JP2015042234A - 医療用マニピュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】医療用マニピュレータにおいて、関節部を有する医療用マニピュレータの洗浄をより効率的かつより容易に行うことができるようにする。【解決手段】医療用マニピュレータ1は、処置部2と、処置部2の端部に配置され、第2連結部材等の回転体が回動することによって動作する関節部3と、長手軸Oを有し関節部3において処置部2と反対側の端部に接続する長尺部材21と、長尺部材21の基端側に設けられ、第2連結部材等を動作させるための駆動力を供給する基端側装置部22と、少なくとも関節部3の第2連結部材に接続され、長尺部材21との間に張架された駆動ワイヤ15と、駆動ワイヤ15の経路長を変更することにより駆動ワイヤ15を弛緩させるワイヤ弛緩機構30とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は医療用マニピュレータに関する。
従来、医療用マニピュレータとして、種々の構成や制御方式を採用した装置が知られている。例えば、操作者によって操作されるマスタマニピュレータと、マスタマニピュレータから発せられる信号に基づいて動作するスレーブマニピュレータとを備えたマスタスレーブ型の医療システムに用いられる医療用マニピュレータが知られている。このような医療用マニピュレータには、遠隔操作によって処置対象部位に対する処置をするための処置部等のエンドエフェクタが取り付けられる。
このような医療用マニピュレータは、患者の体腔に挿入して繰り返し用いるため、使用後の洗浄や滅菌処理などが必須となる。
例えば、特許文献1には、このようなマスタスレーブ方式の医療システムに用いることができる医療用マニピュレータとして、開閉動作が可能なエンドエフェクタを有する先端動作部を、筒状の連結シャフトの先端において回動可能に連結した作業部を有する装置が記載されている。
特許文献1に記載の医療用マニピュレータの先端動作部は少なくとも一部がカバーに覆われており、このカバーの側方に、洗浄剤を流通させることにより先端動作部の内部を洗浄する孔が設けられている。
先端動作部の回動機構としては、基端側でワイヤ駆動される回転体と、この回転体とギヤ連結された従動回転体とを組み合わせた回動関節機構が採用されている。
特許第5042738号公報
しかしながら、上記のような従来の医療用マニピュレータには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、先端動作部のカバーの孔を通して洗浄剤を流すことができる。しかし、ワイヤ、ギヤなどからなる可動部材は、互いに当接あるいは係合されているため、このような当接部分や係合部分に洗浄剤が届きにくいという問題がある。
このような洗浄剤が届きにくい部位は、例えば、ワイヤやギヤを動かして、当接部分や係合部分を開放することが必要であるが、使用時の可動機構による移動範囲は、使用時に必要な移動範囲に限られているため、洗浄が必要な領域をすべて開放できるわけではない。
また、このようにして可動部材を移動しても、そもそも可動部材同士が離間して形成されるスペースは狭いため、洗浄用のブラシが入りにくい部位や洗浄用のブラシが当接できない部位が生じる。
このため、従来技術の医療用マニピュレータでは、特に可動部材周りを洗浄する際に、洗浄しにくく、効率よく洗浄作業が行うことができないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、関節部の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる医療用マニピュレータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様の医療用マニピュレータは、エンドエフェクタと、該エンドエフェクタの端部に配置され、回転体が回動することによって動作する関節部と、長手軸を有し、前記関節部において前記エンドエフェクタと反対側の端部に接続する長尺部と、該長尺部の基端側に設けられ、前記回転体を動作させるための駆動力を供給する駆動部と、少なくとも前記関節部の前記回転体に接続され、前記長尺部との間に張架された駆動ワイヤ部材と、該駆動ワイヤ部材の経路長を変更することにより前記駆動ワイヤ部材を弛緩させるワイヤ弛緩機構と、を備える構成とする。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ワイヤ弛緩機構は、前記長尺部の基端部に配置され、前記駆動ワイヤ部材を内包しており、前記長尺部の長手方向に伸縮することによって、前記回転体と前記駆動部との間における前記駆動ワイヤ部材の経路長を変更することが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ワイヤ弛緩機構は、前記長尺部の基端側に設けられた雄ねじ部と、前記長尺部と前記駆動部の間に配置され、前記雄ねじ部に対応する雌ねじ部を有する位置調整部と、を有しており、前記位置調整部を捻ることにより前記長尺部の長手方向に伸縮することが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ワイヤ弛緩機構は、前記駆動ワイヤ部材の経路長を変更しないように固定するためのストッパ部をさらに有することが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ストッパ部は、前記ワイヤ弛緩機構が伸縮する際に、前記長尺部の前記駆動部に対する相対的な移動経路上に進退可能に配置されたストッパ部材と、該ストッパ部材を前記移動経路に進出する方向に付勢する弾性部材と、
該弾性部材の付勢を解除する操作部と、を備えることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記駆動ワイヤ部材は、前記回転体の周囲に巻き掛けられて接続しており、前記ワイヤ弛緩機構により前記駆動ワイヤ部材が緩んだ際には、前記回転体の周囲と前記駆動ワイヤ部材の間の距離が広がることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記関節部は、前記長尺部の前記長手軸に沿う方向の一端に連結された1以上の単位関節を有し、該単位関節は、前記長尺部寄りに配置され、前記一端における前記長手軸と交差する方向に延びる第1回動軸と、該第1回動軸を回転軸とした第1案内部と、を有する基端側支持体と、該基端側支持体に対向して前記エンドエフェクタ寄りに配置され、前記第1回動軸と平行に延びる第2回動軸と、該第2回動軸を回転軸とした第2案内部と、を有する先端側回動体と、前記第1回動軸と前記第2回動軸とをそれぞれ保持し、前記第1回動軸を中心として回動可能に設けられた前記回転体である連結部材と、を備え、前記関節部の前記基端側支持体と前記回転体である前記先端側回動体とに接続または係合されて、端部が前記長尺部に固定され、前記関節部の動作時に、前記先端側回動体の回動を案内するガイドワイヤと、をさらに備えることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記第1案内部は、前記第1回動軸を中心とする転動の案内をする第1のプーリーを有し、前記第2案内部は、前記第1案内部と当接または係合して前記第1案内部の軌道に沿って転動の案内をする第2のプーリーを有することが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記連結部材は、前記第1回動軸と前記第2回動軸との間の軸間距離を、前記第1案内部と前記第2案内部とが当接または係合する第1軸間距離の状態と、該第1軸間距離よりも軸間距離が長い第2軸間距離の状態とに変更可能とされ、前記ガイドワイヤは、前記第1軸間距離の状態において張力が発生し前記第2軸間距離の状態において弛緩するように、前記先端側回動体および前記基端側支持体に掛け回されており、前記ワイヤ弛緩機構は、前記長尺部および前記駆動部の相対位置を調節することにより、前記第2軸間距離の状態を形成して、少なくとも前記ガイドワイヤを弛緩させることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ガイドワイヤは、前記駆動部および前記先端側回動体の少なくとも一方から離脱できないように接続または係合されていることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記ガイドワイヤは、前記駆動部および前記先端側回動体の少なくとも一方の一定位置で接続または係合されていることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記第1案内部および前記第2案内部は、一組のギヤ部材からなり、前記第1回動軸および前記第2回動軸は、それぞれの軸心間で、前記ガイドワイヤを張架することが可能なワイヤ挿通部をそれぞれ備え、前記ガイドワイヤは、前記ワイヤ挿通部のそれぞれに挿通されて前記駆動部および前記先端側回動体に接続または係合されていることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記連結部材は、前記第1回動軸と同軸となる円周上に、前記駆動ワイヤ部材を掛け回すプーリー溝を有する固定プーリーを備え、前記駆動部は、前記駆動ワイヤ部材を係合して、前記長手軸に沿う方向に進退させる駆動プーリーを備えることが好ましい。
上記医療用マニピュレータにおいては、前記単位関節は、前記長尺部の前記一端に連結された第1単位関節と、該第1単位関節の前記先端側回動体と、前記エンドエフェクタとを連結する第2単位関節と、を備え、前記第1単位関節と前記第2単位関節とは、前記第2単位関節の前記第1回動軸および前記第2回動軸の軸線方向が、前記第1単位関節の前記第1回動軸および前記第2回動軸の軸線方向とねじれの位置で直交する位置関係に連結されていることが好ましい。
本発明の医療用マニピュレータによれば、ワイヤ弛緩機構によって、駆動ワイヤ部材を弛緩させることができるため、関節部の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータを含む医療システムの模式的な構成図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式的な正面図である。 図2におけるA視図である。 図3におけるB視図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の構成を示す模式的な分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の第1連結部材を示す模式的な正面図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の第2連結部材を示す模式的な側面図、そのD視図、およびE−E断面図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの駆動ワイヤ部材の配回しを示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータのガイドワイヤの配回しを示す模式図である。 図3におけるC−C断面図、およびそのF−F断面図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータのストッパ部の動作説明図である。 本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例の医療用マニピュレータの関節部の模式的な分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式図、およびそのG視図である。 本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの駆動ワイヤ部材およびガイドワイヤの配回しを示す模式的な分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。 本発明の第3の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式図、およびそのH−H断面図である。 本発明の第3の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の主要部の構成を示す模式的な分解斜視図である。 本発明の第4の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図、および動作説明図である。 本発明の第5の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図、および動作説明図である。 本発明の第5の実施形態の変形例(第2変形例)の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図、および動作説明図である。 本発明の第5の実施形態の変形例(第3変形例)の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図、および動作説明図である。 本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図、および動作説明図である。 本発明の第6の実施形態の医療用マニピュレータを含む医療システムの模式的な構成図である。 本発明の第6の実施形態の医療用マニピュレータの主要部を示す模式的な斜視図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータを含む医療システムの模式的な構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式的な正面図である。図3は、図2におけるA視図である。図4は、図3におけるB視図である。図5は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の構成を示す模式的な分解斜視図である。図6は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の第1連結部材を示す模式的な正面図である。図7(a)は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の第2連結部材を示す模式的な側面図である。図7(b)、(c)は、図7(a)におけるD視図、およびE−E断面図である。図8は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの駆動ワイヤ部材の配回しを示す模式図である。図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータのガイドワイヤの配回しを示す模式図である。図10(a)は、図3におけるC−C断面図である。図10(b)は、図10(a)におけるF−F断面図である。
