携帯電話のバイブレータ等に利用されるアクチュエータ装置として、収縮可能なワイヤを動力源とするものが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。一般に、このようなワイヤは、SMAからなり、通電等によって発熱することで所定の長さから縮み、冷却されることで所定の長さに戻る性質を有している。このようなワイヤを動力源とするアクチュエータ装置は、ワイヤを周期的に駆動することにより、被駆動部を振動させることが可能であり、振動モータなどを動力源とする従来のアクチュエータ装置に比べて、小型で、高い応答性を有している。
以下、特許文献を参考にしたアクチュエータ装置の従来例について説明する。以降の説明では、アクチュエータ装置の支持面(ベース)に対して垂直な方向を「高さ方向」とし、ベースから離れる方向を「上方向」または単に「上」とし、ベースに近づく方向を「下方向」または単に「下」とし、高さ方向と垂直な方向を「面方向」または「側方」と定義する。
図9(A)は、特許文献1を参考にした第1の従来例に係るアクチュエータ装置1Pの側面図である。図9(B)は、第1の従来例に係るアクチュエータ装置1Pの平面図である。
アクチュエータ装置1Pは、ワイヤ2Pと、テコ機構3Pと、被駆動部4Pと、ベース5Pと、コイルバネ6Pと、板バネ7Pと、支持脚8Pと、突起部9Pと、ワイヤ固定部10Pとを備えている。被駆動部4Pは、板バネ7Pを介して上下動自在にベース5Pに取り付けられている。突起部9Pは、被駆動部4Pの外周縁部から側方に突出している。コイルバネ6Pは、被駆動部4Pの上側に設けられ、被駆動部4Pを下方向に押し下げている。テコ機構3Pは、側面視してL字状かつ平面視して円弧状であり、支持脚8Pを介して、L字の角部分を中心に揺動自在にベース5Pに取り付けられている。ワイヤ2Pは、テコ機構3Pの上下に延びる部位に架け渡された状態で、2つのワイヤ固定部10Pの間に張られている。
ワイヤ2Pは、通電されることにより発熱して所定の長さから縮む。すると、テコ機構3Pはワイヤ2Pに引き寄せられて反時計回りに揺動し、被駆動部4Pを上方向に移動させる。一方、ワイヤ2Pが冷却されて所定の長さに戻ると、コイルバネ6Pおよび板バネ7Pは被駆動部4Pを下方向に移動させる。これに伴い、テコ機構3Pは突起部9Pに押し下げられて時計回りに揺動する。テコ機構3Pを利用することにより、テコ機構3Pの支点からワイヤ2Pの接続点(力点)までの距離に対する、テコ機構3Pの支点から被駆動部4Pの接続点(作用点)までの距離のテコ比に応じて、被駆動部4Pの振動振幅が拡大されることになる。そのため、テコ比を大きくすることにより、ワイヤ2Pに加えるエネルギーに対して被駆動部4Pで得られる振動の振幅(振動効率)を高めることができる。
次に、特許文献2を参考にしたアクチュエータ装置の第2の従来例について説明する。図10は、第1の従来例に係るアクチュエータ装置1Qの斜視図である。
アクチュエータ装置1Qは、ワイヤ2Qと、板バネ3Qと、被駆動部4Qと、ベース5Qと、を備えている。板バネ3Qは、ベース5Qから面方向に延びる片持ち梁状に設けられている。被駆動部4Qは、板バネ3Qの先端に連結されている。ワイヤ2Qは、板バネ3Qに対してある角度(例えば60°)をなすように被駆動部4Qとベース5Qとの間に張り渡されている。ワイヤ2Qは、通電されることにより発熱して所定の長さから縮む。すると、被駆動部4Qがワイヤ2Qに引き寄せられて板バネ3Qが撓む。一方、ワイヤ2Qが冷却されて所定の長さに戻ると、板バネ3Qの撓みが回復し、被駆動部4Qが元の位置に戻る。
次に、特許文献3を参考にしたアクチュエータ装置の第3の従来例について説明する。図11(A)は、第3の従来例に係るアクチュエータ装置1Rの断面図である。図11(B)は、第3の従来例に係るアクチュエータ装置1Rの斜視図である。
アクチュエータ装置1Rは、ワイヤ2Rと、テコ機構3Rと、被駆動部4Rと、バネ6Rと、ベース5Rと、摺動部7Rと、を備えている。被駆動部4Rは、摺動部7Rを介して上下動自在にベース5Rに連結されている。バネ6Rは、ベース5Rと被駆動部4Rとの間に設けられ、被駆動部4Rを上方向に押し上げている。テコ機構3Rは、上側端部が被駆動部4Rの側方に接触し、下側端部がベース5Rに取り付けられている。ワイヤ2Rは、テコ機構3Rの中央部分とベース5Rとの間に張られている。ワイヤ2Rは、通電されることにより発熱して所定の長さから縮む。すると、テコ機構3Rは、上端部側がワイヤ2Rに引き寄せられて下端部側が撓み、被駆動部4Rを下方向に押さえつけて被駆動部4Rを下方向に移動させる。一方、ワイヤ2Rが冷却されて所定の長さに戻ると、バネ6Rが被駆動部4Rを上方向に移動させるとともにテコ機構3Rの撓みが回復する。テコ機構3Rを利用することにより、テコ比を大きくし振動効率を高めることができる。
