本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6から構成されている。冷凍室7は、下段冷凍室5と、下段冷凍室5の上方の左右に併設された製氷室3、及び上段冷凍室4を備えている。
冷蔵室2は左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bを備え、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを、単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと呼ぶ場合がある。冷蔵庫1と冷蔵室扉2a、2bを固定するために扉ヒンジが冷蔵室2上部及び下部に設けてあり、上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー53で覆われている。また、庫外温度センサ52は、冷蔵庫1の温度の影響を受け難い位置として、例えば、冷蔵庫1の扉ヒンジカバー53の内部に設けている。
次に、図2は、本発明の実施形態に係る冷蔵室の扉を外した状態の正面図である。図3は、図2のB−B断面図であって第一の冷気ダクト11aの断面図である。図4は、図2のC−C断面図であって第二の冷気ダクト11bの断面図である。図5は、図2のD−D断面図である。
冷蔵庫1の庫外と庫内は、外箱10aと内箱10bとの間に発泡断熱材を充填して形成される、断熱箱体10によって隔てられている。なお、断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、複数の真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装している。各貯蔵室は上断熱仕切壁28によって、冷蔵室2と上段冷凍室4、及び製氷室3が隔てられ、また、同様に下断熱仕切壁29によって下段冷凍室5と野菜室6が隔てられている。冷蔵室扉2a、2bの庫内側には複数の扉ポケット33a、33b、33cと、冷蔵室2には複数の棚34a、34b、34c、34d、34e(総称して棚34)が上下方向に設けてあり(図4参照)、複数の貯蔵スペースに区画されている。
上段冷凍室4及び製氷室3と下段冷凍室5との間には、冷凍室7(製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5)の断熱仕切壁40を設けている。上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6には、それぞれの前方に備えられた扉4a、5a、6aと一体に移動する収納容器4b、5b、6bがそれぞれ設けられており、扉4a、5a、6aを手前側に引き出すことにより、収納容器4b、5b、6bも引き出せるようになっている。なお、製氷室3にも扉3aと一体に移動する収納容器が設けられ、扉3aを手前側に引き出すことにより、収納容器3bも引き出せる。
冷却器14は、下段冷凍室5の略背部に備えた冷却器収納室8内に設けてあり、冷却器14の上方に設けた第一の送風手段である第一のファン9により、冷却器14と熱交換した冷気が冷蔵室冷気ダクト11(第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11b)、上段冷凍室冷気ダクト12、下段冷凍室送風ダクト13、及び製氷室送風ダクト(図示なし)を介して、冷蔵室2、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
各貯蔵室への冷気の送風は、冷蔵室ツインダンパ20と、冷凍室ダンパ60の開閉により制御される。冷蔵室ツインダンパ20は、第一の風量調整手段及び第二の風量調整手段の一例であるバッフル20a、20bを有しており、いわゆるツインバッフル型のダンパである。冷蔵室ツインダンパ20は、モータ駆動部46(図4参照)によってバッフル20a、20bを開閉させて風量を調整する。第一の冷気ダクト11aの一側端部は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a(第一の風量調整装置)側に接続されており、第二の冷気ダクト11bの一側端部は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20b(第二の風量調整装置)側に接続されている。
また、冷凍室ダンパ60は、モータ駆動部(図示せず)によって、バッフル60a(第四の風量調整装置)を駆動することで、冷凍室7へ供給する風量を調整する。
冷却器14の下部には除霜ヒータ22を設けている。除霜時に発生したドレン水は樋23に一旦落下し、ドレン孔27を介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿21に排出される。冷蔵庫1の背面下部に設けた機械室61内には、圧縮機24の他に放熱器と放熱用のファン(図示なし)が配置されている。
冷蔵庫1の上壁上部後方にはメモリー、インターフェース回路を搭載した制御基板51が配置されており、制御基板51のROMに記憶された制御手段に従って冷凍サイクル、及び送風系の制御が実施される。制御基板51は基板カバー50で覆われている。
