JP2015041530A - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅の溶出を抑制して、高容量で高性能な非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】本発明の非水電解液二次電池の製造方法は、銅箔上に負極合材層を形成することにより、該負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程αと、該負極の該銅露出部を酸化する工程βと、該負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程γと、該電池外装体に非水電解液を注液する工程δと、該電極体に該非水電解液を浸透させる工程εと、該電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζと、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液二次電池の製造方法に関する。
現在、リチウムイオン電池をはじめとする非水電解液二次電池が広く普及している。非水電解液二次電池は、正負の電極間でイオンを輸送する役割を担う電解液に、水を用いないため、水の電解電圧を超える高い電池電圧を有することができる。
このような非水電解液二次電池では、電池内における非水電解液の保持量や分布が電池性能に及ぼす影響が大きい。従来、電池内に非水電解液を効率的に浸透させるため、様々な試みがなされている(たとえば、特開2007−335181号公報(特許文献1)参照。)。
一般に、非水電解液二次電池の負極には、集電体として銅(Cu)箔が用いられている。そして、非水電解液二次電池の製造工程では、正極、負極およびセパレータを含む電極体が電池外装体に挿入された後、電池外装体内に非水電解液が注液される。
ここで、電池性能の観点からは、注液された非水電解液が電極体内部に十分浸透した後、電池の充電を行なうことが望ましい。非水電解液の浸透が不十分な状態で、電池の充電を行なうと、局所的に過電圧が生じ、非水電解液が望まない分解反応を起こしたり、活物質が劣化したりする等の不具合が生じるからである。
しかしながら、注液後の電池は無充電状態であり、負極電位が銅の溶出電位を超えているため、非水電解液を浸透させるための時間(浸透時間)を長く設けると、集電体である銅箔から銅が非水電解液中へと溶出してしまう。銅の溶出が起こると、集電機能が低下するのみならず、溶出した銅が再び析出することによって各種の性能低下がもたらされる。そのため、注液後の電池に対しては、早い段階で、所定量の充電を行なって、負極の電位を銅の溶出電位未満とすることが求められる。すなわち、銅の溶出を防止するためには、非水電解液の浸透時間を制限せざるを得ない。
他方、非水電解液二次電池には、さらなる高容量化が求められており、正極、負極および電極体の高密度化が進んでいる。これに伴い、非水電解液の浸透経路はさらに圧迫され、非水電解液は、ますます浸透し難くなる傾向にある。すなわち、高容量で高性能な非水電解液二次電池を得るためには、それに見合う浸透時間が必要である。
以上のような事情により、従来技術においては、銅の溶出を防止しながら、高容量で高性能な非水電解液二次電池を製造することは極めて困難であった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、銅の溶出を抑制して、高容量で高性能な非水電解液二次電池を提供することにある。
(1)本発明の非水電解液二次電池の製造方法は、銅箔上に負極合材層を形成することにより、該負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程αと、該負極の該銅露出部を酸化する工程βと、該負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程γと、該電池外装体に非水電解液を注液する工程δと、該電極体に該非水電解液を浸透させる工程εと、該電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζと、を備える。
上記の製造方法によると、工程βを経ることにより、銅箔の露出面(銅露出部)が酸化されて、露出面上に酸化皮膜が形成される。これにより、十分な浸透時間を設けても、銅の溶出を抑制することができる。また、通常、銅箔が酸化されると電気抵抗が増加するが、上記の製造方法では、工程ζにおいて、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とすることにより、酸化皮膜を還元して、銅に戻すため電気抵抗の増加を抑制することができる。したがって、銅の溶出を抑制しながら、十分な浸透時間を設けて、高容量で高性能な非水電解液二次電池を製造することができる。
なお、ここで「銅露出部」とは、銅箔上に負極合材層が形成されていない部位(すなわち、間欠塗工部)のみを示すものではなく、負極合材層が形成されている部位をも示している。なぜなら、負極合材層は、多孔質であるため、銅箔のうち負極合材層によって覆われた部位についても、実質的に露出しているに等しいからである。
