図により本発明に係るシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
<画像形成装置>
図1に示す画像形成装置4はデジタルカラー複写機の一例を示す。画像形成装置4は、シートPに画像を形成する画像形成手段となる画像形成部1と、該画像形成部1の上方に配設される画像読取部2と、該画像読取部2上に載置される原稿搬送部3とを備えて構成される。
原稿搬送部3は、原稿トレイ301上に上向きにセットされた原稿Dを、先頭頁から順に一枚ずつ給送し、湾曲した搬送パスを介して画像読取部2のプラテンガラス201上を通過させた後に、排出トレイ302に排出する。
画像読取部2は、原稿搬送部3により搬送される原稿Dがプラテンガラス201上を図1の左から右へ通過する際に、所定の位置に保持されたスキャナユニット202により画像読取処理を行う。具体的には、原稿Dの読取面をスキャナユニット202のランプ203の光で照射し、その原稿Dからの反射光を、ミラー204〜206を介してレンズ207に導く。このレンズ207を通過した光を、イメージセンサ208の撮像面に結像し、電気的なデジタル信号に変換して伝送する。
また、画像読取部2は、原稿搬送部3を使用せずに、該原稿搬送部3を持ち上げて、プラテンガラス201上に原稿Dを直接セットし、スキャナユニット202を図1の左から右へ走査させることによっても画像読取処理を行うことが可能である。即ち、画像読取部2は、必ずしも原稿搬送部3を装着しなくても良く、プラテンガラス201上にセットした原稿Dを押さえる図示しない原稿押さえ部材を設けたものであっても良い。
画像形成部1は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの各色の画像形成部10を備える。像担持体となる感光ドラム11は、帯電手段となる帯電ローラ12によって表面が一様に帯電された後、伝送された画像情報の信号に基づいて駆動される露光手段となるレーザスキャナ13によって露光されて静電潜像が形成される。感光ドラム11の表面に形成された静電潜像は現像手段となる現像装置14によってトナーが供給されてトナー像として顕在化される。
感光ドラム11の表面上に形成されたトナー像は一次転写手段となる一次転写ローラ17により所定の加圧力及び静電的負荷バイアス電圧を付与されることで像担持体となる中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11の表面上に残ったトナーは、クリーニング手段となる感光ドラムクリーナ15によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。
<シート搬送装置>
一方、給送カセット20内に収容されたシートPは、給送ローラ5により給送カセット20から繰り出され、図示しない分離手段により分離されて一枚ずつ給送される。そして、シートPを搬送する第一搬送手段となるレジ前ローラ対22により挟持搬送される。その後、レジ前ローラ対22よりもシート搬送方向aの下流側に配置され、レジ前ローラ対22により挟持搬送されるシートPを更に搬送する第二搬送手段となるレジストローラ対23により斜行が補正されて搬送される。
レジ前ローラ対22により挟持搬送されたシートPの先端部がレジストユニット21のレジストローラ対23のニップ部N1に当接し、該ニップ部N1に倣わせてシートPにループを形成することでシートPの斜行が補正される。その後にレジストローラ対23が回転駆動され、レジストローラ対23により挟持搬送される。
その後、レジストローラ対23は中間転写ベルト31の外周面上のトナー像と同期を取ってシートPを中間転写ベルト31と、二次転写手段となる二次転写外ローラ35との間に搬送する。中間転写ベルト31の外周面上のカラーのトナー像は中間転写ベルト31の内周面側で二次転写外ローラ35に対向して配置された二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のニップ部N2において所定の加圧力と静電的負荷バイアス電圧が付与される。これにより、中間転写ベルト31の外周面上のトナー像がシートPに転写される。
第三搬送手段となる二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35は、レジストローラ対23よりもシート搬送方向aの下流側に配置され、該レジストローラ対23により挟持搬送されるシートPを更に下流側に搬送する。
中間転写ベルト31の外周面上のトナー像がシートPに転写された後、中間転写ベルト31の外周面上に残ったトナーは、クリーニング手段となるベルトクリーナ36によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。シートP上に転写されたトナー像は、定着手段となる定着装置40によって、加熱及び加圧されることで定着され、排出ローラ対41により排出トレイ50上に排出される。
<斜行補正動作>
次に、図1〜図7を用いて、レジ前ローラ対22により挟持搬送されるシートPが斜行して搬送された場合にレジストユニット21で行うシートPの斜行補正動作について説明する。図5はレジ前ローラ対22により挟持搬送される斜行したシートPが撓みながらレジストローラ対23のニップ部N1に侵入した状態を示す平面図である。
図1に示すシート搬送経路において、レジ前ローラ対22とレジストローラ対23との間に配置したシート検知手段となるシート検知センサ71によりシートPを検知する。該シート検知センサ71によりシートPを検知した検知信号に基づいて、図9に示す制御手段となる制御部80がレジストユニット21に設けられる駆動手段となるモータ64を制御する。駆動手段となるモータ64は、図示しない駆動伝達手段を介して回転差動ギア24のケース24eを回転駆動する。
