JP2015037049A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】線パッキン等の環状部材をスパークプラグの所定の部位に的確に供給可能な技術を提供する。【解決手段】スパークプラグは、中心電極と、中心電極の外周に配置され後端側の外周に凹凸状のコルゲーションが形成された筒状の絶縁体と、絶縁体の外周に配置される筒状の主体金具と、環状部材と、コルゲーションよりも先端側に配置され、主体金具の後端部の内周面と絶縁体の外周面とで囲まれた環状部材配置部とを備える。このスパークプラグの製造方法は、環状部材を環状部材配置部に供給するための供給装置に環状部材を接触させたまま、環状部材を、絶縁体の後端側からコルゲーションが形成されている部分を通過させる第1工程と、第1工程の後に、供給装置と環状部材との接触を解除させて、環状部材を環状部材配置部に供給する第2工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、スパークプラグの製造方法に関する。
スパークプラグは、筒状の絶縁体と、絶縁体の外周に配置される筒状の主体金具と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。絶縁体と主体金具とは、主体金具の後端が加締められることで固定される。この加締められる部分の先端側には、主体金具の後端部の内周面と絶縁体の外周面との間に、線パッキンと呼ばれる環状部材が配置される。以下では、こうして線パッキンが配置される部分のことを「環状部材配置部」という。
特開2006−79954号公報 特開平10−32077号公報
従来、環状部材配置部への線パッキンの配置は、加締め加工前において絶縁体の後端側から線パッキンを自由落下させることで行っていた。線パッキンを自由落下させると、落下中に、絶縁体に形成された凹凸状のコルゲーションに線パッキンが引っ掛かる場合があり、スパークプラグの製造効率が低下する要因となる場合があった。そのため、線パッキン等の環状部材をスパークプラグの所定の部位に的確に供給可能な技術が求められていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、軸線方向に延びた中心電極と;前記中心電極の外周に配置され、後端側の外周に凹凸状のコルゲーションが形成された筒状の絶縁体と;前記絶縁体の外周に配置される筒状の主体金具と;前記コルゲーションが形成されている部分の前記絶縁体の最大径よりも大きな径を有する環状部材と;前記コルゲーションよりも先端側に配置され、前記主体金具の後端部の内周面と前記絶縁体の外周面とで囲まれた環状部材配置部と、を備えるスパークプラグの製造方法が提供される。この製造方法は、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給するための供給装置に前記環状部材を接触させたまま、前記環状部材を、前記絶縁体の後端側から前記コルゲーションが形成されている部分を通過させる第1工程と;前記第1工程の後に、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させて、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給する第2工程と、を有することを特徴とする。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、環状部材は、供給装置に接触したまま、絶縁体の後端側からコルゲーションが形成されている部分を通過し、その後、供給装置との接触が解除されて、環状部材配置部に供給される。よって、環状部材を環状部材配置部に供給する際に、環状部材が、絶縁体の後端部やコルゲーションに引っ掛かることが抑制される。この結果、環状部材を、環状部材配置部に的確に配置することができる。
(2)上記スパークプラグの製造方法において、前記供給装置は、前記環状部材をチャックする機構を有し、前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に前記環状部材のチャックを解除させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除してもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、供給装置は、チャックを開閉させることにより環状部材との接触状態を制御することができる。
(3)上記スパークプラグの製造方法において、前記供給装置は、空気を吸引することで前記環状部材を吸着する機構を有し、前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に空気の吸引を停止させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させてもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、供給装置は、空気を吸引するか否かに応じて、環状部材との接触状態を制御することができる。