次に、特許文献4を参考にしたアクチュエータ装置の第4の従来例について説明する。図12は、第4の従来例に係るアクチュエータ装置1Sの斜視図である。
アクチュエータ装置1Sは、ワイヤ2Sと、コイルバネ3Sと、円盤状の被駆動部4Sと、2つの支持部5Sと、ベース6Sと、を備えている。2つの支持部5Sは、装置高さ方向に対して垂直な方向に並べて、ベース6Sに固定されている。ワイヤ2Sは、両端が2つの支持部5Sに固定されており、両端間が円盤状の被駆動部4Sの側方に架け渡されている。コイルバネ3Sは、一端がベース6Sに固定されており、他端が面方向に伸縮自在であり、被駆動部4Sをワイヤ2S側に付勢している。ワイヤ2Sは、通電されることにより発熱して所定の長さから縮む。すると、被駆動部4Sが面方向のコイルバネ3S側に移動する。その後、ワイヤ2Sが冷却されて所定の長さに戻ると、被駆動部4Sがコイルバネ3Sにより押し戻されて面方向に移動し、元の位置に戻る。
図9に示した第1の従来例に係るアクチュエータ装置1Pでは、被駆動部4Pの振動方向が高さ方向であるため、被駆動部4Pやテコ機構3Pがベース5Pと干渉することを防ぐためのスペースや、被駆動部4Pの変位を戻すためのコイルバネ6Pが、被駆動部4Pの高さ方向に必要である。このため、携帯電話用バイブレータのような、装置高さを抑えて薄型化する必要がある用途で用いられる場合には、被駆動部4Pを必要とされる振幅で振動させられないことがあった。
このアクチュエータ装置1Pで被駆動部4Pの振動振幅を増大させるためには、テコ機構3Pの振動効率を高めることや、ワイヤ2Pの全長を長くすることが必要である。しかしながら、テコ機構3Pの振動効率を高めるためにテコ機構3Pの支点から作用点までの距離を長くすると、テコ機構3Pとベース5Pとが干渉することを防ぐために必要なスペースが大きくなって装置高さを抑えることが難しくなるとともに、面方向での装置サイズを抑えることも難しくなる。また、テコ機構3Pを用いる構成では、テコ機構3Pの支点に生じる摩擦によって、ワイヤ2Pに生じる振動エネルギーの一部が消費されて振動効率がある程度低下してしまう。その上、被駆動部4Pの振動振幅を必要な水準にするほどワイヤ2Pの全長を長くするためには、面方向での装置サイズを大きくする必要がある。
図10に示した第2の従来例に係るアクチュエータ装置1Qでは、被駆動部4Qは、面方向に延びる片持ち梁状の板バネ3Qに取り付けられているために、被駆動部4Qの変位を戻すためのコイルバネのような部材は不要である。しかしながら、被駆動部4Qの振動方向が高さ方向であるため、ワイヤ2Qは板バネ3Qに対して傾けて張る必要があり、ワイヤ2Qを張るためのスペースが被駆動部4Qの高さ方向に必要である。また、ワイヤ2Qの伸縮を拡大して被駆動部4Qに伝えることができず、振動効率が極めて低い。したがって、装置高さを抑える場合には、被駆動部4Qを必要とされる振幅で振動させることが難しかった。その上、被駆動部4Qの振動振幅を増大させるためには、ワイヤ2Qの全長を長くするしかなく、ワイヤ2Qの全長を長くすると、ワイヤ2Qを張るためのスペースが大きくなって装置高さを抑えることが難しくなるとともに、面方向での装置サイズを抑えることも難しくなる。
図11に示した第3の従来例に係るアクチュエータ装置1Rでは、被駆動部4Rの振動方向が高さ方向であるため、被駆動部4Rがベース5Rと干渉することを防ぐためのスペースや、被駆動部4Rの変位を戻すためのバネ6Rが、被駆動部4Rの高さ方向に必要である。したがって、やはり装置高さを抑える場合には、被駆動部4Rを必要とされる振幅で振動させられないことがあった。
このアクチュエータ装置1Rで被駆動部4Rの振動振幅を増大させるためには、テコ機構3Rでワイヤ2Rが架け渡される位置(力点)や下端部(支点)から、被駆動部4Rが接触する位置(作用点)をさらに上方向に離して振動効率を高めることや、ワイヤ2Rの全長を長くすることが必要である。しかしながら、テコ機構3Rに被駆動部4Rが接触する位置(作用点)をさらに上方向に離すためには、テコ機構3Rをより長くする必要があり、装置高さを抑えることが難しくなる。また、このテコ機構3Rを用いる構成では、テコ機構3Rと被駆動部4Rとが接触する位置(作用点)に摩擦が生じるため、やはりワイヤ2Rに生じる振動エネルギーの一部が消費されて、振動効率がある程度低下してしまう。その上、被駆動部4Rの振動振幅を必要な水準にするほどワイヤ2Rの全長を長くするためには、装置高さを高くするとともに面方向での装置サイズを大きくする必要がある。