本実施形態のケース24e内には、図10(a),(b)に示すように、第一、第二サイドギア24a,24bがそれぞれ固定された回転軸6a,6bが自転軸24iを中心に図10(a),(b)の左右方向に対称的に移動可能に構成されている。電磁ソレノイド101により駆動される図示しない移動手段により回転軸6a,6bが図10(a)の矢印P3方向に移動する。これにより第一、第二サイドギア24a,24bの背面は、ケース24eに設けられた係合面24jから離間して第一、第二サイドギア24a,24bに制動力が作用することが無い。
また、電磁ソレノイド101により駆動される図示しない移動手段により回転軸6a,6bが図10(b)の矢印P4方向に移動する。これにより第一、第二サイドギア24a,24bの背面がケース24eに設けられた係合面24jに当接して第一、第二サイドギア24a,24bに制動力が作用する。
図9は本実施形態の制御系のブロック図である。本実施形態のモータ64はステッピングモータを採用している。モータ64は図示しない駆動伝達手段を介して図4に示す回転差動ギア24の駆動伝達ギア24fに回転駆動力を伝達する。これにより駆動手段となるモータ64により回転差動ギア24のケース24eを公転軸24hを中心に回転駆動する。
また、回転差動ギア24には、制御手段となる制御部80により、第一、第二サイドギア24a,24bとケース24eとの係合及び解除を自在とする動作手段の一例として電磁ソレノイド101を有する差動ロック手段となる差動ロック部100を備える。図4及び図7に示すように、第一サイドギア24aは、ギア24c1,24c2を介して第一の駆動回転体となる駆動ローラ25aに駆動連結される。
また、第二サイドギア24bは、ギア24d1,24d2を介して第二の駆動回転体となる駆動ローラ25bに駆動連結される。動作手段となる電磁ソレノイド101は、差動ロック手段となる差動ロック部100による第一、第二サイドギア24a,24bの背面と、ケース24eに設けられた係合面24jとの当接による係合と、離間による解除とを動作させる。図9に示す90は電源であり、制御部80、シート検知センサ71、モータ64等の電源とされる。
図1において、シートPは、給送カセット20から一枚ずつ分離給送され、レジ前ローラ対22からレジストローラ対23に搬送される。シートPの先端部がレジ前ローラ対22からレジストローラ対23に搬送されるとき、該レジストローラ対23の回転は停止している状態となっている。また、レジ前ローラ対22とレジストローラ対23との間の区間に備えたシート検知センサ71によりシートPの先端部のシート幅方向中央部が通過したタイミングを検知する。
シート検知センサ71は、シートPに直接光を照射してシートPに反射する反射光を検知することでシートPの通過を検知する非接触型センサが一般的に用いられる。他に、シートPの先端部がシート搬送路に備えられたフラグを倒し、フラグに一体的に設けられた遮光部が発光部と受光部との間の光路を遮断することでシートPの通過を検知するフォトインタラプタ型センサを採用しても良い。本実施形態では、シート検知センサ71の種類については特に限定しない。
レジ前ローラ対22により挟持搬送されるシートPが斜行して搬送されている場合、図5に示すように、シートPの先端部において、先行して搬送されている側の先端部(図5の左側の先端部)Paが先にレジストローラ対23のニップ部N1に進入する。
このとき、レジストローラ対23の回転は停止している状態である。このため、先行して搬送されている側の先端部Paが先にレジストローラ対23のニップ部N1に進入したシートPは、レジストローラ対23のニップ部N1に当接して係止され、それ以上は進めなくなる。
更に、レジ前ローラ対22がシートPを搬送すると、シートPはレジ前ローラ対22とレジストローラ対23との間の区間で先行して搬送されている側(図5の左側)が撓む。そして、シートPの先端部において、遅延して搬送されている側の先端部(図5の右側の先端部)Pbが、先行して搬送されている側の先端部(図5の左側の先端部)Paに追いついていく。これによりシートPの斜行が補正されていく。
このように、ストップレジスト方式によりシートPの斜行を補正する構成では、回転を停止させたレジストローラ対23のニップ部N1にシートPの先端部を突き当てる。更にレジ前ローラ対22によりシートPを挟持搬送することでシートPの先端部の両側がレジストローラ対23のニップ部N1に倣うことでシートPの斜行が補正される。
本実施形態では、レジ前ローラ対22とレジストローラ対23との間の区間に備えたシート検知センサ71によりシートPの先端部のシート幅方向中央部が通過したタイミングを検知する。その検知情報に基づいて図9に示す制御部80によりシートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bと,従動回転体となる従動ローラ27とのニップ部N1に到達するタイミングを演算する。
<差動ロック手段>
レジストローラ対23の回転差動ギア24は、駆動が停止している状態で待機している。このとき、停止しているケース24eに対して、第一、第二サイドギア24a,24bは回転自在の状態となっているため、レジストローラ対23の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bもまた回転自在の状態となっている。
この状態においては、レジストローラ対23のニップ部N1に斜行したシートPの先端部を突き当てた場合、以下の通りである。シートPは、レジストローラ対23のニップ部N1に当接して係止できないので、レジ前ローラ対22とレジストローラ対23との間の区間で先行して搬送されている側(図5の左側)を撓ませることができない。
このためレジストローラ対23の回転差動ギア24は、駆動が停止している状態においては以下の通りである。図10(a),(b)に示す差動ロック手段となる差動ロック部100により、第一、第二サイドギア24a,24bの背面と、ケース24eの係合面24jとを当接して係合させる。これにより駆動ローラ25a,25bの回転を規制した状態で待機させる。
