JP2015045986A - 機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法、及び、その製造方法を用いて製造されたタッチパネル - Google Patents

機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法、及び、その製造方法を用いて製造されたタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】両面構造のタッチパネルフィルムのいずれか一方の面の透明電極面側への機能性膜形成を効率的に行え、且つ、後工程での加工自由度を高めたITOやメッシュ配置の金属配線からなる透明電極をセンサとする静電容量型タッチパネルフィルムの製造方法を提供する。【解決手段】タッチパネルフィルムの製造方法は、第一の面と第二の面の両面に透明電極117,118を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に外部接続用の接続端子部116を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に透明電極と接続端子部を導通させる取出し配線106を形成する工程と、ロール状透明フィルム122を貫通するホール120を形成する工程と、ホールを通して第一の面の接続端子部と第二の面の接続端子部を電気的に接続する工程と、第一の面の透明電極上に機能性膜119をロールツーロール方式で印刷形成する工程とを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、両面構造の静電容量型タッチパネルセンサフィルムの製造方法、及び、その製造方法を用いて製造されたタッチパネルに関する。特にはロールツーロール方式で製造する技術に関する。
近年、スマートフォンや、タブレット等の携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な電子機器の操作部にタッチパネル型入力装置(以下、単にタッチパネルと記す。)が採用されている。タッチパネルは、液晶表示装置、有機EL装置等の表示用パネルの表示面上に、指先やペン先の接触位置を検出する入力装置として貼り合わせて使用されるものである。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式に大別されるが、それぞれメリット/デメリットがあるため、用途に応じて使い分けられている。
静電容量式のタッチパネルは、一枚の透明基材上にマトリックス状の透光性導電膜が電極として形成され、電極間部分に指等が接触することによって誘起される静電容量の変化を、微弱な電流変化として検出することで、タッチパネル上の被接触位置を特定するものである。静電容量式には、さらに、表面型と投影型とがある。表面型静電容量式タッチパネルは、仕組みが単純で廉価に作れ、比較的大型化しやすい。一方、投影型静電容量式タッチパネルは、X方向およびY方向にグリッド状に配列された複数の電極を備える必要があるため構造が複雑であるが、マルチタッチが可能であることから、現在急速に普及しつつある。
投影型静電容量式のタッチパネルセンサには、フィルムタイプとガラスタイプがある。フィルムタイプには、軽量・割れにくい、製造コストが安い、柔軟性があるので他の表示装置やカバーガラスと貼り合せる際に気泡を除去し易く貼り合せ易いという利点がある。一方、ガラスタイプは、透過率がフィルムタイプに比べて高いという利点や、ガラス上に形成された配線パターンの位置精度がフィルムタイプに比べて優れるため、配線を覆う額縁部を小さくできるという利点があり、さらに、表面の平滑性に優れるので、フィルムタイプより見栄えが良いという利点もある。高精細で低消費電力が要求されるスマートフォン等、携帯端末等の小型品では、ガラスタイプが採用されることが多く、安価で貼り合せ易い等の生産性が要求されるタブレットコンピュータやテレビ等の中型、大型品では、フィルムタイプが採用されることが多い。
フィルムタイプの投影型静電容量式タッチパネルセンサは、一般的に、X方向用およびY方向用の2層の透明電極、2層の透明電極の間の層間絶縁層、及び、2層の透明電極の間の静電容量変化を電気的に検出する外部のコントローラと接続するための取出し配線からなる。また、層間絶縁層を有機膜で形成することによってフィルム基材の片面に2層の透明電極層を形成した片面構造と、フィルム基材を層間絶縁層としても使用し、2層の透明電極層をフィルム基材の両面に分けて形成した両面構造の2つに大別される。
前述の透明電極には、透明性が高く、実用性に優れる点で、酸化インジウム錫(ITO)が一般的に用いられている。その他、導電性高分子や銀ナノワイヤー等の新しい導電材料も実用化されてきている。さらに、透明電極に、導電性の高い金属の細線パターン(以下,単に金属配線と記す)を格子状に張り巡らせたメッシュ構造の電極を用いることで、低抵抗化と透過性を両立する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。携帯端末等の小型品には透明性の高いITOが広く使用されている。一方、15インチ以上、特に20インチ以上のサイズになると、ITOによる透明電極では電気抵抗が高くなり被接触位置の検出感度が低下するため、より低抵抗なメッシュ構造の金属配線の採用が広まりつつある。
ここで、図1に、金属配線のメッシュ構造1を示し、図2A及び図2Bの(a)〜(h)に、図1の金属配線のメッシュ構造1を使用した、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルフィルムを示す。金属配線のメッシュ構造1は、図1に示すように、縦方向に延びるストライプ状の金属配線2と、横方向に延びる金属配線3とを備え、複数の金属配線2と複数の金属配線3により複数の開口部4が形成されている。金属配線のメッシュ構造1は、金属配線2、3が直線でなく波状に曲がった曲線のものであったり、完全な格子状ではなく、雪の結晶のような模様であったりしてもよい。重要なのは、微細な金属配線とそれにより形成される開口部を有することである。図2A(a)は、フィルム基材5と、図1のメッシュ構造の金属配線を1単位としてX方向(図2A(a)における横方向をX方向とする)にフィルム基材5上に敷設したX電極17と、X電極17と外部との接続を行うための取出し配線6と、図示しない外部のコントローラと接続するための接続端子部16とが形成された、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルフィルムの一方の面を示している。図2A(b)は、図2A(a)と同様に図1のメッシュ構造の金属配線を1単位としてY電極18がY方向(図2A(b)における縦方向をY方向とする)に敷設された、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサフィルムの他方の面を一方の面から透視した図を示している。図A2(c)は、一方の面にX電極17を、他方の面にY電極18を備え一方の面から透視した、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサを示している。図2B(d)は、図2A(a)の破線a−a’位置の断面での層構成を示し、図2B(e)は、図2A(b)の破線b−b’位置の断面での層構成を示し、図2B(f)は、図2A(c)の破線c−c’位置の断面での層構成を示し、図2B(g)は、図2A(c)の破線d−d’位置の断面での層構成を示している。
図2B(h)は、接続端子部16に外部のコントローラと接続された配線10が接続された断面図であり、図2A(c)の破線d−d’位置の断面での層構成を示し、図2(g)に図示しない配線10が表裏に接続されていることを示している。