図1に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータ1は、医療システム100の一部として、医療システム100に取り付けられている。
まず、医療システム100の構成について説明する。医療システム100は、マスタマニピュレータ101と、制御装置110と、スレーブマニピュレータ120とを備える。
スレーブマニピュレータ120は、ロボットアーム121と医療用マニピュレータ1とを備える。
マスタマニピュレータ101は、術者の操作の動きをスレーブマニピュレータ120に伝達するマスタとして機能するものであって、液晶ディスプレイ装置等のマスタ表示部102と、術者が把持して操作を行う操作部103とを備える。マスタマニピュレータ101の操作部103に対してなされる操作は、制御装置110に入力される。
制御装置110は、マスタマニピュレータ101からの入力を受け付けるマスタ側制御装置111と、スレーブマニピュレータ120へ駆動信号を出力するスレーブ側制御装置112とを有している。
マスタ側制御装置111では、マスタマニピュレータ101からの入力に基づいて、スレーブマニピュレータ120を動作させるための操作指令を生成し、スレーブ側制御装置112へと出力する。
スレーブ側制御装置112では、マスタ側制御装置111から発せられた操作指令に基づいて、スレーブマニピュレータ120を駆動させるための駆動信号を生成し、スレーブマニピュレータ120へと出力する。
スレーブマニピュレータ120は、スレーブ側制御装置112からの駆動信号に従って動作するロボットアーム121を有し、ロボットアーム121に医療用マニピュレータ1が取り付けられている。スレーブマニピュレータ120には、医療用マニピュレータ1の他、外科手術を行うための処置器具や、内視鏡装置等をさらに取り付けることもできる。
次に、医療用マニピュレータ1の構成について説明する。
医療用マニピュレータ1は、処置対象部位に対して処置を行うための医療器具であり、少なくとも処置対象部位に近接する先端側では、細長い軸状の外形を有している。
以下では、医療用マニピュレータ1の長手方向において、使用時に処置対象部位に近づく方の端部を先端部、先端部と反対側の端部を基端部と称する。そして、特に断らない限りは、基端部と、先端部との間の部材の配置や、配置された部材内の相対的な位置関係に関して、それらが相対的に先端部寄りであることを「先端側」、相対的に基端部寄りであることを「基端側」と称する。
図2〜4に示すように、医療用マニピュレータ1は、先端側から基端側に向かって、処置部2(エンドエフェクタ)、関節部3、および本体部20をこの順に備える。
処置部2は、処置対象部位に対して処置を行う装置部分であり、関節部3の先端に連結されている。
関節部3は、後述するように本体部20によって規定される装置の長手軸に対して、処置部2を回動運動させるための装置部分であり、処置部2の基端側と、本体部20の先端側とを連結している。
本体部20は、関節部3を駆動する駆動力を発生する駆動源と、駆動源による駆動力を関節部3に伝達する駆動力伝達部材とを内部に収容する装置部分であり、全体として筒状の外形を有する。
本実施形態では、駆動源は、図2、3に示すように、駆動軸25aと駆動軸25aに固定された駆動プーリー25bとを備える駆動モータ25からなる場合の例で説明する。
駆動モータ25は、例えば、DCモータからなり、図示略の配線によって、医療用マニピュレータ1の外部のスレーブ側制御装置112(図1参照)に電気的に接続されている。なお、駆動モータ25と駆動プーリー25bとは着脱できるようになっていてもよい。
駆動モータ25に対応する駆動力伝達部材としては、後述する駆動ワイヤ15(駆動ワイヤ部材)を採用している。
本体部20の先端側には、円筒状の外形を有し、先端面21aを底面として基端側に開口する有底円筒状の長尺部材21(長尺部)が配置されている。
長尺部材21の外形の中心軸線は、本体部20の長手軸Oを規定する。本実施形態では、長尺部材21は硬性の部材であるため長手軸Oは直線となるが,円筒状の外形は可撓性を有した軟性部でもよい。
なお、医療用マニピュレータ1では、後述するように関節部3が屈曲可能、かつ本体部20の長手軸Oに沿う方向の長さが変更可能になっている。そして、長尺部材21と後述する基端側装置部22(駆動部)との間の距離を変更して、本体部20の長さを変更することにより、関節部3の駆動が可能な駆動可能状態と、関節部3内の駆動に用いる後述する駆動ワイヤ15を弛緩して駆動不能となる弛緩状態とを切り替えることができる。
そこで、以下の説明では、駆動可能状態の各部材の位置関係を説明する場合には、特に断らない限り、図2〜4に示すように、関節部3が長手軸Oに対して回動していない状態に基づいて説明する。
処置部2の構成は、処置の必要に応じて適宜の構成を採用することができる。例えば、生体組織を押さえるため、棒状、鉤状などに延ばされた部材、注射針等の管部材、複数の処置具片を組み合わせた把持鉗子、通電によって生体組織を切断あるいは焼灼する部材、強力集束超音波(HIFU)プローブなどの例を挙げることができる。
このように、処置部2は、外科手術等の処置に用いるどのような器具であってもよい例えば、動かない部材であってもよいし、可動部材であってもよいし、通電する部材であってもよい。
本実施形態では、一例として、医療用マニピュレータ1の長手軸Oに沿って棒状に延ばされた高周波ナイフの例を図示している。このような高周波ナイフの場合、周知の通電用の電気配線が処置部2の基端部に接続され、この電気配線は関節部3および本体部20の内部に通って、装置外部の電源に接続される。ただし、本実施形態では、主要部の構成を見易くするため、電気配線およびこれを挿通させる孔部等の図示は省略している。
関節部3は、本体部20の適宜の回動関節、屈曲関節を構成する単位関節を1つ以上設けることができる。本実施形態では、一例として、処置部2を図2の紙面内で丸矢印の方向に回動させる1つの屈曲関節からなる場合の例で説明する。
関節部3は、基端側支持体13、先端側回動体4、第1連結部材6(連結部材)、基端側プーリー5A(第1のプーリー、第1案内部)、先端側プーリー5B(第2のプーリー、第2案内部)および第2連結部材7(回転体、連結部材)を備える。
基端側支持体13は、図5に示すように、その基端部が長尺部材21の先端面21aと連結され、長手軸Oに沿って延びる直方体状の部材であり、長手軸Oを挟んで対向する第1側面13bと、第2側面13cとを備える。
第1側面13bおよび第2側面13cの間には、それぞれ長手軸Oに直交する方向において、第1回動軸10Aを回転可能に保持する貫通孔からなる回動軸保持部13aが設けられている。
本実施形態では、一例として、第1回動軸10Aは、回動軸保持部13aに対して回動可能に嵌合する円柱状の軸部10aと、軸部10aの両端部に設けられた抜け止め部10bとを有する軸部材からなる。抜け止め部10bは、例えば、軸部10aの両端部に固定したリベットやねじ部材などによって形成することができる。また、一端部における抜け止め部10bは軸部10aと一体に形成してもよい。
基端側支持体13の長手軸Oに沿う方向の長さおよび回動軸保持部13aの位置は、後述する基端側プーリー5A、第1連結部材6、第2連結部材7を組み立てたときに、これらの部材が長尺部材21の先端部と干渉しないような寸法関係に設定されている。
先端側回動体4は、図5に示すように、先端側に処置部2が固定され、処置部2の延出方向に直交する平面からなる先端面4aが形成された矩形状の第1板状部4fと、第1板状部4fにおいて先端面4aの裏面側に立設された第2板状部4gとを有している。これにより、先端側回動体4の外形は、T字状断面(図3参照)が長手軸Oに直交する一方向に延ばされた形状になっている。
第2板状部4gは、基端側支持体13の第1側面13bおよび第2側面13c間の厚さと同一厚さを有しており、長手軸Oを挟んで対向する第1側面4bと、第2側面4cとを備える。駆動可能状態(図3参照)において、第1側面4bは基端側支持体13の第1側面13bと、第2側面4cは基端側支持体13の第2側面13cと、それぞれ同一平面上に整列されている。
第1側面4bおよび第2側面4cの間には、それぞれ長手軸Oに直交する方向において、第2回動軸10Bを回転可能に保持する貫通孔からなる回動軸保持部4dが設けられている。
第2回動軸10Bの軸径は、第1回動軸10Aと異なっていてもよい。ただし、本実施形態では、一例として、第2回動軸10Bは、第1回動軸10Aと同軸に配置された、第1回動軸10Aと同様の軸部材を採用している。
第2板状部4gの長手軸Oに沿う方向の長さおよび回動軸保持部4dの位置は、後述する先端側プーリー5B、第1連結部材6、第2連結部材7を組み立てたときに、これらの部材が、第1板状部4fと干渉しないような寸法関係に設定されている。
第1連結部材6は、図6に示すように、長円状の外形を有する板状部材であり、短手方向の中心部において、軸受用円孔6aおよび軸受用スライド孔6bが貫通されている。
軸受用円孔6aは、第2回動軸10Bの軸回りに相対的な回転が可能となるように第2回動軸10Bを保持する円孔からなり、第1連結部材6の長手方向の一端寄りに形成されている。
軸受用スライド孔6bは、短手方向の中心線が、軸受用円孔6aの中心を通り、第1連結部材6の長手方向に沿って延ばされた長円孔である。
軸受用スライド孔6bの短手方向の幅は、第1回動軸10Aの軸部10aを軸受用スライド孔6bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持するため、第1回動軸10Aの軸部10aの外径よりもわずかに大きくなっている。
軸受用スライド孔6bにおいて、軸受用円孔6aに対向する長手方向の端部には、第1回動軸10Aが当接したときに、第1回動軸10Aの軸回りに相対的な回転が可能となるように第1回動軸10Aの軸部10aを保持する半円状の断面形状を有する湾曲面からなる軸受部6cが形成されている。
軸受用円孔6aの中心と軸受部6cの中心との間の中心距離の大きさはP1である。
図2、5に示すように、基端側プーリー5A、先端側プーリー5Bは、それぞれ第1回動軸10A、第2回動軸10Bと同軸となる位置に配置され、駆動可能状態において、外周側に第1ガイド用ワイヤ11(ガイドワイヤ)と第2ガイド用ワイヤ12(ガイドワイヤ)とを巻き回すことにより、互いのピッチ円に沿って相対的に転動可能とされた一組のプーリーである。
先端側プーリー5Bは、先端側回動体4の第1側面4bに図示略の固定手段、例えば、ビス止め、カシメ、圧入、溶接、溶着などによって固定されるか、または、先端側回動体4と一体に成形されている。
基端側プーリー5Aは、本実施形態では、基端側支持体13および第1回動軸10Aに対して回動可能に組み立てられている。
ただし、基端側プーリー5Aは、基端側支持体13の第1側面13bに適宜の固定手段で固定されるか、または、基端側支持体13と一体に成形されていることも可能である。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、基端側プーリー5A、先端側プーリー5Bとスリップすることなく係合できれば、ワイヤの種類は特に限定されない。第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12として好適なワイヤの例としては、例えば、ステンレスワイヤの例を挙げることができる。
図2、5に示すように、基端側プーリー5Aは、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12を巻き回すためのプーリー溝5cと、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通可能であってピッチ円と同軸に形成された貫通孔5bと、ピッチ円と同軸に形成された外周面5aとを備える。
基端側プーリー5Aは、その貫通孔5bに第1回動軸10Aの軸部10aが挿通された状態で、プーリー溝5cのピッチ円が第1回動軸10Aと同軸となる位置で基端側支持体13の第1側面13bと第1連結部材6との間に挟まれて配置されている。
先端側プーリー5Bは、基端側プーリー5Aと同様のプーリー溝5c、貫通孔5b、および外周面5aを備える。
ただし、先端側プーリー5Bの貫通孔5bには第2回動軸10Bの軸部10aが挿通される点と、プーリー溝5c上に、第1ガイド用ワイヤ11の先端側端部11aおよび第2ガイド用ワイヤ12の先端側端部12aを互いに対向して固定するワイヤ固定部5dを備える点とが異なる。
なお、ワイヤ固定部5dが、先端側プーリー5Bに設けられているのは一例である。例えば、ワイヤ固定部5dは、先端側プーリー5Bが固定された先端側回動体4上に設けることも可能である。
また、基端側プーリー5Aおよび先端側プーリー5Bの外周面5aの外径は、本実施形態では、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12の交差部の寸法を考慮し、一例として、P1から2本分のワイヤ線径を引いた大きさとしている。
図2等の図示は、簡略化して各外周面5aが当接しているように描いているが、実際には、各外周面5aは、上記のような寸法関係にあるため、駆動可能状態においても互いに離間している。
ワイヤ固定部5dは、駆動可能状態において関節部3が長手軸Oに沿って延ばされた状態で、第2回動軸10Bを挟んで基端側プーリー5Aと反対側となる外周部に固定されている。
ワイヤ固定部5dの構成は、駆動可能状態で第1ガイド用ワイヤ11の先端側端部11aおよび第2ガイド用ワイヤ12の先端側端部12aの先端側プーリー5Bに対する位置を固定できれば、特に限定されない。
例えば、駆動可能状態および弛緩状態の両方で位置を固定する構成として、先端側端部11a、12aをかしめて固定する金属部材よる固定の例を挙げることができる。さらには、溶接、溶着、ビス止め等によって固定することも可能である。