即ち、差動ロック部100が機能している間は、駆動ローラ25a,25bとの間で、回転差動は機能しない状態となっている。この差動ロック部100は、図9に示す制御部80、及び動作手段となる電磁ソレノイド101により第一、第二サイドギア24a,24bの背面と、ケース24eの係合面24jとを当接、或いは、離間して係合及び解除を行なう。これにより駆動ローラ25a,25bの間での回転差動の有無の選択が可能な構成となっている。
図10(a)は差動ロック部100の解除状態を示す断面説明図、図10(b)は差動ロック部100の係合状態を示す断面説明図である。図10(a),(b)に示すように、差動ロック部100は、第一、第二サイドギア24a,24bの背面と、ケース24eの係合面24jとの当接による係合及び離間による解除を行なう。
動作手段は電磁ソレノイド101の動作により、該第一、第二サイドギア24a,24bの背面と、ケース24eの係合面24jとを円錐クラッチ形状により圧着、離間する。
その他の構成としては、レジストローラ対23のニップ部N1で斜行したシートPの先端部を突き当てた際に以下の構成とする。レジストローラ対23の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bがシートPの先端部の押圧力に対してシートPの先端部を撓ませることができる回転規制の保持力を持てば良い。このため、差動ロック部100のケース24eの係合面24jを高摩擦体で構成しても良く、本実施形態では、差動ロック部100の種類については特に限定しない。
そして、図9に示す制御部80は、シートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23のニップ部N1に到達するタイミングで、レジストユニット21のモータ64の駆動制御を行う。そして、モータ64から図示しない駆動伝達手段を介して回転差動ギア24は、差動ロック部100により、第一、第二サイドギア24a,24bとケース24eとを係合させた状態で、駆動伝達ギア24fに回転駆動力を伝達する。そして、駆動伝達ギア24fに固定されたケース24eを公転軸24hを中心に回転駆動する。
そして、回転差動ギア24を介して複数の駆動回転体として同一軸線上に配置される第一、第二の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bを回転駆動する。そして、該駆動ローラ25a,25bに圧接されて従動回転する従動回転体となる従動ローラ27とにより挟持してシートPの搬送を開始する。
本実施形態では、図5に示すように、シートPの遅延して搬送されている側の先端部(図5の右側の先端部)Pbが、先行して搬送されている側の先端部(図5の左側の先端部)Paに完全に追いついていない状態でレジストローラ対23の回転を開始する。このためシートPは先端部の斜行補正が不完全な状態でレジストローラ対23よりもシート搬送方向aの下流側に搬送される。
そのため、本実施形態では、レジストローラ対23を停止させている時間を短縮させることができる。これにより、シートPを給送カセット20から一枚ずつ給送するシートPの搬送間隔(先行するシートPとそれに後続するシートPとの間の離間間隔)を小さくすることができるため、成果物の生産性を向上することができる。
本実施形態では、第二搬送手段となるレジストローラ対23には、回転差動ギア24が設けられている。回転差動ギア24は、シートPが該レジストローラ対23よりもシート搬送方向の下流側に搬送され、シートPの先端が図1に示す二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のニップ部N2に到達した際の斜行補正手段として構成される。
回転差動ギア24には、第二搬送手段となるレジストローラ対23と、第三搬送手段となる二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35との間での、シートPの斜行によりシート幅方向に生じるシート撓みテンション差により回転差動が発生する。
図2に示す第二搬送手段となるレジストローラ対23には、図4及び図7に示すように、該回転差動ギア24により、それぞれ回転駆動される複数の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bが設けられている。
本実施形態では、少なくともレジ前ローラ対22、レジストローラ対23及び回転差動ギア24、二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のニップ部N2を有してシート搬送装置が構成される。レジストローラ対23は、回転差動ギア24によりそれぞれ回転駆動され、同一軸線上に配置される第一、第二の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bを有する。図7(b)に示すように、回転差動ギア24は、駆動ローラ25a,25bの回転を差動させる。
一般に、シートPに画像を転写する際、シートPを二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のニップ部N2直近の中間転写ベルト31の転写ベルト面に倣わせたい。このためシートPのレジストローラ対23における搬送速度V1は、中間転写ベルト31の搬送速度V2よりも速く設定されている(V1>V2)。
このため、レジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のニップ部N2との間では、シートPの搬送とともに徐々に該シートPにシート撓み(ループ)が形成されていく。
