JP2015040201A - 化粧料用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、従来の乳酸菌よりも皮膚細胞への保湿効果に優れ、しかも安全性の点でも優れている化粧料用組成物ならびに化粧料の提供。
【解決手段】酵素で処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)KT-11株(FERM P-21457)の菌体あるいは培養液が優れた皮膚細胞への保湿効果を有する。これを用いた化粧料用組成物ならびに化粧料。酵素としては、プロテアーゼが好ましく特にパパインがより好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規の皮膚細胞の保湿効果を高めることを特徴とする化粧料用組成物に関する。
皮膚における上皮組織は、外界との最前線に位置し、細胞同士が密接に結着することで様々なストレスから身を守るバリア機能の役割を担う。フィラグリンは、表皮細胞から産生されるタンパク質であり、皮膚のバリア機能として働く角質層の形成に重要な役割を果たす。
皮膚疾患は、紫外線暴露や摩擦による物理的ストレス、細菌感染による生物的ストレス、医薬品や化学物質等の暴露による化学的ストレス等に起因する。皮膚疾患は、これらストレスによって表皮細胞におけるフィラグリンの産生が低下し、細胞間の結着が弱まることでバリア機能が破綻するとともに、皮膚細胞の水分量の低下によって皮膚コンディションの低下が続くことを特徴とする疾患である。
皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌、肌荒れ、吹き出物などが挙げられる。これら皮膚疾患の治療は、患部の応急処置を施した後に、生体の回復力、自然治癒力によって治癒させるのが一般的である。しかし、自然治癒力では回復までに長期間を要し、また、痛みの継続、細菌感染の影響があることから、これまで治療薬を直接塗布することによる回復力の向上、痛みの軽減、細菌感染の予防又は炎症の低減などの治療が行われてきた。
こうした皮膚疾患の症状を抑える薬剤には、ステロイド外用薬、非ステロイド外用薬を患部に直接塗布する方法がある。ステロイド外用薬にブレドニゾロン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾン、フルオキノニド、プロピオン酸アルクロメタゾン、非ステロイド外用薬にブフェキサマク、ベンダザック、スプロフェンが知られている。しかしながら、ステロイド外用薬は、長期間身体の広範で使用した場合、発熱、慢性的に進行する骨粗鬆症や動脈硬化などの副作用が報告されている。
非ステロイド外用薬の消炎鎮痛外用薬は、ステロイド外用薬より抗炎症作用が弱く軽症の場合に用いられることが多く副作用は少ないが、かぶれや刺激感を強く感じることがある。したがって、これらの薬剤は必ずしも安全であるとは言えない。
また、保湿効果を有する化粧料用組成物には、グリセリン、尿素、アミノ酸またはその誘導体、ヒアルロン酸が知られている。しかしながら、グリセリン、尿素、アミノ酸またはその誘導体、ヒアルロン酸は、十分に高い効果を得るために配合量を多くすると製品の使用感を損なう場合があった。
こうした背景のもと、より安全性が高く効果が期待できるとされる乳酸菌又は培養物による化粧料用組成物に注目が集まっている。乳酸菌を用いた化粧料用組成物としては、皮膚細胞に付着性を有する乳酸菌由来タンパク質が有害細菌の付着を拮抗的に阻害すること (特許文献1)、乳酸菌由来の抗炎症活性成分が炎症を抑制すること (特許文献2) が知られている。しかしながら、有害細菌の表皮への付着を阻害することに作用が限られており抜本的な炎症症状の治癒には至らないことや、大量に使用しなければ十分な効果が期待できないなどの問題点がある。
また、敏感肌又は乾燥肌を予防及び/又は治療するための化粧料用組成物が開示され(特許文献3)、プロバイオティック微生物を用いることが記載されており、ラクトバチルス・クリスパタスも例示されているが、十分な効果を発揮できる程度の具体的な記載はない。
ところで、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) は、人由来乳酸菌である。そして、本出願人は既にラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)を経口的に摂取することで抗アレルギー効果を有することを見出し特許取得しており、安全性が確認されているものである (特許文献4)。
特許第4726109号公報 特表2006−519014公報 特表2009−503042号公報 特許第4921499号公報
本発明の課題は、従来の乳酸菌よりも皮膚細胞への保湿効果に優れ、しかも安全性の点でも優れている化粧料用組成物ならびに化粧料を提供することにある。
本発明は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、全く意外な事に酵素で処理をしたラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457) の菌体あるいは培養液が優れた皮膚細胞への保湿効果を有することを発見し、完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の構成を要旨とする化粧料用組成物に関する。
(1)ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)の菌体又は培養液を酵素で処理して得られるものであることを特徴とする化粧料用組成物。
(2)酵素がプロテアーゼであることを特徴とする(1)記載の化粧料用組成物。
(3)プロテアーゼがパパインであることを特徴とする(2)記載の化粧料用組成物。
