JP2015034331A - 発泡金属で構成された容器の製造と製造方法 - Google Patents

発泡金属で構成された容器の製造と製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の発泡金属の製法は、第一に金属を融解させるため、高温の熱処理に伴う問題や制約がもたらされる。第二に発泡剤の熱分解で気泡を形成するため、製造できる発泡金属の材質が制約される。第三に製造工程が複雑で分断された工程で発泡金属を製造するため、製造費用が高い。こうした課題によって、発泡金属からなる容器を製造する試みはない。
【解決策】 本発明の発泡金属の製法は、第一に、有機金属化合物の熱分解で析出した金属微粒子の集まりで空孔の殻を形成する。第二に、有機化合物の粉体の気化によって空孔を形成する。第三に、有機金属化合物の熱分解と有機化合物の気化との連続処理で発泡金属を製造する。これらの手段によって、耐熱性と耐寒性に優れ、極めて軽量な発泡金属からなる容器が安価に製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ないしは合金の粒状微粒子の集まりからなる多層構造で空孔の殻を形成するとともに、空孔が粒状微粒子で結合される空孔の集まりからなる発泡金属(ポーラス金属、多孔質金属、金属多孔体ともいう)で構成された容器を製造する技術に関する。なお本発明における微粒子とは、大きさが10nm〜100nmの範囲に入る粒状微粒子をいう。
発泡金属は、空孔(セル、気孔とも呼ばれる)が占める体積割合に応じて軽量になる。従って、実用金属で最も軽量なマグネシウム合金より軽く、溶製材や焼結による軽量化の限界を超える軽量化が可能になる。これによって、自動車におけるアルミニウム化、電気製品におけるマグネシウム化を上回る軽量化が可能になる。また、発泡金属は、比表面積が大きい多孔質な構造であるため、高いエネルギー吸収能・熱交換容量・断熱特性・制振特性・吸音特性等を有する機能性材料としての可能性がある。さらに、様々な金属や合金からなる発泡金属で、様々な形状の容器が製造できれば、合成樹脂に近い密度を持ち、耐熱性および耐食性に優れた容器が実現する。このように発泡金属は、様々な可能性を秘めた材料で、新たな用途を開拓する途上にあるが、製法によってもたらされる課題は大きい。
ここで、発泡金属の従来の製法技術について説明する。第一の製法に、発泡溶融法がある(例えば、非特許文献1を参照)。溶融アルミニウムにガスを導入し、ポ−ラスアルミニウムを製造する製法である。溶融アルミニウム中での気泡の上昇と、気泡の結合による気泡の消失を抑制するため、金属カルシウムを溶湯中に分散させ、カルシウム酸化物の生成で粘性を増加させる。次に、粘性の増加した溶湯を鋳型に注湯し、鋳型内において発泡剤の二水素化チタンを添加し、強制撹拌して溶湯内に均一分散させる。さらに、二水素化チタンの熱分解で生成した水素ガスによって溶湯は発泡し、発泡した溶湯が膨張して鋳型内を満たし、その後、強制空冷で凝固させることによりポーラスアルミニウムを得る。
第二の製法に、ガス膨張法がある(例えば、非特許文献2を参照)。金属粉末と高圧の不活性ガスを容器に封入した後に、加圧焼結ないしは熱間押出し、この後、長時間加熱保持して気泡を生成して発泡金属を製造する。この製法は、鋳造法と比較すると気泡の径が微細であり、得られる発泡金属はクローズドセル構造となる。
第三の製法に、プリカーサ法がある。アルミニウム合金等の粉末金属に発泡剤を混合してプリカーサ(プリフォーム、前駆体とも呼ばれる)を作製し、プリカーサを加熱して、発泡剤の熱分解でガスを発生させ、このガスの発生により軟化した母材を膨張させる。プリカーサ法の具体的な方法としては、様々な方法が提案されており、例えば、粉末冶金法や圧延接合法がある。粉末冶金法は、アルミニウム合金等の母材の粉末と、発泡剤の粉末とを均一になるまで混合して、混合物を押し出し成型する。その後、赤外線炉等で加熱して発泡剤を発泡させる(例えば特許文献1、特許文献2を参照)。また、圧延接合法は、母材の板材を複数用意して、板材に表面処理を施した後に、板材の間に発泡剤を挟んで圧延し、複数の板材を接合する。この圧延の工程を繰り返して母材中に発泡剤を均一に分散させて、発泡金属の前駆体とする(例えば特許文献3を参照)。
従来の発泡金属の製法は、製法上の原理からもたらされる様々な制約や問題点がある。
第一に、発泡剤を用いることで製造できる発泡金属の材質が制約される。例えば、二水素化チタンの熱分解温度が470℃であり、金属の融点が470℃からかけ離れるほど、二水素化チタンの熱分解で生成された水素ガスの気泡が膨張し、気泡同士が結合して気泡が消失するため、発泡金属の材質は、融点が660℃のアルミニウムや低融点の一部のアルミ合金に制限される。また、二水素化チタンは高価な発泡剤であるため、より安価な発泡剤である炭酸カルシウムCaCOを用いる場合は、熱分解温度が825℃であるため、発泡金属は融点が1000℃より低い金属に限定される。このように、発泡剤を使用する鋳造法やプリカーサ法では、発泡剤の熱分解温度で製造できる発泡金属の材質が著しく制約される。
第二に、発泡溶融法では、溶解したアルミニウムの粘性を高めることが必要になるが、粘性が高くなるほど、溶解したアルミニウム中に発泡剤を均一に分散することが困難になり、発泡金属における空孔が必要以上に大きくなり、発泡金属の機械的強度が得られない。
第三に、ガス膨張法では、不活性ガスが1MPaという高圧ガスを用いるため、製造する発泡金属の形状に制約がある。また、気泡の生成には高温保持に24時間以上が必要になり、加熱保持に要する費用が高い。さらに、発泡率が20〜50%と低いため実用性がない。
第四に、粉末冶金法では、原料の金属粉末の純度、合金成分、粒径・形状及びそれらの分布などが発泡特性に大きく影響する。このため、これら金属粉末の特性や性質を制御するため、金属粉末の製造費が著しく高価になる。さらに、プリカーサを製造する工程が複雑で製作時間がかかるため生産性が低く、発泡金属からなる製品は価格面で実用性がない。