図11は、第二搬送手段となるレジストローラ対23により挟持搬送される斜行したシートPの先行して搬送されている側の先端部Paがニップ部N2に進入する様子を示す。このとき、シートPの先端部Paが停止状態にある第三搬送手段となる二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接して撓みながら該ニップ部N2に進入する。
このとき、レジストローラ対23は、モータ64により回転差動ギア24を介して回転駆動されてシートPを挟持搬送する。そして、該シートPの斜行によりシート幅方向に生じるシート撓みテンション差により回転差動が発生する該回転差動ギア24の回転差動作用により斜行補正ができるように構成されている。
また、レジストローラ対23により挟持されて斜行して搬送されるシートPの先行して搬送されている側の先端部Paが停止した二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接する。そして、シートPのシート幅方向に生じるシート撓みのテンション差が発生するタイミングを制御部80により演算する。
制御部80は、演算したタイミングで動作手段となる電磁ソレノイド101を動作させてレジストローラ対23に備えている回転差動ギア24の差動ロック部100を解除する。差動ロック部100が解除された回転差動ギア24は、駆動ローラ25a,25bの回転を差動させる。
制御部80は、シート検知センサ71により検知された検知情報に基づいて以下の各タイミングを演算する。シートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23の駆動回転体となる駆動ローラ25a,25bと、従動回転体となる従動ローラ27とのニップ部N1に到達するタイミングを演算する。或いは、シートPの先端部のシート幅方向中央部が二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に到達するタイミングを演算する。
そして、制御部80により演算した前記タイミングでモータ64を回転駆動して回転差動ギア24のケース24eを回転駆動する。また、制御部80により演算した前記タイミングで電磁ソレノイド101を動作させて差動ロック部100の係合及び解除を行なう。
回転差動ギア24は、図4に示すように、第一の駆動回転体となる駆動ローラ25aが回転軸26aに固定される。そして、回転軸26aの端部に固定されたギア24c1に噛合するギア24c2が回転軸6aに固定される。そして、該回転軸6aに固定されて駆動ローラ25aに駆動連結される第一サイドギア24aを有する。
更に、駆動ローラ25bが固定される回転軸26bの端部に固定されたギア24d1に噛合するギア24d2が固定される回転軸6bに固定されて駆動ローラ25bに駆動連結される第二サイドギア24bを有する。第一、第二サイドギア24a,24bの回転軸6a,6bは同一軸線上に配置され、該第一、第二サイドギア24a,24bは互いに対面して配置される。
更に、対面して配置された第一、第二サイドギア24a,24bには、遊星ギアとして機能する一対のピニオンギア24gが相互に噛合されている。一対のピニオンギア24gの自転軸24iは同一軸線上に配置され、一対のピニオンギア24gは互いに対面して配置される。一対のピニオンギア24gの自転軸24iと、第一、第二サイドギア24a,24bの回転軸6a,6b(公転軸24h)とは互いに直交して配置されている。
第一、第二サイドギア24a,24b及び一対のピニオンギア24gは、装置フレーム60に対して図示しない軸受部材によって公転軸24hを中心にシート搬送方向aに回転自在となるように支持されたケース24e内に回転自在に軸支されている。ケース24eは、第一、第二サイドギア24a,24bの回転軸6a,6bを同一軸線上に配置し、該第一、第二サイドギア24a,24bの同一軸線上の回転軸6a,6bを公転軸24hとして回転自在に設けられている。
図2はレジストユニット21の構成を示す斜視説明図であり、図3はレジストユニット21の駆動ローラ25a,25bと回転差動ギア24との構成を示す斜視説明図である。レジストユニット21は、図2に示すように、回転軸26a,26bにそれぞれ固定された複数の駆動ローラ25a,25bを有する。更に、回転軸28に固定され、該複数の駆動ローラ25a,25bに圧接された複数の従動ローラ27とを有する。駆動ローラ25a,25bと、従動ローラ27とは、図示しない付勢手段により互いに圧接されてレジストローラ対23を構成している。
レジストローラ対23は、同一軸線上に設けられる駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bと、該回転軸26a,26bと駆動連結して駆動ローラ25a,25bを回転差動させる回転差動ギア24を備えている。
図4は回転差動ギア24と、駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bとを駆動連結するギア列の構成を示す図3の部分拡大図である。図4において、回転差動ギア24のケース24eは、一対のピニオンギア24gの公転軸24hを中心にシート搬送方向aに回動自在となるように図示しない軸受部材によって画像形成装置4の装置フレーム60に取り付けられている。
更に、駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bは、それぞれシート搬送方向aに回転自在となるように図示しない軸受部材によって画像形成装置4の装置フレーム60に取り付けられている。駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bと回転差動ギア24とは以下の離間距離に設定されている。即ち、回転軸26a,26bの端部に固定されたギア24c1,24d1と、ケース24eに対して回転自在に軸支された第一、第二サイドギア24a,24bの回転軸6a,6bに固定されたギア24c2,24d2とが噛合する離間距離に設定されている。
