JP2015040286A - ウレタン樹脂組成物、皮革様シート及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、従来のように外部乳化剤を用いない場合であっても水分散安定性に優れ、繊維基材に含浸し感熱凝固することが可能で、含浸基材を染色する工程で水や熱等の影響により繊維基材からの脱落を引き起こさず、かつ、風合いの良好な皮膜を与えるウレタン樹脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、ポリオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオール(a1−1)を含有するポリオール(a1)と、オキシエチレン構造及び炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造によって構成されるポリオキシアルキレン構造を有するアルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)と、芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させることによって得られるウレタン樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物、それを用いて得られた皮革様シート及び積層体を提供するものである。【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、皮革様シート等の製造に使用可能なウレタン樹脂組成物に関する。
ウレタン樹脂が水性媒体中に分散した水性ウレタン樹脂組成物は、従来の有機溶剤系ウレタン樹脂組成物と比較して、環境への負荷を低減できることから、人工皮革、合成皮革等の皮革様シート、コーティング剤、接着剤などを製造する材料として、近年好適に使用されている。
前記皮革様シートは、一般に、不織布等の基材と、必要に応じて多孔層等からなる中間層と、表皮層とによって構成されるものが多く、前記基材としては、皮革様シートの耐屈曲性や風合い向上の向上を目的として、不織布等の繊維基材に水性ウレタン樹脂組成物を含浸し感熱凝固したものが好適に使用されている。
前記繊維基材の含浸用の水性ウレタン樹脂組成物としては、例えば2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール及び2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールの群から選ばれた少なくとも1種のジオール、ε−カプロラクトン及びアジピン酸を少なくとも構成成分単位として含むポリエステルジオール(A)、鎖延長剤(B)、カルボキシル基及び活性水素基を含有する化合物(C)、有機ポリイソシアネート(D)、及び中和剤(E)から構成される水系ポリウレタンエマルジョンが知られている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、前記水性ウレタン樹脂組成物は、それが含浸された基材を染色する際に、染色液に含まれる水と、染色の際の加熱(概ね100〜150℃)との影響により、繊維基材から脱落し、染色した際に色むらなどを引き起こす要因となる場合があった。また、脱落したウレタン樹脂が、染色後の廃液に混合してしまうため、その染色液からなる廃水を、安易に排出することができないという問題があった。
特開2002−145976号公報
本発明が解決しようとする課題は、繊維基材に含浸し感熱凝固することが可能で、含浸基材を染色する工程で水や熱の影響により繊維基材からの脱落を引き起こさず、かつ、風合いの良好な皮膜を与えるウレタン樹脂組成物を提供することである。
本発明は、ポリオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオール(a1−1)を含有するポリオール(a1)と、オキシエチレン構造及び炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造によって構成されるポリオキシアルキレン構造を有するアルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)と、芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させることによって得られるウレタン樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物、それを用いて得られた皮革様シート及び積層体を提供するものである。
本発明のウレタン樹脂組成物は、繊維基材に含浸し感熱凝固することが可能で、それを染色等する際に繊維基材からの脱落を引き起こさないことから、皮革様シートを製造する際の材料に好適に使用することができる。また、本発明のウレタン樹脂組成物は、柔軟性があり、かつ、ゴム弾性による適度な反発感を有する皮膜を与えることができる。
本発明のウレタン樹脂組成物は、ポリオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオール(a1−1)を含有するポリオール(a1)と、オキシエチレン構造及び炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造によって構成されるポリオキシアルキレン構造を有するアルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)と、芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させることによって得られるウレタン樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有するものである。
前記ポリエーテルポリオール(a1−1)としては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、エチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを付加重合させたものを用いることができる。
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を用いることができる。これらの開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイドとともに、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の一種以上を併用することができる。