第五に、圧延接合法では、圧延によって板材を接合するので、焼鈍や接合面の表面処理等の前処理が必要であること、圧延の前後で熱処理を行うのでエネルギー消費が大きいこと、発泡剤を均一に分散させるためには圧延を多数回繰り返す必要があること、圧延を繰り返すごとに圧延材を切断する必要があること等により、生産性がさらに低く、発泡金属の製作費がさらに高くなり、発泡金属からなる製品は価格面で実用性は低い。また、発泡金属の形状が板材に制約され、発泡金属の製品が限定される。
以上に説明したように、発泡金属は製法上の原理からもたらされる問題点や制約が、新たな製品を開拓する障害になる。このため、発泡金属からなる容器を製作する試みはない。
独国特許出願公開第1048360号明細書 独国特許出願公開第4101630号明細書 特開2004−285446号公報
三好鉄二、西誠治:金属,Vol.74,No.7(2004)pp.10−14. 山田康雄、千野靖正、馬渕守:金属,Vol.74,No.7(2004)pp.622−666.
従来技術における発泡金属の製法上の原理的な問題点と、これら原理的な問題点を持たず、発泡金属からなる容器の製造が可能になる新たな製法に求められる要件を整理する。
第一に、従来技術は、金属ないしは合金を融解あるいは軟化させる。しかし、金属ないしは合金の融点ないしは軟化点が著しく高いため、熱処理温度が高いことで種々の問題や発泡金属の材質の制約がもたらされる。このため、新たな製法に求められる第一の要件は、金属ないしは合金を融解ないしは軟化せずに発泡金属が製造できる。従って、新たな製法における金属ないしは合金の構造が、従来の発泡金属における構造とは全く異なる。これによって、様々な金属や合金からなる容器が安価に製造できる。
第二に、従来技術は発泡剤の熱分解で気泡を形成する。このため、発泡剤の熱分解温度で製造できる発泡金属の材質が制約され、気泡の大きさや気泡の分布に伴う問題ももたらされる。このため、新たな製法に求められる第二の要件は、全く新たな物質で空孔を形成する。これによって、様々な金属や合金からなる発泡金属の容器が安価に製造できる。
第三に、従来技術は、粉末冶金法や圧延接合法のように、製造工程が複雑で分断された製造工程で発泡金属を製造する。あるいは、ガス膨張法では気泡の生成に要する高温保持時間が長すぎる。また、粉末冶金法では原料の粉末が高価である。このため、発泡金属の製造に係わる製造費が高くなり、発泡金属の製品は実用性が低い。従って、新たな製法に求められる第三の要件は、安価な原料を用い、簡単な処理を連続して実施する製法で発泡金属が製造できる。これによって、発泡金属からなる容器が安価に製造できる。
さらに、新たな製法の第四の要件は、金属や合金の融点に左右されず、様々な金属や合金からなる材質で空孔の殻が製造できる。これによって、用途に応じた容器が製造できる。
また、新たな製法の第五の要件は、空孔の大きさ、空孔の殻の厚さ、発泡率が、さらに、発泡金属の容器の形状が自在に変えられる。これによって、発泡金属からなる容器の自由度が飛躍的に拡大し、様々な性質を持ち、様々な形状からなる容器が製造できる。
本発明は、前記した5つの要件を満たす新たな製法で発泡金属からなる容器を製造する。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第1特徴手段は、熱分解温度が異なる第一の有機金属化合物と第二の有機金属化合物とからなる2種類の有機金属化合物を有機溶剤に分散し、該分散液に前記2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体を投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合物を作成し、該混合物を第一の容器に充填する、さらに、該第一の容器を前記有機溶剤の沸点にさらして前記有機溶剤を気化し、前記有機化合物の粉体に前記2種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の粉体を作成する、さらに、該有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する、さらに、該第二の容器を前記第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第一の有機金属化合物の熱分解で磁性を有する第一の金属の粒状微粒子の集まりを、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に析出させる、この際、該第一の金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面を、粒状微粒子の集まりからなる第一の多層構造を形成して覆う、とともに、該第一の金属の粒状微粒子が発する磁気で前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が互いに接近する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記第二の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第二の有機金属化合物の熱分解で第二の金属の粒状微粒子の集まりを、前記第一の多層構造の表面に析出させる、この際、該第二の金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記第一の多層構造の表面を粒状微粒子の集まりからなる第二の多層構造を形成して覆う、とともに、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が前記第二の金属の粒状微粒子に結合する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記有機化合物の気化点を超える温度にさらし、該有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の気化で該粉体の体積を爆発的に膨張させる、この際、前記多層構造を形成する金属の粒状微粒子同士の結合部の一部が破壊されて前記有機化合物の気体が発散し、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が空孔になる、これによって、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造が前記空孔の殻を構成し、かつ、前記空孔が前記第二の金属の粒状微粒子で結合された空孔の集まりからなる発泡金属からなる容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする発泡金属からなる容器の製造。
