以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
≪実施例1≫
本発明に関する冷蔵庫の実施例1を、図1から図11を参照して説明する。
図1は、実施例1に関する冷蔵庫の正面図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、実施例1に関する冷蔵室2内部の正面模式図である。なお、図3では後述する扉2a、2b、3a、4aは省略している。
実施例1の冷蔵庫1は、貯蔵室として上方から冷蔵温度帯(0℃以上)の第一の貯蔵室である冷蔵室2、冷凍温度帯(0℃以下)の第二の貯蔵室である冷凍室60、冷蔵室2と同様に冷蔵温度帯の貯蔵室であって、相対的に冷蔵室2よりも温度が高い野菜室6を備えている。
冷凍室60は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の総称であり、製氷室3と上段冷凍室4は左右に配置され、下段冷凍室5は製氷室3及び上段冷凍室4の下方に配置されている。冷蔵室2は前面側に左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a、2bとを備え、製氷室3と、上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを、単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと呼ぶ。
冷蔵庫1は、開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)や、冷蔵室2や冷凍室60の温度設定をする温度設定器(図示せず)等を備えている。扉2a、2bを回動可能にするために、冷蔵庫1に固定する扉ヒンジ(図示せず)が冷蔵庫の上部と下部に設けられており、上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー38で覆われている。
冷蔵庫1の庫内と庫外は、一例として発泡ウレタンの発泡断熱材を充填することにより形成された断熱箱体10によって隔てられている。断熱箱体10のうち、冷蔵室2の上部と庫外とを断熱する上側の壁面を上壁10aと呼ぶ。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は、発泡断熱材と共に複数の真空断熱材26を実装している。
冷蔵庫1では、冷蔵室−冷凍室仕切り壁28により、冷蔵室2と冷凍室60とが隔てられ、冷凍室−野菜室仕切り壁29により、冷凍室60と野菜室6とが隔てられている。製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の各貯蔵室間を隔てる仕切りは設けられていないが、扉3a、4a、5aの隙間から冷凍室60内の冷気が庫外へ漏れないように、冷凍室間仕切り壁30が設けられている。これらの断熱箱体10と仕切り壁28、29、30により形成される冷凍室60の開口縁と、扉3a、4a、5aにより、冷凍室60と庫外とを隔てている。また、冷蔵室2は、断熱箱体10と仕切り壁28により形成される開口縁と、扉2a、2bにより、庫外と隔てている。野菜室6は、断熱箱体10と仕切り壁29により形成される開口縁と、扉6aにより、庫外と隔てている。
本実施例の冷蔵庫1では、冷媒を圧縮する圧縮機24、圧縮機24により高温高圧となった冷媒の熱を庫外に放出させる放熱器(図示せず)、冷媒を減圧させるキャピラリチューブ(図示せず)、冷媒と庫内の冷気を熱交換させて庫内の冷気を冷却する冷却手段である蒸発器7により、冷凍サイクルを構成している。
蒸発器7は、冷凍室60の背面側で、冷凍室60と断熱箱体10の背面壁との間に形成された蒸発器収納室8に設けられている。また、蒸発器7で冷却された冷気を各貯蔵室に送風する第一の送風手段である第一のファン9aは、蒸発器7の上部に設けられている。
冷蔵室2には、貯蔵物を設置する棚39とポケット32をそれぞれ複数備えている。なお、棚39は棚39a、39b、39c、39dの総称である。上壁10aと、最上段の棚39a、上から2段目の棚39b、上から3段目の棚39c、最下段の棚39dによって、冷蔵室2は複数の空間に区画されている。なお、上壁10aと棚39aにより区画された空間、棚39aと棚39bにより区画された空間、棚39bと棚39cにより区画された空間、棚39cと棚39dにより区画された空間を、それぞれ単に棚39aの上部、棚39bの上部、棚39cの上部、棚39dの上部と呼ぶ。
ポケット32は扉2a及び扉2bの貯蔵空間側にそれぞれ設けられている。なお、棚39の食品設置面積(食品が置ける面積)は、ポケット32の食品設置面積に比べて大きくしている。また、棚39及びポケット32は、取り外し可能で、設置位置も変更可能である。
冷蔵室2の下部には、扉40aを設けた冷蔵室内貯蔵室40が備えられている。冷蔵室内貯蔵室40の背部には、後述する冷蔵室冷気戻り口15が備えられている。
冷蔵室2の背面には、風路構成部材80と、風路構成部材80と断熱箱体10により構成された、冷蔵室冷気風路11が設けられている。冷蔵室冷気風路11は、冷却手段である蒸発器7で低温になった冷気を冷蔵室2に導く冷気風路である。冷蔵室冷気風路11の下方には、冷蔵室2への冷気送風を制御する、実施例1の場合において第一の冷気送風制御手段として冷蔵室ダンパ50が設けられている。また、冷蔵室冷気風路11には、冷蔵室2と冷蔵室冷気風路11を連通させる第一の冷気流通部101と、その上方に、同じく冷蔵室2と冷蔵室冷気風路11を連通させる第二の冷気流通部102が設けられている。第一の冷気流通部101は冷気流通部101a、101b、101c、101dの総称である。冷気流通部101aは棚39aの上部に設けられ、同様に冷気流通部101bは棚39bの上部に、冷気流通部101cは棚39cの上部に、冷気流通部101dは棚39dの上部に設けられている。
冷蔵室冷気風路11内には、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102の間に第二の送風手段である第二のファン9bが設けられている。この第二のファン9bを駆動させることで、第二の冷気流通部102から吐出させる冷気の風量を増加させることができる。
冷蔵室2には、冷蔵室2の温度を検知する第一の温度センサ33aと第二の温度センサ33bが備えられている。第一の温度センサ33aは、冷蔵室2の最下段の棚39dの上方、かつ棚39dの上段の棚39cの下方に設けられ、第二の温度センサ33bは、冷蔵室2内の上壁10aに設置されている。冷蔵室2の下部に第一の温度センサ33a、上部に第二の温度センサ33bを設け、冷蔵室2の下部と上部の温度をそれぞれ検知している。
なお、棚39dの上部には、第一の冷気流通部101である冷気流通部101dが設けられているので、第一の温度センサ33aの周辺は、主に第一の冷気流通部101から吐出される冷気で冷却される。また、後述する図6で詳細を示すが、第二の温度センサ33bの周辺は、主に第二の冷気流通部102から吐出される冷気で冷却される。
上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6には、それぞれ各貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aと一体に引き出される収納容器4b、5b、6bを設けており、各扉の取手部(図示せず)に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b、5b、6bを引き出せるようになっている。製氷室3も同様に、扉3aと一体に引き出される収納容器(図示せず)を設け、扉3aの取手部(図示せず)に手を掛けて手前側に引き出せるようになっている。
