以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1の表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。ただし、図1に示すX,YはそれぞれX軸、Y軸を示す。また、以下の説明では、第1基板SUB1の主面と平行な成分を有する電界を印加するIPS方式の液晶表示装置に本願発明を適用した場合について説明するが、他のTN方式やVA方式等の液晶表示装置にも適用可能である。さらには、以下の説明では、同一色の着色層(カラーフィルタ)がドレイン線に沿ってY方向に延在し、X方向に赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタが順番に並設される場合について説明するが、着色層の配置は他の方式であってもよい。
図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、画素電極(第2電極)PX及び薄膜トランジスタTFT並びに図示しないカラーフィルタ等が形成されるCOA(Color Filter on Array)構造の第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向して配置される第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される図示しない液晶層とで構成される液晶表示パネルPNLを有する。該液晶表示パネルPNLと該液晶表示パネルPNLの光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定及び液晶の封止は、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで固定され、液晶も封止される構成となっている。また、第2基板SUB2は、第1基板SUB1よりも小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第1基板SUB1の辺部には、半導体チップで構成される駆動回路DRが搭載されている。この駆動回路DRは、表示領域ARに配置される各画素を駆動する。なお、以下の説明では、液晶表示パネルPNLの説明においても、液晶表示装置と記すことがある。
また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、ガラス基板に限定されることはなく、石英ガラスやプラスチック(樹脂)のような他の絶縁性基板であってもよい。
また、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。
実施形態1の液晶表示装置では第1基板SUB1の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路DRからの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域が画素を構成し、複数の画素が、ドレイン線DL及びゲート線GLに沿って、表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。このとき、実施形態1の液晶表示装置では、後に詳述するように、ドレイン線DLの上層に隣接するカラーフィルタを重ね合わせて形成し、重ね合せ部が遮光領域として機能させている。
各画素は、例えば図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLからの映像信号が供給される画素電極PXと、X方向の左右(第1基板SUB1の端部)の一端から、又は両側からコモン線CLを介して、映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極CTとを備えている。尚、実施形態1の薄膜トランジスタTFTは、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極DT、画素電極PXと接続される側をソース電極STと記す。また、実施形態1では、後に詳述するように、薄膜トランジスタTFTの上層には、カラーフィルタ及び異なる2色のカラーフィルタを重ねて形成した遮光膜(遮光領域)が形成されており、このカラーフィルタの上層に画素電極PX及び共通電極CTが形成されている。