つまり、本特徴手段によれば、以下に説明する5つの特徴点に基づく作用効果を持つ。
第一の特徴点は、2種類の金属の粒状微粒子の集まりからなる多層構造で空孔の殻を構成する。つまり、2種類の有機金属化合物の熱分解で析出した粒状微粒子の集まりで空孔の殻を構成するが、有機金属化合物の熱分解温度が金属ないしは合金の融点ないしは軟化点より著しく低く、高温の熱処理に係わる問題点や発泡金属の材質の制約がない。
第二の特徴点は、有機化合物の粉体の気化によって空孔を形成する。つまり、有機化合物の気化点が、2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高いため、2種類の金属の粒状微粒子の集まりで、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体を覆い、この後、有機化合物を気化点を超える温度にさらすと、粉体が気化して空孔となり、空孔は2種類の金属の粒状微粒子の集まりで覆われる。従って、空孔の形成に対して、発泡剤を使用しないため、発泡剤の使用に係わる問題点が一切ない。
第三の特徴点は、大気雰囲気で2種類の有機金属化合物の熱分解と有機化合物の気化とからなる熱処理を連続して実施して容器が製造できるため、安価な容器が製造できる。
第四の特徴点は、様々な金属からなる有機金属化合物が容易に合成できるため、様々な金属の粒状微粒子で空孔の殻が形成でき、発泡金属の容器は様々な金属の性質を持つ。
第五の特徴点は、空孔の殻の厚みは、有機化合物の粉体に吸着させた有機金属化合物の量で変えられる。空孔の大きさと発泡率は、有機化合物の粉体の大きさで変えられる。容器の形状は、有機化合物の粉体の集まりを充填する第二の容器の形状で変えられる。
これら第四と第五の特徴点によって、発泡金属からなる容器に求められる性質と形状とが自在に設計でき、この設計した容器が製造できる。
以上に説明したように、本特徴手段は、発泡金属を製造する原理が従来とは全く異なるため、従来技術の製法上の原理的な問題点を持たず、また、7段落で説明した5の要件を満たして容器が製造できる。これによって、合成樹脂に近い密度を持ち、耐熱性および耐寒性が合成樹脂より格段に優れ、また、ガラスより軽量で破壊しにくい、あるいは、セラミックスより機械的および熱的衝撃性が格段に優れた軽量な容器が製造できる。
ここで、前記した本特徴手段における5つの特徴点を、新たな製法における5つの原理と、これによる作用効果として説明する。第一の原理は、有機金属化合物の大気雰囲気での熱分解で金属の粒状粒子の集まりが析出し、この金属微粒子の集まりが空孔の殻を構成する。これによって、金属を融解ないしは軟化させることが不要になる。この原理は、有機金属化合物の熱分解温度が、金属ないしは合金の融点より著しく低い性質に基づく。
第二の原理は、固体ないしは液体の1モルが気化すると、固体ないしは液体の体積は22.4リットルを占める。この原則を、金属微粒子の集まりで覆われた有機化合物の粉体ないしは融解した粉体に適応すれば、有機化合物の微細な粉体の気化で、金属微粒子の集まりで覆われた空孔が形成できる。この原理は、有機化合物の気化点が、有機金属化合物の熱分解温度より高い性質に基づく。さらに、有機化合物の粉体の大きさと分布とは自在に変えられるため、空孔の大きさと分布と発泡率とが自在に変えられる。
第三の原理は、2種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の集まりを容器に充填し、この容器を2種類の有機金属化合物の各々の熱分解温度に段階的にさらし、さらに、有機化合物の気化点を超える温度にさらす3回の熱処理を連続して実施することで、容器内に、この容器の形状が反映された発泡金属からなる容器が製造できる。すなわち、有機化合物の粉体の表面に、2種類の有機金属化合物を吸着させる。第一の有機金属化合物は、大気雰囲気での熱分解で磁性を有する第一の金属を析出する。第二の有機金属化合物は、大気雰囲気での熱分解で第二の金属を析出し、熱分解温度は第一の有機金属化合物より高い。このような性質を持つ2種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを、容器に充填する。容器を第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらすと、磁性を有する第一の金属の粒状微粒子の集まりが析出し、金属微粒子同士の金属結合で第一の多層構造を形成して有機化合物の粉体ないしは融解した粉体を覆う、とともに、金属の粒状微粒子が発する磁気によって粉体ないしは融解した粉体が接近する。さらに、容器を第二の有機金属化合物が熱分解する温度にさらすと、第二の金属の粒状微粒子の集まりが第一の多層構造の表面に析出し、金属微粒子同士が金属結合して、第一の多層構造の表面に第二の多層構造を形成する、とともに、粉体ないしは融解した粉体は金属の粒状微粒子に結合する。この後、容器を有機化合物の気化点を超える温度にさらすと、粉体ないしは融解した粉体の体積が爆発的に膨張し、多層構造を形成する金属微粒子同士の結合部の一部が破壊され、有機化合物の気体が発散して空孔になり、空孔が第二の金属の粒状微粒子で結合された空孔の集まりからなる発泡金属の容器が、容器内に製作される。このように、3回の熱処理を連続して実施するだけで、発泡金属からなる容器が製造できる。