冷凍室60と蒸発器収納室8の間には、冷気風路である冷凍室冷気風路12が設けられ、蒸発器収納室8と冷凍室冷気風路12の間には、冷凍室60への冷気送風を制御する冷気送風制御手段である冷凍室ダンパ51が設けられている。冷凍室冷気風路12には、冷凍室60と冷凍室冷気風路12を連通させる、第三の冷気流通部60cが上下方向に複数設けられている。冷凍室60の下部には、冷凍室60と蒸発器収納室8を連通させる、冷凍室冷気戻り口17が設けられている。
野菜室6の背面側には、野菜室6への冷気送風を制御する冷気送風制御手段である野菜室ダンパ52(図4にて図示)が設けられている。野菜室6の前面側には野菜室冷気戻り口18が設けられており、野菜室冷気戻り風路19を介して、野菜室冷気戻り口18と蒸発器収納室8とは連通されている。
冷蔵庫1では、冷蔵室2に設けた第一の温度センサ33aと第二の温度センサ33b、下段冷凍室5に設けた冷凍室温度センサ34、野菜室6に設けた野菜室温度センサ35、蒸発器7の上部に設けた蒸発器温度センサ36により、各貯蔵室及び蒸発器7の温度を検知している。また、冷蔵庫1は、庫外の温度を検知する外気温度センサ37を扉ヒンジカバー38の内部に設けている。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。制御基板31は、第一の温度センサ33a、第二の温度センサ33b、冷凍室温度センサ34、野菜室温度センサ35、蒸発器温度センサ36、外気温度センサ37、各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前述した扉センサ(図示せず)等と接続されている。前述のCPUは、これらの出力値と前述のROMに予め記録したプログラムを基に、圧縮機24や第一のファン9a、第二のファン9bの駆動と停止の切換えや回転速度(時間当たりの回転数)の制御、冷蔵室ダンパ50、冷凍室ダンパ51、及び野菜室ダンパ52を個別に開閉させるそれぞれのステッピングモータ(図示せず)の制御等を行っている。
なお、前述したように、冷蔵室2と野菜室6は基本的に冷蔵温度帯(0℃以上)に維持する貯蔵室、冷凍室60は冷凍温度帯(0℃以下)に維持する貯蔵室で、本実施例の冷蔵庫1では冷蔵室2は約4℃、野菜室6は約7℃、冷凍室60は約−18℃になるように制御している。但し、冷蔵室2内の下部に設けられた冷蔵室内貯蔵室40は、温度設定器(図示せず)によりチルド温度帯(約0℃)と氷温温度帯(約−1℃)とを選択的に制御することも可能である。
次に、冷蔵庫1内の冷気風路の構成と冷却運転中の冷気の流れを説明する。なお、後述する冷気循環運転と区別するため、蒸発器7で冷却された冷気により各貯蔵室を冷却する運転を冷却運転と呼ぶ。
図4は、実施例1に関する冷蔵庫の冷却運転を行う場合の冷気の流れを示す図である。冷気風路は模式的に示してしており、図4中の矢印は冷気の流れを表す。
図2に示すように、蒸発器収納室8のうち蒸発器7の下部を風路8a、蒸発器7と第一のファン9a間を風路8b、第一のファン9aと冷蔵室ダンパ50、第一のファン9aと冷凍室ダンパ51、及び第一のファン9aと野菜室ダンパ52間を総称して風路8cと呼ぶ。また、冷蔵室冷気風路11のうち、第二のファン9bと冷蔵室ダンパ50間を風路11a、第二のファン9bと第二の冷気流通部102間を風路11bと呼ぶ。
まず、本実施例における冷蔵庫1の冷気風路構成を説明する。
冷蔵室2の背面側(図2、図3参照)に設けた冷蔵室冷気風路11は、冷蔵室ダンパ50と接続されており、第一の冷気流通部101を設けた風路11aと、その後流側(下流側)に設けた風路11bから構成されている。風路11bには第二のファン9bと第二の冷気流通部102を設けてある。第一のファン9aによって、蒸発器7からの冷気は冷蔵室ダンパ50、風路11aを経てその途中で第一の冷気流通部101から冷蔵室2に吐出され、残りの冷気は第二のファン9b、風路11bを経て第二の冷気流通部102から冷蔵室2に吐出される。
また、冷蔵室2に吐出された冷気は、順に、冷蔵室冷気戻り口15、冷蔵室冷気戻り風路16、風路8aを通過してから蒸発器7に戻される。
冷凍室60の背面側(図2参照)に設けた冷凍室冷気風路12は、冷凍室ダンパ51と接続してあり、第一のファン9aによって、蒸発器7からの冷気は冷凍室冷気風路12に設けた第三の冷気流通部60cから冷凍室60に冷気を吐出される。
また、冷凍室60に吐出された冷気は、順に、冷凍室冷気戻り口17、風路8aを通過してから蒸発器7に戻される。
野菜室6は直接、野菜室ダンパ52と接続され、野菜室ダンパ52から野菜室6に冷気が吐出される。また、野菜室6に吐出された冷気は、順に、野菜室冷気戻り口18、野菜室冷気戻り風路19、風路8aを通過してから蒸発器7に戻される。
冷蔵室2、冷凍室60、野菜室6と空気が流通するように構成された蒸発器7は、風路8bにより第一のファン9aと空気が流通するように構成されている。また、第一のファン9aは、風路8cにより、前述の冷蔵室ダンパ50、冷凍室ダンパ51、野菜室ダンパ52とも接続されている。
次に、冷却運転を行う場合の冷気の流れを説明する。本実施例の冷蔵庫1は、1つの蒸発器7で冷却された冷気で冷蔵室2、冷凍室60、野菜室6を冷却するので、各貯蔵室は風路で接続されているが、各貯蔵室への冷気の送風は、冷蔵室ダンパ50、野菜室ダンパ51、冷凍室ダンパ52の開閉によって制御することができる。また、第二のファン9bの制御については後述するが、ここでは第二のファン9bは停止状態として説明する。なお、第一のファン9aの周囲を冷気が流れた場合を、第一のファン9aを冷気が流れた、或いは通過したと考える。同じく、第二のファン9bの周囲を冷気が流れた場合を、第二のファン9bを冷気が流れた或いは通過したと考える。
まず、冷蔵室2の冷却運転を行う場合の冷気の流れを示す。冷蔵室2の冷却運転を行う場合は、冷蔵室ダンパ50を開け、第一のファン9aを駆動させる。蒸発器7で冷却された冷気は、風路8bを介して第一のファン9aに至り、第一のファン9aにより昇圧され、風路8c、冷蔵室ダンパ50を通過して、冷蔵室冷気風路11に到達する。冷蔵室冷気風路11に到達した冷気は、風路11aを流れ、第一の冷気流通部101から冷蔵室2に吐出される。また、風路11内の冷気の一部は、第二のファン9bを通過して、第二の冷気流通部102を介して冷蔵室2に吐出される。冷蔵室2に吐出された冷気は、冷蔵室冷気戻り口15から、冷蔵室冷気戻り風路16、風路8aを介して蒸発器7に流れ、蒸発器7で再び冷却される。ここで、蒸発器7で低温になった冷気を第一の冷気流通部101から冷蔵室2に吐出する冷気循環経路、すなわち、蒸発器7、第一のファン9a、第一の冷気流通部101、冷蔵室2の順に冷気が流れ、蒸発器7に戻る冷気循環経路を第一の冷気循環経路と呼ぶ。
また、蒸発器7で低温になった冷気を第一の冷気流通部102から冷蔵室2に吐出する冷気循環経路、すなわち、蒸発器7、第一のファン9a、第二のファン9b、第二の冷気流通部102、冷蔵室2の順に冷気が流れ、蒸発器7に戻る冷気循環経路を第二の冷気循環経路と呼ぶ。
次に、冷凍室60の冷却運転を行う場合の冷気の流れを示す。冷凍室60の冷却運転を行う場合は、冷凍室ダンパ51を開け、第一のファン9aを駆動させる。蒸発器7で冷却された冷気は、風路8bを介して第一のファン9aに至り、第一のファン9aにより昇圧され、風路8c、冷凍室ダンパ51、冷凍室冷気風路12の順に通過して、冷凍室冷気風路12に設けた第三の冷気流通部60cより冷凍室60に吐出する。冷凍室60に吐出された冷気は、冷凍室冷気戻り口17から、風路8aを介して蒸発器7に流れ、蒸発器7で再び冷却される。ここで、この蒸発器7で低温になった冷気を第三の冷気流通部60cから冷凍室60に吐出する冷気循環経路、すなわち、蒸発器7、第一のファン9a、第三の冷気流通部60a、冷凍室60の順に冷気が流れ、蒸発器7に戻る冷気循環経路を第四の冷気循環経路と呼ぶ。