なお、このテコ機構3Rを用いる構成では、テコ機構3Rの上側端部を高さ方向から大きく傾ければ、装置高さを低くすることが可能である。しかしながら、その場合には、テコ機構3Rとワイヤ2Rとがなす角度が小さくなってしまうので、テコ機構3Rとワイヤ2Rとの摩擦によるワイヤ2Rの摩耗が発生しやすくなって、振動効率が更に低下するとともに、ワイヤ2Rの寿命が短くなってしまう。また、ワイヤ2Rをテコ機構3Rに架け渡す場合には、テコ機構3Rとワイヤ2Rとがなす角度が小さくなると、テコ機構3Rにワイヤ2Rが接続される位置がずれやすくなる。すると、ワイヤ2Rに生じる振動エネルギーがテコ機構3Rを介して被駆動部4Rに伝達され難くなるため、ワイヤ2Rの収縮量があまり大きくならず振動効率が低下してしまい、また、被駆動部4Rの振動振幅に製品毎のばらつきが生じてしまう。また、はんだなどでテコ機構3Rにワイヤ2Rが接合されている場合には、テコ機構3Rに対してワイヤ2Rが斜め方向に張られていると、ワイヤ2Rをテコ機構3Rに対して接合する接合強度が弱くなることある。そこで、テコ機構3Rの長辺に対してワイヤ2Rが貼られる角度を垂直に近付けることにより接合強度の低下を防ぐことができるが、その場合には、テコ機構3Rの上側端部を高さ方向から大きく傾けることができず、装置高さを低くすることが難しくなる。
図12に示した第4の従来例に係るアクチュエータ装置1Sでは、面方向の振動が生じるため、被駆動部4Sの変位を戻すためのコイルバネや、被駆動部4Sの変位を拡大するためのテコ機構のような部材を、被駆動部4Sの高さ方向に設ける必要が無い。したがって、装置高さを抑えることは容易であるが、ワイヤ2Sの伸縮を拡大して被駆動部4Sに伝えることができず、振動効率が極めて低く、被駆動部4Sを必要とされる振幅で振動させるためには、ワイヤ2Sの全長を長くする必要があり、面方向での装置サイズを抑えることが難しい。
そこで本発明の目的は、従来よりも被駆動部の振動効率を高めることができ、装置高さを低くしても被駆動部を必要とされる振幅で振動させることが容易なアクチュエータ装置を提供することにある。
以下、この発明で言う、ある物理量の値が略等しい状態とは、それぞれの値が完全に一致する状態だけでなく、それぞれの値が数%(〜9%)以下の誤差でずれている状態も含むものである。
この発明に係るアクチュエータ装置は、弾性板と、被駆動部と、第1及び第2のワイヤ固定部と、ワイヤと、を備えている。弾性板は、固定端から屈曲点まで延びる短辺部と、屈曲点で短辺部から屈曲して自由端まで延びる長辺部と、長辺部の屈曲点と自由端との間に設けられている係止部と、を有している。被駆動部は、長辺部における係止部よりも自由端側の位置に連結されている。第1及び第2のワイヤ固定部は、互いに長辺部の延びる方向(以下、単に長辺方向と言う。)に離れるとともに、それぞれが短辺部の延びる方向(以下、単に短辺方向と言う。)に長辺部から離れている。ワイヤは、収縮可能であり、係止部に架け渡されて第1のワイヤ固定部と第2のワイヤ固定部との間に張られている。
この構成では、ワイヤを周期的に収縮させて長辺部に1次モードの屈曲振動が生じさせると、弾性板の厚みの逆数に比例し、長さの2乗に比例する振動振幅が得られる。このため、ワイヤが係止される係止部よりも自由端側に被駆動部を配置することで、ワイヤの伸縮に伴う係止部の振動振幅を増幅して、被駆動部を振動させることができる。また、弾性板にワイヤ以外の部材との摩擦が生じることがなく、ワイヤに加えられるエネルギーの劣化が少ない。これらのことにより、被駆動部を、テコ機構での振動効率よりも高い振動効率で振動させられる。また、第1及び第2のワイヤ固定部は、互いを長辺方向に離し、それぞれを長辺部から短辺方向に離せばよく、ワイヤの全長を長くしても短辺方向および長辺方向に垂直な方向(以下、単に幅方向と言う。)でのアクチュエータ装置の寸法を増やす必要が無い。このため、アクチュエータ装置を、弾性板の幅方向に低背化でき、短辺方向および長辺方向に平行な面を取り付け面とすることにより、装置高さを抑えることができる。この場合、弾性板や被駆動部の振動方向が、アクチュエータ装置の取り付け面と平行になるので、弾性板や被駆動部の振動振幅が大きくても、弾性板や被駆動部が他の部材と衝突することを防ぐためのスペースを、アクチュエータ装置の高さ方向に設ける必要が無く、アクチュエータ装置の装置高さを抑えることができる。これらのことから、アクチュエータ装置を薄型化する場合でも、被駆動部を必要とされる振幅で振動させることができる。
ワイヤは、係止部よりも第1のワイヤ固定部側の部分(以下、第1の線状部と言う。)の長さと、係止部よりも第2のワイヤ固定部側の部分(以下、第2の線状部と言う。)の長さと、が略等しいことが好ましい。これにより、第1の線状部と第2の線状部とから弾性板に均等に力が伝わることになり、ワイヤの被駆動部に架け渡される位置が滑ることを抑制して摩擦を減じることができ、振動効率をより高められる。
ワイヤは、第1の線状部が長辺部となす角度と、第2の線状部が長辺部となす角度と、が略等しいことが好ましい。これにより、ワイヤが収縮するとワイヤから弾性板に対して短辺方向に力が作用することになり、被駆動部を効率よく1次モードで屈曲振動させることができ、振動効率をより高められる。また、ワイヤが長辺部となす角度は、20〜40度の範囲にあることが好ましい。これにより、ワイヤから弾性板に対して効率的に力を伝達することができ、振動効率をより高められる。
