JP2015045211A - 上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法および板厚設計方法 - Google Patents

上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法および板厚設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 上下柱異径の鋼管柱接合部につき、通常の板厚を用いた上部通しダイアフラムにつき、剛性を精度良く容易に計算、予測することができる剛性予測方法を提案する。特に、一方向偏心、二方向偏心の場合の剛性予測を可能とする。
【解決手段】 ダイアフラム5の変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価する。ダイアフラム5を複数の多角形要素E11〜E14(符号は、一方向偏心の場合の要素の符号)に分割した解析モデルを設定し、回転バネ位置は、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形とすることで計算を容易にした。多角形要素E11〜E14は、曲げに対しては、剛体とみなす。せん断変形バネの位置は、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとする。一方向偏心および二方向偏心については、上下柱2,1に軸歪みが生じるため、柱に軸歪み領域を設けることで、ダイアフラム5の変形と変形の釣り合いを満足させる。
【選択図】 図10

Description

この発明は、それぞれ角形鋼管柱からなる上柱と下柱の径が異なる鉄骨造の梁接合部等となる鋼管柱接合部において、上部通しダイアフラム等となるダイアフラムの剛性の予測および板厚設計を行う上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法および板厚設計方法に関する。
従来、上柱と下柱の径が異なる鉄骨造の梁接合部においては、図21に示すように、下柱1と上柱2との間に、角筒形で台形の接合部パネル3Aを構成している。各柱1,2と接合部パネル3Aの間には、それぞれ、下,上の柱径に応じた大きさの下部通しダイアフラム4および上部通しダイアフラム5を溶接し、これらダイアフラム4,5に鉄骨梁6の端部を溶接で接合する。
下柱1と上柱2の柱径の差が小さい場合は、図22に示すように、下柱1と同径の角筒状の接合部パネル3を、下柱1と同径の直筒状とする場合もある。接合部パネル3を直筒状とした場合については、上部通しダイアフラム5の補強につき提案されている(特許文献1)。
なお、ノンダイアフラム形式の鉄骨柱梁接合部につき、上下柱の偏心接合部の面外曲げ拘束耐力を、降伏線理論を用いて予想する方法が提案されている(特許文献2)。
図21の台形の接合部パネル3Aを用いるものは、接合部の耐力や剛性が確保し易い。しかし、台形の接合部パネル3Aは、台形の平板状の4枚の鋼板を、それぞれが互いに適正な角度をなす状態に溶接で接合して製作しなければならない。そのため、製作に高度な技術と手間がかかり、コスト高となる。例えば、接合部の加工コストは、鉄骨全体の加工コストの6割程度を占めることになる。
図22の平板上の上部通しダイアフラム5を用いるものは、構成が簡素であるが、平板上の上部通しダイアフラム5の中間部分で上柱2の下端を支持し、柱応力を上部通しダイアフラム5の面外曲げ抵抗で応力伝達することになる。そのため上部通しダイアフラム5による接合部の耐力と剛性の確保が難しく、旧鋼管構造設計指針解説の検討法では、下柱1と上柱2の径差が50mmまでとされている。そのため、径差が100mm以上の場合は、設計のよりどころがない。
特許文献1における、図22の平板上の上部通しダイアフラム5を用いたうえで、上部通しダイアフラム5の補強部材を設けるものは、補強のための工数増により、製作時間や加工コストが増加する。
このような課題を解消する方法として、ダイアフラム形式でかつ直筒状の接合部パネルを用いた上下柱異径の鉄骨柱梁接合部につき、上部通しダイアフラムの接合部の耐力を精度良く容易に予測することができる耐力予測方法が提案されている(特許文献3)。
特開2010−265677号公報 特開2007−146565号公報 特開2013−028997号公報
上記のような上下柱異径の鉄骨柱梁接合部において、上部通しダイアフラムに通常の板厚を用いた場合につき、耐力予測については上記特許文献3のような提案がなされ、また学会などで論議されている。しかし、接合部剛性を予測する方法は確率されていない。そのため、ダイアフラムを特殊な形状に形成するなどして、耐力および剛性を実験により確認したものが各種から商品として販売されている。しかし、非常に高価なものになっている。
上柱と下柱の径の差が大きい場合は、ダイアフラムの耐力よりも剛性が問題となる。径差が大きい場合、剛性を満足する板厚であれば、耐力も満足する。そのため、接合部剛性を予測する方法の提案が望まれる。
上下柱の鋼管柱接合部については、心合わせ、一方向偏心、および二方向偏心に分類されるが、特に、一方向偏心および二方向偏心については、柱の軸歪みの評価方法が明確でなく、定式化が困難である。
この発明の目的は、上下柱異径の鋼管柱接合部につき、通常の板厚を用いた上部通しダイアフラム等となるダイアフラムにつき、剛性を精度良く容易に計算、予測することができるダイアフラム剛性予測方法を提案することである。特に、一方向偏心または二方向偏心の場合に前記剛性予測が適切に行えるようにすることである。
この発明の他の目的は、上下柱異径の鋼管柱接合部につき、上部通しダイアフラム等となるダイアフラムの板厚につき、信頼性の高い剛性予測によって、必要な剛性が確保できるように適切に設計できる上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法を提案することである。
この発明の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法の概要を説明する。この発明方法では、次の手法を採用する。
・ダイアフラムの変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価する。
・ダイアフラムの回転バネ位置は、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形とすることで計算を容易にした。
・せん断変形バネの位置は、回転バネによって囲まれる領域に一様に歪みが生じるとすることで計算を容易にした。
・一方向偏心および二方向偏心については、上下柱に軸歪みが生じるため、柱に軸歪み領域を設けることで、ダイアフラムの変形と変形の釣り合いを満足させた。
なお、この明細書で言う「一方向偏心」および「二方向偏心」は、特に説明しない場合、上柱の断面の一辺が下柱の断面の一辺に揃う偏心、および上柱の断面の二辺が下柱の断面の二辺に揃う偏心をそれぞれ言う。
・上下柱の心の位置により、一方向偏心、二方向偏心について、柱軸歪みの評価について簡易かつ合理的な算定方法を確率した。
この発明方法によると、ダイアフラムの剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、ダイアフラムの板厚増加だけで剛性を確保できるため、非常に安価に接合部を構成できる。通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
以下、この発明方法につき、請求項毎に具体的に説明する。
この発明の第1の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法は、一方向偏心の接合部に適用する方法であり、それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備え、前記上柱の断面の1辺が前記下柱の断面の1辺に揃う位置となるように前記上柱が下柱に対して一方向に偏心した上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