次に、野菜室6の冷却運転時の冷気の流れを示す。野菜室6の冷却運転を行う際には、野菜室ダンパ52を開け、第一のファン9aを駆動させる。蒸発器7で冷却された冷気は、蒸発器7、風路8b、第一のファン9a、風路8c、野菜室ダンパ52の順に流れ、野菜室ダンパ52から野菜室6に吐出される。野菜室6に吐出された冷気は、野菜室冷気戻り口18から、野菜室冷気戻り風路19、風路8aを介して蒸発器7に流れ、蒸発器7で再び冷却される。
以上が、本実施例における冷蔵庫1の冷却運転を行う場合の冷気の流れである。
次に、冷蔵室2に冷気を吐出する第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102の詳細を説明する。
図5aは冷気流通部101aから吐出される冷気の流れを示す図3のD−D断面図、図5bは冷気流通部101bから吐出される冷気の流れを示す図3のE−E断面図である。
風路構成部材80と断熱箱体10により構成される冷蔵室冷気風路11の背面側には、冷蔵室冷気風路11の幅L1よりも幅の広いL2の真空断熱材26を備えている。冷蔵室冷気風路11は蒸発器7で冷却されて低温になった冷気が流れ、冷蔵室冷気風路11の背面側の壁面は低温になり易いので、冷蔵室冷気風路11の背面側にL1よりも幅の広いL2の真空断熱材26を設けて、庫外からの熱の侵入を抑制している。
第一の冷気流通部101である冷気流通部101a、101bは、風路構成部材80から前方に向けて冷気が吐出するように、風路構成部材80の前方に設けられている。
図5aに示す冷気流通部101aからの冷気は、扉2a、2bに対してほぼ垂直に吐出されるように構成されている。これにより、冷気流通部101aから吐出される冷気は、棚39aの上部を通過した後に壁面(断熱箱体10及び扉2a、2b)に到達する。
図5bに示す冷気流通部101bから吐出される冷気は、冷蔵室斜め前方に吐出されるように構成されている。この場合も、冷気流通部101bから吐出される冷気は、棚39bの上部を通過した後に壁面に到達する。図示は省略するが、冷気流通部101c、101dも風路構成部材80の前面側に設けられ、冷気流通部101c、101dから吐出される冷気の流れは、図5aで示した冷気流通部101aと同様である。
以上のように、冷気流通部101a、101b、101c、101dから構成される第一の冷気流通部101から吐出される冷気は、複数の棚39のそれぞれの上部を通過した後に壁面に到達する構成になっているので、複数の棚39に置かれた食品は比較的冷え易く、壁面は比較的冷え難くなっている。庫内と庫外を断熱している壁面に吐出直後の低温の冷気が到達して、壁面の庫内側が低温になると、壁面の庫内側と庫外側の温度差が大きくなって、庫外から庫内への熱の侵入が大きくなる。そのため、吐出直後の低温の冷気が壁面に到達し続けると、壁面が低温な状態が維持され、消費電力量が増加するので、省エネルギー性能が低下する。一方、風路構成部材80の前面側に第一の冷気流通部101を設けた冷蔵庫1は、第一の冷気流通部101から吐出される冷気が棚39に置かれた食品の周囲を流れた後に壁面に到達し易いように構成しているので、吐出直後の冷気が直接壁面に到達し易い構成の冷蔵庫に比べて、食品を比較的低温に保ちながら、壁面を比較的高温に保ち、庫外からの熱の侵入を抑制している。
但し、複数の棚39によって上下を区画された空間に第一の冷気流通部101をそれぞれ設けているので、第一の冷気流通部101の近傍に食品が置かれる可能性があり、第一の冷気流通部101から吐出した直後の低温の冷気が、食品に直接到達することがある。そのため、蒸発器7から送風される低温の冷気(例えば約−20℃)で冷却し続けると、第一の冷気流通部101の近傍に置かれた食品が過度に冷却されて凍結することが考えられる。
図6aは図3のB−B断面図である。図6bは図3のC−C断面図である。図6aのB−B断面は第二のファン9bを通る断面で、図2と同一の断面であり、図6bのC−C断面は第二の冷気流通部102を通る断面である。図6a、図6b共に、棚39aよりも上部の空間を図示している。
図2を用いて示したように、第二の冷気流通部102は、第一の冷気流通部101よりも上方、すなわち最上段の棚39a及び冷気流通部101aよりも上方で、棚39aよりも上壁10aに近い位置に設けられている。また、本実施例の冷蔵庫1では、第二のファン9bを設けて、第二の冷気流通部102から吐出する冷気の風量を増加させることができる。
第二のファン9bは、第一の冷気流通部101のうち、最上部に設けた冷気流通部101aよりも上方に設けられている。第二のファン9bは風路構成部材80に設置されており、図6a、図6b中右上(冷蔵庫1の背部上方)に吐出するように、ファンの吐出側を背面側(図6中右側)に向け、上方が冷蔵室2側に近づくように傾けて設置している。
また、冷蔵庫1背面の真空断熱材26の前方投影位置に第二のファン9bを配置している。これにより、第二のファン9bからの吐出冷気で冷やされ易い冷蔵庫1背面の断熱効果を高めることができる。
図3、図6aに示すように、第二のファン9bから吐出された冷気は、風路11bに至り、断熱箱体10側に設けた冷気転向部(図示せず)によって転向され、第二のファン9bの左右(図6では紙面奥行き方向)に位置する第二の冷気流通部102に向かう。そして、図3、図6bに示す複数の第二の冷気流通部102から冷蔵室2に冷気が送られる。
この第二の冷気流通部102から冷蔵室2に吐出される冷気は、上壁10aの近傍を流れ、第二の温度センサ33bの周辺を通過して、ポケット32に到達する。
ここで、第二の冷気流通部102は棚39aよりも上壁10aに近い位置に設けられ、第二の冷気流通部102から吐出される冷気が上壁10aの近傍を冷気が流れる。そのため、吐出直後の冷気が直接食品に到達することは少ないが、第二の冷気流通部102からの冷気によって、上壁10aが低温になり易い。図5a、図5bで示したように、壁面の庫内側が低温になると庫外からの熱の侵入が大きくなるので、第二の冷気流通部102からの冷気で冷蔵室2内を過度に冷却すると、省エネルギー性能が低下し易いという課題がある。
そこで、本実施例の冷蔵庫1では、この図5a、図5b、図6a、図6bで示した、食品の凍結と省エネルギー性能に配慮して、以下の制御を行っている。
図7aは第一の温度センサ33aによって冷蔵室2の冷却運転を開始する場合の温度チャートの例である。図7bは第二の温度センサ33bによって冷蔵室2の冷却運転を開始する場合の温度チャートの例である。図中の温度TR1は第一の温度センサ33aで検出される温度であり、温度TR2は第二の温度センサ33bで検出される温度である。
本実施例の冷蔵庫1では、以下に示す3つの開始条件を満たした時、冷蔵室ダンパ50を開けて冷蔵室2の冷却運転を開始する。
開始条件(1)は「温度TR2が(TR2)Max(第二の温度センサ33bの上限設定温度)以上に到達した場合」、開始条件(2)は「温度TR1が(TR1)Max以(第一の温度センサ33aの上限設定温度)上に到達した場合」、開始条件(3)は「温度TR1が(TR1)Min(第一の温度センサ33aの下限設定温度)以上に到達し、冷凍室60の冷却が終了した場合」、である。
図7aでは、図中の時間t1に開始条件(1)を満たしている場合、図7bでは、図中の時間t4に開始条件(2)を満たしている場合で、それぞれ冷蔵室2の冷却運転を開始している。
