JP2015035414A - 接点装置及びこれを使用した電磁接触器 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、固定接触子の可動接触子との接触部に接点粒を配置して、接点消耗を防ぎ、長寿命化を図る場合には、接点粒の下板部の上面からの高さを高くして段差部が生じることになる。このように接点粒と下板部との間に段差部が生じると、固定接触子から可動接触子が離間する開極時に発生するアーク接点粒の段差部を乗り越えて伸長することが難しく、アークの膠着現象を生じて、接点部に激しい消耗を起こすとともに、アーク遮断時間が長く遮断が不安定となる。このため、接点粒を設けた場合には、接点粒を設けない場合に比較してアーク遮断性能が大幅に低下するという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、接点粒を使用しながらアークの膠着現象を防止してアークを迅速に移動させてアーク遮断性能を向上させることができる接点装置及びこれを使用した電磁接触器を提供することを目的としている。
また、本発明に係る電磁接触器は、上述した接点装置と、この接点装置の可動接触子を可動する電磁石ユニットとを備えている。
また、上記効果を有する接点装置を使用して電磁接触器を構成するので、固定接触子に設けた接点粒でのアークの膠着を防止して、高電圧・大電流の遮断が可能で、長寿命化を図ることができる電磁接触器を提供できる。
図1は本発明に係る電磁開閉器の一例を示す断面図、図2は図1のA−A線上における接点装置の断面図である。図3はC字状接点部を示す斜視図、図4は図1のB−B線上の断面図である。
これら図1〜図4において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
接点装置100は、図1〜図4から明らかなように、接点機構101を収納する接点収納ケース102を有する。この接点収納ケース102は、金属製の下端部に外方と突出するフランジ部103を有する金属角筒体104と、この金属角筒体104の上端を閉塞する平板状のセラミック絶縁基板で構成される固定接点支持絶縁基板105と、金属角筒体104の内周側に配置された絶縁筒体140とを備えている。
また、固定接点支持絶縁基板105には、中央部に後述する一対の固定接触子111及び112を挿通する貫通孔106及び107が所定間隔を保って形成されている。
接点機構101は、図1に示すように、接点収納ケース102の固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通されて固定された一対の固定接触子111及び112を備えている。これら固定接触子111及び112のそれぞれは、固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通される上端に外方に突出するフランジ部113を有する支持導体部114と、この支持導体部114に連結されて固定接点支持絶縁基板105の下面側に配設され内方側を開放したC字状接点部115とを備えている。
接点台部118には、後述する可動接触子130の接点部130aと対向する上面位置に、接点粒119が配置されている。この接点粒119は、扁平な円柱状に形成されており、ろう付け等の接合手法で接点台部118に接合されている。
そして、固定接触子111及び112のC字状接点部115にそれぞれ、アークとの絶縁のため合成樹脂材製の絶縁カバー121が装着されている。この絶縁カバー121は、C字状接点部115の上板部116及び連結板部117の内周面を被覆するものである。
このように、固定接触子111及び112のC字状接点部115に絶縁カバー121を装着することにより、このC字状接点部115の内周面では接点台部118の上面側のみが露出されて接点部118aとされている。
連結軸131は、上端に外方に突出するフランジ部131aが形成されている。この連結軸131に下端側から接触スプリング134に挿通し、次いで可動接触子130の貫通孔133を挿通して、接触スプリング134の上端をフランジ部131aに当接させこの接触スプリング134で所定の付勢力を得るように可動接触子130を例えばCリング135によって位置決めする。
さらに、接点収納ケース102を構成する絶縁筒体140は、図1〜図3に示すように、例えば合成樹脂製の上端を開放した有底の角筒状に形成され、この絶縁筒体140の可動接触子130の側面に対向する位置に内方に突出する磁石収納ポケット141及び142が形成されている。この磁石収納ポケット141及び142には、アーク消弧用永久磁石143及び144が挿通されて固定されている。
電磁石ユニット200は、図1に示すように、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク201を有し、この磁気ヨーク201の底板部202の中央部に円筒状補助ヨーク203が固定されている。この円筒状補助ヨーク203の外側にプランジャ駆動部としてのスプール204が配置されている。
このスプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
そして、スプール204の中央円筒部205内に、底部と磁気ヨーク201の底板部202との間に復帰スプリング214を配設した可動プランジャ215が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ215には、上部磁気ヨーク210から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部216が形成されている。
そして、可動プランジャ215が、図1に示すように、非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ230で覆われ、このキャップ230の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部231が上部磁気ヨーク210の下面にシール接合されている。これによって、接点収納ケース102及びキャップ230が上部磁気ヨーク210の貫通孔210aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、接点収納ケース102及びキャップ230で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF6等のガスが封入されている。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動プランジャ215が復帰スプリング214によって、上部磁気ヨーク210から離れる上方向に付勢される。
これと同時に、環状永久磁石220の磁力による吸引力が補助ヨーク225に作用されて、可動プランジャ215の周鍔部216が吸引される。このため、可動プランジャ215の周鍔部216の上面が補助ヨーク225の段差板部225c下面に当接している。
