JP2015042736A - 潜在性硬化触媒、熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置 - Google Patents

潜在性硬化触媒、熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性が良好で、硬化物特性や成形加工性も良好である潜在性硬化触媒、それを含む熱硬化性樹脂組成物、及びその熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体が封止された樹脂封止型半導体装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる金属キサンテート構造を有する化合物
【化1】
Figure 2015042736

(ただし、式中、Mは金属原子、Rはアルキル基又はアリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)からなる熱硬化性樹脂組成物用の潜在性硬化触媒、それを用いた熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂用の潜在性硬化触媒、熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体措置に係り、特に、所定の金属キサンテート構造を有する化合物からなる潜在性硬化触媒、該潜在性硬化触媒を適用した熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置に関する。
従来から、成形材料、接着材料等の分野において、熱硬化性樹脂組成物が広い範囲で用いられている。これらの熱硬化性樹脂組成物のなかでもエポキシ樹脂は、接着性、機械特性、電気特性、熱特性、耐化学性において優れた特性を有しているため多様な分野で利用されている。その用法としてあらかじめエポキシ樹脂と硬化剤を混合しておく一液性エポキシ樹脂組成物と、使用直前に混合する二液性エポキシ樹脂組成物がある。
二液性エポキシ樹脂組成物は、使用直前に混合するため低温速硬化、長期保管が行える反面、計量、混合の作業があり配合ミス、作業効率の低下を招いていた。
これに対して、一液性エポキシ樹脂組成物は、あらかじめエポキシ樹脂、硬化剤を混合しておくため作業性は良いが、配合組成によっては室温から硬化反応が開始してしまい、長期、室温保管ができない。そのため、長期保管する場合には、熱により硬化反応を開始するように潜在性硬化剤又は潜在性硬化促進剤が必要となっている。
このような潜在性硬化剤としては、フェノール樹脂、ジシアンジアミド等が用いられているが、これらは硬化温度が150〜250℃と高く、また硬化度を上げるため長時間の加熱処理を必要としている。そのため、一般的には硬化促進剤を併用して低温、短時間硬化を行っている。
ここで硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィン等のリン化合物、イミダゾール化合物等のアミン化合物が用いられているが、特に低温、短時間硬化、硬化物の機械特性、電気特性等の利点からイミダゾール化合物が広く用いられている。しかしながらイミダゾール化合物の併用により室温からの硬化反応が開始してしまい、潜在性が得られにくく保存安定性が低下する等の問題がある。
上記の課題を解決すべく、エポキシ樹脂にアミン化合物を付加したアミンアダクト体及び同アダクト体にフェノール樹脂を添加する工程を含むエポキシ系樹脂用の硬化剤の調製のための方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、イソシアネート系化合物と活性水素化合物の反応により得られた被膜及び/又はエポキシ樹脂用硬化剤とエポキシ樹脂の反応により得られた被膜からなるシェルで被覆したマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。
特開2003−40976号公報 特開2007−91901号公報 特開昭63−205380号公報 特開2012−246334号公報 特開2012−521491号公報
しかしながら、特許文献1のようなアミンアダクト体はその反応性から反応温度制御が難しく、また潜在性を向上させるためにアダクト体の高分子量化、非溶解性化を進めるとアダクト体自体の粉砕が困難になり、配合が困難となる等の問題がある。
また、特許文献2のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤は基本的には有機溶剤系で製造されるため、反応の制御が難しいことやエポキシ樹脂と硬化剤を混合する際、ロール等の混練方法ではマイクロカプセルが破裂してしまい所望の潜在性を得られないという問題がある。
そこで、本発明は、保存安定性が良好で、硬化物特性や成形加工性も良好である潜在性硬化触媒、それを含む熱硬化性樹脂組成物、及びその熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体が封止された樹脂封止型半導体装置を提供することを課題とする。
なお、本発明において注目した金属キサンテート化合物は、これまで主にゴム成分もしくは加硫促進剤(例えば、特許文献3、特許文献4参照)や連鎖移動剤(例えば特許文献5参照)に使用されているが、熱硬化性樹脂の硬化促進剤としての使用は知られていない。
本発明者らは上記の課題を解決しようと鋭意研究を重ねた結果、所定の構造を有する金属キサンテート化合物を潜在性硬化触媒として使用することにより、保存安定性が良好で、硬化物特性や成形加工性も良好である熱硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は以下に記載の潜在性硬化触媒、熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置である。