ITOや金属配線の透明電極を備える投影型静電容量式タッチパネルセンサフィルムは、通常、光や熱、水分に対する耐久性を高めるために、ITOや金属配線の透明電極面を光学粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)で他の部材と貼り合せて密閉構造とすることで、ITOや金属配線の劣化を防止している。しかしながら、OCAによる貼り合せ工程の歩留りが悪いため、貼り合せを必要としない、すなわち、空気層で間隙をとるエアギャップ構造を用いる要求が高まっている。フィルム基材の両面にITOや金属配線の透明電極を備える両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサフィルムをエアギャップ構造で使用する場合、両面構造のいずれか一方の面のITOや金属配線の透明電極面を保護フィルムで皮膜する、またはITOや金属配線の透明電極面にオーバーコートやハードコート等の機能性膜を形成し保護する必要がある。さらには、エアギャップ構造とした場合に、空気層との界面での反射による透過光のロスを低減するために、反射防止層等の機能性膜を形成する必要がある。加えて、エアギャップ構造を採用しない場合でも、タッチパネルセンサフィルム工程以降の後工程での表面の傷付き防止や帯電防止のために、機能性膜を形成する必要があり、これらに対応した技術が開示されている(例えば特許文献2、3を参照)。
しかしながら、これら公知の方法、すなわち、保護フィルムで金属配線の透明電極を被覆する方法では、二つの機能性フィルムを製造し、それぞれを貼り合わせる必要があるため、工数が多く工程も煩雑で異物や気泡を巻き込む等、工程上のトラブルで歩留まりが低下する問題があった。また、感光性溶液をスピンコートして皮膜化してからフォトリソ法でパターニングすることで、オーバーコートやハードコート等の機能性膜を形成し保護する方法では、ロールツーロール方式の塗布装置以外に、少なくともフォトリソ法に対応した製造設備が必要であり、製造コストが安くならないだけでなく、フォトリソ法に対応するために、機能性膜材料の設計自由度が非常に狭くなり、十分な特性が得られない問題があった。
特開2012−53644号公報 特開2011−175967号公報 特許第4855536号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、両面構造のタッチパネルフィルムのいずれか一方の面のITOや金属配線の透明電極面側へのオーバーコートやハードコート、反射防止層等の機能性膜形成を効率的に行え、且つ、後工程での加工自由度を高めたITOやメッシュ配置の金属配線からなる透明電極をセンサとする静電容量型タッチパネルフィルムの製造方法を提供する。
上記課題を達成するための第1の発明は、ロール状透明フィルムの第一の面と第二の面の両面に多面形成される両面構造の静電容量型タッチパネルフィルムの製造方法において、第一の面と第二の面の両面に透明電極を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に外部接続用の接続端子部を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に透明電極と接続端子部を導通させる取出し配線を形成する工程と、ロール状透明フィルムを貫通するホールを形成する工程と、ホールを通して第一の面の接続端子部と第二の面の接続端子部を電気的に接続する工程と、第一の面の透明電極上に機能性膜をロールツーロール方式で印刷形成する工程とを有することを特徴とする機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法としたものである。
第2の発明は、第1の発明において、透明電極を形成する工程が、酸化インジウム錫(ITO)をスパッタ装置を用いて成膜する工程と、エッチング装置を用いて酸化インジウム錫をエッチングする工程とを有することを特徴とする機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法である。
第3の発明は、第1または第2の発明において、透明電極を形成する工程が、Cu、Ag、Pt、Au、Al、Zn、Zrの群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料からなる幅20μm以下の線状パターンをメッシュ配置させた電極を形成する工程を有することを特徴とする機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法である。
第4の発明は、第3の発明において、金属材料がCuであることを特徴とする機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法である。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、機能性膜を形成する工程が、ハードコート(HC)膜、反射防止(LR)膜、帯電防止(AS)膜、耐指紋付着(AF)膜、ブロッキング防止(AB)膜の群から選ばれる少なくとも1種類以上の膜を形成する工程を有することを特徴とする機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法である。
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法を用いて製造されたタッチパネルである。
第1の発明によれば、ロール状透明フィルム第一の面と第二の面の両面に多面形成される、両面構造の静電容量型タッチパネルフィルムの少なくとも一方の面の接続端子部が、他方の面の接続端子部とホールを通して電気的に接続する工程を有しており、かつ、一方の面の透明電極層上に機能性膜をロールツーロール方式で印刷形成する工程を有している。そのため、両面構造のタッチパネルフィルムであっても、第一の面の接続端子部116をフォトリソ法でパターン除去したり、他のフィルムと貼り合せたりすることなく、他方の面の全面に亘って効率的に機能性膜を形成することができる。
第2乃至第5の発明によれば、透明電極がITOや金属配線のメッシュ構造からなる、ハードコート(HC)膜、反射防止(LR)膜、帯電防止(AS)膜、耐指紋付着(AF)膜、ブロッキング防止(AB)膜の群から選ばれる少なくとも1種類以上の機能性膜付きタッチパネルフィルムを効率的に製造することが可能となるので、携帯端末等の小型品から15インチ以上、特に20インチ以上のサイズのタッチパネルまで、幅広いサイズに対応した静電容量型タッチパネルフィルムを提供できる。
また、機能性膜の形成がロールツーロール方式の印刷工程で行われるため、生産性が大幅に向上し、機能性膜形成後のフィルム状タッチパネルが、断裁されたシート形態でなく、ロール状で得られ、後工程の自由度が増すという効果が期待できる。
タッチパネルフィルムにおけるメッシュ構造の金属配線を示す上面図 (a)従来の両面構造のタッチパネルフィルムのX方向配線を示す上面図、(b)従来の両面構造のタッチパネルフィルムのY方向配線を示す上面図、(c)従来の両面構造のタッチパネルフィルムのX方向配線及びY方向配線を示す上面図 (d)従来の両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図2A(a)の破線a−a’位置の断面図、(e)従来の両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図2A(b)の破線b−b’位置の断面図、(f)従来の両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図2A(c)の破線c−c’位置の断面図、(g)従来の両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図2A(c)の破線d−d’位置の断面図、(h)従来の両面構造のタッチパネルフィルムにおいて外部のコントローラと接続された配線が接続された図2A(c)の破線d−d’位置の断面図 (a)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムのX方向配線を示す上面図、(b)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムのY方向配線を示す上面図、(c)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムのX方向配線及びY方向配線を示す上面図 (d)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図3A(a)の破線e−e’位置の断面図、(e)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図3A(b)の破線f−f’位置の断面図、(f)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図3A(c)の破線g−g’位置の断面図、(g)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムにおいて図3A(c)の破線h−h’位置の断面図、(h)実施形態に係る両面構造のタッチパネルフィルムにおいて外部のコントローラと接続された配線が接続された図3A(c)の破線h−h’位置の断面図 (a)実施形態に係る機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法のホール形成工程を模式的に示す斜視図、(b)実施形態に係る機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法の機能性膜形成工程を模式的に示す斜視図 機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法を説明するための工程フロー図(a)〜(f) 機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法を説明するための工程フロー図(g)〜(i)
<第一の実施形態>
以下、第一の実施形態に係る機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法について図面を用いて説明する。タッチパネルフィルムの製造方法は、ロール状透明フィルム122の第一の面と第二の面の両面に透明電極を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に外部接続用の接続端子部116を形成する工程と、第一の面と第二の面の両面に透明電極と接続端子部116を導通させる取出し配線106を形成する工程と、ロール状透明フィルム122を貫通するホール120を形成する工程と、ホール120を通して第一の面の接続端子部116と第二の面の接続端子部116を電気的に接続する工程と、第一の面の透明電極上に機能性膜119をロールツーロール方式で印刷形成する工程とを有する。第一の面と第二の面では、透明電極、接続端子部116、及び取出し配線106が、断裁後に単一個片となるタッチパネル領域の各々に形成される。なお、第一の実施形態では、後述する第二の実施形態とは異なり、透明電極、接続端子部116、取出し配線106が、片面ずつ形成される。
<機能性膜付きタッチパネルフィルム>
本実施形態に係る両面構造の投影型静電容量式機能性膜付きタッチパネルフィルムを図3A及び図3Bの(a)〜(h)に示す。図3A(a)は、フィルム基材105と、ITOで形成された透明電極をX方向(図3A(a)における横方向をX方向とする)にフィルム基材105上に敷設したX電極117と、X電極117と外部との接続を行うための取出し配線106と、外部のコントローラ(図示省略)と接続するための接続端子部116とが形成されて、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサフィルムの一方の面(第二の面)を示している。図3A(a)に示すように、一方の面には、この面の取出し配線106には接続されずに、後述するホール120内の導体を介して他方の面の接続端子部116に接続される接続端子部116が形成されている。図3A(b)は、フィルム基材105と、ITOで形成された透明電極をY方向(図3A(b)における縦方向をY方向とする)にフィルム基材105上に敷設したY電極118と、Y電極118と外部との接続を行うための取出し配線106と、外部のコントローラ(図示省略)と接続するための接続端子部116と、Y電極118と取出し配線106と接続端子部116を覆うように形成された機能性膜119とが形成された、両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサフィルムの他方の面(第一の面)を一方の面から透視した図を示している。図3A(c)は、一方の面にX電極117を、他方の面にY電極118を備え、一方の面から透視した両面構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサを示している。図3B(d)は、図3A(a)の破線e−e’位置の断面での層構成を示し、図3B(e)は、図3A(b)の破線f−f’ 位置の断面での層構成を示し、図3B(f)は、図3A(c)の破線g−g’ 位置の断面での層構成を示し、図3B(g)は、図3A(c)の破線h−h’位置の断面での層構成を示している。
機能性膜119は、例えば、Y電極118と取出し配線106を保護する役割を担うオーバーコート層又はハードコート層である。更には、空気層との界面での反射による透過光のロスを低減するための反射防止(LR)膜、帯電防止(AS)膜、耐指紋付着(AF)膜、ブロッキング防止(AB)膜とすることもできる。図3B(d)及び図3B(e)に示すように、接続端子部116には、他方の面の接続端子部と電気的に導通するためのホール120が形成されている。他方の面の接続端子部116は、図3B(f)に示すように、ホール120内の導体を介して一方の面の接続端子部116と導通している。
図3B(h)は、接続端子部116に外部のコントローラと接続された配線10が接続された断面図であり、図3A(c)の破線h−h’位置における断面の層構成を示し、図3B(g)には図示しない配線10がフィルム基材105の表面側だけに接続されていることを示している。図3B(h)に示すように、他方の面(図3B(h)において下面)の接続端子部116が、ホール120内の導体を介して一方の面(図3B(h)において上面)の接続端子部116と導通している。そのため、外部のコントローラと接続された配線10との接続を一方の面のみで行うことができる。すなわち、外部のコントローラとの接続が一方の面のみに集約されている。そのため、他方の面の接続端子部116をフォトリソ法でパターン除去したり、他のフィルムと貼り合せたりすることなく、他方の面の全面に亘って効率的に機能性膜119を形成することができる。
<ロール状透明フィルムにホールを形成する工程>
図4(a)は、本発明の一例である機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法の一工程(ホール形成工程)を模式的に示す斜視図である。図4(a)は、ロール状透明フィルム122に、他方の面の接続端子部116と一方の面の接続端子部116を導通するためのホール120を連続形成する工程を示している。ホール120を形成する方法としては、レーザー光や電磁波照射などの光学カッター法、ドリルや針124などの機械カッター法、熱処理法、化学的処理法など公知の方法を用いることができる。ホール120を形成した後、一方の面の接続端子部116と他方の面の接続端子部116を電気的に導通させるために、ホール120の内壁とそれぞれの面の接続端子部116を覆う領域に、導電ペースト、めっき、半田などの導体が埋設される。
<ロール状透明フィルムに機能性膜を印刷形成する工程>