次に、図4には冷蔵室冷気ダクト11の第二の冷気ダクト11bの断面図を記載している。冷蔵室冷気ダクト11以外の構成は、図2と同様であるので説明は省略する。第二の冷気ダクト11bの一側端部は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20b(第二の風量調整装置)側に接続されており、第二の冷気ダクト11bの他端のダクト途中には第二の送風手段として第二のファン15を設けている。第二の冷気ダクト11b内で冷蔵室2の庫内側に、第二のファン15の冷気吸込み部を設け、冷蔵室2の上壁63の奥側スペースを利用した冷気混合領域19側に、第二のファン15の冷気吐出部を設けている。すなわち、第二のファン15は冷蔵室2の前側から冷気を吸い込んで、冷蔵室2の後側に冷気を吐出するように配置している。最上段の棚34aよりも上の位置で、第二の冷気ダクト11bに第二冷気流通部31a、31bを設けている(図4参照)。第二冷気流通部31a、31bは冷気を吐出する吐出口としての機能を有する。
第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15と、第二冷気流通部31a、31bの距離が近いので、第二のファン15の吐出側に第二の冷気ダクト11bの吐出口を設けると、第二のファン15による冷気の乱れの影響を受けたまま吐出口から冷気が送風される。また、冷却器14に霜が成長して冷蔵室2側の送風経路の通風抵抗が変化することによっても、第二のファン15から吐出される冷気の速度分布が変化することがある。そのため、第二のファン15の吐出側に冷気混合領域19を設けることにより、一旦、速度分布を緩和させた後、第二冷気流通部31a、31bから冷気を吐出させ、風量配分が偏らないように配慮している。
冷蔵室2を冷却する冷蔵室冷却運転の場合には、冷蔵室ツインダンパ20を開、冷凍室ダンパ60を閉にし、第一の冷気ダクト11aに設けた第三冷気流通部30a、30b、30c、30d、または、第二の冷気ダクト11bに設けた第二冷気流通部31a、31bから冷蔵室2に冷気が送られる(図2参照)。冷蔵室2を冷却した後の冷気は、冷蔵室2下部に設けた冷気戻り部39(図2参照)に流入し、その後、冷却器14に戻される。
野菜室6の冷却手段については種々の方法があるが、例えば、冷蔵室2を冷却した後に野菜室6に冷気を送る方法や、野菜室専用の風量調整装置(一例として電動開閉ダンパ装置)を用いて冷却器14で熱交換した冷気を直接野菜室6に送る方法が考えられる。本実施例においては、野菜室6への冷気の供給方法についてはいずれの場合でも良い。図3、または図4に記載の例では、野菜室6に流入した冷気は、断熱仕切壁29の下部前方に設けた、野菜室側冷気戻り部18aから野菜室冷気戻りダクト18を介して、冷却室冷気戻り部18bから冷却器14下部に流入する。
冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転の場合には、冷蔵室ツインダンパ20を閉、冷凍室ダンパ60を開にし、上段冷凍室冷気ダクト12、及び下段冷凍室冷気ダクト13のそれぞれに設けた複数の冷凍室冷気流通部12a、13a、13bから冷気が吐出されて、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び製氷室3を冷却した後、冷凍室冷気戻り部17から冷却器14に戻される。庫内の温度に応じて、冷蔵室2と冷凍室7を同時に冷却する運転もあり、その場合には冷蔵室ツインダンパ20と冷凍室ダンパ60をいずれも開にして各貯蔵室に冷気を送風する。
冷却運転時の具体的な制御方法と、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bによる冷蔵室2内(領域2A(第二の領域)、領域2B(第一の領域)、領域2C(第三の領域))の冷気の流し方については後述する。
次に、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bは、発泡スチロール41を一例とする断熱性材料で風路が形成されており、第一の冷気ダクト11aには第三冷気流通部30a、30b、30c、30d、冷気ダクト11bには第二冷気流通部31a、31bをそれぞれ形成している。第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bの背面側には、シール部材62を用いてダクトを形成している。発泡スチロール41で形成された第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bは、例えば樹脂で成型されたパネル形状の背面部材47と組み合わせ、冷蔵室2の背面奥側に設置されている。第一の冷気ダクト11aは、第二の冷気ダクト11bよりも流路断面積を大きくしている。また、第一の冷気ダクト11aは、冷蔵室ツインダンパ20の開口面積が大きいバッフル20a側に接続することにより、使用頻度が高い棚34b、34c、34d、34eに置いた食品を効率良く冷却することができる。冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47には、第三の温度センサ42と、第一の温度センサ44を設けている。なお、第三の温度センサ42と第一の温度センサ44の詳細については後述する。
第一の冷気ダクト11aで冷蔵室2を冷却する場合(図6a、図6b参照)はバッフル20aを開、バッフル20bは閉、第二の冷気ダクト11bで冷蔵室2を冷却する場合(図7a、図7b参照)はバッフル20aを閉、バッフル20bを開、また、第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bの両方で冷蔵室2を冷却する場合(図8a、図8b参照)はバッフル20a、20bをそれぞれ開にする。
第一の冷気ダクト11aの途中には、上から順番に第三冷気流通部30a、30b、30c、30dを設けてあり、それぞれから送風される冷気で、最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された領域2C(第三の領域)、すなわち、棚34b、34c、34d、34eに置かれた食品を主に冷却する。