回転差動ギア24の駆動伝達ギア24fには、図9に示すモータ64から図示しない駆動伝達手段を介して回転駆動力が伝達される。駆動伝達ギア24fはケース24eに固定されており、該ケース24eは駆動伝達ギア24fと一体的に一対のピニオンギア24gの公転軸24hを中心に回転する。
図10に示すように、回転差動ギア24には、駆動を停止している状態で待機している際に、第一、第二サイドギア24a,24bとケース24eとを係合させ、駆動ローラ25a,25bの回転を規制した状態で待機させる差動ロック部100を備えている。
<シート搬送時の回転差動ギアの動作>
モータ64から駆動伝達ギア24fに伝達された回転駆動力によりケース24eは公転軸24hを中心に回転する。ケース24eが公転軸24hを中心に回転すると、駆動ローラ25a,25bからギア24c1,24d1、24c2,24d2を介して第一、第二サイドギア24a,24bまでにかかっている負荷が等しい場合がある。その場合は、遊星ギアとしての一対のピニオンギア24gは静止した状態を維持しながらケース24eと一体的に公転軸24hを中心にして公転する。
第一、第二サイドギア24a,24bには、停止したピニオンギア24gを介してケース24eの回転力が伝達される。これにより第一、第二サイドギア24a,24bは公転軸24hと同一軸線上に配置された回転軸6a,6bを中心にケース24eと同方向に回転する。
そして、第一、第二サイドギア24a,24bの回転軸6a,6bに固定されたギア24c2,24d2と、駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bに固定されたギア24c1,24d1とが噛合している。これにより駆動ローラ25a,25bがシートPを搬送する方向に回転駆動される。そして、駆動ローラ25a,25bと、該駆動ローラ25a,25bに圧接された従動ローラ27とに挟持されてシートPが搬送される。
駆動ローラ25a,25bに異なる負荷がかかった場合には、第一、第二サイドギア24a,24bの回転速度差に応じて遊星ギアとなるピニオンギア24gが回転する。即ち、モータ64から駆動伝達ギア24fに伝達された回転駆動力は、遊星ギアとなるピニオンギア24gを介して回転差動ギア24内で切り離されて、それぞれ図4の左右の第一、第二サイドギア24a,24bに伝達される。
駆動伝達ギア24fにはケース24eが固定されている。ケース24e内で互いに自転軸24iと回転軸6a,6bとが直交して配置された傘歯車からなる第一、第二サイドギア24a,24bと、一対のピニオンギア24gとが互いに噛合した状態でケース24eに対して回転自在に軸支されている。
第一、第二サイドギア24a,24bは、それぞれ回転軸6a,6bを介してギア24c2,24d2と一体となっている。そして、一対のピニオンギア24gの公転軸24hを中心に回転自在となるようにケース24eに取り付けられている。一対のピニオンギア24gは、図4に示すケース24eの上下に二つ設けられ、ピニオンギア24gの自転軸24iを中心に回転自在となるようにケース24eに取り付けられている。
図9に示すモータ64の回転駆動により回転差動ギア24のケース24eに固定された駆動伝達ギア24fが回転する。すると、一対のピニオンギア24gはケース24eと一体的に公転軸24hを中心に公転する。図4に示す左右の第一、第二サイドギア24a,24bに異なる回転の負荷抵抗が生じる。
すると、一対のピニオンギア24gは、それぞれ左右の第一、第二サイドギア24a,24bと噛合する。そして、該第一、第二サイドギア24a,24bの回転速度差に応じて、一対のピニオンギア24gの自転軸24iを中心に自転しながら公転軸24hを中心に公転する。
第一サイドギア24aの回転駆動は回転軸6aを介してギア24c2に伝達され、第二サイドギア24bの回転駆動は回転軸6bを介してギア24d2に伝達される。このように、モータ64から駆動伝達ギア24fに伝達された回転駆動力がケース24e、一対のピニオンギア24g、第一、第二サイドギア24a,24b及び回転軸6a,6bを介して図4に示す左右のギア24c2,24d2にそれぞれ振り分けられる。
尚、本実施形態の回転差動ギア24は、一対のピニオンギア24g及び第一、第二サイドギア24a,24bの一例として傘歯車(べベルギア)を備えた一例である。しかし、他にヘリカルギア等を備えて構成することも出来る。ギアの形状や材質等については本実施形態の構成に限定する必要はない。また、本実施形態では二つのピニオンギア24gを設けたが、一つのピニオンギア24gであっても同様な機能を発揮することが出来る。
図11に示すように、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2によりシートPが挟持搬送される。シートPは坪量256gの紙からなる。シートPがレジストローラ対23と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間の区間で斜行搬送されている場合を考慮する。
その場合、シートPの先端部が二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に搬送されながら該シートPが撓む。これにより発生する該シートPの腰の力により図11に示す左右の駆動ローラ25a,25bに対して与える回転トルクを図6に示す。
<レジストローラ対の静止時間>
本実施形態において、シートPの先端部をレジストローラ対23のニップ部N1に突き当て、該レジストローラ対23の回転を停止させておく静止時間は以下の通りである。先ず、シート検知センサ71によりシートPの先端部のシート幅方向中央部が通過したタイミングt1を検知する。一方、制御部80に設けられたCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)は、以下の数1式に示すように、以下の搬送時間Ttを演算する。