このように、釈放状態では、可動プランジャ215に復帰スプリング214による付勢力と環状永久磁石220による吸引力との双方が作用しているので、可動プランジャ215が外部からの振動や衝撃等によって不用意に下降することがなく、誤動作を確実に防止することができる。
この釈放状態から、電磁石ユニット200の励磁コイル208を励磁すると、この電磁石ユニット200で励磁力を発生させて、可動プランジャ215を復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して下方に押し下げる。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
このとき、固定接触子111及び112と可動接触子130との間に可動接触子130を開極させる方向の電磁反発力が発生する。
このため、固定接触子111及び112の接点台部118が形成する磁界と可動接触子130に流れる電流の関係からフレミングの左手の法則により可動接触子130を固定接触子111及び112の接点部118aに押し付けるローレンツ力を発生することができる。
このローレンツ力によって、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130a間に発生する開極方向の電磁反発力に抗することが可能となり、可動接触子130の接点部130aが開極することを確実に防止することができる。
この接点機構101の閉極状態から、負荷への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット200の励磁コイル208の励磁を停止する。
これによって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力によって上昇し、周鍔部216が補助ヨーク225に近づくに従って環状永久磁石220の吸引力が増加する。
この開極状態となると、固定接触子111及び112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間にアークが発生し、このアークによって電流の通電状態が継続される。
また、C字状接点部115の上板部116及び連結板部117が絶縁カバー121で覆われているので、可動接触子130の両端部とC字状接点部115の上板部116及び連結板部117の間の絶縁カバー121によって絶縁距離を確保することができ、可動接触子130の可動方向の高さを短縮することができる。したがって、接点装置100を小型化することができる。
このため、固定接触子111の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間では、図5(b)に示すように、電流Iが固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図5(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の接点部118aと可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧室145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
このとき、固定接触子111の接点粒119が接点粒支持部材120の環状支持部120aによって囲まれ、この環状支持部120aにアークの駆動方向に延長するアーク誘導部120bが形成され、このアーク誘導部120bが接点台部118の側面を通って下面に達する位置まで延長されている。
このローレンツ力Fによって、固定接触子112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間に発生したアークが、可動接触子130の上面側からアーク消弧室145内に沿って大きく引き伸ばされる。ここでも、接点粒119が接点粒支持部材120によって支持され、この接点粒支持部材120にアーク誘導部120bが形成されているので、上述した固定接触子111の接点粒119と可動接触子130の接点部130aの場合と同様にアークが迅速に引き伸ばされて消弧される。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144は絶縁筒体140に形成された磁石収納ポケット141及び142内に配置されているので、アークが直接アーク消弧用永久磁石143及び144に接触することがない。このため、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁気特性を安定して維持することができ、遮断性能を安定化させることができる。
さらに、絶縁機能、アーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能及びアーク消弧用永久磁石143及び144のアークからの保護機能を1つの絶縁筒体140で行うことができるので、製造コストを低減させることができる。
さらに、このような作用効果を有する接点装置100を使用して電磁接触器10を構成することにより、固定接触子に設けた接点粒でのアークの膠着を防止して、高電圧・大電流の遮断が可能で、長寿命化を図ることができる電磁接触器を提供できる。
この第2の実施形態では、接点粒支持部材120のアーク誘導機能を強化するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図6及び図7に示すように、接点粒支持部材120の環状支持部120aのアーク誘導部120bの延長線上に、接点粒119に接する内周縁からアーク誘導部120bに向かうアーク誘導用の溝部120cを形成したことを除いては、前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
なお、上記第2の実施形態においては、アーク誘導用の溝部120cを環状支持部120aの上面に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーク誘導部120bの途中や下端まで延長するようにしてもよい。
この第3の実施形態では、上記第2の実施形態と同様に、接点粒支持部材120のアーク誘導機能を強化するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図8及び図9に示すように、接点粒支持部材120の環状支持部120aのアーク誘導部120bの延長線上に、接点粒119に接する内周縁からアーク誘導部120bに向かうアーク誘導用の突条120dを形成したことを除いては、前述した第2の実施形態と同様の構成を有し、図6及び図7との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
なお、上記第3の実施形態においては、アーク誘導用の突条120dを環状支持部120aの上面に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーク誘導部120bの途中や下端まで延長するようにしてもよい。
