JP2015044942A - 粘着フィルム及び表面保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂フィルム基材の片面に、粘着剤層を有する粘着フィルムであって、前記樹脂フィルム基材の厚みが75μm以上であり、前記粘着剤層が、(A)アルキル基の炭素数が、C1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、(B)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー及び窒素含有ビニルモノマーの群から選択した少なくとも一種以上の共重合性ビニルモノマーと、を含むアクリル系共重合体と、(C)シランカップリング剤と、(D)架橋剤とを含有してなる粘着剤組成物を用いて形成されてなり、前記粘着剤層は、厚みが10〜35μmで積層されてなり、前記粘着剤層の厚みが20μmのときに、ガラス板に対する粘着力が0.1〜1.5N/25mmであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、近年増加するタッチパネルの需要に伴い、タッチパネルの構造をより簡略化、薄膜化されたガラス一枚のパネル構造(OGS)を製造するための、化学研磨工程などで使用される粘着フィルムを提供する。本発明は、パネル端面などをフッ酸(硫酸などの強酸と混合する場合あり)で処理を行う化学研磨工程中に、パネルの表面(例えばITO表面)などを、エッチング液から保護するための保護シートとして用いることが可能な、粘着フィルムに関するものである。
従来の耐フッ酸保護シートは、フッ酸が浸透してきて十分にパネルの表面を保護できなかった。また、パネルの表面を保護できたとしても、化学研磨工程の終了後に剥がした際に、耐フッ酸保護シートの粘着剤がパネルを汚染するなどの現象があり、再剥離性が良くないため、十分に満足できる性能ではなかった。
(B)のヒドロキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルや、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシランなどが挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メチルアミノ)プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、前記有機官能基を含み、オリゴマー化したアルコキシオリゴマー(シリコーンアルコキシオリゴマー)なども、シランカップリング剤として用いることができる。
イソシアネート化合物の架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネート類、前記ジイソシアネートのビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパンや、グリセリン等の3価以上のポリオールとのアダクト体などのポリイソシアネート化合物が挙げられる。
本発明の粘着フィルムに用いる樹脂フィルム基材としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルフィルムなどの、各種の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルム基材としては、厚みが75μm以上のポリエステルフィルムであれば、フィルムの剛性が高くて変形し難いことから好ましい。樹脂フィルム基材の厚みが、75μmよりも薄いと、剛性が低くて変形し易く、その結果、粘着剤層を介して粘着フィルムを、被着体であるガラス板に貼り合わせた状態で、粘着剤層とガラス板との間に、フッ酸が浸透し易くなるので好ましくない。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート5重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を100重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1のアクリル系共重合体溶液1を得た。
[実施例2〜6及び比較例1〜3]
単量体の組成を各々、表1の(A)、(B−1)、及び(B−2)の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル系共重合体溶液1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜3に用いるアクリル系共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造したアクリル系共重合体溶液1(そのうちアクリル系共重合体が100重量部)に対して、架橋剤として、コロネートHLの3.0重量部と、シランカップリング剤として、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)の0.02重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚みが20μmである粘着フィルムを得た。
その後、厚みが75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる樹脂フィルム基材の片面に、粘着フィルムを転写させ、「樹脂フィルム基材/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の粘着フィルムを得た。
[実施例2〜6及び比較例1〜3]
添加剤の組成を、各々、表1の(C)及び(D)の記載のようにし、また、樹脂フィルム基材の厚みを表2の記載のようにする以外は、上記の実施例1の粘着フィルムと同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜3の粘着フィルムを得た。
また、表1に用いた各成分の略記号の化合物名を、次の表3に示す。なお、コロネート(登録商標)HX、同L−45は、日本ポリウレタン工業株式会社の商品名である。D−110Nは、三井化学株式会社の商品名である。KBE−403、KBM−5103、KBE−903、KBM−802、X−41−1810、X−41−1056は、信越化学工業株式会社の商品名である。
実施例1〜6及び比較例1〜3における粘着フィルムを、ソーダライムガラスのアセトンで洗浄した非錫面に、圧着ロールで貼り合わせた。その後、50℃、0.5MPa×20分間オートクレーブ処理した後、23℃、50%RHの雰囲気下に戻し、1時間経過後の粘着フィルムを、引張試験機によって180°方向に300mm/minの速度で剥離した時の剥離強度を、粘着フィルムの粘着力とする。