(4)皮膚細胞の保湿効果を高めることを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の化粧料用組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧料用組成物を乾燥重量として0.01〜10%含むことを特徴とする皮膚疾患の改善用化粧料。
(6)前記皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌、肌荒れのいずれかであることを特徴とする(5)記載の皮膚疾患の改善用化粧料。
本発明は、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus)の中でも特にKT-11株 (FERM P-21457)の菌体又は培養液を用い、しかも酵素で処理することを特徴とするものである。
したがって、実施例1で示すように特許文献3に記載の酵素処理をしないものと本願発明との効果上の差異は極めて大きい。
本発明による化粧料用組成物は、アトピー性皮膚炎、肌荒れ、乾燥肌、敏感肌等の肌コンディションの改善効果に有効であり、副作用が無く安全な化粧料を提供することが出来る。
ヒト表皮細胞でのフィラグリン産生能を示す図。 本発明品を配合した化粧水の肌保湿効果を示す図。 アトピー性皮膚炎の改善効果を示す図。
本発明に用いられる化粧料用組成物を得る方法の一例を示すが、これに特に限定されるものではない。
本発明に用いられるラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457) は、人由来乳酸菌であり、当該菌株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構に寄託している。当該菌株の菌学的 (形態学的、培養学的、生理学的) 性状は、次のとおりである。
〔1〕形態学的性状
MRS寒天培地(Difco)で37℃、72時間培養後の観察では、細胞の大きさが0.5〜1×3〜5μmの桿菌であり、運動をしない。胞子形成は無く、グラム染色は、陽性である。
〔2〕培養学的性状
MRS寒天培地(Difco)で37℃、72時間培養後のコロニーは直径2〜3mm、円形、全縁である。コロニーの色調は黄白色で、半透明である。
〔3〕生理学的性状
ガス産生 陰性
グルコース資化 陽性
カタラーゼ活性 陰性
ゼラチン液化性 陰性
硝酸塩還元性 陰性
インドール産性 陰性
硫化水素産性 陰性
酸素に対する態度 通性嫌気性
至適生育温度 37〜40℃
至適生育pH pH5.5〜5.8
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)を培養するための培地としては、乳酸菌の培養に通常用いられる培地が使用される。すなわち主炭素源のほか窒素源、無機物、その他の栄養素を程よく含有する培地ならばいずれの培地も使用可能である。炭素源としては、グルコース、ラクトース、スクロース、フルクトース、デンプン加水分解物、廃糖蜜等が使用できる。窒素源としてはカゼインの加水分解物、大豆タンパク質の加水分解物、馬鈴薯の加水分解物、焼酎粕等の有機窒素含有物が使用できる。他に増殖促進剤として肉エキス、魚肉エキス、酵母エキス、オレイン酸等が用いられる。
培養は通常の乳酸菌の培養に用いられる方法でかまわない。好気条件下又は嫌気条件下のどちらでも行うことが出来る。培養温度は一般的に37℃が望ましいが、菌が生育する温度であれば他の温度条件でもよい。培養中の培地のpHは、5.0〜5.5に維持することが望ましいが、菌が生育するpHであれば他のpH条件でもよい。培養時間は通常12〜24時間が好ましいが、菌が生育することが出来る時間であれば他の培養時間でもかまわない。
本発明に用いる酵素処理物は、菌体又は培養液を酵素によって処理することにより得ることが出来る。酵素の処理には培養液が望ましいが、菌体、菌体懸濁液、培養上清液、培養液の凍結乾燥粉末等でもかまわない。本発明に用いる酵素としては、プロテアーゼが好ましく、特にエンド型プロテアーゼが好ましく、エンド型プロテアーゼにはアスパルティックタイププロテアーゼ、メタロタイププロテアーゼ、セリンタイププロテアーゼ、システインタイププロテアーゼがある。このうち、システインタイププロテアーゼがさらに好ましく、システインタイププロテアーゼにはパパイン、ブロメライン、フィシンなどがある。この内、パパインが最も好ましいが、菌体又は培養液を完全あるいは部分的に分解できる酵素であれば何でもよく、例えばリパーゼ、アクチナーゼ、リゾチーム等でも良い。
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457) の酵素による処理方法は、酵素の種類により異なるが、例えばパパイン酵素を用いる場合、培養液又は菌体に対してパパイン酵素を0.05%になるように添加して37℃で5時間反応させればよく、酵素の処理条件は適宜選択することが可能である。得られた酵素処理物は反応終了後に100℃以上で数秒間以上加熱し酵素を失活させることが望ましいが、加熱しなくてもよい。得られた酵素処理物は液体として利用できるが、凍結乾燥法又はスプレードライ法等によって乾燥して用いてもよい。
本明細書において、用語「化粧料」とは皮膚や粘膜等の上皮組織に接触させることにより、所望の効果を達成する、皮膚や粘膜に対して使用する製剤をいう。特に長時間継続的に皮膚や粘膜に接触させる用途に本発明は有効である。
本発明による化粧料用組成物の配合量は、一概には決めることは出来ないが、好ましい配合量としては化粧料に対して乾燥重量として0.001〜90%であり、より好ましくは0.01〜10%である。
