JP2015040812A - 電子デバイス、電子機器および移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のセンサー素子が収容される空間の環境を、各々のセンサー素子に最適な環境の空間として得ることができる電子デバイスを提供する。
【解決手段】第1基材と、前記第1基材に接合されている第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に、第1内部空間部と第2内部空間部とが設けられ、前記第1内部空間部に第1機能素子、前記第2内部空間部に第2機能素子が収納され、前記第1基材と前記第2基材との接合部には、前記第1内部空間部から、前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部に連通する第1連通部を備え、前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部には、電極が設けられ、前記第1連通部には、前記第1機能素子と、前記電極と、が電気的に接続された接続配線が設けられ、前記第1連通部の前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部への開口を封止する第1封止部材を備えている電子デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子デバイス、電子機器および移動体に関する。
近年、小型センサーデバイスとして精密加工技術の一つとして半導体製造方法を用いたMEMS(Micro Electronics Mechanical Systems)技術を用いて物理量を検出する機能素子を備えた電子デバイスが開発されている。機能素子としては、例えば、固定配置された固定電極と、固定電極に対して所定の間隔を隔てて対向させるとともに変位可能に設けられた可動電極と、を有し、固定電極と可動電極との間の静電容量に基づいて、加速度あるいは角速度といった物理量を検出する物理量センサー素子が知られている。
これら物理量センサー素子を複合させた複合センサー素子として、加速度センサーと角速度センサーとを複合させたセンサー素子が提案され、運動センサーとして開示されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に開示されている複合センサー素子において、複合センサー素子を構成する角速度センサー素子と加速度センサー素子とでは、収納されるパッケージ空間環境がセンサー素子の動作に影響することが知られている。すなわち、減圧環境(真空環境)下において所望の動作が得られる角速度センサーに対して、加速度センサーは非減圧環境、すなわち空気などの気体が存在する環境下において所望の動作が得られる。これら、異なる環境下に角速度センサーと加速度センサーとを複合させた物理量センサー素子を形成させるため、角速度センサーと加速度センサーとが一体化されて成る複合センサー素子であって、角速度センサー用の振動体と加速度センサー用の振動体とをそれぞれ収容封止する空間部が形成される複合センサー素子が特許文献2に開示されている。
特許文献2に開示されている複合センサー素子では、角速度センサー用の振動体を収容封止する空間部は真空状態に、加速度センサー用の振動体を収容封止する空間部は高周波振動抑制用の気圧状態、もしくはダンピング剤が充填されている。このように、角速度センサー用の収容空間部と加速度センサー用の収容空間部との環境を異なるものにして所望の性能を得ることとしている。開示されている収容封止される空間部は、それぞれにスルーホールを備え、加速度センサー用の振動体の収容空間に備えるスルーホールは金属膜によって収容空間は所定環境で封止される。
そして、角速度センサー用の振動体の収容空間に備えるスルーホールは、封止部材、例えば樹脂や半田、を充填し、収容空間は封止される。このとき、真空状態で封止部材をスルーホールに充填することにより角速度センサー用の振動体の収容空間は真空気密封止される。
特開平10−239347号公報 特開2002−5959号公報
しかし、特許文献2の複合センサー素子では、電子デバイスとして複合センサー素子の外部と電気的に接続させるための基台に形成されるべき電極配線と、蓋部材との接合部での気密封止に関する開示はなく、複合センサー素子の振動体が収容される封止空間部の確実な気密性の保持が不明瞭であった。
そこで、第1機能素子(例えば、角速度センサー素子)と第2機能素子(例えば、加速度センサー素子)を備える電子デバイスにおいて、確実に第1機能素子が収容される最適な空間の環境と、第2機能素子が収容される最適な空間の環境と、を得ることができる電子デバイスを提供する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
〔適用例1〕本適用例の電子デバイスは、第1基材と、前記第1基材に接合されている第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に、少なくとも第1内部空間部と第2内部空間部とが設けられ、前記第1内部空間部に収納されている第1機能素子と、前記第2内部空間部に収納されている第2機能素子と、を備え、前記第1基材と前記第2基材との接合部には、前記第1内部空間部から、前記第1基材と前記第2基材と、の接合領域の外部に連通する第1連通部を備え、前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部には、電極が設けられ、前記第1連通部には、前記第1機能素子と、前記電極と、が電気的に接続された接続配線が設けられ、前記第1連通部の前記第1基材と前記第2基材と、の接合領域の外部への開口を封止する第1封止部材を備えていることを特徴とする。
本適用例の電子デバイスによれば、第1基材と第2基材との接合領域の外部に電極を設け、第1内部空間部および第2内部空間部に収容される第1機能素子および第2機能素子から、電極へ繋がる接続配線が形成される第1基材と第2基材との接合部に設けられた第1連通部を介して、第1内部空間部の内部環境、例えば減圧あるいは真空環境、もしくは気体が充填された大気圧あるいは加圧環境、を形成することができる。そして、第1基材と第2基材の接合領域の外部へ連通部の開口を封止部材により封止することにより、容易に第1内部空間部および第2内部空間部を気密封止することができ、第1機能素子および第2機能素子を安定して動作させることができる。