第四の原理は、金属の微粒子の原料が、有機酸と金属との化合物である有機金属化合物である。この原理は、有機化合物の粉体に有機金属化合物を吸着させ、この有機化合物を昇温すると、有機化合物の粉体の表面で有機金属化合物の熱分解反応が進むことに基づく。すなわち、有機金属化合物を構成する有機酸の沸点に至ると、有機金属化合物は有機酸と金属に分解し、さらに温度が上昇すると、有機酸が気化熱を奪って気化し、有機酸の気化が完了した後に、金属の粒状微粒子が有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に一斉に析出して熱分解反応を終える。この際、10nm〜100nmの大きさの幅に収まる金属の粒状微粒子が一斉に析出する。また、有機金属化合物の熱分解温度は400℃以下で、金属や合金の融点より著しく低い。これによって、発泡金属からなる容器を製造する際に消費する熱エネルギーが著しく低減され、また、高温の熱処理に伴う様々な問題点は発生しない。さらに、有機金属化合物は、様々な金属と有機酸とを反応させて容易に合成されるため、様々な金属微粒子を析出する安価な原料になる。さらに、多層構造の厚みは、有機化合物の粉体に吸着させた有機金属化合物の量で決まる。従って、多層構造の材質と厚みを自在に変えることができ、様々な性質を持つ発泡金属からなる容器が製造できる。さらに、空孔を形成する有機化合物は、400℃程度の気化点を持てばよい。従って、安価な材料を用いて、金属ないしは合金の融点より著しく温度での熱処理で、発泡金属からなる容器が製造できるため、画期的な性質を持つ発泡金属からなる容器が安価な費用で製造できる。
第五の原理は、空孔を形成する物質が発泡剤ではなく有機化合物の粉体である。このため、空孔の大きさは有機化合物の粉体の大きさで決まる。従って、発泡剤を使用することによる問題は一切発生しない。例えば、モル質量が166.13g/モルで、密度が1.522g/cmの有機化合物が、100μmの球体である場合は、有機化合物の粉体が気化すると0.86mmの空孔を形成する。この際、粉体は860倍に体積が膨張する。このように、粉体の気化で空孔が作成でき、空孔の大きさは粉体の大きさで決まる。さらに、有機化合物の粉体の大きさと分布は容易に制御できる。これによって、発泡金属の発泡率が自在に変えられる。
以上に説明したように、本特徴手段は全く新たな5つの原理に基づいて発泡金属からなる容器を製造するため、様々な性質を持つ発泡金属の容器が安価に製造でき、従来の概念では考えられない極めて軽量な容器が、様々形状の容器として製造できる。
なお、発泡金属からなる容器は、有機化合物の粉体の集まりを充填する容器の形状を反映する。例えば、粉体の集まりを、二重同心円筒からなる2つの円筒の隙間に充填すれば、円筒形状の容器が製作される。また、粉体の大きさは100μmより小さい微粉であるため、粉体を充填する間隙、つまり、製作する容器の厚みが1mm程度あれば、粉体を隙間に充填することは容易である。さらに、粉体を充填する隙間がどのような形状であっても、発泡金属からなる容器を製作した後に、隙間を形成する容器を破壊すれば、発泡金属からなる容器が取り出せる。例えば、ガラスからなる同心の2つの円錐体で形成される間隙に、有機化合物の粉体を充填すると、円錐形状からなる発泡金属の容器が製造できる。この後、ガラスを破壊すれば発泡金属の容器が取り出せる。破壊したガラスは、再度、同心の2つの円錐体として再利用できる。なお、ガラスの融点は、有機化合物の気化点より高いため、発泡金属からなる容器を製造する際に、有機化合物の粉体を充填する容器として用いることができる。従って、発泡金属からなる容器の形状の制約はない。
また、多層構造を形成する金属の粒状微粒子の集まりは、活性状態にある不純物を持たない金属で金属微粒子が生成されるため、隣接する金属微粒子同士が互いに点接触に近い状態で接触して金属結合する。一方、粒状微粒子は大きさにばらつきがあるため、粒状微粒子の集まりからなる多層構造は、各層ごとに金属微粒子の結合力が相対的に弱い部分を必ず持つ。このため、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が気化する際に、粉体の体積が爆発的に膨張し、各層ごとの金属微粒子の結合力が相対的に弱い結合部が優先的に破壊され、この結果、有機化合物の気体が発散して空孔を形成する。一方、多層構造が薄い場合は、多層構造を形成する金属微粒子同士の結合力が弱くなり、粉体の体積が爆発的に膨張する際に、多層構造がバラバラに分解し、空孔の殻が破壊される。従って、金属微粒子の集まりからなる多層構造は、空孔の大きさに応じた厚みを持つ必要がある。
さらに、第一の有機金属化合物の熱分解が有機化合物の粉体の表面で始まると、有機酸と第一の金属(分子クラスターの状態にある)とに分離するが、比重が大きい金属は有機化合物の粉体の表面に留まり、比重が小さい有機酸は金属の上に移動する。従って、有機酸の上に第二の有機金属化合物の薄い被膜が存在する。さらに温度が上昇すると、蒸発熱を奪って有機酸の気化が始まる。有機酸は第二の有機金属化合物の被膜を貫通して蒸発し、蒸発が終了すると、金属は熱エネルギーを得て粒状の微粒子を形成して安定化し、熱分解反応を終える。さらに昇温すると、第二の有機金属化合物の熱分解が始まり、有機酸と第二の金属に分離し、有機酸が気化した後に、第二の金属は、第一の金属からなる粒状微粒子の多層構造の上に、粒状の微粒子を析出して熱分解を終える。こうして、有機化合物の粉体の表面は、第一の金属微粒子と第二の金属微粒子とからなる多層構造で覆われる。