前記鋼管柱接合部の解析モデルとして、前記ダイアフラムを、複数の多角形要素(E11〜E14)に分割した解析モデルを設定する。
前記各多角形要素(E11〜E14)は、前記ダイアフラム上において、
前記上柱における、下柱の中心寄りの角である2点の中心寄り角部(B,B′)同士を結ぶ直線(BB′)、前記各中心寄り角部(B,B′)と下柱の上柱離れ側の辺の両端の角部(A,A′)とをそれぞれ結ぶ直線である2本の斜辺(AB,A′B′)、および前記下柱の上柱離れ側の辺の両端の角部同士(A,A′)を結ぶ直線(AA′)により形成される台形の多角形要素(E11)と、
この台形の多角形要素(E11)における前記斜辺(AB,A′B′)と共通な直線、および前記下柱の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点(C,C′)と前記斜辺(AB,A′B′)に共通な直線の両端とをそれぞれ結ぶ2本の直線(AC,BC,)(A′C′,B′C′,)により形成される2つの三角形の多角形要素(E12,E13)と、
前記ダイアフラムの残り部分である6角形の上柱包含多角形要素(E14)との、
合計で4つの多角形要素(E11〜E14)とする。
前記各多角形要素(E11〜E14)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとし、さらに前記上柱包含多角形要素における前記上柱の断面と下柱の断面とが揃う辺では上下の柱に軸歪みが生じるとする。
前記解析モデルに対して作用する荷重として、上柱の前記2点の中心寄り角部(B,B′)に下向きに作用する荷重と、端寄りの辺の2点の角部(G,G′)に上向きに作用する荷重を与え、
この荷重によって前記各多角形要素に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める。
この第1の予測方法によると、この発明の概要につき前述したように、ダイアフラムの変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラムの回転バネ位置は、多角形要素(E11〜E14)の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
第1の剛性予測方法は、一方向偏心の場合であるが、上下柱に軸歪みが生じることを考慮したため、ダイアフラムの変形と変形の釣り合いを満足させることができる。
このように、一方向偏心の接合部でありながらダイアフラムの剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、一方向偏心の接合部において、ダイアフラムの板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
なお、前記鋼管柱接合部は、次の鉄骨柱梁接合部であっても良い。すなわち、それぞれ角形鋼管柱からなる下柱および上柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、下柱の上端開口を閉じて周囲に張り出し前記下柱に全周溶接された下部通しダイアフラムと、前記下柱と略同径の角形直筒状に形成され前記下部通しダイアフラムの上面に下端が全周溶接されて立ち上がる接合部パネルと、この接合部パネルの上端開口を閉じて周囲に張り出し前記接合部パネルに全周溶接されて上面に前記上柱の下端が全周溶接された上部通しダイアフラムと、前記下部通しダイアフラムおよび上部通しダイアフラムの端面に上下フランジが接合される鉄骨梁とを備えた上下柱異径の鉄骨柱梁接合部であっても良い。前記上部通しダイアフラムが、各請求項で言うダイアフラムである。
この発明の上記第1のダイアフラム剛性予測方法において、前記解析モデルに荷重を与え、釣り合い条件からダイアフラムの剛性を求める過程では、
前記解析モデルのダイアフラムにおける前記上柱の中心寄り角部となる点(B)に下向きに与えた荷重(P)によって、前記中心寄り角部となる点(B)に生じる変位δが、前記各回転バネの曲げ変形による変位δと各多角形要素のせん断変形によって生じる変位δとの和(δ=δ+δ)であるとし、
前記荷重(P)の負荷時に、前記各回転バネに蓄えられる歪みエネルギー、前記下柱の軸歪みにより蓄えられる歪みエネルギー、およびこれら回転バネおよび下柱に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記曲げ変形による変位δmとの関係から前記ダイアフラムの曲げ剛性kmを求め、
前記荷重(P)の負荷時に、前記各多角形要素(E11〜E14)が面外方向にせん断変形してこのせん断変形により前記変位δが生じた場合に前記各多角形要素(E11〜E14)に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記せん断変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムのせん断変形に対する剛性ksを求め、
これらの求められた前記ダイアフラムの曲げ剛性kとせん断変形に対する剛性kとから、前記ダイアフラムの曲げおよびせん断に対する合成された剛性を求める、
ようにしても良い。
なお、この曲げおよびせん断に対する合成された剛性は、この明細書の実施形態の説明欄では「回転剛性」と称する。
このように歪みエネルギーを考慮し、荷重と曲げ変形による変位との関係、および荷重とせん断変形による変位との関係からダイアフラムの剛性を求めるため、精度良くダイアフラムの剛性を求めることができる。
この発明の上記第1のダイアフラム剛性予測方法において、前記上柱における前記下柱中心寄りの角部(B,B′)は、前記上柱の外面における下柱中心寄りの辺における、上柱の偏り方向と平行な辺から上柱の肉厚(t)の2倍だけ離れた点とし、前記下柱の上柱離れ側の辺の角部(A、A′)、および前記下柱の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点(C,C′)は、それぞれ下柱の2辺の各肉厚の中心となる直線の交点、および前記の肉厚の中心上の点としても良い。
前記各角の位置等を、厳密には上記のように設定することで、この発明方法による簡易な計算による剛性の予測結果につき、有限要素モデルによる詳細な剛性の計算結果に対して優れた一致度が得られた。
この発明の第1の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法は、この発明の第1の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法を用いて、前記上柱に設計荷重を与えた場合の前記ダイアフラムの剛性を求め、規格化された複数種類の板厚に鋼板の中から、前記の求められる剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を前記ダイアフラムの材料として選定する方法である。
鋼板は、JIS規格や他の規格によって板厚が分類され、その分類に応じて鋼材メーカーから供給されるため、ダイアフラムについては、分類された板厚の中から適した板厚の鋼板を選ぶことになる。この場合に、この発明のダイアフラム剛性予測方法を用いて、設計荷重に対して必要なダイアフラムの剛性を求め、この求められ剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を選定することで、経済的な最適設計が行える。
この発明の第2の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法は、二方向偏心の接合部に適用する方法であり、それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備え、前記上柱の断面の隣合う2辺が前記下柱の断面の隣合う2辺にそれぞれ揃う位置となるように前記上柱が下柱に対して二方向に偏心した上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
前記鋼管柱接合部の解析モデルとして、前記ダイアフラムを、複数の多角形要素(E21〜E25)に分割した解析モデルを設定する。