即ち、制御部80は記憶手段となるメモリ7に予め記憶されたシート検知センサ71とレジストローラ対23のニップ部N1とのシート搬送経路上における離間距離Lを用いる。更に、メモリ7に予め記憶されたレジ前ローラ対22により挟持搬送されるシートPの搬送速度Vを用いる。そして、以下の数1式によりシートPがシート検知センサ71からレジストローラ対23のニップ部N1に到達するまでの搬送時間Ttを演算する。
[数1]
Tt=L/V
そして、制御部80は、以下の数2式によりシートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23のニップ部N1に到達するタイミングt2を演算する。以下の数2式では、シート検知センサ71により検知したシートPの先端部のシート幅方向中央部が通過したタイミングt1を用いる。更に、制御部80により演算したシートPがシート検知センサ71からレジストローラ対23のニップ部N1に到達するまでの搬送時間Ttを用いる。
[数2]
t2=t1+Tt
そして、シートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23のニップ部N1に到達するタイミングt2で制御部80はモータ64を駆動させる。そして、図4に示す駆動伝達ギア24fに回転力を伝達し、回転差動ギア24を介して静止していたレジストローラ対23を回転駆動してシートPの搬送を開始する。
このように、レジストローラ対23の回転を停止させておく静止時間Trは、以下の数3式により算出される。シート検知センサ71によりシートPの先端部のシート幅方向中央部が通過したタイミングt1と、シートPの先端部のシート幅方向中央部がレジストローラ対23のニップ部N1に到達するタイミングt2とを用いる。
[数3]
Tr=t2−t1
これにより、レジストローラ対23の回転を停止させておく静止時間Trは、シートPの先端斜行量によらず略一定となる。
図11に示すように、シートPが、レジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間の区間で斜行して搬送される。その場合、シートPの撓み(ループ)量の大きさは、図11の右側で示す遅延して搬送されている側に比べて、図11の左側で示す先行して搬送されている側の撓み量の方が大きくなる。
このため、図11に示すシートPの先端斜行量Δx1が大きいほど、シートPの幅方向両端の撓み量の差は大きくなる。尚、図11に示すシートPの先端斜行量Δx1は、シート搬送方向におけるシート搬送経路上の先行して搬送されている側の先端部Paと、遅延して搬送されている側の先端部Pbとの間の離間間隔である。
このため、シートPは、図11の左右の駆動ローラ25a,25bに対してシートPの幅方向両端の撓み量の差に応じた、シート搬送方向aと逆方向の回転トルクを与えることになる。
例えば、坪量256gの紙からなるシートPの場合を考慮する。その場合、図11に示すシートPの先端斜行量Δx1が4mmでは、図11の左右の駆動ローラ25a,25bに対してシートPの幅方向両端の撓み量の差に応じた回転トルク差により、およそ800gf(7.84N)程度の抵抗差を生じる。
ここで上記抵抗差とは、シートPを挟持搬送している図11の左右の駆動ローラ25a,25bが、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間で該シートPが撓んだ際の腰の強さに押される。これにより本来、駆動ローラ25a,25bがシート搬送方向aに回転しようとする力に対して、抵抗しようとする力(バックテンション)が作用する。この順方向と逆方向との差をいう。
図11に示すように、レジストローラ対23において、駆動ローラ25a,25bと、該駆動ローラ25a,25bの回転に従動回転する従動回転体となる従動ローラ27とによりシートPが挟持搬送される。そして、シートPの先端部が二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接する。
更に、レジストローラ対23の回転差動ギア24の差動ロック部100が解除された状態では以下の通りである。シートPの撓みにより発生するシートPの腰の強さにより図7(a)に示す左右の駆動ローラ25a,25bがシートPの撓みにより押されてシート搬送方向aに対して逆回転させようとする。
図7(a)に示すように、左右の駆動ローラ25a,25bがシートPの撓みにより押されてシート搬送方向aに対して逆回転させようとする回転トルクに対抗する図7(a)の破線で示す抵抗力(バックテンション)f1,f2が生じる。図7(a)は、抵抗力f1,f2が等しい場合における回転差動ギア24のピニオンギア24g及び第一、第二サイドギア24a,24bの動作を示す斜視説明図である。
図7(a)に示す抵抗力f1,f2が等しい場合において、一対のピニオンギア24gは、第一、第二サイドギア24a,24bと噛合したまま公転軸24hを中心にケース24eと一体的に公転し、自転軸24iを中心とした自転はしない。
モータ64が駆動制御され回転差動ギア24を介して図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bが回転状態でシートPが搬送される。そして、図11に示すように、レジストローラ対23により挟持搬送されるシートPの先端部が二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接する。シートPの搬送が開始されたレジストローラ対23において、駆動ローラ25a,25bと従動ローラ27とによりシートPが挟持搬送される。