また、駆動可能状態のみで位置が固定される構成も可能である。例えば、先端側端部11a、12aに抜け止めとなる大径部を形成しておき、ワイヤ固定部5dとして、これらのワイヤを挿通し各大径部よりも小径の貫通孔を有する管部材の例を挙げることができる。
本実施形態では、一例として、先端側端部11a、12aをかしめる金属部材を採用している。この場合には、第1ガイド用ワイヤ11、第2ガイド用ワイヤ12として2本のワイヤを用いてそれぞれの先端側端部11a、12aをかしめてもよいが、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12を1本のワイヤで構成し、その中間部を金属部材でかしめることより、ワイヤ固定部5dの両端側に第1ガイド用ワイヤ11の部分と第2ガイド用ワイヤ12の部分とが延在する構成も可能である。
このような構成の基端側プーリー5A、先端側プーリー5Bは、図3、5に示すように、それぞれ基端側支持体13の第1側面13b、先端側回動体4の第1側面4bに面して配置され、第1側面13bおよび第1側面4bと、第1連結部材6との間に挟んで配置されている。
第1連結部材6の軸受用スライド孔6bを有する基端側および基端側プーリー5Aは、第1連結部材6の軸受用スライド孔6bと基端側プーリー5Aの貫通孔5bとに、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の基端側は、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
また、第1連結部材6の軸受用円孔6aを有する先端側および先端側プーリー5Bは、第1連結部材6の軸受用円孔6aと先端側プーリー5Bの貫通孔5bとに、第2回動軸10Bの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の先端側は、第2回動軸10Bの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
これにより、第1連結部材6は、軸受用円孔6aによって、第2回動軸10Bを軸受用円孔6aの中心回りに回動可能に保持している。
また、第1連結部材6は軸受用スライド孔6bによって、第1回動軸10Aを、軸受用円孔6aに保持された第2回動軸10Bと平行に保った状態で、軸受用スライド孔6bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持している。
さらに、第1連結部材6は、駆動可能状態において、第1回動軸10Aの軸部10aが軸受部6cに当接した際には、第2回動軸10Bとの軸間距離がP1である第1軸間距離の状態で、第1回動軸10Aを軸受部6cの中心回りに回動可能に保持することが可能である。
第2連結部材7は、図7(a)、(b)、(c)に示すように、第1連結部材6と同様の形状を有する板状部8と、板状部8の一方の表面に固定されるか、もしくは板状部8と一体成形された駆動力入力部9とからなる。
板状部8は、第1連結部材6の軸受用円孔6a、軸受用スライド孔6b、軸受部6cに対応して、それぞれ同形状の軸受用円孔8a、軸受用スライド孔8b、軸受部8cを同様の位置に備える。
このため、図7(b)に示すように、軸受用円孔8aの中心と軸受部8cの中心との間の中心距離の大きさもまたP1である。
駆動力入力部9は、軸受部8cの中心軸と同軸となる円周上にプーリー溝9aを有する板状部であり、軸受用円孔8aに重なる範囲が開口する軸受用U字溝9bを有する。
軸受用U字溝9bの溝底部は、軸受部8cと整列した半円状の断面形状を有する湾曲面からなる軸受部9cが形成されている。このため、軸受部9cは、軸受部6c、8cと同様に、第1回動軸10Aが当接したときに、第1回動軸10Aの軸回りに相対的な回転が可能となるように第1回動軸10Aを保持することができる。
このような構成の第2連結部材7は、図3、5に示すように、その軸受用スライド孔8bに第1回動軸10Aの軸部10aが挿通された状態で、駆動力入力部9が基端側支持体13の第2側面13cに面するように配置され、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
また、板状部8は、軸受用円孔8aに第2回動軸10Bの軸部10aが挿通された状態で、先端側回動体4の第2側面4cに平行に配置され、第2回動軸10Bの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
これにより、第2連結部材7は、軸受用円孔8aによって、第2回動軸10Bを軸受用円孔8aの中心回りに回動可能に保持している。
また、第2連結部材7は、軸受用スライド孔8bによって、第1回動軸10Aを、軸受用円孔8aに保持された第2回動軸10Bと平行に保った状態で、軸受用スライド孔8bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持している。
さらに、第2連結部材7は、駆動可能状態において、第1回動軸10Aの軸部10aが軸受部8c、9cに当接した際は、第2回動軸10Bとの軸間距離がP1である第1軸間距離の状態で、第1回動軸10Aを軸受部8c、9cの中心回りに回動可能に保持することが可能である。
図3、4に示すように、駆動力入力部9のプーリー溝9aには、駆動可能状態において、基端側から長手軸Oに沿って延びる駆動ワイヤ15が巻き回され、互いに係合されている。
駆動ワイヤ15は、駆動モータ25の駆動力を伝達する駆動力伝達部材であり、本実施形態では、駆動モータ25の駆動プーリー25bに巻き回され、駆動可能状態では、駆動力入力部9と駆動プーリー25bとの間に張架されている。
なお、図5に示すように、長尺部材21の先端面21aには、駆動ワイヤ15を本体部20の内部に導くワイヤ挿通部21bが開口されている。
駆動ワイヤ15は、駆動力入力部9のプーリー溝9aとスリップすることなく係合して、関節部3の駆動時に発生する張力に耐えることができれば、ワイヤの種類は特に限定されない。駆動ワイヤ15として好適なワイヤの例としては、例えば、ステンレスワイヤの例を挙げることができる。
次に、関節部3における各ワイヤ部材の配回しについて説明する。
後述するワイヤ弛緩機構30(図2参照)が長手方向に伸縮することによって本体部20(図2参照)の長さが調整されることにより、駆動可能状態においては、図8に示すように、第1回動軸10Aと第2回動軸10Bとの軸間距離が第1軸間距離P1の状態になるとともに、第1回動軸10Aと駆動モータ25の駆動軸25aとの軸間距離がL1になっている。
この状態で、駆動ワイヤ15は、駆動力入力部9の周囲に設けられたプーリー溝9aと駆動プーリー25bの周囲に設けられたプーリー溝25cとに長円状に巻き回されて、張架されている。このとき駆動ワイヤ15には張力が発生しており、駆動ワイヤ15は、プーリー溝9a、25cに摩擦力によって係合されている。
図8では、プーリー溝25cに、駆動ワイヤ15が略半周分(半周分の場合を含む)巻き回されている場合を図示しているが、駆動ワイヤ15は、プーリー溝25cに1周以上巻き回すことも可能である。
これに対して、駆動ワイヤ15は、プーリー溝9aには1周未満だけ、本実施形態では一例として略半周(半周の場合を含む)だけ巻き回されている。
このような配回しにより、駆動プーリー25bが図示の実線矢印(破線矢印)で示すように、図示時計回り(反時計回り)に回動すると、第2連結部材7が第1回動軸10Aを中心として時計回り(反時計回り)に回動することになる。
図9(a)に示すように、第1ガイド用ワイヤ11は、先端側端部11aが第2回動軸10Bのワイヤ固定部5dに固定され、先端側プーリー5Bおよび基端側プーリー5AにS字状に巻き回されている。すなわち、第1ガイド用ワイヤ11は、ワイヤ固定部5dから第2回動軸10Bのプーリー溝5cに沿って円弧状に配回されて、先端側プーリー5Bのプーリー溝5cと基端側プーリー5Aのプーリー溝5cとの間を通って、基端側プーリー5Aのプーリー溝5cに沿う円弧状に湾曲したS字状の経路で巻き回されている。
基端側プーリー5Aから延出された第1ガイド用ワイヤ11は、図示略の本体部20の内部を長手軸Oに略平行(平行の場合を含む)の直線状に延ばされて、基端側端部11bがワイヤ固定部14に固定されている。このため、長尺部材21の先端面21aには、第1ガイド用ワイヤ11を本体部20の内部に導くワイヤ挿通部21b(図5参照)が開口されている。
ワイヤ固定部14は、後述する本体部20の支持体24に固定されている。
ワイヤ固定部14の構成はワイヤ固定部5dに用いることができる構成はすべて採用することができる。
第2ガイド用ワイヤ12は、先端側端部12aが第2回動軸10Bのワイヤ固定部5dにおいて第1ガイド用ワイヤ11の先端側端部11aと反対側に固定され、先端側プーリー5Bおよび基端側プーリー5Aに、第1ガイド用ワイヤ11とは逆のS字状に巻き回されている。すなわち、第2ガイド用ワイヤ12は、ワイヤ固定部5dから第2回動軸10Bのプーリー溝5cに沿って円弧状に配回されて、先端側プーリー5Bのプーリー溝5cと基端側プーリー5Aのプーリー溝5cとの間を通って、基端側プーリー5Aのプーリー溝5cに沿う円弧状に湾曲したS字状の経路で巻き回されている。
基端側プーリー5Aから延出された第2ガイド用ワイヤ12は、図示略の本体部20の内部を長手軸Oに略平行(平行の場合を含む)の直線状に延ばされて、基端側端部12bがワイヤ固定部14に固定されている。このため、長尺部材21の先端面21aには、第2ガイド用ワイヤ12を本体部20の内部に導くワイヤ挿通部21b(図5参照)が開口されている。
基端側端部12bを固定するワイヤ固定部14は、基端側端部11bを固定したワイヤ固定部14とは異なるが、構成は同様であり、後述する本体部20の支持体24に固定されていることも同様である。
このような配回しにより、先端側プーリー5Bのプーリー溝5cは、全周が第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12のいずれかによって巻き回されている。
また、基端側プーリー5Aのプーリー溝5cは、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12のいずれかによって合計一周未満だけ、本実施形態では一例として略半周(半周の場合を含む)だけ巻き回されている。
このように、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、基端側プーリー5A、先端側プーリー5Bのピッチ円に沿って巻き回されている。
このため、図9(b)に示すように、駆動モータ25による駆動を受けて板状部8が第1回動軸10Aを中心に回動すると、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12がスリップすることなく、各プーリー溝5c上を移動する結果、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12によって拘束された先端側プーリー5Bは第2回動軸10Bを中心に回動する。
このため、先端側プーリー5Bは、先端側プーリー5Bのピッチ円で、基端側プーリー5Aのピッチ円上を滑りなく転動していることになる。
したがって、例えば、図9(b)に示すように、図示略の板状部8が長手軸Oに対して図示時計回りに角度θだけ回動すると、先端側プーリー5Bは、第2回動軸10Bを中心として時計回りに角度θだけ回動するため、長手軸Oに対して角度2θだけ回動して、関節部3が屈曲する。
これにより、第2回動軸10Bが固定された先端側回動体4も同様に回動する。
例えば、図9(a)に示すように、先端側回動体4に固定された処置部2が回動前(θ=0°)に長手軸Oに整列されていたとすると、基端側プーリー5Aが角度θだけ図示時計回りに回動すると、処置部2の向きが長手軸Oに対して図示時計回りに角度2θだけ回動して、処置部2の向きが変更される。
このため、基端側プーリー5Aは、第1回動軸10Aを中心とする転動の案内が可能とされた第1案内部を構成している。
先端側プーリー5Bは、基端側プーリー5Aと係合して基端側プーリー5Aの軌道に沿って転動の案内をする第2案内部を構成している。
次に、本体部20の構成について説明する。
図2、3に示すように、本体部20は、長尺部材21と、基端側装置部22と、位置調整部23と、を備える。
長尺部材21は、先端側に上述の先端面21aを有し、内部に円筒状の内周面21eが形成され、基端側に開口する有底円筒状である。
図10(a)に示すように、長尺部材21の基端部には、軸方向の端部に長手軸Oに直交する基端面21fが形成され、外周面に基端側装置部22との間の位置調整を行うための雄ねじ部21cが設けられている。
長尺部材21の内周面21eの基端側には、長尺部材21に対する基端側装置部22の長手軸O回りの位置を規制するため、長手軸Oに沿って延びるガイド溝21dが設けられている。本実施形態では、ガイド溝21dは、図10(b)に示すように、長手軸Oを挟んで対向する二位置に設けられている。
基端側装置部22は、駆動モータ25と、支持体24とを備える。
支持体24は、基端側に上述の駆動モータ25(図10(a)、(b)では図示略、図2、3参照)を固定する筐体部24fと、長尺部材21の内周面21eに嵌合する筒状の筒状部24aとを備える。
筒状部24aの内周面24eは、駆動ワイヤ15を接触することなく挿通させることができる大きさに形成され、各ワイヤ固定部14(図10(a)、(b)では図示略、図3、9参照)が固定されている。
筒状部24aの外周面24bは、長尺部材21の内周面21eに対して長手軸Oに沿う方向に移動可能に嵌合する円筒面からなる。
外周面24bの先端側には、長尺部材21の一対のガイド溝21dにそれぞれ係合する一対の係合突起24dが径方向外方に突出されている。
外周面24bの基端側には、後述する位置調整部23のガイド溝23dと係合する係合突起24cが径方向外方に突出されている。
このような構成により、本体部20において、長尺部材21は、長手軸Oを有し関節部3において、エンドエフェクタである処置部2と反対側の端部に接続する長尺部を構成している。また、基端側装置部22は、長尺部の基端側に設けられ、回転体である第2連結部材7を動作させるための駆動力を供給する駆動部を構成している。
位置調整部23は、図10(a)、(b)に示すように、長尺部と駆動部との長手軸Oに沿う方向の相対位置を調節する部材であり、長尺部材21の雄ねじ部21cと螺合し、支持体24の筒状部24aに外嵌する筒状部材からなる。位置調整部23は、長尺部材21と基端側装置部22との間に配置されている。