前記各多角形要素(E21〜E25)は、前記ダイアフラム上において、
前記上柱の下柱に対する最中心寄り角部(B)と前記下柱の上柱反偏り側の角部(A)とを結ぶ直線(AB)、前記下柱の前記反偏り側の角部(A)とこの角部(A)の隣りの角部(C,C′)とを結ぶ直線(AC,AC′)および前記隣の角部(C,C′)と前記上柱の前記最中心寄り角部(B)とを結ぶ直線(BC,BC′)によりそれぞれ形成される三角形の2つの非偏り側多角形要素(E21, E22)と、
前記上柱の下柱の辺と揃う辺上で中央側の角から任意距離だけ離れた点である上柱辺上点(D,D′)と前記隣の角部(C,C′)とを結ぶ直線(DC,′DC′)、および前記上柱の前記最中心寄り角部(B)と前記隣りの角部(C,C′)および前記上柱辺上点(D,D′)とをそれぞれ結ぶ2本の直線(BC,BD)(BC′,BD′)とでそれぞれ構成される三角形の2つの一方偏り側多角形要素(E23, E24)と、
前記ダイアフラムの残り部分である4角形の上柱包含多角形要素(E25)との、
合計で5つの多角形要素(E21〜E25)とする。
前記各多角形要素(E21〜E25)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素(E21〜E25)は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとし、さらに前記上柱包含多角形要素(E25)における前記上柱辺上点(D,D′)では上下の柱に軸歪みが生じるとする。
前記解析モデルに対して作用する荷重として、前記上柱の前記最中心寄り角部(B)に下向きに作用する荷重と、前記上柱辺上点(D,D′)に上向きに作用する荷重を与え、
この荷重によって前記各多角形要素(E21〜E25)に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める。
この第2の予測方法によると、この発明の概要につき前述したように、ダイアフラムの変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラムの回転バネ位置は、多角形要素(E21〜E25)の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
第2の剛性予測方法は、二方向偏心の場合であるが、上下柱に軸歪みが生じることを考慮したため、ダイアフラムの変形と変形の釣り合いを満足させることができる。
このように、二方向偏心の接合部でありながらダイアフラムの剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、二方向偏心の接合部において、ダイアフラムの板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
この発明の上記第2のダイアフラム剛性予測方法において、前記解析モデルに荷重を与え、釣り合い条件からダイアフラムの剛性を求める過程では、前記解析モデルのダイアフラムにおける前記上柱の最中心寄り角部となる点(B)に下向きに与えた荷重(P)によって、前記最中心寄り角部となる点(B)に生じる変位δが、前記回転バネの曲げ変形による変位δと多角形要素のせん断変形によって生じる変位δとの和(δ=δ+δ)であるとし、
前記荷重(P)の負荷時に、前記各回転バネに蓄えられる歪みエネルギー、前記下柱の軸歪みにより蓄えられる歪みエネルギー、およびこれら回転バネおよび下柱に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記曲げ変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムの曲げ剛性kを求め、
前記荷重(P)の負荷時に、前記各多角形要素(E21〜E25)が面外方向にせん断変形してこのせん断変形により前記変位δが生じた場合に前記各多角形要素(E21〜E25)に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記せん断変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムのせん断変形に対する剛性kを求め、
これらの求められた前記ダイアフラムの曲げ剛性kとせん断変形に対する剛性kとから、前記ダイアフラムの曲げおよびせん断に対する合成された剛性を求めても良い。
このように歪みエネルギーを考慮し、荷重と曲げ変形による変位との関係、および荷重とせん断変形による変位との関係からダイアフラムの剛性を求めるため、精度良くダイアフラムの剛性を求めることができる。
この発明の第2の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法は、この発明の第2の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法を用いて、前記上柱に設計荷重を与えた場合の前記ダイアフラムの剛性を求め、規格化された複数種類の板厚に鋼板の中から、前記の求められ剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を前記ダイアフラムの材料として選定する。
このように、この発明のダイアフラム剛性予測方法を用いて、設計荷重に対して必要なダイアフラムの剛性を求め、この求められ剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を選定することで、経済的な最適設計が行える。
この発明の第3の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法は、心合わせ形式の接合部等に適用される方法であって、それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備えた上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
前記接合部の解析モデルとして、ダイアフラムを、複数の多角形要素(E01〜E07)に分割した解析モデルを設定する。
前記各多角形要素(E01〜E07)は、前記ダイアフラム上において、
前記上柱の隣合う2つの角部(B,B′)(D,D′)同士を結ぶ直線(BB′)(DD′)、前記上柱の前記2つの角部(B,B′)(D,D′)と対応する前記下柱の2つの角部(A,A′)(E,E′)と前記上柱の前記2つの角部(B,B′)(D,D′)とを結ぶ直線である斜辺(AB,A′B′)(DE,D′E′)となる2本の直線、および前記下柱の前記2つの角部(A,A)(E,E′)同士を結ぶ直線(AA)(EE′)により構成される台形の多角形要素(E01,E02)を、それぞれ台形の上底(BB′,DD′)が対向するように2つ設け、
前記下柱の残り2つの辺上における上柱の幅方向の中心となる幅中心点(C,C′)と前記台形の多角形要素(E01,E02)の前記各斜辺(AB,A′B′)(DE,D′E′)の両端とを結ぶ2本の直線(CA,CB)(CD,CE) (C′A′,C′B′)(C′D′,C′E′)とで形成される三角形の四つの多角形要素(E03〜E06)を設ける。
前記ダイアフラムの残りの領域で構成される6角形の上柱包含多角形要素(E07)を設け、
前記各多角形要素(E01〜E07)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素(E01〜E07)は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとする。
前記解析モデルに対して作用する荷重として、上柱包含多角形要素(E07)の前記片方の台形の多角形要素(E01)と共通の辺(BB′)の端に下向きに作用する荷重と、もう片方の台形の多角形要素(E02)と共通の辺(DD′)の端に上向きに作用する荷重を与え、
この荷重によって前記各多角形要素(E01〜E07)に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素(E01〜E07)のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める。
