JP2015037160A - ホール素子用半導体ウェハ、ホール素子およびホール素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
半絶縁性基板10上に形成されたn型GaAsからなる導電層20と、前記導電層20上に形成され、前記導電層20よりも導電性の低いGaAsからなる表面層30と、を備え、前記表面層30の膜厚が、150nm以上800nm以下であるホール素子用半導体ウェハを構成する。
【選択図】 図1
Description
中でもGaAsを導電層として備える半導体ウェハを用いたホール素子は、入力される磁束密度に対する出力が安定している点で特に好ましく、磁気センサを構成するホール素子として広く用いられている。
例えば、特許文献1の実施例において開示されている半絶縁層(100nm)では、各ウェハ間およびウェハ面内のシート抵抗が大きくばらついてしまう。この結果、このホール素子用半導体ウェハを用いてホール素子を形成した場合、ホール素子形成後のウェハ間および面内のホール素子特性(入出力抵抗、定電流感度)も大きくばらついてしまうこととなる。
本発明の一態様は、半絶縁性基板(例えば図1に示す、半絶縁性基板10)上に形成されたn型GaAsからなる導電層(例えば図1に示す、導電層20)と、前記導電層上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層(例えば図1に示す、表面層30)と、を備え、前記表面層の膜厚が、150nm以上800nm以下であることを特徴とするホール素子用半導体ウェハ、である。
前記導電層の膜厚が、50nm以上2000nm以下であってよい。
本発明の他の態様は、半絶縁性基板(例えば図2に示す、導電層10)上に形成されたn型GaAsからなる導電層(例えば図2に示す、導電層20)と、前記導電層上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層(例えば図2に示す、表面層30)と、前記導電層と電気的に接続されるオーミック電極(例えば図2に示す、オーミック電極40)と、前記表面層の少なくとも一部の表面に形成されたパッシベーション層(例えば図2に示す、パッシベーション層50)と、を備え、前記表面層の膜厚が、150nm以上800nm以下であることを特徴とするホール素子、である。
本発明の他の態様は、上記いずれかの態様に記載のホール素子用半導体ウェハを用いたホール素子の製造方法であって、前記ホール素子用半導体ウェハが備える導電層と電気的に接続されるオーミック電極を形成する工程と、前記ホール素子用半導体ウェハが備える表面層の少なくとも一部の表面にパッシベーション層を形成する工程と、を備えることを特徴とするホール素子の製造方法、である。
<ホール素子用半導体ウェハの構成>
初めに、本実施形態のホール素子用半導体ウェハ(以下、半導体ウェハと略することがある。)について説明する。
本実施形態の半導体ウェハは、半絶縁性基板上に形成されたn型GaAsからなる導電層と、前記導電層上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層と、を備え、前記表面層の膜厚が150nm以上800nm以下であることを特徴とする。
以下、本実施形態の半導体ウェハの各構成要件について説明する。
本実施形態の半導体ウェハにおいて、半絶縁性基板は、その上にn型GaAsからなる導電層を形成することが可能なものであれば特に制限されず、例えばSi、GaAs、等が挙げられるがこの限りではない。結晶性の高いn型GaAsからなる導電層を得る観点からはGaAsが好ましい。半絶縁性基板の導電性は特に制限されないが、5×107Ω・cm以上であることが好ましく、8×107Ω・cm以上であることがより好ましい。
本実施形態の半導体ウェハにおいて、導電層は、半絶縁性基板上に形成されたn型GaAsからなるものである。導電層の膜厚は特に制限されないが、製造容易性の観点から50nm以上2000nm以下が好ましく、100nm以上1000nm以下がより好ましい。
本実施形態の半導体ウェハにおいて、表面層は、前記導電層上に形成され、導電層よりも導電性の低いGaAsからなる層である。前述のとおり、表面層の膜厚は、シート抵抗のばらつきが抑制されたホール素子を実現するためには、150nm以上であり、好ましくは200nm以上であり、製造容易性の観点から、好ましくは800nm以下であり、より好ましくは600nmである。