位置調整部23の先端側の内周部には、雄ねじ部21cと螺合する雌ねじ部23cが設けられている。
位置調整部23の内周部の基端部には、筒状部24aの外周面24bと摺動可能に嵌合する内周面23bと、内周面23bの中間部において筒状部24aの係合突起24cと係合し、内周面23bの全周にわたって延ばされたガイド溝23dとが形成されている。
このような構成により、位置調整部23は、筒状部24aに対して長手軸Oに沿う方向の位置が一定の状態で、筒状部24aの周方向に回転自在に設けられている。
一方、長尺部材21は、雄ねじ部21cにおいて、位置調整部23の雌ねじ部23cと螺合されているため、位置調整部23を支持体24の筒状部24aに対して回転すると、長尺部材21は、支持体24に対して相対回転することなく、長手軸Oに沿う方向における支持体24との相対位置のみが変化することになる。
すなわち、位置調整部23の回転に伴って、長尺部材21の基端面21fが長手軸Oに沿う方向に移動する。
位置調整部23は、このように移動する基端面21fの位置の固定と固定解除とを行うことにより、長尺部材21と基端側装置部22との間の相対移動を規制するストッパ部29を有している。
ストッパ部29は、位置調整部23の側方に形成されたストッパ部材収容穴23aに、ストッパ部材26と、コイルばね27(弾性部材)とを備えて構成される。
ストッパ部材収容穴23aは、位置調整部23の周方向において中心軸を挟んで対向する二位置に設けられている。
各ストッパ部材収容穴23aの側面視の穴形状は、長手軸Oに沿う方向に長い矩形状とされている(図3参照)。
各ストッパ部材収容穴23aの径方向の穴形状は、それぞれの先端側は雌ねじ部23cを貫通し、それぞれの基端側はガイド溝23dよりも径方向外側となる深さを有しており、基端部底面23fが形成されている。
ストッパ部材収容穴23aの先端部内周面23eは、筒状部24aの係合突起24dよりも基端側に位置している。
ストッパ部材収容穴23aの長手方向の中心部には、短手方向にわたってストッパ部材26を回動可能に支持する回動支軸28が設けられている。
ストッパ部材26は、ストッパ部材収容穴23a内に挿入可能な矩形状の外形を有するとともに、ストッパ部材収容穴23aの回動支軸28によって、回動可能に支持された板状部材である。
ストッパ部材26は、長手方向の略中心部で、位置調整部23の内方に向かって凸となる形状に屈曲され、この屈曲部において短手方向に回動支軸28が挿通されている。
ストッパ部材26において回動支軸28よりも先端側は、先端部内周面23eに向かって延びる板状とされ、先端に長尺部材21の基端面21fを係止する係止端面26bが形成されている。
係止端面26bは、回動支軸28を中心とするストッパ部材26の回動に伴って、図10(a)に示すように、雌ねじ部23cのねじ山部よりも径方向の内方に位置して、長手軸Oに沿って移動する長尺部材21の基端面21fを係止可能な位置と、雌ねじ部23cのねじ山部よりも径方向の外方で先端部内周面23eに面する位置(図11参照)と、の間で移動可能になっている。
ストッパ部材26において回動支軸28よりも基端側は、回動支軸28と基端側の先端部との中間部において、位置調整部23の外方に向かって凸となる形状に屈曲され、この屈曲部により基端側に板状の押圧部26a(操作部)が形成されている。
押圧部26aは、回動支軸28を中心とするストッパ部材26の回動に伴って、図10(a)に示すように、位置調整部23の外周面よりも径方向の外方に突出して、径方向外方からストッパ部材収容穴23a内の径方向内側に向かって押圧可能な位置と、ストッパ部材収容穴23aの内部に没した位置(図11参照)と、の間で移動可能になっている。
コイルばね27は、ストッパ部材26の係止端面26bが長尺部材21の移動経路に進出する方向に、ストッパ部材26を付勢する弾性部材であり、押圧部26aの裏面と位置調整部23の基端部底面23fとの間に配置されている。
長尺部材21の雄ねじ部21c、位置調整部23、およびストッパ部材26は、ワイヤ弛緩機構30を構成している。
このようなワイヤ弛緩機構30は、長尺部材21の基端部に配置され、駆動ワイヤ15を内包している。
ワイヤ弛緩機構30は、後述する動作説明で明らかになるように、長尺部材21の長手方向に伸縮することによって、回転体である第2連結部材7と駆動部である基端側装置部22との間における駆動ワイヤ15の経路長を変更する機構になっている。
次に、このような構成を有する医療用マニピュレータ1の動作について駆動可能状態と弛緩状態との切り替え動作を中心として説明する。
図11は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータのストッパ部の動作説明図である。図12(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。
医療用マニピュレータ1によって、処置を行うには、医療用マニピュレータ1を駆動可能状態に組み立てて、図1に示すように、スレーブマニピュレータ120に装着する。
このとき、図2に示すように、医療用マニピュレータ1においては、処置部2の軸線と、第2回動軸10Bおよび第1回動軸10Aの中心軸線は、長手軸O上に整列し、第2回動軸10Bおよび第1回動軸10Aの軸間距離は、第1軸間距離P1である。また、第1回動軸10Aと駆動軸25aの軸間距離はL1である。
軸間距離L1は、位置調整部23によって、長尺部材21と支持体24との長手軸Oに沿う方向の距離を調整することで実現されている。本実施形態は、図10(a)に示すように、長尺部材21の基端面21fが、ストッパ部材収容穴23aの先端部内周面23eと整列するときに実現される。
医療用マニピュレータ1では、このような軸間距離L1の状態において、ストッパ部29のストッパ部材26の係止端面26bが、基端面21fおよび先端部内周面23eに係止される。このため、位置調整部23を長手軸O回りに回動して長尺部材21を支持体24側に移動しようとしても、ストッパ部材26によって移動が阻止され、ロック状態になっている。
また、ストッパ部材26の係止端面26bは、コイルばね27によって径方向内方に向かう方向に付勢されているため、この付勢を解除するまでの間はこのロック状態が維持される。このとき、ストッパ部材26の押圧部26aは、位置調整部23の外方に突出されている。
処置が終了すると、医療用マニピュレータ1は洗浄する必要がある。医療用マニピュレータ1は、この洗浄時に、関節部3を弛緩状態とすることで、容易に洗浄を行うことができる。
駆動可能状態から弛緩状態に移行するには、位置調整部23によって、長尺部材21と支持体24との相対距離を短縮する。
まず、洗浄者は、図11に示すように、ストッパ部29における各押圧部26aを位置調整部23の内方に押圧する。これにより、コイルばね27が圧縮されて付勢力が解除され、各ストッパ部材26が回動支軸28を中心として回動する。
この結果、各係止端面26bが、ストッパ部材収容穴23aにおいて、先端部端面23eに対向する径方向外側に移動し、係止端面26bによる長尺部材21の基端面21fの係止が解除される。このように、ストッパ部材26が長尺部材21の移動経路上から退避することで、基端面21fよりも基端側に、長尺部材21が移動可能な空間が開放される。
洗浄者が、押圧部26aを押圧して、押さえ込んだ状態で、位置調整部23を長手軸O回りに回動させて、位置調整部23を捻ると、長尺部材21と筒状部24aとは、ガイド溝21dおよび係合突起24dによって周方向に係合されているため、位置調整部23の回動方向に応じて、長尺部材21が、支持体24に対して近づくかまたは遠ざかる方向に移動する。
弛緩状態にするには、位置調整部23を捻ってワイヤ弛緩機構30を短縮することにより、長尺部材21を支持体24に接近させて、ワイヤ固定部14と第1回動軸10Aとの間の距離、および駆動軸25aと第1回動軸10Aとの間の軸間距離を短縮する。
例えば、図12(a)、(b)に示すように、長尺部材21をΔbだけ支持体24に近づける。
この場合、長尺部材21に連結された関節部3の基端側支持体13も第1回動軸10Aとともに、Δbだけ基端側に平行移動し、例えば、第1回動軸10Aと駆動軸25aとの間の軸間距離は。L1−Δbとなる。
第1回動軸10Aは、第1連結部材6においては軸受用スライド孔6b、第2連結部材7においては軸受用スライド孔8bによって、スライド移動可能に支持されているため、先端側回動体4は、駆動可能状態と同位置を保つことが可能である。このため、第1回動軸10Aと第2回動軸10Bとの軸間距離が第1軸間距離より大きい第2軸間距離の状態が可能である。
この状態では、図12(b)に示すように、駆動力入力部9および駆動軸25aの間に張架された駆動ワイヤ15は弛緩し、駆動力入力部9との係合が解除される。
一方、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、先端側プーリー5Bと支持体24との間に張架されているため、第1回動軸10Aに支持された基端側プーリー5Aとの係合が解除されるのみで、先端側プーリー5Bとはまだ係合されている。
そこで、先端側回動体4をS(ただし、0<S<Δb)だけ、長尺部材21側に移動する(図12(a)参照)。Sだけ先端側回動体4を移動すると、第2回動軸10Bを保持する第1連結部材6および第2連結部材7もSだけ平行移動する。
なお、第1回動軸10Aは、軸受用スライド孔6b、8bで相対的にスライド移動可能に保持されているため、第1連結部材6および第2連結部材7がSだけ移動しても、第1回動軸10Aおよび基端側支持体13の位置は変化しない。
このようにして、第1回動軸10Aと第2回動軸10Bとの軸間距離は、P2=P1+Sとなり、第1軸間距離P1よりもSだけ大きい第2軸間距離になる。
これにより、基端側プーリー5Aと先端側プーリー5Bとは、Δb−Sだけ互いに離間しており、かつ、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12が、先端側プーリー5Bおよび基端側プーリー5Aの外周側において弛緩した状態になる。
このようにして、基端側プーリー5Aおよび先端側プーリー5Bと、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12との係合が解除される。
このようにして、弛緩状態では、関節部3において、駆動ワイヤ15、第1ガイド用ワイヤ11、および第2ガイド用ワイヤ12がいずれも弛緩し、それぞれ駆動力入力部9、基端側プーリー5A、および先端側プーリー5Bとの係合が解除され、関節部3の内部にも隙間ができる。このため、例えば、ブラシを挿入する洗浄作業が容易となる。また、関節部3において、各部材の表面に洗浄剤が確実に回り込み、洗浄漏れがなく、迅速かつ確実に洗浄を行うことができる。
洗浄後は、位置調整部23を捻って、ワイヤ弛緩機構30を伸張させることにより、弛緩状態から軸間距離を伸ばす。これにより、ワイヤを張り直してのテンションをかけ、元の駆動可能状態に戻すことができ、医療用マニピュレータ1を再利用可能な状態にすることができる。つまり、医療用マニピュレータ1をメーカーに送り返すことなく、病院内にて洗浄者が洗浄し、駆動可能状態に戻すことができる。
[第1変形例]
次に、本実施形態の第1変形例の医療用マニピュレータについて説明する。
図13は、本発明の第1の実施形態の第1変形例の医療用マニピュレータの関節部の模式的な分解斜視図である。
図13に主要部の構成を示すように、本変形例の医療用マニピュレータ31は、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1の関節部3に代えて関節部33を備える。
医療用マニピュレータ31は、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
関節部33は、図13に示すように、上記第1の実施形態における関節部3の第2連結部材7に代えて、第2連結部材37(回転体、連結部材)を備え、第1連結部材6の取り付け位置を変更したものである。
第2連結部材37は、上記第1の実施形態における第2連結部材7の駆動力入力部9に代えて、駆動力入力部39を備える。
駆動力入力部39は、駆動力入力部9の軸受用U字溝9bを削除して、プーリー溝9aを全周に形成したプーリー部であり、これに応じて軸受部9cに代えて、軸受用円孔8aと同様な円径の軸受用円孔39bを備える。
駆動力入力部39は、軸受用円孔39bが、軸受用円孔8aと同軸の位置となるように、板状部8の一方の表面に固定もしくは一体成形されている。
このような構成の第2連結部材37は、軸受用円孔8a、39bに第1回動軸10Aの軸部10aが挿通された状態で、駆動力入力部39が基端側支持体13の第2側面13cに面するように配置され、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
また、板状部8は、軸受用スライド孔8bに第2回動軸10Bの軸部10aが挿通された状態で、先端側回動体4の第2側面4cに平行に配置され、第2回動軸10Bの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
これにより、第2連結部材37は、軸受用円孔8a、39bによって、第1回動軸10Aを軸受用円孔8aの中心回りに回動可能に保持している。
また、第2連結部材37は、軸受用スライド孔8bによって、第2回動軸10Bを、軸受用円孔8aに保持された第1回動軸10Aと平行に保った状態で、軸受用スライド孔8bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持している。
さらに、第2連結部材7は、駆動可能状態において、第2回動軸10Bの軸部10aが軸受部8cに当接した際は、第1回動軸10Aとの軸間距離がP1である第1軸間距離の状態で、第2回動軸10Bを軸受部8cの中心回りに回動可能に保持することが可能である。
上記第1の実施形態の駆動力入力部9に代えて、駆動力入力部39のプーリー溝9aに駆動ワイヤ15が巻き回されることは、上記第1の実施形態と同様である。
関節部33における第1連結部材6は、上記第2連結部材37の構成に対応させて、上記第1の実施形態の軸受用円孔6aと軸受用スライド孔6bとを入れ替えて配置される。
