機粒子として平均粒子径が0.52μmのアルミナ(AL−160SG−3、昭和電工株式会社製)を100g添加し、撹拌して調製された多孔質層形成溶液(混合液)を用いて多孔質層を作製した以外は、実施例1と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
<バインダー液Cの組成>
・塩酸85% (和光純薬工業株式会社製) 46.9g
・水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製) 11g
・水 90g
(実施例7)
多孔質層形成溶液に用いる無機粒子を水酸化アルミニウム(BF013、平均粒子径:1.2μm、日本軽金属株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例8)
多孔質層形成溶液に用いる無機粒子を水酸化アルミニウム(BF013、平均粒子径:1.2μm、日本軽金属株式会社製)に変更した以外は、実施例5と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例9)
多孔質層形成溶液に用いる無機粒子を水酸化アルミニウム(BF013、平均粒子径:1.2μm、日本軽金属株式会社製)に変更した以外は、実施例6と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例10)
バインダー液A中の水分量を10gに変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例11)
バインダー液A中の水分量を82gに変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(実施例12)
バインダー液A中の水分量を123gに変更した以外は、実施例2と同様の方法により、リチウムイオン伝導性部材を作製した。
(比較例1)
ドライルーム中で、高分子電解質として平均分子量(Mv)400万Mのポリエチレンオキサイド(PEO、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)に、[EO]/[Li]=20の割合でリチウム電解質塩として過塩素酸リチウム(LiClO4)を加えて、乳鉢中で均一に混合し、一定量の混合物を厚さ50μmの離型フィルム(三井化学東セロ株式会社製、高機能ポリオレフィンフィルム、オピュラン(R))に挟み、75℃の温度で且つ1×102N/cm2〜1×103N/cm2の圧力下で、10分間ホットプレスした後、離型フィルムを剥がすことでリチウムイオン伝導性部材を作製した。
作製したリチウムイオン伝導性部材に含まれる多孔質層の空隙率は、嵩密度をアルキメデス法により算出し、真密度を気相置換法(ピクノメータ法)により測定し、得られた結果を上記式(1)に代入した値を算出した。この結果を下記第1表に示す。
また、リチウムイオン伝導性部材のイオン伝導率は、0.8cmφのステンレス円盤(面積2cm2)2枚に銀ペースト(化研テック株式会社、CR−2800)を塗布し、その平板2枚の間に測定用のリチウムイオン伝導性部材(面積1.2cm2、厚み60μm)を挟み、90℃で1時間乾燥することで作製したセルを、60℃の温度で且つ乾燥空気を10L/minでパージした恒温槽中に静置し、インピーダンス測定器(EG&G Instruments社製)により抵抗値を測定して求めた。この時、ステンレス円盤に塗布された銀ペーストは、固体電解質の露出面の微小な凹凸形状に沿うように変形されている。この結果を下記第1表に示す。
また、リチウムイオン伝導性部材の熱抵抗は、冷熱サイクルの印加の前後で熱抵抗(K/W)を測定した。具体的には、リチウムイオン伝導性部材に通電することで発熱させ、このときの温度上昇を熱抵抗評価装置(MODEL DVFN240、株式会社キャッツ電子設計社製)により電圧換算して測定した。なお、冷熱サイクルは、−40℃〜+125℃の30分1サイクルを1000回繰り返した。この結果を下記第1表に示す。
第1表に示す結果から、多孔質層の空隙内に固体電解質を配置した実施例1〜12は、固体電解質のみの比較例1と比較して、熱抵抗が大きく低下していることがわかった。
また、多孔質層の空隙率が30%以上50%以下の実施例2〜9、11および12は、空隙率が30%未満の実施例1および10と比較して、イオン伝導率が比較例1と同程度まで向上しており、リチウムイオンが多孔質層に妨げられることなく固体電解質内を移動できることが示唆された。
さらに、多孔質層の空隙率が30%以上40%以下の実施例2、3、5および6は、空隙率が40%より大きい実施例4、7〜9、11および12と比較して、熱抵抗が50K/W以下まで低下しており、イオン伝導率を高く保った状態で熱抵抗のみを大きく低下できることがわかった。
また、実施例1〜4において、無機粒子の粒径が大きいほど多孔質層の空隙率が大きくなっており、無機粒子の粒径に応じて多孔質層の空隙率を調節できることがわかった。ここで、無機粒子の粒径を0.1μm以上5μm以下とすることで、多孔質層の空隙率を30%以上50%以下に調節できることがわかった。
また、実施例10〜12において、混合液の水分量が増加するほど多孔質層の空隙率が大きくなっており、混合液の水分量に応じて多孔質層の空隙率を調節できることがわかった。ここで、混合液の水分量を7質量%以上50質量%以下とすることで、多孔質層の空隙率を30%以上50%以下に調節できることがわかった。
また、実施例4、6〜8、11および12は、イオン伝導率が固体電解質のみを用いた比較例1よりも大きく向上している。これは、多孔質層の一方の面および他方の面からそれぞれ露出する固体電解質の露出面に微小な凹凸が形成されており、この凹凸形状により露出面の表面積が向上して電極との接触抵抗が低下したことによるものと考えられた。
1 リチウムイオン伝導性部材、2,13a,13b 多孔質層、3 固体電解質、4 無機粒子、5 無機結着剤、6 空隙、7 多孔質層の一方の面、8 多孔質層の他方の面、9a,9b 露出面、11a,11b 成形体、12 水分、14a,14b 接合面、15 凹凸、21 リチウムイオン蓄電素子、22a 正極、22b 負極、31 リチウムイオン二次電池、32 電池缶、33 巻回電極体、34a,34b 絶縁板、35電池蓋、36 正極リード、37 負極リード、38,39 側部

Claims (10)

  1. 無機粒子と無機結着剤を含み、前記無機粒子同士の間隙により形成される空隙を有する多孔質層と、
    リチウムイオン伝導性を有し、前記多孔質層の前記空隙内に配置される固体電解質と
    を備えるリチウムイオン伝導性部材。
  2. 前記空隙は、前記多孔質層に30%以上50%以下の空隙率で形成される請求項1に記載のリチウムイオン伝導性部材。
  3. 前記無機粒子は、0.1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する請求項1または2に記載のリチウムイオン伝導性部材。
  4. 前記無機粒子は、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性部材。
  5. 前記無機結着剤は、リン酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウムおよび塩化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性部材と、前記リチウムイオン伝導性部材を挟んで配置される一対の電極とを有するリチウムイオン蓄電素子。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン蓄電素子を有するリチウムイオン二次電池。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性部材を製造するリチウムイオン伝導性部材の製造方法であって、
    無機粒子と無機結着剤を含む混合液を乾燥させることにより、空隙を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
    前記多孔質層形成工程で形成された前記多孔質層およびリチウムイオン伝導性を有する固体電解質の少なくとも一方をプレスすることにより、前記多孔質層の前記空隙内に前記固体電解質が充填されたリチウムイオン伝導性部材を得る電解質充填工程と、
    を有するリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
  9. 前記混合液は、7質量%以上50質量%以下の水分量を有する請求項8に記載のリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
  10. 前記電解質充填工程において、前記多孔質層および前記固体電解質の少なくとも一方は加熱しつつプレスされる請求項8または9に記載のリチウムイオン伝導性部材の製造方法。
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