[I]下記一般式(1)で表わされる金属キサンテート構造を有する化合物
Figure 2015042736
(ただし、一般式(1)において、Mは金属原子、Rはアルキル基又はアリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)からなる熱硬化性樹脂用の潜在性硬化触媒。
[II]上記一般式(1)におけるMが、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、Ce、Nb、Sm、Eu、Gd、Ho、Er又はTmである上記[I]記載の潜在性硬化触媒。
[III]上記[I]又は[II]記載の潜在性硬化触媒を必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物。
[IV]熱硬化性樹脂、硬化剤及び無機質充填剤を必須成分とする上記[III]記載の熱硬化性樹脂組成物。
[V]上記無機質充填剤として、平均粒子径が0.01〜3μmの金属酸化物を必須成分とて含有することを特徴とする[IV]記載の熱硬化性樹脂組成物。
[VI]上記[III]〜[V]のいずれかに記載の半導体封止用樹脂組成物により半導体素子が封止されていることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
本発明の潜在性硬化触媒及び熱硬化性樹脂組成物により、保存安定性が良好で、硬化物特性や成形加工性も良好である熱硬化性樹脂組成物が得られ、作業性等が大幅に改善でき、これにより、本発明の樹脂封止型半導体装置の生産性を向上できる。
以下、本発明の潜在性硬化触媒、熱硬化性樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置について詳細に説明する。
(潜在性硬化触媒)
本発明の潜在性硬化触媒は、下記一般式(1)
Figure 2015042736
(ただし、一般式(1)において、Mは金属原子、Rはアルキル基又はアリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)で示される金属キサンテート構造を有する化合物であり、熱硬化性樹脂用として使用されるものである。
ここで、置換基Rはアルキル基又はアリール基である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル等の炭素数が1〜24のアルキル基が挙げられる。このアルキル基は、直鎖状でも分枝鎖状でもよい。また、これらアルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、このアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ニトリル基、アリール基等が挙げられる。また、アリール基としては、ベンゼン、ナフチル基、アントラニル基等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。このアリール基も無置換でも置換基を有していてもよく、このアリール基の置換基としては、ハロゲン基、ニトロ基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換のアルキル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、Mの金属原子としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、Ce、Nb、Sm、Eu、Gd、Ho、Er、Tmのいずれの金属原子を用いてもよい。本明細書において「金属原子」は、上記の通り、金属原子に加え、一般に半金属原子と呼ばれる原子も含むものである。ここで、半金属原子としては、例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Biが挙げられる。
(金属キサンテート化合物の合成方法)
本発明の硬化触媒である金属キサンテート化合物は、市販されているものをそのまま使用してもよいし、公知の方法により適宜製造したものを使用してもよい。金属キサンテート化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、キサンテート酸塩に用いた金属元素よりもイオン化傾向の小さい金属元素を有する金属塩の弱(酸)塩基遊離反応により合成できる。
一例として、キサンテート酸のカリウム塩を製造した後、カリウムよりイオン化傾向の小さい金属元素を有する金属塩の弱(酸)塩基遊離反応による合成方法を挙げる。まず、不活性ガス雰囲気下、カリウムアルコキシドを溶媒中に溶解させ、冷却後、アルコールを加え撹拌する。この溶液中に二硫化炭素を滴下し、さらに撹拌する。その後、定法により溶媒除去、精製、ろ過、乾燥を行うことで、下記一般式(2)で示されるカリウムキサンテート化合物(上記一般式(1)の金属原子がカリウムであるカリウムキサンテート化合物)
Figure 2015042736
(ただし、式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。)を得ることができる。
さらに、上記方法により得られたカリウムキサンテート化合物を所望の金属塩を用いて弱(酸)塩基遊離反応させ、その後、定法によりろ過、洗浄、精製、乾燥を行うことで、所望の金属元素を有する金属キサンテート化合物を製造できる。すなわち、上記一般式(2)で表わされるカリウムキサンテート構造を有する化合物に、金属塩を用いて弱(酸)塩基遊離反応を行い、カリウムを金属塩中の金属原子と入れ替えることで、カリウム以外の金属原子を含有する下記一般式(3)で表わされる金属キサンテート構造を有する化合物
Figure 2015042736