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第2特徴手段は、前記した第1特徴手段における第二の粒状微粒子を、合金の粒状微粒子で構成する発泡金属からなる容器の製造に関わり、該発泡金属からなる容器の製造は、第一の有機金属化合物と同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物とからなる複数種類の有機金属化合物を有機溶剤に分散し、該分散液に前記複数種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体を投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合液を作成し、該混合液を第一の容器に充填する、さらに、該第一の容器を前記有機溶剤の沸点にさらして前記有機溶剤を気化し、前記有機化合物の粉体に前記複数種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の粉体を作成する、さらに、該有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する、さらに、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第一の有機金属化合物の熱分解で磁性を有する金属の粒状微粒子の集まりが、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に析出する、この際、該金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面を第一の多層構造を形成して覆う、とともに、該金属の粒状微粒子が発する磁気で前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が互いに接近する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該複数種類の有機金属化合物の熱分解で各々の有機金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出し、該析出した複数種類の金属の比率に応じた組成割合からなる合金の粒状微粒子の集まりが前記第一の多層構造の表面に析出する、この際、該合金の粒状微粒子同士が金属結合して、前記第一の多層構造の表面を第二の多層構造を形成して覆う、とともに、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体は前記合金の粒状微粒子に結合する、さらに、前記第二の容器を前記有機化合物の気化点を超える温度にさらし、該有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の気化で該粉体の体積が爆発的に膨張する、この際、前記多層構造を形成する粒状微粒子同士の結合部の一部が破壊して前記有機化合物の気体が発散し、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が空孔になる、これによって、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造とが前記空孔の殻を構成し、かつ、前記空孔が前記合金の粒状微粒子で結合された空孔の集まりからなる発泡金属の容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、第1特徴手段における第二の粒状微粒子を、合金の粒状微粒子で構成する発泡金属からなる容器の製造。
つまり、本特徴手段に依れば、第二の多層構造を様々な材質の合金の粒状微粒子の集まりで構成するため、発泡金属の容器の性質が様々な材質からなる合金の性質に拡大できる。
すなわち、同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物は、有機金属化合物を構成する有機酸の沸点を超えると、複数種類の有機金属化合物が同時に有機酸と有機金属化合物のモル濃度に応じた複数種類の金属(分子クラスターの状態にある)とに熱分解し、有機酸の気化が完了した後に、複数種類の金属は、金属の比率に応じた組成割合からなる合金を析出して熱分解反応を終える。さらに、有機金属化合物は、様々な金属が有機酸と反応して容易に合成されるため、様々な有機金属化合物からなる複数種類の有機金属化合物を熱分解すると、様々な材質からなり、様々な組成割合からなる合金が容易に生成でき、発泡金属からなる容器の性質が様々な合金の性質に拡大できる。
つまり、有機化合物の粉体の表面に、複数種類の有機金属化合物を吸着させる。第一の有機金属化合物は、熱分解で磁性を有する金属を析出する。残りの有機金属化合物は、同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物であり、熱分解温度は第一の有機金属化合物より高い。次に、複数種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを容器に充填する。さらに、容器を第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらすと、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に、10nm〜100nmの大きさの幅に収まる磁性を有する金属の粒状微粒子が析出して、第一の有機金属化合物の熱分解反応を終える。この際、磁性を有する金属の粒状微粒子同士が金属結合し、有機化合物の表面を第一の多層構造で覆う、とともに、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体は、微粒子が発する磁気によって互いに接近する。さらに、容器を同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物が熱分解する温度にさらすと、複数種類の金属が各々の有機金属化合物のモル濃度に応じて析出し、この析出した複数種類の金属の比率に応じた組成割合からなる合金が10nm〜100nmの大きさの幅に収まる粒状の微粒子として析出して熱分解反応を終える。この際、合金の粒状微粒子同士が金属結合し、第一の多層構造の表面に第二の多層構造を形成する、とともに、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体は合金の粒状微粒子に結合する。