第二の冷気ダクト11bの先端部、すなわち最上段の棚34aよりも上の位置に第二冷気流通部31a、31bを設けてあり、それぞれから送風される冷気で、最上段の棚34aと上壁63で区画された領域2A(第二の領域)、すなわち、最上段の棚34aや最上段の扉ポケット33aに置かれた食品を主に冷却する。また、第一の冷気ダクト11aの端部には、第三冷気流通部30aを設けているので、領域2Aの一部となる棚34aも第一の冷気ダクト11aによって冷却できる。
棚34b、34c、34d、34eの前方の扉ポケット33b、33cの周辺部、及び、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された場所を領域2B(第一の領域)とする。領域2Bは第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bから送風される冷気が共通して流れる領域である。更に、冷蔵室2の下部に設けた冷凍室7の影響により冷却され易い領域となる。領域2B内の上断熱仕切壁28の上方には、製氷水タンク36と貯蔵室35を設けている。第二の冷気ダクト11bの領域2B内には、第一冷気流通部32aにダンパ16を設けている。ダンパ16に備えた第三の風量調整手段であるバッフル16aの開閉により、貯蔵室35の温度調整を行なっている。貯蔵室35の温度設定は、冷蔵室2や冷凍室7と同様に、温度設定ボタン(図示なし)によって設定できる。貯蔵室35の背面側に設けたバッフル16aの開閉により、貯蔵室35の背面側に設けた第一の温度センサ44で検出される温度に基づいて温度調整がなされる。一般的に、貯蔵室35は冷蔵室2の温度帯よりも低めに設定されたチルドルームを設けていることが多い。貯蔵室35内の温度調整はダンパ16のバッフル16aによる冷気の送風量で調整されるが、貯蔵室35の温度を高める場合は、貯蔵室35の下部に設けた温度調整用の加熱手段(一例としてヒータ19)によって加熱する場合もある。
第二の冷気ダクト11bの領域2B内には、ダンパ16を設けた方が望ましいが、ダンパ16を備えていない第一冷気流通部32aの場合は、第二の冷気ダクト11bに冷気を送風して冷蔵室2を冷却する際に、 貯蔵室35と製氷水タンク36付近にも第一冷気流通部32aから直接冷気が供給されるので、過度に冷え過ぎないように第一冷気流通部32aの大きさを予め調整しておく。冷え過ぎた場合は、貯蔵室35の下部に設けたヒータ19で、温度調整を行なう。
第一冷気流通部32aにダンパ16を設けない場合は、第一冷気流通部32aにダンパ16を設けて、直接、貯蔵室35と製氷水タンク36付近の冷気の送風量を調整した場合に比べると、冷蔵室2内の冷気循環運転(図10a、10b参照)を行なった際の、ヒータ19の入力低減による省エネ効果は減る。しかしながら、第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15を運転することによって、冷蔵室2内の冷気循環運転を実施することができるので、ヒータ19の入力低減による省エネ効果は得られる。冷気循環運転の詳細は後述する。
図2では貯蔵室35の一例として、減圧貯蔵室を示している。内部の圧力を低下させるために減圧用ポンプ(図示なし)を備えてあり、内部の圧力を維持するために貯蔵室の扉56は、ハンドル55でロックできるようになっている。また、貯蔵室35は、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bから送風された冷気が共通して流れる領域2Bに設けているので、温度が低下し易い傾向にある。そこで、貯蔵室35内に直接冷気が流入して冷え過ぎないように間接冷却方式にし、貯蔵室35の周囲の温度低下の影響を受け難くしている。また、領域2Bには貯蔵室35の他に製氷水タンク36も設けているので、製氷水タンク36内に水を入れて熱負荷を増やすことで、貯蔵室35内の温度低下速度を抑制する(温度変動を抑制する)効果も得られる。
更に、図13を用いて後述するが、冷凍室冷却運転中に冷蔵室2の上部空間(領域2A)の温度が高くなった場合には、第二のファン15を運転して冷蔵室2内を循環させる。その際に、製氷水タンク36の周囲を通過する冷気の温度が製氷水タンク35内の水よりも高い場合には、製氷水タンク35内の水を冷熱源(蓄熱材)として使用することもできる。
本実施例では、冷蔵室2の最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された領域2Cに設けた第三の温度センサ42、最上段の棚34aと冷蔵室2の上壁で区画された領域2Aに設けた第二の温度センサ43、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bのそれぞれの吐出口から送風された冷気が、共通して流れる領域2Bに設けた第一の温度センサ44をそれぞれ備えている。例えば、第三の温度センサ42は、第二の温度センサ43と第一の温度センサ44の間に位置し、冷蔵室2の奥側に設けた冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47の貯蔵空間側に設けている。第二の温度センサ43は冷蔵室2の上壁63に設けている。また、第一の温度センサ44は最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域の冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47の貯蔵空間側に設けている。