前記ポリエーテルポリオール(a1−1)としては、ウレタン樹脂(A)に良好な水分散性及び感熱凝固性を付与する点から、[ポリオキシエチレン構造/その他ポリオキシアルキレン構造]の質量割合が、40/60〜90/10の範囲であるものを用いることが好ましく、50/50〜80/20の範囲のものを用いることがより好ましい。
前記ポリエーテルポリオール(a1−1)の重量平均分子量としては、ウレタン樹脂(A)に良好な水分散性及び感熱凝固性を付与する点から、500〜8,000の範囲であることが好ましく、1,000〜4,000の範囲であることがより好ましい。なお、前記ポリエーテルポリオール(a1−1)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記ポリエーテルポリオール(a1−1)としては、ウレタン樹脂(A)に良好な水分散性を付与し、かつ、皮革様シートを染色する工程で前記ウレタン樹脂(A)の繊維基材からの脱落を防止するうえで前記ウレタン樹脂(A)の全量に対して1〜10質量%の範囲で用いることが好ましく、2〜6質量%の範囲がより好ましい。
また、前記ポリエーテルポリオール(a1−1)以外に用いることができるポリオール(a1)としては、例えば、前記(a1−1)以外のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ダイマージオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記(a1−1)以外のポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレン構造を有さないポリエーテルポリオールが挙げられ、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を用いることができる。これらのポリエステルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の芳香族ポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;それらの無水物またはエステル形成性誘導体などを用いることができる。これらのカルボン酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンとポリオールとを反応させて得られるものを用いることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を用いることできる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等のグリコール化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリエーテルポリオール(a1−1)以外に用いることができるポリオール(a1)の重量平均分子量としては、500〜5,000の範囲であることが好ましい。なお、これらのポリオールの重量平均分子量は、前記ポリエーテルポリオール(a1−1)の重量平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記ポリオール(a1)中の前記ポリエーテルポリオール(a1−1)の含有量としては、得られる皮革様シートの柔軟性をより一層向上できる点から、1〜90質量%の範囲であることが好ましく、2〜50質量%の範囲がより好ましく、3〜20質量%の範囲が更に好ましい。
また、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)としては、オキシエチレン構造及び炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造から構成されるポリオキシアルキレン構造を有するものを用いることが本発明の課題を解決するうえで必須である。
前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)としては、具体的には、前記オキシエチレン構造からなるポリオキシエチレン構造と、ポリオキシプロピレン構造、ポリオキシブチレン構造、ポリオキシテトラメチレン構造等の炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造からなるポリオキシアルキレン構造とを有するポリオキシアルキレングリコールの1個の水酸基が、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基によって封止されたものを用いることができ、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンモノメチルエーテル等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)としては、ウレタン樹脂(A)に優れた水分散安定性及び感熱凝固性を付与する点から、[オキシエチレン構造/炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造]の質量割合が、45/55〜90/10の範囲であるものを用いることが好ましく、60/40〜80/20の範囲であるものを用いることがより好ましい。
前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)の重量平均分子量としては、ウレタン樹脂(A)に優れた水分散安定性を付与する点から、500〜10,000の範囲であることが好ましく、2,000〜5,000の範囲がより好ましい。なお、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)の重量平均分子量は、前記ポリエーテルポリオール(a1−1)の重量平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)は、ウレタン樹脂(A)に優れた水分散安定性及び感熱凝固性を付与する点から、前記ウレタン樹脂(A)の全量に対して、1〜10質量%の範囲で用いることが好ましく、2〜8質量%の範囲で用いることがより好ましい。