この第3の予測方法によると、この発明の概要につき前述したように、ダイアフラムの変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラムの回転バネ位置は、多角形要素の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
このように、ダイアフラムの剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、ダイアフラムの板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立る場合よりも品質が向上する。
この発明の第1の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法によると、一方向偏心の上下柱異径の鋼管柱接合部につき、通常の板厚を用いた上部通しダイアフラム等となるダイアフラムにつき、剛性を精度良く容易に計算、予測することができる。
この発明の第1の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法によると、一方向偏心の上下柱異径の鋼管柱接合部につき、上部通しダイアフラム等となるダイアフラムの板厚につき、信頼性の高い剛性予測によって、必要な剛性が確保できるように適切に設計することができる。
この発明の第2の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法によると、二方向偏心の上下柱異径の鋼管柱接合部につき、通常の板厚を用いた上部通しダイアフラム等となるダイアフラムにつき、剛性を精度良く容易に計算、予測することができる。
この発明の第2の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法によると、二方向偏心の上下柱異径の鋼管柱接合部につき、上部通しダイアフラム等となるダイアフラムの板厚につき、信頼性の高い剛性予測によって、必要な剛性が確保できるように適切に設計することができる。
この発明の第3の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法によると、心合わせ等の上下柱異径の鋼管柱接合部につき、通常の板厚を用いた上部通しダイアフラム等となるダイアフラムにつき、剛性を精度良く容易に計算、予測することができる。
この発明の実施形態に係る剛性予測方法および板厚設計方法の対象となる上下柱異径の鋼管柱接合部のうち、心合わせ形式とした接合部の斜視図である。 同接合部の正面図および下面図である。 この発明の実施形態に係る剛性予測方法および板厚設計方法の対象となる上下柱異径の鋼管柱接合部のうち、一方向偏心形式とした接合部の斜視図である。 同接合部の正面図および下面図である。 この発明の実施形態に係る剛性予測方法および板厚設計方法の対象となる上下柱異径の鋼管柱接合部のうち、二方向偏心形式とした接合部の斜視図である。 同接合部の正面図および下面図である。 (A)はこの発明の実施形態に係る心合わせ形式とした接合部のダイアフラム剛性予測方法における解析モデルの多角形要素を示す平面図、(B)はその変位を示す断面図、(C)はその各点を示す部分拡大平面図である。 同剛性予測方法における剛体−ばねモデルによる曲げ変形を各方向から示す説明図である。 同剛性予測方法における多角形要素のせん断変形を各方向から示す説明図である。 (A)はこの発明の実施形態に係る一方向偏心形式とした接合部のダイアフラム剛性予測方法における解析モデルの多角形要素を示す平面図、(B)はその変位を示す断面図、(C)はその各点を示す部分拡大平面図である。 同剛性予測方法における剛体−ばねモデルによる曲げ変形を各方向から示す説明図である。 同剛性予測方法における多角形要素のせん断変形を各方向から示す説明図である。 (A)はこの発明の実施形態に係る二方向偏心形式とした接合部のダイアフラム剛性予測方法におけるダイアフラムの解析モデルの多角形要素を示す平面図、(B)はその変位を示す断面図である。 同剛性予測方法における剛体−ばねモデルによる曲げ変形を各方向から示す説明図である。 同剛性予測方法における多角形要素のせん断変形を各方向から示す説明図である。 有限要素解析による性能確認を行うための解析モデルの断面図および斜視図である。 同解析におけるダイアフラムの変形の状態を示す断面図である。 心合わせ形式における実施形態の予測方法と有限要素解析の結果とを比較するグラフである。 一方向偏心形式における実施形態の予測方法と有限要素解析の結果とを比較するグラフである。 二方向偏心形式における実施形態の予測方法と有限要素解析の結果とを比較するグラフである。 従来の上下柱異径の鋼管柱接合部の斜視図および正面図である。 従来の他の上下柱異径の鋼管柱接合部の正面図である。
この発明の実施形態を図面と共に説明する。この実施形態における耐力予測および板厚設計の対象となる上下柱異径の鋼管柱接合部の形式としては、図1,図2に示す心合わせ形式と、図3,図4に示す一方向偏心形式と、図5,図6に示す二方向偏心形式とがある。この発明の剛性予測方法の対象となる鋼管柱接合部は、梁との接合部を含む場合に限らないが、以下の説明では、鉄骨柱梁接合部に適用した例につき説明する。
図1,図2と共に、心合わせ形式の鉄骨柱梁接合部の構成を説明する。この上下柱異径の鉄骨柱梁接合部は、それぞれ断面正方形の角形鋼管柱からなる下柱1および上柱2を有し、上柱2が下柱1よりも小径である。下部通しダイアフラム4は、下柱1の上端開口を閉じるように上端面上に配置されて周囲に張り出し、下柱2に全周溶接されている。接合部パネル3は、下柱1と略同径の角形直筒状であり、下部通しダイアフラム4の上面に配置されて立ち上がり、下端が下部通しダイアフラム4に全周溶接されている。接合部パネル3には、例えば下柱1と同じ断面形状でかつ同じ断面寸法の角形鋼管の切断体が用いられる。上部通しダイアフラム5は、接合部パネル3の上端開口を閉じるように上端面上に配置されて周囲に張り出し、接合部パネル3に全周溶接されている。上柱2は、下端が下部通しダイアフラム4に載せられて下端の全周が上部通しダイアフラム4に溶接されている。下部通しダイアフラム4および上部通しダイアフラム5は、いずれも正方形である。各ダイアフラム4,5と柱1,2,接合部パネル3との溶接部7は、いずれも裏当て金8を用いた完全溶込み溶接である。下柱1および上柱2は、例えばそれぞれ下柱および上階柱となる。
鉄骨梁6はH形鋼からなり、その下側および上側のフランジ6a,6bが、下部通しダイアフラム4および上部通しダイアフラム5の端面に溶接されている。鉄骨梁6は、図示の例では柱の周囲の四方に延びて設けられているが、1〜3方向のいずれかのみに設けられていても良い。
図3,4の一方向偏心形式の上下柱異径の鉄骨柱梁接合部は、小径の上柱2を、下柱1に対して断面の1辺が揃うように偏心させ、その直交方向に対しては互いに柱心が揃うように配置したものである。鉄骨梁6は、上下の柱2,1が揃う柱面を除く3方に接合されている。鉄骨梁6は、1方または2方のみに接合しても、また4方に接合しても良い。その他の構成は、図1,2と共に前述した心合わせ形式の鉄骨柱梁接合部と同じである。
図5,6の二方向偏心形式の上下柱異径の鉄骨柱梁接合部は、小径の上柱2を、下柱1に対して隣合う2辺が揃うように、すなわち一つの角部が揃うように偏心させて配置したものである。鉄骨梁6は、前記一つの角部に対して対角線方向に対向する角部の両側に隣合う2辺に接合されている。鉄骨梁6は、1方のみに接合しても、また3方または4方に接合しても良い。その他の構成は、図1,2と共に前述した心合わせ形式の鉄骨柱梁接合部と同じである。
上記の上下柱異径の鉄骨柱梁接合部である鋼管柱接合部を対象とするダイアフラムの剛性予測方法および板厚設計方法を説明する。なお、以下の説明において、単に「ダイアフラム」とあるのは、「上部通しダイアフラム5」を意味する。符号「5」についても省略する場合がある。
心合わせ接合部の剛性につき、図7〜図9と共に説明する。図7に心合せ接合部の回転剛性解析モデルを示す。ダイアフラム5を複数の多角形要素E01〜E07に分割し,各要素01〜E07はその境界に設けられた回転バネで連結されている。多角形要素E01〜E07は、せん断変形については全体に一様に変形が生じるとする。