なお、第三の温度センサ42は、冷蔵室2の最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された領域2C、第二の温度センサ43は、最上段の棚34aと上壁63で区画された領域2A、第一の温度センサ44は、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bのそれぞれの冷気流通部から送風された冷気が共通して流れる領域2Bの温度を検出できれば、必ずしもこの位置に限定されるものではない。さらに、各温度センサを少なくとも一部覆い、保護するカバーを設けてもよい。
冷蔵室2の最上段の棚34aと、最下段の棚34eで区画された領域2Cの温度を検出する第三の温度センサ42、最上段の棚34aと冷蔵室2の上壁63で区画された領域2Aの温度を検出する第二の温度センサ43、第一の冷気ダクト11aの第三冷気流通部30a、30b、30c、30dと第二の冷気ダクト11bの第二冷気流通部31a、31bから送風された冷気が共通して流れる領域2Bの温度を検出する第一の温度センサ44で検出される温度に応じて、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a、20bの開閉を制御する。
冷蔵室2を第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bの2つの冷気ダクトを切り替えて行なう冷気送風は、以下の理由に基づいて行なわれる。
冷蔵室2の庫外からの熱の侵入は、冷蔵室2の内側壁面と外気との温度差に起因して生じる現象である。冷蔵室2の平均温度は、一例として約5℃のプラス温度に保たれているが、冷蔵室冷気ダクトの吐出口からはマイナス温度の冷気が吐出される場合がある。この吐出冷気を冷蔵室2の内側壁面に沿って循環させると、壁面が冷却されて温度がより低くなる。そのため、庫外からの熱の侵入が大きくなって、消費電力量の増加を招くことがある。例えば、外気温度が30℃の場合、冷蔵室2上部に設けた制御基板51付近の温度は約40℃になり、冷蔵室2の上壁63を過度に冷却することは、庫内外の温度差が更に大きくなるため熱侵入が大きくなり、省エネルギー性能が悪化する。
従来の一般的な冷蔵庫では、冷蔵室2を冷却している間、冷蔵室冷気ダクト先端部付近から冷蔵室2の内側の上壁面や側壁面に沿って冷気を常時循環させている。従って、冷蔵室2内の壁面が過度に冷却されることで、省エネルギー性能の悪化することがある。
本実施例では、第一の温度センサ44、第二の温度センサ43、第三の温度センサ42で検出される温度に基づいて、冷蔵室2の冷却用に設けた2つの冷気ダクト、すなわち、冷気風量の割合を多くした第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bを切り替えて使用することにより、冷蔵室2の内側壁面の過度の冷却を抑制して省エネルギー性能を高めた冷蔵室2の冷却運転を実施することができる。
次に、図6aに第一の冷気ダクト11aで冷蔵室2を冷却した場合の冷気の流れを示す。図6bは図6aのE−E断面図である。
図6a、図6bでは、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aを開(バッフル20bは閉)にし、第一の冷気ダクト11aに設けた第三冷気流通部30a、30b、30c、30dから冷気を送風して、主に最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された領域2C、すなわち使用頻度が高い場所の棚34b、34c、34d、34eに置かれた食品を冷却してから、次に扉ポケット33b、33c、及び最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷却を行う、省エネルギー性能を重視した冷却手段である。また、第一の冷気ダクト11aには最上段の棚34aよりも上の位置に第三冷気流通部30aを設けているので、最上段棚34aに置いた食品も冷却できるようになっている。
第一のファン9を運転することによって、第一の冷気ダクト11aのそれぞれの第三冷気流通部30a、30b、30c、30dから送風された冷気は、冷蔵室2内を冷却した後、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bに冷気が流入し、製氷水タンク36と貯蔵室35の周囲を通過した後、冷蔵室冷気戻り部39から冷却器14に戻される。製氷水タンク36や貯蔵室35は、一般的に冷蔵室2の最下段の棚34eの下に設けている場合が多いため、凍結しないように温度管理をする必要がある。
次に、図7aは第二の冷気ダクト11bで冷蔵室2を冷却した場合の冷気の流れである。図7bは図7aのF−F断面図である。第二の冷気ダクト11bによる冷蔵室2の冷気は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20bを開にして(バッフル20aは閉)、冷蔵室2の上壁63の近傍に沿って冷気を送風し、主に領域2Aを冷却してから中段の扉ポケット33b、33cと、最下段の棚34eと断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷却を行なう。その後は同様に、冷蔵室冷気戻り部39から冷却器14に戻される。第二の冷気ダクト11bを用いた冷蔵室2への冷気の送風は、第一のファン9及び第二のファン15を運転することによって行なわれる。第二の冷気ダクト11bの端部に設けた第二のファン15の運転方法については後述する。なお、図7bでは第二の冷気ダクト11bに設けたダンパ16のバッフル16aが開いている場合の、冷気の流れの一例を示している。