画素電極PXと共通電極CTとの間には、第1基板SUB1の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から、IPS方式あるいは横電界方式と称される。また、このような構成の液晶表示装置において、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を向上させていくノーマリブラック表示形態で表示を行うようになっている。
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部においてシール材SLを越えてそれぞれ延在され、外部システムからフレキシブルプリント基板FPCを介して入力される入力信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する駆動回路DRに接続される。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路DRを半導体チップで形成し第1基板SUB1に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路をフレキシブルプリント基板FPCにテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第1基板SUB1に接続させる構成であってもよい。
なお、実施形態1の液晶表示装置では、画素毎に独立して形成される共通電極CTにコモン線CLを介して共通信号を入力する構成としたが、これに限定されることはなく、少なくとも表示領域ARの全面に共通電極CTを形成する構成であってもよい。
〈画素構成〉
図2は本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素の概略構成を説明するための上面図であり、図3は図2に示すB−B’線での断面図である。以下、図2及び図3に基づいて、実施形態1の液晶表示装置における画素構成を説明する。また、カラーフィルタを除く薄膜は公知のフォトリソグラフィ技術により形成可能であるので、形成方法の詳細な説明は省略する。
図2に示すように、第1基板SUB1の液晶側の面(表面、上面)には、ゲート線GL及びドレイン線DLがそれぞれ所定の距離を有して並設されている。
隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域の画素には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色のカラーフィルタCFが形成されている。特に、実施形態1の液晶表示装置では、各カラーフィルタCFはドレイン線DLの延在方向であるY方向に沿って、ストライプ状に形成される構成となっている。例えば、図中中央の画素を含むY方向に隣接する画素には、緑色(G)のカラーフィルタCF(G)が形成されている。一方、X方向には、ストライプ状に形成される各カラーフィルタCF(赤色(R)のカラーフィルタCF(R)、緑色(G)のカラーフィルタCF(G)、青色(B)のカラーフィルタCF(B))が隣接して形成されている。また、実施形態1の液晶表示装置においては、後に詳述するように、隣接配置されるカラーフィルタCFの端部(隣接側の端部)がテーパー状に形成されると共に重ねて配置され、この重なり部分がドレイン線DLに重畳する構成となっている。
また、このゲート線GLとドレイン線DLとの間の領域には、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなり、共通電極となる図示しない透明導電膜が形成されている。該透明導電膜は、例えば、コモン線側の辺部において該コモン線に重畳されて形成され、コンタクトホールを介してコモン線と電気的に接続されて形成されている。なお、透明導電膜としてITOを用いた場合について説明するが、ITOに限定されることはなく、公知のZnO系透明導電膜を用いてもよい。
また、ゲート線GLとドレイン線DLの間の領域には、ITO等の透明導電材料からなる矩形状の透明導電膜が形成されており、画素電極PXとして機能する構成となっている。この画素電極PXの一端は、コンタクトホールCH3を介して、画素の辺部に形成される薄膜トランジスタTFTのソース電極STに接続される構成となっている。
そして、図3に示すように、ゲート線GLに沿った領域では、その断面構造は第1基板SUB1の表面に、第1基板SUB1から薄膜トランジスタTFTへのNa(ナトリウム)やK(カリウム)などのイオンの混入をブロックするために、絶縁膜である下地膜UCが形成されている。下地膜UCとしては、例えば第1基板SUB1側から順に窒化シリコン(SiN)などからなる層と、酸化シリコン(SiO)などからなる層を積層した構造の薄膜を用いるが、これに限定されるものではない。
