JP2015041032A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー中の離型ワックス量が少ない場合やワックスが無い場合、これまでの定着機構成では定着部材とトナーの分離と光沢度の制御を両立することができない。
【解決手段】定着ニップ部の下流側に冷却ニップ部を形成し、定着ニップ部で溶融したトナーを加圧しながら冷却固化させることで、分離性の確保と冷却分離による高光沢化を抑制することができる。また、冷却ニップ部における加圧力を可変することで、定着ベルトの表層が紙繊維の凸凹に追従する具合を変えて最終的な画像の光沢度を制御することが
【選択図】 図2
Description
本発明は、画像を形成する装置に係わり、特に電子写真方式のプリンターおよび複写機などの画像形成装置の定着装置に関するものである。
記録材上のトナーを定着装置にて加熱溶融後、定着部材からトナーを良好に分離(剥離)させるために、トナーに離型ワックスを含有させる方法や定着部材に離型オイルを塗布する方法が従来から用いられてきた。
しかし近年、コスト削減を目指した開発が進む中、トナーに含まれる離型ワックス量の削減や離型ワックスそのものを含有させないトナー開発が行われている。しかしその場合、従来の定着手段ではトナーが定着部材に強固に付着してしまい、定着部材とトナーとの分離が困難となってしまう。
前記のようなトナーにおいても定着における分離性を確保する手段として、冷却分離が知られている。つまり記録材上のトナーを加熱溶融後に冷却し、トナーを固化した状態で定着部材からトナーを分離させる方法である。冷却手段を備えた定着装置として例えば以下の文献がある。
特許文献1には加熱ロールと加圧ロールとで記録材上のトナーを押圧加熱し、その後ベルトと密着状態で搬送したトナー画像を、冷却部材で冷却した後に記録材を剥離する構成となっている。記録材に光沢紙のような表面が平滑な紙を使って、写真画質のような高光沢の画像を得ることができる。
特許文献2には第一の定着手段と第二の定着手段とを有し、記録材搬送路を切り換えることで使用する定着手段を選択可能となっている。また第二の定着手段が冷却手段を備えている構成である。
低光沢画像を出力する場合は、第一の定着手段のみを用いて記録材上のトナーを定着する。高光沢画像を出力する場合は、記録材が第一の定着手段で定着された後に搬送路切り換え手段によって第二の定着手段を通り、加熱溶融後に冷却固化されてから定着部材から剥離される。
しかしながら前述のような構成では以下のような課題がある。
トナーに含まれる離型ワックス量が少ない場合や離型ワックスそのものを含まないトナーの場合に、特許文献1に記載の装置で定着すると分離性は確保できるが、普通紙のような表面の凹凸差が大きい記録材を用いても光沢度が高くなってしまう。したがって、一般文章のような高光沢が不要な場合にも必要以上の光沢度が付与されてしまう課題が生じる。
特許文献2の場合、冷却分離装置を通す通さないを選択することによって、低光沢画像出力と高光沢画像出力を選択することが可能である。しかしトナーに含まれる離型ワックスの量が少ない場合や離型ワックス自体が無い場合、第一の定着手段でトナーが定着部材に付着して巻きつき、分離が困難になることが予想される。
本発明の目的はトナーに含まれる離型ワックスの量や有無に関わらず、画像の分離性の確保と光沢度の制御とを両立可能な定着装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置である。
すなわち本発明は第一のベルトと第二のベルトとの外周面を互いに当接させて、定着ニップ部と該定着ニップ部の記録材搬送方向下流側に冷却部を形成し、前記定着ニップ部において記録材上に形成されたトナー画像を狭持搬送しつつ加熱し、
前記冷却ニップ部において前記定着ニップ部で加熱した前記録材上のトナー画像を狭持搬送しつつ冷却し、冷却後に記録材を第一のベルトから分離する定着装置において、
前記第一のベルトを加熱する加熱手段を有し、
前記第一のベルト内部の押圧部材と該押圧部材と対向するように前記第二のベルト内部に設けられたバックアップ部材とを前記第一と前記第二のベルトを介して圧接することで前記定着ニップ部を形成する加圧手段を有し、
前記冷却部は前記第一のベルトまたは/および前記第二のベルト内部に設けられた冷却手段を前記第一のベルトまたは/および第二のベルトの裏面から対向するベルトへ圧接することで形成される冷却ニップ部であり、
前記第一のベルトのトナー画像と接する表層のMD−1硬度が20°以上70°以下であることを特徴とする定着装置である。これにより、トナーに含まれる離型ワックスの有無や量に関わらず安定した分離と、普通紙における冷却分離時の高光沢化を抑制することができる。