(2)上記非水電解液二次電池の製造方法において、上記非水電解液は、電気化学反応によって還元性ガスを発生する成分を含有し、上記工程ζは、電極体に電流を流すことにより、当該成分に由来する還元性ガスを発生させる工程を含むことが好ましい。
このような態様によれば、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とするために、電池外装体の内部を還元性ガスに置換する操作を行なう必要がない。すなわち、従来に比べて、工程負担を増加させずに、本発明の製造方法を実行することができる。
(3)上記の電気化学反応によって還元性ガスを発生する成分は、リチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート(以下「LiFOP」と略記することもある)であることが好ましい。
LiFOPは、充電時に還元されて、還元性ガスである一酸化炭素(CO)を発生する。COは還元作用が強く、酸化皮膜を還元して、銅に戻すことができる。また、LiFOPは、初回の充電時に負極表面上に良質なSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成するため、電池性能を向上させることもできる。
本発明の非水電解液二次電池の製造方法によれば、銅の溶出を抑制して、高容量で高性能な非水電解液二次電池を提供することができる。
以下、本発明に係わる実施形態について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<非水電解液二次電池の製造方法>
本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意研究を行なったところ、銅箔を酸化して酸化皮膜を形成することにより、銅の溶出が抑制できるとの知見を得、さらには、当該酸化皮膜を還元することにより、酸化皮膜による電気抵抗増加を解消する方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意研究を行なったところ、銅箔を酸化して酸化皮膜を形成することにより、銅の溶出が抑制できるとの知見を得、さらには、当該酸化皮膜を還元することにより、酸化皮膜による電気抵抗増加を解消する方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本実施形態の非水電解液二次電池の製造方法は、銅箔上に負極合材層を形成することにより、該負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程αと、該負極の該銅露出部を酸化する工程βと、該負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程γと、該電池外装体に非水電解液を注液する工程δと、該電極体に該非水電解液を浸透させる工程εと、該電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζと、を備える。
このような製造方法によって、製造される非水電解液二次電池とは、典型的には次のような構成を有する。すなわち、リチウムイオンを貯蔵および放出可能な正極活物質を含む正極合材層を集電体上に形成してなる正極と、リチウムイオンを貯蔵および放出可能な負極活物質を含む負極合材層を集電体である銅箔上に形成してなる負極とを、ポリオレフィン微多孔膜等からなるセパレータを介して対向するように巻き取ることにより構成される巻回式の電極体を有し、当該電極体と、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液とが電池外装体に収納されてなる非水電解液二次電池である。なお、電極体は、正極とセパレータと負極とを積層することにより構成されるスタック式の電極体であってもよい。
すなわち、本実施形態の製造方法によって、製造される非水電解液二次電池には、負極集電体に銅箔を用いることを除いては、従来公知のあらゆる材料および構成を採用することが可能である。
以下、本実施形態の製造方法の各工程について説明する。図3は、本実施形態の非水電解液二次電池の製造方法の概略を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態の非水電解液二次電池の製造方法は、工程α、工程β、工程γ、工程δ、工程εおよび工程ζを備えており、好ましくは、工程α〜工程ζをこの順序で備える。なお、工程βは、工程αよりも先に実行することもできる。
<工程α>
(負極)
工程αは、銅箔上に負極合材層を形成することにより、該負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程である。銅箔上に、負極合材層を形成する方法は特に限定されない。たとえば、次のような方法を例示することができる。すなわち、負極活物質と増粘材と結着材と溶媒(たとえば、水)とを混練することにより得た負極合材スラリーを、銅箔上に塗工、乾燥して負極合材層を該銅箔上に形成することができる。このとき、後に負極集電タブを溶接するための銅露出部が形成されるように、銅箔上に負極合材スラリーを間欠塗工してもよい。ただし、前述のように、銅露出部とは、このような間欠塗工部のみを示すものではない。
(負極)