次に、図8aは第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bを同時に使用して冷蔵室2を冷却した場合の冷気の流れである。図8bは第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bのそれぞれのダクト断面を合わせて表示した図である。
冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a、20bの両方を開にし、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを用いて、冷蔵室2の冷気ダクトを分割しない従来と同様の冷却も実施できる。この場合、扉ポケット33b、33cと、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bは、第一の冷気ダクト11aの第三冷気流通部30a、30b、30c、30dと、第二の冷気ダクト11bの第二冷気流通部31a、31bから送風された冷気が共通して流れる領域となるため冷え易くなる。また、最上段の棚34aに置いた食品は、第一の冷気ダクト11aの第三冷気流通部30aと、第二の冷気ダクト11bの第二冷気流通部31a、31bから吐出される冷気によっても冷やせるので、急速に食品を冷却する場合に適している。
次に、冷蔵室2の冷却方法について温度チャートを用いて説明する。また、第一の冷気ダクト11a、及び第二の冷気ダクト11bを切り替えて冷蔵室2に冷気を送風する場合に発生する、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷え過ぎ抑制手段について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートである。冷蔵室2の冷却運転の開始は、例えば、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR3)Max(第三の温度センサ上限温度閾値)に到達した時に、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aを開にして、第一の冷気ダクト11aで冷蔵室2に冷気を送風する。同様に、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Max(第二の温度センサ上限温度閾値)に到達した時に、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20bを開にして、第二の冷気ダクト11bで冷蔵室2に冷気を送風する。図9では一例として、第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bによる冷却が時間t1で同時に始まっているが、必ずしも同時開始でなくても良い。
時間t2において、例えば、最上段の棚34aや、扉ポケット33a等に高温の食品を収納したり、扉2a、2bの開閉を頻繁に行なったりした場合、その近くの第二の温度センサ43で検出される温度は、熱負荷が増えるため一旦上昇した後、しばらく経ってから温度が低下する。第一の冷気ダクト11aからの冷気の送風は、第三の温度センサ42が温度(TR3)Min(第三の温度センサ下限温度閾値)に到達する時間t3で終了する。
このような条件では、第二の冷気ダクト11bからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR2)Min1(第二の温度センサ下限温度閾値)に到達するまでの時間(時間t5)が遅くなるので、その間、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や貯蔵室35の周囲も同時に冷却され続ける。製氷水タンク36の水や、貯蔵室35内の食品の凍結防止を判定する、第一の温度センサ44で検出される温度を2段階、すなわち(TR1)Min1(第一の温度センサ下限温度閾値)とそれよりも低い温度(TR1)Min2(第一の温度センサ下限第二温度閾値)を予め決めておく。
時間t4の時点で、第一の温度センサ44で検出される温度は(TR1)Min1よりも低くなるが、第二の温度センサ43の近くにある、最上段の棚34aや、扉ポケット33a等に入れた食品の冷却を優先するために、第二の冷気ダクト11bからの冷気の送風を、温度(TR2)Min1に到達する時間t5まで継続させる。但し、第二の冷気ダクト11bによる冷却は、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min2に到達するまでとする。
温度(TR2)Min1に到達した時間t5において、第一のファン9を停止して冷却器14で冷却された冷気の送風を止める。この時点で冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aとバッフル20bは、いずれも閉の状態である。引き続き冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転を行なう際には、第一のファン9の運転を継続し、ダンパ60を開にして冷凍室7に冷気を送風する。
第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min1以下のままでは、製氷水タンク36の水や貯蔵室35内の食品が凍結する恐れがあるので、冷蔵室2内の比較的温度が高い上部空間の空気を利用して温度(TR1)Min1以上になるように温度を上げる。貯蔵室35は、例えば、第一の温度センサ44で検出される温度によって、高温側温度閾値(TR1)Hと低温側温度閾値(TR1)Lに設定することができる。図9に示した例では、第一の温度センサ44が低温側温度閾値(TR1)Lに到達する時間t6まで第二のファン15を運転している。更に、第二のファン15の運転を継続して、第一の温度センサ44で検出される温度を高温側温度閾値(TR1)Hにする場合、第二の温度センサ43が(TR2)Min2を下回る時には第二のファン15の運転を止めて、ヒータ19のみで加熱を行なう。