そして、回転差動ギア24の差動ロック部100が解除された状態では以下の通りである。シートPの撓みにより発生するシートPの腰の強さにより図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bがシートPのシート幅方向に生じるシート撓みテンション差により回転差動が発生する。これによりシート搬送方向aに対して逆回転させようとする回転トルクが作用する。
シートPを挟持搬送している駆動ローラ25a,25bには該シートPの撓みにより押されてシート搬送方向aに対して逆回転させようとする回転トルクに対抗する抵抗力f1,f2が発生する。その抵抗力f1,f2には、図7(b)の左右の駆動ローラ25a,25bに対してシートPの幅方向両端の撓み量の差に応じて差が生じる。図7(b)は、抵抗力f1,f2に差が生じた場合における回転差動ギア24のピニオンギア24g及び第一、第二サイドギア24a,24bの動作を示す斜視説明図である。
例えば、図11に示すように、図11の左側の二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に、レジストローラ対23により挟持されて斜行して搬送されるシートPの先行して搬送されている側の先端部Pa1が当接される。すると、レジストローラ対23による搬送速度V1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とによる搬送速度との速度差に応じて、図11の左側のループが成長していく。
レジストローラ対23において、駆動ローラ25a,25bと従動ローラ27とによりシートPが挟持搬送され、回転差動ギア24の差動ロック部100が解除される。すると、モータ64から駆動ローラ25aに伝達される回転駆動トルクに加えて駆動ローラ25aに対して、図11に示すシートPの撓み(ループ)の抵抗力(バックテンション)が作用する。このため回転差動ギア24は、図11に示す駆動ローラ25bを、シート搬送方向aに、シートPの幅方向のループの偏りを解消しようとするように、駆動ローラ25aの回転速度よりも相対的に速く回転させようとする回転差動が発生する。
図11に示すように、レジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間の区間で斜行搬送されているシートPの撓み量の大きさは以下の通りである。図11の右側で示す遅延して搬送されている側に比べて、図11の左側で示す先行して搬送されている側のほうが大きくなる。
そして、レジストローラ対23により挟持搬送されるシートPの先行して搬送されている側の先端部Paが二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接する。そして、シートPの撓み(ループ)により発生するシートPの腰の強さにより図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bがシートPの撓み(ループ)により押される。そして、シート搬送方向aに対して逆回転させようとする回転トルクに対する抵抗力(バックテンション)f1,f2の大小関係は以下の数4式に示す通りである。
[数4]
f1>f2
このように、斜行したシートPが先行して搬送されている側の駆動ローラ25aがシートPのの撓み(ループ)により押され、シート搬送方向aに対して逆回転させようとする回転トルクに対する抵抗力f1が大きくなる。
モータ64が駆動制御される。これによりシートPを挟持搬送している状態の駆動ローラ25a,25bに対して回転差動ギア24を介して以下の力が作用する。二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2に当接されて撓んだシートPの腰の強さにより駆動ローラ25a,25bがシート搬送方向aと逆方向に押される。それに抵抗しようとする抵抗力f1,f2がレジストローラ対23において発生する。
駆動ローラ25a,25bと従動ローラ27とによりシートPが挟持搬送され、且つ、回転差動ギア24の差動ロック部100が解除される。すると、駆動ローラ25a,25bから回転軸26a,26b、ギア24c1,24d1,24c2,24d2、第一、第二サイドギア24a,24bに伝達されて抵抗力f1,f2は該第一、第二サイドギア24a,24bに保持される。その後、モータ64が回転駆動されると、第一、第二サイドギア24a,24bに保持されていた抵抗力f1,f2が回転差動ギア24の回転動作に作用する。
そして、モータ64の回転力が駆動伝達ギア24fを介してケース24eに伝達され、一対のピニオンギア24gが公転軸24hを中心にケース24eと一体的に公転する。このとき、駆動ローラ25a,25bに付与されている抵抗力f1,f2が回転軸26a,26b、ギア24c1,24d1、24c2,24d2を介して図7(b)の左右の第一、第二サイドギア24a,24bにそれぞれ伝達される。図7(b)の左側の駆動ローラ25aに付与されている抵抗力f1が大きいため図7(b)の左側の第一サイドギア24aの歯に沿ってピニオンギア24gが自転軸24iを中心に自転し、図7(b)の右側の第二サイドギア24bを余計に回転させる。
このとき、第一、第二サイドギア24a,24bは、回転軸6a,6bを介して、それぞれギア24c2,24d2と一体的に回転し、図7(b)の左側の駆動ローラ25aに対して、図7(b)の右側の駆動ローラ25bが余計に回転される。図7(b)の左側の駆動ローラ25aの回転量をr1、図7(b)の右側の駆動ローラ25bの回転量をr2とすると、以下の数5式に示す通りである。
[数5]
r1<r2
このように、斜行したシートPが先行して搬送されている側の駆動ローラ25aの回転量r1と、遅延して搬送されている側の駆動ローラ25bの回転量r2とでは、回転差動が発生する。