すなわち、第1連結部材6の軸受用円孔6aを有する基端側および基端側プーリー5Aは、第1連結部材6の軸受用円孔6aと基端側プーリー5Aの貫通孔5bとに、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の基端側は、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
また、第1連結部材6の先端側および先端側プーリー5Bは、第1連結部材6の軸受用スライド孔6bと先端側プーリー5Bの貫通孔5bとに、第2回動軸10Bの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の先端側は、第2回動軸10Bの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
これにより、本変形例の第1連結部材6は、軸受用円孔6aによって、第1回動軸10Aを軸受用円孔6aの中心回りに回動可能に保持している。
また、本変形例の第1連結部材6は軸受用スライド孔6bによって、第2回動軸10Bを、軸受用円孔6aに保持された第1回動軸10Aと平行に保った状態で、軸受用スライド孔6bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持している。
さらに、第1連結部材6は、駆動可能状態において、第2回動軸10Bの軸部10aが軸受部6cに当接した際には、第1回動軸10Aとの軸間距離がP1である第1軸間距離の状態で、第2回動軸10Bを軸受部6cの中心回りに回動可能に保持することが可能である。
このような構成の関節部33を有する医療用マニピュレータ31によれば、弛緩時に長尺部材21の移動に伴って第1連結部材6および第2連結部材37が基端側支持体13とともに移動する点が異なるのみ、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1と同様にして、駆動可能状態と弛緩状態とを切り替えることができる。
このため、上記第1の実施形態と同様に、関節部を有する医療用マニピュレータの洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図14(a)は、本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式図である。図14(b)は、図14(a)のおけるG視図である。図15は、本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの駆動ワイヤ部材およびガイドワイヤの配回しを示す模式的な分解斜視図である。
図14(a)、(b)に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータ41は、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1の関節部3に代えて、第1関節43A(第1単位関節)と、第2関節43B(第2単位関節)とからなる関節部43を備える。また、医療用マニピュレータ41は、上記第1の実施形態の駆動モータ25、駆動ワイヤ15に代えて、駆動モータ25と同様の構成を有する駆動モータ25A、25B、駆動ワイヤ55A、55B(駆動ワイヤ部材)を備える。
駆動モータ25Aは、駆動ワイヤ55Aを介して第1関節43Aを駆動する駆動源であり、駆動モータ25Bは、駆動ワイヤ55Bを介して第2関節43Bを駆動する駆動源である。
すなわち、医療用マニピュレータ41は、関節部が2つの単位関節を直列に連結して構成された場合の例になっている。
医療用マニピュレータ41は、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第1の実施形態および上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
なお、医療用マニピュレータ41は、関節部43が2軸方向に屈曲可能であり、上記第1の実施形態と同様に位置調整部23によって本体部20の長手軸Oに沿う方向の長さが変更可能になっている。そこで、本実施形態でも上記第1の実施形態と同様に、関節部43の駆動が可能な状態を駆動可能状態、関節部43内の駆動に用いる部材間の係合を解除して駆動不能となる弛緩状態と称する。そして、以下の説明では、駆動可能状態の各部材の位置関係を説明する場合には、特に断らない限り、図14(a)、(b)に示すように、関節部43が長手軸Oに対して回動していない状態に基づいて説明する。
第1関節43Aは、図15に示すように、長尺部材21と第2関節部43Bとを長手軸Oと交差する方向(図示Y1方向、Y2方向)に回動可能に連結する単位関節であり、上記第1の実施形態の基端側支持体13、先端側回動体4に代えて、基端側支持体53、先端側回動体44を備える。また、第1連結部材6(連結部材)、基端側プーリー5Aを2組に増やして、先端側プーリー5Bを削除し、2組の先端側プーリー45B(第2のプーリー)、基端側アイドラプーリー45A(第1のプーリー)、先端側アイドラプーリー45C(第2のプーリー)を追加している。
基端側支持体53Aは、上記第1の実施形態の基端側支持体13と同様に、第1側面13b、第2側面13c、回動軸保持部13aを備え、第1側面13bと第2側面13cとの間の板厚と、先端面21aに対する固定位置を変えた以外は、上記第1の実施形態と同様の部材である。
第1側面13b、第2側面13cの法線は、図示Y1、Y2方向と直交する方向(図示X1方向、X2方向)に向いている。第1側面13bは、基端側支持体53Aにおいて、図示X1方向の側面であり、第2側面13cは、図示X2方向の側面である。
先端側回動体44は、先端側に、後述する第2関節43Bの基端側支持体53Bが固定され、長手軸Oに直交する平面からなる先端面44aが形成された矩形状の第1板状部44fと、第1板状部44fにおいて先端面44aの裏面側から立設された、第2板状部44g、第3板状部44hとを有する。第2板状部44gは、図示X2方向寄り、第3板状部44hは、図示X1方向寄りに位置している。
第2板状部44gは、基端側支持体13Aの第1側面13b、第2側面13cとそれぞれ整列する第1側面44b、第2側面44cを有している。
第3板状部44hは、第1側面44dと、第2側面44eとを有し、これらの間の板厚が、第2連結部材7の駆動力入力部9の厚さ以上の厚さになっている。
第2側面44eは、第2板状部44gの第1側面44bに対向する位置において、第2連結部材7の板状部8が挿入可能な隙間を空けて配置されている。
第3板状部44hには、上記第1の実施形態と同様に回動軸保持部4dが設けられている。これにより、回動軸保持部4dに、第1側面44dおよび第2側面44eの両面にそれぞれ第2回動軸10Bを固定できるようになっている。
また、図示は省略するが、第2板状部44gには、回動軸保持部4dと対向する位置に、第2回動軸10Bの軸部10aが挿通可能な円孔が貫通して設けられている。
先端側プーリー45Bは、上記第1の実施形態の先端側プーリー5Bのワイヤ固定部5dを削除したものである。
基端側アイドラプーリー45Aは、第1関節43Aの第1回動軸10Aの軸部10aに回動可能に支持され、駆動ワイヤ55Bを巻き回して、第1関節43Aに挿通させるものである。基端側アイドラプーリー45Aは、ピッチ円径がP1より小さいプーリー溝45cと、第1回動軸10Aの軸部10aと回動可能に嵌合しピッチ円と同軸に形成された軸孔45bとを有する。基端側アイドラプーリー45Aの外径は、基端側プーリー5Aの外径よりも小さい。
先端側アイドラプーリー45Cは、基端側アイドラプーリー45Aと同様のプーリー溝45c、軸孔45bを備える。
ただし、先端側アイドラプーリー45Cの軸孔45bには第2回動軸10Bの軸部10aが挿通され、外径は、先端側プーリー5Bの外径よりも小さい。
ここで、第1関節43Aの各部材の位置関係について説明する。
基端側支持体53Aの第1側面13bには、軸受用スライド孔8bを有する板状部8の基端側が面するように第2連結部材7が配置され、基端側アイドラプーリー45Aと基端側プーリー5Aとが、第2連結部材7の駆動力入力部9と第1連結部材6の基端側(軸受用スライド孔6bを有する方)との間に挟まれている。
第2連結部材7の軸受用スライド孔8b、基端側アイドラプーリー45Aの軸孔45b、基端側プーリー5Aの貫通孔5b、第1連結部材6の軸受用スライド孔6bには、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の基端側は、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
基端側支持体53Aの第2側面13cには、基端側アイドラプーリー45A、基端側プーリー5Aがこの順に配置され、第1連結部材6の基端側(軸受用スライド孔6bを有する方)との間に挟まれている。
基端側アイドラプーリー45Aの軸孔45b、基端側プーリー5Aの貫通孔5b、第1連結部材6の軸受用スライド孔6bには、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の基端側は、他方の第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
先端側回動体44の第2板状部44gと第3板状部44hとの間には、板状部8の先端部が挿入されている。
第3板状部44hの第1側面44dには、先端側アイドラプーリー45Cと先端側プーリー45Bとが、この順に配置され、第1連結部材6の先端側(軸受用円孔6aを有する方)との間に挟まれている。
先端側アイドラプーリー45Cの軸孔45b、先端側プーリー45Bの貫通孔5b、第1連結部材6の軸受用円孔6aには、第2回動軸10Bの軸部10aが挿通されている。一方の第1連結部材6の先端側は、第2回動軸10Bの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
第2板状部44gの第2側面44cには、先端側アイドラプーリー45C、先端側プーリー45Bがこの順に配置され、第1連結部材6の先端側(軸受用円孔6aを有する方)との間に挟まれている。
板状部8の軸受用円孔8a、第2板状部44gの図示略の円孔、先端側アイドラプーリー45Cの軸孔45b、基端側プーリー5Aの貫通孔5b、および第1連結部材6の軸受用スライド孔6bには、第1回動軸10Aの軸部10aが挿通されている。第1連結部材6の基端側は、第1回動軸10Aの抜け止め部10bによって軸方向に抜け止めされている。
このような構成により、第1関節43Aの各第1連結部材6は、各軸受用円孔6aによって、各第2回動軸10Bを軸受用円孔6aの中心回りに回動可能に保持している。
また、各第1連結部材6は各軸受用スライド孔6bによって、各第1回動軸10Aを、各軸受用円孔6aに保持された各第2回動軸10Bと平行に保った状態で、各軸受用スライド孔6bの長手方向に沿ってスライド移動可能に保持している。
さらに、各第1連結部材6は、駆動可能状態において、各第1回動軸10Aの軸部10aが各軸受部6cに当接した際には、各第2回動軸10Bとの軸間距離がP1である第1軸間距離の状態で、各第1回動軸10Aを軸受部6cの中心回りに回動可能に保持することが可能である。
次に、第1関節43Aにおける各ワイヤ部材の配回しについて説明する。
駆動ワイヤ55Aは、図14(a)に示すように、駆動力入力部9のプーリー溝9aと駆動モータ25Aの駆動プーリー25bのプーリー溝25cとに、上記第1の実施形態の駆動ワイヤ15と同様な長円状に巻き回されて、張架されている。このとき駆動ワイヤ55Aには摩擦力が発生しており、駆動ワイヤ55Aは、プーリー溝9a、25cに摩擦力によって係合されている。
このような配回しにより、駆動モータ25Aの駆動プーリー25bが回動すると、第1関節43Aの第2連結部材7が第1回動軸10Aを中心として同方向に回動することになる。
駆動ワイヤ55Bは、図14(a)、(b)に示すように、後述する第2関節43Bにおける第2連結部材37のプーリー溝9aと、駆動モータ25Bの駆動プーリー25bのプーリー溝25cとに張架されている。
このため、駆動ワイヤ55Bは、図15に示すように、第1関節43A内では、長尺部材21の先端面21aに設けられたワイヤ挿通部21bと、先端側回動体44の第1板状部44fのワイヤ挿通部21bとの間に、駆動ワイヤ55Bが2本の駆動ワイヤ部材として挿通されている。
これらの駆動ワイヤ55Bは、いずれも、互いに径方向に対向する基端側アイドラプーリー45Aと先端側アイドラプーリー45Cとの各プーリー溝45cにS字状に係合されている。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、図14(a)に示すように、上記第1の実施形態と同様に基端側端部11b、12bが、ワイヤ固定部14を介してワイヤ固定部14に固定され、先端側端部11a、12aが、後述する第2関節43Bにおける2つの先端側プーリー5Bのワイヤ固定部5dに別々に固定され、各先端側プーリー5Bとワイヤ固定部14との間で張架されている。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、図15に示すように、第1関節43A内では、長尺部材21の先端面21aに設けられたワイヤ挿通部21bと、先端側回動体44の第1板状部44fのワイヤ挿通部21bとの間に挿通されている。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、互いに径方向に対向する基端側プーリー5Aと先端側プーリー45Bとの各プーリー溝45cに別々に、逆S字状に係合されている。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12は、長手軸Oに関してY2方向にずれた位置(図示下方)で、先端面21aのワイヤ挿通部21bから長手軸Oに沿う方向に延出されている。そして、基端側プーリー5A、先端側プーリー45Bの各プーリー溝5cに沿ってY1方向に巻き回され、長手軸Oと交差するように配回される。そして、長手軸Oに関してY1方向にずれた位置で、長手軸Oに沿う方向に巻出されて第1板状部44fのワイヤ挿通部21bに挿通されている。
第2関節43Bは、図14(a)、(b)に示すように、上記第1の実施形態の第1変形例の関節部33の基端側支持体13を、基端側支持体53Bに代えたものである。
基端側支持体53Bは、上記第1実施形態の基端側支持体13を第1関節43Aの先端側回動体44の第1板状部44fの先端面44aに固定したものである。