(4)上記スパークプラグの製造方法において、前記供給装置は、磁力によって前記環状部材を吸着する機構を有し、前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に前記磁力を解除させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させてもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、供給装置は、磁力を働かせるか否かに応じて、環状部材との接触状態を制御することができる。
(5)上記スパークプラグの製造方法において、前記第2工程では、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させた後、挿入治具を用いて、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給してもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、挿入治具を用いることで、環状部材を環状部材配置部に的確に供給することができる。
(6)上記スパークプラグの製造方法において、前記スパークプラグは、前記中心電極に電気的に接続される端子金具を前記絶縁体の端部に有しており、前記第2工程では、押さえ治具を用いて前記軸線方向に沿って前記端子金具を押さえた状態で、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給してもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、押さえ治具を用いて端子金具を押さえた状態で環状部材の供給を行うので、絶縁体の径方向の位置を固定することができる。よって、より的確に環状部材を環状部材配置部に配置することができる。
(7)上記スパークプラグの製造方法において、前記環状部材は、磁性材料によって形成され、前記供給装置は、非磁性材料、または、磁化された場合に消磁可能な材料によって形成されてもよい。このようなスパークプラグの製造方法であれば、供給装置によって環状部材が磁化されてしまうことを抑制することができるので、安定して環状部材を環状部材配置部に配置することができる。
(8)上記スパークプラグの製造方法において、前記供給装置は、オーステナイト系のステンレス材料によって形成されてもよい。オーステナイト系のステンレス材料は非磁性材料であるため、このようなスパークプラグの製造方法であれば、供給装置によって環状部材が磁化されてしまうことを抑制することができる。この結果、安定して環状部材を環状部材配置部に配置することができる。
本発明は、上述したスパークプラグの製造方法としての形態に限らず、種々の形態で実現することが可能である。例えば、上述した製造方法によって製造されたスパークプラグや、そのスパークプラグを備える車両等の形態で実現することができる。
スパークプラグの部分断面図である。 スパークプラグの製造方法のフローチャートである。 環状部材配置部に線パッキンを配置する方法を示す図である。 環状部材配置部に線パッキンを配置する方法を示す図である。
A.スパークプラグの構成:
図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。図1において、スパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。図1において、一点破線で示す軸線Oの右側は、スパークプラグ100の外観を示しており、軸線Oの左側は、スパークプラグ100の中心軸を通る断面を示している。
スパークプラグ100は、絶縁体としての絶縁碍子10と、主体金具50と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40とを備える。主体金具50には、軸線方向ODに貫通する挿入孔501が形成されている。この挿入孔501には、絶縁碍子10が挿入されて保持されている。中心電極20は、絶縁碍子10内に形成された軸孔12内に軸線方向ODに沿って保持されている。中心電極20の先端部は、絶縁碍子10の先端側に露出している。接地電極30は、主体金具50の先端部(図1における下側の端部)に接合されている。端子金具40は、中心電極20の後端側(図1における上側の端部)に設けられている。端子金具40の後端部は絶縁碍子10の後端側に露出している。
絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸線方向ODへ延びる軸孔12が形成された円筒形状を有する。軸線方向ODの略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には、後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径され、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド200に取り付けられた際には、燃焼室内に曝される。後端側胴部18の外周には、凹凸状のコルゲーション11が形成されている。