工程αは、銅箔上に負極合材層を形成することにより、該負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程である。銅箔上に、負極合材層を形成する方法は特に限定されない。たとえば、次のような方法を例示することができる。すなわち、負極活物質と増粘材と結着材と溶媒(たとえば、水)とを混練することにより得た負極合材スラリーを、銅箔上に塗工、乾燥して負極合材層を該銅箔上に形成することができる。このとき、後に負極集電タブを溶接するための銅露出部が形成されるように、銅箔上に負極合材スラリーを間欠塗工してもよい。ただし、前述のように、銅露出部とは、このような間欠塗工部のみを示すものではない。
なお、負極合材の脱落を防止するため、負極合材層は所定の厚さに圧縮することが好ましい。たとえば、負極合材層の厚さを、負極合材層の密度(負極合材層の質量÷負極合材層の体積)が、0.5〜2.5g/cm3程度となるように圧縮することができる。
負極活物質としては、たとえば、黒鉛、コークス等の炭素材料、珪素(Si)、酸化スズ(SnO2)等を用いることができる。負極合材中における負極活物質の含有率は、たとえば90〜99質量%程度である。また、結着材としては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR:Styrene-Butadiene Rubber)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF:Polyvinylidene Fluoride)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)等を用いることができる。また、溶媒として水を用いる場合、塗工性を高めるため、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC:Carboxymethylcellulose)等の増粘材を用いることが好ましい。
負極集電体である銅箔には、電解銅箔、圧延銅箔のいずれを用いてもよい。また、純銅箔に代えて、不純物元素を含む銅合金箔を用いることもできる。銅を含む金属箔を負極集電体として用いる限り、本発明の効果は示されるからである。すなわち、本実施形態の銅箔には、銅合金箔も含まれる。なお、強度と導電性の観点から、銅箔の厚さは5〜30μm程度であることが好ましい。
<工程β>
工程βは、負極の銅露出部を酸化する工程である。すなわち、工程βは銅箔の表面を酸化する工程である。銅箔の表面を酸化する方法としては、たとえば、銅箔単体を熱処理する方法、銅箔単体を酸等の薬品によって処理する方法等を挙げることができる(この場合は、工程βが工程αよりも先に実行される。)。また、銅箔上に負極合材スラリーを塗工、乾燥する際に、併せて銅箔を熱処理することもできる。さらには、負極合材層が形成された後の負極を熱処理することもできる。これらのうち、熱処理によって酸化する方法が、工程負担が少なく好適である。
工程βは、負極の銅露出部を酸化する工程である。すなわち、工程βは銅箔の表面を酸化する工程である。銅箔の表面を酸化する方法としては、たとえば、銅箔単体を熱処理する方法、銅箔単体を酸等の薬品によって処理する方法等を挙げることができる(この場合は、工程βが工程αよりも先に実行される。)。また、銅箔上に負極合材スラリーを塗工、乾燥する際に、併せて銅箔を熱処理することもできる。さらには、負極合材層が形成された後の負極を熱処理することもできる。これらのうち、熱処理によって酸化する方法が、工程負担が少なく好適である。
ここで、たとえば、負極合材層が形成された後の負極を熱処理する場合、熱処理温度は100℃以上200℃以下とすることが好ましい。熱処理温度が200℃を超えると、結着材が変質して結着力が低下する場合があり、100℃未満であると酸化皮膜の形成が不十分となる場合があるからである。なお、同様の理由から、熱処理時間は30分以上24時間以下であることが好ましい。
本実施形態では、銅箔の表面を酸化することにより、銅箔の表面に酸化皮膜を形成することができる。これにより銅箔内部の銅が非水電解液中に溶出することを抑制することができる。したがって、電池の仕様に合わせて、非水電解液の浸透時間を設定することができる。とりわけ、正極、負極および電極体が高密度に設計された高容量電池に対して、本実施形態の製造方法を適用することにより、高容量で高性能な電池を得ることができる。
<工程γ>
工程γは、負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程である。負極を含む電極体は、たとえば、いずれもシート状である正極および負極に集電タブを溶接し、正極と負極とがシート状であるセパレータを介して対向するように巻き取ることにより、作製することができる。電極体は、電池外装体に挿入後、正極集電タブおよび負極集電タブを介して電池外装体と電気的に接続される。
工程γは、負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程である。負極を含む電極体は、たとえば、いずれもシート状である正極および負極に集電タブを溶接し、正極と負極とがシート状であるセパレータを介して対向するように巻き取ることにより、作製することができる。電極体は、電池外装体に挿入後、正極集電タブおよび負極集電タブを介して電池外装体と電気的に接続される。