粘着力を測定した後の、被着体(ソーダライムガラス板)の表面を目視で確認し、粘着剤層に起因する汚染状態を判断する。汚染性は、被着体の汚染状態に応じて、次のような判定基準により、評価した。
・汚染性の評価(○):粘着剤層が、被着体を全く汚染していない。
・汚染性の評価(△):粘着剤層が、被着体を一部汚染している。
・汚染性の評価(×):粘着剤層が、被着体を汚染し、粘着剤層も移行している。
実施例1〜6及び比較例1〜3における粘着フィルムを、高さが4μmの段差の設けられたソーダライムガラス板の表面に、圧着ロールで貼り合せた後、温度27℃の濃度15%のフッ酸水溶液に150秒浸漬した後、よく水洗した。その後、粘着フィルムを剥がした後、粘着フィルムが貼り合わされていたガラス基板の被着面を目視で確認し、フッ酸の浸透によるソーダライムガラス板の、腐食の有無を確認する。耐フッ酸浸透性は、ガラス基板の腐食の有無及び程度に応じて、次のような判定基準により、評価した
・耐フッ酸浸透性の評価(○):ガラス基板の腐食が、全くない場合。
・耐フッ酸浸透性の評価(△):粘着フィルムが貼られていた場所にフッ酸が浸透し、ガラス基板の一部が腐食している場合。
・耐フッ酸浸透性の評価(×):粘着フィルムが貼られていた場所にフッ酸が浸透し、ガラス基板が腐食している場合。
厚みが0.4mmの、縦横の長さがそれぞれ10cmの四角形状をした、タッチパネルセンサー用のガラス板の両表面に、ITO膜を蒸着した。図1に示すように、10cm×10cmの寸法に裁断した実施例1の粘着フィルムを4枚作製し、そのガラス板1の一辺の先端から0.3mmの幅で、粘着フィルム4がはみ出すように、粘着フィルム4の粘着剤層3を介して、前記ガラス板1の両表面のITO膜5上に貼り合せて、実施例1の積層体を2つ作製した。これらの積層体を、温度27℃の濃度15%のフッ酸水溶液に、1つの積層体は5分間、もう1つの積層体は10分間浸漬した後、室温で5分間水洗した。その後、それぞれの積層体から、両面の粘着フィルムを剥離して、フッ酸が浸透することにより、ITO膜の表面が変色した範囲の、ガラス板の一端部からの最大距離を測定し、浸蝕距離とした。また、実施例1の粘着フィルムに代えて、比較例1の粘着フィルムを用いたこと以外は同様にして、比較例1の積層体を2つ作製し、浸蝕距離を測定した。その試験結果を表4に示す。
図2により、実施例1の粘着フィルムを用いた場合には、温度27℃、濃度が15%のフッ酸水溶液中に浸漬した後、被着体であるガラス板の被着面の、前記粘着フィルムの貼り合わせ面の端部からの距離が80μm以上の部分に、少なくとも150秒間以上に渡りフッ酸の浸透がないことが確認できる。
ITOフィルムの表面に、粘着フィルムの粘着剤層を貼り合せ、85℃、90%RH×1000時間経過後の、ITOフィルムの表面抵抗率(SR1)を測定する。表面抵抗率(Ω/□)は、抵抗率計ハイレスタUP−HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて測定した。粘着フィルムの粘着剤層を貼り合わせる前の、ITOフィルムの表面抵抗率を初期値(SR0)とし、表面抵抗率の変化率(%)を、「100×(SR1−SR0)/SR0」により算出する。ITOへの腐食性は、表面抵抗率の変化率に応じて、次のような判定基準により、評価した。
・腐食性の評価(○):表面抵抗率の変化率が、2%未満の場合。
・腐食性の評価(△):表面抵抗率の変化率が、2%以上5%未満の場合。
・腐食性の評価(×):表面抵抗率の変化率が、5%以上の場合。
比較例1の粘着フィルムは、粘着力が大きいため、汚染性がやや劣っていた。また、粘着剤層がシランカップリング剤を含まないため、撥水性が付加されておらず、耐フッ酸浸透性が劣っていた。
比較例2の粘着フィルムは、粘着力が大きいため、汚染性が劣っていた。また、粘着剤がカルボン酸を含むため、ITOへの腐食性が劣っていた。
比較例3の粘着フィルムは、粘着力が大きいため、汚染性が劣っていた。また、粘着剤層がシランカップリング剤を含まないため、撥水性が付加されておらず、耐フッ酸浸透性が劣っていた。
Claims (7)
- 樹脂フィルム基材の片面に、粘着剤層を有する粘着フィルムであって、前記樹脂フィルム基材の厚みが75μm以上であり、前記粘着剤層が、(A)アルキル基の炭素数が、C1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、(B)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー及び窒素含有ビニルモノマーの群から選択した少なくとも一種以上の共重合性ビニルモノマーと、を含むアクリル系共重合体と、(C)シランカップリング剤と、(D)架橋剤とを含有してなる粘着剤組成物を用いて形成されてなり、前記粘着剤層は、厚みが10〜35μmで積層されてなり、前記粘着剤層の厚みが20μmのときに、ガラス板に対する粘着力が0.1〜1.5N/25mmであることを特徴とする粘着フィルム。
- 前記粘着剤層が、(A)アルキル基の炭素数が、C1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも一種を80〜95重量部と、(B)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー及び窒素含有ビニルモノマーの群から選択した少なくとも一種類以上の共重合性ビニルモノマーを5〜20重量部と、を含むアクリル系共重合体100重量部と、(C)シランカップリング剤を0.01〜1重量部と、(D)架橋剤を0.01〜10重量部とを、含有してなる粘着剤組成物を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
- 前記シランカップリング剤が、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基からなる群から選択された少なくとも一種類の、有機官能基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の粘着フィルム。
- 前記架橋剤が、イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着フィルムを用いたタッチパネル用表面保護フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着フィルムを用いた化学研磨処理用表面保護フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着フィルムを用いた光学部材用表面保護フィルム。
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