この下地膜UCの上層には、例えばアモルファスシリコンからなる半導体層FGが形成されている。この半導体層FGは薄膜トランジスタTFTの半導体層となるものであり、ポリシリコンや微結晶シリコン等であってもよい。
半導体層FGの上層には、当該半導体層FGを被うようにして、酸化シリコン(SiO)系の薄膜であるゲート絶縁膜GIが形成されている。このゲート絶縁膜GIは、薄膜トランジスタTFTの形成領域において該薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜として機能するもので、それに応じて膜厚等が設定されるようになっている。また、ゲート絶縁膜GIの上層には、ゲート線GLが形成され、半導体層FGと重畳する個所においてゲート線GLがゲート電極を兼ねる構成となっており、このゲート線GLの上層には層間絶縁膜IN1が形成される構成となっている。なお、層間絶縁膜IN1としては、例えば酸化シリコン(SiO)が好適である。
また、層間絶縁膜IN1の上層には、図2中のY方向に伸延するドレイン線DLが形成されている。該ドレイン線DLの一部は、ゲート絶縁膜GI及び層間絶縁膜IN1に形成されたコンタクトホールCH2を介して半導体層FGと接続される個所において、当該ドレイン線DLがドレイン電極を兼ねている。また、ドレイン線DLと共に半導体層FGの他端側に形成されるソース電極STが、ゲート絶縁膜GI及び層間絶縁膜IN1に形成されたコンタクトホールCH1を介して、半導体層FGと接続される構成となっている。なお、ゲート線GLとドレイン線DLとが交差する領域においては、前述の層間絶縁膜IN1がゲート線GLとドレイン線DLとの間に配置される構成になっており、ゲート線GLとドレイン線DLとが短絡することを防いでいる。
ドレイン線DL及びソース電極STの上層すなわち薄膜トランジスタTFTの上層には、当該薄膜トランジスタTFTを被う無機化合物からなる保護膜として層間絶縁膜IN2が形成される構成となっている。この層間絶縁膜IN2は有機絶縁物であるカラーフィルタCFの顔料に含まれる金属成分などから薄膜トランジスタTFTを保護する役割を持っており、例えば無機質材料である窒化シリコン(SiN)膜等からなり、薄膜トランジスタTFTの上層の全面に当該層間絶縁膜IN2が形成されている。
層間絶縁膜IN2の上層には、有機絶縁物からなる着色膜(カラーフィルタCF)である、実施形態1のカラーフィルタCFが形成される構成となっている。実施形態1では、後に詳述するように、赤色(R)のカラーフィルタCF(R)、緑色(G)のカラーフィルタCF(G)、青色(B)のカラーフィルタCF(B)の順番に層間絶縁膜IN2の上層に形成される。尚、各色のカラーフィルタCFを形成する順番は、上記順番に限定されるものではない。このときのカラーフィルタCFの形成では、ドレイン線DLと重畳され、隣接するカラーフィルタCFが重なる領域を遮光領域(遮光膜)として利用する構成となっている。即ち、隣接するカラーフィルタCFを当該ドレイン線DLの上方で重ね合わせる構成となっている。
本願発明の色重ねの構成では、図3に示すように、ドレイン線DLに重畳する領域において、カラーフィルタCF(R)の端部がテーパー状にドレイン線DLと重畳する領域まで形成されている。また、この重畳領域内においては、カラーフィルタCF(R)のテーパー状の端部に、逆テーパー状にカラーフィルタCF(G)の端部が重なるようにして、カラーフィルタCF(G)が形成されている。このとき、本願発明では、後に詳述するように、カラーフィルタCF(R)とカラーフィルタCF(G)の上面(液晶側面)が平坦な構成となっている。カラーフィルタCF(G)とカラーフィルタCF(B)とが隣接する領域、及びカラーフィルタCF(B)とカラーフィルタCF(R)とが隣接する領域においても、同様に、カラーフィルタCF(G)及びカラーフィルタCF(R)のテーパー状の端部に、逆テーパー状にカラーフィルタCF(B)の端部が重なる構成となっている。
RGBの各色のカラーフィルタCFの上層には、共通電極CTとなるITOからなる透明導電膜が形成されており、その上層に層間絶縁膜IN3が形成される構成となっている。層間絶縁膜IN3、カラーフィルタCF、層間絶縁膜IN2にはソース電極STからの延在部に至るコンタクトホールCH3が形成されており、層間絶縁膜IN3の上層に形成される画素電極PXとなるITOからなる透明導電膜とソース電極STとが電気的に接続されている。