各多角形要素E01〜E07の範囲につき、具体的に説明する。上柱2の隣合う2つの角部B,B′同士を結ぶ直線BB′、前記2つの角部B,B′と対応する下柱1の2つの角部A,A′と前記上柱2の前記2つの角部B,B′とを結ぶ直線である斜辺AB、A′B′となる2本の直線、および下柱1の前記2つの角部A,A′同士を結ぶ直線AA′により構成される台形の多角形要素E01を設ける。これと同様に、直線DD′,DE,D′E′,EE′により構成される台形の多角形要素E02を設ける。
下柱1の残りの辺AEにおける上柱2の幅方向の中心となる幅中心点Cと前記台形の多角形要素E01の前記斜辺ABとこの斜辺ABの両端とを結ぶ2本の直線CA,CBとで形成される三角形の多角形要素E03を設ける。これと同様に三角形の多角形要素E04,E05,E06を設ける。
前記ダイアフラム5の残りの領域で構成される6角形の上柱包含多角形要素E07を設ける。
前記角部Bは、詳しくは、図7(C)に拡大して示すように、上柱2の外面における下柱中心寄りの辺(BB′)における、上柱2の偏り方向と平行な辺(BD)から上柱2の肉厚tの2倍だけ離れた点とする。角形鋼管は、各角部が円弧状に湾曲しており、外周の断面の辺における直線と角の円弧との接続点が上記の上柱2の肉厚tの2倍だけ離れた点であり、この点をBとする。角部B′も同様である。残りの各角または点は、柱1の2辺の各肉厚の中心となる直線の交点、または肉厚の中心上の点である。以下の説明では、「角部B」を「点B」と称する場合がある。他の各角部などについても、上記と同様に点と称する場合がある。
このように仮定した解析モデルを用い、次のように、荷重、変位、歪エネルギーの関係を用いてダイアフラム5の剛性を求める。
点Bに下向きの力P,点Dに上向きの力Pが作用し,それぞれ変位δが生じるとする。この変位δは,多角形要素01〜E07を剛体と仮定した剛体-バネモデルを用いて算定される変位δmと,多角形要素E01〜E07のせん断変形によって生じる変位δの和で与える。
δ=δ+δ
剛体-バネモデルによる曲げ変形を説明する。
ここでは図8に示すように,対称性を考慮してダイアフラム5の1/4を対象に考える。剛体-バネモデルでは多角形要素を剛体と仮定して解析する。点Bに荷重Pが作用し,変位δが生じた場合,各回転バネに生じる回転角は,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
各回転バネのバネ剛性を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
各回転バネに蓄えられる歪エネルギーは,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
回転バネに蓄えられる歪エネルギーの和UMは,次式で与えられる。
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
多角形要素によるせん断変形を説明する。
ここでは図9に示すように,対称性を考慮してダイアフラムの1/4を対象に考える。点Bに荷重Pが作用し,各多角形要素が面外方向にせん断変形して,変位δが生じた場合各要素のせん断歪を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
各要素の体積を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
各要素に蓄えられる歪エネルギーは,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
各要素に蓄えられる歪エネルギーの和Usは,次式で与えられる。
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
心合わせ接合部のダイアフラム回転剛性を説明する。
Figure 2015045211
上記の3つの式より,曲げモーメントMと回転角θの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
この実施形態の予測方法によると、ダイアフラム5の変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラム5の回転バネ位置は、多角形要素E01〜E07の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
このように、ダイアフラム5の剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、ダイアフラム5の板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
一方向偏心接合部の剛性につき、図10〜図12と共に説明する。
図10に一方向偏心接合部の回転剛性解析モデルを示す。ダイアフラム5を複数の多角形要素E11〜E14に分割する。各要素E11〜E14は、その境界に設けられた回転バネで連結されている。また、各要素E11〜E14は、せん断変形については全体に一様に変形が生じるとする。さらに次の上柱包含多角形要素E14における上柱2の断面と下柱2の断面とが揃う辺では上下の柱1,2に軸歪みが生じるとする。
各多角形要素E11〜E14の範囲につき、具体的に説明する。前記ダイアフラム5上において、
上柱2における、下柱1の中心寄りの角である2点の中心寄り角部B,B′同士を結ぶ直線BB′、前記各中心寄り角部B,B′と下柱1の上柱離れ側の辺の両端の角部A,A′とをそれぞれ結ぶ直線である2本の斜辺AB,A′B′、および下柱1の上柱離れ側の辺の両端の角部A,A′を結ぶ直線AA′により形成される台形の多角形要素E11と、
この台形の多角形要素E11における前記斜辺AB,A′B′と共通な直線、および下柱1の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点Cと前記斜辺AB,A′B′に共通な直線の両端とをそれぞれ結ぶ2本の直線CB,CA(C′B′,C′A′)により形成される2つの三角形の多角形要素E12,E13と、
前記ダイアフラム5の残り部分である6角形の上柱包含多角形要素E14との、合計で4つの多角形要素E11〜E14とする。
前記角部B等は、詳しくは次のように定める。上柱2における前記下柱中心寄りの角部Bは、図10(C)に拡大して示すように、上柱2の外面における下柱中心寄りの辺BB′における、上柱2の偏り方向と平行な辺から上柱2の肉厚tの2倍だけ離れた点とする。前記下柱1の上柱離れ側の辺の角部A、A′、および前記下柱2の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点C、C′は、それぞれ下柱1の2辺の各肉厚の中心となる直線の交点、および前記の肉厚の中心上の点とする。なお、以下の説明において、「角部B」等は、「点B」等と称する場合がある。
前記解析モデルに対して作用する荷重として、上柱2の前記2点の中心寄り角部Bに下向きに作用する荷重と、辺寄りの辺の2点の角部G,G′に上向きに作用する荷重を与え、
この荷重によって各多角形要素E11〜E14に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラム5の剛性を求める。
具体的には次のようにしてダイアフラム5の剛性を求める。
点Bに下向きの力P,点Dに上向きの力Pが作用し,それぞれ変位δが生じるとする。この変位δは,多角形要素を剛体と仮定した剛体-バネモデルを用いて算定される変位δと,多角形要素のせん断変形によって生じる変位δの和で与える。
δ= δ
剛体-バネモデルによる曲げ変形につき説明する。
ここでは図11に示すように,対称性を考慮してダイアフラムの1/2を対象に考える。剛体-バネモデルでは前述のように多角形要素E11〜E14を剛体と仮定して解析する。点Bに荷重Pが作用し,変位δが生じた場合,各回転バネに生じる回転角は,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