また、導電層とオーミック電極とを直接接続するために、該表面層の一部をエッチングしてもよい。
本実施形態の半導体ウェハを製造する方法としては、半絶縁性基板上にn型GaAsからなる導電層を形成する工程(導電層形成工程)と、導電層上に導電層よりも導電性が低く、膜厚が150nm以上800nm以下のGaAsからなる表面層を形成する工程(表面層形成工程)とを備えていればよい。
次に、上述のホール素子用半導体ウェハを備えたホール素子について説明する。
本実施形態におけるホール素子は、上述した本実施形態に係る半導体ウェハと、前記半導体ウェハが備える導電層と電気的に接続されるオーミック電極と、前記半導体ウェハが備える表面層の少なくとも一部の表面に形成されたパッシベーション層とを備える。
本実施形態のホール素子において、オーミック電極は、導電層と電気的に接続されるものであれば特に制限されない。オーミック電極と導電層とは、直接接していてもよいし、前記表面層を介して接続していてもよい。
また、本実施形態のホール素子においては、オーミック電極が第1の電極層および第2の電極層からなっていてもよい。第1の電極層として導電層および/または表面層とのオーミック特性が良好になるものを選択し、第2の電極層として導電性細線(ワイヤー)や半田ボールとの接続性が良好になるものを選択すれば、ホール素子を他の部材と接続する際に好適なものとなる。第1の電極層としてはAuGe、Ni、Auをこの順に順次蒸着した電極構造、第2の電極層としてはTi、Auをこの順に順次蒸着した電極構造を用いることが例示される。
本実施形態のホール素子において、パッシベーション層は、表面層の少なくとも一部の表面に形成される層であり、ホール素子の特性安定に寄与し得る層である。具体的には水分等に起因する劣化からの保護や、封止樹脂による応力の緩和等に寄与し得る層である。
具体的な材料は特に制限されないが、例えばSiO2やSiN、およびそれらの積層構造が挙げられる。
本実施形態のホール素子の製造方法としては、半絶縁性基板上にn型GaAsからなる導電層を形成する工程(導電層形成工程)と、前記導電層上に該導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層を膜厚150nm以上800nm以下で形成する工程(表面層形成工程)と、前記導電層と電気的に接続されるオーミック電極を形成する工程(電極形成工程)と、前記表面層の少なくとも一部の表面にパッシベーション層を形成する工程(パッシベーション層形成工程)と、を備えていれば良い。
次に、本発明のホール素子用半導体ウェハの実施形態について、図面を参酌しながらより具体的に説明する。
図1は本実施形態のホール素子用半導体ウェハの一例を示したものであって、(a)は上面図、(b)は上面図(図1(a))のA−A′断面図である。
図1に示すように、本実施形態のホール素子用半導体ウェハは、半絶縁性基板10と、半絶縁性基板10上に形成されたn型GaAsからなる導電層20と、導電層20上に形成され、且つ導電層20よりも導電性の低いGaAsからなる表面層30と、を備える。
次に、本発明のホール素子に係る実施形態について、図面を参酌しながらより具体的に説明する。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態のホール素子の一例を示したものであって、(a)は上面図、(b)は上面図(図2(a))のA−A′断面図である。
第1実施形態におけるホール素子は、半絶縁性基板10と、半絶縁性基板10上に形成されたn型GaAsからなる導電層20と、導電層20上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層30と、導電層20と電気的に接続されるオーミック電極40と、表面層30の少なくとも一部の表面に形成されたパッシベーション層50と、を備える。なお、このパッシベーション層50は、オーミック電極40のコンタクト部を除く領域にも、オーミック電極40の表面を覆うように形成される。
図3は、第2実施形態のホール素子の一例を示したものであって、(a)は上面図、(b)は上面図(図3(a))のA−A′断面図である。
第2実施形態のホール素子は、図2に示す第1実施形態のホール素子と比較すると、表面層30の一部がエッチングされており、オーミック電極40が導電層20と直接接している点で異なっている。