本発明による化粧料用組成物は化粧料に配合されるが、配合対象となる化粧料については特に制限はなく、例えば、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ファンデーション、アイシャドウ、口紅、頬紅、エモリエントクリーム、エモリエントローション、クリーム、クリームリンス、コールドクリーム、バニッシングクリーム、ローション、パック剤、ジェル、フェイスパック、石けん、ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー、リンス、洗顔料、シェービングクリーム、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアートリートメント、髪パック、グロス、リップクリーム、ケーキ等の皮膚又は毛髪用化粧料、練歯磨、湿潤歯磨、液状歯磨、洗口剤、口中清涼剤等の口腔用化粧料が挙げられる。
また、化粧品も化粧料に含まれる。化粧品としては、清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け用化粧品、日焼け止め用化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、アイシャドウ化粧品、チーク、口唇化粧品、口腔化粧品などに分類され、そのいずれの用途にも本発明は有効である。
さらに、化粧料は、医薬品または医薬部外品であってもよい。例えば、薬学的に有効な成分を含む軟膏に本発明による化粧料組成物を配合することもできる。皮膚外用剤の好ましい例としては、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ファンデーション、アイシャドウ、口紅、頬紅、エモリエントクリーム、エモリエントローション、クリーム、クリームリンス、コールドクリーム、バニッシングクリーム、ローション、パック剤、ジェル、フェイスパック、石けん、ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー、リンス、洗顔料、シェービングクリーム、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアートリートメント、髪パック、グロス、リップクリーム、ケーキ、日焼け止め化粧品、毛髪用化粧品および口腔化粧品が挙げられる。
本発明の化粧料の剤形の例としては、軟膏、増粘ゲル系、ローション、錠剤、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、固形状、シート状、パウダー状、ジェル状、ムース状及びスプレー状が挙げられる。メーク落としパックなどのように、本発明による化粧料組成物を布等に含浸させた形態の製品としてもよい。
さらに、本発明の化粧料は、人用に限らず、ペット、家畜、家禽、競走馬、その他の哺乳類や魚類にも使用できる。
本発明による化粧料は、通常使用される方法と同様の方法によって使用され得る。本発明による化粧料は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回など任意の頻度で使用され得る。本発明による化粧料の適用部位は任意であり、全身のいずれの部位の皮膚に適用されてよい。適用部位の例としては、顔面、頭部、口腔、腕、手、脚、胸部、背部等が挙げられる。
以下に本発明の化粧料に該当する組成例又は実施例を示し、本発明の特徴及び優れた効果を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により制限されるものではない。
[実施例1]ヒト表皮細胞におけるフィラグリン産生能の検討
酵素で処理をしたラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) の培養物によるフィラグリン産生能について以下に示す。
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)を表1に示す培地に接種し、37℃で18時間培養した。培養後、110℃で15分間加熱処理し、凍結乾燥したものを培養物とした。また、培養物に対して0.05%のパパインによって37℃で5時間反応させた後、110℃で15分間加熱処理しパパインを失活させたものを酵素処理培養物とした。
Figure 2015040201
Humedia-KG2培地に懸濁した正常ヒト表皮細胞を1ウェルあたり1x104個/mLになるように96ウェルプレートに播種し、5%CO2存在下、37℃で一晩培養した。培養後、0.1%濃度になるように培養物又は酵素処理培養物を添加した培地に交換し、48時間培養後にRNAをFastLane Cell cDNA Kitにより回収し、cDNA化してフィラグリン産生量をリアルタイムPCRにて測定した。コントロールのハウスキーピング遺伝子としてGAPDHを用いた。
図1は、ヒト表皮細胞でのフィラグリン産生量相対値を示したものである。酵素で処理したラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)の培養物は、酵素を処理していない培養物と比較して顕著にフィラグリン産生能が高かった。以上の結果から、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)の培養物を酵素で処理をすることでフィラグリン産生能が顕著に高まることがわかった。
[実施例2]配合量の検討
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) 培養物を配合したグリセリン水溶液による肌への保湿効果について以下に示す。
実施例1の酵素処理培養物を0〜20%濃度を含む20%グリセリン水溶液からなる化粧水を調製した。ボランティア3名に対して、化粧水10 μLを肘下外側の皮膚2cm2に塗布し5分間保持した。保持後、余分な水分をキムタオルで拭き取った後、モイスチャーチェッカーを用いて肌水分量を測定した。