〈カラーフィルタ詳細構成〉
図4は本発明の実施形態1の液晶表示装置におけるカラーフィルタの概略構成を説明するための平面図であり、図5は図4に示すC−C’線での断面図である。ただし、図5では、説明を簡単にするために、第1基板SUB1の上面に形成される薄膜トランジスタTFTやゲート線等の各信号線を含む薄膜層は、薄膜トランジスタ層TLとして略記する。
以下、図4及び図5に基づいて、実施形態1のカラーフィルタの詳細構成を説明する。ただし、以下の説明では、第1層目にカラーフィルタCF(R)、第2層目にカラーフィルタCF(G)、第3層目にカラーフィルタCF(B)を形成する場合について説明するが、RGB各色のカラーフィルタCFの形成順はこれに限定されることはない。また、実施形態1のカラーフィルタCFは、感光性の着色材料(赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各色用のネガ型レジスト材料(ネガ型カラーレジスト))を形成面上にスピン塗布法やスリット塗布法等で塗布した後に、露光、現像処理をする、いわゆるカラーレジスト法で形成される。
また、第1層目にカラーフィルタCF(R)は、図5に示すように、端部がテーパー状に形成されている。露光、現像処理(例えばフォトリソグラフィ)によって、カラーフィルタCFを所定の形状にパターニングする際、該所定の形状の端部への露光量を、該所定の形状の中央部への露光量よりも少なくすることで、端部をテーパー状に形成することができる。端部の露光量を中央部の露光量よりも少なくすることは、ハーフトーン露光の技術を用いることで実現できる。更に、テーパー状に形成された端部のテーパー角は、露光量を適宜調整することで、制御できる。
図4に示すように、実施形態1のカラーフィルタCFは、まず、図4(1)に示すように、ストライプ状にカラーフィルタCF(R)が形成される。このとき、実施形態1では、図5に示すように、カラーフィルタCF(R)のX方向の両側の端部は、テーパー状に形成されており、テーパー角は40°である。このときの端部の形成条件(露光条件)を形成条件(露光条件)θ1とする。即ち、平坦な表面上にて、形成条件(露光条件)θ1でカラーフィルタCF(R)の端部にテーパー形状を単独で形成すると、テーパー角が40°となる。
次に、図4(2)に示すように、カラーフィルタCF(G)が、点線で示す重畳領域OLA1でカラーフィルタCF(R)と重ね合わされて形成される。このカラーフィルタCF(G)は、図5に示すように、X方向の一端側であるカラーフィルタCF(R)側の端部が、カラーフィルタCF(R)のテーパー状に形成された端部に重ね合わされている。即ち、カラーフィルタCF(G)の一方の端部が逆テーパー状に形成されている。
このとき、通常は、カラーフィルタCF(R)の上層にカラーフィルタCF(G)が乗り上げて、重ね合せ部に凸部が形成される。本発明の発明者は、カラーフィルタCF(R)と重ね合わされるカラーフィルタCF(G)の端部の形成条件(露光条件)を調整することで、この凸部の形成を抑制できることを見出した。
カラーフィルタCF(R)と重ね合わされるカラーフィルタCF(G)の端部の形成条件(露光条件)を形成条件(露光条件)θ2と表す。図5に示す実施形態1において、形成条件(露光条件)θ2は、平坦な表面上にて、カラーフィルタCF(G)の端部にテーパー形状を単独で形成するとテーパー角が30°となる形成条件(露光条件)である。尚、カラーフィルタCF(R)と重ね合わされるカラーフィルタCF(G)の端部の形成条件(露光条件)を、平坦な表面上にて、カラーフィルタCF(G)の端部にテーパー形状を単独で形成するとテーパー角が40°(即ち、下層のカラーフィルタCF(R)のテーパー角と同じ)になる形成条件(露光条件)で形成した場合は、重ね合せ部に凸部が形成されてしまう。
また、図5に示すように、カラーフィルタCF(G)の他端側の端部の形成条件(露光条件)を形成条件(露光条件)θ3と表すが、詳細は後述する。
次に、図4(3)に示すように、カラーフィルタCF(B)が、点線で示す重畳領域OLA2でカラーフィルタCF(G)と重ね合わされて形成される。このカラーフィルタCF(B)は、X方向の一方の端部がカラーフィルタCF(G)のテーパー状に形成された端部に重ね合わされており、他方の端部がカラーフィルタCF(R)のテーパー状に形成された端部に重ね合わされている。即ち、カラーフィルタCF(B)の端部の各々が逆テーパー状に形成されている。