図4(b)は、ロール状透明フィルム122に印刷版123を使用して機能性膜119をロールツーロール方式で印刷形成する工程を模式的に示す斜視図である。
配線10が接続される接続端子部116が一方の面に集約されているため、両面構造のタッチパネルフィルムに対して、本発明を用いることで、他方の面の接続端子部116に影響されることなく、他方の面全面に、効率的に機能性膜119を印刷形成することが可能となる。
タッチパネルとは、金属配線のような導電体の両端に同じ位相で同じ電圧の交流を加えた場合に、導電体に指や手のような静電的且つ導電性の媒体を近接させると、接地されているとみなされる媒体と導電体間(これも接地されているので)に容量結合が生じて、過剰な交流電流が導電体に流れる現象を利用した電子デバイスである。したがって、導電体に指が直接触れる必要がなく、指が誘電体を介して接触又は近接しても構わない。手がセンサ部の導電体に触れると導電体が汚れるため、通常、導電体は、防汚性のある透明な機能性膜で被覆している。
以下、第一の実施形態の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法について、図5A及び図5Bの工程フロー図(a)〜(j)を用いて説明する。
図5A(a)は、ロール状透明フィルム122の他方の面に、透明電極としてITO11をスパッタ装置を用いて成膜する工程を示す図である。図5A及び図5Bでは、左側の図が、ロール状透明フィルム122の巻き姿の側面視を示す側面図であり、右側の図が、フィルムの流れ方法の先頭からの正面視を示す正面図であり、フィルム断面の層構成を示している。図5A及び図5Bにおいて、図中の矢印は、フィルム基材105の移動方向を示している。
本発明の一例である機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法では、ロール状透明フィルム122を用いたロールツーロール方式が用いられる。ロール状透明フィルム122(透明なフィルム基材105)としては、コスト面からポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が好ましいが、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂等から製造される厚さが10〜300μmの範囲の熱可塑系樹脂フィルムを使用でき、透明性、加工性、コストの点で厚さが50〜188μmのPETが多く用いられる。また、透明なフィルム基材105は、一方または両方の面に、易接着処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。
図5A(b)は、ロールコーター13を用いて感放射線性組成物12を、上側のITO成膜面に0.5〜10μm程度の厚さで塗布する工程を示す。感放射線性組成物12としては、汎用のドライフィルムタイプのネガレジストの他に、カゼインレジストも使用することができる。図5A(b)の塗布工程後、90℃で30分程度の乾燥工程(図示省略)と、所望の電極用パターン等を備えたフォトマスクを介して10〜1000mJ/cmの紫外線を照射する工程(図示省略)と、3%の炭酸ナトリウム水溶液等の現像処理を施す工程(図示省略)を経ることにより、図5A(c)に示すように、X電極117(透明電極パターン)に対応するレジストパターン7以外の部分のレジストが除去され、所望のレジストパターン7が形成される。
次に、シュウ酸、リン酸、硝酸、塩酸等の酸性水溶液からなるITOエッチング液を用いて、レジストパターン7から露出したITO11をエッチング除去し、残ったレジストパターン7を剥離することにより、図5A(d)に示すように、フィルム基材105のITO成膜面側に、X電極117が形成される。
次に、図5A(e)に示すように、金属薄膜8をスパッタ・蒸着等の公知の方法で成膜した後、図5A(b)の工程と同様に、ロールコーター13を用いて感放射線性組成物12を金属薄膜8上に塗布する。その後、乾燥工程(図示省略)と、所望の接続端子部用パターン等を備えたフォトマスクを介して紫外線を照射する工程(図示省略)と、現像処理を施す工程(図示省略)を経て、接続端子部116に対応するレジストパターン(図示省略)を形成する。
図5A(d)と同様に、塩化第二鉄水溶液、リン酸、硝酸、塩酸等の酸性水溶液からなる金属箔膜エッチング液を用いて、レジストパターンから露出した金属薄膜8をエッチング除去し、残ったレジストパターンを剥離することにより、図5A(f)に示すように、フィルム基材105のX電極117面側に、接続端子部116が形成される。
なお、本発明の一例である機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法は、X電極117と接続端子部116を導通するための取出し配線106を形成する工程(図示省略)を行うことができる。取出し配線106を形成する方法としては、例えば、Cu、Ag、At、Pt、Al、Zn、等の金属微粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷又はグラビアオフセット印刷機で印刷形成する方法を用いることができる。他の方法としては、Cu、Ag、At、Pt、Al、Zn、等の金属微粉末を含む感光性導電材料を塗布した後、フォトリソ法でパターン形成する方法を用いても良く、従来公知の方法を用いることができる。取出し配線106の形成順序としては、前述したX電極117の形成前の一番初め、X電極117の形成後、又は、接続端子部116の形成後等、品質を向上させるのに最も良い順序を適宜選択してよい。さらに、取出し配線106と接続端子部116を同一材料を用いて同一工程で形成してもよく、その場合には工程数を減らすことができ、より効率的に本発明の機能性膜付きタッチパネルフィルムを製造できる。
前述した図5A(a)〜(f)の工程をロール状フィルム122の他方の面にも同様に行うことで、図5B(g)に示すように、両面構造のタッチパネルフィルムを得ることができる。他方の面の接続端子部116と一方の面の接続端子部116が導通するように、ロール状フィルム122にホール120を形成する。そして、形成されたホール120と、その周囲の接続端子部116を覆うように、導電ペースト、めっき、半田などの導電性材料を埋設して、図5B(h)に示すように、配線10が接続される接続端子部116が一方の面に集約された両面構造のタッチパネルフィルムを得ることができる。
図5B(i)に、他方の面のY電極118、図示しない取出し配線106、及び接続端子部116上に、機能性膜119をロールツーロール方式のマイクログラビアコーター等の印刷にて形成する工程を示す。他方の面の接続端子部116に配線10が接続されず、配線10が接続される接続端子部116が一方の面に集約されているため、ロールツーロール方式の印刷のみで機能性膜119が形成可能となる。以上の工程を経ることにより、図5B(i)に示すように、一貫したロールツーロール方式で両面構造の投影型静電容量式機能性膜付きタッチパネルフィルムを形成できる。
本実施形態では、図4(a)に示すように、Y電極118及び取出し配線106の表面が空気と接触しないように、好ましくは酸フリーの有機樹脂からなる機能性膜119で、Y電極118及び取出し配線106を完全に被覆するようにしている。機能性膜119は、Y電極118間の隙間を埋め且つ表面も覆っている。機能性膜119の表面が、図5B(j)に示すように、概ね面一になるのが好ましい皮膜の形態である。機能性膜119の厚さは、Y電極118、取出し配線106、及び、接続端子部116の厚さにもよるが、これらの厚さが0.1〜10μm程度であれば、機能性膜119の厚さは2〜40μm程度が最適である。