図2、図6で示したように、第一の温度センサ33aの周辺は、主に第一の冷気流通部101によって冷却され、第二の温度センサ33bの周辺は、主に第二の冷気流通部102によって冷却される。また、本実施例の冷蔵庫1では、第二のファン9bによって、第一の冷気流通部101と、第二の冷気流通部102から吐出する冷気の風量を調整する。第二のファン9bを駆動させると、停止させていた場合に比べて、第二のファン9bの冷気流れの下流に位置する第二の冷気流通部102(図4参照)から吐出する冷気の風量は増加するのに対し、上流に位置する第一の冷気流通部101から吐出する冷気の風量はほとんど変化しない(厳密には低下する)ので、相対的に第一の冷気流通部101の風量の割合は少なくなる。そのため、第二のファン9bを駆動させることで、第二のファン9bを停止させている場合に比べて、第二の温度センサ33bの周辺は冷え易くなり、第一の温度センサ33aの周辺は冷え難くなる。
図7aに示す、第二の温度センサ33bで検出される温度TR2が(TR2)Maxに到達した場合は、第一のファン9a、第二のファン9bを共に駆動させ、冷蔵室ダンパ50を開けて冷蔵室2に冷気を送風する(時間t1)。第二のファン9bを駆動させることで、第二の冷気流通部102から吐出する冷気の風量を増加させ、第二の温度センサ33bの周辺を冷え易くしている。
温度の高い第二の温度センサ33bの周辺を優先して冷却するので、相対的に第一の温度センサ33aの周辺の冷却が抑制され、第一の冷気流通部101の近傍に置かれた食品の凍結を抑制しながら、高温の第二の温度センサ33bの周辺の食品を短時間で低温に冷却することができる。
次に、温度TR2が(TR2)Min(第二の温度センサ33bの下限設定温度)以下になると、第二のファン9bを停止する(時間t2)。すなわち、第二の冷気流通部102の風量を減らして、第二の温度センサ33bの周辺の冷却を抑制しながら冷蔵室2の冷却を続ける。
これにより、十分に低温になった第二の温度センサ33bの周辺の冷却を抑制し、上壁10aの冷却による省エネルギー性能の低下を抑制している。
その後、温度TR1が(TR1)Min以下になると、冷蔵室2内が冷え過ぎないように、冷蔵室ダンパ50を閉じて冷蔵室2の冷却運転を終了する(時間t3)。これにより、第一の冷気流通部101の近傍に置かれた食品の凍結を抑制している。
次に、図7bでは、第一の温度センサ33aで検出される温度TR1が、(TR1)Maxに到達した場合について示す。この場合は、第二のファン9bを停止させた状態で、冷蔵室ダンパ50を開け、第一のファン9aを駆動させて冷蔵室2の冷却運転を開始する(時間t4)。第二のファン9bを停止しておくことで、第二の冷気流通部102からの冷気送風を抑制し、相対的に第一の冷気流通部101からの風量の割合を増やして冷蔵室2を冷却している。これは、第一の温度センサ33aは高温で、第二の温度センサ33bの周辺は比較的低温なので、上壁10aの冷却による省エネルギー性能の低下を抑制し、かつ第一の温度センサ33aの周辺を優先して冷却して、高温の第一の温度センサ33aの周辺の食品を短時間で低温にするためである。
なお、一般的に使用者の手が届きやすい第一の温度センサ33a付近は、第二の温度センサ33b付近よりも食品を貯蔵する頻度が高い。そこで、第一の温度センサ33aを、第二の温度センサ33bの周辺よりも優先して冷却することがより好ましい。よって、TR1≦TR2の関係となるように温度設定することで、使用頻度を考慮した貯蔵空間の適切な温度制御ができる。
その後は、図7aと同様、温度TR1が(TR1)Min以下になると、冷蔵室2の冷却運転を終了する(時間t5)。
なお、図示はしていないが、開始条件(3)を満たした場合は、図7aで示した開始条件(1)の場合と同様の制御を行う。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1は、第二の冷気流通部102の風量を調整する第二のファン9bを備え、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102の風量の割合を適切に制御することで、食品の凍結を抑制しつつ、高温の食品を短時間で低温にすることができ、加えて高い省エネルギー性能を得ている。
さらに本実施例では、以下で図8から図11を参照しながら説明する冷気循環運転により、食品の凍結を抑制しつつ、高温の食品を短時間で低温にすることができ、加えて高い省エネルギー性能を得ている。冷気循環運転は、第二のファン9bにより冷蔵室2と冷蔵室冷気風路11内で冷気を循環させる運転である。
図8aは、実施例1に関する冷蔵庫の冷気循環運転を行う場合の冷気の流れを示す図である。図8bは、実施例1に関する冷蔵庫の冷気循環運転と、冷凍室60及び野菜室6の冷却運転を行う場合の冷気の流れを示す図である。
ここで、冷蔵室2及び冷蔵室冷気風路11を合わせた空間を空間2cとする。空間2cに冷気を流入させるためには、空間2cに冷気を流入させる風路と共に、空間2cから冷気を流出させる風路が必要となる。冷蔵室ダンパ50を開けた状態では、冷蔵室ダンパ50を介した風路8cと、冷蔵室冷気戻り口15を介した冷蔵室冷気戻り風路16がそれぞれ空間2cに接続されている。
図8aに示すように、冷蔵室ダンパ50を閉じた場合、空間2cと風路8cは冷蔵室ダンパ50によって遮断される。風路8cが閉塞され、空間2cと接続している風路は冷蔵室冷気戻り風路16のみとなるので、冷気は空間2cに留まり、空間2cからの冷気の流出及び空間2cへの冷気の流入を抑制できる。そのため、空間2c内で圧力差が生じた場合に、空間2c内で冷気の循環が発生する。
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室ダンパ50を閉じ、第二のファン9bを駆動させて、空間2c内を冷気が循環する、冷気循環運転を行うことができる。冷気循環運転では、冷蔵室2内の冷気は第一の冷気流通部101から風路11aに吸込まれ、第二のファン9bで昇圧された後、風路11bを通過して第二の冷気流通部102から再び冷蔵室2に吐出される。すなわち、空間2c内で冷気が循環する。ここで、第一の冷気流通部101から冷蔵室2の冷気を吸込み、第二の冷気流通部102から冷蔵室2に冷気を吐出する冷気循環経路、すなわち、冷蔵室2から、第一の冷気流通部101、第二のファン9a、第二の冷気流通部102、冷蔵室2の順に冷気が流れる冷気循環経路を第三の冷気循環経路と呼ぶ。
なお、冷気循環運転で冷気を送風する第二のファン9bは、図7a、図7bで示した第二の冷気流通部102の風量の制御にも用いている。また、冷気循環運転で用いる冷気流通部及び風路は、冷却運転でも用いる第一の冷気流通部101、第二の冷気流通部102及び冷蔵室冷気風路11である。冷気循環運転専用のファン、風路、冷気流通部を備えることも考えられるが、本実施例のように構成することで、比較的省スペース、低コストで冷気循環運転を実施することができる。
また、冷蔵室冷気風路11を省スペースにすることで、図5a、図5bに示した冷蔵室冷気風路11の幅L1が小さくなり、以下の効果も得られる。図5a、図5bで示したように、冷蔵室冷気風路11の背面側の断熱箱体10は、冷気の流れる冷蔵室冷気風路11によって冷却され、比較的熱侵入が大きくなり易い。幅L1を小さくできれば、冷蔵室冷気風路11の冷気によって冷却される断熱箱体10の面積が小さくなり、この熱侵入を抑制することができる。また、幅L1を小さくできれば、真空断熱材26の幅L2が比較的小さくても、真空断熱材26で冷蔵室冷気風路11全体を覆うこと(幅L1<幅L2)ができ、低コストでも比較的高い省エネルギー性能を得られる。
