JP2015040508A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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弘樹 稲田
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Abstract

【課題】吸気バルブの異常を正確に検出ことができる内燃機関の可変動弁装置を提供すること。
【解決手段】内燃機関の可変動弁装置において、支持軸14に揺動自在に支持され、揺動動作に伴って吸気バルブ1を開閉動作させるロッカアーム5と、中間部がロッカアーム5に支持され、第1入力ローラ18と第2入力ローラ20とを有する揺動アーム6と、第1入力ローラ18の近傍に配置されたカム軸7に固定され、第1入力ローラ18に接触して吸気バルブ1の開閉を可能とするカム22と、第2入力ローラ20の位置を変位可能にするタペット8と、前記吸気バルブ1が開弁状態にあるとき、タペット8を動作させて第2入力ローラ20の位置を変位させ、吸気バルブ1の開弁中にタペット8を変位させない場合、又は吸気バルブ1を休止状態となるように制御する場合、に吸気バルブ1の異常を検出する異常診断制御部45を、備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両に適用される内燃機関の可変動弁装置の制御装置に関し、特に吸気バルブの開弁状態を所望の状態に制御する可変動弁装置に関する。
従来、内燃機関の可変動弁装置においては、カムシャフトとは異なる軸に、カムシャフトのカムと接触する入力部と、吸気バルを設けたロッカアームに接触する出力部と、が揺動可能に軸支されている。この可変動弁装置では、カムが入力部を駆動させると出力部がロッカアームを駆動させるように構成された仲介駆動機構を有する。この可変動弁装置では、仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差を変更する仲介位相差可変手段を備える。そして、仲介位相差可変手段は、入力部に対する出力部の位相を変更して吸気バルブのリフト量を変化させる、所謂ロストモーション機構を実現するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−263015号公報
上記のような可変動弁装置においては、オイルの経年劣化や装置の使用に伴う機械部品の磨耗などにより、吸気バルブが所望の時期に動作しなくなる恐れがある。具体的には、例えばオイルが劣化した場合、制御装置が仲介位相可変手段に吸気バルブの制御を開始するよう信号を送信したとしても、油圧が十分に上昇するまでに時間がかかる。したがって、制御動作の開始時期が遅延する恐れがある。このように、可変動弁装置の異常を正確に検出する必要があるが、制御中に可変動弁装置の動作を検出することは困難であり、正確に異常の検出ができないという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、吸気バルブの異常を正確に検出することができる内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、内燃機関の可変動弁装置において、支持軸に揺動自在に支持され、揺動動作に伴って吸気バルブを開閉動作させる第1揺動腕と、この第1揺動腕に対して、中間部が回転軸で回転自在に支持され、かつ回転軸を挟んで互いに反対側に位置する第1接触部と第2接触部とを有する第2揺動腕と、第1接触部の近傍に配置されたカム軸に固定され、第1接触部に接触して吸気バルブの開閉を可能とするカムと、第2接触部の位置を変位可能にする可動部材と、吸気バルブが開弁状態にあるとき、可動部材を動作させて第2接触部の位置を変位させ、吸気バルブの開弁状態を制御する可動部材制御部と、を備え、この可動部材制御部は、この可動部材制御部が吸気バルブの開弁中に可動部材を変位させない場合、又はこの可動部材制御部が吸気バルブを休止状態となるように可動部材を制御する場合、に吸気バルブの異常を検出する異常診断制御部、を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様は、内燃機関は、複数の気筒を有する多気筒内燃機関であり、可動部材制御部は、異常診断制御部が前記吸気バルブの異常を検出した後、吸気バルブの休止させる制御を行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、可動部材制御部は、可動部材を制御して、休止された吸気バルブとは別の吸気バルブの吸気量を増加させることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、吸気バルブのリフト量を検出するリフト量検出装置を備え、カムは、吸気バルブを開弁させる作用部と、吸気バルブを閉弁させるベース部と、を備え、異常診断制御部は、作用部が第1接触部に接触しているときに、リフト量検出装置を制御して吸気バルブのリフト量を検出し、かつ検出したリフト量が設定値との間に差があるとき、異常があることを判定することを特徴とする。
本発明の第5の態様は、作用部が第1接触部に接触を開始する位置からリフト量を検出する位置までの到達時間を、内燃機関の回転数に応じて算出する測定位置到達時間算出部と、測定位置到達時間算出部が算出した到達時間を計時する計時部と、を備え、到達時間が計時されたとき、リフト量検出装置がリフト量を検出することを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る内燃機関の可変動弁装置によれば、異常診断制御部が、吸気バルブの動作が安定している制御状態において異常診断を実行することができるため、正確な診断を行うことができる。
本発明の第2の態様に係る内燃機関の可変動弁装置によれば、異常が検出された吸気バルブは、直ちに休止されるため、制御が困難となった吸気バルブが内燃機関に及ぼす影響を軽減することができる。
本発明の第3の態様に係る内燃機関の可変動弁装置によれば、休止された吸気バルブとは別の吸気バルブの吸気量を増加させることで、他の気筒の出力を向上させ、出力の低下を防止することができる。
本発明の第4の態様に係る内燃機関の可変動弁装置によれば、吸気バルブの異常を正確に診断できる。