(正極)
正極は、たとえば、正極活物質と導電助材と結着材と有機溶媒(たとえば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone))とを混練することにより得た正極合材スラリーを、集電体上に塗工、乾燥して正極合材層を該集電体上に形成した後、該正極合材層を所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
正極は、たとえば、正極活物質と導電助材と結着材と有機溶媒(たとえば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone))とを混練することにより得た正極合材スラリーを、集電体上に塗工、乾燥して正極合材層を該集電体上に形成した後、該正極合材層を所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。
正極活物質としては、たとえば、LiCoO2、LiNiO2、LiNiaCobO2(a+b=1、0<a<1、0<b<1)、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiaCobMncO2(a+b+c=1、0<a<1、0<b<1、0<c<1)、LiFePO4等のリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。正極合材中における正極活物質の含有率は、たとえば90〜99質量%程度である。
また、導電助材としては、たとえば、アセチレンブラック(AB:Acetylene Black)等の炭素材料を用いることができ、結着材としては、たとえばPVdF等を用いることができる。なお、正極集電体としては、たとえば、アルミニウム(Al)箔やアルミニウム合金箔を用いることができる。また、正極合材層の密度(正極合材層の質量÷正極合材層の体積)は、たとえば2.0〜4.0g/cm3程度である。
(セパレータ)
セパレータとしては、ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜が好ましい。ここで、ポリオレフィン系材料としては、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに、複数の微多孔膜を積層して用いてもよい。セパレータの厚さは、たとえば、5〜40μm程度とすることができる。
セパレータとしては、ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜が好ましい。ここで、ポリオレフィン系材料としては、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに、複数の微多孔膜を積層して用いてもよい。セパレータの厚さは、たとえば、5〜40μm程度とすることができる。
(電池外装体)
電池外装体の形状としては、たとえば円筒形、角形等があり、電池外装体は、通常、外装缶とキャップとからなる。キャップには、正極または負極の端子部が備えられており、該端子部は、たとえば樹脂材料によって、対極と絶縁されている。電池外装体の材質は、耐電圧や強度を考慮して、各種金属または合金材料等から適宜選択すればよい。たとえば、アルミニウムおよびその合金、鉄(Fe)、ステンレス材等を用いることができる。
電池外装体の形状としては、たとえば円筒形、角形等があり、電池外装体は、通常、外装缶とキャップとからなる。キャップには、正極または負極の端子部が備えられており、該端子部は、たとえば樹脂材料によって、対極と絶縁されている。電池外装体の材質は、耐電圧や強度を考慮して、各種金属または合金材料等から適宜選択すればよい。たとえば、アルミニウムおよびその合金、鉄(Fe)、ステンレス材等を用いることができる。
<工程δ>
工程δは、電極体が挿入された電池外装体に、非水電解液を注液する工程である。非水電解液を注液する方法は、特に限定されないが、水分混入を避けるため、電極体および電池外装体は、注液前に十分乾燥しておくことが好ましい。そして、工程δは、不活性ガス雰囲気(たとえば、アルゴン(Ar))下で実行されることが好ましい。
工程δは、電極体が挿入された電池外装体に、非水電解液を注液する工程である。非水電解液を注液する方法は、特に限定されないが、水分混入を避けるため、電極体および電池外装体は、注液前に十分乾燥しておくことが好ましい。そして、工程δは、不活性ガス雰囲気(たとえば、アルゴン(Ar))下で実行されることが好ましい。
(非水電解液)