〔適用例2〕上述の適用例において、前記第2基材の前記第2内部空間部を形成する領域に、前記第2基材の外部と連通する第2連通部を備え、前記第2連通部を封止する第2封止部材を備えていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、気密封止された第1内部空間部とは異なる内部環境が形成された第2内部空間部を、容易に形成することができる。従って、第1機能素子に対しても、第2機能素子に対しても最適動作環境を形成することができ、安定した動作を得られる複数の機能素子を備える電子デバイスを得ることができる。
〔適用例3〕上述の適用例において、前記第1内部空間部と、前記第2内部空間部と、の内部圧力が異なっていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、気密封止された第1内部空間部とは異なる内部環境が形成された第2内部空間部を、容易に形成することができる。従って、第1機能素子に対しても、第2機能素子に対しても最適動作環境を形成することができ、安定した動作を得られる複数の機能素子を備える電子デバイスを得ることができる。
〔適用例4〕上述の適用例において、前記第1封止部材は、前記第1連通部の前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部への開口を封止する第1の封止層と、前記第1の封止層の少なくとも一部を覆うように設けられている第2の封止層と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、第2の封止層は第1の封止層の補強層として機能させることができる。従って、高い強度の第1封止部材を形成することができる。
〔適用例5〕上述の適用例において、前記第2の封止層は、前記第2連通部にもうけられている下地層から延設されていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、第2連通部の下地層を形成する一つの工程で、第2の封止層を形成することができる。従って、少ない工程で、高い強度の第1封止部材を形成することができ、電子デバイスの製造工程の合理化、およびコストダウンを実現することができる。
〔適用例6〕上述の適用例において、前記第1機能素子および前記第2機能素子を駆動させる回路部を備えていることを特徴とする。
上述の適用例によれば、異なる物理量を検出する第1機能素子および第2機能素子を安定して駆動させ、高い精度で角速度や加速度などの外的物理量を検出することができる。
〔適用例7〕本適用例の電子機器は、上述に記載の電子デバイスを備えていることを特徴とする。
本適用例の電子機器によれば、異なる物理量を検出する第1機能素子および第2機能素子を安定して駆動させ、高い精度で角速度や加速度などの外的物理量を検出することができ、安定した動作を得ることができる。
〔適用例8〕本適用例の移動体は、上述に記載の電子デバイス、もしくは電子機器を備えていることを特徴とする。
本適用例の移動体によれば、異なる物理量を検出する第1機能素子および第2機能素子を安定して駆動させ、高い精度で角速度や加速度などの外的物理量を検出することができ、安定した動作を得ることができる。
第1実施形態に係る電子デバイスを示す、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−A´部の断面図、(c)は(a)に示すB−B´部の断面図、(d)は(c)に示すC部の部分拡大図。 第1実施形態に係る電子デバイスに備える第1機能素子を示す平面図。 図2に示すD−D´部の断面図。 第1実施形態に係る電子デバイスに備える第2機能素子を示す平面図。 第1実施形態に係る電子デバイスに備える第1機能素子の動作を示す平面模式図。 第1実施形態に係る電子デバイスに備える第1機能素子の動作を示す平面模式図。 第1実施形態に係る電子デバイスの製造工程を示す断面図。 第1実施形態に係る電子デバイスの製造工程を示す断面図。 第2実施形態に係る電子デバイスを示す、(a)は平面図、(b)は(a)に示すH−H´部の断面図。 第3実施形態に係る電子機器としてのスマートフォンを示す外観図。 第3実施形態に係る電子機器としてのデジタルスチルカメラを示す外観図。 第4実施形態に係る移動体としての自動車を示す外観図。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る電子デバイスを示し、(a)は平面外観図、(b)は(a)に示すA−A´部の概略断面図、(c)は(a)に示すB−B´部の概略断面図である。図1(c)に示すように、本実施形態に係る電子デバイス100は、第1基材10の主面10aと、第2基材20の主面20aと、が接合されて構成されるパッケージ30と、パッケージ30の内部に収納される第1機能素子200と、第2機能素子300と、を備えている。なお、説明の便宜上、図1では第1機能素子200および第2機能素子300の図示は簡略化しているが、詳細は後述する。
パッケージ30を構成する第1基材10および第2基材20としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、水晶基板などを用いることができる。好適には、第1基材10にはガラス基板を用い、第2基材にはシリコン基材を用いることにより、第1基材10の主面10aと、第2基材20の主面20aと、を陽極接合により接合することができる。本実施形態では、上述した第1基材10にはガラス基板を用い、第2基材20にはシリコン基板を用いた電子デバイス100を例示する。なお、第2基材20にガラス基板を用い、第1基材10をガラス基板とした場合、第1基材10の主面10aと第2基材の主面20aとはガラス接合により接合することができる。
本実施形態に係る電子デバイス100において、パッケージ30の内部に収納される第1機能素子200および第2機能素子300は、それぞれ異なる物理量を検出するセンサー素子が用いられている。すなわち、電子デバイス100は、複数の物理量検出センサーが同一パッケージ30に実装された複合センサーである。なお、第1機能素子200および第2機能素子300が、同じ物理量を検出するセンサー素子であってもよい。