また、前記芳香族ポリイソシアネート(a3)は、優れた風合い(柔軟性及び反発感)を有する皮膜を得るうえで必須のものである。前記芳香族ポリイソシアネート(a3)の代わりに他のポリイソアネートを用いた場合には、得られる皮膜がペーパーライクとなり、反発感がなく風合いが不良な皮膜が得られる。前記芳香族ポリイソシネート(a3)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等を用いることができる。これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ポリイソシアネート(a3)には、必要に応じてその他のポリイソシアネートを併用することができる。前記その他のポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート等を用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(a1)と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタン樹脂(A’)を製造し、次いで、前記ウレタン樹脂(A’)と、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)とを反応させることによって製造する方法が挙げられる。
前記ポリオール(a1)と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)との反応は、例えば無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、それらを混合し、50〜100℃の温度で概ね3〜10時間程度行うことが好ましい。
前記ポリオール(a1)と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)との反応は、前記ポリオール(a1)の有する水酸基と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が1.05〜2.5の範囲であることが好ましく、1.1〜2の範囲であることが好ましい。
前記ポリオール(a1)と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させる際に用いることができる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂(A’)を製造する際には、必要に応じて鎖伸長剤を用いることができる。具体的には、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオール(a1)と前記芳香族ポリイソシアネート(a3)とを混合し、50〜100℃で概ね3〜10時間程度反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、該ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させることによって、比較的高分子量のウレタン樹脂を製造することができる。
前記鎖伸長剤としては、例えば、アミノ基を有する鎖伸長剤、水酸基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらの中でも、皮膜の継時的な変色を防止できる点から、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いずに、水酸基を有する鎖伸長剤を用いることが好ましい。
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤の使用量としては、皮膜の耐久性をより一層向上できる点から、ウレタン樹脂(A’)の製造に用いる原料の全量に対して、0.5〜10質量%の範囲であることが好ましく、1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(A’)と、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)との反応は、ウレタン樹脂の脱落及び柔軟性をより一層向上できる点から、前記ポリオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオール(a1−1)と、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)との質量割合[前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)/前記ポリエーテルポリオール(a1−1)]が、5/95〜95/5の範囲で行うことが好ましく、10/90〜80/20の範囲で行うことがより好ましい。
以上の方法によって得られるウレタン樹脂(A)は、その製造に使用するアルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)に由来するオキシエチレン構造によって構成されるポリオキシエチレン構造や、前記炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造によって構成されるポリオキシアルキレン構造を、ウレタン樹脂(A)のウレタン結合を含む分子末端に有する。
また、前記ウレタン樹脂(A)は、その製造に使用する前記ポリエーテルポリオール(a1−1)に由来するポリオキシエチレン構造を、ウレタン樹脂(A)のウレタン結合を含む分子構造中に有する。
前記製造方法によって得られるウレタン樹脂(A)と水性媒体(B)とを混合しウレタン樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、前記方法で得たウレタン樹脂(A)またはその有機溶剤溶液と、水性媒体(B)とを混合、撹拌することによって製造することができる。その際に含まれうる有機溶剤は、必要に応じて蒸留法等によって除去することが好ましい。前記ウレタン樹脂(A)と水性媒体(B)とを混合する際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物などが挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール溶媒;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶媒;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶媒等を用いることができる。これらの水性媒体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性及び環境負荷の軽減化の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。
前記方法によって得られた本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂組成物の全量に対して前記ウレタン樹脂(A)を20〜60質量%の範囲で含有するものであること好ましく、30〜55質量%含有することが、加工品の風合いを向上するうえで好ましい。