非水電解液には、有機溶媒に溶質(リチウム塩)を溶解したものを用いることができる。ここで、有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC:Ethylene Carbonate)、プロピレンカーボネート(PC:Propylene Carbonate)、ブチレンカーボネート(BC:Buthylene Carbonate)、γ−ブチロラクトン(GBL:Gamma-Butyrolactone)およびビニレンカーボネート(VC:Vinylene Carbonate)等の環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC:Dimethyl Carbonate)、エチルメチルカーボネート(EMC:Ethyl Methyl Carbonate)およびジエチルカーボネート(DEC:Diethyl Carbonate)等の鎖状カーボネート類等を用いることができる。これらの有機溶媒は電気伝導率や電気化学的な安定性の観点から、2種以上を適宜併用して用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの体積比は、1:9〜5:5程度が好ましい。具体例を挙げれば、たとえば、EC、DMCおよびEMCの3種を混合して用いることができる。
非水電解液には、有機溶媒に溶質(リチウム塩)を溶解したものを用いることができる。ここで、有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC:Ethylene Carbonate)、プロピレンカーボネート(PC:Propylene Carbonate)、ブチレンカーボネート(BC:Buthylene Carbonate)、γ−ブチロラクトン(GBL:Gamma-Butyrolactone)およびビニレンカーボネート(VC:Vinylene Carbonate)等の環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC:Dimethyl Carbonate)、エチルメチルカーボネート(EMC:Ethyl Methyl Carbonate)およびジエチルカーボネート(DEC:Diethyl Carbonate)等の鎖状カーボネート類等を用いることができる。これらの有機溶媒は電気伝導率や電気化学的な安定性の観点から、2種以上を適宜併用して用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの体積比は、1:9〜5:5程度が好ましい。具体例を挙げれば、たとえば、EC、DMCおよびEMCの3種を混合して用いることができる。
また、溶質であるリチウム塩としては、たとえば、リチウムヘキサフルオロフォスフェート(LiPF6)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムペルクロレート(LiClO4)、リチウムヘキサフルオロアルセナート(LiAsF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CF3SO2)2N)、リチウムトリフルオロメタンスルホナート(Li(CF3SO3))等を用いることができる。また、これらの溶質についても2種以上を併用してもよい。非水電解液中における溶質の濃度は、特に限定されないが、放電特性および保存特性の観点から、0.5〜2.0mol/L程度であることが好ましい。
(添加剤)
本実施形態の非水電解液は、添加剤として、電気化学反応によって還元性ガスを発生する成分を含有することが好ましい。非水電解液が、このような成分を含有することにより、初回の充電時に、負極表面において還元性ガスが発生し、工程βによって形成された酸化皮膜が還元される。これにより、酸化皮膜による抵抗増加を解消することができる。また、かかる成分は、初期の充電時に、負極表面に良質なSEIを形成し得るものであることがより好ましい。
本実施形態の非水電解液は、添加剤として、電気化学反応によって還元性ガスを発生する成分を含有することが好ましい。非水電解液が、このような成分を含有することにより、初回の充電時に、負極表面において還元性ガスが発生し、工程βによって形成された酸化皮膜が還元される。これにより、酸化皮膜による抵抗増加を解消することができる。また、かかる成分は、初期の充電時に、負極表面に良質なSEIを形成し得るものであることがより好ましい。
還元反応によって還元性ガスを発生し、かつ負極にSEIを形成し得る成分としては、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が好適である。オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩は、還元分解時により、強い還元作用を有する一酸化炭素を放出することができるからである。オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩としては、たとえば、リチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート(Li[P(C2O4)2F2])、リチウムテトラフルオロビスオキサレートフォスフェート(Li[P(C2O4)2F4])、リチウムジフルオロビスオキサレートボレート(Li[B(C2O4)2F2])、リチウムビスオキサレートボレート(Li[B(C2O4)2])等を挙げることができる。これらのうち、リチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート(LiFOP)を用いることが特に好ましい。LiFOPは、良質なSEIを形成するため、電池性能の向上も実現し得るからである。