主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド200にスパークプラグ100を固定するための略円筒状の金具である。主体金具50は、絶縁碍子10を、その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を取り囲むようにして保持している。すなわち、主体金具50の挿入孔501に絶縁碍子10が挿入され、絶縁碍子10の先端と後端がそれぞれ主体金具50の先端と後端から露出するように構成されている。主体金具50は低炭素鋼材より形成され、全体にニッケルメッキや亜鉛メッキが施されている。主体金具50の後端部には、図示しないスパークプラグレンチが係合する六角柱形状の工具係合部51が設けられている。主体金具50は、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合するネジ山が形成された取付ネジ部52を備えている。
主体金具50の工具係合部51と取付ネジ部52との間には、鍔状のシール部54が形成されている。取付ネジ部52とシール部54との間のネジ首59には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けた際に、シール部54の座面55と取付ネジ孔201の開口周縁部205との間で押し潰されて変形する。このガスケット5の変形により、スパークプラグ100とエンジンヘッド200間が封止され、取付ネジ孔201を介した内燃機関内の気密漏れが防止される。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の圧縮変形部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、環状の第1の線パッキン6と第2の線パッキン7とが介在している。第1の線パッキン6と第2の線パッキン7との間には、タルク(滑石)9が充填されている。第1の線パッキン6と第2の線パッキン7とは、いずれも特許請求の範囲における「環状部材」に相当する。第1の線パッキン6および第2の線パッキン7は、丸線状の金属部材を環状に加工することで形成されている。第1の線パッキン6および第2の線パッキン7の径は、コルゲーション11が形成されている部分の最大径よりも大きな径である。以下では、第1の線パッキン6と第2の線パッキン7とタルク9とが配置される部分を、環状部材配置部62という。環状部材配置部62は、絶縁碍子10の外周面と主体金具50の内周面との間に形成されている。
スパークプラグ100の製造時においては、加締部53を内側に折り曲げるようにして先端側に押圧することにより圧縮変形部58が圧縮変形し、圧縮変形部58の圧縮変形により、第2の線パッキン7、タルク9、および、第1の線パッキン6を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。この押圧により、主体金具50の内周で取付ネジ部52の位置に形成された第1の段部56に、板パッキン8を介し、絶縁碍子10の第2の段部15が押圧されて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にされる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は、板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。また、この押圧により、タルク9が軸線方向OD方向に圧縮されて主体金具50内の気密性が高められる。
中心電極20は、インコネル(商標名)600等のニッケルまたはニッケルを主成分とする合金から形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金からなる芯材25を埋設した構造を有する棒状の電極である。中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に芯材25を詰め、底側から押出成形を行って引き延ばすことで作製される。芯材25は、胴部分においては略一定の外径をなすものの、先端側においては先細り形状に形成される。中心電極20の先端部分は、先端に向かって小径となるテーパ状に成形されている。テーパ形状部の先端には、電極チップ90が接合されている。電極チップ90は、耐火花消耗性を向上するために、高融点の貴金属を主成分として形成されている。電極チップ90は、例えば、イリジウム(Ir)や、Irを主成分としたIr合金によって形成される。
中心電極20は軸孔12内を後端側に向けて延設され、シール体4およびセラミック抵抗3を経由して、後方の端子金具40に電気的に接続されている。端子金具40には高圧ケーブル(図示せず)がプラグキャップ(図示せず)を介して接続され、高電圧が印加される。
接地電極30は、耐腐食性の高い金属によって形成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。接地電極30の基端は、主体金具50の先端面に溶接されている。接地電極30の先端部は、中心電極20の電極チップ90と、軸線O上で対向するように屈曲されている。この接地電極30の先端部と電極チップ90の先端面との間には、火花ギャップが形成される。
B.スパークプラグの製造方法:
図2は、本発明の一実施形態としてのスパークプラグの製造方法のフローチャートである。本実施形態では、まず、端子金具40とセラミック抵抗3とシール体4と中心電極20とが組み付けられた絶縁碍子10が、板パッキン8を介して、主体金具50の挿入孔501内に後端側から挿入される(ステップS100)。
主体金具50に絶縁碍子10が挿入されると、続いて、環状部材配置部62に、第1の線パッキン6が配置される(ステップS140)。