ただし、基端側支持体53Bの姿勢は、その第1側面13b、第2側面13cが、第1関節43Aの基端側支持体53Aの第1側面13b、第2側面13cと直交する姿勢とされ、第2側面13cはY1方向に、第1側面13bがY2方向に配置されている。
このため、第2関節43Bは、X1方向、X2方向に回動する屈曲関節になっている。
次に、このような構成を有する医療用マニピュレータ41の動作について駆動可能状態と弛緩状態との切り替え動作を中心として説明する。
図16は、本発明の第2の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。
医療用マニピュレータ41は、処置部2を備えるため、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1と同様に駆動可能状態において、処置対象部位に対して遠隔操作による処置を行うことができる。
ただし、医療用マニピュレータ41の関節部43は、第1関節43A、第2関節43Bの回動運動の組合せにより、長手軸Oに関して、Y1、Y2方向の回動と、これと直交するX1、X2方向の回動とを組み合わせた屈曲が可能である。
医療用マニピュレータ41においても、位置調整部23、ストッパ部29を備えるため、図16に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1と同様に、長尺部材21と支持体24とを長手軸Oに沿って相対移動させることができ、長尺部材21を支持体24に、例えば、Δbだけ近づけると弛緩状態を形成することができる。
その際、本実施形態では、長尺部材21とともに移動する第1関節43Aの第1回動軸10Aに支持された駆動力入力部9には、駆動ワイヤ55Aが巻き回されているため、第1回動軸10Aと駆動モータ25Aの駆動軸25aとの軸間距離が短くなって、上記第1の実施形態の駆動ワイヤ15と同様に、駆動ワイヤ55Aが弛緩する。
そして、先端側回動体44をΔbよりも少ない距離だけ、長尺部材21側に移動することで、第1関節43Aの基端側プーリー5Aと先端側プーリー45Bとの間に隙間ΔAを形成する。すなわち、先端側回動体44とともに移動する第1関節43Aの第1回動軸10Aを長尺部材21側にΔb−ΔAだけ移動する。
第2関節43Bの第1回動軸10Aに支持された駆動力入力部9には、駆動ワイヤ55Bが巻き回されているため、第1回動軸10Aと駆動モータ25Bの駆動軸25aとの軸間距離が第1軸間距離P1寄りもΔAだけ長い第2軸間距離P2Aになって、上記第1の実施形態の駆動ワイヤ15と同様に、駆動ワイヤ55Bが弛緩する。
そして、第2関節43Bの先端側回動体4をΔb−ΔAよりも少ない距離だけ、長尺部材21側に移動することで、第2関節43Bの基端側プーリー5Aと先端側プーリー45Bとの間に隙間ΔBを形成する。すなわち、先端側回動体4とともに移動する第2関節43Bの第1回動軸10Aを長尺部材21側にΔb−ΔA−ΔBだけ移動する。これにより、第2関節43Bの第1回動軸10Aと第2回動軸10Bとの間の軸間距離が第1軸間距離P1よりもΔBだけ長い第2軸間距離P2Bになる。
第2関節43Bの第2回動軸10Bに支持された先端側プーリー5Bには、第1ガイド用ワイヤ11の先端側端部11aおよび第2ガイド用ワイヤ12の先端側端部12aが固定され、支持体24との間には、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12が張架されている。このため、第1回動軸10Aと支持体24との間の距離がΔb−ΔA−ΔBだけ短くなって、第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12が弛緩する。
このようにして、医療用マニピュレータ41では、位置調整部23を用いて、第1関節43A、第2関節43Bの駆動ワイヤ部材である駆動ワイヤ55A、55Bと、ガイドワイヤである第1ガイド用ワイヤ11、および第2ガイド用ワイヤ12をすべて弛緩させて、各駆動力入力部9、各基端側プーリー5A、先端側プーリー45B、5B、との係合をすべて解除することができる。
このような弛緩状態では、上記第1の実施形態と同様に、第1関節43A、第2関節43B内に隙間ができて、例えば、ブラシを挿入する洗浄作業が容易となる。また、第1関節43A、第2関節43Bにおいて、各部材の表面に洗浄剤が確実に回り込み、洗浄漏れがなく、迅速かつ確実に洗浄を行うことができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図17(a)は、本発明の第3の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式図である。図17(b)は、図17(a)のおけるH−H断面図である。図18は、本発明の第3の実施形態の医療用マニピュレータの関節部の主要部の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図17(a)、(b)に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータ61は、上記第2の実施形態の医療用マニピュレータ41の関節部43に代えて、屈曲関節である第1関節63A(第1単位関節)と、回動関節であり第2関節63B(第2単位関節)とからなる関節部63を備える。
すなわち、医療用マニピュレータ61は、関節部が2つの単位関節を直列に連結して構成された場合の例になっている。
医療用マニピュレータ61は、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、医療用マニピュレータ61は、関節部63が2軸方向に回動、屈曲可能であり、上記第2の実施形態と同様に位置調整部23によって本体部20の長手軸Oに沿う方向の長さが変更可能になっている。そこで、本実施形態でも上記第2の実施形態と同様に、関節部63の駆動が可能な状態を駆動可能状態、関節部63内の駆動に用いる部材間の係合を解除して駆動不能となる弛緩状態と称する。そして、以下の説明では、駆動可能状態の各部材の位置関係を説明する場合には、特に断らない限り、図17(a)、(b)に示すように、関節部63が長手軸Oに対して回動していない状態に基づいて説明する。
第1関節63Aは、上記第2の実施形態の第1関節43Aの二組の基端側プーリー5A、先端側プーリー45Bのうち、第2ガイド用ワイヤ12が巻き回されていた一組の基端側プーリー5A、先端側プーリー5Bを削除し、第1ガイド用ワイヤ11が巻き回されていた、先端側プーリー45Bを先端側プーリー5Bに代えて、先端側プーリー5Bを備えている。
ただし、この先端側プーリー5Bおよび基端側プーリー5Aの位置は、隣接する先端側アイドラプーリー45Cおよび基端側アイドラプーリー45Aの位置と入れ替えられている。
第1関節63Aにおける、先端側プーリー5Bのワイヤ固定部5dには、上記第1の実施形態と同様にして、第1ガイド用ワイヤ11の先端側端部11aと第2ガイド用ワイヤ12の先端側端部12aとを固定されるとともに、第1ガイド用ワイヤ11と第2ガイド用ワイヤ12とが交差するように、それぞれのプーリー溝5cに巻き回されている。
第1ガイド用ワイヤ11および第2ガイド用ワイヤ12の基端側端部11b、12bは上記第1の実施形態と同様にして、ワイヤ固定部14を介して支持体24に固定されている。
このため、第1関節63Aにおいて、基端側支持体53A、第2連結部材7、先端側回動体44、先端側プーリー5B、および基端側プーリー5Aからなる部分は、上記第1の実施形態の関節部3と同様な構成の屈曲関節を構成している。
駆動可能状態において、第1関節63Aの第1回動軸10Aと駆動モータ25Aの駆動軸25aとの軸間距離はL2である。
各基端側アイドラプーリー45A、先端側アイドラプーリー45Cには、上記第2の実施形態と同様にして、それぞれ駆動ワイヤ55Bが巻き回されて、第1関節63A内に挿通されている。
第2関節63Bは、図18に示すように、先端側回動体44の先端面44aに固定され、第1関節63Aにおける第1回動軸10A、第2回動軸10Bと直交する方向に延びる軸孔73aを有する基端側支持体73と、軸孔73aに回動支持される回動軸70と、先端側に処置部2が連結された先端側回動体64(回転体)とを備える。
先端側回動体64は、処置部2が連結され長手軸Oに直交する方向に延びる先端部65と、先端部65の長手方向の両端部から長手軸Oに沿って、基端側に延びる一対の板状部66、68と、駆動ワイヤ55Bからの駆動力を受けるため、板状部68の板状部66に対向する表面に設けられた駆動力入力部69とを備える。
板状部66には厚さ方向に上記第1の実施形態と同様の軸受用スライド孔6bが貫通して設けられている。板状部66における軸受用スライド孔6bは、その長手方向が長手軸Oと一致されており、先端部65寄りの内周面に軸受部6cが形成されている。
板状部68は、板状部66と同様の形状を有する。このため、板状部66の軸受用スライド孔6bと対向する位置に軸受用スライド孔6bを有しており、それぞれの軸受部6cの中心は、長手方向に直交する軸線と同軸になっている。
駆動力入力部69は、第2連結部材7の駆動力入力部9のプーリー溝9aに、駆動ワイヤ55Bを固定するワイヤ固定部69bを追加したものである。
駆動力入力部69の軸受用U字溝9bは、板状部68の軸受用スライド孔6bを重なる範囲に開口しており、軸受用U字溝9bの軸受部9cは板状部68の軸受部6cと整列している。
このような構成の先端側回動体64は、板状部66の軸受用スライド孔6bおよび駆動力入力部69の軸受用U字溝9bが、それぞれ、基端側支持体73の軸孔73aの開口に対向する状態で、回動軸70が挿入され、回動軸70の両端に設けられた抜け止め部70cによって、軸方向に抜け止めされている。
これにより、先端側回動体64は、基端側支持体73に対して、回動軸70回りに回動可能に連結されている。
図17(a)、(b)に示すように、駆動モータ25Bの駆動プーリー25bに巻き回された駆動ワイヤ55Bは、先端側回動体44の第1板状部44fに貫通して設けられたワイヤ挿通部21bを通して第2関節63B内に導入されている。
この駆動ワイヤ55Bは、駆動力入力部69のプーリー溝9aに巻き回されてワイヤ固定部69bに固定されている。
駆動可能状態において、第2関節63Bの回動軸70は、先端側回動体64の軸受部6c、9c(図18参照)と当接され、この状態で、回動軸70と駆動モータ25Bの駆動軸25aとの軸間距離はL3になっている。このとき、駆動ワイヤ55Bには、駆動力入力部69に駆動力が伝達可能となる張力が発生しており、先端側回動体64の軸受部6c、9cは、駆動ワイヤ55Bによって、回動軸70に押しつけられている。
このような構成の第1関節63A、第2関節63Bによれば、駆動可能状態で、駆動モータ25A、25Bを駆動することにより、第1関節63Aの先端側回動体44を第2の実施形態と同様にして屈曲させ、この屈曲方向と直交する方向に、第2関節63Bを駆動して、先端側回動体64およびこれに固定された処置部2を回動することができる。
また、上記第2の実施形態と同様にして、位置調整部23によって、長尺部材21を支持体24に近づけることにより弛緩状態に切り替えることができる。
すなわち、長尺部材21を支持体24に近づけると、第1関節63Aの第1回動軸10Aと駆動モータ25Aの駆動軸25aとの軸間距離がL2よりも短くなるとともに、回動軸70と駆動モータ25Bの駆動軸25aとの軸間距離がL3よりも短くなって、駆動ワイヤ55A、55Bが弛緩し、駆動力入力部9、69との係合状態が解除される。
その際、先端側回動体4、44の移動量を調整することにより、第1関節43Aにおける第1回動軸10A、第2回動軸10Bの軸間距離を第1軸間距離L1よりも大きくすることで、基端側プーリー5Aと先端側プーリー5Bとの間に隙間を形成するとともに、第1ガイド用ワイヤ11、第2ガイド用ワイヤ12との係合を解除することができる。
これにより、医療用マニピュレータ61の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図19(a)は、本発明の第4の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図である。図19(b)、(c)は、本発明の第4の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。
図19(a)に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータ81は、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1の関節部3に代えて、屈曲関節である関節部83を備える。
医療用マニピュレータ81は、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、医療用マニピュレータ81は、関節部83が屈曲可能であり、上記第1の実施形態と同様に位置調整部23によって本体部20の長手軸Oに沿う方向の長さが変更可能になっている。そこで、本実施形態でも上記第1の実施形態と同様に、関節部83の駆動が可能な状態を駆動可能状態、関節部83内の駆動に用いる部材間の係合を解除して駆動不能となる弛緩状態と称する。そして、以下の説明では、駆動可能状態の各部材の位置関係を説明する場合には、特に断らない限り、図19(a)に示すように、関節部83が長手軸Oに対して回動していない状態に基づいて説明する。
図19(a)に示すように、関節部83は、基端側支持体82、先端側回動体84、および上記第1の実施形態の第1変形例と同様の第2連結部材37を備える。
基端側支持体82は、基端側が長尺部材21の先端面21aに固定され、先端部にピッチ円径がP1のギヤ部82a(第1案内部)が円弧状の範囲に形成されている。
基端側支持体82の側面には、ギヤ部82aのピッチ円と同軸となる位置に、第2連結部材37の軸受用円孔8a、39bと回動可能に嵌合する第1回動軸82bが立設されている。
第1回動軸82bには、その軸心を通り長手軸Oに沿って、後述するガイド用ワイヤ85(ガイドワイヤ)が挿通可能なワイヤ挿通溝82c(ワイヤ挿通部)が形成されている。
ワイヤ挿通溝82cは、第1回動軸82bの軸心よりも基端側ではガイド用ワイヤ85のワイヤ径に略等しい直線状の形状とされ、第1回動軸82bの軸心よりも先端側では溝幅が漸次拡径する扇形状とされている。扇形形状の中心角は、関節部83の屈曲に伴って第2連結部材37が第1回動軸82b回りに回動する回動角の範囲に応じて、ガイド用ワイヤ85が回動の支障にならない大きさに設定される。