(ただし、式中、Mrは金属原子(Li,Cs,Rb,Kは除く)、Rはアルキル基又はアリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)を製造できる。なお、ここで使用できる金属塩は、上記説明した金属原子MからKとこれよりもイオン化傾向の大きいLi,Cs,Rbを除いた金属原子Mrを含む塩が挙げられる。この金属塩は、Kよりもイオン化傾向の小さい金属元素を有する塩であればよく、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。なお、上記では、まずカリウムキサンテート化合物を製造した場合を例に説明したが、Li,Cs,RbやNa等の他の金属キサンテート化合物を製造してもよく、その場合には、原料とするキサンテート化合物が有する金属よりもイオン化傾向の小さい金属を有する金属塩を用いて弱(酸)塩基遊離反応を進行させればよい。
(熱硬化性樹脂組成物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂に、先に説明した金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒を必須成分として含有するものである。本発明の熱硬化性樹脂組成物として、上記成分にさらに、硬化剤、無機質充填剤を含有するものであってもよい。また、必要に応じて、カップリング剤、離型剤、着色剤、応力緩和剤、表面改質剤といった各種添加剤を追加したものであってもよい。以下、本発明による熱硬化性樹脂組成物を構成する主な成分について説明する。
本発明の金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒を使用する場合、上記のように得られた反応生成物(金属キサンテート化合物)を粉末状にして使用する方法、又は硬化剤を用いる場合には硬化剤に分散させる方法がある。組成物における配合量は、硬化触媒作用を発現すれば特に制限はない。しかしながら、硬化性、流動性の観点から、潜在性硬化触媒としては、組成物全体を100質量部としたとき、0.1〜30質量部、好ましくは0.2〜20質量部である。0.1質量部未満では短時間で十分な硬化をさせることができず、30質量部を超えると硬化速度が速すぎ良好な成形品が得られず、保存安定性も低下する。
潜在性硬化触媒としては、本発明の金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒に加え、公知の硬化促進剤を1種以上併用してもよい。併用可能な硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。この併用する潜在性硬化促進剤としては、これらのうち1種を単独で併用してもよく、2種以上を混合して併用してもよい。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。有機リン系化合物としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等が挙げられる。3級アミンとしては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等が挙げられる。
上記公知の硬化促進剤を併用する場合、本発明の金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒は、該潜在性硬化触媒と硬化促進剤の合計量を100質量%としたとき、その50質量%以上含有させることが好ましい。この含有量が50質量%未満であると保存安定性が低下するおそれがある。
本発明において使用可能な熱硬化性樹脂としては、本発明の潜在性硬化触媒によって硬化が促進される樹脂であれば特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ケイ素系樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。また、これら熱硬化性樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、成形性、耐熱性、接着性等の特性が良好であり、本発明の潜在性硬化触媒による保存安定性が十分に発揮される観点からは、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
この熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であればよく、このようなエポキシ樹脂を単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。このエポキシ樹脂としては、フェノール又はアルキルフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合物をエポキシ化することによって得られるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂等、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノールのグリシジルエーテル、テトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ化物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明による熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤を用いることができる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、使用可能な硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば、特に限定されるものではない。この硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂等のフェノール化合物、ジアミン、ポリアミン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の無水有機酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸等のカルボン酸化合物等が挙げられる。これら硬化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明の硬化触媒の効果が十分に発揮される観点からは、フェノール樹脂が好ましい。
