JP2015044730A - 粗骨材による流動性低下が抑制された自己充填コンクリート、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セメント、水、細骨材及び高性能AE減水剤からなるモルタルと、粗骨材と、空気連行剤とを含み、連行空気を9〜15体積%含むことを特徴とする自己充填コンクリートとする。
【選択図】図1
Description
しかし、水セメント比を低くしただけではコンクリートの高い流動性は得られない。したがって、自己充填コンクリートは、高性能AE減水剤と呼ばれる化学混和剤の添加が不可欠であり、セメント粒子同士の凝集を高性能AE減水剤の作用によって分散させることで高い流動性が得られる。そのため、粘度は一般のコンクリートに比べて著しく高いにもかかわらず、重力の作用のみで流れ動くことができることが自己充填コンクリートの特徴である。
また、連行空気により自己充填コンクリートの流動性低下を抑制することができるので、従来の自己充填コンクリートよりもセメント量を減らし細骨材量を増やしても十分な流動性を確保することができる。よって、セメント量を減らすことができ、これにより従来の自己充填コンクリートの課題であった、常用のセメントを用いた場合のコンクリートの発熱を抑制することができる。
空気連行剤は、界面活性剤の一種であり、界面活性剤の気泡力によりコンクリート中に独立した微細な空気泡を連行させるものである。空気連行剤としては、当技術分野で一般的に用いられるものを使用することができ、例えばマスターエア101、マスターエア202(共にBASFジャパン株式会社製)を使用することができる。
水セメント比が35%未満である場合、コンクリートが発熱する虞があるため好ましくない。また、水セメント比が50%を超える場合、コンクリートの十分な強度が得られないため好ましくない。
本発明に係る自己充填コンクリートにおいて、モルタル中における細骨材の配合量(容積比)は特に限定されるものではないが、40体積%以上とすることが好ましく、45〜60体積%とすることがより好ましく、50〜59体積%とすることがさらに好ましい。細骨材の配合量の上限を適切に設定することで、自己充填コンクリートの流動性の低下を抑制し、自己充填性を向上させることができる。細骨材の配合量の下限を適切に設定することで、自己充填コンクリートの発熱とコストの上昇を抑制することができる。
モルタル中における細骨材の容積比が40体積%未満である場合、コンクリートの発熱や収縮が発生する虞があるため好ましくない。また、モルタル中における細骨材の容積比が55体積%を超える場合、十分に流動性の低下を抑制できないため好ましくない。
本発明の自己充填コンクリートを製造するための方法としては、セメント、水、細骨材及び高性能AE減水剤からなるモルタルと、粗骨材と、空気連行剤とを一括して混錬幾等に投入し、全材料を一括して練り混ぜるような一般的な方法(以下、一般的方法と称す)が考えられる。この一般的方法によっても、十分に流動性の低下が抑えられた本発明の自己充填コンクリートを製造することができる。
以下の表1に示す材料を用いて、表2に示す組成のモルタルAを調製し、各モルタルAそれぞれに表3に示す量の空気連行剤を添加してモルタルBのサンプルを得た。後述する漏斗流下速度の比較試験のために、模擬粗骨材をモルタルB(セメント、水、細骨材及び高性能AE減水剤)容積に対し20%を混入したもの(モルタルC)と、模擬粗骨材を混入しないもの(モルタルB)両方を調製した。
上記組成のモルタルBとモルタルCのサンプルを、図3に示す漏斗を用いて、模擬粗骨材を混入したフレッシュモルタル(モルタルC)の流下速度比Rmb(下記式1)及び模擬粗骨材を混入しないフレッシュモルタル(モルタルB)のRm(下記式2)を測定した。結果を図1に示す。
Rmb=10/tmb・・・(式1)
Rm=10/tm・・・・・(式2)
tmb:模擬粗骨材を混入したフレッシュモルタルの漏斗流下時間(秒)
tm:模擬粗骨材を混入しないフレッシュモルタルの漏斗流下時間(秒)
一方、空気連行剤を特定量含むサンプルは、モルタル中における細骨材の容積比が増えても流動性低下度は大きく増加することはなく、空気量8.6〜8.8%のサンプルは、該容積比が55%になっても、流動性低下度は該容積比が40%の時と比較して約1.5倍以下に抑えられている。また、連行空気量の含有量が多くなるに従い流動性低下度を小さく抑えることができる。
次に、以下の表4に示す材料を用いて、表5に示す組成で実際に配合した自己充填コンクリートについて、従来法に従いボックス形充填装置を用いて行った。図4(a)はボックス形充填試験器の概略図であり、図4(b)は障害鉄筋の概略図である。
図4(a)に示すボックス形充填装置1のA室とB室との隔壁の下部には、図4(b)に示す障害鉄筋2が設けられており、B室内には障害鉄筋に沿い且つ上下にスライド可能なゲート3が取付けられている。A室内にコンクリートを充填し、ゲート3を引き上げることにより、A室内のコンクリートを障害鉄筋2との間隙を通してB室内へ流出させて間隙通過性試験を行った。
次に、上記比較例1のセメントと、上記実施例1とは連行空気量が14%であること以外は同じ(その分、水、セメント及び細骨材の総量は減るが比率は同じ)であるセメント(実施例2)とについて、打設してから1か月後の強度を測定した。結果を下記表6に示す。
Claims (5)
- セメント、水、細骨材及び高性能AE減水剤からなるモルタルと、粗骨材と、空気連行剤とを含み、連行空気を9〜15体積%含むことを特徴とする自己充填コンクリート。
- 前記モルタル中における前記細骨材の配合量が40体積%以上であることを特徴とする請求項1記載の自己充填コンクリート。
- 前記水の配合量が前記セメントの配合量に対して35重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の自己充填コンクリート。
- 前記空気連行剤の配合量が前記セメントの配合量に対して0.001〜0.2重量%であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の自己充填コンクリート。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の自己充填コンクリートを製造する方法であって、
(i)前記セメントと、前記細骨材と、前記粗骨材と、前記高性能AE減水剤と、前記水の一部分とを混合して、それらの混合物である中間体を生成する工程、と、
(ii)前記中間体に、前記水の残部と、前記空気連行剤とを混合する工程、とを具備することを特徴とする自己充填コンクリートの製造方法。
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