また、水性媒体(B)は、前記ウレタン樹脂組成物の全量に対して前記ウレタン樹脂(A)を40〜80質量%の範囲で含有するものであること好ましく、45〜70質量%含有することが、加工品の風合いを向上するうえで好ましい。
本発明のウレタン樹脂組成物は、水分散安定性をより一層向上する目的で乳化剤を用いてもよい。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;アルキル硫酸金属塩;直鎖アルキルベンゼンスルホン酸金属塩などの界面活性剤を用いることができる。
本発明のウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、例えば、会合型増粘剤、アルカリ可溶型増粘剤、架橋剤、ウレタン化触媒、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記会合型増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ウレタン化合物、ポリエーテル化合物などを用いることができる。これらの増粘剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタン樹脂(A)に対する増粘効果の高い、ポリアクリル酸塩を用いることが好ましい。前記会合型増粘剤は、前記ウレタン樹脂(A)の全量に対して0.5〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のウレタン樹脂組成物は、繊維基材に含浸させることによって得た含浸基材からなる皮革様シートの製造に使用することができる。
また、本発明のウレタン樹脂組成物は、前記皮革様シート等の繊維積層体を構成する含浸基材の製造に好適に使用することができる。皮革様シートとしては、いわゆるスエード調の皮革様シートとして、繊維基材に樹脂を含浸して得た含浸基材を使用することができる。また、皮革様シートしては、前記含浸基材の表面に、必要に応じて多孔層等の中間層が積層され、該中間層上に表皮層が積層されたものであり、前記含浸基材としては、繊維基材に、樹脂を含浸し、感熱凝固させたものを使用することができる。本発明のウレタン樹脂組成物は、前記繊維基材に含浸する樹脂として好適に使用することができる。
前記繊維基材としては、不織布、織布、編み物等を使用することができる。前記繊維基材を構成するものとしては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、それらの混紡繊維等を使用することができる。
前記繊維基材の前記ウレタン樹脂を含浸する方法としては、例えば、前記繊維基材を前記ウレタン樹脂を貯留した槽に直接浸漬し、マングル等で余分なウレタン樹脂を絞る方法が挙げられる。
次いで、前記ウレタン樹脂組成物を含浸した繊維基材を、前記ウレタン樹脂の感熱凝固温度以上(概ね50℃〜80℃)に加熱することにより、前記ウレタン樹脂を凝固させるとともに、前記ウレタン樹脂組成物中に含まれる水性媒体(B)を蒸発させる。これにより、ウレタン樹脂(A)が繊維基材に含浸した基材を製造することができる。そして前記含浸基材は、優れた耐屈曲性等を備えた皮革様シートの製造に好適に使用することができる。
前記方法で得られた皮革様シートは、例えば、靴、鞄、衣料、椅子、ソファ等の家具の部材、車両シート、ハンドル等の自動車用内装材、透湿防水素材、合成皮革、人工皮革等の皮革様シート、研磨材、フェルトペンの芯材等に使用することができる。
また、本発明のウレタン樹脂組成物は、風合いの優れる皮膜を形成できることから、例えば、各種基材の表面被覆に使用するコーティング剤等に好適に使用することもできる。
前記基材としては、例えば、織布、不織布等の繊維基材、皮革様シート;亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板;アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等の金属基材;ポリカーボネート基材、ポリエステル基材、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン基材、ポリアクリル基材、ポリスチレン基材、ポリウレタン基材、エポキシ樹脂基材、ポリ塩化ビニル系基材、ポリアミド系基材等のプラスチック基材;ガラス基材などを用いることができる。これらの中でも、靴や鞄に加工され使用される合成皮革、人工皮革等の皮革様シートを用いることが、該皮革様シートの表面に、接着剤を用いて他の部材を貼付したり、パテ等を塗布したりすることによって、意匠性に優れた皮革様シートを効率よく生産できるため好ましい。
本発明のウレタン樹脂組成物は、例えば、それを前記基材表面に直接塗布し、次いで乾燥、硬化させることによって、皮膜を形成することができる。また、本発明のウレタン樹脂組成物を離型紙表面に塗布し、乾燥、硬化させ、次いで該塗布面に前記基材を積層することによっても皮膜を形成することは可能である。なお、前記架橋剤を使用する場合には、前記ウレタン樹脂組成物を基材表面に塗布する直前に、前記ウレタン樹脂(A)と前記架橋剤とを混合することが、良好な塗工作業性を維持するうえで好ましい。
前記ウレタン樹脂組成物を前記基材上に塗布する方法としては、例えば、スプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
前記乾燥し硬化を進行させる方法としては、常温下で1〜10日程度養生する方法であってもよいが、硬化を迅速に進行させる点から、50〜250℃の温度で、1秒〜600秒程度加熱する方法が好ましい。また、比較的高温で変形や変色をしやすいプラスチック基材を用いる場合には、30〜100℃程度の比較的低温下で養生を行うことが好ましい。
本発明のウレタン樹脂組成物を用いて形成する皮膜の膜厚は、基材の使用される用途等に応じて適宜調整可能であるが、通常0.5〜100μm程度であることが好ましい。
〔実施例1〕ウレタン樹脂組成物(X−1)の調製
メチルエチルケトン3,723質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2,000、以下「PTMG2000」と略記する。)1,000質量部と、「ユニルーブ75DE−60」〔日油株式会社製、数平均分子量が約3000のポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン構造/ポリオキシプロピレン構造(質量割合)=75/25)〕130質量部と、「ユニルーブ75MB−900」〔日油株式会社製、数平均分子量が約3400のポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン構造/ポリオキシプロピレン構造(質量割合)=75/25)〕50質量部と、エチレングリコール57質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記する。)360質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(X‘−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(Hydrophile−Lipophile Balance(以下、「HLB」と略記する);14)79質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させることで前記ウレタン樹脂が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(X−1)を得た。