硬化剤として使用可能なフェノール樹脂としては特に制限はない。例えば、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であればよく、このようなフェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。フェノール樹脂硬化剤の水酸基当量は90以上であることが好ましい。また、信頼性を確保するために、フェノール樹脂硬化剤中に含まれるフリーのフェノール類の濃度は1質量%以下であることが好ましい。
フェノール樹脂硬化剤の具体例として、ビフェノールノボラック型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、商品名:MEH−7851シリーズ)、フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製、商品名:XL、XLCシリーズ)、多官能芳香族フェノール樹脂(鹿島工業株式会社製、商品名:FPIシリーズ)、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用し、そのエポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール樹脂硬化剤を使用する場合、その配合比はフェノール樹脂硬化剤のフェノール性水酸基数とエポキシ樹脂のエポキシ基数との比(フェノール性水酸基/エポキシ基数)が0.5〜1.5の範囲になるように配合することが好ましい。上記比が0.5未満では硬化反応が十分に進行せず、上記比が1.5を超えると硬化物特性、特に耐湿性が劣化するおそれがある。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を電気絶縁用途や半導体封止用途に用いる場合には、無機質充填剤を配合することが好ましい。無機質充填剤は、硬化物の物性向上目的のほか、潜在性硬化触媒の反応性向上目的として用いることができる。
硬化物の物性向上を目的とする場合に用いる無機質充填剤としては、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられ、コスト、特性のバランスを考えるとシリカが最適である。無機質充填剤の配合割合は、樹脂組成物中に30〜90質量%含有することが好ましい。この配合割合が、30質量%未満であると硬化物の反りが大きくなり、又、信頼性が低下するおそれがあり、90質量%を超えると流動性が低下して成形性が低下するおそれがある。無機質充填剤の配合割合は、樹脂組成物中に、50〜90質量%であることがより好ましく、封止材用途では75〜90質量%であることが特に好ましい。
上記目的の無機質充填剤は、その平均粒径が5〜40μmであることが好ましい。また、最大粒径が75μm以下であることが好ましい。平均粒径が5μm未満では、封止用樹脂組成物の溶融粘度が過度に高くなるおそれがある。平均粒径の下限値は、10μmがより好ましく、15μmが特に好ましい。一方、平均粒径が40μmを超えると、寸法精度が低下するおそれがある。平均粒径の上限値は35μmがより好ましく、30μmが特に好ましい。また、最大粒径が75μmを超えると、充填性や分散性が低下するおそれがある。
ここで、平均粒径はレーザー回折法により算出された重量平均粒子径であり、最大粒径はレーザー回折法により決定されるものである。
また、潜在性硬化触媒の反応性向上を目的とする無機充填剤としては、微細な金属酸化物が好ましい。使用できる金属酸化物は、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、シリカ、タルクなどが挙げられる。上記の硬化物の物性向上で挙げられる無機質充填剤に、微細な金属酸化物を併用することで、良好な保存安定性を維持しながら、潜在性硬化触媒の反応性を向上させることができる。この金属酸化物は、通常、その平均粒子径が0.01〜3μmであることが好ましい。この範囲であれば、樹脂組成物を分散しやすく作業性に優れる。この金属酸化物の配合量は、金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。1質量部未満であると反応性の向上が少なく、50質量部以下であれば反応性向上効果は十分である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、上記成分に加えて、各種充填剤、天然ワックス類や合成ワックス類等の離型剤、カーボンブラック、酸化チタン等の着色剤、ゴム系やシリコーン系ポリマーの低応力付与剤、アミン変性、エポキシ変性シリコーンオイル等の表面処理剤等を適宜添加配合することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合できる方法であればどのような方法を用いて製造してもよい。例えば、以下のようにして行うことができる。上記した各種成分の所定量をミキサー等を用いて十分均一に混合し、熱ロール、ニーダ等を用いて加熱溶融混練を行った後、冷却固化してから粉砕して粉砕物とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、常温保管が可能であって貯蔵安定性が良好であると共に硬化物特性や成形性も良好である。したがって、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法により半導体素子の封止を行うことで、ワイヤー流れが少なく、未充填、表面における巣の発生が抑制された樹脂封止型半導体装置を得ることができる。