本発明の第5の態様に係る内燃機関の可変動弁装置によれば、内燃機関の回転数がいかなる場合であっても、異常診断を正確に実行することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の正面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の要部断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の制御系を示すブロック図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の正面図であり、吸気バルブが最大リフト量となった状態を示す。 図5は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の正面図あり、リフト量Ln1となった状態を示す正面図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の正面図であり、リフト量が最大リフト量となる前に吸気バルブがバルブシートに着座した状態を示す。 図7は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置に適用された油圧アクチュエータにおいてソレノイドバルブが開弁された状態を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置に適用された油圧アクチュエータにおいてソレノイドバルブが閉弁された状態を示す断面図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の正面図であり、カムのリフト量が最大リフト量となる部分が通り過ぎたときに既に吸気バルブがバルブシートに着座している状態を示す。 図10は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置に適用された油圧アクチュエータにおいてソレノイドバルブが開弁されてタペットが突出する方向に付勢されている状態を示す断面図である。 図11は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の基本的な制御動作を示すフローチャートである。 図12は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の吸気量制御を示すフローチャートである。 図13は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置によるバルブ制御領域か否かを判定するために用いられる、内燃機関負荷と回転数との関係を含むマップを示す説明図である。 図14は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置により吸気バルブ開弁時間を算出するために用いられる、内燃機関回転数と目標吸気量との関係を含むマップを示す説明図である。 図15は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置によるリフト量測定制御を示すフローチャートである。 図16は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置による異常診断制御を示す第1のフローチャートである。 図17は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置による異常診断制御を示す第2のフローチャートである。 図18は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置による開弁時間設定制御を示すフローチャートである。 図19は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置による油圧弁制御を示すフローチャートである。 図20は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置による閉弁制御を示すフローチャートである。 図21は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置により制御された吸気バルブのリフト量、オイル通路切り替えソレノイドの「ON」「OFF」およびギャップセンサの出力を、クランク角に沿って示すタイミングチャートである。
以下に、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の詳細を図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る可変動弁装置は、電子スロットルとしてスロットルバルブの開度によって吸入空気量を制御する場合と、電子スロットルは全開の状態にして吸気バルブのリフト量で吸入空気量を制御する場合と、を有する。まず、本発明の実施の形態に係る可変動弁装置の説明に先駆けて、この可変動弁装置が適用される吸気バルブ1の構成について説明する。
(吸気バルブ)
図1に示すように、吸気バルブ1は、内燃機関101に設けられている。吸気バルブ1は、図示しないシリンダヘッド側のバルブガイドで軸方向に進退可能に設けられている。吸気バルブ1は、上端がバルブリテーナ2で支持されたバルブスプリング3により引き上げる方向(吸気ポートと燃焼室とを閉じる方向)に付勢されている。吸気バルブ1は、閉弁時にシリンダヘッド側に設けられたバルブシート(弁座)4に接触している。
[可変動弁装置]
図1に示すように、可変動弁装置100は、第1揺動腕としてのロッカアーム5と、第2揺動腕としての揺動アーム6と、カム軸7と、可動部材としてのタペット8と、リフト量検出装置としてのギャップセンサ9と、油圧アクチュエータ10と、アキュムレータとしてのオイルリザーブタンク32と、油圧弁としてのソレノイドバルブ12と、可動部材制御部43(図3参照)、異常診断制御部45と、を含むエンジンコントロールモジュール(以下、ECMと云う。)40と、を備える。
(ロッカアーム)
図1に示すように、ロッカアーム5は、図示しないシリンダヘッド側に対して、一端側の第1端部5Aが支持軸14で揺動自在に支持されている。ロッカアーム5の他端側の第2端部5Bには、吸気バルブ1の上端に当接するアジャストスクリュー15が下方に突出するようにロックナット16で締結されている。このため、吸気バルブ1は、支持軸14を支点とするロッカアーム5の揺動動作により、バルブ開閉動作を行う。ロッカアーム5の第1端部5Aの近傍には、図示しないシリンダヘッド側に設けられたギャップセンサ9と対向する位置に被検出部5Cが設けられている。
(揺動アーム)
図1に示すように、揺動アーム6は、中間部6Aが、ロッカアーム5の中間部(長手方向の中央)に5D対して回転軸としての支点アームピン17で軸支されている。この揺動アーム6は、一端部に、第1接触部としての円筒状の第1入力ローラ18が設けられている。この第1入力ローラ18は、揺動アーム6の一端部に、第1ローラピン19で回転自在に軸支されている。また、揺動アーム6の他端部に、第2接触部としての円筒状の第2入力ローラ20が設けられている。この第2入力ローラ20は、第2ローラピン21で回転自在に軸支されている。
このように、揺動アーム6は、支点アームピン17を挟んで互いに反対側に位置する第1入力ローラ(第1接触部)18と、第2入力ローラ(第2接触部)20とを有する。第1入力ローラ18は、カム軸7のカム22のカム面が常時接触するように設定されている。第2入力ローラ20は、後述する油圧アクチュエータ10のタペット8に常時接触するように設定されている。