〔実施例2〕ウレタン樹脂組成物(X−2)の調製
メチルエチルケトン3,723質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000質量部と、「ユニルーブ75DE−60」を90質量部と、「ユニルーブ75MB−900」を90質量部と、エチレングリコール57質量部と、MDI 360質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(X‘−2)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)79質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させることで前記ウレタン樹脂が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(X−2)を得た。
〔実施例3〕ウレタン樹脂組成物(X−3)の調製
メチルエチルケトン3,723質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000質量部と、「ユニルーブ75DE−60」を155質量部と、「ユニルーブ75MB−900」を25質量部と、エチレングリコール57質量部と、MDI 360質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(X‘−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)79質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させることで前記ウレタン樹脂が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分30質量%のウレタン樹脂組成物(X−1)を得た。
〔実施例4〕ウレタン樹脂組成物(X−4)の調製
メチルエチルケトン3,080質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000gと、「ポリセリンDC−3000E」〔日油株式会社製、数平均分子量約3,000のポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン構造/ポリオキシテトラエチレン構造=50/50〕を130質量部と、「ユニルーブ75MB−900」を50質量部と、MDI 140質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(X‘−4)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)65質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させることで前記ウレタン樹脂が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(X−4)を得た。
〔比較例1〕ウレタン樹脂組成物(Y−1)の調製
メチルエチルケトン3,723質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000質量部と、「ユニルーブ75DE−60」を180質量部と、エチレングリコール57質量部と、MDI 360質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(Y‘−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)79質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させたが、ゲル状になり乳化液は得られなかった。
〔比較例2〕ウレタン樹脂組成物(Y−2)の調製
メチルエチルケトン3,723質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000質量部と、「ユニルーブ75MB−900」を180質量部と、エチレングリコール57質量部と、MDI 360質量部とを、溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させてウレタン樹脂(Y‘−2)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)79質量部を混合させた後、イオン交換水8,000質量部を加えて転相乳化させることで前記ウレタン樹脂が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(Y−2)を得た。
〔比較例3〕ウレタン樹脂組成物(Y−3)の調製
メチルエチルケトン1,283質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、PTMG2000を1,000質量部と、「ユニルーブ75DE−60」を50質量部と、「ユニルーブ75MB−900」を50質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「水添MDI」と略記する。)183質量部とを、それらの反応生成物の質量に対するイソシアネート基の質量割合(NCO%)が0.57質量%に達するまで70℃で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(Y’−3)のメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマー(Y’−3)のメチルエチルケトン溶液2,8566質量部と水2,566質量部とポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)64質量部を混合し、転相乳化することによって、前記ウレタンプレポリマー(Y’−5)が水に分散した乳化液を得た。