本発明の樹脂封止型半導体装置は、半導体素子が本発明の熱硬化性樹脂組成物により封止されてなるものである。ここで、半導体素子としては、IC、LSI、ダイオード、サイリスタ、トランジスタ等が例示されるが特にこれらに限定されるものではない。この樹脂組成物による封止は、基板上に固定された半導体素子を定法にしたがって外部環境と接触しないようにした後、加熱して硬化させ、最終的にその硬化物によって封止された半導体装置が得られる。このとき、後硬化させる温度は、150℃以上とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
[金属キサンテート化合物の合成]
(合成例1)カリウムキサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸カリウム]の合成
アルゴン雰囲気下、カリウム tert−ブトキシド 4.4g(30.12mmol、1.0当量)をテトラヒドロフラン(THF)90mL中に溶解したものを、0℃まで冷却した後、2,2−ジメチル−3−ペンタノール 4.4g(30.12mmol、1.1当量)を加え溶解した。この溶液を1時間撹拌後、二硫化炭素 5g(43.03mmol、1.1当量)を滴下し、5時間撹拌した。その後、THFを減圧除去して黄色生成物を得た。その生成物をアセトンに溶解し、不純物と分離するために吸引ろ過を行った。そのろ液にジエチルエーテルを加え再沈殿させ、減圧下溶媒を除去した。得られた生成物を、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、黄色粉末状の生成物を6.350g(27.56mmol、収率70.66%)得た。
(合成例2)ガリウム(III)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸ガリウム(III)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 12.59g(54.75mmol、3.2当量)を蒸留水50mLに溶解したものを、無水ガリウム(III)クロリド 3g(17.04mmol、1当量)水溶液40mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、黄色粉末状の生成物を6.63g(13.41mmol、収率:78.68%)得た。
(合成例3)亜鉛(II)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸亜鉛(II)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 3.71g(16.10mmol、2.2当量)を蒸留水100mLに溶解したものを、亜鉛(II)クロリド 1g(7.34mmol、1当量)水溶液50mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、2時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、白色粉末状の生成物を2.91g(6.49mmol、収率:88.52%)得た。
(合成例4)カドミウム(II)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸カドミウム(II)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 2.76g(15.07mmol、2.2当量)を蒸留水100mLに溶解したものを、無水カドミウム(II)クロリド 1g(5.45mmol、1当量)水溶液50mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、白色粉末状の生成物を2.40g(4.75mmol、収率:87.10%)得た。
(合成例5)インジウム(III)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸インジウム(III)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 7.54g(15.07mmol、2.2当量)を蒸留水100mLに溶解したものを、インジウム(III)塩化四水和物 3g(10.20mmol、1当量)水溶液50mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、白色粉末状の生成物を6.18g(8.97mmol、収率:87.96%)得た。
(合成例6)鉛(II)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸鉛(II)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 1.53g(6.64mmol、2.2当量)を蒸留水50mLに溶解したものを、硝酸鉛(II)塩 1g(3.02mmol、1当量)水溶液30mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、灰色粉末状の生成物を1.29g(2.15mmol、収率:71.35%)得た。