係止部は、長辺方向での屈曲点と自由端との間の中央に設けられていることが好ましい。これにより、ワイヤの全長を長くしても長辺方向でのアクチュエータ装置の寸法を抑制できる。
弾性板は、短辺方向および長辺方向に直交する幅方向の端部に、前記ワイヤが架け渡される突起を備えていることが好ましい。ワイヤを弾性板の幅全体ではなく突起に架けることで、ワイヤを弾性板との接触面積を低減でき、ワイヤと弾性板との摩擦を低減して振動効率をより高められる、また、ワイヤと弾性板との間での熱伝達を抑制してワイヤの応答性を高めることができる。その上、ワイヤを所定の角度で屈曲させる場合にアクチュエータ装置の長辺方向の寸法を抑えることができる。
ワイヤは形状記憶合金からなり、第1及び第2のワイヤ固定部は、ワイヤへの通電端子を兼ねていることが好ましい。これにより別途ワイヤを伸縮させるための手段を設ける必要が無くなり、アクチュエータ装置を簡易な構成にできる。
アクチュエータ装置は、ワイヤへの通電を制御する通電制御部をさらに備え、通電制御部は、ワイヤへの通電周期を、弾性板における1次モードの屈曲振動の固有周期の1/n倍(n=1、2、3、・・・)に合わせると好適である。これにより、弾性板を共振させて、弾性板に1次モードの屈曲振動を効率的に励起させることができる。
この発明によれば、被駆動部を、テコ機構での振動効率よりも高い振動効率で振動させることができ、ワイヤの全長を長くしても弾性板の幅方向でのアクチュエータ装置の寸法を増やす必要が無い。このため、短辺方向および長辺方向に平行な面をアクチュエータ装置の取り付け面として装置高さを抑えても、被駆動部を必要とされる振幅で振動させることができる。
以下、本発明に係るアクチュエータ装置について、弾性板の幅方向を高さ方向とし、弾性板の長辺方向をアクチュエータ装置の左右方向とし、弾性板の短辺方向をアクチュエータ装置の前後方向として取り付け面が設定されるものを例に説明を行う。
なお、本発明に係るアクチュエータ装置は、弾性板の長辺方向を高さ方向として取り付け面が設定されてもよく、弾性板の短辺方向を高さ方向として取り付け面が設定されてもよい。
以下、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータ装置について、図1〜図5を参照して説明する。第1の実施形態に係るアクチュエータ装置11は、例えば、携帯電話用バイブレータのような、装置高さを抑えて薄型化する必要がある用途で用いられるアクチュエータ装置である。
図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータ装置11を高さ方向の上側から視た平面図である。図1(B)は、アクチュエータ装置11を前後方向の前側から視た側面図である。図1(C)は、アクチュエータ装置11を左右方向の右側から視た側面図である。
アクチュエータ装置11は、ワイヤ12と、下部筐体15と、2つの通電端子16と、放熱板17と、を備えている。
下部筐体15は、上面に開口する内部空間を有する箱状にPBT等の樹脂を成型したものである。下部筐体15は、高さ方向に対して垂直な底板15Aと、前後方向に対して垂直な側板15B,15Cと、左右方向に対して垂直な側板15D,15Eと、を備えている。側板15Bは、底板15Aの前側端辺から立ち上がっている。側板15Cは、底板15Aの後側端辺から立ち上がっている。側板15Dは、底板15Aの右側端辺から立ち上がっている。側板15Eは、底板15Aの左側端辺から立ち上がっている。放熱板17は、下部筐体15の上面を覆って下部筐体15の内部空間を閉じている。
左右方向に位置する側板15D,15Eのそれぞれには窓部19Aと溝部19Bが設けられている。窓部19Aは、側板15D,15Eの放熱板17に接する面(上面)で左右方向に延びる溝状に形成されており、下部筐体15の内部空間を外部に連通させている。
溝部19Bは、側板15D,15Eの外面、即ち、側板15Dの右側面と側板15Eの左側面で上下方向に延びる溝状に形成されており、両端が側板15D,15Eの上面および下面に到達して、窓部19Aに接している。
2つの通電端子16は、導電性の高い金属からなる板状であり、側板15D,15Eそれぞれの溝部19Bに嵌め込まれて、下部筐体15に連結されている。具体的には、ここでは通電端子16に板厚方向を貫通する複数の穴が設けられており、一方、側板15D,15Eそれぞれの溝部19Bには、通電端子16に対向する突起が設けられており、これらが嵌め合わせられて、通電端子16が下部筐体15に接合されている。