第1基材10の主面10aには、第1機能素子200を支持し、第1機能素子200における可動部分を回避するように第1凹部11が形成され、また、第2機能素子300を支持し、第2機能素子300の可動部分を回避するように第2凹部12が形成されている。言い換えると、第1凹部11の開口周縁の主面10aに第1機能素子200が載置され、第2凹部12の開口周縁の主面10aに第2機能素子300が載置されている。
更に、第1基材10の主面10aには、複数の溝13が形成されている。図1(b),(c)に示すように、複数の溝13の溝底面13aには接続配線40が形成されている。接続配線40の一方の端部は、第1機能素子200および第2機能素子300の図示しない接続電極と電気的に接続されている。パッケージ30には、図1(a),(c)に示すように、第1基材10の主面10aが、第2基材20から露出する露出主面10bが構成され、溝13および溝13に形成される接続配線40は、露出主面10bまで延設されている。そして露出主面10bまで延設された接続配線40の端部には、外部との電気的な接続を行うための電極としての接続端子41が形成されている。
第2基材20の主面20aには、第1機能素子200が収容可能な大きさの第1凹部21と、第2機能素子300が収容可能な大きさの第2凹部22と、が形成されている。第2基材20の第1凹部21と、第1基材10の第1凹部11と、により第1内部空間部としての第1キャビティー31が構成され、第2基材20の第2凹部22と、第1基材10の第2凹部12と、により第2内部空間部としての第2キャビティー32が構成される。
上述したように、第1基材10に形成された溝13は、第1機能素子200および第2機能素子300の図示しない接続電極から、露出主面10bまで形成されていることにより、第1キャビティー31から延設される溝13と、第2キャビティーから延設される溝13と、は、第1基材10の主面10aと第2基材20の主面20aとの接合面30aの領域においては、各キャビティー31,32と、パッケージ30の外部と、を連通する第1連通部33として形成される。
また、第2基材20には、第2キャビティー32を構成する第2凹部22と、第2基材の主面20aの反対の面20cとを貫通する第2連通部23が、少なくとも1個、形成されている。第2連通部23は、反対の面20c側の開口が、第2凹部22側の開口より大きく形成され、錐状に形成されることが好ましい。
パッケージ30において、第1基材10の露出主面10bが露出する第2基材20の端部20bと、第1連通部33の外部開口33a(図1(c)に示すC部拡大図の図1(d)に示す)と、を覆うように第1の封止層としての封止膜50が形成されている。封止膜50としては、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate:オルトケイ酸テトラエチル<Si(OC254>)をプラズマCVD法により成膜し、形成することができる。なお、電気的な絶縁性を備える金属酸化膜、例えばSiO2、Al23など、であってもよい。
第1連通部33の外部開口33aを封止膜50により封止することにより、少なくとも第1キャビティー31は気密封止される。従って、封止膜50の成膜工程が、減圧環境下、もしくは真空環境下で行われることにより第1キャビティー31は減圧状態、もしくは真空状態とすることができる。
少なくとも第2基材20に形成された第2連通部23と、封止膜50と、を覆うように下地層としての金属膜60が成膜される。金属膜60は第2連通部23において、第2封止部材70によって密着封止できるようにする、いわゆるメタライズ膜60aとして成膜される。金属膜60としては、TiW、Au、Cr、Ti、Ptなど金属をスパッタリング、PVD、あるいはCVD法などによって成膜されるが、第2基材20との密着性の高いTiWもしくはCrが好適に用いられる。また、金属膜60は複数金属の積層膜としても良く、後述の第2封止部材70がAuGe半田ボールの場合は、第2封止部材70との接触面にはAuが形成されていることが好ましい。すなわち、金属膜60はTiWもしくはCrとAuの2層構成が好ましい。
メタライズ膜60aが成膜された第2連通部23に第2封止部材70が配置される。第2封止部材70は、例えば半田ボールを第2連通部23のメタライズ膜60a上に載置し、半田ボールにレーザーを照射、加熱によって溶融され、第2連通部23は気密封止される。半田ボールの材料としては、Au、Ge、Zn、Sn、Sb、等の金属や合金が用いられ、好適にはAuとGeの合金が用いられる。従って、第2連通部23によって連通される第2キャビティー32は、第2封止部材70による封止工程が、既に気密封止された第1キャビティー31と異なる環境下、例えば大気圧環境下で実施された場合、第2キャビティー32は大気圧状態で気密封止される。すなわち、第1キャビティー31と第2キャビティー32と、は異なる内部環境で気密封止することが可能な電子デバイス100を得ることができる。
更に、金属膜60は封止膜50を覆うように成膜され、第2の封止層としての封止部補強膜60bとして形成される。そして、封止膜50と封止部補強膜60bによって第1封止部材80が構成される。本実施形態に係る電子デバイス100では、封止部補強膜60bが封止膜50を覆うように形成されるが、封止部補強膜60bを形成せず、封止膜50のみで第1封止部材80を構成してもよい。また、封止部補強膜60bはメタライズ膜60aを形成する金属膜60の形成によって成膜されるが、これに限定されず、金属膜60とは異なる材料を1層、もしくは複数層、成膜して封止部補強膜60bとしてもよい。
次に、第1機能素子200としてジャイロセンサー素子、および第2機能素子300として加速度センサー素子を説明する。第1機能素子200(以下、ジャイロセンサー素子200という)、および第2機能素子300(以下、加速度センサー素子300という)は、第1基材10に接合されたシリコン基板を、MEMS技術を用いて加工することにより得られる。これにより、シリコン半導体デバイスの製造に用いられる微細な加工技術を適用することができ、小型のセンサー素子としてのジャイロセンサー素子200および加速度センサー素子300を得ることができる。
次にジャイロセンサー素子を説明する。図2は、ジャイロセンサー素子200を示す平面図である。図2に示すように、ジャイロセンサー素子200は、駆動系構造体210と、駆動用固定電極部220と、検出用固定電極部230と、固定部240と、を含むことができる。