第二のファン15を運転して冷蔵室2内を循環しているので、領域2Aの空気(相対的に高めの温度)を利用して第一の温度センサ44で検出される温度を(TR1)Lまで高めている間に、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの空気(相対的に低めの温度)によって、第二の温度センサ43で検出される温度は(TR2)Min1以下になってしまう場合は、その時点で第二のファン15の運転を止めて、ヒータ19のみで第一の温度センサ44が(TR1)Lに到達するまで加熱する。または、第二の温度センサ43が(TR2)Min1より低くなっても、使用頻度が高い領域2Cの棚34に置いた食品への影響は少ないので、(TR2)Min1以下に新たに第二下限温度閾値(TR2)Min2を設けて、(TR2)Min2に到達するまで第二のファン15の運転を行なうようにしても良い。
従来は製氷水タンク36と貯蔵室35の温度を上げる場合は、貯蔵室35の下部に設けたヒータ19で加熱していたが、本実施形態の冷蔵庫では、冷蔵室2内の第二の冷気ダクト11b内に設けた第二のファン15によって、冷蔵室2上部の比較的温度が高い空気を熱源にして、冷蔵室2下部の領域の温度を高めることができる。従って、製氷水タンク36と貯蔵室35の温度を上げる場合は、第二のファン15による冷蔵室2内の冷気循環運転単独、又は冷気循環運転中にヒータ19を併用できるので、その分ヒータ19の入力を抑えることができる。ヒータ19による加熱制御は、ONとOFFを繰り返して通電割合を変える制御や、図9に示すように、例えば、ヒータ19の入力をレベル1からレベル2へ下げる制御にしても良い。
ここで、冷蔵室2内で行なわれる冷気循環について説明する。図10aは第二の冷気ダクト11bによる、冷蔵室2内の冷気循環の様子を示した図である。図10bは図10aのG−G断面図である。第二のファン15を運転し、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a、20bを閉じて、ダンパ16のバッフル16aを開にすると、領域2Bの空気はバッフル16aから第二の冷気ダクト11bに流入し、第二冷気流通部31a、31bから領域2Aに吐出されて、冷却器14を通さずに冷蔵室2内を循環させることができる。このように比較的温度が高い領域2Aの空気が、比較的温度が低い領域2Bに向かって循環するので、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域の温度を高めることができる。図9に示すように、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Lに到達した時点で、第二のファン15を停止して冷蔵室2内の冷気循環運転は終了する。
第二の冷気ダクト11bの第二冷気流通部31a、31bから送風された冷気は、冷蔵室2内の領域2A、領域2B、第一冷気流通部32a、バッフル16aを通過して再び第二の冷気ダクト11bに戻る。この冷気循環経路は、冷蔵室2の上壁63と扉2a、2bに沿った経路であるため、最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された使用頻度が高い領域2Cの温度変動は比較的小さく抑えられ、食品の保存性への影響は小さい。また、冷蔵室2内の冷気循環の効果により、比較的温度が高い領域2Aの空気を熱源として利用できるので、貯蔵室35の下部で上断熱仕切壁28に設けたヒータ19の入力を抑えることができ、省エネルギー性能を高くすることができる。冷蔵室2の上壁63と扉2a、2bに沿った循環経路となるが、冷蔵室2内のプラス温度帯の冷気を循環させるため、冷却器14で冷却されたマイナス温度の冷気を循環させる場合と比べて庫外からの熱侵入の増加は小さく、消費電力量への影響は少ない。
このように、本実施形態の基本となる冷蔵室2の冷却手段では、冷蔵室冷気ダクト11を第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの2つに分割して冷却しているため、それぞれ第三の温度センサ42と第二の温度センサ43に基づいて、バッフル20aとバッフル20bの開閉制御を実施している。また、これらに加えて第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bからの冷気によって常時冷却される製氷水タンク36と、貯蔵室35の凍結防止を目的に、バッフル20aとバッフル20bを閉じ、バッフル16aを開けて、第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15を運転することによって、比較的温度が高い冷蔵室2上部の空気を熱源として、第一の温度センサ44が凍結防止温度以上になるように、ヒータ19と併用しながら調整している。なお、第二のファン15による冷蔵室2内の冷気循環は、第二の温度センサ43で検出される温度が、第一の温度センサ44で検出される温度よりも高い時に実施する。
次に、図11は本発明の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の、他の制御の温度チャートである。