このとき、通常は、カラーフィルタCF(R)の上層にカラーフィルタCF(B)が乗り上げて、重ね合せ部に凸部が形成されるが、カラーフィルタCF(R)とカラーフィルタCF(G)との重ね合わせ部において説明したとおり、カラーフィルタCF(B)の端部の形成条件(露光条件)を調整することで、この凸部の形成を抑制できる。
カラーフィルタCF(R)と重ね合わされるカラーフィルタCF(B)の端部の形成条件(露光条件)を形成条件(露光条件)θ4と表す。図5に示す実施形態1において、形成条件(露光条件)θ4は、平坦な表面上にて、カラーフィルタCF(B)の端部にテーパー形状を単独で形成するとテーパー角が30°となる形成条件(露光条件)である。
次にカラーフィルタCF(G)とカラーフィルタCF(B)との重ね合せ部について、実施形態1を示す図5と図5の比較例を示す図6を用いて説明する。カラーフィルタCF(R)の上層に重ね合わされる側のカラーフィルタCF(G)の端部を形成条件(露光条件)θ2で形成することは、上述した。また、カラーフィルタCF(R)の上層に重ね合わされる側のカラーフィルタCF(B)の端部を形成条件(露光条件)θ4で形成することも、上述した。尚、従来のハーフトーン露光技術においては、パターニングする膜の対称性(両端を同じ形状にする)を考慮し、ハーフトーン露光が行われる両端の露光量は同じになる。
比較例の図6においては、従来のハーフトーン露光技術を用い、カラーフィルタCF(G)のカラーフィルタCF(B)との重ね合わされる側の端部も、カラーフィルタCF(R)との重ね合わされる側の端部と同様に形成条件(露光条件)θ2で形成している。また、カラーフィルタCF(B)のカラーフィルタCF(G)と重ね合わされる側の端部も、カラーフィルタCF(R)との重ね合わされる側の端部と同様に形成条件(露光条件)θ4で形成している。
このとき、本発明の発明者は図6の丸印Dに示すように、重ね合せ部に凹部が形成され、平坦化できないことを見出した。即ち、以下のことを見出した。カラーフィルタCF(R)とカラーフィルタCF(G)との重ね合せ部のように、テーパー角が40°の端部の上層に平坦な表面上にパターニングした時にテーパー角が30°となる形成条件(露光条件)でカラーフィルタCFを重ね合わせると、重ね合せ部は平坦になる。これに対し、形成条件(露光条件)を逆にした、即ちカラーフィルタCF(G)とのカラーフィルタCF(B)との重ね合せ部のように、テーパー角が30°の端部の上層に平坦な表面上にパターニングした時にテーパー角が40°となる形成条件(露光条件)でカラーフィルタCFを重ね合わせると、重ね合せ部は凹部が形成されて平坦にはならない。
更に、本発明の発明者は、図5に示すように、カラーフィルタCF(G)の両端の形成条件(露光条件)を異ならせることで、図6で説明した重ね合せ部に生ずる凹部を抑制できることを見出した。
図5に示す実施形態1においては、カラーフィルタCF(G)のカラーフィルタCF(B)と重ね合わされる側の端部を、該端部の反対側端部の形成条件(露光条件)θ2とは異なる、テーパー角が40°のテーパー状に形成される形成条件(露光条件)θ3で形成している。更に、該端部に重ね合わせて、カラーフィルタCF(B)の端部を上述したとおり形成条件(露光条件)θ4で形成することで、重ね合せ部に生ずる凹部を抑制し、平坦化させることができた。
このように、実施形態1のカラーフィルタCFの形成では、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各カラーフィルタCFを形成する際に、カラーフィルタCF(R)においては、両端の端部を形成条件(露光条件)θ1で形成する。また、カラーフィルタCF(B)においては、両端の端部を形成条件(露光条件)θ4で形成する。一方、カラーフィルタCF(G)においては、上述の通り、一方の側の端部を形成条件(露光条件)θ2で形成し、他方の側の端部を形成条件(露光条件)θ3で形成する。このような構成とすることにより、実施形態1では、図5に示すように、各色のカラーフィルタCFの上面を平坦に形成することが可能となる。
尚、テーパー角の組み合わせは30°と40°に限定されることはなく、他の角度の組み合わせであってもよい。
〈カラーフィルタの製造方法〉
次に、図7〜図9に本発明の実施形態1の液晶表示装置におけるカラーフィルタの形成方法を説明するための断面図を示し、以下、図7〜図9に基づいて、カラーフィルタの形成方法を説明する。ただし、図7はカラーフィルタCF(R)の形成工程を示す断面図であり、図8はカラーフィルタCF(G)の形成工程を示す断面図であり、図9はカラーフィルタCF(B)の形成工程を示す断面図である。