機能性膜119は、電磁波、紫外線、可視光線、電子線等の電離放射線エネルギーにより架橋硬化させて使用する電離放射線硬化性組成物であって、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能性モノマーを主成分とするものであることが、生産効率、及び生産安定性の点で好ましい。紫外線照射による硬化の場合には、波長が150〜450nmの範囲の光を含む高圧水銀灯光源を使用する。電子線硬化の場合には、加速電圧が10〜500kV、より好ましくは30〜200kVの範囲で、照射量が3〜300kGyとなる電子線が必要である。
多官能性モノマーとしては、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ‐(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3‐ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリンサンエステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。多官能モノマーは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば、単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
また、本発明において好ましい多官能性モノマーとして、ウレタンアクリレートも挙げられ、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させ容易に形成されるものを用いることができる。
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは塗液においてモノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであっても構わない。
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン等を用いることができ、これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。
光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系を用いることができ、これらを1種類、もしくは2種類以上を混合して用いることもできる。
さらに、性能改良のため、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等を含有することもできる。
機能性膜119に添加する微粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスティックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えば、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化カルシウム等の金属酸化物や、導電性を有するアルミナ、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等の無機系導電性微粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル−スチレン共重合体、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋または未架橋の有機系微粒子や、シリコーン系微粒子などを用いることができる。なお、これらの微粒子の形状は、特に制限されず、ビーズ状の球形であってもよいし、粉末等の不定形であってもよいが、球状が好ましく、特に真球状であることが好ましい。これらの微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
微粒子の平均粒子径は、10から200nmであり、好ましくは10から100nmである。平均粒子径が、10nm未満の場合には、十分な凹凸形状を形成することができず、貼りつきの抑制に十分でない。一方、平均粒子径が200nm以上の場合には、機能性膜119内での光散乱が発生してしまい、透過率が低下する。微粒子の割合は、微粒子の平均粒子径、機能性膜119の厚さ等を考慮して適宜に決定されるが、樹脂100重量部に対して、0.1から10重量部とするのが好ましい。
機能性膜119に添加する層状粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、タルク、有機処理雲母、ベントナイト、モンモリロナイトを用いることができ、特に有機溶剤への溶解性、分散性が良好な親油性合成スメクタイトが好ましい。具体的には、ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル株式会社)などを用いることができる。層状粘土鉱物の配合量は、塗布液の粘度特性などに応じて適宜に決定されるが、一般には塗工性、塗膜平滑性などの点から、樹脂100重量部に対して、1から30重量部、特に1から20重量部とすることが好ましい。
機能性膜119の形成方法としては、前述のロールツーロール方式で印刷形成可能であれば、どのようなウェットコーティング法を用いてもよく、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法、等などにより、フィルム基材105の少なくとも片面に、塗液を塗布することにより機能性膜119を形成することができる。特に薄く、均一に層を形成する必要性があるため、マイクログラビアコーティング法を用いることが好ましい
機能性膜119を形成する際の硬化方法としては、例えば、紫外線照射、加熱等を用いることができる。紫外線照射の場合、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を使用することができる。紫外線照射量は、通常100mJ/cm以上800mJ/cm以下である。
また、機能性膜119の膜厚は、ハードコート性を求める場合、3μm以上あれば十分な強度となるが、塗工精度、及び取扱いを考慮すると、5μm以上10μm以下の範囲が好ましい。10μm以上では硬化収縮による基材の反り、ゆがみ、基材折れが発生してしまうためである。さらに、膜厚としては、5μm以上7μm以下の範囲であれば、ハードコート層として非常に好ましい。
機能性膜119用の塗液に用いる溶剤としては、セルロース系フィルム表面を溶解または膨潤させる溶剤として、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、また、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらにメチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類を用いることができる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。なお、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましい。
これら溶剤は、樹脂組成物100重量部に対して、溶剤が50重量部から150重量部の範囲になるように調液することが好ましい。
溶剤が50重量部以下であると、塗布液の粘度が高くなり、ウェットコーティング法にて良好な塗布面を形成できなくなる。一方、溶剤が150重量部以上であると、所定膜厚の機能性膜119を形成できなくなってしまう。
機能性膜119には、反射防止機能等の光学特性を良好なものとするために、低屈折率膜を積層することができる。
低屈折率膜は、ハードコート層等の機能性膜119に積層して使用することが好ましく、ハードコート層等の機能性膜119よりも低い屈折率を有するものが好ましい。本発明の好ましい形態としては、ハードコート層等の機能性膜119の屈折率が1.5以上であり、低屈折率膜の屈折率が1.5未満である。より好ましくは、低屈折率膜の屈折率は1.45以下、更に好ましくは1.35以下である。屈折率が1.5以上であると低屈折率膜とハードコート層等の機能性膜119の屈折率差が小さいために、反射が高くなってしまうことから、屈折率は低い方が望ましい。