ジャイロセンサー素子200は、上述したようにMEMS技術により第1基材10に接合された図示しないシリコン基板から形成され、リン、ボロン等の不純物をドーピングされて導電性が付与されている。そして、駆動系構造体210は、平面視(図示Z軸方向)において第1基材10の第1凹部11の周縁部を跨ぐように配置されて接合された固定部240によって、第1基材10に支持されている。これにより、駆動系構造体210は、第1凹部11の平面視領域においてX軸方向、およびY軸方向に移動可能となるように配置される。また、駆動系構造体210は、第1振動体211と、第2振動体212と、を有し、第1振動体211と第2振動体212とはX軸に沿って連結されている。なお、第1振動体211と第2振動体212とは、第1振動体211と第2振動体212との境界線L(Y軸に沿った直線)に対して対称の形状を有しているので、以下では第1振動体211の構成を説明し、第2振動体212の構成の説明は省略する。
第1振動体211は、駆動部250と、検出部260と、を備え、駆動部250は駆動用支持部251と、駆動用ばね部252と、駆動用可動電極部253と、を有している。そして、枠状の形状を有する駆動用支持部251の内側に検出部260が配置されている。駆動用支持部251は、X軸に沿って延在する第1延在部251aと、Y軸に沿って延在する第2延在部251bと、が枠状に連結されている。
駆動用ばね部252は、駆動用支持部251の外側に配置されている。図示の例では、駆動用ばね部252の一端は、駆動用支持部251における第1延在部251aと第2延在部251bとの接続部の近傍に接続され、他端は固定部240に接続されている。図示の例では、第1振動体211において、駆動用ばね部252は4箇所設けられ、各駆動用ばね部252は、4箇所の固定部240に接続され、第1基材10に対して支持されている。なお、第1振動体211と第2振動体212との境界線L上に配置される固定部240は、設けられていなくてもよい。
駆動用ばね部252は、Y軸方向に延在させながらX軸方向に蛇行させて形成され、駆動用支持部251に対してX軸、Y軸に対称となるように配置されている。このように駆動用ばね部252が形成、配置されることにより、駆動用支持部251がY軸方向、あるいはZ軸方向に移動する際の駆動用ばね部252のたわみ(伸縮)は抑制され、X軸方向への駆動用ばね部252のたわみ(伸縮)が容易になる。すなわち、後述するが、駆動用支持部251をX軸に沿って振動させることができる。なお、駆動用ばね部252は、駆動用支持部251をX軸方向に振動させることが可能であれば、その数、配置には限定されない。
駆動用可動電極部253は、駆動用支持部251の外側に、駆動用支持部251の第1延在部251aに接続されている。駆動用固定電極部220は、駆動用支持部251の外側に配置され、第1基材10の主面10a上に固定されている。駆動用固定電極部220は、駆動用可動電極部253を挟んで対向配置されている。なお、図示する本例では、駆動用固定電極部220は櫛歯状に突出部220aが備えられ、駆動用可動電極部253には、駆動用固定電極部220の櫛歯の間に配設可能なように突出部253aが備えられている。
駆動用固定電極部220と駆動用可動電極部253との間に交流電圧を印加し、両電極部間に静電力を発生させることにより、駆動用支持部251(駆動部250)がX軸に沿って振動させることができる。駆動用支持部251の振動は、駆動用ばね部252がX軸方向に伸縮可能に形成されていることにより、駆動部250が第1基材10に保持されながらも振動を維持することができる。そして、駆動用固定電極部220の突出部220aと、駆動用可動電極部253の突出部253aと、の間隙(ギャップ)を小さくすることにより、駆動用固定電極部220と、駆動用可動電極部253と、の間に作用する静電力を大きくすることができる。
なお、図示の例では駆動用可動電極部253は、第1振動体211に4つ設けられているが、駆動用支持部251をX軸に沿って振動させることができれば、駆動用可動電極部253の数は特に限定されない。また、駆動用固定電極部220は、駆動用可動電極部253を挟むように対向配置されているが、駆動用支持部251をX軸に沿って振動させることができれば、駆動用固定電極部220は、駆動用可動電極部253のどちらか一方側にのみ配置されていてもよい。
検出部260は、駆動用支持部251の内側に配置され、駆動部250に連結されている。検出部260は、検出用支持部261と、検出用ばね部262と、検出用可動電極部263と、を備えている。
検出用支持部261は、図示の例のように、X軸に沿って延在する第3延在部261aと、Y軸に沿って延在する第4延在部261bと、を枠状に接続した構成となっている。
検出用ばね部262は、検出用支持部261の外側に配置され、検出用支持部261と駆動用支持部251と、に接続されている。図示の例では、検出用ばね部262の一端は、検出用支持部261の第3延在部261aと第4延在部261bとの接続部(角部)近傍とに接続され、検出用ばね部262の他端は、駆動用支持部251の第1延在部251aに接続されている。
検出用ばね部262は、X軸方向に延在させながらY軸方向に蛇行させて形成され、検出用支持部261に対してX軸、Y軸に対称となる様に配置されている。このように検出用ばね部262が形成、配置されることにより。検出用支持部261がX軸方向、あるいはZ軸方向に移動する際の検出用ばね部262のたわみ(伸縮)は抑制され、Y軸方向への検出用ばね部262のたわみ(伸縮)が容易になる。すなわち、後述するが、検出用支持部261のY軸に沿って付加される外力、いわゆる駆動部250を振動させた状態においてジャイロセンサー素子200に付加される角速度によって生じるコリオリ力、によって容易に検出用支持部261をY軸に沿って移動させることができる。なお、検出用ばね部262は、検出用支持部261をY軸に沿って移動可能であれば、その数に限定されない。
検出用可動電極部263は、検出用支持部261の内側に配置され、X軸に沿って延在し、第4延在部261bに接続されている。そして、検出用支持部261の内側領域に、第1基材10に固定された検出用固定電極部230が、検出用可動電極部263に離間して挟まれるように配置されている。言い換えれば、検出用可動電極部263は、検出用固定電極部230を挟んで対向配置されている。