先端側回動体84は、先端側に処置部2が連結され、基端部には基端側支持体82と同様のギヤ部84a(第1案内部)が円弧状の範囲に形成されている。
先端側回動体84の側面には、ギヤ部84aのピッチ円と同軸となる位置に、第2連結部材37の軸受用スライド孔8bと回動可能に嵌合する第2回動軸84bが立設されている。
第2回動軸84bには、その軸心を通り長手軸Oに沿って、ガイド用ワイヤ85が挿通可能なワイヤ挿通溝84c(ワイヤ挿通部)が形成されている。
ワイヤ挿通溝84cは、第2回動軸84bの軸心よりも先端側ではガイド用ワイヤ85のワイヤ径に略等しい直線状の形状とされ、第2回動軸84bの軸心よりも基端側では溝幅が漸次拡径する扇形状とされている。
このような基端側支持体82、先端側回動体84は、それぞれ第1回動軸82bが第2連結部材37の軸受用円孔8a、39bに挿通され、第2回動軸84bが第2連結部材37の軸受用スライド孔8b挿通されて、連結されている。図19(a)は模式図のため、図示を省略しているが、第2連結部材37と第1回動軸82b、第2回動軸84bとは、抜け止めされている。
本実施形態では、第2連結部材37の駆動力入力部39には、駆動ワイヤ15が巻き回されている。
ガイド用ワイヤ85は、第2回動軸84bのワイヤ挿通溝84cから延出された一端部がワイヤ固定部14を介して先端側回動体84と固定されている。
ガイド用ワイヤ85の他端部は、特に図示しないが、上記第1の実施形態の第1ガイド用ワイヤ11と同様に、ワイヤ固定部14を介して、支持体24に固定されている。
ガイド用ワイヤ85の長さは、第1回動軸82bと第2回動軸84bとの軸間距離がP1となった際に、張力が発生する長さになっている。
関節部83において、ワイヤ挿通溝82c、84cは、第1回動軸82bおよび第2回動軸84bの軸心間で、ガイド用ワイヤ85を張架することが可能なワイヤ挿通部を構成している。
このような関節部83によれば、図19(b)に示すように、図示略の駆動モータ25を駆動して、図示略の駆動プーリー25bを回動することで、駆動ワイヤ15から駆動力入力部39に駆動力が伝達され、駆動力入力部39が駆動プーリー25bと同方向に回動する。これにより、第2連結部材37が、第1回動軸82bを中心として、例えば、角度θだけ回動される。
このとき、ギヤ部84aは、ギヤ部82aとかみ合って係合しているため、先端側回動体84の第2回動軸84bが軸受用スライド孔8bの軸受部8c内で角度θだけ自転するとともに、第1回動軸82bを中心として、基端側支持体82のギヤ部82aのピッチ円上を回動し、関節部83が屈曲する。
これにより、先端側回動体84に固定された先端側回動体4の向きが、長手軸Oに対して角度2θだけ回動する。
医療用マニピュレータ81を弛緩状態とするには、上記第1の実施形態と同様に、図示略の位置調整部23を用いて、図19(c)に示すように、長尺部材21を図示略の支持体24に近づける。これにより、第1回動軸82bと第2回動軸84bとの間の軸間距離が、第1軸間距離P1よりも大きい第2軸間距離P3となる。
このため、ギヤ部82a、84aの係合が解除されて隙間が形成され、ガイド用ワイヤ85が弛緩する。また、駆動ワイヤ15も弛緩し、駆動力入力部39と駆動ワイヤ15の間にも隙間ができる。
このため、上記第1の実施形態と同様に、医療用マニピュレータ81の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図20(a)は、本発明の第5の実施形態の医療用マニピュレータの構成を示す模式的な正面図である。図20(b)は、本発明の第5の実施形態の医療用マニピュレータの動作説明図である。
図20(a)に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータ91は、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1の関節部3に代えて、回動関節である関節部93を備える。
医療用マニピュレータ91は、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、医療用マニピュレータ91は、関節部93が回動可能であり、上記第1の実施形態と同様に位置調整部23によって本体部20の長手軸Oに沿う方向の長さが変更可能になっている。そこで、本実施形態でも上記第1の実施形態と同様に、関節部93の駆動が可能な状態を駆動可能状態、関節部93内の駆動に用いる部材間の係合を解除して駆動不能となる弛緩状態と称する。そして、以下の説明では、駆動可能状態の各部材の位置関係を説明する場合には、特に断らない限り、図20(a)に示すように、関節部93が長手軸Oに対して回動していない状態に基づいて説明する。
図20(a)に示すように、医療用マニピュレータ91は、関節部93は、基端側支持体92、および先端側回動体94(回転体)を備える。
基端側支持体92は、基端側が長尺部材21の先端面21aに固定され、先端側に長手方向が長手軸Oに沿う長円状の軸受用スライド孔92aを備える。
軸受用スライド孔92aの基端側には、半円状の軸受部92bが形成されている。
軸受部92bの中心と駆動モータ25の駆動軸25aとの軸間距離は、駆動可能状態では、L4(第3軸間距離)である。
先端側回動体94は、先端側に処置部2が連結され、基端部には、駆動ワイヤ15を巻き回すプーリー溝9aを外周に有するプーリー部(固定プーリー)である駆動力入力部94bが固定されている。
駆動力入力部94bの中心部には、プーリー溝9aと同軸となる位置に、基端側支持体92の軸受用スライド孔92aに挿通されて軸受部92bにおいて回動可能に嵌合する回動軸94a(第3の回動軸)が立設されている。
駆動力入力部94bの先端側のプーリー溝9a上には、駆動ワイヤ15を、例えば、かしめなどによって、先端側回動体94と固定するワイヤ固定部94cが設けられている。
駆動ワイヤ15は、駆動可能状態において、駆動力が伝達可能となる張力が発生する長さを有し、駆動力入力部94bと基端側装置部22に設けられた駆動プーリー25b(駆動回動部材)とに長円状に巻き回されている。
駆動ワイヤ15は、ワイヤ固定部94cによって、先端側回動体94と固定されている。
このような医療用マニピュレータ91によれば、駆動モータ25を駆動して、駆動プーリー25bを回動することで、駆動ワイヤ15から駆動力入力部94bに駆動力が伝達され、駆動力入力部94bが駆動プーリー25bと同方向に回動する(図20(a)の矢印参照)。
医療用マニピュレータ91を弛緩状態とするには、図20(b)に示すように、上記第1の実施形態と同様に、位置調整部23を用いて、長尺部材21を支持体24に近づける。これにより、基端側支持体92の軸受部92bの中心と駆動モータ25の駆動軸25aとの間の軸間距離が、軸間距離L4よりも小さいL5(第4軸間距離)となる。
このため、回動軸94aを軸受用スライド孔92aの範囲で適宜ずらすことにより、軸受部92bに対する回動軸94aの係合が解除されるとともに、駆動ワイヤ15が弛緩して、ワイヤ固定部94cを除くプーリー溝9aと駆動ワイヤ15との係合が解除される。
このため、上記第1の実施形態と同様に、医療用マニピュレータ91の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる。
[第2変形例]
次に、本発明の第5の実施形態の変形例(第2変形例)の医療用マニピュレータについて説明する。
図21(a)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第2変形例)の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図である。図21(b)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第2変形例)の医療用マニピュレータの動作説明図である。
図21(a)に主要部を示すように、本変形例の医療用マニピュレータ91Aは、上記第5の実施形態の医療用マニピュレータ91の駆動ワイヤ15、関節部93に代えて、駆動ワイヤ15A(駆動ワイヤ部材)、関節部93Aを備える。
医療用マニピュレータ91Aは、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
駆動ワイヤ15Aは、中間部が図示略の駆動モータ25の駆動プーリー25bに巻き回された1本のワイヤからなり、両端部にワイヤ端部15aを有している。
関節部93Aは、上記第5の実施形態の先端側回動体94のプーリー溝9aを削除し、駆動力入力部94bに代えて、駆動ワイヤ15Aのワイヤ端部15aを固定する駆動力入力部94dを外周部に有する先端側回動体94A(回転体)を備える。
駆動力入力部94dにおけるワイヤ端部15aの固定方法は特に限定されず、例えば、かしめや溶接などの固定方法を採用することができる。
駆動力入力部94dは、回動軸94aを間に挟む先端側回動体94Aの外周部に設けられており、駆動ワイヤ15Aが基端側に引っ張られると、駆動力入力部94dに作用する力によって、回動軸94a回りのモーメントが発生し、先端側回動体94Aに駆動力が伝達される。
このため、このような医療用マニピュレータ91Aによれば、駆動可能状態において、上記第5の実施形態と同様にして、先端側回動体94Aを回動軸94a回りに回動させることができる。
また、上記第5の実施形態と同様にして、医療用マニピュレータ91Aを弛緩状態にすることができる。ただし、本変形例では、駆動ワイヤ15Aは、先端側回動体94Aに巻き回されていないため、図21(b)に示すように、駆動ワイヤ15Aは、主として長尺部材21の内部で弛緩する点が異なる。
[第3変形例]
次に、本発明の第5の実施形態の変形例(第3変形例)の医療用マニピュレータについて説明する。
図22(a)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第3変形例)の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図である。図22(b)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第3変形例)の医療用マニピュレータの動作説明図である。
図22(a)に主要部を示すように、本変形例の医療用マニピュレータ91Bは、上記第5の実施形態の医療用マニピュレータ91の関節部93に代えて、関節部93Bを備える。
医療用マニピュレータ91Bは、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
関節部93Bは、上記第5の実施形態の先端側回動体94のワイヤ固定部94cに代えて、ワイヤ挿通部94eを備える。
ワイヤ挿通部94eは、駆動ワイヤ15を挿通自在な管状部材であり、弛緩状態において、駆動ワイヤ15が、プーリー溝9aから離脱しないようにするものである。
本変形例によれば、駆動可能状態において、上記第5の実施形態と同様にして、先端側回動体94を回動することができる。
ただし、本変形例では、駆動ワイヤ15は、駆動力入力部94bに固定されてはいないため、駆動力入力部94bには、駆動ワイヤ15の摩擦力のみによって、駆動力が伝達される場合の例になっている。
また、本変形例によれば、図22(b)に示すように、上記第5の実施形態と同様にして、医療用マニピュレータ91Bを弛緩状態にすることができる。
ただし、本変形例では、駆動ワイヤ15は、駆動力入力部94bに固定されてはいないため、再び駆動可能状態に戻す場合、処置部2の方向は、弛緩状態とした前の駆動可能状態と同じ方向にならない場合がある。この場合、必要であれば、駆動可能状態において、先端側回動体94の回動を行って、位置調整を行えばよい。
[第4変形例]
次に、本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)の医療用マニピュレータについて説明する。
図23(a)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)の実施形態の医療用マニピュレータの主要部の構成を示す模式的な正面図である。図23(b)は、本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)の医療用マニピュレータの動作説明図である。
図23(a)に主要部を示すように、本変形例の医療用マニピュレータ91Cは、上記第5の実施形態の医療用マニピュレータ91の駆動ワイヤ15、関節部93に代えて、上記第3変形例と同様の駆動ワイヤ15A(駆動力伝達部材)、関節部93Cを備える。
医療用マニピュレータ91Cは、図1に示すように、上記第1の実施形態の医療用マニピュレータ1に代えて、医療システム100の一部として用いることができる。
以下、上記第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
関節部93Cは、上記第5の実施形態の先端側回動体94のワイヤ固定部94cに代えて、上記第4変形例と同様のワイヤ挿通部94eを備える。
本変形例では、駆動ワイヤ15Aの各ワイヤ端部15aには、互いに反対方向からワイヤ挿通部94eに挿通されている。各ワイヤ端部15aには、ワイヤ挿通部94eの開口に係止して抜け止めが可能な大きさの大径部15bがそれぞれ形成されている。
このため、各ワイヤ端部15aは、図23(a)に示すように、駆動可能状態では、駆動ワイヤ15Aの張力によって、各大径部15bがワイヤ挿通部94eの開口に係止された状態で、駆動力入力部94bに対する位置が固定される。
これに対して、図23(b)に示すように、上記第5の実施形態と同様にして弛緩状態としたときに、弛緩量によっては、ワイヤ挿通部94eの外側に延出することが可能になっている。したがって、弛緩状態では、ワイヤ端部15a、大径部15bと、ワイヤ挿通部94eとの係合も併せて解除することができるため、さらに洗浄が行いやすくなっている。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態の医療用マニピュレータについて説明する。
図24は、本発明の第6の実施形態の医療用マニピュレータを含む医療システムの模式的な構成図である。図25は、本発明の第6の実施形態の医療用マニピュレータの主要部を示す模式的な斜視図である。