この第4の実施形態では、接点粒支持部材120でのアーク伸長をより長くできるようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図10及び図11に示すように、接点粒支持部材120のアーク誘導部120bに接点台部118の下面より下方に延長する延長部120eを形成したことを除いては、第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第5の実施形態は、接点台部118の下側をアーク消弧空間として使用するようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、図12及び図13に示すように、上述した第4の実施形態における延長部120eに代えてアーク誘導部120bの下端から内下方に傾斜延長する傾斜延長部120fを形成したことを除いては上記第4の実施形態と同様の構成を有し、図10及び図11との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第6の実施形態では、前述した第5の実施形態と同様に接点台部の下側をアーク消弧空間として使用するようにしたものである。
この第6の実施形態では、図12及び図13に示すように、上述した第5の実施形態における傾斜延長部120fに代えてアーク誘導部120bの下端から接点台部118の下面に沿って折り曲げた折り曲げ部120gを形成したことを除いては上記第5の実施形態と同様の構成を有し、図12及び図13との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第7の実施形態では、接点粒支持部材120でのアーク伸長をより長く且つより迅速に行うことがきるようにしたものである。
この第7の実施形態は、前述した第4の実施形態における接点粒支持部材120のアーク誘導部120b及び延長部120eが接点台部118の上面から下方に行くに従い絶縁筒体140の前後側面板部の内面との距離が徐々に小さくなる下外方に延長する傾斜板部120hとして形成されていることを除いては、第4の実施形態と同様の構成を有し、図10及び図11との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第8の実施形態は、接点粒支持部材120で接点台部118を覆うように装着可能に構成したものである。
すなわち、第8の実施形態では、図18及び図19(a),(b)に示すように、接点粒支持部材120の環状支持部120aに、接点台部118の先端部に装着して接点台部118の先端部及び両側面を覆う平面から見て断面U字状のキャップ部120iを形成し、このキャップ部120iの側面にアーク誘導部120bを形成した構成を有することを除いては第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
なお、上記第1〜第7の実施形態においては、接点粒119を上面視で円形である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上面視で楕円形や、長円形とすることができる。これに応じて接点粒支持部材120の環状支持部120aの形状を変更すればよい。
また、接点粒119は接点台部118に直接接合する場合に代えて、接点粒支持部材120に凹部を形成し、この凹部に接点粒119を接合するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、接点装置100及び電磁石ユニット200について一例を説明したに過ぎず、接点装置100及び電磁石ユニット200の内部構成は任意の構成とすることができる。
また、上記実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で気密室240を構成し、この気密室240内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
Claims (11)
- 一対の固定接触子に対して可動接触子が接離可能に配置された接点装置であって、
前記一対の固定接触子は、上板部と該上板部の下側に所定間隔を保って平行に配置される接点台部と前記上板部及び前記接点台部間を連接する連結板部とで互いに対向する内方側を開放したC字状接点部を有し、
前記可動接触子は、前記一対の固定接触子の上板部及び接点台部間に当該接点台部に対して接離可能に配置され、
前記接点台部の前記可動接触子の接点と対向する位置に、接点粒を前記可動接触子の接点に対向させて支持する環状支持部と、該環状支持部の外周縁からアークの移動方向であって前記可動接触子から離れる方向に延長するアーク誘導部とを備えた接点粒支持部材を配置したことを特徴とする接点装置。 - 前記接点粒支持部材は、非磁性金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
- 前記環状支持部に前記アーク誘導部に向かう溝部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の接点装置。
- 前記環状支持部に前記アーク誘導部に向かう突条を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の接点装置。
- 前記アーク誘導部は、前記接点台部の下端面から下方に突出する延長部を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記アーク誘導部は、前記接点台部の下端面から内下側に傾斜延長する傾斜延長部を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記アーク誘導部は、前記接点台部下面側に沿う折り曲げ延長部を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記アーク誘導部は、前記接点台部の上端面から当該接点台部の下面より下側に下外方に傾斜延長する傾斜板部で構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記接点粒支持部材は前記接点台部の先端に装着されるキャップ部を備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記可動接触子は、前記接点粒に対向する長手方向両側縁に上外方に傾斜延長するアーク誘導部が形成されていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の接点装置。
- 前記請求項1から10の何れか1項に記載の接点装置と、該接点装置の可動接触子を可動する電磁石ユニットとを備えたことを特徴とする電磁接触器。
Priority Applications (3)
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