そして、検出部260のY軸方向の移動に伴う、検出用固定電極部230と検出用可動電極部263と、の間の静電容量の変化によって検出部260のY軸方向の移動を検出する。なお、検出用可動電極部263、および検出用固定電極部230の数、形状、および配置は、検出用可動電極部263とおよび検出用固定電極部230と、の間の静電容量の変化を検出することができれば、特に限定はない。
上述したジャイロセンサー素子200に備える駆動系構造体210と、駆動用固定電極部220と、検出用固定電極部230と、は接続配線40によって図示しない接続端子41(図1参照)に電気的に接続されている。そして、図2に示すD−D´部の断面図である図3に示すように、接続配線40は、第1基材10に形成された溝13内に配置、形成されている。
加速度センサー素子300を説明する。図4は、加速度センサー素子300を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に示すE−E´部の断面図である。図4(a)に示す加速度センサー素子300は、第1基材10の主面10aに接合される固定部311,312と、連結部321,322と、可動部330と、可動電極部340と、固定電極部351,352と、を含むことができる。
固定部311,312は、第1基材10の主面10aに接合されている。図4(a)に図示する例では、固定部311,312は、平面視(図示Z軸方向)において第1基材10の第2凹部12の周縁部を跨ぐように配置されている。また、固定部311は、第1基材10に形成された溝13に配設された接続配線40aと電気的に接続され、図1に示す接続端子41に接続されている。
可動部330は、固定部311と固定部312との間に設けられ、図4(a)に図示する例では、X軸に沿った長辺を有する矩形の平面形状を有している。
可動部330と固定部311,312は、連結部321,322によって連結されている。連結部321,322は、所望のばね定数を持ち、固定部311,312に対してX軸方向に可動部330が移動可能となるように連結している。図4(a)に図示する例では、連結部321は、X軸方向に形成された複数の梁321aと、Y軸方向に形成された複数の梁321bと、がX軸方向に蛇行するように接続されて構成されている。同様に、連結部322は、X軸方向に形成された複数の梁322aと、Y軸方向に形成された複数の梁322bと、がX軸方向に蛇行するように接続されて構成されている。
また、可動部330には、複数の可動電極部340が接続されている。可動電極部340は、可動部330からY(+)方向、およびY(−)方向に延出し、いわゆる櫛歯状をなすようにX軸方向に配置されている。
固定電極部351,352は、一方の端部を固定端として第1基材10の主面10aに接合され、他方の端部が自由端として可動部330側へ延出するように複数設けられている。固定電極部351は、第1基材10に形成された溝13に配設された接続配線40bと電気的に接続され、固定電極部352は、第1基材10に形成された溝13に配設された接続配線40cと電気的に接続され、図1に示す接続端子41に接続されている。固定電極部351,352は、可動電極部340に対して所定の間隔を隔てて、可動電極部340のX(−)方向側の一方に固定電極部351が配置され、他方のX(+)方向側には固定電極部352が配置されるよう、可動電極部340に対して固定電極部351,352は対向配置されている。
上述したように、固定部311,312と、連結部321,322と、可動部330と、可動電極部340と、は一体的に形成されている。また、固定部311,312と、連結部321,322と、可動部330と、可動電極部340と、固定電極部351,352とを含む加速度センサー素子300は、上述したようにMEMS技術により第1基材10に接合された図示しないシリコン基板から形成され、リン、ボロン等の不純物をドーピングされて導電性が付与されている。
可動部330は、図示するX軸方向の加速度の変化に応じて、連結部321,322を弾性変形させながら、X軸方向(X(+)方向またはX(−)方向)に変化する。この様な変位に伴って、可動電極部340と固定電極部351との隙間、および可動電極部340と固定電極部352との隙間、の大きさが変化する。この隙間の大きさの変化に伴って、可動電極部340と固定電極部351との間の静電容量、および可動電極部340と固定電極部352との間の静電容量、の大きさが変化する。電子デバイス100では、この加速度センサー素子300における静電容量の変化を接続端子41によって検出することにより、X軸方向の加速度を計測することができる。
次にジャイロセンサー素子200の動作について説明する。図5、図6は本実施形態に係る電子デバイス100に備えるジャイロセンサー素子(第1機能素子)200の動作を説明するための図である。なお、説明の便宜上、図5、図6は、ジャイロセンサー素子200の各構成要素を簡略化して描画している。
駆動用固定電極部220および駆動用可動電極部253は、図示しない交流電源から電圧が印加されると、駆動用固定電極部220と駆動用可動電極部253との間に静電力が発生する。これにより、図5(a)および図5(b)に示すように、駆動用ばね部252がX軸に沿って伸縮させられ、駆動部250がX軸に沿って振動する。すなわち、第1振動体211の駆動用可動電極部253と駆動用固定電極部220と、の間に印加される交番電圧と、第2振動体212の駆動用可動電極部253と駆動用固定電極部220と、の間に印加される交番電圧と、に180度の位相のずれを与える。これにより、第1振動体211と、第2振動体212と、を互いに逆位相、且つ所定の周波数で、X軸に沿って振動させることができる。
図5(a)に示すジャイロセンサー素子200の状態においては、第1振動体211と、第2振動体212と、がX軸に沿って互いに離間する方向のα1方向に移動し、図5(b)に示すジャイロセンサー素子200の状態においては、第1振動体211と、第2振動体212と、がX軸に沿って互いに近接する方向のα2方向に移動する。このα1方向と、α2方向と、を所定の周波数で交互に繰り返す振動が励振されている。