低屈折率膜における低屈折率粒子として、空隙を有する微粒子を用いることができる。空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子である。
また、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部に、ナノポーラス構造の形成が可能な微粒子を含ませることもできる。この微粒子を使用した低屈折率膜は、屈折率を1.30以上1.45以下に調節することが可能である。
このような空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、中空シリカ微粒子を挙げることができる。空隙を有する中空シリカ微粒子は、製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率膜を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20以上1.45以下程度の範囲内に調整することを可能とする。
中空シリカ微粒子の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であることが好ましく、下限が8nmであり上限が100nmであることがより好ましく、下限が10nmであり上限が80nmであることが更に好ましい。
微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率膜として優れた透明性を付与することが可能となる。中空シリカ微粒子は、低屈折率膜中にマトリックス樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上500重量部以下、好ましくは10重量部以上200重量部以下とするのが好ましい。
低屈折率膜の形成にあっては、低屈折率膜形成用樹脂として1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能性モノマー、中空シリカ微粒子、及び必要に応じて添加剤(重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等)を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液を、低屈折率膜形成用組成物として用い、その組成物による塗膜を形成し、紫外線照射あるいは加熱等により硬化させることで、低屈折率膜を得ることができる。なお、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等の添加剤は、公知のものを使用することができる。
前述の低屈折率膜形成用樹脂の1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能性モノマーとしては、ハードコート層等の機能性膜119の形成時に用いる電離放射線硬化型樹脂として本明細書に記載している樹脂等を使用することができる。
低屈折率膜は、通常、揮発性溶媒に希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、組成物の安定性、ハードコート層等の機能性膜119に対する濡れ性、揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。中でも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、PGME、PGMEAが好ましい。また、組成物の調製方法は、成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良く、公知の装置を使用して混合分散することができる。
低屈折率膜形成用組成物は、前述したストライプ状にパターン化された印刷版を用いてロールツーロール方式で印刷することにより、表面処理を行ったハードコート層等の機能性膜119上に塗工され、加熱乾燥により塗膜中の溶媒を揮発させ、その後、加熱、紫外線照射、電子線照射等を行い、塗膜を硬化させる。また、低屈折率膜の形成は、ハードコート層等の機能性膜119の形成方法と同様に、マイクログラビア法を用いることが好ましい。
なお、低屈折率膜を形成する時の膜厚(nm)dAは、式(1)により表される。
式(1):dA=mλ/(4nA) (1)
式(1)において、nAは低屈折率膜の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、λは波長を表す。mは、1であることが好ましく、λは、480〜580nmの範囲の値であることが好ましい。
<第二の実施形態>
第二の実施形態に係る機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法としては、図5A(a)のITO電極11をフィルム基材105の両面に同時に成膜し、図5A(b)の感放射線性組成物12をロールコーター13を用いて、表面と裏面に連続に成膜した後、表面と裏面でそれぞれX電極パターン、Y電極パターンに対応した異なるフォトマスクを介して両面同時に紫外線を照射し、両面同時にエッチング、レジスト剥離する方法を使用できる。この方法によれば、両面同時に紫外線照射、エッチング、レジスト剥離を行うため、工程数を減らすことができ、より効率よく機能性膜付きタッチパネルフィルムを製造できる。
<第三の実施形態>
図1は、第三の実施形態となる、金属配線のメッシュ構造パターンを示す上面図である。
前述のとおり、透明電極は、酸化インジウム錫(ITO)、導電性高分子や銀ナノワイヤー等の透明導電材料を用いた電極と、導電性の高い金属の細線パターンを格子状に張り巡らせたメッシュ構造の電極の2つに大別される。第三の実施形態に係る金属配線のメッシュ構造パターンを備える両面構造のタッチパネルフィルムの製造方法としては、透明電極がITOから金属配線のメッシュ構造パターンに変わった以外は第一の実施形態と同様に製造することができる。ここで同様の工程については省略し、異なる点のみ以下に詳述する。
図1に示すように、金属配線のメッシュ構造1(メッシュ構造の透明電極)は、同じピッチのX方向のストライプ状金属配線2と、Y方向のストライプ状金属配線3とを互いに直交するように配置したものである。金属配線のメッシュ構造1は、上面視で開口部4が概ね正方形のメッシュ構造をなす。タッチパネルのタイプとしては、一方の面(表面)だけにメッシュ構造1を備えた片面構造のタッチパネルフィルムを2枚準備して背面同士を張り合わせて使用する2枚タイプと、一方の面だけにメッシュ構造1を設けた片面構造のタッチパネルフィルム、およびフィルム基材5の表面と裏面の両面の金属配線2,3でメッシュ構造1を形成した両面構造のタッチパネルフィルムの1枚タイプとがあり、本発明においては両面構造のタッチパネルフィルムに適用できる。両面構造の場合は、図1の実線が表面のストライプ状金属配線3に相当し、図1の二重線が裏面のストライプ状金属配線2に相当する。この場合、絶縁性のフィルム基材5が金属配線2と金属配線3の間に存在するため、上下の金属配線2,3は、他に絶縁部材を設けなくても絶縁されている。
金属配線2,3は、遮光性があるので、線幅dが太くなれば開口率が低くなって透過率が下がり、ストライプのピッチが長くなれば位置センサーとしての分解能が低くなる。従って、線幅dとピッチは、これらを考慮して適切な値に設定される。金属配線2、3の材料としては、アルミニウムや銅が好適であるが、抵抗特性とコストの面から銅が最も好ましい。
銅配線によって仕切られたメッシュの開口部4の開口幅(一辺の長さ)をp、遮光部の配線幅をdとすると、開口率90%の場合d/p=0.05程度、開口率98%の場合d/p=0.01程度となる。遮光性金属の線幅dは、概ね20μm以下であれば視認できないといわれているため、線幅d=20μmの場合は、開口部4の開口幅pは、400〜2000μmの範囲となる。より狭い線幅d=10μmの場合は、200〜1000μmの範囲、d=5μmの場合は、100〜500μmの範囲とする必要がある。大型ディスプレイ用では、線幅は50μm程度以下が好ましく、開口率90%の場合に、開口幅pは1000μm程度以上となる。