図7(b)に示すように斜行したシートPを挟持搬送するレジストローラ対23は相対的に図7(b)の左側で示す斜行したシートPが先行して搬送されている側の駆動ローラ25aの回転量r1が小さい。また、図7(b)の右側で示す斜行したシートPが遅延して搬送されている側の駆動ローラ25bの回転量r2が大きくなる。このためシートPはレジストローラ対23により挟持搬送されながら斜行が補正されていく。
更に、シートPの斜行が補正されていく。すると、レジストローラ対23の図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bが、シートPの撓み(ループ)により押される抵抗力(バックテンション)の差が小さくなっていく。そして、シート搬送方向aに対して、逆回転させようとする回転トルクに対抗する抵抗力f1,f2の大小関係は、{f1≒f2}に近づいていく。そして、最終的に図7(b)の左右の駆動ローラ25a,25bの回転差動がなくなる方向に収束していく。図7(b)の左側の駆動ローラ25aの回転量r1と、図7(b)の右側の駆動ローラ25bの回転量r2とは{r1≒r2}に収束していく。
シートPの幅方向中央部の先端位置がレジストローラ対23のニップ部Nに到達するタイミングt2でレジストローラ対23によりシートPを挟持搬送する動作を開始する。図8は、その際に、A3サイズで坪量が64gの紙からなるシートPの図5に示す先端斜行量Δxが5mm(入力斜行量)の場合の斜行補正率をシミュレーションによって算出し、回転差動ギア24を有さない従来構成と比較した図である。
図8に示すように、従来構成において、図5に示すシートPの先端斜行量Δxが5mm(入力斜行量)のシートPの幅方向中央部の先端位置がレジストローラ対23のニップ部N1に到達するタイミングt2を考慮する。そのタイミングt2でレジストローラ対23によりシートPを挟持して搬送する動作を開始する。その場合、斜行補正後のシートPの先端斜行量Δxは約2.2mm(2.17mm)の出力斜行量に補正されて、レジストローラ対23の下流側に搬送される。
レジストローラ対23のニップ部N1から二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2へ搬送される間に、シートPの斜行戻りがないと仮定する。そのとき、前記レジストローラ対23のニップ部N1からの出力斜行量が、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2からの出力斜行量と略等しくなる。
一方、本実施形態では、従来構成での斜行補正に加えて以下の通りである。更に、レジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間でシートPの撓みのテンション差により図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bに回転差動が発生する。
そして、斜行したシートPがレジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間におけるシート搬送中に、更に、シートPの斜行が補正される。このため、本実施形態では、図8に示すように、斜行補正後のシートPの先端斜行量Δx1は、約1.2mm(1.16mm)の出力斜行量に補正されながら、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2の下流側に搬送される。
この場合、シートPの入力斜行量と、出力斜行量とのシミュレーション値から斜行補正率(%)に換算する。斜行補正率(%)は以下の数6式により求められる。
[数6]
斜行補正率(%)={(入力斜行量)−(出力斜行量)}/(入力斜行量)×100
従来構成の斜行補正率は、前記数6式から、斜行補正率(%)={(5mm)−(2.17mm)}/(5mm)×100=56.6%となり、約57%(56.6%)である。
これに対して、本実施形態の斜行補正率は、前記数6式から、斜行補正率(%)={(5mm)−(1.16mm)}/(5mm)×100=76.8%となり、約77%(76.8%)であった。従って、斜行補正率は、約20%(=77%−57%)改善された。
図2に示すレジストローラ対23の従動ローラ27の回転軸28は、図1に示す二次転写内ローラ34及び二次転写外ローラ35のそれぞれの回転軸に対して平行に配置されている。回転差動ギア24によってレジストローラ対23の従動ローラ27の回転軸28に対して平行になるように斜行補正されたシートPは略斜行がない。その状態で中間転写ベルト31と二次転写外ローラ35とのニップ部からなる二次転写部に搬送され、安定した画像精度を得ることができる。
このように、図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bの回転軸26a,26bの端部間の中央に対して左右の回転を差動させる回転差動ギア24を備えた斜行補正手段を有する。これによりレジストローラ対23により挟持搬送されるシートPをシート搬送中に斜行補正を行うことができる。
レジストローラ対23のニップ部N1と、二次転写内ローラ34と二次転写外ローラ35とのニップ部N2との間でシートPを挟持搬送する。その間にシート幅方向の斜行によるシートPの撓みテンション差により図7(b)に示す左右の駆動ローラ25a,25bに回転差動を発生させ、シート搬送中に斜行補正を行うことができる。
即ち、本実施形態によれば、シート幅方向の斜行によるシート撓みテンション差による複数の駆動ローラ25a,25bの回転差動により、シート搬送中に斜行補正を行うことが出来る。これにより、シートPの剛性(腰の強さ)によらず、良好な斜行補正能力を得ると共に、シートPを所定のタイミングで送り出し、小さいシート間隔による成果物の生産性の向上と、画像精度の安定を両立することができる。
尚、本実施形態では、図1に示すように、レジストユニット21を一つの搬送パスに適用した場合での具体的動作について説明したが、レジストユニット21は、シート搬送経路上に複数配置しても良い。