まず、図7(a)に示すように、カラーフィルタCF(R)の形成材料である感光性の赤色(R)用のネガ型カラーレジストを第1基板SUB1の上層すなわち薄膜トランジスタ層TLの上面に塗布し、カラーレジスト膜RG(R)を形成する。このカラーレジスト膜RG(R)の形成の後に、図7(b)に示すように、カラーフィルタCF(R)の形成位置に対応したフォトマスクPM(R)を介して、カラーレジスト膜RG(R)に露光光EXLを照射する。この露光光EXLの照射により、カラーレジスト膜RG(R)をパターン露光してUV硬化させ、カラーフィルタCF(R)の形成位置に対応した領域を不溶化させる。このとき、実施形態1のカラーフィルタCF(R)の露光工程においては、図7(b)に示すように、カラーフィルタCF(R)の形成幅Xapに対応した開口領域APと、隣接する画素との遮光領域幅X1に対応したハーフトーン領域HT1を有するフォトマスクPM(R)(スタックドレイヤーマスク、ハーフトーンマスクと称される)を使用する。このとき、ハーフトーン領域HT1は、カラーレジスト膜RG(R)がテーパー角40°でテーパー状に形成される形成条件(露光条件)θ1を満たす露光量E1となるように、露光光EXLの透過量が設定されている。また、開口領域APでは、露光量Erの露光光EXLがそのままカラーレジスト膜RG(R)へ照射される。
前述する露光の後に、現像処理やベーク処理を適宜行い、露光されていない領域のカラーレジスト膜RG(R)を除去することにより、図7(c)に示すように、平坦部分であるカラーフィルタ領域の幅が幅Xapとなり、その端部であるテーパー状の部分の幅が幅X1となるカラーフィルタCF(R)がテーパー角40°で形成されることとなる。
次に、図8(a)に示すように、カラーフィルタCF(G)の形成材料である感光性の緑色(G)用のネガ型カラーレジストを第1基板SUB1の液晶面側すなわち薄膜トランジスタ層TL及びカラーフィルタCF(R)の上面に塗布し、カラーレジスト膜RG(G)を形成する。図8(a)は模式的に、カラーフィルタCF(R)とカラーレジスト膜RG(G)との重ね合せ部が平坦に示してあるが、実際にはカラーレジスト膜RG(G)の一部がカラーフィルタCF(R)の平坦面に乗り上げ、凸部が形成されている。
このカラーレジスト膜RG(G)の形成の後に、図8(b)に示すように、カラーフィルタCF(G)の形成位置に対応したフォトマスクPM(G)を介して、カラーレジスト膜RG(G)に露光光EXLを照射する。この露光光EXLの照射により、カラーレジスト膜RG(G)をパターン露光してUV硬化させ、カラーフィルタCF(G)の形成位置に対応した領域を不溶化させる。
このとき、実施形態1のカラーフィルタCF(G)の露光工程においては、図8(b)に示すように、カラーフィルタCF(G)の形成幅Xapに対応した開口領域APと、隣接する画素との遮光領域幅X1に対応した2つのハーフトーン領域HT2,HT3を有するフォトマスクPM(G)を使用する。このとき、一方のハーフトーン領域HT2は、単独で平板上にカラーフィルタCF(G)を形成した場合にテーパー角が30°となる上述した形成条件(露光条件)θ2に対応する露光量E2となるように、露光光EXLの透過量が設定されている。また、他方のハーフトーン領域HT3は、単独で平板上にカラーフィルタCF(G)を形成した場合にテーパー角が40°となる上述した形成条件(露光条件)θ3に対応する露光量E3となるように、露光光EXLの透過量が設定されている。さらには、開口領域APでは、露光量Egの露光光EXLがそのままカラーレジスト膜RG(G)に照射される。
前述する露光の後に、現像処理やベーク処理を適宜行い、露光されていない領域のカラーレジスト膜RG(G)を除去することにより、図8(c)に示すように、平坦部分であるカラーフィルタ領域の幅が幅Xapとなり、その端部であるテーパー状の部分の幅が幅X1となるカラーフィルタCF(G)が形成されることとなる。このとき、カラーフィルタCF(G)の図8(c)中の左側端部では、カラーフィルタCF(R)の端部(テーパー角40°)の上層に、カラーフィルタCF(G)が上述した形成条件(露光条件)θ2で重ね合わされて形成され、カラーフィルタCF(R)とカラーフィルタCF(G)とが重なる部分の表面は平坦となる。一方、カラーフィルタCF(G)の図8(c)中の右側端部は、カラーフィルタCF(G)が上述した形成条件(露光条件)θ3でテーパー状に形成されるので、テーパー角40°の傾斜となる。