前記冷却ニップ部において前記定着ニップ部で加熱した前記録材上のトナー画像を狭持搬送しつつ冷却し、冷却後に記録材を第一のベルトから分離する定着装置において、
前記第一のベルトを加熱する加熱手段を有し、
前記第一のベルト内部の押圧部材と該押圧部材と対向するように前記第二のベルト内部に設けられたバックアップ部材とを前記第一と前記第二のベルトを介して圧接することで前記定着ニップ部を形成する加圧手段を有し、
前記冷却部は前記第一のベルトまたは/および前記第二のベルト内部に設けられた冷却手段を前記第一のベルトまたは/および第二のベルトの裏面から対向するベルトへ圧接することで形成される冷却ニップ部であり、
前記第一のベルトのトナー画像と接する表層のMD−1硬度が20°以上70°以下であることを特徴とする定着装置である。これにより、トナーに含まれる離型ワックスの有無や量に関わらず安定した分離と、普通紙における冷却分離時の高光沢化を抑制することができる。
本発明を用いることにより、トナーに含まれる離型ワックスの有無や量に関わらず、安定した分離と光沢度の制御が可能となる。
[実施例1]
本発明の第1の実施例を以下に説明する。まず、本実施例における画像形成装置の本体構成を説明し、次いで本発明に係わる定着装置について詳しく説明する。
本発明の第1の実施例を以下に説明する。まず、本実施例における画像形成装置の本体構成を説明し、次いで本発明に係わる定着装置について詳しく説明する。
〈画像形成部〉
図1に示す装置内には第1、第2、第3、第4の画像形成部Ga、Gb、Gc、Gdが併設され、各々異なった色のトナー像が潜像、現像、転写のプロセスを経て形成される。
図1に示す装置内には第1、第2、第3、第4の画像形成部Ga、Gb、Gc、Gdが併設され、各々異なった色のトナー像が潜像、現像、転写のプロセスを経て形成される。
画像形成部Ga、Gb、Gc、Gdは、それぞれ専用の像担持体、本例では電子写真感光ドラム1a、1b、1c、1dを具備し、各感光ドラム1a、1b、1c、1d上に各色のトナー像が形成される。各感光ドラム1a、1b、1c、1dに隣接して中間転写ベルト2が設置され、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト2上に1次転写され、2次転写部で中間転写ベルト2から記録材P上に転写される。
感光ドラム1a、1b、1c、1dの外周には、それぞれドラム帯電器3a、3b、3c、3d、現像器4a、4b、4c、4d、1次転写ローラ5a、5b、5c、5d及びクリーナ6a、6b、6c、6dが設けられ、装置の上方部にはさらに図示しない光源装置およびポリゴンミラーが設置されている。
光源装置から発せられたレーザー光を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム1a、1b、1c、1dの母線上に集光して露光することにより、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に画像信号に応じた潜像が形成される。
現像器4a、4b、4c、4dには、現像剤としてそれぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)のトナーが、図示しない供給装置により所定量充填されている。現像器4a、4b、4c、4dは、それぞれ感光ドラム1a、1b、1c、1d上の潜像を現像して、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像として可視化する。
中間転写ベルト2は矢示の方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
感光ドラム1a上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像は、感光ドラム1aと中間転写ベルト2とのニップ部を通過する過程で、中間転写ベルト2に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力により、中間転写ベルト2の外周面に転写されていく。
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト2上に転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が、中間転写ベルト2上に形成される。