上述した、第1振動体211および第2振動体212が所定の振動数にて振動している状態において、Z軸周りの角速度ωが付加されると、コリオリ力がジャイロセンサー素子200に働き、検出部260は、Y軸に沿って変位する。すなわち、図6(a)に示すように第1振動体211および第2振動体212がα1の方向に励振されている状態において、第1振動体211に備える検出部260には、Y(+)方向のβ1方向に変位させる力が生じ、第2振動体212に備える検出部260には、Y(−)方向のβ2方向に変位させる力が生じる。この変位によって、検出用固定電極部230と検出用可動電極部263との間隔が変位し、静電容量が変化する。
また図6(b)に示すように第1振動体211および第2振動体212がα2の方向に励振されている状態において、第1振動体211に備える検出部260には、Y(−)方向のβ2方向に変位させる力が生じ、第2振動体212に備える検出部260には、Y(+)方向のβ1方向に変位させる力が生じる。この変位によって、検出用固定電極部230と検出用可動電極部263との間隔が変位し、静電容量が変化する。
このように、検出部260がY軸に沿って変位することによる静電容量の変化を検出することにより、角速度ωを検出することができるジャイロセンサー素子200が得られる。
上述したジャイロセンサー素子200および加速度センサー素子300では、所望の性能を得るために、第1キャビティー31および第2キャビティー32(図1参照)の内部を次の環境となるように形成される。
ジャイロセンサー素子200では、駆動部250は高周波数による振動が励振された状態を維持されることで、より正確な角速度を検出することができる。従って、駆動部250の高周波振動を妨げないように、ジャイロセンサー素子200が収納される第1キャビティー31の内部雰囲気は、減圧(真空)雰囲気にすることで、良好な角速度検出特性を備える電子デバイス100を得ることができる。
また、加速度センサー素子300が収容される第2キャビティー32では、電子デバイス100に加速度が付加されると、加速度センサー素子300の可動部330が変位し、固定電極部351,352と可動電極部340と、が相対的に近接あるいは離間する(図4参照)。そして、加速度から開放される、図4に示すような定常位置に、短時間に戻すように可動部330の変位を減衰させることが必要になる。そこで、第2キャビティー32の内部雰囲気に気体分子、例えば酸素と窒素とからなる空気、もしくはアルゴンなどの不活性ガスを大気圧環境で充填することにより、充填された気体の気体粘性によって可動部330の動作(振動)を減衰させ、短時間で可動部330を定常位置に戻すことができる。従って、良好な加速度検出特性を備える電子デバイス100を得ることができる。
このように、動作環境が異なる素子を、一つのパッケージに収納した電子デバイス100を得る製造方法の概略を図7により説明する。
〔基板準備〕
先ず、図7(a)に示すように、第1基材10が複数形成された第1基板10Aと、第2基材20が複数形成された第2基板20Aと、を準備する。第1基板10Aは、予め第1凹部11と第2凹部12と、接続配線40および接続端子41が配設される溝13と、溝13に接続配線40および接続端子41と、が形成されている。そして、第1基板10Aの主面10aには、図示しない、第1機能素子200および第2機能素子300に形成されるシリコン基板が固着され、MEMS技術によって第1凹部11に対応するシリコン基板の領域に第1機能素子としてのジャイロセンサー素子200と、第2凹部12に対応するシリコン基板の領域に第2機能素子としての加速度センサー素子300と、が形成されている。第1機能素子200と第2機能素子300を同一基板上に形成するため、フォトリソグラフィー法を用いて寸法精度が高い製法で形成することができる。すなわち、高い軸精度で複数の物理量センサーを形成できるため、多軸感度を抑えた高精度な電子デバイスを実現することができる。
第2基板20Aには第1凹部21と、第2凹部22と、第2連通部23と、が形成されている。更に、第1連通部33の外部開口33a(図1参照)を構成する貫通部24と、電子デバイス100に個片化した際に接続端子41を露出させるための第3凹部25と、が形成されている。なお、本実施形態の電子デバイス100は、第1基材10となる第1基板10Aはガラスから形成され、第2基材20となる第2基板20Aはシリコンから形成され、共にウエハー基板に形成されている。
〔基板接合〕
図7(a)に示す、準備された第1基板10Aおよび第2基板20Aを、図7(b)に示すように接合しパッケージ基板30Aを得る。接合は、第1基板10Aの主面10aと、第2基板20Aの主面20aと、を合わせるように接合する。接合は、陽極接合装置を用い、接合温度300℃〜500℃、印加電圧400V〜1000Vの加工条件にて行うことで、好適な接合強度を備えるパッケージ基板30Aを得ることができる。
〔第1封止〕
次に、図7(b)に示す基板接合によって生じた第1連通部33の外部開口33aを封止する。図7(c)に示すように、第2基板20Aの貫通部24が露出する開口部400aが形成されたマスク400を、パッケージ基板30Aの第2基板20A側に載置、固定し、プラズマCVD装置によって、マスク400の開口部400aに露出した貫通部24の面に封止膜50(図1(c)参照)となる絶縁膜50Aを形成する。絶縁膜50Aの形成は、プラズマCVDは減圧もしくは真空環境下で処理される。従って、パッケージ基板30Aに形成された第1キャビティー31の内部は、外部開口33aを介して減圧もしくは真空状態となる。そして、外部開口33aが封止膜50によって気密封止されることにより、第1キャビティー31は減圧もしくは真空状態に維持される。
絶縁膜50Aとしては、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate:オルトケイ酸テトラエチル<Si(OC254>)をプラズマCVD法により成膜し、形成することができる。なお、電気的な絶縁性を備える金属酸化膜、例えばSiO2、Al23など、であってもよい。なお、マスク400は、本実施形態ではシリコン基板から形成されているが、これに限定されず、例えばステンレスなどの金属マスク、あるいは樹脂マスクであってもよい。
なお、第2キャビティー32の内部も、絶縁膜50Aの形成時には減圧もしくは真空状態となるが、第2連通部23が未封止であることから、絶縁膜50Aの形成が終了すると、外部気圧の環境に戻ることとなる。
〔金属膜成膜(メタライズ膜成膜)〕