図3および図4は、環状部材配置部62に第1の線パッキン6を配置する方法を示す図である。本実施形態では、線パッキン供給装置400を用いて、環状部材配置部62に第1の線パッキン6を配置する。線パッキン供給装置400は、チャック機構401と、挿入治具402と、押さえ治具403と、を備える。
チャック機構401は、水平方向(軸線方向ODに垂直な方向)に開閉可能であり、第1の線パッキン6をその側面から保持する(チャックする)装置である。チャック機構401の上面(軸線方向ODにおける後端側の面)には、水平方向から供給された第1の線パッキン6が嵌る窪み404が形成されている。この窪み404に第1の線パッキン6が水平方向から供給されると、第1の線パッキン6は、チャック機構401によって狭持されて保持される。第1の線パッキン6が窪み404に配置され、チャック機構401によって保持されることで、第1の線パッキン6と後述する挿入治具402との径方向の位置合わせが行われる。
挿入治具402は、第1の線パッキン6がチャック機構401の上面に供給される際において、チャック機構401の軸線方向OD後端側に配置される円筒状の部材である。第1の線パッキン6がチャック機構401の上面に供給される際には、挿入治具402とチャック機構401との間には、第1の線パッキン6が1つだけ嵌る隙間が確保されている。前述のチャック機構401が水平方向に開くと、チャック機構401に供給された第1の線パッキン6とその鉛直上方(軸線方向ODの後端側の方向)に配置された挿入治具402とが鉛直下方(軸線方向ODの先端側の方向)に自重により自由落下する。
押さえ治具403は、円筒状の挿入治具402の内周面で囲まれた部分に配置される部材であり、軸線方向ODに延びる棒状の部材である。押さえ治具403は、軸線方向ODに沿って上下方向に移動することができる。押さえ治具403の先端には、凹部408が形成されている。凹部408は、押さえ治具403が鉛直下方に移動した際に、端子金具40の後端に接触する。チャック機構401の中心には、開口406が設けられており、チャック機構401が閉じている場合でも、この開口406を通じて、押さえ治具403は軸線方向ODに沿って移動することができる。
本実施形態では、線パッキン供給装置400のうち少なくともチャック機構401と挿入治具402とは、オーステナイト系のステンレス材料によって形成されている。オーステナイト系のステンレス材料は、非磁性材料であるため、磁性材料(例えば、SWMGS−2材)によって形成された第1の線パッキン6が磁化されてしまうことを抑制することができる。
上記ステップS110では、まず、図3(A)に示されているように、チャック機構401の上面に形成された窪み404対して、第1の線パッキン6が1つ供給される。そうすると、線パッキン供給装置400のチャック機構401によって第1の線パッキン6が狭持され、線パッキン供給装置400と第1の線パッキン6とが接触した状態になる。第1の線パッキン6がチャック機構401に供給されると、図3(B)に示されているように、線パッキン供給装置400は、チャック機構401の開口406を通じて、押さえ治具403を鉛直下方(軸線方向ODの先端側の方向)に移動させる。そうすると、押さえ治具403の先端の凹部408によって、端子金具40が押さえられ、絶縁碍子10の径方向の位置が固定される。絶縁碍子10が挿入された主体金具50は、その中心軸が、押さえ治具403の中心軸に一致するように予め位置決めされている。
押さえ治具403によって絶縁碍子10が固定されると、図4(A)に示されているように、線パッキン供給装置400は、チャック機構401によって第1の線パッキン6を保持したまま、第1の線パッキン6を、押さえ治具403に沿って軸線方向OD先端側に移動させる。こうすることにより、線パッキン供給装置400は、第1の線パッキン6を、絶縁碍子10の後端側からコルゲーション11が形成されている部分を通過させる。図4(A)に示した工程、すなわち、線パッキン供給装置400と第1の線パッキン6とを接触させたまま、第1の線パッキン6を、コルゲーション11部分を通過させる工程が、特許請求の範囲における「第1工程」に相当する。第1の線パッキン6を、押さえ治具403に沿って軸線方向OD先端側に移動させると、挿入治具402も、押さえ治具403に沿って軸線方向OD先端側に移動する。
第1の線パッキン6が、コルゲーション11の形成された部分を通過すると、図4(B)に示されているように、線パッキン供給装置400は、チャック機構401を開くことで、線パッキン供給装置400と第1の線パッキン6との接触を解除する。そうすると、第1の線パッキン6と挿入治具402とが、絶縁碍子10のコルゲーション11が形成されている部分よりも先端側の部分に沿って自由落下する。こうして、第1の線パッキン6と挿入治具402とが自由落下すると、挿入治具402の自重により、第1の線パッキン6が環状部材配置部62内に押し込まれて配置される。図4(B)に示された工程、すなわち、線パッキン供給装置400と第1の線パッキン6との接触を解除させて第1の線パッキン6を環状部材配置部62に供給する工程が、特許請求の範囲における「第2工程」に相当する。