タッチパネルの透視可能な部分の大きさは、液晶ディスプレイや有機EL等の画像表示部に重ねてタッチパネルが使用されるため、少なくともこれらの画像表示部と同じ大きさとなる。但し、画像表示部の全範囲をタッチパネルの入力範囲にしない場合には、透視範囲であっても、メッシュ構造の透明電極(メッシュ電極)を設けなくても構わない。一般に、透視が必要な範囲以外は、加飾領域として、透視できないように枠状に黒塗りされていることが好ましい。
メッシュ電極を構成する個々の金属配線2,3は、全てフィルム基材105の外周に取出し配線106に導かれて、外部との接続用の接続端子部116につながっている。これらの金属配線2,3と、取出し配線106と、接続端子部116に用いる材料としては、安価で抵抗の低い銅が好ましい。金属配線2,3の線幅は、透視されない領域では、許される範囲で太くすることができ、概ね0.02〜0.5mmの範囲が好ましい。これらの金属配線2、3と、取出し配線106と、接続端子部116は、フィルム基材105上に成膜形成された銅薄膜から、同一工程に同一材料で一括形成されるため、効率よく機能性膜付きタッチパネルフィルムを製造できる。
銅配線の表面抵抗は、3Ω/□程度以下に設定することが好ましい。抵抗が低い方が、センサ感度が高いからである。また、厚さが100μm程度のフィルム基材105の両面に金属配線2,3を形成する両面構造の場合は、金属配線2,3間の静電容量を0.5〜3pFの範囲に設定することが好ましい。
銅配線パターンをエッチングにより厚さ13μm、線幅10μm、ピッチ1000μm、開口率98%のメッシュ電極とした場合には、表面抵抗は0.3Ω/□(四端子法による)程度になる。銅配線パターンを厚さ1.5μm、線幅5μm、メッシュピッチ250μm(前述のpにほぼ該当)、開口率93%とした場合には、表面抵抗は3Ω/□程度になる。製法上の材質差があるが、表面抵抗は3Ω/□以下の範囲で所望の値に制御できる。
フィルム基材105上に、銅からなる金属配線2,3を敷設したままでは銅配線の表面と側面が大気に露出しており、空気中の水分や酸素等により銅表面が酸化して次第に抵抗が増加する不具合を生じる。例えば、85℃95%RHの加速条件では1000時間後に抵抗は20%程度増加することが知られている。抵抗の増加は感度の低下を招くので好ましいものではなく抑制する必要がある。これを回避するためにも機能性膜119が必要となる。
本発明をさらに詳しく説明するために、以下に実施例を列挙するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例では、前述の実施形態で説明した構成についての製造方法について、詳説する。
<実施例1>
幅1,330mm、厚さ100μm、長さ2,000mのロール状PETフィルムにスパッタによりITOを230Åの厚さで両面に成膜し、ロールコーターを用いてネガレジストを、ITO上に1.5μm程度の厚さで片面ずつ順に連続塗布し、90℃で30分乾燥した。次に、表面の透明電極を構成するパターンを備えたフォトマスクを表面に設け、裏面の透明電極を構成するパターンを備えたフォトマスクを裏面に設けて、各フォトマスクを介してUV光を表裏に一括して約100mJ/cmの露光量で照射し、次いで、3%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬してフォトレジスト層に、現像処理を施した。これにより、表裏それぞれに、透明電極を構成するパターンに対応する部分にレジストパターンが形成され、それ以外の部分のレジストが除去された。
次に、リン酸/硝酸/水が60/10/30の重量比で混合されたエッチング液に、前述のロール状フィルムを40℃90秒浸漬して、ITOの露出部をエッチング除去し、5重量%濃度のNaOH水溶液に40℃120秒浸漬して、残ったレジストを剥離した。これにより、フィルム基材上の表裏に、所望の電極パターンを備えるITO電極が形成された。続いて、銀ペーストを用いて、所望のパターンを備えるスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷機で、取出し配線と接続端子部を同時に、表裏それぞれの面に順に印刷形成した。
形成された表裏の接続端子部が導通するように、ロール状フィルムの接続端子部の所望の部分にレーザー光を照射して、30μmφのホールを形成した。形成したホールに、銀ペーストを印刷してホールに銀ペーストを埋設した。
機能性膜として、以下に示す処方1を撹拌混合した塗布液を、有効幅1,220mm、線数120線の印刷版を使用して、マイクログラビアコーティング法により乾燥後の膜厚が6μmになるように一方の面に塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により600mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層の機能性膜を形成した。以上により、実施例1の両面構造のタッチパネルを形成した。
<処方1>
・ウレタンアクリレート(UV−1700B 日本合成化学社製) 100重量部
・微粒子(コロイダルシリカ MEK−ST−L 平均粒子径40nm 30%MEK溶液 日産化学工業社製) 10重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184 BASF社製) 5.0重量部
・溶剤(メチルエチルケトン) 100重量部
・層状粘土鉱物(ルーセンタイトSTN コープケミカル社製) 2.0重量部
次に、片面の接続端子部を介して外部コントローラと接続の可否を評価した。その結果を表1に示す。
<実施例2>
フィルム基材を幅1,300mmのロール状PETフィルムに、印刷版を有効幅1,190mmの印刷版に、タッチパネル構造(透明電極材)を銅メッシュ構造に、ホールの形成方法をドリルに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のタッチパネルを得た。以下では、銅メッシュ構造の電極の形成方法について説明する。
先ず、厚さが12μmの銅箔を表裏にラミネートしたロール状PETフィルムを用意し、銅箔のパターニングを定法のフォトリソ法を適用して実施した。
PETフィルムには、厚さが12μmの表面が平滑な電解銅箔が6μm厚の接着剤を介して表裏に積層されている。銅箔をエッチングして形成する銅線の線幅は、銅箔の厚さよりは細くできないので、所望の線幅から銅箔のタイプや厚さを決める必要がある。線幅が10μm程度以下と細くなる場合には、フィルム上に蒸着した銅薄膜を用いるのが好ましい。電解銅箔以外では圧延銅箔も使用可能である。
ロールコーターを用いてネガレジストを、上側の銅箔面に6μm程度の厚さで塗布し、90℃で30分乾燥した。次に、メッシュ部を構成するストライプパターンと取出し配線用パターン等を備えたフォトマスクを介してUV光を約100mJ/cmの露光量で照射した。他方のフィルム面にも、同じ厚さでレジストを塗布してからフォトマスクを介して露光を行った。次いで、3%の炭酸ナトリウム水溶液にてフォトレジスト層に、現像処理を施した。これにより、銅配線のストライプパターンに対応する部分にレジストパターンが形成され、それ以外の部分のレジストが除去された。
次に、比重1.45の塩化第二鉄液を用いて、表裏同時に銅箔の露出部をエッチング除去し、残ったレジストを剥離した。これにより、フィルム基材の表裏に、上面視でメッシュ構造をなすストライプ状の金属配線が形成され、同時に外周部には取出し配線および接続端子部も形成された。