(合成例7)銅(II)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸銅(II)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 3.74g(16.24mmol、2.2当量)を蒸留水80mLに溶解したものを、無水塩化銅(II) 1g(7.38mmol、1当量)水溶液40mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、メタノールで洗浄し、Pで真空乾燥した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、黄緑色粉末状の生成物を2.84g(6.36mmol、収率:86.24%)得た。
(合成例8)スズ(IV)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸スズ(IV)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 2.76g(11.98mmol、4.2当量)を蒸留水50mLに溶解したものを、塩化スズ(IV)四水和物 1g(2.85mmol、1当量)水溶液30mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、水、水/メタノール(1:3)の混合溶液、メタノールの順で洗浄した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、暗褐色状の液体生成物を1.78g(2.01mmol、収率:70.60%)得た。
(合成例9)アンチモン(III)キサンテート化合物[2,2−ジメチルペンタン−3−イル キサントゲン酸アンチモン(III)]の合成
合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物 1.20g(5.216mmol、3.2当量)を蒸留水50mLに溶解したものを、酒石酸アンチモンカリウム水和物 1g(1.63mmol、1当量)水溶液40mL中に、室温で撹拌しながら滴下した後、3時間撹拌を行った。反応生成物を吸引ろ過し、水、水/メタノール(1:3)の混合溶液、メタノールの順で洗浄した。得られた生成物をクロロホルム中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、真空下で濃縮し、黄緑色の液体生成物を0.78g(1.12mmol、収率:68.77%)得た。
上記の方法で金属キサンテート構造を有する潜在性硬化触媒を得た。エポキシ樹脂組成物に配合する際には、粉末状のものは予め乳鉢等で粉砕し、液状のものはそのまま用いればよい。
なお、合成例1で得られたカリウムキサンテート化合物及び合成例2〜9で得られたキサンテート化合物について、1H−NMR、13C−NMR、IRを用いて所望の化合物が合成できたことを確認した。
[熱硬化性樹脂組成物の調製]
表1に示した配合により、実施例1〜7、比較例1〜3の各熱硬化性樹脂組成物を以下の通り調製し、特性を評価した。なお、ここで使用した材料は以下の通りである。
エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック樹脂(住友化学株式会社製、商品名:ESCN195XL;当量 197)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(旭化成エポキシ株式会社製、商品名:AER−755;当量 460)
硬化剤1:フェノールノボラック樹脂(昭和高分子製、商品名:BRB−556;当量 104)
硬化剤2:フェノールアラルキル樹脂(商品名:XL2253L;当量 280)
硬化触媒1:合成例2の生成物であるガリウム(III)キサンテート化合物
硬化触媒2:合成例4の生成物であるカドミウム(II)キサンテート化合物
硬化触媒3:合成例8の生成物であるスズ(IV)キサンテート化合物
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、商品名:PP200)
硬化促進剤2:イミダゾール(四国化成株式会社製、商品名:2P4MZ;2−フェニル−4−メチルイミダゾール)
硬化促進剤3:ジメチルウレア(サンアプロ社製、商品名:U−CAT3512T)
無機充填剤1:アルミナ(平均粒径 1.0μm;昭和電工株式会社製、商品名:A43M)
無機充填剤2:チタニア(平均粒径 0.03μm;石原産業株式会社製、商品名:TTD−55)
無機充填剤3:球状溶融シリカ(平均粒径 20μm;デンカ株式会社製)
カップリング剤:シランカップリング剤(日本ユニカー株式会社製、商品名:A−187)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA−600)
離型剤:カルナバワックス1号(東洋ペトロ株式会社製)
(実施例1)
表1に示したように、エポキシ樹脂1を9質量部、エポキシ樹脂2を1質量部、硬化剤1を4質量部、無機質充填剤3を85質量部、硬化触媒1を1質量部、カップリング剤を0.3質量部、着色剤を0.2質量部、離型剤を0.4質量部、を常温でドライブレンドした後、樹脂温度90〜95℃で加熱混練し、冷却後、粉砕して熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例2)
硬化剤1を硬化剤2に変更し、エポキシ樹脂1と硬化剤2の配合量を変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例3)
実施例1の硬化触媒1を0.9質量部とし、さらに硬化促進剤1を0.03質量部併用した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例4)
実施例1の硬化触媒1を0.9質量部とし、さらに硬化促進剤2を0.01質量部併用した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例5)