図24に示すように、本実施形態の医療用マニピュレータを含む手術支援ロボット200は、マスタスレーブ方式の医療システムであって、操作者OPにより操作される操作部250と、患者Pの体内に挿入される軟性の挿入部210を有する医療用マニピュレータ204と、この医療用マニピュレータ204を動作させるための駆動力を発生させる駆動部205と、この駆動部205を制御する制御装置270と、医療用マニピュレータ204により取得された画像を表示する表示部260とを備えている。
挿入部210は、いわゆる軟性のものであり、図25に示すように、先端硬質部211と、先端硬質部211よりも基端側に設けられ湾曲操作可能な湾曲部212と、湾曲部212よりも基端側に設けられ可撓性を有する可撓管部213とを有している。
先端硬質部211の先端面211aには、前方の画像を撮像するための撮影用窓211bが設けられている。撮影用窓211bの内部には、図示略の撮像光学系および撮像素子が配置されている。このことによって、医療用マニピュレータ204は内視鏡のように画像を取得することができる。
また、先端硬質部211の先端面211aには、処置アーム部230の基端部が取付けられている。処置アーム部230は多関節構造を有していて、処置アーム部230の長手方向に並べられた第1関節232A(第1単位関節)、第2関節232B(第2単位関節)からなる関節部232を備える。
関節232A、232Bとしては、例えば、上記第2の実施形態の第1関節43A、第2関節43Bと同様の構成を採用することができる。
関節部232の最も先端側には、一対の把持片237aを有するエンドエフェクタである把持部237が設けられている。各把持片237aの基端部には不図示の操作ワイヤの先端部が接続されている。操作ワイヤは、関節部232の内部を挿通し、処置アーム部230の基端側に延びて、操作部250内の図示略の駆動部に連結されている。
図24に示すように、操作部250は、操作台251に取り付けられた一対の操作アーム252、253と、床面F上に配置されたフットスイッチ254とを有している。操作アーム252、253は多関節構造を有している。操作アーム252は挿入部210の先端の湾曲部を湾曲操作するためのものであり、操作アーム253は医療用マニピュレータ204の先端に設けられた処置アーム部230を湾曲操作するためのものである。
挿入部210の基端部には、駆動部205に設けられた筒状部24aと同様な図示略の筒状部との間に、上記第2の実施形態と同様の位置調整部23が設けられている。
このような構成により、手術支援ロボット200における駆動部205、位置調整部23、挿入部210、および処置アーム部230は、本実施形態の医療用マニピュレータ204を構成している。ここで、挿入部210は長尺部を構成している。位置調整部23と挿入部210に設けられた図示略の雄ねじ部とは本実施形態のワイヤ弛緩機構を構成している。
本実施形態において長尺部である挿入部210は軟性であるため、内部を挿通される図示略の駆動ワイヤ55A、55B、第1ガイド用ワイヤ11、第2ガイド用ワイヤ12は、挿入部210内では、ワイヤシースに挿入されており、湾曲してもワイヤ長さが変化しないようになっている。
このように本実施形態の医療用マニピュレータ204は、長尺部が軟性である点を除いて、上記第2の実施形態の医療用マニピュレータ41と同様に動作することができる。
このため、関節部232を有する医療用マニピュレータ204の洗浄をより効率的かつより容易に行うことができる。
なお、上記各実施形態および各変形例の説明では、位置調整部によって本体部の長さ自体が変更される場合の例で説明したが、駆動ワイヤ部材およびガイドワイヤに張力を与えるための固定位置や係合位置を変更して、駆動ワイヤ部材およびガイドワイヤを弛緩できるように、ワイヤ弛緩機構のみが伸縮すればよく、本体部の長さ自体は変えなくてもよい。例えば、駆動部はワイヤ弛緩機構の操作によって移動しない本体外装を構成する筐体等の部材に内包されていてもよい。
また、回動軸等がスライドする部分に長孔を採用した場合の例に説明したが、スライドする部分は、例えば、回動軸が当接して回動する側と反対側の端部が開口しているようなU字状のスリットでもよい。この場合、スリットの長さは、回動軸等が弛緩状態を形成する際に外れない長さとする。
本発明の医療用マニピュレータのエンドエフェクタは、関節部の先端部に設けられた効果器であれば特に限定されず、処置部や把持部などの他、撮像素子、センサ等の適宜の効果器を採用することができる。
上記各実施形態および各変形例の説明では、駆動可能状態におけるワイヤ弛緩機構30の伸縮長さが一定であり、その長さをストッパ部29によって維持する場合の例で説明したが、駆動可能状態におけるワイヤ弛緩機構30の伸張量を変更できる構成も可能である。
この場合、例えば、駆動ワイヤ部材やガイドワイヤが、繰り返し使用されることにより伸びた場合に、洗浄後などにワイヤ弛緩機構30を駆動可能状態の長さに戻す際、ワイヤ弛緩機構30の伸張量を、洗浄前より少し伸ばすことが可能である。
これにより、駆動可能状態の駆動ワイヤ部材やガイドワイヤを張り直して、それぞれの張力を初期状態に戻すことができる。
また、上記に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
1、31、41、61、81、91、91A、91B、91C、204 医療用マニピュレータ
2 処置部(エンドエフェクタ)
3、33、43、63、73、83、93、93A、93B、93C、232 関節部
4、44、64、84、94、94A 先端側回動体(回転体)
5A 基端側プーリー(第1案内部、第1のプーリー)
5B、45B 先端側プーリー(第2案内部、第2のプーリー)
5c、9a、25c、45c プーリー溝
5d、14、69b、94c ワイヤ固定部
6 第1連結部材(連結部材)
6a、8a、39b 軸受用円孔
6b、8b、92a 軸受用スライド孔
6c、8c、9c、92b 軸受部
7、37 第2連結部材(回転体、連結部材)
9、39、69、94b、94d 駆動力入力部
10A、82b 第1回動軸
10b、84c、70c 抜け止め部
10B、84b 第2回動軸
11 第1ガイド用ワイヤ(ガイドワイヤ)
11a、12a 先端側端部
11b、12b 基端側端部
12 第2ガイド用ワイヤ(ガイドワイヤ)
13、13A、53、53A、53B、82、92 基端側支持体
15、15A、55A、55B 駆動ワイヤ(駆動ワイヤ部材)
20 本体部
21 長尺部材(長尺部)
21c 雄ねじ部
21f 基端面
22 基端側装置部(駆動部)
23 位置調整部
23e 先端部内周面
24 支持体
25、25A、25B 駆動モータ
25a 駆動軸(第4回動軸)
25b 駆動プーリー(駆動用回動部材)
26 ストッパ部材
26a 押圧部(操作部)
27 コイルばね(弾性部材)
29 ストッパ部
30 ワイヤ弛緩機構
43A、63A、232A 第1関節(単位関節、第1単位関節)
43B、63B、232B 第2関節(単位関節、第1単位関節)
45A 基端側アイドラプーリー(第1のプーリー)
45C 先端側アイドラプーリー(第2のプーリー)
70 回動軸
94a 回動軸(第3回動軸)
82a ギヤ部(第1案内部、ギヤ部材)
84a ギヤ部(第2案内部、ギヤ部材)
82c、84c ワイヤ挿通溝(ワイヤ挿通部)
85 ガイド用ワイヤ(ガイドワイヤ)
100 医療システム
201 手術支援ロボット
205 駆動部
210 挿入部(長尺部)
230 処置アーム部
237 把持部(エンドエフェクタ)
O 長手軸
P1 第1軸間距離

Claims (14)

  1. エンドエフェクタと、
    該エンドエフェクタの端部に配置され、回転体が回動することによって動作する関節部と、
    長手軸を有し、前記関節部において前記エンドエフェクタと反対側の端部に接続する長尺部と、
    該長尺部の基端側に設けられ、前記回転体を動作させるための駆動力を供給する駆動部と、
    少なくとも前記関節部の前記回転体に接続され、前記長尺部との間に張架された駆動ワイヤ部材と、
    該駆動ワイヤ部材の経路長を変更することにより前記駆動ワイヤ部材を弛緩させるワイヤ弛緩機構と、
    を備える、医療用マニピュレータ。
  2. 前記ワイヤ弛緩機構は、
    前記長尺部の基端部に配置され、前記駆動ワイヤ部材を内包しており、前記長尺部の長手方向に伸縮することによって、前記回転体と前記駆動部との間における前記駆動ワイヤ部材の経路長を変更する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の医療用マニピュレータ。
  3. 前記ワイヤ弛緩機構は、
    前記長尺部の基端側に設けられた雄ねじ部と、
    前記長尺部と前記駆動部の間に配置され、前記雄ねじ部に対応する雌ねじ部を有する位置調整部と、
    を有しており、
    前記位置調整部を捻ることにより前記長尺部の長手方向に伸縮する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の医療用マニピュレータ。
  4. 前記ワイヤ弛緩機構は、
    前記駆動ワイヤ部材の経路長を変更しないように固定するためのストッパ部をさらに有する
    ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  5. 前記ストッパ部は、
    前記ワイヤ弛緩機構が伸縮する際に、前記長尺部の前記駆動部に対する相対的な移動経路上に進退可能に配置されたストッパ部材と、
    該ストッパ部材を前記移動経路に進出する方向に付勢する弾性部材と、
    該弾性部材の付勢を解除する操作部と、
    を備える
    ことを特徴とする、請求項4に記載の医療用マニピュレータ。
  6. 前記駆動ワイヤ部材は、
    前記回転体の周囲に巻き掛けられて接続しており、前記ワイヤ弛緩機構により前記駆動ワイヤ部材が緩んだ際には、前記回転体の周囲と前記駆動ワイヤ部材の間の距離が広がる
    ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  7. 前記関節部は、
    前記長尺部の前記長手軸に沿う方向の一端に連結された1以上の単位関節を有し、
    該単位関節は、
    前記長尺部寄りに配置され、前記一端における前記長手軸と交差する方向に延びる第1回動軸と、該第1回動軸を回転軸とした第1案内部と、を有する基端側支持体と、
    該基端側支持体に対向して前記エンドエフェクタ寄りに配置され、前記第1回動軸と平行に延びる第2回動軸と、該第2回動軸を回転軸とした第2案内部と、を有する先端側回動体と、
    前記第1回動軸と前記第2回動軸とをそれぞれ保持し、前記第1回動軸を中心として回動可能に設けられた前記回転体である連結部材と、
    を備え、
    前記関節部の前記基端側支持体と前記回転体である前記先端側回動体とに接続または係合されて、端部が前記長尺部に固定され、前記関節部の動作時に、前記先端側回動体の回動を案内するガイドワイヤと、
    をさらに備える
    ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  8. 前記第1案内部は、
    前記第1回動軸を中心とする転動の案内をする第1のプーリーを有し、
    前記第2案内部は、
    前記第1案内部と当接または係合して前記第1案内部の軌道に沿って転動の案内をする第2のプーリーを有する
    ことを特徴とする、請求項7に記載の医療用マニピュレータ。
  9. 前記連結部材は、
    前記第1回動軸と前記第2回動軸との間の軸間距離を、前記第1案内部と前記第2案内部とが当接または係合する第1軸間距離の状態と、該第1軸間距離よりも軸間距離が長い第2軸間距離の状態とに変更可能とされ、
    前記ガイドワイヤは、
    前記第1軸間距離の状態において張力が発生し前記第2軸間距離の状態において弛緩するように、前記先端側回動体および前記基端側支持体に掛け回されており、
    前記ワイヤ弛緩機構は、
    前記長尺部および前記駆動部の相対位置を調節することにより、前記第2軸間距離の状態を形成して、少なくとも前記ガイドワイヤを弛緩させる
    ことを特徴とする、請求項7または8に記載の医療用マニピュレータ。
  10. 前記ガイドワイヤは、
    前記駆動部および前記先端側回動体の少なくとも一方から離脱できないように接続または係合されている
    ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  11. 前記ガイドワイヤは、
    前記駆動部および前記先端側回動体の少なくとも一方の一定位置で接続または係合されている
    ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  12. 前記第1案内部および前記第2案内部は、
    一組のギヤ部材からなり、
    前記第1回動軸および前記第2回動軸は、それぞれの軸心間で、前記ガイドワイヤを張架することが可能なワイヤ挿通部をそれぞれ備え、
    前記ガイドワイヤは、
    前記ワイヤ挿通部のそれぞれに挿通されて前記駆動部および前記先端側回動体に接続または係合されている
    ことを特徴とする、請求項7から11のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  13. 前記連結部材は、
    前記第1回動軸と同軸となる円周上に、前記駆動ワイヤ部材を掛け回すプーリー溝を有する固定プーリーを備え、
    前記駆動部は、
    前記駆動ワイヤ部材を係合して、前記長手軸に沿う方向に進退させる駆動プーリーを備える
    ことを特徴とする、請求項7から12のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
  14. 前記単位関節は、
    前記長尺部の前記一端に連結された第1単位関節と、
    該第1単位関節の前記先端側回動体と、前記エンドエフェクタとを連結する第2単位関節と、
    を備え、
    前記第1単位関節と前記第2単位関節とは、
    前記第2単位関節の前記第1回動軸および前記第2回動軸の軸線方向が、前記第1単位関節の前記第1回動軸および前記第2回動軸の軸線方向とねじれの位置で直交する位置関係に連結されている
    ことを特徴とする、請求項7から13のいずれか1項に記載の医療用マニピュレータ。
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