この後、容器を有機化合物の気化点を超える温度にさらすと、粉体の体積が爆発的に膨張し、多層構造を形成する微粒子同士の結合の一部を破壊し、有機化合物の気体が発散して空孔になり、空孔が合金の粒状微粒子で結合された空孔の集まりからなる発泡金属の容器が容器内に製作される。このように、容器を大気雰囲気で3回の熱処理を連続して実施して容器が製造できるため、様々な合金の性質を持つ発泡金属の容器が安価に製造できる。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第3特徴手段は、前記した第1特徴手段における2種類の有機金属化合物、および、第2特徴手段における複数種類の有機金属化合物のいずれの有機金属化合物は、カルボン酸金属化合物であって、該カルボン酸金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合で結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを有するカルボン酸金属化合物であって、該カルボン酸金属化合物は大気雰囲気での熱分解で金属を析出する。
つまり、本特徴手段によれば、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合で結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを持つカルボン酸金属化合物は、熱分解によって金属を析出する。このため、これら2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物は、金属ないしは合金の粒状微粒子を析出する原料になる。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合によって結合するカルボン酸金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした特徴を持つカルボン酸金属化合物は、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が切れて、カルボン酸と金属(分子クラスターの状態にある)とに分解する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に、金属を析出して熱分解反応を終える。こうした性質を兼備するカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などの飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物がある。なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって複数種類の金属酸化物、例えばオレイン酸銅の場合は、酸化銅(I)CuOと酸化銅(II)CuOとが同時に析出し、酸化銅(I)CuOと酸化銅(II)CuOとを銅に還元する処理費用を要する。特に、酸化銅(I)CuOは、酸素ガスが大気雰囲気よりリッチな雰囲気で一度酸化銅(II)CuOに酸化させた後に、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、酸化物を還元する処理費用がかさむ。
前記したカルボン酸金属化合物を有機化合物の粉体に吸着させ、有機化合物の粉体の表面でカルボン酸金属化合物の熱分解反応を進めると、カルボン酸が気化した後に、有機化合物の粉体に10nm〜100nmの大きさの幅に収まる粒状の金属微粒子が一斉に析出して熱分解反応を終える。これによって、粒状の金属微粒子の集まりが、発泡金属の空孔の殻を形成する。また、同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物を、有機化合物の粉体に吸着させ、複数種類のカルボン酸金属化合物を熱分解させると、カルボン酸が気化した後に、カルボン酸金属化合物のモル濃度に応じた複数種類の金属が析出し、この複数種類の金属の比率に応じた組成割合からなる合金の粒状微粒子が、10nm〜100nmの大きさの幅に収まる粒状微粒子の集まりとして有機化合物の粉体に析出して熱分解反応を終える。これによって、合金の粒状微粒子の集まりが、発泡金属の空孔の殻を構成する。
また、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、カルボン酸金属化合物が合成される。さらに、カルボン酸は、有機酸の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であるため、大気雰囲気において400℃以下の低い熱処理で金属が析出する。このため、熱処理費用が安価で済む。従って、安価な工業用の薬品を用いて、安価な熱処理費用で発泡金属の空孔の殻が形成できる。このため、カルボン酸金属化合物は、安価な発泡金属からなる容器を製造する際に、空孔の殻を構成する金属微粒子の原料になる。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第4特徴手段は、前記した第1特徴手段における2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物、および、前記した第2特徴手段における複数種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物のいずれの有機化合物は、飽和脂肪酸ないしは芳香族カルボン酸ないしは多環芳香族炭化水素からなるいずれかの有機化合物であって、該有機化合物からなる粉体ないしは融解した粉体が気化することで、該粉体が前記した第1特徴手段および第2特徴手段における空孔を形成する有機化合物である。