中間転写ベルト2上のトナーの記録材Pへの転写は以下のように行われる。給紙カセット7からレジストローラ9を通過して、中間転写ベルト2と2次転写ローラ10との当接ニップ部に、所定のタイミングで記録材Pが搬送され、同時に2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラへ印加される。この2次転写バイアスによって、中間転写ベルト2から記録材Pへトナーが転写される。
1次転写が終了した感光ドラム1a、1b、1c、1dは、それぞれのクリーナ6a、6b、6c、6dにより転写残トナーがクリーニング、除去され、引き続き次の潜像の形成以下に備えられる。中間転写ベルト2上に残留したトナー及びその他の異物は、中間転写ベルト2の表面にクリーニングウエブ(不織布)8を当接して、拭い取るようにしている。
〈定着装置〉
次いで、本発明の特徴である定着装置11について以下に説明する。図2は本実施例の定着装置11の概略構成図である。図2に示すように第一のベルトとして定着ベルト12と第二のベルトとして加圧ベルト13が当接し、定着ニップ部Hと冷却ニップ部Cを形成している。
次いで、本発明の特徴である定着装置11について以下に説明する。図2は本実施例の定着装置11の概略構成図である。図2に示すように第一のベルトとして定着ベルト12と第二のベルトとして加圧ベルト13が当接し、定着ニップ部Hと冷却ニップ部Cを形成している。
記録材Pの搬送方向上流側にある定着ニップ部Hで、記録材上の未定着トナーTを加圧加熱しながら溶融させ、記録材搬送方向下流側に位置する冷却ニップ部Cにおいて記録材上のトナーを冷却固化させて定着装置外へと搬送させる。
本実施例で用いた定着ベルト12の内径は276mmである。図3に本実施例で使用した定着ベルト12の層構成を示す。基層は厚みが75μmのポリイミドである。基層の上に弾性層としてシリコーンゴム層が300μmの厚さで設けられている。弾性層はシリコーンゴム以外に例えばフッ素ゴム等を用いることが可能である。
加圧ベルト13の内径は276mmである。定着ベルト12と同様に基層は厚みが75μmのポリイミドである。ポリイミドの上に離型層としてフッ素樹脂である厚みが30μmのPFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)を設けた。
〈定着ニップ部〉
まず定着ニップ部Hの形成手段について説明する。定着ベルト12内に設けられた押圧部材である定着ローラ14と、加圧ベルト内に設けられたバックアップ部材である加圧ローラ15とを両ベルトを介して不図示の荷重印加装置によって当接させることで定着ニップ部Hは形成されている。本実施例では印加する荷重を700[N]とした。前述の構成より形成された定着ニップ部の搬送方向の幅は約8mmで、長手方向の長さが335mmであるため、定着ニップ部にかかる面圧はおよそ0.26[MPa]となる。
まず定着ニップ部Hの形成手段について説明する。定着ベルト12内に設けられた押圧部材である定着ローラ14と、加圧ベルト内に設けられたバックアップ部材である加圧ローラ15とを両ベルトを介して不図示の荷重印加装置によって当接させることで定着ニップ部Hは形成されている。本実施例では印加する荷重を700[N]とした。前述の構成より形成された定着ニップ部の搬送方向の幅は約8mmで、長手方向の長さが335mmであるため、定着ニップ部にかかる面圧はおよそ0.26[MPa]となる。
本実施例においては押圧部材である定着ローラ14が定着ベルト12を加熱する加熱手段を兼ねている。
定着ローラ14の製品外径がφ80mmで、外径がφ78mmである鉄合金製の芯金に表面弾性層として厚み1mmのシリコーンゴム層が設けられたゴムローラである。芯金内部には加熱手段としてのハロゲンヒータ16を配置している。本実施例では定着ニップ部H直前の定着ベルト表面の温度が180℃に維持できるように、定着ベルト表面温度をモニターする不図示のサーミスタと温調装置によってハロゲンヒータに投入する電力を制御している。
上記のように定着ローラ14に弾性層を設けることで、付図示の駆動源から入力された駆動力を定着ベルトへスリップすること無しに良好に伝達することができる。
加圧ローラ15の製品外径はφ80mmで、芯金の外径はφ78mmである。芯金は厚み2mmの鉄合金製であり、芯金の外周に厚み1mmのシリコーンゴム層が設けられている。加圧ローラ15は加圧ベルト13と定着ベルト12とを介して定着ローラ14に加圧されているので、付図示の駆動源で駆動された定着ローラ16に加圧ローラが従動する。
定着ローラの場合と同様に加圧ローラ15の芯金内部にハロゲンヒータ17を設けており、定着ニップ部Hにおけるトナーの溶融を促進させている。