図4は、第3実施形態のホール素子の一例を示したものであって、(a)は上面図、(b)は上面図(図4(a))のA−A′断面図である。
第3実施形態のホール素子は、図2に示す第1実施形態のホール素子と比較すると、表面層30直上にパッシベーション層50が形成され、その後パッシベーションの窓開け工程を経て、オーミック電極40が形成される点で異なっている。
図5は第4実施形態のホール素子の一例を示したものであって、(a)は上面図、(b)は上面図(図5(a))のA−A′断面図である。
第4実施形態のホール素子は、図2に示す第1実施形態のホール素子と比較すると、オーミック電極40が、第1の電極層41と第2の電極層42とからなっている点で異なる。
すなわち、図5に示すように、図2に示す第1実施形態のホール素子において、オーミック電極40(図5では第1の電極層41に相当)の上に、さらに、第2の電極層42を形成している。
なお、本発明のホール素子は上述した第1実施形態〜第4実施形態に限定されず、各実施形態における特徴を組み合わせた形態や、一部を変更、置換、削除した形態も当然に含まれる。
<実施例1>
(製造条件1)
まず、4インチの半絶縁性GaAs基板(3.5×108Ω・cm)を4枚準備した。
次に、4枚のGaAs基板をMBE装置内に設置し、ノンドープのGaAs層(バッファ層)を200nm、Siドープのn型GaAs層(導電層)を200nm、ノンドープのGaAs層(表面層)を200nm、この順に成膜し、成膜後、MBE装置から取り出し、同一バッチ内で製造されたホール素子用半導体ウェハを4枚得た。
シート抵抗測定器「NC−10」(ナプソン社製)を用いて、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗を、ウェハ中心にて測定した。さらに、4枚のうちから任意の1枚についてウェハ面内のシート抵抗を、オリエンテーションフラットから垂直方向に等間隔で5点測定した。
次に、製造条件1で製造した半導体ウェハのうちから1枚をプロセス流動した。
すなわち、(1)フォトリソグラフィー法を用いてホール素子の感磁部となる十字パターンを形成するためのレジストパターンを形成し、(2)表面層および導電層のエッチングにより十字型のメサ部(一方の矩形状領域の幅70μm、長さ100μm、他方の矩形状領域の幅30μm、長さ110μm)を形成した。(3)次に、前記十字型のメサ部の各端部に電気的に接続される第1電極を形成するためのレジストパターンを形成し、(4)AuGeを200nm、Niを50nm、Auを350nm、これらをこの順に蒸着し、(5)リフトオフ法により第1の電極層を形成した後、合金化により導電層部分とのオーミック接合を形成した。(6)次に、プラズマCVD装置を用いてSiNからなるパッシベーション層を280nm形成した。(7)つづいてパッシベーション層にレジストパターンを形成し、(8)第1電極と第2電極の接続のための窓開けを行った。(9)次に、第2の電極層形成用のレジストパターンを形成し、(10)Tiを100nm、Auを350nmこの順に蒸着し、(11)リフトオフ法により第2の電極層を形成し、図5(b)に示した様な断面形態のホール素子を得た。
得られたウェハ1枚のホール素子について、電気検査をウェハ状態で実施し、ホール素子特性を得た。
<実施例2>
ノンドープのGaAs層からなる表面層の厚みを600nmにした以外は実施例1と同様の製造条件1で4枚の半導体ウェハを形成し、そのうちの1枚を、実施例1と同様の製造条件2でプロセス流動してホール素子を得た。そして、実施例1と同様の評価を行い、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗、ウェハ面内のシート抵抗、およびホール素子特性を得た。
表面層を形成しなかった以外は実施例1と同様の製造条件1で4枚の半導体ウェハを形成し、そのうちの1枚を実施例1と同様の製造条件2でプロセス流動してホール素子を得た。そして、実施例1と同様の評価を行い、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗、ウェハ面内のシート抵抗、およびホール素子特性を得た。