(カム軸)
図1に示すように、カム軸7は、図示しないシリンダヘッド側の軸受け部に回転自在に支持され、図示しないチェーンやベルトなどにより図示しないクランクシャフトと連動して回転するようになっている。カム軸7は、ロッカアーム5の支持軸14と平行に配置されている。カム軸7の回転数は、例えば図示しないクランクシャフトの回転数の1/2となるように設定されている。カム22は、基礎となるベース円部(ベース部)22Aと、ベース円部22Aより外側へ膨出するように形成された作用部としてのノーズ部22Bと、を有する。カム22は、第1入力ローラ18に接触してこの第1入力ローラ18を変位させることより、揺動アーム6を介してロッカアーム5を揺動させるようになっている。このカム22のカム軸7に対する配置状態により、図示しないクランクシャフトの動作に伴って動作する吸気バルブ1のリフト開始のタイミングが規定されている。
(タペットを備える油圧アクチュエータ)
図2に示すように、本実施の形態で用いる油圧アクチュエータ10は、内部に第1油圧室構成管23Aを備える円筒容器状のガイド筒23と、第1油圧室構成管23Aにスライド自在に嵌め込まれた第2油圧室構成管24Aを備えたピストン24と、ピストン24を収納した状態でガイド筒23にスライド自在に嵌め込まれた円筒容器状のタペット8と、ガイド筒23とピストン22との間に介在されピストン22およびタペット8をガイド筒23から突出する方向に付勢するリターンスプリング25と、ガイド筒23の上部に設けられ第1油圧室構成管23Aに連通するオイル通路ケース26と、オイル通路ケース26に設けられたチェックバルブ27と、チェックバルブ27を介してオイル通路ケース26に連通するオイル供給通路28と、オイル供給通路28に接続されたオイルポンプ29と、を備えて構成されている。
タペット8は、第2入力ローラ20に接触して、この第2入力ローラ20を支持し、かつ変位動作を行う。このようにタペット8が変位動作を行うことにより、揺動アーム6およびロッカアーム5を介して吸気バルブ1のリフト量を変更させることが可能である。
第1油圧室構成管23Aと第2油圧室構成管24Aとで形成される内部空間は、油圧室30を構成している。オイル通路ケース26の上部には、オイル供給通路28に連通する入口部26Aが形成されている。また、オイル通路ケース26の側部には、出口部26Bが形成されている。この出口部26Bには、作動油の流通が可能なオイルリリーフ通路31が連通している。
チェックバルブ27は、チェックボール27Aと、このチェックボール27Aを保持する中央に流通孔が形成されたすり鉢状のボール保持部26Cと、チェックボール27Aの下流側に配置されたチェックボールリテーナ27Bと、このチェックボールリテーナ27Bとガイド筒23との間に介在されてチェックボールリテーナ27Bを押し上げるように付勢されているチェックボール用リターンスプリング27Cと、備えている。
(オイルリザーブタンクおよびソレノイドバルブ)
図2に示すように、オイルリリーフ通路31には、オイルリザーブタンク32が接続されている。このオイルリザーブタンク32は、下部にオイルリリーフ通路31が連通するシリンダ33と、このシリンダ33内に収納されたピストン34と、シリンダ33の上部内壁とピストン34との間に介在されピストン34をシリンダ33の下部内壁へ向けて付勢するスプリング35と、備えて構成されている。シリンダ33の上部には、エア抜き孔33Aが形成されている。また、シリンダ33の側壁33Bの所定の高さ位置には、オイルリリーフ孔33Cが形成されている。
オイルリリーフ通路31には、ソレノイドバルブ12のプランジャ12Aが進退することにより、オイルリリーフ通路31の開閉を行うようになっている。なお、ソレノイドバルブ12は、ECM40に格納された制御プログラムおよびロッカアーム5に設けられた被検出部5Cとの距離を検出したギャップセンサ9の出力信号に基づいてECM40により制御されるようになっている。
〈可動部材制御部の構成〉
図3は、ECM40を含む制御系の構成を示すブロック図である。ECM40は、バルブ制御領域判定部41と、可動部材制御部42と、を備えている。可動部材制御部42は、制御時間算出部43と、測定位置到達時間算出部44と、異常診断制御部45と、油圧弁制御部としてのソレノイドバルブ制御部46と、着座制御部47と、記憶部48と、計時部49と、を備えている。制御時間算出部43は、吸気バルブ開弁時間算出部50と、吸気バルブ閉弁時間算出部51と、吸気バルブ制動時間算出部52と、を備えている。
図3に示すように、ECM40は、クランク角センサ61と、カム角センサ62と、吸気量センサ63と、スロットルセンサ64と、アクセルセンサ65と、ギャップセンサ(リフト量検出装置)9から検出信号が入力される。また、ECM40は、燃料噴射装置66、点火装置67、スロットルバルブ68、ソレノイドバルブ(油圧弁)12などへ制御信号を出力するようになっている。
異常診断制御部45は、可動部材制御部42が吸気バルブ1の開弁中にタペット8を変位させない場合、または可動部材制御部42が吸気バルブ1を休止状態となるようにタペット8を制御する場合、に吸気バルブ1の異常を検出する。
〈可変動弁装置の基本的動作〉
ここで、本実施の形態に係る可変動弁装置100の基本的動作について説明する。
図1は、エンジンの回転数が所定の回転数以上のときに吸気バルブ1の最大リフト量LMAXの設定が選択された場合(バルブ制御領域でないと判定された場合)の吸気バルブ1の非作動時(バルブリフトが発生していないとき)の状態を示す。図4は、カム軸7のカム22の回転に伴い吸気バルブ1が作動してリフト量が最大となった状態を示している。
バルブ制御領域でないと判定された場合は、図2に示すように、タペット8およびガイド筒23内の油圧室30内の容積は最大状態となっている。このとき、ソレノイドバルブ12は、オイルリリーフ通路31を閉じた状態である。このとき、作動油は、チェックバルブ27でオイルポンプ29側へ逆流することが阻止された状態となっている。したがって、図2に示すように、この状態では、油圧アクチュエータ10のピストン24と共に動作するタペット8が下方に向けて突出した状態で保持されている。
図1に示すように、吸気バルブ1の非作動時の状態では、カム22のベース円部22Aと接触している状態において第1入力ローラ18は、カム22が矢印a方向(図中、時計回り方向)に回転しても第1入力ローラ18は転動するだけでカム2側から押圧力を受けない状態にある。
次に、図4に示すように、カム22の矢印a方向への回転が進むと、第1入力ローラ18にカム22のノーズ部22Bが当接して第1入力ローラ18が押圧されて押し下げられる。第1入力ローラ18が押し下げられると、揺動アーム6は第2入力ローラ20を支点として図中時計回り方向に回動する。揺動アーム6の中間部6Aが支点アームピン17でロッカアーム5に支持されているため、ロッカアーム5は支持軸14を支点として図中時計回り方向に回動する。すると、ロッカアーム5のアーム先端部である第2端部5Bに設けられたアジャストスクリュー15が吸気バルブ1の上端を押圧する。そして、吸気バルブ1は、バルブスプリング3の反発力に抗して最大リフト量LMAXとなるまで押し下げられる。