次に、図9(a)に示すように、カラーフィルタCF(B)の形成材料である感光性の青色(B)用のネガ型カラーレジストを第1基板SUB1の液晶面側に塗布し、カラーレジスト膜RG(B)を形成する。図9(a)は模式的に、カラーフィルタCF(G)とカラーレジスト膜RG(B)との重ね合せ部、及びカラーフィルタCF(R)とカラーレジスト膜RG(B)との重ね合せ部が平坦に示してあるが、実際にはカラーレジスト膜RG(B)の一部がカラーフィルタCF(G)及びカラーフィルタCF(R)の平坦面に乗り上げ、凸部が形成されている。
このカラーレジスト膜RG(B)の形成の後に、図9(b)に示すように、カラーフィルタCF(B)の形成位置に対応したフォトマスクPM(B)を介して、カラーレジスト膜RG(B)に露光光EXLを照射する。この露光光EXLの照射により、カラーレジスト膜RG(B)をパターン露光してUV硬化させ、カラーフィルタCF(B)の形成位置に対応した領域を不溶化させる。
このとき、実施形態1のカラーフィルタCF(B)の露光工程においては、図9(b)に示すように、BのカラーフィルタCF(B)の形成幅Xapに対応した開口領域APと、隣接する画素との遮光領域幅X1に対応したハーフトーン領域HT4を有するフォトマスクPM(B)を使用する。このハーフトーン領域HT4は、単独で平板上にカラーフィルタCF(B)を形成した場合にテーパー角が30°となる上述した形成条件(露光条件)θ4に対応する露光量E4となるように、露光光EXLの透過量が設定されている。また、開口領域APでは、露光量Ebの露光光EXLがそのままカラーレジスト膜RG(B)に照射される。
前述する露光の後に、現像処理やベーク処理を適宜行い、露光されていない領域のカラーレジスト膜RG(B)を除去することにより、図9(c)に示すように、平坦部分であるカラーフィルタ領域の幅が幅Xapとなり、その端部である逆テーパー状の部分の幅が幅X1となるカラーフィルタCF(B)が形成されることとなる。このときも、カラーフィルタCF(B)の図9(c)中の端部では、カラーフィルタCF(G)の端部(テーパー角40°)及びカラーフィルタCF(R)の端部(テーパー角40°)の上層に、カラーフィルタCF(B)が上述した形成条件(露光条件)θ4で重ね合わされて形成される。これにより、カラーフィルタCF(G)とカラーフィルタCF(B)とが重なる部分、及びカラーフィルタCF(R)とカラーフィルタCF(B)とが重なる部分の表面はそれぞれ平坦となる。
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、3色のカラーフィルタ層(着色層)を形成するための各色のレジスト材料(カラーレジスト)毎に、単独で平板状のガラス基板にテーパー角が40°の薄膜層を形成することができる第1の形成条件(ハーフトーンマスクの透過量と露光出力等)と、単独で平板状のガラス基板にテーパー角が30°の薄膜層を形成することができる第2の形成条件とを予め設定しておき、3色の内の少なくとも1色のカラーフィルタ層の形成では、一方の端部と他方の端部との形成条件が異なる形成条件でカラーフィルタ層を形成する構成にすることで、隣接配置されるカラーフィルタの重畳部分の凹凸を大幅に抑制することが可能となる。その結果、COA構造の液晶表示装置においては、カラーフィルタ層の上層に別途平坦化膜を形成する必要がなくなり、工程数を大幅に低減させることが可能となる。
このとき、感光性の着色材料を用いたカラーレジスト法により、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)からなる3色の着色層の内で、隣接配置される異なる2色の着色層を重ね合わせて形成する際に、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の着色層を形成する感光性の着色材料を露光する際に、少なくとも1つの着色材料は、一方の重ね合せ部と他方の重ね合せ部においてのみ、異なる露光量で露光すればよいので、少なくとも1つの着色層の形成のみに、両端の露光量が異なるフォトマスクを用いるのみとなるので、着色層の形成に伴う工程管理が容易になると共に、フォトマスクの管理が容易になるという格別の効果を得ることが可能となる。
なお、実施形態1に示すカラーフィルタCFの形成では、第1基板SUBの上面に形成される薄膜トランジスタ層の上層にカラーフィルタCFを形成する場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、液晶層を介して第1基板SUB1に対向配置される第2基板SUB2の上面(液晶側面、対向面)にカラーフィルタCFを形成する場合にも適用可能である。この場合においても、カラーフィルタCFの上面を平坦化することができるので、別途平坦化膜を形成することが不要となり、第2基板SUB2の形成に要する工程数を低減させることができる。