本実施例では定着速度を100mm/secで行った。
〈冷却ニップ部〉
続いて冷却ニップ部Cの形成手段について説明する。定着ベルト12内に設けられた冷却手段18と加圧ベルト13内に設けられた冷却手段19とを、両ベルトを介して不図示の荷重印加装置によって当接させることで冷却ニップ部Cを形成している。本実施例では冷却ニップ部にかかる面圧を定着ニップ部における面圧と同程度にするため、印加する荷重を1800〔N〕とした。以上の構成から形成された冷却ニップ部の搬送方向の長さは約20mmとなった。
続いて冷却ニップ部Cの形成手段について説明する。定着ベルト12内に設けられた冷却手段18と加圧ベルト13内に設けられた冷却手段19とを、両ベルトを介して不図示の荷重印加装置によって当接させることで冷却ニップ部Cを形成している。本実施例では冷却ニップ部にかかる面圧を定着ニップ部における面圧と同程度にするため、印加する荷重を1800〔N〕とした。以上の構成から形成された冷却ニップ部の搬送方向の長さは約20mmとなった。
本実施例では冷却手段18と冷却手段19は同じ構成であり、ペルチェ素子(熱移動素子)とヒートシンク(放熱器)から構成されている。ペルチェ素子の冷却面を定着ベルト12と加圧ベルト13の内面ポリイミドに接触させ、ペルチェ素子の高温面はヒートシンクに接している。
〈トナー〉
本実施例で用いたトナーには従来トナーのように、パラフィンワックスのような離型ワックスが含有されていない。母体となる樹脂と顔料、表面に電荷付与等の目的で外添剤が付着している構造である。
本実施例で用いたトナーには従来トナーのように、パラフィンワックスのような離型ワックスが含有されていない。母体となる樹脂と顔料、表面に電荷付与等の目的で外添剤が付着している構造である。
〈トナー溶融と冷却過程の詳細説明〉
記録材上の未定着トナーの溶融と冷却過程について以下で説明する。図4(a)(b)(c)(d)は、定着装置11で記録材上の未定着トナーTを定着する過程を模式的に表したものである。
記録材上の未定着トナーの溶融と冷却過程について以下で説明する。図4(a)(b)(c)(d)は、定着装置11で記録材上の未定着トナーTを定着する過程を模式的に表したものである。
図4(a)は定着前の状態である。未定着トナーが記録材上に積層されている。記録材としてここでは普通紙を想定している。図に示したように普通紙では紙繊維上は凸部となっており、紙繊維間は凹部となっている。このように普通紙の紙表面は凸凹形状となっている。例えば普通紙の例としてCS814紙の場合、粗さRzは9.2μmである。一方、OKトップコート紙のような表面が平滑な光沢紙のRzは1.5μmである。
図4(b)は定着ニップ部Hの記録材搬送方向中央部の拡大図となっている。本発明では定着ベルト12に表層硬度が低いベルトを使用している。本実施例で用いた定着ベルト12表面のMD−1硬度(タイプA)は38.6である。したがって、図4(b)で示したように定着ベルト表層が紙繊維の凹凸に追従し、紙繊維凸部と凹部のトナーを均一に溶融が可能となっている。
続いて図4(c)で示した冷却過程について説明する。図4(c)は冷却ニップ部Cの記録材搬送方向中央部の拡大図である。前述のように冷却ニップ部には荷重が印加され、冷却ニップ部Cにおける面圧と定着ニップ部における面圧はほぼ同程度となっている。したがって定着ニップ部における場合と同様に、冷却ニップ部においても、定着ベルト表層は紙繊維の凸凹に追従した状態となる。また、定着ベルト12と加圧ベルト13内にそれぞれ同じ冷却装置が設けられており、定着ベルト12の表層が紙繊維の凸凹に追従しているため、効率良く定着ニップ部Hで温まったトナーや紙を冷却することが可能となっている。
前述のように定着ベルトの表層が180℃に温調されており、幅8.0mmの定着ニップ部を速度100mm/secで通過する間にトナーは約130℃まで昇温される。130℃まで温められたトナーを、本発明ではトナーの流動性が低下する温度(約90℃)まで冷却している。
最後に図4(d)では定着ベルトから記録材が分離して定着装置外へ搬送される時の状態を表している。図4(c)で示した冷却過程によって、記録材上のトナーは冷却固化されるため、トナーの中に離型ワックスを含まない場合や定着ベルト表層に離型部材を設けなくても定着ベルトからトナーを良好に分離(剥離)することが可能である。
また冷却ニップ部Cにおいて、定着ベルトが紙繊維の凸凹に追従した状態で冷却固化させているため、最終的に分離後の画像表面はトナーが紙繊維の凸凹に追従した状態となっている。