図4に示す状態から、カム22が矢印a方向にさらに回転してノーズ部22Bが第1入力ローラ18を通過して再度ベース円部22Aが第1入力ローラ18に接触すると、揺動アーム6は図1に示した状態(位置)に戻る。この動作に伴い、ロッカアーム5の第2端部5Bは上昇して吸気バルブ1がバルブスプリング3の付勢力により上昇して閉じた状態になる。図21に破線で示す(1)は、バルブ制御領域でないと判定された場合のリフト量とクランク角との関係(バルブリフト特性)を示している。
次に、エンジンの負荷および回転数が所定の運転領域のときに吸気バルブ1のリフト量Lnが最大リフト量LMAXよりも小さいリフト量Ln1設定が選択された場合(バルブ制御領域と判定された場合)、吸気バルブ1の非作動時(バルブリフトが発生していないとき)の状態は、図1に示した状態と同様である。図5は、吸気バルブ1のリフト量Ln1が設定されたときに、吸気バルブ1が作動してリフト量Ln1となったときのバルブリフト状態を示している。図6は、吸気バルブ1のリフト量Ln1の設定が選択された場合において、油圧アクチュエータ10、オイルリザーブタンク32、およびソレノイドバルブ12の作動に基づいてタペット8を矢印b方向に後退させて吸気バルブ1を閉じた状態を示している。
図1に示すように、吸気バルブ1の非作動時の状態(カム22のベース円部22Aが第1入力ローラ18に接触している状態)では、カム22が矢印a方向に回転しても第1入力ローラ18は転動するだけでカム22側から押圧力を受けない状態にある。このとき、図2に示すように、油圧室30内の容積は最大状態となっており、ソレノイドバルブ12のプランジャ12Aがオイルリリーフ通路31を閉じた状態である。しかも、このとき、作動油はチェックバルブ27で逆流が阻止された状態となっている。したがって、油圧アクチュエータ10のピストン24と共に動作するタペット8が突出した状態で保持されている。
次に、図5に示すように、タペット8が突出した状態で、カム22の矢印a方向への回転が進むと第1入力ローラ18にカム22のノーズ部22Bの基部が当接して第1入力ローラ18を徐々に押圧し始める。揺動アーム6は、第2入力ローラ20を支点として図中時計回り方向に回動する。揺動アーム6の中間部は、支点アームピン17でロッカアーム5に支持されている。このように第2入力ローラ20がタペット8で支持されている状態では、ロッカアーム5は支持軸14を支点として図中時計回り方向に回動する。すると、ロッカアーム5の先端の第2端部5Bに設けられたアジャストスクリュー15が吸気バルブ1の上端を押圧し、吸気バルブ1をバルブスプリング3の反発力に抗して押し下げる。
そして、カム22のノーズ部22Bの頂部に至る途中の所定位置が第1入力ローラ18に当接するときに、吸気バルブ1は予め設定されたリフト量Ln1となる(図5参照)。本実施の形態では、リフト量Ln1になった状態で、ECM40に格納された制御プログラムおよびギャップセンサ9による出力値に基づいて、ECM40は、オイルリリーフ通路31を解放させる制御信号をソレノイドバルブ12に出力してソレノイドバルブ12をオンにするように設定されている。すると、図6に示すように、ソレノイドバルブ12のプランジャ12Aは没してオイルリリーフ通路31を開通させる。
図7は、吸気バルブ1のリフト量Ln1で閉じるように設定されたときにソレノイドバルブ12がオン状態となり、オイルリリーフ通路31が開通した状態を示している。このようにオイルリリーフ通路31が開くと、油圧室30内の作動油がオイルリリーフ通路31を介してオイルリザーブタンク32へ移動可能となる。
このとき、バルブスプリング3の付勢力により、ロッカアーム5が支持軸14を支点として図中反時計回り方向に押圧される。これに伴い揺動アーム6は、カム22のカム面に接触する第1入力ローラ18を支点として図中時計回り方向に押圧される。したがって、図6に示すように、揺動アーム6の第2入力ローラ20はタペット8を押し上げるように矢印bに示す方向(上方向)に向けて押圧する。図7に示すように、タペット8の上昇に伴い、タペット8内のピストン24の第2油圧室構成管24Aが、ガイド筒23側の第1油圧室構成管23Aに嵌合した状態で上昇して油圧室30の容積を縮める。
このとき、チェックバルブ27は、逆流が阻止されている。このため、オイルリリーフ通路31には、作動油がオイル通路ケース26の出口部26Bから油圧室30から作動油が送り出される。そして、オイルリリーフ通路31に作動油が送り出されることにより、オイルリザーブタンク32ではスプリング35の付勢力に抗してピストン34を押し上げてピストン34の下のシリンダ33との間の空間に作動油を貯める。なお、オイルリザーブタンク32において、ピストン34の上昇に伴い、シリンダ33内の空気はエア抜き孔33Aから排出される。なお、ピストン34が下降するときにはエア抜き孔33Aから空気がシリンダ33内へ流入するようになっている。
オイルリザーブタンク32においては、ピストン34がオイルリリーフ孔33Cよりも上昇すると作動油がオイルリリーフ孔33Cから排出、回収されるようになっている。このようにオイルリリーフ通路31を開くことにより、油圧アクチュエータ10のタペット8を急に上昇させることができる。したがって、図21の(2)の線で示すように、吸気バルブ1を速やかに閉じることが可能となる。
なお、このように吸気バルブ1が速やかに上昇してバルブシート4に速い速度で衝突することを防止するため、図21のタイミングチャートにおいて(2)で示す運転領域において、一点鎖線の楕円Aで示すような制御を行っている。すなわち、図6に矢印bで示すように、タペット8の上昇に伴い揺動アーム6の第2入力ローラ20が上昇すると、ロッカアーム5が支持軸14を支点として図中反時計回り方向に回動する。そして、ロッカアーム5の被検出部5Cがギャップセンサ9に対して所定距離まで近づくと、ギャップセンサ9はECM40へ検出信号を出力する。なお、図21にはギャップセンサ9の出力値として、ギャップセンサ9と被検出部5Cとの距離に基づきバルブリフト位置を算出して示している。
このとき、ECM40では、ギャップセンサ9からの出力信号に基づいてソレノイドバルブ12をオフにする制御信号を出力する。この結果、図8に示すように、ソレノイドバルブ12のプランジャ12Aが突出してオイルリリーフ通路31を閉じる。このようにオイルリリーフ通路31を閉じると、油圧室30とこれに連通するオイルリリーフ通路31内に封止された作動油がピストン24の上昇を抑えるように作用する。すなわち、第2入力ローラ20の速やかな上昇が緩和される。これに伴い、ロッカアーム5の反時計回り方向(図9参照)への揺動の速度が緩和され、延いては吸気バルブ1の速やかな上昇が緩和される。したがって、吸気バルブ1がバルブシート4へ急激に衝突することを防止できる。