また、実施形態1では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の全てのカラーフィルタCFを形成する際に、ハーフトーン領域を有するハーフトーンマスクを用いる構成としたが、RGBのレジスト材料と露光光の光量等との組み合わせにより、所望のテーパー角で端部を形成し、異なる露光量での露光が必要となるカラーフィルタCF(G)を形成するためのフォトマスクPM(G)のみにハーフトーンマスクを用いる構成であってもよい。
さらには、実施形態1では、緑色(G)のカラーフィルタの端部をそれぞれ異なる露光量で露光する構成としたが、これに限定されることはなく、他の色のカラーフィルタの端部を異なる露光量で露光する構成であってもよい。
〈実施形態2〉
図10は本発明の実施形態2の液晶表示装置におけるカラーフィルタの概略構成を説明するための図であり、以下、図10に基づいて、実施形態2の液晶表示装置について説明する。
図10に示す断面図は、カラーフィルタCF(G)を形成した後に、このカラーフィルタCF(G)に隣接するカラーフィルタCF(B)を形成した場合を示している。特に、テーパー状に形成されるカラーフィルタCF(G)の端部上面に、カラーフィルタCF(B)の端部が重ね合わせて配置される構成となっている。このとき、テーパー状に形成された膜の上層に重ね合わせて形成されたために、逆テーパー状に形成されることとなるカラーフィルタCF(B)の端部は、その形成条件(露光条件)に応じて、カラーフィルタCF(G)との境界部に凹部CCPが形成されると共に、凸部CVPも形成されることとなる。
上記の凹部CCP及び凸部CVPは、図10に示すように、略円弧状の曲面を有している。ここで、該円弧状の曲面の曲率半径を図10に示すように定める。即ち、凹部CCPは曲率半径r1で窪んだ形状であり、凸部CVPは曲率半径r2で盛り上がった形状である。
また、図10に示すカラーフィルタCFを第2基板SUB2の表面に形成した場合には、このカラーフィルタCFの上面には図示しない配向膜が形成されることとなる。このとき、配向膜の厚さはカラーフィルタCFの膜厚に比較して非常に薄い薄膜となるので、カラーフィルタCFの表面に形成される段差(凹部CCP及び凸部CVP)に沿って配向膜も形成されることとなる。このために、配向膜に配向処理(ラビング)を行う際に、ラビング布と配向膜表面との十分な接触を得ることができずにラビング不良が生じ、十分に配向処理がされていない領域(ドメインと呼ぶ)が発生してしまう。その結果、例えば、黒表示のときにもドメインでは光抜けがする等、表示に不具合が生じてしまう。
本発明の発明者は、段差部分の曲率半径とドメイン強度(相対値)との関係を計測した。ここで、ドメイン強度(相対値)とは上述のラビング不良による光抜けの強さを相対的に示した値である。ドメイン強度の値が小さいほど光り抜けの強さが弱い、即ち表示不具合の程度が小さいということになる。尚、図11に示すドメイン強度(相対値)においては、該ドメイン強度が0.6以下になると光り抜けによる表示不具合は問題とならない。
図11に計測結果を示す。図11において、横軸は曲率半径であり、縦軸はドメイン強度(相対値)である。この図11の曲線T1から明らかなように、点線で示す曲率半径=1.0μm以上ではドメイン強度が0.2以下となり、ドメインの発生が抑制できることが判明した。この結果、ラビングに使用する布(ラビング布)の材質、毛の太さ、毛の密度等の変化を考慮しても、カラーフィルタの重ね合せ部における、該円弧状の曲面の曲率半径を1.0μm以上にすれば、即ち該曲率半径が1.0μm以上になる程度にカラーフィルタの重ね合せ部を平坦化すれば、ドメインの発生による表示の不具合は問題にならない。
該円弧状の曲面の曲率半径を1.0μm以上に形成することは、実施形態1において説明した方法を用いることで実現できる。つまり、実施形態1において説明した形成条件(露光条件)θ1からθ4は、上述の該曲率半径が1.0μm以上になる程度に平坦化できる条件にすればよい。
以上、本発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。液晶表示装置に限定されることなく、カラーフィルタを重ね合わせて形成する構造を有する他の表示装置にも適用可能である。