ワイヤ12は、絶縁被覆されたニッケルチタン合金等の形状記憶合金の線材からなり、通電等によって発熱することで所定の長さから縮み、冷却されることで所定の長さに戻る性質を利用するアクチュエータ装置11の駆動動力源である。このワイヤ12は、下部筐体15の内部空間に収められており、その両端が側板15D,15Eの窓部19Aから外部に引き出されて、それぞれ通電端子16に機械的および電気的に接続されている。このため、ここでは通電端子16がワイヤ固定部を兼ねている。なお、ワイヤ12と通電端子16との接続は、溶接、はんだ付け、圧着、かしめ、ねじ止め、係止、等の一般的な接続方法で実現することができる。なお、通電端子16を平板状に構成して、下部筐体15の側板に接合させることにより、通電端子16を変形や変位し難くすることができ、通電端子16にワイヤ12の収縮が減衰されることを抑制してアクチュエータ装置11の振動効率を高められる。
図2は、アクチュエータ装置11を分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。
図3(A)は、アクチュエータ装置11を高さ方向の上側から視た平面断面図であり、図3(B)にA−A’で示す断面を示している。図3(B)は、アクチュエータ装置11を前後方向から視た側面断面図であり、図3(A)にB−B’で示す断面を示している。
アクチュエータ装置11は、弾性板13と、被駆動部14と、をさらに備えている。また、下部筐体15は、窓部19Cと、台座部19Dと、をさらに備えている。
窓部19Cは、側板15Cに設けられた板厚方向に貫通する開口であり、およそ被駆動部14に対向する位置に設けられており、被駆動部14の振動により、側板15Cと弾性板13とが衝突することを防ぐために設けられている。
台座部19Dは、下部筐体15の内部空間において、側板15B,15Eおよび底板15Aが成す角部分に設けられており、切込部19Eと、有底孔19Fとが形成されている。切込部19Eは、台座部19Dにおいて高さ方向および前後方向に拡がり、左右方向の間隔が弾性板13の板厚よりも薄い空間であり、弾性板13の端部を固定(挟持)するために設けられている。有底孔19Fは、台座部19Dにおいて切込部19Eを左右方向から挟み込むように2つ設けられており、台座部19Dの左右方向での弾性率を抑制して、切込部19Eが弾性板13の端部を弾性的に固定できるようにするために設けられている。
弾性板13は、SUSやリン青銅などのバネ性の高い材料からなる板材をプレス成型することにより、平面視して左右方向を長辺方向とし前後方向を短辺方向とするL字形状で一体的に設けられており、その幅方向が底板15Aに対してほぼ垂直となるように、底板15Aに対して幅方向を立てて設けられている。
また、弾性板13は、短辺部13Aと長辺部13Bと固定部13Cとを備えている。固定部13Cと短辺部13Aとは、前後方向に連続して延びる単一の平板状に構成されている。固定部13Cは、弾性板13の平面視した一端側に設けられており、下部筐体15に埋め込まれて固定されている。短辺部13Aは、固定部13Cから前後方向の後ろ側に延びている。長辺部13Bは、弾性板13の平面視した他端側に設けられており、短辺部13Aから左右方向に屈曲する平板状に構成されている。短辺部13Aと長辺部13Bとは、下部筐体15の底板15Aから上方に離れるとともに、放熱板17から下方に離れるように構成されており、台座部19Dのみを介して下部筐体15に連結されている。したがって、短辺部13Aと長辺部13Bとは、短辺部13Aと固定部13Cとの境界に位置する固定端Aから前後方向の後側に延び、短辺部13Aと長辺部13Bとの境界に位置する屈曲点Bで左右方向の右側に屈曲し、長辺部13Bの先端に位置する自由端Cまで延びるL字形状の片持ち梁を構成している。また、短辺部13Aと長辺部13Bとは、それぞれの延びる方向の長さ、即ち、短辺部13Aの前後方向の長さと長辺部13Bの左右方向の長さを比較して、短辺部13Aよりも長辺部13Bのほうが長くなるように定められている。
また、弾性板13は、係止部13Dを更に備えている。係止部13Dは、ワイヤ12が架け渡される部位であり、長辺部13Bの高さ方向の上側面で、屈曲点Bと自由端Cとの中央となる位置に連結されている。この係止部13Dも、プレス成型により長辺部13Bと一体的に構成されており、平面視して前後方向の側面が曲面となり側面視して突起状になるように構成されている。係止部13Dは、平面視して前後方向の側面を曲面とすることにより、また、側面視して突起状とすることにより、ワイヤ12との接触面積を抑制でき、ワイヤ12との摩擦を低減して振動効率を高められる、また、ワイヤと弾性板との間での熱伝達を抑制してワイヤ12の応答性を高めることができる。
なお、係止部13Dは、弾性板13と別体の部材として形成してから、弾性板13に接合するようにしてもよいが、ワイヤ12から駆動に伴う大きな力を受けるので、プレス成型等により弾性板13と一体的に成型すると、長寿命化の面で好ましい。ただし、係止部13Dを別部材として形成する場合でも、係止部13Dを樹脂のようなワイヤ12との接触面に潤滑性を持たせることができる材料で構成する場合には、ワイヤ12との摩擦を低減できるため、振動効率の面では好ましい。