得られた乳化液と、ピペラジン13.5質量部を含む鎖伸長剤水溶液135質量部とを混合し鎖伸長反応することによってウレタン樹脂組成物を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂組成物からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(Y−3)を得た。
〔含浸基材の作製方法〕
実施例及び比較例で得たウレタン樹脂組成物100質量部と水100質量部とをメカニカルミキサーを用い2,000rpmの条件で2分間撹拌することによって、それぞれ、含浸用のウレタン樹脂組成物を調製した。
ポリエステル繊維からなる目付300g/m(厚さ1.5mm)の不織布を、前記で得た含浸用のウレタン樹脂組成物が入った槽に浸漬し、次いで、ゴムローラーのマングルを用いてそれを絞ることによって、前記不織布の質量と同質量のウレタン樹脂組成物が浸漬した浸漬物を得た。次いで、それを前記ギアー式熱風乾燥機を用い100℃で10分乾燥することによって、ウレタン樹脂が不織布に含浸した含浸基材からなる皮革様シートを作製した。
〔染色工程におけるウレタン樹脂の皮革様シートからの脱落の有無〕
染色工程におけるウレタン樹脂の皮革様シートからの脱落の有無を評価するにあたり、その代用試験として、染料を含まない水を染色液として用い評価を行った。前記ウレタン樹脂の脱落は、水及びその温度の影響によるものであるから、前記評価方法により、染色工程におけるウレタン樹脂の脱落の評価方法に代用することが可能である。
前記試験方法としては、はじめに前記含浸基材からなる皮革様シートの質量を測定した。次いで、前記皮革様シートを、25℃の水に浸漬し60rpmの条件で撹拌しつつ、1℃/minの条件で130℃となるまで加熱した。130℃の状態を30分維持した後、1℃/minの条件で25℃となるまで冷却した。
前記冷却後の含浸基材の表面を水で洗い、ギアー式熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥した。次いで、前記乾燥後の皮革様シートの質量を測定した。
前記測定値と以下の式に基づいて、皮革様シートからのウレタン樹脂の脱落率を算出した。式;100×〔乾燥後の皮革様シートの質量/初期の皮革様シートの質量〕
なお、ウレタン樹脂を水性媒体中に分散することができずゲル化したため、前記皮革様シートを製造できなかったもの、以下の評価を行わなかったため「−」と記した。
〔水分散安定性の評価方法〕
実施例及び比較例に記載の方法で、各ウレタン樹脂が水性媒体に分散したウレタン樹脂組成物を製造できたものを「T」、ウレタン樹脂が水性媒体に分散せず、沈降またはゲル化したものを「F」と評価した。
〔感熱凝固性(感熱凝固温度の測定方法)〕
前記方法で得たウレタン樹脂組成物の不揮発分が20質量%となるように調整したものを、粘度・粘弾性測定装置(HAAKE社製「Reo Stress」)を用い1℃/minの条件で加熱しつつ、その粘度を測定した。その粘度が100mPa・sを超えたときの温度を凝固温度(℃)とした。
〔皮革様シートの風合いの評価方法〕
前記方法で得た繊維積層体の風合いを触感により柔軟性及び反発感により評価した。
(柔軟性の評価)
A:柔軟性に富む B:やや柔軟性がある C:柔軟性が劣る D:硬い
(反発感の評価)
A:反発感がある D:ペーパーライクで反発感がない
Figure 2015040286
Figure 2015040286
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1〜4は、乳化剤を使用しないでも優れた水分散安定性を有し、感熱凝固性に優れ、繊維基材からの脱落が非常に少ないものであることが分かった。また、柔軟性及び反発感のある皮膜を形成することから風合いにも優れることが分かった。
一方、比較例1は、ウレタン樹脂(A)の原料として、アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)を含まない態様であるが、水分散安定性が不良でゲル化した。
比較例2は、ウレタン樹脂(A)の原料として、ポリエーテルポリオール(a1−1)を含まない態様であるが、ウレタン樹脂の脱落率が非常に多かった。
比較例3は、ウレタン樹脂(A)の原料として、芳香族ポリイソシアネート(a3)の代わり脂環式ポリイソシアネートを用いた態様であるが、得られた皮膜がペーパーライクで反発感がないものであり、風合いが不良であった。

Claims (5)

  1. ポリオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオール(a1−1)を含有するポリオール(a1)と、オキシエチレン構造及び炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造によって構成されるポリオキシアルキレン構造を有するアルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)と、芳香族ポリイソシアネート(a3)とを反応させることによって得られるウレタン樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物。
  2. 前記ポリエーテルポリオール(a1−1)と、前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)との質量割合[前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)/前記ポリエーテルポリオール(a1−1)]が5/95〜95/5の範囲である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
  3. 前記アルコキシポリオキシアルキレンモノアルコール(a2)を構成する前記オキシエチレン構造と炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造との質量割合[オキシエチレン構造/炭素原子数3〜5のオキシアルキレン構造]が、45/55〜90/10の範囲である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物を、繊維基材に含浸させることによって得られたことを特徴とする皮革様シート。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物を繊維基材に含浸させることによって得られる含浸基材からなる層と、表皮層とを有することを特徴とする積層体。
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