時間t2において、最上段の棚34aと最下段の棚34eで区画された領域2Cの棚34b、34c、34dの上に、高温の食品を収納したり、一度に多くの食品を持ち込んだりした場合、その近くに設けてある第三の温度センサ42で検出される温度は、熱負荷が増えるため一旦上昇した後、しばらく経ってから温度が低下する。
このような場合も同様に、図9で説明した冷蔵室2の下部の冷え過ぎ現象が発生する。第一の冷気ダクト11aからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR3)Minに到達するまでの時間(時間t5)が遅くなるので、その間、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や貯蔵室35の周囲も同時に冷却され続ける。製氷水タンク36の水や、貯蔵室35内の食品の凍結防止を判定する第一の温度センサ44で検出される温度を2段階、すなわち(TR1)Min1とそれよりも低い温度(TR1)Min2を予め決めておく。時間t4で既に第一の温度センサ44で検出される温度は(TR1)Min1よりも低くなるが、第三の温度センサ42の近くにある、領域2Cの棚34b、34c、34dに置いた食品の冷却を優先するために、第一の冷気ダクト11aからの冷気の送風を、温度(TR3)Minに到達する時間t5まで継続する。但し、第一の冷気ダクト11aによる冷却は、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min2に到達するまでとする。
温度(TR3)Minに到達した時間t5において、第一のファン9を停止して冷却器14で冷却された冷気の送風を止める。この時点で冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aとバッフル20bは、いずれも閉の状態になっている。引き続き冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転を行なう際には第一のファン9の運転を継続し、ダンパ60を開にして冷凍室7に冷気を送風する。
第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min1以下のままでは、製氷水タンク36の水や貯蔵室35内の食品が凍結する恐れがあるので、冷蔵室2内の比較的温度が高い上部空間の空気を利用して温度(TR1)Min1以上になるように温度を上げる必要がある。図11では、第一の温度センサ44が、低め温度(TR1)Lに到達する時間t6まで第二のファン15を運転している。この場合も同様に、第二の温度センサ43が(TR2)Min1より低くなっても、使用頻度が高い領域2Cの棚にある食品への影響は少ないので、(TR2)Min1以下に新たに(TR2)Min2(第二の温度センサ下限第二温度閾値)を設けて、(TR2)Min2に到達するまで第二のファン15の運転を行なうようにしても良い。
従来は製氷水タンク36と貯蔵室35の温度を上げる場合は、貯蔵室35の下部に設けたヒータ19によって加熱していたが、本実施形態の冷蔵庫では、冷蔵室2内の第二の冷気ダクト11b内に設けた第二のファン15によって、冷蔵室2上部の比較的温度が高い空気を熱源にして、冷蔵室2下部の領域の温度を高めることができる。従って、製氷水タンク36と貯蔵室35の温度を上げる場合は、第二のファン15による冷蔵室2内の冷気循環の単独運転、又は冷気循環と併用してヒータ19を使用できるので、その分ヒータ19の入力を抑えることができる。なお、第二のファン15を用いた冷蔵室2内の冷気循環運転は、図10a、図10bに示した冷気の流れと同様である。
次に、図12は本発明の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の、他の制御の温度チャートである。
冷蔵室2への食品の投入場所や食品の投入量によっては、第二の温度センサ43と第三の温度センサ42が共に温度上昇する場合がある。食品を投入した後、時間t2において、第二の温度センサ43と第三の温度センサ42で検出される温度が高くなるので、第一の冷気ダクト11aからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR3)Minに到達するまでの時間と、第二の冷気ダクト11bからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR2)Min1に到達するまでの時間が遅くなる。従って、冷蔵室2内を冷却する時間が長くなるので、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や貯蔵室35の周囲も同時に冷却され続け、凍結の恐れが高まる。
製氷水タンク36の水や、貯蔵室35内の食品の凍結防止を判定する、第一の温度センサ44で検出される温度を2段階、すなわち(TR1)Min1とそれよりも低い温度(TR1)Min2を予め決めておく。時間t4の時点で、第一の温度センサ44で検出される温度は(TR1)Min1よりも低くなるが、時間t5の時点で、第二の温度センサ43で検出される温度は(TR2)Min1に到達せず、また第三の温度センサ42で検出される温度も(TR3)Minに到達していないが、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min2に到達してしまうので、バッフル20aとバッフル20bを閉じて冷気の送風を止める。この時点でバッフル20aとバッフル20bはいずれも閉の状態になっているが、引き続き冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転を行なう際には第一のファン9の運転を継続し、ダンパ60から冷凍室7に冷気を送風する。