図2は、化粧水の肌への保湿効果を示したものである。0.01〜10%の酵素処理培養物を含む化粧水を塗布した皮膚の水分量は、酵素処理培養物無添加の化粧水と比較して肌水分量は顕著に高かった。以上の結果から、酵素処理培養物を化粧水へ0.01〜10%濃度添加することで、肌への保湿効果が高まることがわかった。
[実施例3]化粧水による乾燥性敏感肌の改善効果
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) 培養物を配合した化粧水による乾燥性敏感肌の改善効果について以下に示す。
表2は、試験に用いた化粧水の組成を示したものである。
Figure 2015040201
乾燥性敏感肌症状のある女性30名を対象に、実施例1の酵素処理培養物を配合した化粧水を8週間塗布させ、乾燥性敏感肌の改善効果を検証した。化粧水は、1日2回、朝と就寝前に乾燥性敏感肌の症状のある患部に適量を塗布した。患部の改善効果については、症状の程度を最大にひどい状態を10、症状が全くない状態を0として記録するVAS法を用いたアンケート調査によって評価した。有意差は、各値をWilcoxonの符号付順位和検定によりそれぞれ0週時と比較してp値を求めた。
表3は、皮膚症状に関するアンケート結果を示したものである。
Figure 2015040201
表3の結果から、「かゆみ」「乾燥」「赤み」「すべすべ感」「しっとり感」は、0週目と比べて4および8週目に顕著に改善したことがわかる。
以上の結果から、実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacilluscrispatus) KT-11株(FERM P-21457) 培養物を配合した化粧水の塗布は、乾燥性敏感肌の改善に有効であることがわかる。
[実施例4]化粧水によるアトピー性皮膚炎の改善効果
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) 培養物を配合した化粧水によるアトピー性皮膚炎の改善効果について以下に示す。
試験には実施例3の化粧水を使用した。アトピー性皮膚炎症状のある女性5名を対象に、化粧水を12週間塗布させ、アトピー性皮膚炎の改善効果を検証した。すなわち、1日2回、朝と就寝前にアトピー性皮膚炎の症状のある患部に化粧水を適量塗布した。アトピー性皮膚炎の重症度評価は、皮膚科専門医の目視によって無症状を1点、軽度を2点、中等度を3点、高度を4点として判定された。
表4は、アトピー性皮膚炎の重症度評価を示したものである。
Figure 2015040201
「乾燥」、「鱗屑・落屑」、「掻痒感」、「亀裂」、「全般重症度」の項目において、
0週目と比較して6および12週目では顕著に症状が改善したことがわかる。
図3は、アトピー性皮膚炎が改善した異なる症例の写真である。各症例において首筋、手首、肘におけるアトピー性皮膚炎の症状は、0週目と比較して6週目および12週目では顕著に改善したことがわかる。
以上の結果から、実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM P-21457) 培養物を配合した化粧水の塗布は、アトピー性皮膚炎の改善に有効であることがわかる。
ところで、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) は、人由来乳酸菌である。そして、本出願人は既にラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)を経口的に摂取することで抗アレルギー効果を有することを見出し特許取得しており、安全性が確認されているものである (特許文献4)。
本発明は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、全く意外な事に酵素で処理をしたラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332) の菌体あるいは培養液が優れた皮膚細胞への保湿効果を有することを発見し、完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の構成を要旨とする化粧料用組成物に関する。
(1)ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)の菌体又は培養液を酵素で処理して得られるものであることを特徴とする化粧料用組成物。
(2)酵素がプロテアーゼであることを特徴とする(1)記載の化粧料用組成物。
(3)プロテアーゼがパパインであることを特徴とする(2)記載の化粧料用組成物。
(4)皮膚細胞の保湿効果を高めることを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の化粧料用組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧料用組成物を乾燥重量として0.01〜10%含むことを特徴とする皮膚疾患の改善用化粧料。
(6)前記皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌、肌荒れのいずれかであることを特徴とする(5)記載の皮膚疾患の改善用化粧料。
本発明は、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus)の中でも特にKT-11株 (FERM BP-11332)の菌体又は培養液を用い、しかも酵素で処理することを特徴とするものである。
本発明に用いられる化粧料用組成物を得る方法の一例を示すが、これに特に限定されるものではない。