形成された表裏の接続端子部が導通するように、ロール状フィルムの接続端子部の所望の部分にφ30μm径の真鍮ドリルを回転数150rpmで回転させて、30μmφのホールを形成した。形成したホールに、銀ペーストを印刷してホールに銀ペーストを埋設した。
<実施例3>
フィルム基材を幅1,250mm、厚さ125μmのロール状PETフィルムに、印刷版を有効幅1,140mmの印刷版に、ホールの埋設材を半田に、機能性膜を反射防止膜(LR)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のタッチパネルを得た。以下では、反射防止膜の形成方法について説明する。
幅1,250mm、厚さ125μm、長さ2,000mのロール状PETフィルムに、スパッタによりITOを230Åの厚さでロール状PETフィルムの両面に同時に成膜し、ロールコーターを用いてネガレジストを、成膜した表裏のITO上に順に1.5μm程度の厚さで塗布し、90℃で30分乾燥した。次に、X、Y透明電極をそれぞれ構成するパターンを備えたフォトマスクを介してUV光を表裏面それぞれに対して約100mJ/cmの露光量で照射し、次いで、3%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して、表裏のフォトレジスト層に同時に現像処理を施した。これにより、X、Y透明電極をそれぞれ構成するパターンに対応する表裏のそれぞれの部分にレジストパターンが形成され、それ以外の部分のレジストが除去された。
次に、リン酸/硝酸/水が60/10/30の重量比で混合されたエッチング液に、前述のロール状フィルムを40℃90秒浸漬して、表裏のITOの露出部を同時に一括エッチング除去し、5重量%濃度のNaOH水溶液に40℃120秒浸漬して、表裏の残ったレジストを同時に一括剥離した。これにより、フィルム基材の両面に、所望の電極パターンを備えるITO電極が表裏同時に形成された。続いて、銀ペーストを用いて、所望のパターンを備えるスクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷機で、取出し配線と接続端子部を同時に、表裏にそれぞれ印刷形成した。また、レーザー光によりホールを形成し、形成したホールに半田を溶接してホールに半田を埋設した。
機能性膜として、以下に示す処方2を撹拌混合した塗布液を、有効幅1,140mm、線数120線のストライプ状にパターン化された印刷版を使用して、マイクログラビアコーティング法により塗布した後、温度50℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が300mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、0.2g/cm(乾燥時)の反射防止膜(LR)を形成した。以上により、実施例3の両面構造のタッチパネルを形成した。
<処方2>
・中空シリカ微粒子(シリカ微粒子の固形分は20重量%溶液;メチルイソブチルケトン、粒子径50ナノメートル) 70重量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー127 BASF社製) 3.0重量部
・メチルイソブチルケトン 50重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 50重量部
<実施例4>
フィルム基材を幅1,250mmのロール状ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムに、印刷版を有効幅1,140mmの印刷版に、ホール埋設材(ホールに埋設する導電材)をめっきに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4のタッチパネルを得た。
<比較例>
タッチパネル構造を、外部コントローラに接続する配線が一方の面の端子接続部に集約されていない構造、具体的にはホールを形成しない構造に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例のタッチパネルを得た。実施例1から4のタッチパネル及び比較例のタッチパネルについて、接続端子部を介して外部コントローラとの接続の可否を評価した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の製造方法を用いて製造された実施例1から4のタッチパネルでは機能性膜を形成した他方の面の接続端子部が、ホールを通して導通されているため、一方の面の接続端子部で外部との接続が可能であり、従来の製造方法で製造された比較例のタッチパネルでは外部との接続が不可能であることが判明した。
本発明は、静電容量型タッチパネルフィルムの製造方法等に有用である。
1:金属配線のメッシュ構造
2:X方向のストライプ状金属配線
3:Y方向のストライプ状金属配線
4:開口部
5、105:フィルム基材(絶縁性樹脂)
6、106:取出し配線
7:レジストパターン
8:金属薄膜
9:交差部
10:外部のコントローラと接続された配線
11:ITO
12:感放射線性組成物
13:ロールコーター
14:グラビアコーター
15:電離放射線(紫外線)
16、116:接続端子部
17、117:X電極
18、118:Y電極
119:機能性膜
120:ホール
122:ロール状透明フィルム
123:印刷版
p;開口幅
d;配線幅

Claims (6)

  1. ロール状透明フィルムの第一の面と第二の面の両面に多面形成される両面構造の静電容量型タッチパネルフィルムの製造方法において、
    前記第一の面と前記第二の面の両面に透明電極を形成する工程と、
    前記第一の面と前記第二の面の両面に外部接続用の接続端子部を形成する工程と、
    前記第一の面と前記第二の面の両面に前記透明電極と前記接続端子部を導通させる取出し配線を形成する工程と、
    前記ロール状透明フィルムを貫通するホールを形成する工程と、
    前記ホールを通して前記第一の面の接続端子部と前記第二の面の接続端子部を電気的に接続する工程と、
    前記第一の面の透明電極上に機能性膜をロールツーロール方式で印刷形成する工程とを有することを特徴とする、機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法。
  2. 前記透明電極を形成する工程が、酸化インジウム錫(ITO)をスパッタ装置を用いて成膜する工程と、エッチング装置を用いて酸化インジウム錫をエッチングする工程とを有することを特徴とする、請求項1に記載の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法。
  3. 前記透明電極を形成する工程が、Cu、Ag、Pt、Au、Al、Zn、Zrの群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料からなる幅20μm以下の線状パターンをメッシュ配置させた電極を形成する工程を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法。
  4. 前記金属材料がCuであることを特徴とする、請求項3に記載の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法。
  5. 前記機能性膜を形成する工程が、ハードコート(HC)膜、反射防止(LR)膜、帯電防止(AS)膜、耐指紋付着(AF)膜、ブロッキング防止(AB)膜の群から選ばれる少なくとも1種類以上の膜を形成する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1つに記載の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか1つに記載の機能性膜付きタッチパネルフィルムの製造方法を用いて製造されたタッチパネル。
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