非水電解液への上記成分の添加量は、0.1mol%以上1.0mol%以下であることが好ましい。添加量が0.1mol%以下であると、還元性ガスの発生量が少なく、酸化皮膜の還元が不十分となる場合があり、添加量が1.0mol%を超えると、還元性ガスが過度に発生する場合があるからである。なお、上記成分の添加量は、0.3mol%以上0.7mol%以下であることがより好ましい。
<工程ε>
工程εは、電極体に非水電解液を浸透させる工程である。本実施形態では、工程βを経ることにより、銅箔の表面上に酸化皮膜が形成されているため、電池の仕様(たとえば、正極合材層および負極合材層の密度、非水電解液の保持量、電池容量等)に合わせて、所望の浸透時間を設定することができる。なお、工程εでは、非水電解液の浸透を促進するため、減圧や加圧、あるいは加熱を伴うこともできる。
工程εは、電極体に非水電解液を浸透させる工程である。本実施形態では、工程βを経ることにより、銅箔の表面上に酸化皮膜が形成されているため、電池の仕様(たとえば、正極合材層および負極合材層の密度、非水電解液の保持量、電池容量等)に合わせて、所望の浸透時間を設定することができる。なお、工程εでは、非水電解液の浸透を促進するため、減圧や加圧、あるいは加熱を伴うこともできる。
<工程ζ>
工程ζは、非水電解液が電極体に十分浸透した後、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程である。工程ζを経ることにより、工程βで銅箔上に形成された酸化皮膜が還元され、電池の直流抵抗の増加を回避することができる。なお、工程ζは、銅の溶出を防止するため、初回の充電の以後(すなわち、初回の充電と同時または初回の充電の後)に実行される。
工程ζは、非水電解液が電極体に十分浸透した後、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程である。工程ζを経ることにより、工程βで銅箔上に形成された酸化皮膜が還元され、電池の直流抵抗の増加を回避することができる。なお、工程ζは、銅の溶出を防止するため、初回の充電の以後(すなわち、初回の充電と同時または初回の充電の後)に実行される。
また、「還元性ガス雰囲気」とは、電池外装体の内部のガス組成の30体積%以上が還元性ガスで占められることを示す。ここで、電池の直流抵抗をより一層低くするとの観点から、電池外装体の内部のガス組成の40体積%以上が還元性ガスで占められることが好ましく、50体積%以上が還元性ガスで占められることがより好ましい。
工程ζで使用できる還元性ガスとしては、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(H2S)、二酸化硫黄(SO2)等を挙げることができる。電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする方法は、特に限定されない。たとえば、電池外装体の内部を減圧した後、還元性ガスを注入してもよいし、電池外装体が静置されたチャンバをガスフローして電池外装体の内部を還元性ガスに置換してもよい。
また、前述のように、非水電解液に還元性ガスを発生させるための成分を添加しておけば、電極体に電流を流す(すなわち、充電する)ことにより、電池外装体の内部で還元性ガスが発生し、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とすることができる。すなわち、工程ζは、電極体に電流を流すことにより、添加剤に由来する還元性ガスを発生させる工程を含むことができる。この方法は、ガス置換操作を伴わないため、工程負担が少なく好適である。そして、この場合、初回の充電が工程ζを兼ねることができる。
以上の工程を経た後、所定の手段で電池外装体の開口部を封止することにより、本実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪予備実験≫
まず、予備実験として、工程βを実行して、負極の銅露出部を酸化することにより、銅の溶出を抑制できることを確認した。
まず、予備実験として、工程βを実行して、負極の銅露出部を酸化することにより、銅の溶出を抑制できることを確認した。
(正極の作製)
正極活物質として、Liと3種の遷移金属元素(Co、NiおよびMn)を含むリチウム含有遷移金属複合酸化物からなる粉末を準備した。この正極活物質と、導電助材としてABと、NMPに結着材としてPVdFを溶解させた溶液とを混練することにより、正極合材スラリーを得た。次いで、正極合材スラリーを、正極集電体であるAl箔の両面に塗工、乾燥し、該Al箔上に正極合材層を形成した。続いて、ロール圧延機を用いて、正極合材層およびAl箔を圧延することにより正極を得た。
正極活物質として、Liと3種の遷移金属元素(Co、NiおよびMn)を含むリチウム含有遷移金属複合酸化物からなる粉末を準備した。この正極活物質と、導電助材としてABと、NMPに結着材としてPVdFを溶解させた溶液とを混練することにより、正極合材スラリーを得た。次いで、正極合材スラリーを、正極集電体であるAl箔の両面に塗工、乾燥し、該Al箔上に正極合材層を形成した。続いて、ロール圧延機を用いて、正極合材層およびAl箔を圧延することにより正極を得た。
<工程α>