以上のようにして第1の線パッキン6が環状部材配置部62に配置されると、続いて、環状部材配置部62内にタルクが充填される(図2のステップS120)。環状部材配置部62にタルクが充填されると、環状部材配置部62内に、第2の線パッキン7が配置される(ステップS130)。第2の線パッキン7は、図3および図4に示した方法と同様の方法および装置により環状部材配置部62内に配置される。第2の線パッキン7が環状部材配置部62に配置されると、主体金具50の後端に対して加締め加工が施され(ステップS140)、更に、ガスケット5の装着が行われる(ステップS150)。以上で説明した一連の製造工程により、スパークプラグ100が完成する。
以上で説明した本実施形態のスパークプラグ100の製造方法では、線パッキン6,7は、線パッキン供給装置400のチャック機構401に接触したまま、絶縁碍子10の後端側からコルゲーション11が形成されている部分を通過し、その後、チャック機構401との接触が解除されて、環状部材配置部62内に供給される。よって、線パッキン6,7を環状部材配置部62に配置する際に、線パッキン6,7が、絶縁碍子10のコルゲーション11や端子金具40のくびれ65(図1参照)等に引っ掛かることが抑制される。この結果、線パッキン6,7を、環状部材配置部62に的確に配置することができる。
また、本実施形態では、線パッキン6,7とチャック機構401との接触が解除された後に、挿入治具402の自重によって線パッキン6,7が環状部材配置部62に押し込まれるようにして供給される。そのため、線パッキン6,7は、絶縁碍子10の外周面と主体金具50の内周面との間に引っ掛かることなく、安定して環状部材配置部62に供給されることになる。
また、本実施形態では、押さえ治具403を用いて軸線方向ODに沿って端子金具40を押さえた状態で、環状部材配置部62に線パッキン6,7の供給を行う。そのため、絶縁碍子10が傾いてしまうことや、線パッキン6,7が端子金具40の後端面に引っ掛かってしまうことを抑制することができる。そのため、より的確に線パッキン6,7を環状部材配置部62に配置することができる。
また、本実施形態において、線パッキン供給装置400のうち少なくともチャック機構401と挿入治具402とは、オーステナイト系のステンレス材料によって形成されている。オーステナイト系のステンレス材料は、非磁性材料であるため、線パッキン6,7がチャック機構401や挿入治具402によって磁化されてしまうことを抑制することができる。そのため、線パッキン6,7がチャック機構401や挿入治具402に磁力によって吸着することが抑制され、線パッキン6,7を環状部材配置部62に安定して配置することができる。なお、線パッキン供給装置400のうち少なくともチャック機構401と挿入治具402とは、オーステナイト系のステンレス材料に限らず、その他の非磁性材料や、磁化された場合に消磁可能な材料(例えば、SK3等の炭素工具鋼)によって形成されていてもよい。
なお、上記実施形態では、線パッキン供給装置400は、線パッキン6,7を、チャック機構401によって保持している。これに対して、例えば、他の実施形態では、空気の吸引によって線パッキン6,7を吸着する機構を採用しても良い。この場合には、線パッキン供給装置400は、空気の吸引を停止させることで、線パッキン6,7と線パッキン供給装置400との接触を解除させ、線パッキン6,7を環状部材配置部62に供給する。また、さらに他の実施形態では、磁力によって線パッキン6,7を吸着する機構を採用しても良い。この場合には、線パッキン供給装置400は、磁力を解除させることで、線パッキン6,7と線パッキン供給装置400との接触を解除させ、線パッキン6,7を環状部材配置部62に供給する。
C.試験結果:
上述した実施形態におけるスパークプラグ100の製造方法に関して、種々の試験を行った。以下、これらの試験の結果を示す。
C−1.チャックの開放時期に応じた線パッキンの配置試験:
表1には、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過する前にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除して第1の線パッキン6を環状部材配置部62に供給した試験結果と、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過した後にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除して第1の線パッキン6を環状部材配置部62に供給した試験結果とを示している。この試験では、チャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除した後には、挿入治具402の自重により、第1の線パッキン6を環状部材配置部62に挿入した。また、この試験では、非磁性材料であるオーステナイト系ステンレス材料で形成されたチャック機構401と挿入治具402とを用いた。
Figure 2015037049