次に、図7(d)に示すように。第2基板20Aの表面に、金属層60Aが形成される。金属層60Aは、電子デバイス100における、第2連通部23のメタライズ膜60a、および第1封止部材80を構成する封止部補強膜60bを含む層である(図1(c)参照)。金属層60Aとしては、TiW、Au、Cr、Ti、Ptなど金属をスパッタリング、PVD、あるいはCVD法などによって成膜されるが、第2基材20との密着性の高いTiWもしくはCrが好適に用いられる。また、後述の第2封止部材70にAuGe半田ボールを用いる場合、金属層60Aは最表面にAuを成膜した2層構造にすることが好ましい。
〔第2封止〕
次に、図7(e)に示すように、金属層60Aに含むメタライズ膜60aが成膜された第2連通部23を、第2封止部材70によって気密封止される。第2封止部材70は、本実施形態では、半田ボールにレーザーを照射、溶融させ第2連通部23を気密封止する。半田ボールの材料としては、Au、Ge、Zn、Sn、Sb、等の金属や合金が用いられ、好適にはAuとGeの合金が用いられる。このとき、大気圧での不活性ガス雰囲気中でAuGe半田ボールを溶融させることが好ましく、メタライズ膜60aとAuGeとの高い密着性を得ることができる。なお、不活性ガスとして、窒素、アルゴンなどが好適に用いられる。
このように、図7(c)に示す第1封止によって第1キャビティー31が減圧もしくは真空環境に気密封止された後に、第2キャビティー32の第2連通部23を大気圧での不活性ガス雰囲気中で気密封止することにより、第2キャビティー32の内部には大気圧で不活性ガスが充填された状態となっている。すなわち、第1キャビティー31と第2キャビティー32と、は異なる内部環境で気密封止することが可能な電子デバイス100を得ることができる。
〔第1ダイシング(ハーフダイシング)〕
図7(e)に示す第2封止の後、図8(f)に示すように第1ダイシングとしてハーフダイシングが行われる。ハーフダイシングは、図8(f)に示すように、ダイシングカッター500を、第2基板20Aの第3凹部25が形成されている領域において、第3凹部25まで貫通するように金属層60Aと、絶縁膜50Aと、第2基板20Aと、に切断部ダイシング(切断)する。
図8(f)におけるF部の概略拡大図である図8(g)に示すように、このとき第1基板10Aの主面10aにダイシングカッター500の先端500aを到達させない、いわゆるハーフダイシングによって、切込部26が形成される。
〔第2ダイシング〕
次に、パッケージ基板30Aから電子デバイス100に個片化する第2ダイシングが行われる。第2ダイシングは図8(h)に示すように、ダイシングカッター510によって、パッケージ基板30Aは個片化され、電子デバイス100が得られる。このとき、第2基板20Aに形成された第3凹部25を構成していた部分が切断片27となって、パッケージ基板30Aより離脱し、露出主面10bおよび接続端子41が露出される。
このように形成される電子デバイス100は、図8(h)に示すG部の拡大図である図8(j)に示すように、第1封止部材80には、図8(f)に示す第1ダイシング(ハーフダイシング)によって残留する残留封止部80aを有していてもよい。
上述したように、図7(c)に示す第1封止によって、第1キャビティー31内部が減圧もしくは真空環境で気密封止された後、図7(e)に示す第2封止によって、第2キャビティー32内部が大気圧で不活性気体が気密封止される。本実施形態に係る電子デバイス100では、減圧もしくは真空環境で維持される第1キャビティー31内部にはジャイロセンサー素子200が収容され、大気圧気体環境で維持される第2キャビティー32内部には加速度センサー素子300が収容されているので、安定した角速度検出および加速度検出が可能となる内部環境の異なる複数のキャビティーを備える電子デバイスを、容易に得ることができる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る電子デバイスを示し、(a)はモールド部材を省略した平面図、(b)は(a)に示すH−H´部の断面図である。図9に示す電子デバイス1000(以下、電子モジュール1000という)は、ベース基板1100に接合された、第1実施形態に係る第1機能素子としてのジャイロセンサー素子200と第2機能素子としての加速度センサー素子300と、を含む電子デバイス100を備える。
更に電子デバイス100の第2基材20表面に成膜された金属膜60上に、半導体素子1200が接合されている。電子デバイス100と半導体素子1200の接合には主にエポキシ系の樹脂接着剤等が用いられる。半導体素子1200は、図示しない電子デバイス100のジャイロセンサー素子200を駆動させる駆動回路部と、ジャイロセンサー素子200からの検出信号から角速度を演算する角速度演算回路部と、加速度センサー素子300からの検出信号から加速度を演算する加速度演算回路部と、を少なくとも備えている。そして、ベース基板1100に備える電子デバイス100と、半導体素子1200と、を覆うようにモールド部材1300が形成されている。
ベース基板1100は、図9(a)に示すように、矩形形状の平面形状を有する板状の電気絶縁性の材料、例えばセラミックス基板、エポキシ樹脂基板、などが好ましい。本実施形態に係る電子モジュール1000では、セラミックス基板を用いたベース基板1100を例に説明する。
ベース基板1100の電子デバイス100が載置され接合される面1100a(以下、載置面1100aという)に、電子デバイス100がエポキシ系の樹脂接着剤などを用いて接合されている。また、載置面1100aには、複数の基板接続端子1110が形成され、載置面1100aの反対の面となる外面1100bには、図示しない外部基板に備える電極と接続するための外部接続端子1120が形成され、基板接続端子1110と外部接続端子1120と、は図示しないベース基板1100内部に形成された配線により電気的に繋がっている。
半導体素子1200には、電子デバイス100に備える複数の接続端子41と、ボンディングワイヤー1410によって接続される複数の接続パッド1200aを備えている。更に、半導体素子1200には、ベース基板1100の載置面1100aに形成された基板接続端子1110と、ボンディングワイヤー1420によって接続される複数の接続パッド1200bと、を備えている。