負極活物質として、天然黒鉛を核材とする炭素材料を準備した。次いで、負極活物質と、増粘材としてCMCと、結着材としてSBRとを、水中で混練することにより、負極合材スラリーを得た。次いで、負極合材スラリーを、Cu箔の両面に塗工、乾燥して、該Cu箔上に負極合材層を形成した。続いて、ロール圧延機を用いて、負極活物質層およびCu箔を圧延することにより負極Xを得た。
負極活物質として、天然黒鉛を核材とする炭素材料を準備した。次いで、負極活物質と、増粘材としてCMCと、結着材としてSBRとを、水中で混練することにより、負極合材スラリーを得た。次いで、負極合材スラリーを、Cu箔の両面に塗工、乾燥して、該Cu箔上に負極合材層を形成した。続いて、ロール圧延機を用いて、負極活物質層およびCu箔を圧延することにより負極Xを得た。
<工程β>
負極Xを、180℃に設定した恒温槽に投入して1時間放置した。これにより、銅露出部に酸化皮膜が形成された負極Yを得た。
負極Xを、180℃に設定した恒温槽に投入して1時間放置した。これにより、銅露出部に酸化皮膜が形成された負極Yを得た。
(電極体の作製)
正極に正極集電タブを溶接し、負極Xに負極集電タブを溶接した。続いて、正極と、負極Xと、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータとを、正極と負極Xとがセパレータを介して対向するように巻き取ることにより、電極体Xを得た。また、負極Xの代わりに負極Yを用いることを除いては、これと同様にして、電極体Yを得た。
正極に正極集電タブを溶接し、負極Xに負極集電タブを溶接した。続いて、正極と、負極Xと、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータとを、正極と負極Xとがセパレータを介して対向するように巻き取ることにより、電極体Xを得た。また、負極Xの代わりに負極Yを用いることを除いては、これと同様にして、電極体Yを得た。
<工程γ>
次いで、電極体Xを電池外装体(外装缶)に挿入し、負極集電体と外装缶とを溶接するともに、正極集電タブと電池外装体(キャップ)とを溶接した。これにより、試験セルXを得た。また、電極体Xの代わりに電極体Yを用いることを除いては、これと同様にして、試験セルYを得た。
次いで、電極体Xを電池外装体(外装缶)に挿入し、負極集電体と外装缶とを溶接するともに、正極集電タブと電池外装体(キャップ)とを溶接した。これにより、試験セルXを得た。また、電極体Xの代わりに電極体Yを用いることを除いては、これと同様にして、試験セルYを得た。
(非水電解液Aの調整)
ECとDMCとEMCとを混合して得た有機溶媒に、LiPF6を1.1M(1.1mol/L)を溶解させることにより、非水電解液Aを得た。
ECとDMCとEMCとを混合して得た有機溶媒に、LiPF6を1.1M(1.1mol/L)を溶解させることにより、非水電解液Aを得た。
<工程δ>
試験セルXと試験セルYにそれぞれ非水電解液Aを注液することにより、試験セルXAおよび試験セルYAを得た。
試験セルXと試験セルYにそれぞれ非水電解液Aを注液することにより、試験セルXAおよび試験セルYAを得た。
<工程ε>
試験セルXAおよび試験セルYAを静置して、電極体に非水電解液を浸透させた。そして、所定時間が経過する毎に、試験セルXAおよび試験セルYAから非水電解液をサンプリングし、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(型式「ICP−V8100」、島津製作所製)を用いて、非水電解液中に溶出した銅の濃度を測定した。結果を図1に示す。
試験セルXAおよび試験セルYAを静置して、電極体に非水電解液を浸透させた。そして、所定時間が経過する毎に、試験セルXAおよび試験セルYAから非水電解液をサンプリングし、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(型式「ICP−V8100」、島津製作所製)を用いて、非水電解液中に溶出した銅の濃度を測定した。結果を図1に示す。
図1は、非水電解液の浸透時間と銅の溶出量との関係を示すグラフである。図1において、横軸は非水電解液の浸透時間を示し、縦軸は電解液中に溶出した銅イオンの濃度を示す。なお、図1中の曲線は、傾向が解りやすいように補助的に付している。図1に示されるように、工程βを経た試験セルYAのCu溶出量は、浸透初期から少なく、50時間経過後もほぼ横ばいに推移している。これに対して、工程βを経ていない試験セルXAのCu溶出量は、浸透開始直後から急激に増加し、その後も増加し続けている。このように、工程βを経た試験セルYAは、工程βを経ていない試験セルXAに比べて、銅の溶出量が顕著に低減されていた。この理由は、試験セルYAは、工程βを経ることにより、負極の銅露出部に酸化皮膜が形成され、当該酸化皮膜によって銅の溶出が抑制されたためであると考えられる。
以上のように、負極の銅露出部を酸化する工程βを実行することにより、非水電解液を浸透させる工程(工程ε)における銅の溶出が抑制できることが確認できた。
≪実施例≫
実施例では、工程βを経て、負極の銅露出部に酸化皮膜が形成された試験セルYに対して、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζを実行することにより、電池の直流抵抗を低減できることを確認した。