実施例1の硬化触媒1を0.9質量部とし、さらに硬化促進剤3を0.05質量部併用した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例6)
実施例1の硬化触媒1を硬化触媒2とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例7)
実施例1の硬化触媒1を硬化触媒3とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例8)
実施例1の硬化触媒1を0.4質量部、無機質充填剤3を80質量部とし、さらに無機質充填剤1であるアルミナ(平均粒径 1μm)を7質量部配合した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(実施例9)
実施例1の硬化触媒1を0.4質量部、無機質充填剤3を80質量部とし、さらに無機質充填剤2であるチタニア(平均粒径 0.03μm)を7質量部配合した以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(比較例1)
実施例1の硬化触媒1を硬化促進剤1 0.2質量部とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(比較例2)
実施例1の硬化触媒1を硬化促進剤2 0.2質量部とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
(比較例3)
実施例1の硬化触媒1を硬化促進剤3 0.2質量部とした以外は、実施例1と同様の方法を用いて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
[特性評価]
(1)溶融粘度変化
得られた熱硬化性樹脂組成物の初期(製造直後)及び40℃にて7日間放置後の2条件において、フローテスター(株式会社島津製作所製、商品名:CFT−500)を用いて、175℃、荷重98N(剪断応力 1.23×10Paの環境下)における溶融粘度を測定した。これらのゲル化時間から下記式(A)にしたがって溶融粘度の変化率を算出した。
溶融粘度変化率(%)=40℃にて7日間放置後の溶融粘度/初期の溶融粘度×100 …(A)
(2)ゲルタイム
得られた熱硬化性樹脂組成物のゲルタイムをストロークキュア法で、140℃および180℃の温度で測定した。
(3)ワイヤー流れ不良、成形性
得られた熱硬化性樹脂組成物の初期(製造直後)及び40℃にて7日間放置後の2条件において、該樹脂組成物を用いて評価用素子を搭載したQFP80pin(14mm×14mm×1.3mm)を成形した。その後、軟X線装置(株式会社島津製作所製、商品名:MSX−1000)を用いて10個のパッケージのベント部及びコーナー部におけるワイヤーの変化量の有無を調べ、最も変形した箇所の変位量をワイヤー変形量とし、ワイヤー変形率〈(ワイヤー変形量)/(ワイヤーの長さ)×100〉を算出した。ワイヤーはφ18μm、長さ3.5mmの金ワイヤーを用いた。
同時に成形時の「未充填」及びパッケージの表面における「巣」の発生を目視により観察した。「未充填」および「巣」の発生のなかったものをOKとし、「未充填」または「巣」の発生があったものをNGとして評価した。
Figure 2015042736
上記結果から明らかなように金属キサンテート化合物を含有する潜在性硬化触媒を用いた樹脂組成物は、40℃で7日間放置した後でも放置前と変わらない成形加工性を示し、その熱的潜在性は従来の触媒を用いたものと比較して極めて高いことがわかった。
また、この潜在性硬化触媒を、微細な金属酸化物と併用することで、その反応性を向上させることができ、硬化触媒量が少なくても十分な硬化性を発揮し、低温での硬化性も向上させることができる。
本発明による潜在性硬化触媒は、熱硬化性樹脂組成物において優れた保存安定性を発現させることが可能である。このような熱硬化性樹脂組成物を用いてファインピッチ化された大規模集積回路に代表される種々の半導体素子の封止材料として保存安定性が良好で、さらに、硬化物特性、成形加工性に優れたものとできる。また、この熱硬化性樹脂組成物は、封止材、積層板用等の各種電子部品用途、成形材料、接着剤用材料として利用することが可能であり、いずれも常温保管性、成形性に優れたものとできる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされる金属キサンテート構造を有する化合物
    Figure 2015042736
    (ただし、式中、Mは金属原子、Rはアルキル基又はアリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)からなる熱硬化性樹脂用の潜在性硬化触媒。
  2. 前記一般式(1)におけるMが、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、Ce、Nb、Sm、Eu、Gd、Ho、Er又はTmである請求項1記載の潜在性硬化触媒。
  3. 請求項1又は2記載の潜在性硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  4. 熱硬化性樹脂、硬化剤及び無機質充填剤を必須成分として含有することを特徴とする請求項3記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記無機質充填剤として、平均粒子径が0.01〜3μmの金属酸化物を必須成分として含有することを特徴とする請求項4記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物により半導体素子が封止されていることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
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