表1には、10000本のスパークプラグ100を製造し、その際に、第1の線パッキン6の引っ掛かりが20本以上のスパークプラグ100で発生したか否かを評価した結果を示している。表1に示されているように、この試験によれば、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過する前にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除した場合には、20本以上のスパークプラグ100で第1の線パッキン6に引っ掛かりが生じた。これに対して、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過した後にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除した場合には、第1の線パッキン6の引っ掛かりは、20本未満であった。そのため、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過する前にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除するよりも、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過した後にチャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除する方が、第1の線パッキン6を環状部材配置部62に的確に配置できることが確認された。
なお、第2の線パッキン7も第1の線パッキン6と同様の方法により環状部材配置部62に配置を行うことから、第2の線パッキン7についても、絶縁碍子10のコルゲーション11を通過した後にチャック機構401と第2の線パッキン7との接触を解除する方が、環状部材配置部62に的確に配置することができる。
C−2.押さえ治具の有無に応じた線パッキンの配置試験:
表2には、端子金具40を押さえ治具403によって押さえることなしに第1の線パッキン6を環状部材配置部62に配置した試験結果と、端子金具40を押さえ治具403によって押さえた状態で第1の線パッキン6を環状部材配置部62に配置した試験結果とを示している。この試験では、第1の線パッキン6が絶縁碍子10のコルゲーション11を通過した後に、チャック機構401と第1の線パッキン6との接触を解除して第1の線パッキン6を環状部材配置部62に供給した。チャック機構401と第1の線パッキン6との接触の解除後には挿入治具402の自重により第1の線パッキン6を環状部材配置部62に供給した。また、この試験では、非磁性材料であるオーステナイト系ステンレス材料で形成されたチャック機構401と挿入治具402とを用いた。
Figure 2015037049
表2には、10000本のスパークプラグ100を製造し、その際に、第1の線パッキン6の引っ掛かりが20本以上のスパークプラグ100の製造時に生じたか否かを評価した結果が示されている。表2に示されているように、この試験によれば、押さえ治具403によって端子金具40を押さえない場合には、20本以上のスパークプラグ100で第1の線パッキン6に引っ掛かりが生じ、押さえ治具403によって端子金具40を押さえた場合には、第1の線パッキン6の引っ掛かりは、20本未満であった。そのため、押さえ治具403を使用しないよりも、押さえ治具403を用いて端子金具40を軸線方向ODに押さえた方が、第1の線パッキン6を環状部材配置部62に的確に配置できることが確認された。
なお、第2の線パッキン7も第1の線パッキン6と同様の方法により環状部材配置部62に配置を行うことから、第2の線パッキン7についても、押さえ治具403を用いることで、環状部材配置部62に的確に配置することができる。
C−3.挿入治具の材質に応じた評価試験:
表3には、様々な材質の挿入治具402を用意し、それらの挿入治具402を用いて第1の線パッキン6を環状部材配置部62に配置した結果を示している。
Figure 2015037049
この試験では、10000本のスパークプラグ100を製造し、その際に、第1の線パッキン6を環状部材配置部62に的確に配置できたか否かを評価した。この結果、非磁性体であるオーステナイト系ステンレスのSUS304を用いて形成した挿入治具402を用いた場合には、5000個以上のスパークプラグ100について、第1の線パッキン6を的確に供給することができた。これに対して、磁性体(強磁性体)であるマルテンサイト系ステンレス材料のSUS410や、析出硬化系ステンレス材料のSUS630、S45C(機械構造用炭素鋼)、SKS3(合金工具鋼)といった材料で形成した挿入治具402を用いた場合には、第1の線パッキン6を的確に供給することができたスパークプラグ100は5000個未満であった。これは、磁性体によって形成された挿入治具402が、挿入治具402の移動動作によって磁化され、第1の線パッキン6が挿入治具402に磁力吸着したためだと推測される。よって、挿入治具402をはじめとした線パッキン供給装置400の各部品は、非磁性体の材料で形成されていることが好ましいことが確認された。
以上に示した種々の試験結果が示すとおり、本実施形態のスパークプラグ100の製造方法によれば、線パッキン6,7を、スパークプラグ100の環状部材配置部62に的確に配置することが可能である。
D.変形例:
上記実施形態において、線パッキン6,7は、完全に「環」として形成されていなくてもよい。例えば、線パッキン6,7の一部には、切れ目が入っていてもよい。
上記実施形態において、環状部材配置部62に対してタルクを充填する際には、滑石リングと呼ばれる固形状のタルクを、線パッキン6,7と同様の方法により環状部材配置部62に配置してもよい。滑石リングは、主体金具50が加締められる際に、押し潰されて粉体になる。
上記実施形態では、押さえ治具403を用いて端子金具40を押さえながら線パッキン6,7の供給を行っている。しかし、押さえ治具403を用いることなく線パッキン6,7を供給しても良い。