実施例では、工程βを経て、負極の銅露出部に酸化皮膜が形成された試験セルYに対して、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζを実行することにより、電池の直流抵抗を低減できることを確認した。
(非水電解液Bの調整)
非水電解液Aに、LiFOPを0.5mol%添加することにより、非水電解液Bを得た。
非水電解液Aに、LiFOPを0.5mol%添加することにより、非水電解液Bを得た。
<工程δ>
試験セルY(銅箔酸化あり)に、非水電解液Bを注液し、キャップと外装缶とを所定手段で固定することにより、実施例に係る試験セルYBを得た。また、試験セルYに、非水電解液Aを注液する以外は、これと同様にして、比較例に係る試験セルYAを得た。
試験セルY(銅箔酸化あり)に、非水電解液Bを注液し、キャップと外装缶とを所定手段で固定することにより、実施例に係る試験セルYBを得た。また、試験セルYに、非水電解液Aを注液する以外は、これと同様にして、比較例に係る試験セルYAを得た。
<工程ε>
実施例および比較例の試験セルを24時間静置して、電極体に非水電解液を浸透させた。
実施例および比較例の試験セルを24時間静置して、電極体に非水電解液を浸透させた。
<工程ζ>
次いで、実施例および比較例の試験セルに対して、初回の充電を実行した。充電後、各試験セルの内部のガス組成を、ガスクロマトグラフ分析装置(型式「G1530A」、アジレントテクノロジー製)を用いて分析したところ、比較例の試験セルYAでは、一酸化炭素(CO)が1体積%未満であったのに対し、実施例の試験セルYBでは、50体積%以上がCOであった。すなわち、実施例では、電池外装体の内部が還元性ガス(COガス)雰囲気となっていた。このCOは、非水電解液に添加されたLiFOPが初回の充電時に、還元分解して発生したものであると考えられる。また、このガス分析の結果から、実施例の試験セルYBでは初回の充電により工程ζが実行されたこと、および比較例の試験セルYAでは初回の充電によって工程ζが実行されなかったことが判る。
次いで、実施例および比較例の試験セルに対して、初回の充電を実行した。充電後、各試験セルの内部のガス組成を、ガスクロマトグラフ分析装置(型式「G1530A」、アジレントテクノロジー製)を用いて分析したところ、比較例の試験セルYAでは、一酸化炭素(CO)が1体積%未満であったのに対し、実施例の試験セルYBでは、50体積%以上がCOであった。すなわち、実施例では、電池外装体の内部が還元性ガス(COガス)雰囲気となっていた。このCOは、非水電解液に添加されたLiFOPが初回の充電時に、還元分解して発生したものであると考えられる。また、このガス分析の結果から、実施例の試験セルYBでは初回の充電により工程ζが実行されたこと、および比較例の試験セルYAでは初回の充電によって工程ζが実行されなかったことが判る。
さらに、市販の電子負荷装置を用いて、I−V特性を計測することにより、充電後の実施例および比較例の試験セルの直流抵抗を求めた。結果を図2に示す。
図2は、実施例および比較例の試験セルの直流抵抗を示すグラフである。図2に示されるように、実施例の試験セルYBは、比較例の試験セルYAに比べて直流抵抗が低く、性能の優れた電池であった。この理由は、強い還元作用を有するCOが、銅箔の表面に形成された酸化皮膜を還元したためであると考えられる。
以上のように、工程α〜工程εを経た後、電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζを実行することにより、銅の溶出を抑制しつつ、直流抵抗の低い高性能な非水電解液二次電池を製造できることが確認できた。
さらに、非水電解液に、電気化学反応によって還元性ガスを発生する成分(リチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート)を添加することにより、初回の充電が工程ζを兼ねることができることが確認できた。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (3)
- 銅箔上に負極合材層を形成することにより、前記負極合材層と銅露出部とを有する負極を得る工程αと、
前記負極の前記銅露出部を酸化する工程βと、
前記負極を含む電極体を電池外装体に挿入する工程γと、
前記電池外装体に非水電解液を注液する工程δと、
前記電極体に前記非水電解液を浸透させる工程εと、
前記電池外装体の内部を還元性ガス雰囲気とする工程ζと、を備える、非水電解液二次電池の製造方法。 - 前記非水電解液は、電気化学反応によって前記還元性ガスを発生する成分を含有し、
前記工程ζは、前記電極体に電流を流すことにより、前記成分に由来する前記還元性ガスを発生させる工程を含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池の製造方法。 - 前記成分は、リチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートである、請求項2に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
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