また、本実施例の冷蔵庫1では、冷気循環運転中に冷蔵室ダンパ50を閉じて、冷蔵室2及び冷蔵室冷気風路11を合わせた空間2cからの冷気の流出、及び空間2cへの冷気の流入を抑制しているので、冷凍室60及び野菜室6を独立して制御することが可能である。
例えば、図8bに示すように、冷蔵室2の冷気循環運転と、冷凍室60と野菜室6の冷却運転を同時に行うことができる。この場合は、冷蔵室ダンパ50を閉じ、冷凍室ダンパ51と野菜室ダンパ52を開け、第一のファン9aと第二のファン9bを駆動させる。これにより、以下に示す3つの冷気の流れが生じる。
図8aで示したように、冷蔵室ダンパ50を閉じ、第二のファン9bを駆動させることで、冷蔵室2の冷気は、第一の冷気流通部101から吸込まれ、その後、風路11a、第二のファン9b、風路11bを経て、第二の冷気流通部102から再び冷蔵室2に吐出される。
加えて、図8bでは、冷凍室ダンパ51を開けて第一のファン9aを駆動させることで、蒸発器7で冷却された冷気が、蒸発器7、風路8b、第一のファン9a、風路8c、冷凍室ダンパ51、冷凍室冷気風路12、第三の冷気流通部60c、冷凍室60、冷凍室冷気戻り口17、風路8a、蒸発器7の順に流れる。これにより、冷凍室60に蒸発器7からの低温冷気が流れ、冷凍室60内の食品を冷却できる。
さらに野菜室ダンパ52を開けて第一のファン9aを駆動させることで、蒸発器7で冷却された冷気が、蒸発器7、風路8b、第一のファン9a、風路8c、野菜室ダンパ52、野菜室6、野菜室冷気戻り口18、野菜室冷気戻り風路19、風路8a、蒸発器7の順に流れる。これにより、野菜室6に蒸発器7からの低温冷気が流れ、野菜室6内の食品を冷却できる。
なお、実施例1の冷蔵庫1では、冷気循環運転中に冷蔵室ダンパ50を閉じ、空間2cからの冷気の流出、及び空間2cへの冷気の流入を抑制しているので、必ずしも冷凍室ダンパ51及び野菜室ダンパ52を備える必要はない。すなわち、冷却運転中の冷凍室60、野菜室6への冷気送風の制御は行われないが、冷凍室ダンパ51及び野菜室ダンパ52を備えていない場合も、後述する冷蔵室2の冷気循環運転の効果は得られる。
図9は実施例1に関する冷蔵庫における冷蔵室2の制御フローチャートである。
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室2の冷却運転と冷気循環運転の開始と終了は、このフローチャートに従うものとする。
冷却運転開始後の時間をt_a、冷気循環運転開始後の時間をt_bとする。その他の記号は図7a、図7bと同じである。また冷却運転中の第二のファン9bの制御は、図7a、図7bで示したので省略する。また、ここで示す制御の効果は、後述する図10a、図10b、図11で説明する。
本実施例の冷蔵庫1では、図7a、図7bを用いて説明した開始条件(1)、(2)、(3)の何れかを満たした場合(s1)、冷蔵室2の冷却運転を開始する(s2)。
冷却運転中に時間t_aと時間(t_a)max(冷却運転の設定上限時間)を比較する(s3)。時間t_aが(t_a)max未満であれば冷却運転を続け、時間t_aが(t_a)max以上であれば冷気循環運転に移行する(s3→s7)。
時間t_aが(t_a)max未満であれば冷却運転を続けるが、時間t_aが(t_a)max以上を満たす前に、第一の温度センサ33aの温度TR1が(TR1)min以下になった時点で、冷却運転を終了する(s4)。
この時、第二の温度センサ33bの温度TR2を確認する(s5)。温度TR2が(TR2)Maxよりも低ければ、冷蔵室ダンパ50を閉め、第二のファン9bを停止させて、冷蔵室2への冷気の送風を終了する(s5→s6)。一方、温度TR2が(TR2)Max以上であれば、冷気循環運転に移行する(s5→s7)。
冷気循環運転では、冷気循環運転開始後の時間t_bと、第一の温度センサ33aで検知する温度TR1により、冷蔵室2の冷気循環運転の終了を判断する。
本実施例では、時間t_bが(t_b)max(冷気循環運転の設定上限時間)以上となった場合(s8)、或いは第一の温度センサ33aの温度TR1が(TR1)Max以上となった場合(s9)、冷却運転で低温になった食品の温度が上昇し、再び蒸発器7からの低温冷気を送風しても問題ないと判断して、冷気循環運転から冷却運転に戻る(s8またはs9→s2)。
また、温度TR1が(TR1)Min以下になった場合は、冷却運転に戻らずに冷蔵室2への送風を終了する(s10→s6)。
なお冷気循環運転から冷却運転に移行する制御s8、s9は何れか一つでもよい。また、例えば(TR1)Maxと(TR1)Minの間の中間設定温度として(TR1)Midを設け、s9の代わりに、TR1が(TR1)Mid以上になると冷却運転に戻る制御にしてもよい。また、例えば、(TR2)Maxと(TR2)Minの間の中間設定温度として(TR2)Midを設け、s5の代わりに、TR2が(TR2)Mid以上であれば冷気循環運転に移行する制御にしてもよい。
図10aは冷却運転で冷蔵室2の食品を冷却する場合、図10bは冷気循環運転で冷蔵室2の食品を冷却する場合の冷気の流れである。
図10aの冷蔵庫1には、比較的低温の食品200Aが棚39a、39b、39c上の冷気流通部101a、101b、101cの近傍に置かれ、比較的高温の食品200Bが棚39d上の冷気流通部101dの近傍に置かれている状態を示している。例えば、数日前に冷蔵室2内に食品200Aを設置し、食品200Aは十分に冷却されている状態で、庫外に置かれていた食品200Bを冷蔵室2内に投入した直後を想定している。
第一の温度センサ33aの近くに高温の食品200Bが置かれると、第一の温度センサ33aで検知される温度TR1が(TR1)Maxよりも高くなり(図7b参照)、図10aに示した冷気の流れの冷却運転が開始される。高温の食品200Bの熱容量が大きい場合、食品200Bが冷え難く、第一の温度センサ33aの温度TR1が低下するのに時間がかかる。
図5で説明したように、第一の冷気流通部101から吐出される冷気で第一の冷気流通部101の近傍に置かれた食品を長時間冷却し続けると、冷却運転開始前から低温であった、棚39a、39b、39cに置かれた食品200Aは、過度に冷却されて凍結する可能性がある。
また、図6a、図6bで説明したように、冷却運転を長時間続けると、蒸発器7で冷却された低温の冷気が第二の冷気流通部102から吐出され続け、上壁10aが低温になり易い。また、冷却運転中は、冷蔵室2内の温度が全体的に低下するので、冷蔵室2の壁面も全体的に低温になり易い。そのため、冷却運転を長時間続けると、庫外からの熱侵入が大きくなり、省エネルギー性能の低下も招く。
ここで、食品200Aの食品の凍結に対し、例えば、定期的に冷蔵室2への冷気の送風を止めることで解決する方法が考えられる。冷気の送風を止めている間も、貯蔵室内に置かれた高温の食品200Bは周囲の空気との熱交換によって冷やされ、徐々に温度が低下していくが、自然対流による熱交換が支配的になるため、冷却速度は遅くなる。
一方、本実施例では、図9に示したフローチャートの制御s3によって、冷却運転を一定時間以上行なった後、図10bに示す冷気循環運転に切換える。
冷気循環運転に切換えると、図8aでも説明したように、冷蔵室2の冷気は、第一の冷気流通部101から吸込まれ、その後、風路11a、第二のファン9b、風路11bを経て、第二の冷気流通部102から再び冷蔵室2に吐出される。この冷気循環運転時の冷気を、以下で循環冷気と呼ぶ。
第一の冷気流通部101は各棚39の上部に設けられている。棚39aの上部には冷気流通部101a、棚39aと棚39bの間には冷気流通部101b、棚39bと棚39cの間には冷気流通部101c、棚39cと棚39dの間には冷気流通部101dがそれぞれ設けられている。第一の冷気流通部101から循環冷気を吸込むように構成した本実施例の冷気循環運転では、図10bに示すように、各棚39a、39b、39c、39dの上部を循環冷気が流れることが分かる。