上述した電子モジュール1000によれば、複数の機能素子を備える第1実施形態に係る電子デバイス100を備え、電子デバイス100を駆動し、更に電子デバイス100からの検出信号を演算する、各回路部を備える半導体素子1200を備えることにより、複数の物理量を検出する小型の電子デバイスとしての電子モジュールを得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る電子機器として、第1実施形態および第2実施形態に係る電子デバイス100、もしくは第2実施形態に係る電子デバイス1000を備えるスマートフォンおよびデジタルスチルカメラについて説明する。なお、本実施形態では第2実施形態に係る電子デバイス1000を例示して説明するが、第1実施形態にかかる電子デバイス100が組み込まれた電子回路基板を備える形態のスマートフォンおよびデジタルスチルカメラであってもよい。
図10はスマートフォン2000を示す外観図である。スマートフォン2000には、スマートフォン2000の姿勢を検出する電子デバイス1000が組み込まれている。電子デバイス1000が組み込まれることにより、いわゆるモーションセンシングが実施され、スマートフォン2000の姿勢を検出することができる。電子デバイス1000の検出信号は、例えばマイクロコンピューターチップ2100(以下、MPU2100という)に供給され、MPU2100はモーションセンシングに応じてさまざまな処理を実行することができる。その他、モーションセンシングは、携帯電話機、携帯型ゲーム機、ゲームコントローラー、カーナビゲーションシステム、ポインティングシステム、ヘッドマウンティングディスプレイ、タブレットパソコンなどの電子機器で電子デバイス1000を組み込むことにより、利用することができる。
図11はデジタルスチルカメラ3000(以下、カメラ3000という)を示す外観図である。カメラ3000には、カメラ3000の姿勢を検出する電子デバイス1000が組み込まれている。組み込まれた電子デバイス1000の検出信号は手ぶれ補正装置3100に供給される。手ぶれ補正装置3100は電子デバイス1000の検出信号に応じて、例えばレンズセット3200内の特定のレンズを移動させ、手ぶれによる画像不良を抑制することができる。また、デジタルビデオカメラへ電子デバイス1000および手ぶれ補正装置3100を組み込むことによりカメラ3000と同様に手ぶれの補正をすることができる。
(第4実施形態)
第1実施形態に係る電子デバイス100、もしくは第2実施形態に係る電子デバイス1000を備える第4実施形態としての移動体の具体例として、自動車について説明する。図12は、第4実施形態に係る自動車4000の外観図である。図12に示すように、自動車4000には電子デバイス1000が組み込まれている。電子デバイス1000は車体4100の姿勢を検出する。電子デバイス1000の検出信号は車体姿勢制御装置4200に供給される。車体姿勢制御装置4200は供給された信号に基づき車体4100の姿勢状態を演算し、例えば車体4100の姿勢に応じた緩衝装置(いわゆるサスペンション)の硬軟を制御したり、個々の車輪4300の制動力を制御したりすることができる。このような電子デバイス1000を用いた姿勢制御は、二足歩行ロボット、航空機、あるいはラジコンヘリコプターなどの玩具に利用することができる。
10…第1基材、20…第2基材、30…パッケージ、40…接続配線、50…封止膜、60…金属膜、70…第2封止部材、80…第1封止部材、100…電子デバイス、200第1機能素子、300…第2機能素子。

Claims (8)

  1. 第1基材と、
    前記第1基材に接合されている第2基材と、
    前記第1基材と前記第2基材との間に、少なくとも第1内部空間部と第2内部空間部とが設けられ、
    前記第1内部空間部に収納されている第1機能素子と、前記第2内部空間部に収納されている第2機能素子と、を備え、
    前記第1基材と前記第2基材との接合部には、前記第1内部空間部から、前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部に連通する第1連通部を備え、
    前記第1基材と前記第2基材と、の接合領域の外部には、電極が設けられ、
    前記第1連通部には、前記第1機能素子と、前記電極と、が電気的に接続された接続配線が設けられ、
    前記第1連通部の前記第1基材と前記第2基材と、の接合領域の外部への開口を封止する第1封止部材を備えている、
    ことを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記第2基材の前記第2内部空間部を形成する領域に、前記第2基材の外部と連通する第2連通部を備え、
    前記第2連通部を封止する第2封止部材を備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記第1内部空間部と、前記第2内部空間部と、の内部圧力が異なっている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス。
  4. 前記第1封止部材は、
    前記第1連通部の前記第1基材と前記第2基材の接合領域の外部への開口を封止する第1の封止層と、
    前記第1の封止層の少なくとも一部を覆うように設けられている第2の封止層と、を少なくとも備えている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  5. 前記第2の封止層は、前記第2連通部に設けられている下地層から延設されている、
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  6. 前記第1機能素子および前記第2機能素子を駆動させる回路部を備えている、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の電子デバイスを備えている、
    ことを特徴とする電子機器。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の電子デバイス、もしくは電子機器を備えている、
    ことを特徴とする移動体。
JP2013173036A 2013-08-23 2013-08-23 電子デバイス、電子機器および移動体 Pending JP2015040812A (ja)

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