上記実施形態では、挿入治具402の自重により、線パッキン6,7を環状部材配置部62に挿入している。これに対して、線パッキン6,7が変形しない程度に、挿入治具402に荷重を加えて、線パッキン6,7を環状部材配置部62に押し込んでも良い。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
6…第1の線パッキン
7…第2の線パッキン
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
11…コルゲーション
12…軸孔
13…脚長部
15…第2の段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
21…電極母材
25…芯材
30…接地電極
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…シール部
55…座面
56…第1の段部
58…圧縮変形部
59…ネジ首
62…環状部材配置部
65…くびれ
90…電極チップ
100…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔
205…開口周縁部
400…線パッキン供給装置
401…チャック機構
402…挿入治具
403…押さえ治具
404…窪み
406…開口
408…凹部
501…挿入孔
O…軸線
OD…軸線方向

Claims (8)

  1. 軸線方向に延びた中心電極と、
    前記中心電極の外周に配置され、後端側の外周に凹凸状のコルゲーションが形成された筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置される筒状の主体金具と、
    前記コルゲーションが形成されている部分の前記絶縁体の最大径よりも大きな径を有する環状部材と、
    前記コルゲーションよりも先端側に配置され、前記主体金具の後端部の内周面と前記絶縁体の外周面とで囲まれた環状部材配置部と、
    を備えるスパークプラグの製造方法であって、
    前記環状部材を前記環状部材配置部に供給するための供給装置に前記環状部材を接触させたまま、前記環状部材を、前記絶縁体の後端側から前記コルゲーションが形成されている部分を通過させる第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させて、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給する第2工程と、
    を有することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記供給装置は、前記環状部材をチャックする機構を有し、
    前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に前記環状部材のチャックを解除させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  3. 請求項1に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記供給装置は、空気を吸引することで前記環状部材を吸着する機構を有し、
    前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に空気の吸引を停止させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  4. 請求項1に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記供給装置は、磁力によって前記環状部材を吸着する機構を有し、
    前記第2工程では、前記第1工程の後に、前記供給装置に前記磁力を解除させることで、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記第2工程では、前記供給装置と前記環状部材との接触を解除させた後、挿入治具を用いて、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記スパークプラグは、前記中心電極に電気的に接続される端子金具を前記絶縁体の端部に有しており、
    前記第2工程では、押さえ治具を用いて前記軸線方向に沿って前記端子金具を押さえた状態で、前記環状部材を前記環状部材配置部に供給することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記環状部材は、磁性材料により形成されており、
    前記供給装置は、非磁性材料、または、磁化された場合に消磁可能な材料によって形成されていることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  8. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記供給装置は、オーステナイト系のステンレス材料によって形成されていることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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