図21において、リフト制御(2)で示すオイル通路切り替えを行うソレノイドバルブ12の「ON」「OFF」状態から判るように、吸気バルブ1のバルブシート4への着座時(図21において破線(c)と破線(d)との間)には、ECM40から制御信号が出力され、ソレノイドバルブ12をオン状態に切り換えプランジャ12Aが没した状態となり、オイルリリーフ通路31が開いた状態となる。図6に示すように、カム22が矢印a方向の回転が進んで第1入力ローラ18をノーズ部22Bが通過する際に第1入力ローラ18が押し下げられる。これに伴い、揺動アーム6は支点アームピン17を支点にして図中時計回り方向に押圧される。
このとき、ロッカアーム5は、揺動アーム6から押圧されて、支点アームピン17を支点として図中時計回り方向に回動するように押圧される。しかし、バルブスプリング3の荷重が、リターンスプリング25とスプリング35とを合わせた荷重よりも大きく設定されているため、図9に示すように、ロッカアーム5は図中時計回り方向に回動することはなく、揺動アーム6が支点アームピン17を支点として図中時計回り方向に回動し、第2入力ローラ20がタペット23を矢印b方向に沿って押し上げる動作を行う。したがって、第1入力ローラ18をカム22のノーズ部22Bが通過しても、吸気バルブ1がリフトされることはない。
そして、図21に示すように、(2)の実線で示すリフト量Ln1のリフト動作終了後であって、カム22が最大リフト量の場合(1)のリフト動作が終了する角度(図21中縦線(f)で示すクランク角)まで回転した後は、図10に示すように、油圧アクチュエータ10のリターンスプリング25がタペット8を押し下げる。この際、油圧室30が拡張し、オイルリザーブタンク32内の作動油がオイルリリーフ通路31を通して油圧室30に流入する。その後、オイルリリーフ通路31を閉じて、オイルポンプ29からチェックバルブ27を介して油圧室30内に作動油を供給してタペット8が最大に突出した状態で保持しておく。次のバルブリフト工程の前にタペット8を突出させておくことにより、再度吸気バルブ1の最大リフト量LMAXより小さいリフト量Lnまたは最大リフト量LMAXでの吸気バルブ1の動作が可能になる。
〈可変動弁装置の制御方法〉
上述のような可変動弁装置100の基本的動作を行わせるためには、ソレノイドバルブ12の動作不良や、粘性流体である作動油の洩れや詰まりなどにより吸気バルブ1のリフト量が制御できなくなる故障を検出することが有効である。また、このような故障を検出した場合、可能な限り運転者が要求するトルクを発生させることや、ドライバビリティ、燃費、エミッションの過度の悪化を抑えることが有効である。本実施の形態に係る可変動弁装置の制御方法では、故障を検出した場合、可能な限り運転者が要求するトルクを発生させることや、ドライバビリティ、燃費、エミッションの過度の悪化を抑えることを可能にしている。
図11は、ECM40におけるバルブ制御領域判定部41、可動部材制御部42、異常診断制御部45などを用いた可変動弁装置100制御方法の流れを示すフローチャートである。先ず、ステップS1においては、ECM40は、クランク角センサ61、カム角センサ62、吸気量センサ63、スロットルセンサ64、アクセルセンサ65、ギャップセンサ9などの各種センサの出力値を取得する。
次に、ステップS2おいて、ECM40は、クランク角センサ61の出力値に基づいて内燃機関101の回転数を算出する。そして、ステップS3において、ECM40は、アクセルセンサ65の出力値に基づき、運転者が要求するトルクを目標トルクとして算出する。
ステップS4において、ECM40は、燃料噴射量を算出する。この燃料噴射量は、内燃機関101の運転状態によって変化する。具体的には、ECM40がクランク角センサ61、図示しない水温センサ、スロットルセンサ64などの出力値に応じて適切な燃料噴射量を算出する。次に、ステップS5において、ECM40は、内燃機関101のステップS2で算出した回転数、ステップS3で算出した目標トルク、ステップS4で算出した目標燃料噴射量に基づき、目標吸入空気量を算出する。
次に、ステップS6において、バルブ制御領域判定部41は、例えば図13に示すようなマップを用いて、内燃機関101の負荷と回転数から内燃機関101の運転状態が、バルブ制御領域にあるか否かを判定する。ここで、バルブ制御領域とは、スロットルバルブ66を全開にして、吸気バルブ1のリフト量を制御する領域である。そして、バルブ制御領域でない場合とは、吸気バルブ1を全開にして、電子スロットルとしてのスロットルバルブ68の開度を制御する領域である。ステップS7において、ECM40は、ステップS6で判定された運転領域に応じた開度のスロットルバルブ68を制御する。次に、ステップS8においては、ステップS7で算出された開度となるように、スロットルバルブ68を駆動する制御を行う。ステップS9においては、ECM40は、点火装置67および燃料噴射装置66を制御して内燃機関101を制御する。
(吸気量制御)
本実施の形態に係る可変動弁装置100で行う制御は、スロットルバルブ(電子スロットル)68の開度によって吸入空気量を制御するスロットル制御領域と、スロットルバルブ68を全開にした状態で、吸気バルブ1のリフト量および開弁時間により吸入空気量を制御するバルブ制御領域と、で成り立っている。
上記のステップS7では、図12のフローチャートに示すような吸気量制御を行う。図12に示すように、この吸気量制御では、可動部材制御部42が、ソレノイドバルブ(油圧弁)12の開弁異常が検出されたか否かを判定する。具体的には、記憶部48に記憶された開弁異常判定フラグを取得し、異常が検出されたか否かを判定する。なお、本実施の形態のように内燃機関101が多気筒である場合は、各気筒の開弁異常判定フラグAfosを読み出し、いずれか1つが異常である場合はAfos=「1」でYESと判定し、全て異常なしである場合はAfos=「1」ではないNOであると判定する(ステップS71)。
可動部材制御部42は、ステップS71においてAfos=「1」と判定した(YES)場合、図14に示すようなマップ、すなわち、内燃機関101の回転数とステップS5で算出した目標吸気量との関係を含むマップに基づき、目標スロットル開度を算出する。そして、可動部材制御部42は、バルブ領域フラグメントVfに「0」を入力して記憶部48に記憶させて(ステップS72)、吸気量制御を終了する。
ステップS71において、ECM40は、ソレノイドバルブ12の開度異常判定でない(NO)場合、ステップS6において判定された結果に基づき、バルブ制御領域か否かを判定する(ステップS73)。