表面層の厚みを10nmとした以外は実施例1と同様の製造条件1で4枚の半導体ウェハを形成し、そのうちの1枚を実施例1と同様の製造条件2でプロセス流動してホール素子を得た。そして、実施例1と同様の評価を行い、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗、ウェハ面内のシート抵抗、およびホール素子特性を得た。
表面層の厚みを50nmとした以外は実施例1と同様の製造条件1で4枚の半導体ウェハを形成し、そのうちの1枚を実施例1と同様の製造条件2でプロセス流動してホール素子を得た。そして、実施例1と同様の評価を行い、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗、ウェハ面内のシート抵抗、およびホール素子特性を得た。
表面層の厚みを100nmとした以外は実施例1と同様の製造条件1で4枚の半導体ウェハを形成し、そのうちの1枚を実施例1と同様の製造条件2でプロセス流動してホール素子を得た。そして、実施例1と同様の評価を行い、成膜後の各半導体ウェハのシート抵抗、ウェハ面内のシート抵抗、およびホール素子特性を得た。
上記実施例1、2および比較例1〜4でそれぞれ得られた各4枚の半導体ウェハの面内中心箇所におけるシート抵抗値と、同一バッチ4枚の平均値、標準偏差、バッチ内ばらつきを表1に示した。さらに、実施例1、2および比較例1〜4でそれぞれ得られた半導体ウェハ各4枚のうちから任意の1枚について面内5箇所を測定したシート測定値とその平均値、偏差、面内ばらつきを表2に示した。また、上記実施例1、2および比較例1〜4でそれぞれ得られた各4枚の半導体ウェハの中からそれぞれ任意の1枚をプロセス流動してホール素子を約6万素子形成してホール素子特性を測定した結果を表3に示した。
なお、ここでは、ホール素子特性として、入力抵抗Rin〔Ω〕、定電流感度Vhi〔mV〕(1mA、10mT)、定電圧感度Vhv〔mV〕(6V、10mT)、オフセット電圧Vuv〔mV〕(6V)を得た。そして、各特性について、平均値、標準偏差、面内ばらつきを求めた。
20 導電層
30 表面層
40 オーミック電極
41 第1の電極層
42 第2の電極層
50 パッシベーション層
Claims (6)
- 半絶縁性基板上に形成されたn型GaAsからなる導電層と、
前記導電層上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層と、
を備え、
前記表面層の膜厚が、150nm以上800nm以下であることを特徴とするホール素子用半導体ウェハ。 - 前記表面層の膜厚が、200nm以上600nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のホール素子用半導体ウェハ。
- 前記導電層の膜厚が、50nm以上2000nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホール素子用半導体ウェハ。
- 半絶縁性基板上に形成されたn型GaAsからなる導電層と、
前記導電層上に形成され、前記導電層よりも導電性の低いGaAsからなる表面層と、
前記導電層と電気的に接続されるオーミック電極と、
前記表面層の少なくとも一部の表面に形成されたパッシベーション層と、を備え、
前記表面層の膜厚が、150nm以上800nm以下であることを特徴とするホール素子。 - 前記表面層の膜厚が、200nm以上600nm以下であることを特徴とする請求項4に記載のホール素子。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のホール素子用半導体ウェハを用いたホール素子の製造方法であって、
前記ホール素子用半導体ウェハが備える導電層と電気的に接続されるオーミック電極を形成する工程と、
前記ホール素子用半導体ウェハが備える表面層の少なくとも一部の表面にパッシベーション層を形成する工程と、
を備えることを特徴とするホール素子の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JPH03240281A (ja) * | 1990-02-19 | 1991-10-25 | Asahi Chem Ind Co Ltd | GaAsホール素子 |
JP2001094170A (ja) * | 1999-09-21 | 2001-04-06 | Hitachi Cable Ltd | ホール素子 |
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