上記のように定着ベルト12の表層が紙繊維の凸凹に追従するには、定着ベルト12の表層が柔らかい必要がある。具体的には定着ベルト12表面のMD−1硬度が20〜70の範囲にあれば本発明の効果が得られる。本実施例で用いた定着ベルト12表面のMD−1硬度は38.6である。MD−1硬度が20°以下の場合でも本実施例の効果を得ることができるが、定着ベルト表層の耐久性が低下するため20°以上であることが好ましい。またMD−1硬度が70°以上の場合は後述するように、定着ベルトの表層が紙繊維の凸凹に追従しないため、本実施例の効果を得ることができない。
なおMD−1硬度の測定は高分子計器(株)製のマイクロゴム硬度計MD−1タイプAを用いた。MD−1硬度計は、測定対象に押し込む押針が小さく、わずかな侵入量で硬度測定を行うため、測定対象の表面近傍のみの硬度が得られる。以上のように本発明では効果に大きく寄与するのは定着部材の表面硬度であるため、表面硬度を測定するのに適したMD−1硬度計を用いた。MD−1タイプAは、JIS K 6301で規定されているJIS−A硬度の近似値が得られるものである。
ここで比較例として、表面硬度が高い定着ベルト(MD−1硬度71.4)を用いた場合について説明する。図5(a)(b)(c)に定着ニップ部から分離までの過程を模式的に表した図を示した。
図5(a)に示したように定着ベルトの表層が硬いため、定着ベルトが紙繊維の凸凹に追従しない状態でトナーが加圧溶融される。この時、溶融したトナーは定着ベルトの表面に沿って濡れ拡がる。この状態で図5(b)に示したように冷却ニップ部Cで冷却固化されると、最終的に得られる画像は図5(c)に示したようにトナーは紙繊維の凸凹を覆うような形態となる。
図6(a)(b)に本発明で得られる画像と上記の表面が硬いベルトを用いた場合に得られた画像のSEM観察画像を示す。図6(a)から本発明の構成で得られた画像表面はトナーが紙繊維の凸凹に追従していることがわかる。この時の光沢度は5°であった。この光沢度は記録材上に画像が無い場合の紙そのものの光沢度とほぼ同じである。なお、光沢度は日本電色工業(株)製の光沢計VG−2000を用いて測定角度60°で測定した。
一方、図6(b)で示したように硬度が高い定着ベルトを使用した場合、トナーが紙繊維の凸凹の上を覆った状態で冷却固化されているため、画像表面の平滑度が高い状態となっている。この時の光沢度は45°であった。
以上のように、硬度の低い定着ベルトを用いてトナーを加圧溶融し、さらに加圧しながら冷却することで出力画像の光沢度を抑制することができる。またトナーを冷却固化してから分離を行うため、トナー中に離型ワックスを含まないトナーでも良好な分離性を確保することができる。
[実施例2]
本発明の第2の実施例を以下に説明する。未定着トナー像を形成する画像形成装置については、上記実施例1と同じく一般的であり説明を省略する。本実施例では冷却ニップ部Cにおける加圧力を変えることで、最終出力画像の光沢度を変える方法について説明する。
本発明の第2の実施例を以下に説明する。未定着トナー像を形成する画像形成装置については、上記実施例1と同じく一般的であり説明を省略する。本実施例では冷却ニップ部Cにおける加圧力を変えることで、最終出力画像の光沢度を変える方法について説明する。
図7は実施例1と同様に定着装置11の概略構成図である。図7に示したように加圧バネ20にカム21が設けてあり、カム21が回転することによって加圧バネの長さが変わり、冷却ニップ部Cに印加される加圧力が可変となる。
本実施例における定着ベルト11は実施例1と同じで、MD−1硬度が38.6の定着ベルトを使用した。本実施例の効果が得られるMD−1硬度の範囲は実施例1と同様に20°以上70°以下である。MD−1硬度が20°以下の場合は微小な押圧力で記録材が追従してしまうので、後述するような押圧力の変更で追従性を調整することが困難となる。MD−1硬度が70°以上の場合は実施例1と同様の理由で効果を得ることができない。
冷却ニップ部の面圧を0.26[MPa]にした場合は、実施例1と同じ条件であるため最終的に得られる画像は紙グロスと同等の低光沢画像である。
ここでカム21を回転させ加圧バネ20の長さを調整し、冷却ニップ部での面圧を0.1MPaに下げた場合について説明する。
図8はこの場合の定着ニップ部から分離までの過程を模式的に表した図である。図8(a)に表したように、定着ニップ部Hでは面圧が0.26MPaと高いため、定着ベルトの表面が紙繊維の凹凸に追従しトナーを加圧溶融可能となっている。