本発明に用いられるラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332) は、人由来乳酸菌であり、当該菌株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構に寄託している。当該菌株の菌学的 (形態学的、培養学的、生理学的) 性状は、次のとおりである。
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)を培養するための培地としては、乳酸菌の培養に通常用いられる培地が使用される。すなわち主炭素源のほか窒素源、無機物、その他の栄養素を程よく含有する培地ならばいずれの培地も使用可能である。炭素源としては、グルコース、ラクトース、スクロース、フルクトース、デンプン加水分解物、廃糖蜜等が使用できる。窒素源としてはカゼインの加水分解物、大豆タンパク質の加水分解物、馬鈴薯の加水分解物、焼酎粕等の有機窒素含有物が使用できる。他に増殖促進剤として肉エキス、魚肉エキス、酵母エキス、オレイン酸等が用いられる。
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332) の酵素による処理方法は、酵素の種類により異なるが、例えばパパイン酵素を用いる場合、培養液又は菌体に対してパパイン酵素を0.05%になるように添加して37℃で5時間反応させればよく、酵素の処理条件は適宜選択することが可能である。得られた酵素処理物は反応終了後に100℃以上で数秒間以上加熱し酵素を失活させることが望ましいが、加熱しなくてもよい。得られた酵素処理物は液体として利用できるが、凍結乾燥法又はスプレードライ法等によって乾燥して用いてもよい。
[実施例1]ヒト表皮細胞におけるフィラグリン産生能の検討
酵素で処理をしたラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) の培養物によるフィラグリン産生能について以下に示す。
ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)を表1に示す培地に接種し、37℃で18時間培養した。培養後、110℃で15分間加熱処理し、凍結乾燥したものを培養物とした。また、培養物に対して0.05%のパパインによって37℃で5時間反応させた後、110℃で15分間加熱処理しパパインを失活させたものを酵素処理培養物とした。
図1は、ヒト表皮細胞でのフィラグリン産生量相対値を示したものである。酵素で処理したラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)の培養物は、酵素を処理していない培養物と比較して顕著にフィラグリン産生能が高かった。以上の結果から、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM BP-11332)の培養物を酵素で処理をすることでフィラグリン産生能が顕著に高まることがわかった。
[実施例2]配合量の検討
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) 培養物を配合したグリセリン水溶液による肌への保湿効果について以下に示す。
[実施例3]化粧水による乾燥性敏感肌の改善効果
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) 培養物を配合した化粧水による乾燥性敏感肌の改善効果について以下に示す。
表2は、試験に用いた化粧水の組成を示したものである。
表3の結果から、「かゆみ」「乾燥」「赤み」「すべすべ感」「しっとり感」は、0週目と比べて4および8週目に顕著に改善したことがわかる。
以上の結果から、実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) 培養物を配合した化粧水の塗布は、乾燥性敏感肌の改善に有効であることがわかる。
[実施例4]化粧水によるアトピー性皮膚炎の改善効果
実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) 培養物を配合した化粧水によるアトピー性皮膚炎の改善効果について以下に示す。
以上の結果から、実施例1の酵素処理をしたラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT-11株(FERM BP-11332) 培養物を配合した化粧水の塗布は、アトピー性皮膚炎の改善に有効であることがわかる。

Claims (6)

  1. ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus) KT-11株 (FERM P-21457)の菌体又は培養液を酵素で処理して得られるものであることを特徴とする化粧料用組成物。
  2. 前記酵素がプロテアーゼであることを特徴とする請求項1記載の化粧料用組成物。
  3. 前記プロテアーゼがパパインであることを特徴とする請求項2記載の化粧料用組成物。
  4. 皮膚細胞の保湿効果を高めることを特徴とする請求項1、2又は3記載の化粧料用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の化粧料用組成物を乾燥重量として0.01〜10%含むことを特徴とする皮膚疾患の改善用化粧料。
  6. 前記皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌、肌荒れのいずれかであることを特徴とする請求項5記載の皮膚疾患の改善用化粧料。
JP2013173152A 2013-08-23 2013-08-23 化粧料用組成物 Active JP5715666B2 (ja)

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