被駆動部14は、ここでは振動を大きくするための錘として設けられている。被駆動部14は、長辺部13Bの前後方向の前側の側面に取り付けられている。被駆動部14の取り付け位置は、長辺部13Bにおける係止部13Dの形成位置よりも自由端C側に定められている。被駆動部14も、下部筐体15の底板15Aから上方に離れるとともに、放熱板17から下方に離れるように構成されており、弾性板13のみを介して下部筐体15に連結されている。この被駆動部14は、タングステンなど高比重の材料からなると、弾性板13の自由端Cにおける振動振幅を大きくすることができ望ましい。また、被駆動部14は、ここでは、はんだ13Eによる点接合により、長辺部13Bに接合されている。被駆動部14を長辺部13Bに点接合することにより、ワイヤ12によって弾性板13が加振される係止部13D(力点)から、弾性板13から被駆動部14に振動を伝えるはんだ13E(作用点)までの距離を離すことができる。これにより、係止部13D(力点)での振動が、はんだ13E(作用点)を介して被駆動部14に増幅されて伝わる増幅率を大きくすることができる。
ワイヤ12は、前述したように下部筐体15の外側で両端が通電端子16に接続されており、窓部19Aを通過して下部筐体15の内部空間に引き込まれている。そして、ワイヤ12は、下部筐体15の内部空間で係止部13Dに架け渡されて、通電端子16間に張られている。ここでは、係止部13Dを、前後方向で2つの通電端子16よりも後方に配置し、左右方向で2つの通電端子16の中央に配置することにより、ワイヤ12を、平面視してV字状に張るようにしている。また、係止部13Dを、高さ方向で側板15D,15Eに設けられる窓部19Aと同じ高さになるように配置することにより、ワイヤ12を、側面視して、高さ方向には延びずに面方向にのみ延びるように張っている。
図4(A)は、アクチュエータ装置11の通電態様について説明する模式図である。
アクチュエータ装置11は、通電制御部18をさらに備えている。通電制御部18は、通電端子16を介して、ワイヤ12の両端に接続されており、ワイヤ12への通電を制御する。
より具体的には、携帯電話用バイブレータの場合には、人体が振動を感知し易い周波数帯である100Hz〜300Hz程度で振動することが好ましい。そこで通電制御部18は、パルス信号を100Hz〜300Hzの通電周期で出力する。そして、100Hz〜300Hz程度で効率的に被駆動部14を振動させるために、ワイヤ12と弾性板13からなる振動系の固有周期を、パルス信号の通電周期と同じまたは整数倍として共振を生じさせることが好ましい。
図4(B)は、アクチュエータ装置11の屈曲振動を説明する模式図である。
通電端子16を介してワイヤ12が通電されると、ワイヤ12が発熱して、ワイヤ12が加熱されていく。ワイヤ12が一定温度よりも加熱されると、ワイヤ12の長さが収縮する。これにより、ワイヤ12が架け渡される係止部13Dを介して長辺部13Bに、短辺方向、即ち、前後方向に沿って前側に向かうような力が作用する。これにより長辺部13Bが前後方向に沿って前側に撓む。
また、通電端子16を介したワイヤ12への通電が停止されると、ワイヤ12の発熱が止まり、ワイヤ12が冷却されていく。ワイヤ12が一定温度まで冷却されると、ワイヤ12が所定の長さに戻る。これにより、ワイヤ12が架け渡されている係止部13Dを介して長辺部13Bに作用していた力が低減し、長辺部13Bの弾性によって長辺部13Bが後側に戻り、今度は慣性力の作用で後側に撓む。
したがって、ワイヤ12への通電と通電停止とを繰り返すことにより、弾性板13の長辺部13Bが屈曲振動することになる。長辺部13Bに励起する屈曲振動は、主として1次モードの屈曲振動となる。1次モードの屈曲振動は、弾性板13の厚みの逆数に比例し、かつ、各領域の長さの2乗に比例する大きさの振動振幅となる。このため、ワイヤ12の収縮により長辺部13Bの係止部13Dに引き起こされる変位は、係止部13Dよりも自由端C側に離れる位置に連結される被駆動部14に伝わる際に、屈曲点Bから係止部13Dまでの距離と、屈曲点Bから被駆動部14までの距離との比よりも大きく拡大される。これにより、弾性板13において高い振動効率を実現できる。
なお、仮に係止部13Dを自由端Cに近い位置に設けた場合には、屈曲点Bから係止部13Dまでの距離に対する、屈曲点Bから被駆動部14までの距離の比を大きくすることができない。すると、係止部13Dの変位量に対して被駆動部14の変位量が拡大される割合を大きくすることができず、振動効率が低下してしまう。このため、係止部13Dを長辺部13Bの中央に連結することで、係止部13Dを自由端Cに近づける場合よりも、振動効率を高められる。また、係止部13Dは、屈曲点Bと自由端Cとの中央となる位置で長辺部13Bに連結されることで、左右方向、即ち長辺方向での長辺部13Bとワイヤ12との重なりを最大化でき、長辺方向でのアクチュエータ装置11の寸法を抑制できる。また、仮に係止部13Dを屈曲点Bに近い位置に設けた場合には、弾性板13の剛性にもよるが、1次モードの屈曲振動よりも振動効率が低い高次モードの屈曲振動が生じ易くなる。このため、係止部13Dを長辺部13Bの中央に連結することで、係止部13Dを屈曲点Bに近づける場合よりも、1次モードの屈曲振動をより確実に生じさせることができる。