各回転バネのバネ剛性を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
各回転バネに蓄えられる歪エネルギーは,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
Figure 2015045211
下柱の軸歪により蓄えられる歪エネルギーは,以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
回転バネおよび下柱に蓄えられる歪エネルギーの和UMは,次式で与えられる。
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
多角形要素によるせん断変形につき説明する。
ここでは図12に示すように,対称性を考慮してダイアフラムの1/2を対象に考える。点Bに荷重Pが作用し,各多角形要素が面外方向にせん断変形して,変位δが生じた場合各要素のせん断歪を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
一方向偏心接合部のダイアフラム回転剛性につき説明する。
δ= δより,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
上記の3つの式より,曲げモーメントMと回転角θの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
この実施形態における一方向偏心場合の予測方法によると、ダイアフラム5の変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラム5の回転バネ位置は、多角形要素の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
この実形態は一方向偏心の場合であるが、上下柱1,2に軸歪みが生じることを考慮したため、ダイアフラム5の変形と変形の釣り合いを満足させることができる。
このように、一方向偏心の接合部でありながらダイアフラム5の剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、一方向偏心の接合部において、ダイアフラム5の板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
二方向偏心接合部の剛性につき、図13〜図15と共に説明する。
図13に二方向偏心接合部の回転剛性解析モデルを示す。ダイアフラム5を複数の多角形要素E21〜E25に分割する。各要素E21〜E25はその境界に設けられた回転バネで連結されている。また、各要素E21〜E25は、せん断変形については全体に一様に変形が生じるとする。さらに、次の上柱包含多角形要素E25における上柱2の角と下柱1の角とが揃う角部Gでは上下の柱1,2に軸歪みが生じるとする。
各多角形要素E21〜E25の範囲につき、具体的に説明する。前記ダイアフラム5上において、上柱2の下柱2に対する最中心寄り角部Bと前記下柱1の上柱反偏り側の角部Aとを結ぶ直線AB、下柱1の前記反偏り側の角部Aとこの角部の隣りの角部C,C′とを結ぶ直線AC,AC′および前記隣の角部C,C′と前記上柱2の前記最中心寄り角部Bとを結ぶ直線CB,C′Bによりそれぞれ形成される三角形の2つの非偏り側多角形要素E21,E22と、
前記上柱2の下柱1の辺と揃う辺上で中央側の角から任意距離だけ離れた点である上柱辺上点D,D′と前記隣の角部C,C′とを結ぶ直線DC,D′C′、および前記上柱2の前記最中心寄り角部Bと前記隣りの角部C,C′および前記上柱辺上点D,D′とをそれぞれ結ぶ2本の直線BC,BD,BC′,BD′とでそれぞれ構成される三角形の一方偏り側多角形要素E23,E24と、
前記ダイアフラムの残り部分である4角形の上柱包含多角形要素E25との、
合計で5つの多角形要素E21〜E25とする。
前記各角部B等は、詳しくは、上柱2もしくは下柱1の2辺の各肉厚の中心となる直線の交点、または上柱2もしくは下柱1の肉厚の中心上の点とする。前記「角部B」等とある記載は、「点B」と称する場合がある。
前記解析モデルに対して作用する荷重として、前記上柱2の前記最中心寄り角部Bに下向きに作用する荷重と、前記上柱辺上点D,D′に上向きに作用する荷重を与え、
この荷重によって前記各多角形要素E21〜E25に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素21〜E25のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラム5の剛性を求める。
具体的には次のようにしてダイアフラム5の剛性を求める。
点Bに下向きの力P,点Dに上向きの力Pが作用し,それぞれ変位δが生じるとする。この変位δは,多角形要素21〜E25を剛体と仮定した剛体-バネモデルを用いて算定される変位δmと,多角形要素21〜E25のせん断変形によって生じる変位δの和で与える。
δ=δ+δ
剛体-バネモデルによる曲げ変形につき説明する。
ここでは図14に示すように,剛体-バネモデルでは多角形要素を剛体と仮定して解析する。点Bに荷重Pが作用し,変位δが生じた場合,各回転バネに生じる回転角は,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
各回転バネのバネ剛性を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
各回転バネに蓄えられる歪エネルギーは,それぞれ以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
Figure 2015045211
下柱の軸歪により蓄えられる歪エネルギーは,以下の式で与えられる。
Figure 2015045211
回転バネに蓄えられる歪エネルギーの和UMは,次式で与えられる。
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
多角形要素によるせん断変形
ここでは図15右下に示すように,点Bに荷重Pが作用し,各多角形要素E21〜E25が面外方向にせん断変形して,変位δsが生じた場合、各要素E21〜E25のせん断歪を,それぞれ以下の式で与える。
Figure 2015045211
Figure 2015045211
カスティリアーノの定理を用いると,荷重Pとδsの関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
よって,心合せ接合部の剛体-バネモデルによる曲げ剛性は,次式で与えられる。
Figure 2015045211
二方向偏心接合部のダイアフラム回転剛性につき説明する。
Figure 2015045211
上記の3つの式より,曲げモーメントMと回転角θ の関係は次式で与えられる。
Figure 2015045211
この実施形態における二方向偏心の場合の予測方法によると、ダイアフラム5の変形を回転バネとせん断変形バネの組み合わせにより評価するため、容易にかつ明確に評価できる。特に、せん断変形バネを考慮するため、回転バネだけを考慮することでは得られない精度の良い剛性予測が行える。ダイアフラム5の回転バネ位置は、多角形要素E21〜E25の境界となる辺であり、降伏線理論による耐力評価方法と類似した形としたため、計算が容易に行える。また、せん断変形バネの位置を、回転バネによって囲まれる領域に一様歪みで生じるとして設定するため、計算が容易となる。
この実施形態の剛性予測方法は、二方向偏心の場合であるが、上下柱1,2に軸歪みが生じることを考慮したため、ダイアフラム5の変形と変形の釣り合いを満足させることができる。
このように、二方向偏心の接合部でありながらダイアフラム5の剛性の精度の良い計算、予測が容易に行える。そのため、二方向偏心の接合部において、ダイアフラム5の板厚増加だけで剛性を確保でき、非常に安価に接合部を構成できる。したがって、柱梁接合部の場合に、通常の通しダイアフラム接合にできるため、テーパ管接合部などにより組立てる場合よりも品質が向上する。