各棚39a、39b、39c、39dの上部を循環冷気が流れるので、棚39a、39b、39cに置かれた低温の食品200Aと、棚39dに置かれた高温の食品200Bの周囲を循環冷気が流れ、食品200A及び食品200Bと循環冷気が熱交換する。
熱は、温度の高いものから低いものに移動するので、食品の温度は循環冷気の温度に近づいていく。例えば、食品200Aの温度が2℃、高温の食品200Bの温度が20℃とし、循環冷気の温度は、平均的な冷蔵室2の温度と考え4℃とする。循環冷気の温度よりも食品が高温であれば、食品から循環冷気に熱が移動するので、20℃の食品200Bは4℃の循環冷気によって冷却される。また、循環冷気の温度よりも食品が低温であれば、循環冷気から食品に熱が移動するので、2℃の食品200Aの温度は上昇し、循環冷気の温度4℃に近づいていく。温度が上昇するので、食品200Aの凍結を抑制できる。
そのため、本実施例の冷蔵庫1では、冷却運転後に冷気循環運転を行うことで、冷却運転開始前から低温な食品200Aの凍結を抑制しながら、高温の食品200Bを冷却し続けることができる。すなわち、食品の凍結を抑制しつつ、短時間で高温の食品を低温にすることができる。
また、冷気循環運転では、低温の食品200Aの温度は上がり易くなるので、冷気循環運転を行わない場合に比べて、短時間で食品200Aの温度が上がり、冷却運転を再開しても低温の食品200Aが凍結し難くなる。そのため、冷気循環運転を行うことで、低温の食品200Aの凍結を抑制しつつ、短時間で冷却運転を再開することができ、高温の食品200Bをさらに短時間で低温にすることができる。
ここで、冷気流通部101a、101b、101c、101dから構成される第一の冷気流通部101は、図10a、10bで示したように、冷却運転では冷気を吐出し、室内循環冷気では冷気を吸込むように構成している。すなわち、冷却運転と冷気循環運転の両方の運転で、第一の冷気流通部101を設けた各棚39a、39b、39c、39dの上部を冷気が流れる構成にしている。これにより、棚39に置かれた食品と循環冷気が熱交換し易くなり、循環運転中に低温の食品の温度が上がり易くなるので、棚39上の食品の凍結を抑制し易くしている。
なお、第一の冷気流通部101の冷気の吐出と吸込の切換えは、例えば、第一の冷気流通部101近傍にタフト(軽い糸)を設け、タフトの動きをカメラで撮影することで確認できる。また、例えば、ドライアイス等によって煙を発生させ、この煙の流れをカメラで撮影することで確認してもよい。
さらに、冷気循環運転による冷却は省エネルギー性能の向上にもつながる。冷気循環運転によって、低温の食品200Aの温度は上がり、高温の食品200Bの温度は下がるが、冷蔵室内の平均温度はほぼ一定であるので、冷蔵室2の平均温度を下げる冷却運転に比べて、冷蔵室2の壁面が低温になり難い。また、蒸発器7の低温冷気を送風する冷却運転に比べ、冷気循環運転では、第二の冷気流通部102から吐出される冷気の温度が高いので、特に上壁10aの冷却を抑制できる。すなわち、冷気循環運転での冷却は、壁面が低温になり難く、省エネルギー性能も高い。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1では、冷気循環運転を備えることで、冷蔵室2内の食品の凍結を抑制しつつ、高温の食品を短時間で低温にし、加えて高い省エネルギー性能を得ている。
また、本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室2に第一の温度センサ33aと第二の温度センサ33bの2つの温度センサを備えており、この2つの温度センサを用いた冷却運転と循環運転の切換えも行う。以下で図11を用いて説明する。
図11は第二の温度センサ33bによって冷気循環運転を開始する場合の温度チャートの例である。時間t7以降の点線は、冷気循環運転を行わない場合の温度チャートである。
図11は第二の温度センサ33bの周囲が急に高温になった場合の例で、例えば、最上段のポケット32(図6参照)に高温の食品を入れた場合を想定している。
図7aで示したように、第二の温度センサ33bの周囲が高温になり、温度センサ33bが検知する温度TR2が(TR2)Maxよりも高くなると、第一の温度センサ33aの周辺と第二の温度センサ33bの温度差を解消するように、第二のファン9bを駆動させて、第二の温度センサ33bの周辺部を優先して冷却し始める(時間t6)。
前述のように、食品の凍結を防止するため、第一の温度センサ33aの検知する温度TR1が(TR1)Minで冷却運転を終了するが(時間t7)、この時点ではまだ第二の温度センサ33bの周辺が高温であり、温度TR2は(TR2)Max以上である。
これに対し、本実施例の冷蔵庫1では、図9のフローチャートの制御s4、s5で示したように、温度TR1が(TR1)Min以下を満たした時に、第二の温度センサ33bの温度TR2が(TR2)Max以上であれば、冷蔵室ダンパ50を閉じ、第二のファン9bを駆動させて、冷気循環運転に移行する(時間t7)。
冷気循環運転では、冷蔵室2内に置かれた食品と冷蔵室2内の循環冷気が熱交換するので、冷蔵室2内の食品は、基本的には冷蔵室2の平均的な温度に近づく。そのため、比較的低温な第一の温度センサ33aの周辺の温度は上昇し、比較的高温な第二の温度センサ33bの周辺の温度は低下する。これにより、第一の温度センサ33aの周辺に置かれた食品の凍結を抑制しつつ、第二の温度センサ33bの周辺に置かれた高温の食品を冷却し、短時間で低温にすることができる。
その後、本実施例では図9に示したフローチャートによって、制御s8、s9、s10の判定を行う。図11では、冷気循環運転開始後の時間t_bが(t_b)Max以上になり、制御s8により再び冷却運転に移行する(時間t8)。冷気循環運転で第一の温度センサ33aの周辺に置かれた食品の温度は上がり易くなるので、冷気循環運転を行わない場合に比べて、短時間で冷却運転を再開でき、第一の温度センサ33aに置かれた食品の凍結を抑制しながら、第二の温度センサ33bの周辺に置かれた高温の食品をさらに短時間で低温にすることができる。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1では、第一の温度センサ33aと第二の温度センサ33bの2つの温度センサを用いて、冷蔵室2の食品の凍結を抑制しつつ、高温の食品を短時間で低温にしている。
以上が実施例1の冷蔵庫1の構成、制御、及び奏する効果である。
≪実施例2≫
本発明に関する冷蔵庫の実施例2を、図12から図15を参照して説明する。実施例2の冷蔵庫1は、第一の冷気流通部101からの冷気の送風と、第二の冷気流通部102からの冷気の送風を、それぞれ独立して制御できる冷蔵庫である。また、実施例2では、冷凍室ダンパ51が第一の冷気送風制御手段の役割を果たす。なお、実施例1と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図12は、実施例2に関する冷蔵室2内部の正面模式図である。図13は冷気流通部101eから吐出される冷気の流れを示す図12のF−F断面図である。なお、図12では扉2a、2b、3a、4aは省略している。
本実施例では、冷蔵室冷気風路11を2つに分割した、風路11cと風路11dから構成されている。風路11cには第二の冷気送風制御手段である第一の冷蔵室ダンパ50aを、風路11dには第三の冷気送風手段である第二の冷蔵室ダンパ50bをそれぞれ備え、これらを切換えることによって冷蔵室2への冷気の送風を制御する。