さらには、弾性板13には、ワイヤ12以外の部材との摩擦が生じることがない。そして、ワイヤ12を弾性板13の幅全体ではなく係止部13Dに架けることでワイヤ12と弾性板13との摩擦も小さい。したがって、ワイヤ12に加えられるエネルギーの一部が、摩擦によって消費されることがほとんど無く、振動効率の低下が殆ど引き起こされない。したがって、このことによっても弾性板13において高い振動効率を実現できる。また、ワイヤ12と弾性板13との摩擦が少ないために、ワイヤ12が摩耗によって短寿命となることを防ぐことができる。その上、ワイヤ12は高さ方向に傾ける張る必要が無いため、ワイヤ12の全長を長くしてワイヤ12の収縮量を増大させるような場合でも、高さ方向でのアクチュエータ装置11の寸法を増やす必要が無い。このため、アクチュエータ装置11の装置高さを抑えることができる。逆にいえば、アクチュエータ装置11を低背化する場合でも、ワイヤ12の全長を短くする必要が無く、ワイヤ12の収縮量を維持することができる。
次に、ワイヤの張り方の影響について説明する。
図5(A)は、アクチュエータ装置11のワイヤ張り方を説明する模式図である。
ここで、ワイヤ12において、係止部13Dよりも左右方向の左側の部分を第1の線状部12Aと称する。また、ワイヤ12において、係止部13Dよりも左右方向の右側の部分を第2の線状部12Bと称する。
第1の線状部12Aの長さをL1、第2の線状部12Bの長さをL2とすると、仮に、長さL1と長さL2とが大きく異なる場合には、ワイヤ12を収縮させると、ワイヤ12と係止部13Dとの接触面で、第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとのうちの、収縮量がより大きい線状部側にワイヤ12の滑りが生じてしまう。このような滑りが生じると、ワイヤ12と係止部13Dとの接触面での摩擦により振動効率が低下してしまう。そのため、第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとはそれぞれの長さL1,L2を一致させることが望まれる。この場合には、ワイヤ12を収縮させる際に、第1の線状部12Aで生じる収縮量と第2の線状部12Bで生じる収縮量とが等しくなり、係止部13Dに第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとから均等に力が伝わり、ワイヤ12と係止部13Dとの接触面でワイヤ12の滑りが殆ど生じず、摩擦を減じて振動効率を高めることができる。
また、第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとはそれぞれの長さL1,L2を一致させる場合には、第1の線状部12Aと長辺部13Bとがなす角度をθ1、第2の線状部12Bと長辺部13Bとがなす角度をθ2として、仮に、角度θ1と角度θ2とが大きく異なる場合には、ワイヤ12が収縮する際に、係止部13Dに第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとから伝わる力の合力が、長辺部13Bに対して垂直な方向からずれてしまう。すると、ワイヤ12から係止部13Dに伝わる力によって長辺部13Bを効率的に屈曲振動させることが難しくなる。そのため、この場合には、第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとが長辺部13Bとがなす角度θ1,θ2を一致させることが望まれる。すると、ワイヤ12を収縮させる際に、線状部12A,12Bから係止部13Dに伝わる合力を、長辺部13Bに対して垂直な方向に近付けることができ、長辺部13Bを効率的に屈曲振動させることができる。
また、第1の線状部12Aと第2の線状部12Bとが長辺部13Bとがなす角度θ1,θ2が一致する角度θである場合、V字状に張ったワイヤ12が長辺部13Bとなす角度θを加味して換算した、短辺方向でのワイヤ12の換算バネ定数は、ワイヤ12の張り角θの関数となり、ワイヤ12の換算バネ定数と係止部13Dの変位量との積で表わされる力が、ワイヤ12から係止部13Dに伝わる。この力は、ワイヤ12の張り角θに大きく影響を受けるので、ワイヤ12の張り角θを適切に設定することで、ワイヤ12から係止部13Dに伝わる力を大きくして、弾性板13および被駆動部14を効率的に振動させることができる。ここで、ワイヤ12の張り角θに対する係止部13Dにワイヤ12から伝わる力(加振力)との関係を説明する。図5(B)は、ワイヤ12の張り角θと、係止部13Dにワイヤ12から伝わる力(加振力)との関係を例示するグラフである。