つぎに、ダイアフラムの板厚設計方法につき説明する。この板厚設計方法は、上記の心合わせ、一方向偏心、二方向偏心のいずれかの実施形態に係るダイアフラム剛性予測方法を用いて、前記上柱2に設計荷重を与えた場合の前記ダイアフラム5の剛性を求め、規格化された複数種類の板厚に鋼板の中から、前記の求められた剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を前記ダイアフラム5の材料として選定する方法である。例えば、検討をつけた範囲の各板厚の鋼板をダイアフラム5に用いた場合のダイアフラム5の剛性を、上記実施形態の剛性予測方法で求め、必要とされる剛性を満足する板厚の鋼板の中から最も薄い鋼板を選択する。
鋼板は、JIS規格や他の規格によって板厚が分類され、その分類に応じて鋼材メーカーから供給される。ダイアフラム5については、分類された板厚の中から適した板厚の鋼板を選ぶことになる。この場合に、上記いずれかのダイアフラム剛性予測方法を用いて、設計荷重に対して必要なダイアフラム5の剛性を求め、この求められた剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を選定することで、経済的な最適設計が行える。
解析による性能確認につき説明する。
接合部剛性評価式の妥当性確認
有限要素解析
柱サイズとダイアフラム板厚をパラメータとした数値解析を行い,それに基づいて上部通しダイアフラム接合部剛性の評価式の妥当性を確認する。
数値解析は材料非線形と幾何非線形を考慮した弾塑性有限要素解析とする。解析は汎用構造解析プログラムMSC.Marc2005〈商品名〉を用いて行った。解析モデルを図16に示す。有限要素モデルはフルモデルとし,上柱端部に水平力Pを作用させた。解析モデルの変数は,上柱・下柱寸法および板厚,ダイアフラムの板厚である。
解析モデル一覧
解析モデルの一覧を表1および表2に示す。上柱径200mmから500mm,下柱径250mmから550mmまでの柱で径差50mmと100mmについて,ダイアフラム板厚を12,22,32,40,50,60mmの組合せ78体について心合せ形式,一方向偏心,二方向偏心の柱形式となるモデルをそれぞれ作成した。試験モデルは計234体である。
Figure 2015045211
Figure 2015045211
上部通しダイアフラム接合部の回転剛性Kdは,次式で与える。
Figure 2015045211
解析結果-計算値比較
図18から図20に剛性評価式とFEM解析結果の比較を示す。横軸はダイアフラム回転剛性計算値を柱剛度で除した値,縦軸はFEMのダイアフラム回転剛性を柱剛度で除した値である。色付の点は前回の既評定の際に行ったFEM解析モデルの結果,黒点は今回新たに追加で行ったFEM解析モデルの結果である。
性能確認のまとめ
上部通しダイアフラム接合部剛性の評価式は,ダイアフラム板厚がかなり厚い場合においても,ダイアフラムの回転剛性を概ね精度良く捉えることを確認した。
1:下柱
2:上柱
3:接合部パネル
4:下部通しダイアフラム
5:上部通しダイアフラム
6:鉄骨梁
E01〜E07:多角形要素
E11〜E15:多角形要素
E21〜E25:多角形要素

Claims (8)

  1. それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備え、前記上柱の断面の1辺が前記下柱の断面の1辺に揃う位置となるように前記上柱が下柱に対して一方向に偏心した上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
    前記鋼管柱接合部の解析モデルとして、前記ダイアフラムを、複数の多角形要素(E11〜E14)に分割した解析モデルを設定し、前記各多角形要素(E11〜E14)は、前記ダイアフラム上において、
    前記上柱における、下柱の中心寄りの角である2点の中心寄り角部(B,B′)同士を結ぶ直線(BB′)、前記各中心寄り角部(B,B′)と下柱の上柱離れ側の辺の両端の角部(A,A′)とをそれぞれ結ぶ直線である2本の斜辺(AB,A′B′)、および前記下柱の上柱離れ側の辺の両端の角部同士(A,A′)を結ぶ直線(A,A′)により形成される台形の多角形要素(E11)と、
    この台形の多角形要素(E11)における前記斜辺(AB,A′B′)と共通な直線、および前記下柱の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点(C,C′)と前記斜辺(AB,A′B′)に共通な直線の両端とをそれぞれ結ぶ2本の直線(AC,BC,)(A′C′,B′C′,)により形成される2つの三角形の多角形要素(E12,E13)と、
    前記ダイアフラムの残り部分である6角形の上柱包含多角形要素(E14)との、
    合計で4つの多角形要素(E11〜E14)とし、
    前記各多角形要素(E11〜E14)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとし、さらに前記上柱包含多角形要素における前記上柱の断面と下柱の断面とが揃う辺では上下の柱に軸歪みが生じるとし、
    前記解析モデルに対して作用する荷重として、上柱の前記2点の中心寄り角部(B,B′)に下向きに作用する荷重と、端寄りの辺の2点の角部(G,G′)に上向きに作用する荷重を与え、
    この荷重によって前記各多角形要素に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める、
    ことを特徴とする上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
  2. 請求項1に記載の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法において、前記解析モデルに荷重を与え、釣り合い条件からダイアフラムの剛性を求める過程では、
    前記解析モデルのダイアフラムにおける前記上柱の中心寄り角部となる点(B)に下向きに与えた荷重(P)によって、前記中心寄り角部となる点(B)に生じる変位δが、前記各回転バネの曲げ変形による変位δmと各多角形要素のせん断変形によって生じる変位δとの和(δ=δ+δ)であるとし、
    前記荷重(P)の負荷時に、前記各回転バネに蓄えられる歪みエネルギー、前記下柱の軸歪みにより蓄えられる歪みエネルギー、およびこれら回転バネおよび下柱に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
    この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記曲げ変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムの曲げ剛性kを求め、
    前記荷重(P)の負荷時に、前記各多角形要素(E11〜E14)が面外方向にせん断変形してこのせん断変形により前記変位δが生じた場合に前記各多角形要素(E11〜E14)に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
    この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記せん断変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムのせん断変形に対する剛性kを求め、
    これらの求められた前記ダイアフラムの曲げ剛性kとせん断変形に対する剛性kとから、前記ダイアフラムの曲げおよびせん断に対する合成された剛性を求める、