本実施例の冷蔵庫1では、風路11cよりも風路11dは上下方向に長く、冷蔵室2の正面から見て、風路11cは風路11dの左側に配されている。また風路11cの上端よりも高い位置では、風路11dを風路11c側に拡大して、2つに分割した風路の合計幅L1を最大限に活用している。
風路11dには第二の冷気流通部102が設けられている。第二の冷気流通部102の配置、及び第二の冷気流通部102から吐出される冷気の流れは、実施例1と同様である。風路11dには、第二の冷蔵室ダンパ50bと第二の冷気流通部102の間に第二のファン9bが設けられ、第二のファン9bを駆動させることで第二の冷気流通部102から吐出される冷気の風量を増加させることができる。
なお、第二のファン9bは、風路11cの上端よりも高い位置の風路11d内に設けられている。これにより、2つに分割した風路の合計幅L1を最大限に活用した大きなファンを配置することができる。
風路11cには、冷気流通部101e、101f、101g、101hから構成される、第一の冷気流通部101が設けられている。以下、上から順に、冷気流通部101e、101f、101g、101hは、それぞれ棚39a、39b、39c、39dの上方に設けている。
図13には、第一の冷気流通部101から吐出される冷気の流れを、冷気流通部101eを代表して示している。実施例1と同様に、冷気流通部101eは、風路構成部材80の前方に冷気が吐出するように設けられ、冷気流通部101eから吐出される冷気は、棚39aの上部を通過した後に壁面(断熱箱体10及び扉2a、2b)に到達する構成になっている。同様に、冷気流通部101f、101g、101hから吐出される冷気も、それぞれ棚39b、39c、39dの上部を通過した後に壁面に到達する。すなわち棚39に置かれた食品に冷気が到達し易く、壁面には直接冷気が到達し難くなっている。
図5a、図5bで説明したように、壁面が低温になると庫外からの熱の侵入が大きくなるが、第一の冷気流通部101から吐出される冷気が棚39に置かれた食品に到達し易いように構成することで、食品を比較的低温に保ちながら、壁面を比較的高温に保ち、庫外からの熱の侵入を抑制している。
また、実施例1で述べたように、棚39の食品設置面積は、ポケット32の食品設置面積に比べて大きくすることが一般的であり、ポケット32よりも棚39の方に多くの食品が置かれ易い。そのため、主に棚39上の食品に向けて冷気を吐出する、第一の冷気流通部101を備えた風路11cの幅L3を風路11の幅L4よりも大きくして、風路11cの風路抵抗を優先して抑えている。幅を狭くした風路11d(幅L4)には第二のファン9bを設けているので、必要に応じて、第一のファン9aと共に2つのファンで昇圧させて風路11dの風量低下を防いでいる。
図14は、実施例2に関する冷蔵庫の冷却運転を行う場合の冷気の流れを示す図である。
冷凍室60と野菜室6の冷却運転中の冷気の流れは、実施例1と同様なので省略する。
本実施例では、図12で示したように、冷蔵室冷気風路11を2つに分割した風路11cと風路11dを備え、風路11cには第一の冷蔵室ダンパ50a、風路11dには第二の冷蔵室ダンパ50bを備えている。
蒸発器7は風路8bにより、第一のファン9aに接続されている。第一のファン9aは風路8bと風路8cに接続され、風路8cは途中で4つに分岐して、冷凍室ダンパ51、野菜室ダンパ52と共に、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bに接続されている。冷蔵室冷気風路11は風路11cと風路11dに分割されており、それぞれの風路の端部に第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bを備えている。風路11dには第二のファン9bが設けられ、風路11dは、第二の冷蔵室ダンパ50bと第二のファン9b間の風路11d1、第二のファン9bと第二の冷気流通部102間の風路11d2の、2つの風路で構成されている。風路11cと風路11dのそれぞれに設けた冷気流通部101と102により、風路11cと風路11dは冷蔵室2と連通され、また冷蔵室2は、順に冷蔵室冷気戻り口15、冷蔵室冷気戻り風路16、風路8aにより、蒸発器7と接続されている。
次に、冷蔵室2へ送風される冷気の流れを示す。冷蔵室2に冷気を送る際には、第一の冷蔵室ダンパ50aまたは第二の冷蔵室ダンパ50bを開けて、第一のファン9aを駆動させる。
第一の冷蔵室ダンパ50aを開けた場合、蒸発器7で冷却された冷気は、風路8bを介して第一のファン9aに至り、第一のファン9aにより昇圧されて、風路8c、第一の冷蔵室ダンパ50aを通過して、風路11cに到達する。風路11cに到達した冷気は、第一の冷気流通部101から冷蔵室2に送られる。
第二の冷蔵室ダンパ50bを開けた場合、蒸発器7で冷却された冷気は、風路8bを介して第一のファン9aに至り、第一のファン9aにより昇圧されて、風路8c、第二の冷蔵室ダンパ50bを通過して、風路11dに到達する。風路11dに到達した冷気は、風路11d1、第二のファン9b、風路11d2、第二の冷気流通部102の順に流れ、第二の冷気流通部102から冷蔵室2に送られる。この場合、第二のファン9bを駆動させることで、この第二の冷気流通部102から吐出される冷気の風量を増やすことができる。
なお、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bの両方のダンパを開けて第一のファン9aを駆動させた場合、蒸発器7で冷却された冷気は、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102の両方から冷蔵室2に送られる。
以上のように、実施例2の冷蔵庫1では、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bにより、第一の冷気流通部101からの冷気の送風と、第二の冷気流通部102からの冷気の送風を、それぞれ独立して制御することができる。
実施例1の冷蔵庫1では、図7で示したように、第一の温度センサ33aで検知する温度と、第二の温度センサ33bで検知する温度から、第二のファン9bを制御して、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102から吐出される冷気の風量の割合を変え、第一の温度センサ33aの周辺と、第二のファン33bの周辺の冷え易さを調整していた。これにより、冷蔵室2内の食品の凍結を抑制しつつ、高温の食品を短時間で低温にし、また高い省エネルギー性能も得ていた。
実施例2の冷蔵庫1では、実施例1の第二のファン9bに加え、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bによって、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102の、何れか一方の冷気の送風を止めることができる。実施例1に比べ、第一の冷気流通部101と第二の冷気流通部102から吐出される冷気の風量の割合を、より大きく変化させられるので、第一の温度センサ33aの周辺と第二のファン33bの周辺の冷え易さを調整し易くなり、前述の実施例1の効果をさらに高めることができる。
図15は、実施例2に関する冷蔵庫の冷気循環運転を行う場合の冷気の流れを示す図である。
本実施例の冷蔵庫1では、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bを開け、冷凍室ダンパ51と野菜室ダンパ52を閉め、第一のファン9aを停止させた状態で第二のファン9bを駆動させることで冷気循環運転を実施する。