つまり、本特徴手段によれば、飽和脂肪酸、例えば、C1735COOHで化学式が示されるステアリン酸(オクタデカン酸ともいう)は、融点が70℃であり、気化点が376℃である。複数種類のカルボン酸金属化合物をメタノールに分散した分散液に、ステアリン酸の粉体の集まりを分散した後、メタノールを気化すれば、ステアリン酸の粉体の表面に複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着する。このステアリン酸の粉体の集まりを容器に充填し、容器を複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度に段階的にさらすと、複数種類のカルボン酸金属化合物が段階的に熱分解し、金属ないしは合金の粒状微粒子の集まりで、融解したステアリン酸の粉体を覆うとともに、融解したステアリン酸の粉体は、金属ないしは合金の粒状微粒子と結合する。さらに、融解したステアリン酸の粉体を気化すれば、発泡金属からなる容器が容器内に製造される。このように、ステアリン酸は、発泡金属の空孔を形成する原料になる。なお、ステアリン酸は、植物性・動物性油脂を加水分解して精製される脂肪酸であり、安価な工業用の化学薬品である。
さらに、芳香族カルボン酸に属するC(COOH)で化学式が示されるテレフタル酸は、大気中で融点が402℃であり、融点を超えると昇華する。複数種類のカルボン酸金属化合物をメタノールないしはn−ブタノールに分散した分散液に、テレフタル酸の粉体の集まりを分散し、メタノールないしはn−ブタノールを気化すれば、テレフタル酸の粉体の表面に複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着する。このテレフタル酸の集まりを容器に充填し、容器を複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度に段階的にさらすと、複数種類のカルボン酸金属化合物が段階的に熱分解し、金属ないしは合金の粒状微粒子の集まりで、テレフタル酸の粉体を覆うとともに、テレフタル酸の粉体は金属ないしは合金の粒状微粒子に結合する。さらに、テレフタル酸を昇華すれば、発泡金属からなる容器が容器内に製造される。このように、テレフタル酸も発泡金属の空孔を形成する原料になる。なお、テレフタル酸は、エチレングリコールと反応させてポリエチレンテレフタレートを合成する原料となり、ペットボトルや衣料の原材料となる安価な工業用の化学薬品である。
さらに、多環芳香族炭化水素、例えば、C1410で化学式が示されるアントラセンは、ベンゼン環が3個縮合したアセン系多環芳香族炭化水素であって、融点が218℃であり、気化点が342℃である。複数種類のカルボン酸金属化合物をメタノールないしはn−ブタノールに分散した分散液に、アントラセンの粉体の集まりを分散し、メタノールないしはn−ブタノールを気化すれば、アントラセンの粉体の表面に複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着する。このアントラセンの粉体の集まりを容器に充填し、この容器を複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度に段階的にさらすと、複数種類のカルボン酸金属化合物が段階的に熱分解し、金属ないしは合金の粒状微粒子の集まりで、融解したアントラセンの粉体を覆うとともに、融解したアントラセンの粉体が金属ないしは合金の粒状微粒子に結合する。さらに、アントラセンの粉体を気化すれば、発泡金属からなる容器が容器内に製造される。このように、アントラセンも発泡金属の空孔を形成する原料になる。なお、アントラセンは、コールタールから分離精製することで工業的に生産され、カーボンブラックの原料として用いられる安価な工業用の化学薬品である。
以上に説明したように、飽和脂肪酸ないしは芳香族カルボン酸ないしは多環芳香族炭化水素からなる有機化合物の中に、メタノールないしはn−ブタノールの沸点より高い融点を持ち、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物がある。こうした性質を持つ有機化合物の粉体の集まりに、複数種類のカルボン酸金属化合物を吸着させ、この有機化合物の粉体の集まりを容器に充填し、この容器を複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する各々の熱分解温度に段階的にさらすと、複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解し、金属ないしは合金の粒状微粒子の集まりで、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体を覆うとともに、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が金属ないしは合金の粒状微粒子に結合する。さらに、有機化合物の粉体ないしは融解した粉体を気化させると、発泡金属からなる容器が、有機化合物の粉体を充填した容器内に製造される。このような簡単な熱処理を連続して実施して発泡金属からなる容器が製造できるため、有機化合物は発泡金属の空孔を形成する原料になる。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第5特徴手段は、前記した第1特徴手段ないしは第2特徴手段の方法で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子の集まりが磁気吸着した容器を製造することに関わり、該発泡金属からなる容器の製造は、大気雰囲気での熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を有機溶剤に分散させ、該分散液を容器に充填する、さらに、第1特徴手段ないしは第2特徴手段で製造した発泡金属からなる容器の集まりを前記分散液に浸漬する、さらに、前記容器を前記有機溶剤の気化点にさらし、前記発泡金属からなる容器に前記有機金属化合物を吸着させる、さらに、前記容器を大気雰囲気で前記有機金属化合物が熱分解する温度にさらす、この際、前記有機金属化合物が熱分解されて金属酸化物の粒状微粒子の集まりが、前記発泡金属の容器の表面に析出する、さらに、前記容器を大気雰囲気で前記金属酸化物が磁性を有する金属酸化物に酸化される温度にさらす、これによって、前記発泡金属からなる容器の表面に、前記磁性を有する金属酸化物の粒状粒子の集まりが磁気吸着した容器の集まりが製造されることを特徴とする、第1特徴手段ないしは第2特徴手段で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子の集まりが磁気吸着した発泡金属からなる容器の製造。