ステップS73において、運転状態がバルブ制御領域でないと判定された場合は、ステップS72に移行する。ステップS73において、運転状態がバルブ制御領域であると判定された場合、ステップS74に移行する。このステップS74において、ECM40は、目標スロットル開度を全開に設定する。このとき、ECM40は、バルブ制御領域フラグメントVflに「1」を入力して記憶部48に記憶させる。このステップS74の後は、吸気量制御を終了する。
(リフト量測定制御)
本実施の形態では、図15に示すように、ECM40がリフト量測定制御を行う。このリフト量測定制御は、クランク角センサ61の出力信号から求めたクランク角が、所定の角度に達したとき、優先して実行される割り込み制御である。具体的には、クランク角が、吸気バルブ1の開き始める角度に達する前に、この割り込み制御が実行される。
ECM40は、故障診断条件が成立したか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、ギャップセンサなどに異常が無いか否かを判断し、異常がなければ条件が成立したものと判定する。
ステップS101において、診断条件が成立した(YES)場合、ECM40は、現在の運転状態がスロットル制御(吸気バルブ1を全開にしてスロットルバルブ66のみの制御)中であるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、ECM40は、ステップS72において入力されたバルブ制御領域フラグメントVfが「0」となっているか否かを判断する。
ステップS102において、運転状態がスロットル制御中である(YES)場合、ECM40の測定位置到達時間算出部44は、内燃機関101の回転数に基づき測定位置到達時間T1を算出する(ステップS103)。この測定位置到達時間は、図21に示すように、カム22のノーズ部(カム作用角)22Bが第1入力ローラ18に接触を開始する時刻から、ノーズ部22Bの頂点が第1入力ローラ18に達するまでの時間T1をいう。
ステップS103において、測定位置到達時間T1が算出された後は、その測定位置到達時間T1を計時部49に設定して計時を開始する(ステップS104)。その後、計時が終了したか否かを判定する(ステップS105)。
ステップS104において、測定位置到達時間T1の計時が終了したときに、ECM40は、ギャップセンサ9の値を取得する。そして、ギャップセンサ9の値に基づいて、後述する異常診断制御の実行を許可する(ステップS107)。この異常診断制の実行が許可されたときは、診断フラグDに1を入力する。このステップS107の後に、リフト量測定制御を終了する。
ステップS102において、運転状態がスロットル制御中(Vf=0)でない(NO)場合、ECM40は、リフト休止制御(吸気バルブ1を全開にしてスロットルバルブ66のみの制御)中か否かを判定する(ステップS108)。具体的には、前回の制御時に後述するステップS302において算出される吸気バルブ開弁時間T2(図21参照)が「0」に設定されているか否かを判定する。吸気バルブ開弁時間T2が0に設定されていれば、カム22のノーズ部22Bが第1入力ローラ18への接触を開始するとき、ソレノイドバルブ12が開き、リフト休止状態にあるからである。このステップS108において、リフト休止制御中であると判定されると、上述したステップS103へ移行する。
ステップS101において、故障診断条件が成立しない(NO)場合、すなわち異常があると判定された場合、バルブ制御中(Vf=1)か否かの判定を行う(ステップS109)。このステップS109でバルブ制御中であると判定されると、ステップS110へ移行する。また、ステップS108において、ECM40は、リフト休止制御中ではない(NO)と判定されるとステップS110へ移行する。ステップS110において、ECM40は、後述する開弁時間設定制御を実行する。ステップS110の後は、異常診断制御の実行を不許可(診断フラグD←0)としてリフト量測定制御を終了する。
また、ステップS109において、バルブ制御中(V=1)でない(NO)と判定されると、ステップS111へ移行して異常診断制御の実行を不許可とする。
(異常診断制御)
図16に示す異常診断制御は、上記ステップS107において異常診断制御の実行が許可された後に異常診断制御部45で実行される。なお、この異常診断制御は、多気筒において各気筒で実行される。この異常診断制御は、上記ステップS106において測定されたギャップセンサ9の出力値(本実施の形態では最大リフト量に相当する。)が、設定値よりも低いか否かを判定し、もし低い値が継続して検出された場合、異常があると判定するものである。また、例えば4気筒の内燃機関101である場合は、後述する開弁異常フラグメントAfosは、例えばAfos(No1)、Afos(No2)、Afos(No3)、Afos(No4)の4つの変数が用意され、それぞれ数値が記憶される。後述する閉弁異常フラグメントAfcsも同様である。
図16に示すように、ステップS201において、ECM40は、ギャップセンサ9の出力値に基づき吸気バルブ1のリフト量Lを算出する。
次に、ステップS202において、スロットル制御中(Vf=0)か否かの判定を行う。ステップS202において、スロットル制御中(Vf=0)と判定された場合は、ステップS203に移行する。ステップS203では、ステップS201で算出したリフト量Lが設定値以下であるか否かの判定を行う。
ステップS203においてリフト量Lが設定値以下と判定された場合、閉弁正常カウンタをクリア(Ncc←0)する(ステップS204)。その後、ステップS205では、閉弁異常カウンタが設定値未満(Accs<設定値)か否かの判定を行う。
ステップS205において、閉弁異常カウンタが設定値未満である(YES)場合は、閉弁異常カウンタをインクリメント(Accs(n)←Accs(n−1)+1)する(ステップS206)。その後、異常診断制御は終了する。
ステップS203において、リフト量Lが設定値以下ではない(NO)場合、閉弁異常カウンタをクリア(Accs←0)する(ステップS207)。その後、閉弁正常カウンタが設定値未満(Nccs<設定値)か否かの判定を行う(ステップS208)。ステップS208において閉弁正常カウンタが設定値未満(Nccs<設定値)である(YES)場合、閉弁正常カウンタをインクリメント(Nccs(n)←Nccs(n−1)+1)する(ステップS209)。その後、異常診断制御を終了する。
ステップS205において、閉弁異常カウンタが設定値未満でない(NO)場合、閉弁異常が成立する(ステップS210)。その後、異常診断制御は終了する。
ステップS208において閉弁正常カウンタが設定値未満(Nccs<設定値)でない(NO)場合、閉弁異常を不成立(Afcs←0)とし(ステップS211)、その後、異常診断制御は終了する。