冷蔵室冷気風路11d内の冷気は、第二のファン9bにより昇圧され、風路11d2を通過して、第二の冷気流通部102から冷蔵室2に送られる。第二の冷気流通部102からの冷気の流入によって、冷蔵室2内の冷気も昇圧され、第一の冷気流通部101から風路11cに冷気が流入する。風路11cに流入した冷気は、冷却運転時とは反対向きに流れ、冷蔵室ダンパ50aを通過して、風路8cに流入する。風路8cに流入した冷気は、冷蔵室ダンパ50b、風路11dを通過して、第二のファン9bに戻る。このように、第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bを開けて、第一のファン9aを停止させた状態で、第二のファン9bを駆動させることで、冷蔵室冷気風路11と冷蔵室2内で冷気を循環させることができる。すなわち、冷蔵室2から、第一の冷気流通部101、第二のファン9a、第二の冷気流通部102、冷蔵室2の順に冷気が流れる第三の冷気循環経路を形成することができ、実施例2の冷蔵庫1でも冷気循環運転を行うことができる。なお、本実施例の冷気循環運転では、第一のファン9aは必ずしも停止させる必要はなく、第一の冷気流通部101から冷蔵室2内の冷気を吸込み、第二の冷気流通部102から冷蔵室2に冷気を吐出していれば冷気循環運転とみなす。例えば、第一のファン9aを冷却運転時よりも低速で駆動させて、第一の冷気流通部101から冷蔵室2の冷気を吸込むように制御すれば、冷気循環運転が実施できる。第一の冷気流通部101を流れる冷気の向きは、実施例1で示したタフト等で確認できる。
ここで、冷気循環運転中に、蒸発器7の低温冷気が冷蔵室2に流入することが考えられる。すなわち、冷蔵室2の冷気の一部が、冷蔵室2、冷蔵室冷気戻り口15、冷蔵室冷気戻り風路16、風路8a、蒸発器7、風路8b、第一のファン9a、風路8cを経て、第二の冷蔵室ダンパ50b、風路11d1、第二のファン9b、風路11d2、冷蔵室2の順に流れて循環する可能性がある。しかしながら、冷気循環運転中は、食品に冷気が到達し易いように配置した、第一の冷気流通部101から冷気を吐出させず、第二の冷気流通部102から冷気を吐出させるので、蒸発器7の低温冷気が流入しても、食品が凍結し難くなっている。
次に、本実施例の冷気循環運転中に、実施例2の第一の冷気送風制御手段である冷凍室ダンパ51を閉じておく理由を説明する。
実施例1では、実施例1の第一の冷気送風制御手段である冷蔵室ダンパ50を閉じ、空間2c(冷蔵室2及び冷蔵室冷気風路11)から冷気を流出させることなく、冷気循環運転を行っていた。一方、実施例2では、風路8cを循環冷気が通過する必要があるため、冷気循環運転中は第一の冷蔵室ダンパ50aと第二の冷蔵室ダンパ50bを開けている。そのため、冷凍室ダンパ51を開けて第二のファン9bを駆動させると、冷蔵室2の冷気の一部は、冷蔵室冷気戻り口15、冷蔵室冷気戻り風路16、冷凍室冷気戻り口17を逆流して冷凍室60に流入し、その後、冷凍室冷気風路12、冷凍室ダンパ51を経て風路8c、風路11d、第二の冷気流通部102、冷蔵室2の順に冷気が流れる。すなわち、冷凍室60から、第二のファン9b、第二の冷気流通部102、冷蔵室2、冷凍室60の順に冷気が流れる第五の冷気循環経路が形成され、冷蔵室2内の冷気が冷凍室60を介して循環することになる。冷蔵室2内の冷気が冷凍室60に流入すると温度上昇を引き起こし、冷凍室60内の食品が解けてしまう可能性がある。
したがって実施例2では、冷気循環運転中に冷凍室60に冷気が流入しないように、冷凍室ダンパ51を閉じて冷凍室冷気風路12と風路8c間の冷気の送風を抑制している。これにより、冷凍室60から冷蔵室2に至る冷気風路が閉塞されるので、冷凍室60から冷蔵室2に冷気が流出できなくなり、冷気が循環できなくなる。すなわち、実施例1の第一の冷気送風制御手段である冷蔵室ダンパ50の代わりに、実施例2の第一の冷気送風制御手段である冷凍室ダンパ51を閉じることで、冷蔵室2から冷凍室60への冷気の流入を抑制することができ、冷凍室60の温度上昇を抑制することができる。
なお、冷蔵室2に関する冷気送風制御手段である、実施例1の冷蔵室ダンパ50、実施例2の第一の冷蔵室ダンパ50a、第二の冷蔵室ダンパ50bの何れも備えていない冷蔵庫においても、冷凍室ダンパ51を備えることで、冷気循環運転に関わる前述の効果を得られる。すなわち、冷凍室ダンパ51を閉じ、第一のファン9aを停止または低速で駆動させ、第二のファン9bを駆動させることで、図15に示す冷気の流れを得られ、冷蔵室2から冷凍室60への冷気の流入を抑制しながら、冷気循環運転を行うことができる。
また、野菜室6は冷蔵室2と同じ冷蔵温度帯の貯蔵室なので、必ずしも野菜室ダンパ52を閉じる必要はなく、冷蔵室2の冷気循環運転を行う上で、必ずしも野菜室ダンパ52を備える必要はない。次に、冷気循環運転時の冷凍室60への冷気の流入を抑制する他の方式として、後述するダンパ53a、53b、53c、53dを第一の冷気送風制御手段に用いる場合について説明する。
図16aは冷凍室冷気戻り口17にダンパ53aを設けた例である。冷凍室冷気戻り口17にダンパ53aを設け、冷気循環運転中にダンパ53aを閉じることで、冷凍室冷気戻り口17を閉塞させる。これにより、冷気循環運転中の冷凍室冷気戻り口17を介した、冷蔵室2から冷凍室60への冷気の流入を抑制することができる。
図16bは冷蔵室冷気戻り口15にダンパ53bを設けた例である。冷蔵室冷気戻り口15にダンパ53bを設け、冷気循環運転中にこのダンパ53bを閉にすることで、冷蔵室2から冷気が流出できなくなり、冷凍室冷気戻り口17を介した冷凍室60への冷気の流入を抑制することができる。
図16cは冷蔵室冷気戻り風路16にダンパ53cを設けた例である。冷蔵室冷気戻り風路16にダンパ53cを設け、冷気循環運転中にこのダンパ53cを閉にすることで、冷蔵室冷気戻り風路16を介した冷蔵室2から冷凍室60への冷気の流れを抑制することができる。
また、図示はしないが、第一の冷蔵室ダンパ50a及び第二の冷蔵室ダンパ50bに加え、第一の冷蔵室ダンパ50a及び第二の冷蔵室ダンパ52bの上流側(風路8c)に、第一のファン9aから冷蔵室2への冷気送風を制御する実施例1の冷蔵室ダンパ50を備えてもよい。
なお、図16b、図16cで示した例では、実施例1と同様に、冷蔵室2の冷気循環運転と同時に、冷凍室60の冷却運転を行うこともできる。これは、それぞれ冷蔵室冷気戻り口15、冷蔵室冷気戻り風路16に設けたダンパ53b、53cを閉じた場合も、冷凍室60の冷却運転中の冷気循環経路、すなわち図4で示した、冷却器7、風路8b、第一のファン9a、風路8c、冷凍室ダンパ50、冷凍室冷気風路12、冷凍室60、冷凍室冷気戻り口17、風路8a、冷却器7により構成される冷凍室60を冷却する第四の冷気循環経路を形成できるためである。
また、図16aで示した、冷凍室冷気戻り口17に設けたダンパ53aは、冷却運転中における冷凍室ダンパ51の役割も代用することができる。例えば、冷凍室60に冷気を送風することなく野菜室6の冷却運転を行う場合、野菜室ダンパ52を開け、ダンパ53aを閉じ、第一のファン9aを駆動させる。ダンパ53aを閉じると、冷凍室冷気戻り口17が閉塞され、冷凍室60から冷気が流出できなくなるので、野菜室6の冷却を行うために第一のファン9aを駆動させても、冷凍室60への冷気の流入を抑制することができる。
以上が、実施例1及び2の冷蔵庫である。
なお、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施例1及び2の冷蔵庫1では、各棚39の上部に第一の冷気流通部101を設けているが、必ずしも全ての棚39の上部に設ける必要はない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。