定着ニップ後の冷却ニップ部Cでは加圧力が0.1MPaに下がっているため、定着ニップ部で紙繊維の凹凸に追従していた定着ベルトの変形が緩和し、紙への追従性が弱くなる(図8(c))。本実施例ではトナーに離型ワックスが含まれていないトナーを用いているため、トナーと定着ベルトの付着力が大きく、冷却ニップ部で定着ベルトの変形が戻る際に、トナーも定着ベルトの戻りにくっついて紙への追従性が弱まった状態で冷却固化される。
したがって図8(c)に示したように、最終的に得られる画像はトナー層が紙表面を覆うことで紙繊維の凸凹が目立たない状態になり、光沢度が非常に高い画像が得られる。この場合の光沢度は50°であった。
以上のように前述のように冷却ニップ部の加圧力を調整することで、定着ベルト表面の紙への追従状態を変えられる。したがって冷却分離を用いても画像の光沢度を制御することが可能となる。
なお、定着ニップ部における加圧力は定着性を確保するために本実施例2においても実施例1と同じ加圧力を用いている。
本実施例ではカムを用いた構成であるが、圧力が変えられるのであればこの構成にこだわらない。
[その他の実施例]
実施例1と実施例2では熱源としてハロゲンヒータを用いたが、より効率的に定着ベルトの表層を加熱する手段としてIH(誘導加熱)を用いても良い。
実施例1と実施例2では熱源としてハロゲンヒータを用いたが、より効率的に定着ベルトの表層を加熱する手段としてIH(誘導加熱)を用いても良い。
1…感光ドラム
2…中間転写ベルト
12…定着ベルト
13…加圧ベルト
16…ハロゲンヒータ
18、19…冷却装置
20…冷却装置の加圧バネ
21…加圧バネ長を可変にするカム
2…中間転写ベルト
12…定着ベルト
13…加圧ベルト
16…ハロゲンヒータ
18、19…冷却装置
20…冷却装置の加圧バネ
21…加圧バネ長を可変にするカム
Claims (4)
- 第一のベルトと第二のベルトとの外周面を互いに当接させて、定着ニップ部と該定着ニップ部の記録材搬送方向下流側に冷却部を形成し、前記定着ニップ部において記録材上に形成されたトナー画像を狭持搬送しつつ加熱し、
前記冷却部において前記定着ニップ部で加熱した前記録材上のトナー画像を狭持搬送しつつ冷却し、冷却後に記録材を第一のベルトから分離する定着装置において、
前記第一のベルトを加熱する加熱手段を有し、
前記第一のベルト内部の押圧部材と該押圧部材と対向するように前記第二のベルト内部に設けられたバックアップ部材とを前記第一と前記第二のベルトを介して圧接することで前記定着ニップ部を形成する加圧手段を有し、
前記冷却部は前記第一のベルトまたは/および前記第二のベルト内部に設けられた冷却手段を前記第一のベルトまたは/および第二のベルトの裏面から対向するベルトへ圧接することで形成される冷却ニップ部であり、
前記第一のベルトのトナー画像と接する表層のMD−1硬度が20°以上70°以下であることを特徴とする定着装置。 - 前記冷却ニップ部を形成する前記加圧手段の加圧力が可変であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記第一のベルトを加熱する加熱手段が電磁誘導加熱であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記記録材上のトナーが離型ワックスを含有しないことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の定着装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019049678A (ja) * | 2017-09-12 | 2019-03-28 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置 |
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2013
- 2013-08-23 JP JP2013172848A patent/JP2015041032A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019049678A (ja) * | 2017-09-12 | 2019-03-28 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置 |
JP7056047B2 (ja) | 2017-09-12 | 2022-04-19 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置 |
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