ステップS202において、スロットル制御(吸気バルブ1を全開としてスロットルバルブ66のみの制御)中でない(NO)と判定された場合、図17に示すように、Aで示す制御を行う。以下、図17に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップS212において、リフト量Lが設定値以上であるか否かの判定を行う。ここで、リフト量Lが設定値以上であると判定された場合、閉弁正常カウンタをクリア(Ncos←0)する(ステップS213)。その後、開弁異常カウンタが設定値未満(Acos<設定値)か否かを判定する(ステップS214)。ここで開弁異常カウンタが設定値未満である(YES)場合は、開弁異常カウンタをインクリメントする(ステップS215)。ステップS215の後は、図16および図17に示すように、異常診断制御を終了する。
ステップS214において、開弁異常カウンタが設定値未満でない(NO)場合、開弁異常が成立し(ステップS216)、その後、異常診断制御が終了する。
ステップS212において、リフト量Lが設定値以上でない(NO)場合、開弁異常カウンタをクリア(Acos←0)する(ステップS217)。その後、開弁正常カウンタが設定値未満(Ncos<設定値)か否かを判定する(ステップS218)。
ステップS218において、開弁正常カウンタが設定値未満である(YES)場合、開弁正常カウンタをインクリメントして(ステップS219)、異常診断制御を終了する。ステップS218において、開弁正常カウンタが設定値未満でない(NO)場合、開弁異常を不成立として(ステップS220)、その異常診断制御を終了する。
(開弁時間設定制御)
次に、上記のステップS110の開弁時間設定制御について、図18を用いて説明する。この開弁時間設定制御は、上記ステップS108においてリフト休止制御中ではない(バルブリフト制御中)と判定されたときに、実行される。まず、この開弁時間設定制御では、いずれかの気筒でソレノイドバルブ12に閉弁異常が不成立か成立したかの判定を行う(ステップS301)。
ステップS301においていずれかの気筒でソレノイドバルブ12に閉弁異常が不成立であった場合、すなわち閉弁異常フラグメントAfcsが「0」である場合、図14に示すようなマップに基づいて内燃機関101の回転数と目標吸気量から吸気バルブ開弁時間T2を算出する(ステップS302)。この吸気バルブ開弁時間T2を計時部49に設定し、計時を開始する(ステップS303)。このとき、吸気バルブ開弁時間T2の計時が終了したか否かの判定を行う(ステップS304)。
ECM40は、ステップS304において計時が終了した場合、ソレノイドバルブ(油圧弁)12を開弁するように制御する(ステップS305)。このため、吸気バルブ1は、目標吸気量に達したときに、開弁するように制御される。ステップS305の後に、図19に示すような油圧弁制御の実行を許可し(ステップS306)、その後、開弁時間設定制御を終了する。
上記ステップS301において、いずれかの気筒でソレノイドバルブ12に閉弁異常判定が不成立でなかった場合、すなわち閉弁異常と判定された(NO)場合、現在演算中の気筒の閉弁異常判定が不成立か否かの判定を行う(ステップS307)。このステップS307において、演算中の気筒の閉弁異常判定が不成立(YES)の場合は、ECM40は、回転数と吸気量と閉弁異常判定がされた気筒数とに基づいて、吸気バルブ開弁時間T2を算出する(ステップS308)。ステップS308で吸気バルブ開弁時間T2が算出された後は、上記ステップS303に移行する。本制御においては、閉弁異常が判定された気筒の吸気バルブ1は休止されるため、吸気バルブ1が休止した気筒の出力を補うように開弁時間を算出するようになっている。したがって、休止中の気筒数が多いほど、吸気バルブ開弁時間T2が長く算出される。
一方、ステップS307において、現在演算中の気筒に閉弁異常判定が不成立でない場合、すなわち閉弁異常判定が検出された(NO)場合、ソレノイドバルブ12を開弁状態にして、吸気バルブ1を休止する(ステップS309)。ステップS309の後に、開弁時間設定制御を終了する。
(油圧弁制御)
油圧弁制御は、上述の開弁時間設定制御におけるステップS306においてこの油圧弁制御の実行許可処理が行われた後、優先して実行される割り込み制御である。この油圧弁制御において、ECM40は、ギャップセンサ9の出力値に基づき吸気バルブ1のリフト量を算出する(ステップS401)。
その後、ECM40は、現在のソレノイドバルブ12が開状態であるか否かを判定する(ステップS402)。つまり、ソレノイドバルブ12が開いており、タペット8に油圧が加わっていない状態であるか否かを判定する。なお、ソレノイドバルブ12の開閉状態は、ソレノイドバルブ12の切り替え時に随時記憶部48に記憶される吸気バルブフラグメントIVfが1(開状態)か、0(閉状態)か、を確認することで判定することができる。
ステップS402において、ソレノイドバルブ12が開状態(YES)と判定された場合、内燃機関101の回転数とバルブリフト量に基づき、図21に示すような吸気バルブ閉弁(クローズ)時間T3を算出する(ステップS403)。そして、吸気バルブ閉弁(クローズ)時間T3を計時部49に設定し、計時を開始する(ステップS404)。
ECM40は、ステップS404の後に、吸気バルブ閉弁時間T3の計時が終了したか否かの判定を行う(ステップS405)。ステップS405において、吸気バルブ閉弁時間T3の計時が終了した場合は、ソレノイドバルブ12を閉弁させて油圧弁制御を終了する。
ステップS402において、ソレノイドバルブ12が閉状態である場合、内燃機関101の回転数とバルブリフト量に基づき、図21に示すような吸気バルブ制動(ブレーキ)時間T4を算出する(ステップS407)。その後、ECM40は、吸気バルブ制動時間T4を計時部49に設定し、計時を開始する(ステップS408)。その後、ECM40は、吸気バルブ制動時間T4の計時が終了したか否かの判定を行う(ステップS409)。
ステップS409において、吸気バルブ制動時間T4の計時が終了した場合、ソレノイドバルブ12を開状態にする(ステップS410)。その後、油圧弁制御(ステップS401)の実行を禁止して(ステップS411)、油圧弁制御を終了する。
(閉弁制御)
図20は、閉弁制御を示すフローチャートである。この閉弁制御は、ECM40が、上記ステップS411で油圧弁制御の実行を禁止した後、クランクシャフトの位置がスロットル制御時(Vf=0)における吸気バルブ1が閉弁位置に達したことを検出すると実行される。まず、この閉弁制御では、ソレノイドバルブ12が開弁状態か否かの判定を行う(ステップS501)。ここでソレノイドバルブ12が開弁状態である場合は、ソレノイドバルブ12を閉弁状態に切り替え(ステップS502)て、閉弁制御を終了する。ステップS401においてソレノイドバルブ12が閉弁状態の場合は、閉弁制御は終了する。