第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Min1以下のままでは、製氷水タンク36の水や貯蔵室35内の食品が凍結する恐れがあるので、冷蔵室2内の比較的温度が高い上部空間の空気を利用して温度(TR1)Min1以上になるように温度を上げる必要がある。貯蔵室35は、例えば、第一の温度センサ44で検出される温度によって、高温側温度閾値(TR1)Hと低温側温度閾値(TR1)Lに設定することができる。一例として、図12では第一の温度センサ44が低温側温度閾値(TR1)Lに到達する時間t6まで、第二のファン15を運転している。
本実施形態の冷蔵庫では、冷蔵室2内に設けた第二のファン15による冷気循環の単独運転、又は冷気循環とヒータ19を併用して使用できるので、製氷水タンク36と貯蔵室35の周囲の温度を高めることができ、その分ヒータ19の入力を抑えることができる。なお、第二のファン15を用いた冷蔵室2内の冷気循環運転は、図10a、図10bに示した冷気の流れと同様である。
次に、図13は本発明の第一の実施形態に係る冷蔵室の、冷却運転時の他の制御の場合の温度チャートである。
冷凍室7を冷却している時間帯(図13の時間t5以降)は、冷蔵室2に冷気を供給していないため、自然対流の影響が現れ、最下段の棚34eと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの温度は低く、また、最上段の棚34aと上壁63で区画された領域2Aの温度が高くなり易い。冷蔵庫1の断熱性能を高めると、冷却能力は少なくて済むので、圧縮機24を低速運転にして消費電力量を少なくできる。しかし、各貯蔵室に冷気を送風して冷却する時間が長くなり、冷蔵室2は冷凍室7に比べて縦に長い空間であるため、冷蔵室2に冷気を供給しない冷凍室冷却運転が長いと、冷蔵室2内は自然対流の影響により、領域2Aの温度が高くなる傾向にある。
冷凍室冷却運転中に第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Min以上になる場合、バッフル20aとバッフル20bを閉じたままで、バッフル16aを開にして第二のファン15を運転し、第二の温度センサ43で検出される温度を低下させる。第二のファン15を運転すると、領域2Aの温度は低下するが領域2Bの温度は高くなってくるため、第二のファン15の運転は少なくとも第一の温度センサ44で検出される温度が(TR1)Hに到達するまでとなる。
冷凍室7と冷蔵室2を同時に冷却する運転は、マイナス温度で維持される冷凍室7を考慮するため、冷蔵室2を単独で運転する場合の冷却器14の温度よりも低くなり、冷凍サイクルの効率が悪くなる。従って、冷凍室7と冷蔵室2はそれぞれの温度帯に適した冷却器14の温度で冷却した方が冷凍サイクルの効率が良くなるので、冷凍室冷却運転の途中で冷蔵室2に冷気を送風しない方が省エネ性能は高まる。
図9、図11、図12では、領域2Bに配置した製氷水タンク36の水や貯蔵室35内の食品の凍結防止のために、冷蔵室冷却運転後に第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15を運転することで、ヒータ19の入力を抑えながら、第一の温度センサ44で検出される温度を高くできることを説明した。
更に、冷凍室冷却運転中は、冷蔵室2に冷気を送風しない時間帯が長くなるので、冷蔵室2は自然対流の影響を受けて冷蔵室2の上部、すなわち領域2Aの温度が高くなり易くなる。第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15を運転することにより、比較的温度が低い冷蔵室2の下部の空気を利用して、第二の温度センサ43で検出される温度を(TR2)Max以下にすることができる。これにより、冷凍室冷却運転中に冷却器14で冷却した冷気で冷蔵室2を同時に冷却することなく、効率の良い冷却運転が継続できる。
第二の冷気ダクト11bに設けた第一のファン9の運転は、図9、図11、図12、図13の温度チャートで説明したように、冷蔵室2内の冷気循環を目的としたものである。すなわち、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bのそれぞれの冷気流通部から送風された冷気が、共通して流れる領域2Bの冷え過ぎ抑制と、冷凍室冷却運転中の冷蔵室2上部の温度上昇の抑制である。
次に、第二のファン15の他の運転方法について説明する。図3に示すように、冷蔵室2の扉2a、2bを開放する時間が長いと、冷蔵室2内の冷気は自然対流の影響によって、領域2Bの冷気が庫外の下に向かって流出し、反対に冷蔵室2の上部、すなわち、領域2Aには庫外から温度の高い空気が流入してくる。このように、食品の出し入れが頻繁に行なわれると、領域2Aや領域2B、特に扉ポケット33a、33b、33cの周囲の温度が高くなるので、第二の温度センサ43で検出される温度(例えば、温度(TR2)Maxよりも高い(TR2)Max´を超えた場合)に応じて、冷却器14で冷却された冷気を冷蔵室2に送風する際に、第一のファン9と第二のファン15を同時に運転しても良い。更に、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR3)Maxよりも高くなった場合には、第一のファン9と第二のファン15を運転して、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの両方から冷気を送風させることもできる。
以上のように、第二の冷気ダクト11bに設けた第二のファン15は、冷却器14を通さない冷蔵室2内の冷気循環と、冷却器14で冷却した冷気を冷蔵室2に送風する通常の冷却運転にも利用することができる。