    上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法において、前記上柱における前記下柱中心寄りの角部(B,B′)は、前記上柱の外面における下柱中心寄りの辺における、上柱の偏り方向と平行な辺から上柱の肉厚(t)の2倍だけ離れた点とし、前記下柱の上柱離れ側の辺の角部(A、A′)、および前記下柱の上柱偏り方向と平行な辺上における上柱の幅の中心となる偏り中心点(C,C′)は、それぞれ下柱の2辺の各肉厚の中心となる直線の交点、および前記の肉厚の中心上の点とした上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法を用いて、前記上柱に設計荷重を与えた場合の前記ダイアフラムの剛性を求め、規格化された複数種類の板厚に鋼板の中から、前記の求められた剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を前記ダイアフラムの材料として選定する上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法。
  5. それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備え、前記上柱の断面の隣合う2辺が前記下柱の断面の隣合う2辺にそれぞれ揃う位置となるように前記上柱が下柱に対して二方向に偏心した上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
    前記鋼管柱接合部の解析モデルとして、前記ダイアフラムを、複数の多角形要素(E21〜E25)に分割した解析モデルを設定し、前記各多角形要素(E21〜E25)は、前記ダイアフラム上において、
    前記上柱の下柱に対する最中心寄り角部(B)と前記下柱の上柱反偏り側の角部(A)とを結ぶ直線(AB)、前記下柱の前記反偏り側の角部(A)とこの角部(A)の隣りの角部(C,C′)とを結ぶ直線(AC,AC′)および前記隣の角部(C,C′)と前記上柱の前記最中心寄り角部(B)とを結ぶ直線(BC,BC′)によりそれぞれ形成される三角形の2つの非偏り側多角形要素(E21, E22)と、
    前記上柱の下柱の辺と揃う辺上で中央側の角から任意距離だけ離れた点である上柱辺上点(D,D′)と前記隣の角部(C,C′)とを結ぶ直線(DC,′DC′)、および前記上柱の前記最中心寄り角部(B)と前記隣りの角部(C,C′)および前記上柱辺上点(D,D′)とをそれぞれ結ぶ2本の直線(BC,BD)(BC′,BD′)とでそれぞれ構成される三角形の2つの一方偏り側多角形要素(E23, E24)と、
    前記ダイアフラムの残り部分である4角形の上柱包含多角形要素(E25)との、
    合計で5つの多角形要素(E21〜E25)とし、
    前記各多角形要素(E21〜E25)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素(E21〜E25)は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとし、さらに前記上柱包含多角形要素(E25)における前記上柱辺上点(D,D′)では上下の柱に軸歪みが生じるとし、
    前記解析モデルに対して作用する荷重として、前記上柱の前記最中心寄り角部(B)に下向きに作用する荷重と、前記上柱辺上点(D,D′)に上向きに作用する荷重を与え、
    この荷重によって前記各多角形要素(E21〜E25)に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める、
    ことを特徴とする上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
  6. 請求項5に記載の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法において、前記解析モデルに荷重を与え、釣り合い条件からダイアフラムの剛性を求める過程では、
    前記解析モデルのダイアフラムにおける前記上柱の最中心寄り角部となる点(B)に下向きに与えた荷重(P)によって、前記最中心寄り角部となる点(B)に生じる変位δが、前記回転バネの曲げ変形による変位δと多角形要素のせん断変形によって生じる変位δとの和(δ=δ+δ)であるとし、
    前記荷重(P)の負荷時に、前記各回転バネに蓄えられる歪みエネルギー、前記下柱の軸歪みにより蓄えられる歪みエネルギー、およびこれら回転バネおよび下柱に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
    この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記曲げ変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムの曲げ剛性kを求め、
    前記荷重(P)の負荷時に、前記各多角形要素(E21〜E25)が面外方向にせん断変形してこのせん断変形により前記変位δが生じた場合に前記各多角形要素(E21〜E25)に蓄えられる歪みエネルギーの和を求め、
    この歪みエネルギーの和を用いて、前記与えた荷重(P)と前記せん断変形による変位δとの関係から前記ダイアフラムのせん断変形に対する剛性ksを求め、
    これらの求められた前記ダイアフラムの曲げ剛性kmとせん断変形に対する剛性kとから、前記ダイアフラムの曲げおよびせん断に対する合成された剛性を求める、
    上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法を用いて、前記上柱に設計荷重を与えた場合の前記ダイアフラムの剛性を求め、規格化された複数種類の板厚に鋼板の中から、前記の求められた剛性を充足しかつ最も薄い板厚の鋼板を前記ダイアフラムの材料として選定する上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム板厚設計方法。
  8. それぞれ角形鋼管柱からなる上柱および下柱を有し、上柱が下柱よりも小径であり、前記下柱の上端開口を閉じて前記下柱の上端に全周溶接されかつ上柱の下端に全周溶接されたダイアフラムを備えた上下柱異径の鋼管柱接合部について、前記ダイアフラムの剛性を予測する方法であって、
    前記接合部の解析モデルとして、ダイアフラムを、複数の多角形要素(E01〜E07)に分割した解析モデルを設定し、前記各多角形要素(E01〜E07)は、前記ダイアフラム上において、
    前記上柱の隣合う2つの角部(B,B′)(D,D′)同士を結ぶ直線(BB′)(DD′)、前記上柱の前記2つの角部(B,B′)(D,D′)と対応する前記下柱の2つの角部(A,A′)(E,E′)と前記上柱の前記2つの角部(B,B′)(D,D′)とを結ぶ直線である斜辺(AB,A′B′)(DE,D′E′)となる2本の直線、および前記下柱の前記2つの角部(A,A)(E,E′)同士を結ぶ直線(AA)(EE′)により構成される台形の多角形要素(E01,E02)を、それぞれ台形の上底(BB′,DD′)が対向するように2つ設け、
    前記下柱の残り2つの辺上における上柱の幅方向の中心となる幅中心点(C,C′)と前記台形の多角形要素(E01,E02)の前記各斜辺(AB,A′B′)(DE,D′E′)の両端とを結ぶ2本の直線(CA,CB)(CD,CE) (C′A′,C′B′)(C′D′,C′E′)とで形成される三角形の四つの多角形要素(E03〜E06)を設け、
    前記ダイアフラムの残りの領域で構成される6角形の上柱包含多角形要素(E07)を設け、
    前記各多角形要素(E01〜E07)は、曲げ力に対して剛体であってせん断力に対して全体が一様に弾性変形し、かつ各多角形要素(E01〜E07)は各境界となる辺で弾性的に折れ曲がり可能に回転バネで連結されているとし、
    前記解析モデルに対して作用する荷重として、上柱包含多角形要素(E07)の前記片方の台形の多角形要素(E01)と共通の辺(BB′)の端に下向きに作用する荷重と、もう片方の台形の多角形要素(E02)と共通の辺(DD′)の端に上向きに作用する荷重を与え、
    この荷重によって前記各多角形要素(E01〜E07)に生じた前記回転バネにおける曲げ変形と多角形要素(E01〜E07)のせん断変形を加算し、釣り合い条件から前記ダイアフラムの剛性を求める、
    ことを特徴とする上下柱異径の鋼管柱接合部のダイアフラム剛性予測方法。
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