ワイヤ12の張り角θが30度の角度の場合に、係止部13Dにワイヤ12から伝わる力が最も大きくなり、ワイヤ12の張り角θが30度から小さくなるにつれて、ワイヤ12のバネとしての力が弾性板13のバネとしての力に負けて、ワイヤ12から係止部13Dに伝わる力が小さくなる。また、逆にワイヤ12の張り角θが30度から大きくなるにつれて、ワイヤ12の収縮量に対する係止部13Dの短辺方向での変位量が小さくなり、やはり、ワイヤ12から係止部13Dに伝わる力が小さくなる。このようなワイヤ12の張り角θと、係止部13Dにワイヤ12から伝わる力との関係は、角度θ1,θ2が等しい場合には常になりたつものであり、ワイヤ12の張り角θは10〜45度とすることにより、より好適には20〜40度とすることにより、ワイヤ12から弾性板13に対して効率的に力を伝達することができ、高い振動効率を実現することができる。
以上に説明したように、本実施形態のアクチュエータ装置11は構成することができる。なお、弾性板13を、短辺部13A側の端部で底板15Aに固定する方法としては、上述のように台座部19Dを設けて切込部19Eで挟持するようにする他、底板15A自体に切込部を設け、弾性板13に高さ方向に延びる舌状の部位を設け、両者を嵌め合わせるようにしてもよく、弾性板13端部を、接着剤や基板との熱溶着により固定するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータ装置について説明する。
図6(A)は、第2の実施形態に係るアクチュエータ装置21を高さ方向の上側から視た平面断面図である。図6(B)は、アクチュエータ装置21を前後方向の前側から視た側面断面図である。図6(C)は、アクチュエータ装置21を、左右方向の右側から視た側面断面図である。
このアクチュエータ装置21は、ワイヤ22と、弾性板23と、被駆動部24と、筐体25と、2つの通電端子26と、を備えている。また、アクチュエータ装置21は、弾性板23に接続されている通電端子27をさらに備えている。弾性板23は、固定端の近傍に高さ方向の下側に延びる舌状の部位を設けられている。筐体25は、底板に弾性板23の舌状の部位を通過させる切欠部が設けられている。そして、弾性板23の固定端側の舌状の部位を、筐体25の切欠部に挿入することにより、弾性板23を筐体25に固定している。そして、筐体25の下面から突出する弾性板23の舌状の部位を通電端子27としている。
図7は、アクチュエータ装置21の通電態様について説明する模式図である。
アクチュエータ装置21は、通電制御部28を備えている。ワイヤ22が接続されている2つの通電端子26は、共にグランドに接地されている。弾性板23が接続されている通電端子27は、通電制御部28から電圧が印加されるように構成されている。
即ち、この構成では、ワイヤ22の全体の抵抗成分ではなく、第1の線状部22Aの抵抗成分と第2の線状部22Bの抵抗成分との並列回路に、通電制御部28から弾性板23を介して電圧を印加している。
したがって、このアクチュエータ装置21では、通電制御部28の出力電圧を低電圧化してもワイヤ22を十分な発熱量で発熱させることができ、被駆動部24での振動振幅を損なうことなく出力電圧を低電圧化できる。または、通電制御部28の出力電圧を低電圧化せずに利用すると電流量が増大するために、ワイヤ22の昇温速度を速めることができ、駆動応答性を高めることができる。
なお、この構成では、弾性板において応力が集中し易い固定端近傍での弾性板の剛性を高めるために、弾性板の固定端近傍に補強部を設けるとより好適である。
図8は、本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータ装置31を高さ方向の上側から視た平面断面図である。図8(B)は、アクチュエータ装置31を前後方向の前側から視た側面断面図である。図8(C)は、アクチュエータ装置31を、左右方向の右側から視た側面断面図である。
このアクチュエータ装置31は、ワイヤ32と、弾性板33と、被駆動部34と、筐体35と、2つの通電端子36と、を備えている。そして、本実施形態のアクチュエータ装置31は、ワイヤ32の位置を弾性板33に対する高さ方向の上側でなく下側としている。より具体的には、係止部33Dを、弾性板33の上面では無く下面に設け、通電端子36の高さを係止部33Dの位置に合わせて低くし、ワイヤ32を、係止部33Dに掛け渡した状態で2つの通電端子36間に張らせている。
このように、ワイヤ32の位置を筐体35の通電端子36が設けられる下面側に近付けることにより、通電端子36の高さを低くすることができる。すると、通電端子36を変形や変位し難くすることができ、通電端子36にワイヤ32の収縮が減衰されることを抑制してアクチュエータ装置31の振動効率を高められる。
以上の各実施形態の説明では、通電端子がワイヤ固定部を兼ねる構成を例としたが、通電端子とワイヤ固定部とが別に構成されていてもよい。