以上、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置100について説明したが、本実施の形態では、可動部材制御部42が、この可動部材制御部42が吸気バルブ1の開弁中にタペット8を変位させない場合、または、この可動部材制御部42が吸気バルブ1を休止状態となるようにタペット8を制御する場合、に吸気バルブ1の異常を検出する異常診断制御部45を、備えている。この異常診断制御部45は、可動部材制御部42が吸気バルブ1の開弁中にタペット8を変位させない場合、または吸気バルブ1を休止させている場合に、吸気バルブ1の異常診断を実行する。このため、異常診断制御部45は、吸気バルブ1の動作が安定している制御状態において、異常診断を実行することができるため、正確な診断を行うことができる。
本実施の形態では、内燃機関101が複数の気筒を有する多気筒内燃機関であり、可動部材制御部42が、異常診断制御部45が吸気バルブ1の異常を検出した後、吸気バルブ1の休止させる制御を行う。したがって、異常が検出された吸気バルブ1は、直ちに休止されるため、制御が困難となった吸気バルブ1が内燃機関101に及ぼす影響を軽減することができる。
本実施の形態では、可動部材制御部42は、タペット8を制御して、休止された吸気バルブ1とは別の吸気バルブ1の吸気量を増加させることができる。したがって、本実施の形態では、内燃機関101の出力が、吸気バルブ1の休止に伴い低下するが、休止された吸気バルブ1とは別の吸気バルブ1の吸気量を増加させることで、他の気筒の出力を向上させ、出力の低下を防止することができる。
本実施の形態では、吸気バルブ1のリフト量を検出するギャップセンサ9を備え、カム22は、吸気バルブ1を開弁させるノーズ部22Bと、吸気バルブ1を閉弁させるベース円部22Aと、を備える。そして、異常診断制御部45は、ノーズ部22Bが第1入力ローラ18に接触しているときに、ギャップセンサ9を制御して吸気バルブ1のリフト量を検出し、かつ検出したリフト量が設定値との間に差があるとき、異常があることを判定する。このため、本実施の形態では、吸気バルブ1の異常を正確に診断できる。特に、ノーズ部22Bが第1入力ローラ18に接触している場合、タペット8は吸気バルブ1が休止するように、あるいは、吸気バルブ1のリフト量が最大になるように制御されているため、この状態のリフト量を検出して比較を行えば、タペット8の動作が正確に行われているか否かを診断することができる。
本実施の形態では、ノーズ部22Bが第1入力ローラ18に接触を開始する位置からリフト量を検出する位置までの到達時間を、内燃機関の回転数に応じて算出する測定位置到達時間算出部44と、この測定位置到達時間算出部44が算出した測定位置到達時間T1を計時する計時部49と、を備える。そして、本実施の形態では、測定位置到達時間T1が計時されたとき、ギャップセンサ9がリフト量を検出する。このため、本実施の形態では、測定位置到達時間算出部44が、リフト量を検出するまでの到達時間を回転数に応じて算出するようにしたため、回転数がいかなる場合であっても、異常診断を正確に実行することができる。
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。例えば、上記実施の形態では、油圧アクチュエータ10がタペット8を進退動作させる早閉じ機構を適用したが、このような機構に限定されるものではない。
1 吸気バルブ
3 バルブスプリング
5 ロッカアーム(第1揺動腕)
6 揺動アーム(第2揺動腕)
7 カム軸
8 タペット(可動部材)
9 ギャップセンサ(リフト量検出装置)
10 油圧アクチュエータ
12 ソレノイドバルブ(油圧弁)
14 支持軸
17 支点アームピン
18 第1入力ローラ(第1接触部)
20 第2入力ローラ(第2接触部)
22 カム
22A ベース円部(ベース部)
22B ノーズ部(作用部)
31 オイルリリーフ通路
40 エンジンコントロールモジュール(ECM)
41 バルブ制御領域判定部
42 可動部材制御部
43 制御時間算出部
44 測定位置到達時間算出部
45 異常診断制御部
46 ソレノイドバルブ制御部6
47 着座制御部
48 記憶部
49 計時部
61 クランク角センサ
62 カム角センサ
63 吸気量センサ
64 スロットルセンサ
65 アクセルセンサ
68 スロットルバルブ
100 可変動弁装置
101 内燃機関

Claims (5)

  1. 内燃機関の可変動弁装置において、
    支持軸に揺動自在に支持され、揺動動作に伴って吸気バルブを開閉動作させる第1揺動腕と、
    前記第1揺動腕に対して、中間部が回転軸で回転自在に支持され、かつ前記回転軸を挟んで互いに反対側に位置する第1接触部と第2接触部とを有する第2揺動腕と、
    前記第1接触部の近傍に配置されたカム軸に固定され、前記第1接触部に接触して前記吸気バルブの開閉を可能とするカムと、
    前記第2接触部の位置を変位可能にする可動部材と、
    前記吸気バルブが開弁状態にあるとき、前記可動部材を動作させて前記第2接触部の位置を変位させ、前記吸気バルブの開弁状態を制御する可動部材制御部と、
    を備え、
    前記可動部材制御部は、該可動部材制御部が前記吸気バルブの開弁中に前記可動部材を変位させない場合、又は前記可動部材制御部が前記吸気バルブを休止状態となるように前記可動部材を制御する場合、に前記吸気バルブの異常を検出する異常診断制御部を、
    備えることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記内燃機関は、複数の気筒を有する多気筒内燃機関であり、
    前記可動部材制御部は、前記異常診断制御部が前記吸気バルブの異常を検出した後、前記吸気バルブの休止させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記可動部材制御部は、前記可動部材を制御して、前記休止された吸気バルブとは別の吸気バルブの吸気量を増加させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記吸気バルブのリフト量を検出するリフト量検出装置を備え、
    前記カムは、前記吸気バルブを開弁させる作用部と、前記吸気バルブを閉弁させるベース部と、を備え、
    前記異常診断制御部は、前記作用部が前記第1接触部に接触しているときに、前記リフト量検出装置を制御して前記吸気バルブのリフト量を検出し、かつ検出した前記リフト量が設定値との間に差があるとき、異常があることを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 前記作用部が前記第1接触部に接触を開始する位置から前記リフト量を検出する位置までの到達時間を、前記内燃機関の回転数に応じて算出する測定位置到達時間算出部と、
    前記測定位置到達時間算出部が算出した前記到達時間を計時する計時部と、
    を備え、
    前記到達時間が計時されたとき、前記リフト量検出装置が前記リフト量を検出することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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