つまり、本特徴手段によれば、発泡金属からなる容器の表面に吸着させた有機金属化合物を大気雰囲気で熱分解すると、金属酸化物からなる粒状微粒子の集まりが、発泡金属からなる容器の表面に析出する。さらに、金属酸化物を磁性を有する金属酸化物に酸化すると、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子の集まりが、容器の表面に磁気吸着する。この粒状微粒子の集まりは互いに磁気吸着するとともに、発泡金属からなる容器の第一の多層構造を形成する粒状微粒子の集まりとの間で磁気吸引力が作用する。金属酸化物は金属より安定した物質であるため、容器を大気雰囲気の高温状態や高湿状態にさらしても、容器を構成する金属微粒子が劣化しない。また、酸性やアルカリ性の液体を容器に充填しても、容器を構成する金属微粒子の集まりが酸性液やアルカリ性液と直接接触せず、容器を構成する金属微粒子が劣化しない。このように、容器の表面に磁気吸着した金属酸化物の粒状微粒子の集まりが容器の表面を保護する。
つまり、8段落ないしは10段落で説明した方法で発泡金属からなる容器を作製する。この容器に、熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を吸着させる。この発泡金属の集まりを大気雰囲気で有機金属化合物が熱分解する温度にさらすと、有機金属化合物が熱分解して金属酸化物の粒状微粒子が析出する。さらに、金属酸化物が磁性を有する金属酸化物に酸化する温度にさらす。これによって、容器の表面に金属酸化物の粒状微粒子の集まりが磁気吸着する。本特徴手段は、熱処理を5回連続して実施して、表面が耐熱性および耐食性に優れた微粒子の集まりで覆われた発泡金属の容器が製造できる。
本発明に係わる発泡金属からなる容器を製造する第6特徴手段は、前記した第5特徴手段における大気雰囲気の熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが鉄イオンに配位結合するカルボン酸鉄であって、該カルボン酸鉄は大気雰囲気での熱分解で酸化鉄(II)を析出する、さらに、該酸化鉄(II)を大気中で酸化させると、マグネタイトないしはマグヘマイトからなる磁性を有する鉄の酸化物が生成される。
つまり、本特徴手段によれば、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、鉄イオンに近づいて配位結合するカルボン酸鉄は、大気雰囲気での熱分解で酸化鉄(II)FeOを析出する。さらに昇温すると、酸化鉄(II)FeOを構成する鉄イオンFe2+がFe3+に酸化され、マグネタイトFeないしは酸化鉄(III)のγ相あるマグヘマイトγ−Feになる。マグネタイトとマグヘマイトはいずれも強磁性の鉄の酸化物である。従って、こうした分子構造上の特徴を有するカルボン酸鉄は、強磁性の酸化物であるマグネタイトないしはマグヘマイトからなる粒状微粒子を生成する原料になる。マグネタイトおよびマグヘマイトは、いずれも耐熱性が高く、酸やアルカリに侵されにくい安定な金属酸化物である。
すなわち、カルボキシル基を構成する酸素イオンOが、鉄イオンFe2+に近づいて配位結合するカルボン酸鉄は、最も大きいイオン半径を有する鉄イオンFe2+に酸素イオンOが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。このため、鉄イオンに配位結合する酸素イオンが、鉄イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が最も長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸鉄は、カルボン酸鉄を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが鉄イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、鉄イオンと酸素イオンとの化合物である酸化鉄(II)とカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に酸化鉄(II)が析出して熱分解反応を終える。こうしたカルボン酸鉄として、酢酸鉄、カプリル酸鉄、安息香酸鉄、ナフテン酸鉄などがある。
さらに昇温すると、酸化鉄(II)を構成する2価の鉄イオンFe2+が、3価の鉄イオンFe3+になる酸化反応が起こる。この酸化反応が起こる温度に一定時間放置すると、酸化鉄(II)を構成する2価の鉄イオンFe2+が3価の鉄イオンFe3+になりマグネタイトが生成され酸化反応を終える。つまり、酸化鉄(II)を構成する半数の2価の鉄イオンFe2+が、3価の鉄イオンFe3+になってFeになり、組成式がFeO・FeのマグネタイトFeになる。さらに昇温すると、マグネタイトFeO・Feを構成するFeOにおける2価の鉄イオンFe2+が3価の鉄イオンFe3+に酸化し、この温度に一定時間放置すると、2価の鉄イオンFe2+がすべて3価の鉄イオンFe3+になり、酸化鉄(III)Feを形成して酸化反応を終える。この酸化鉄(III)Feは、マグネタイトFeと同様の立方晶系の結晶構造を形成し、酸化鉄(III)のγ相であるマグヘマイトγ−Feになる。
このようなカルボン酸鉄を発泡金属からなる容器に吸着させ、容器の表面でカルボン酸鉄を熱分解させると、10nm〜100nmの大きさの幅に収まる粒状の酸化鉄(II)の微粒子が容器の表面に一斉に析出する。さらに昇温すると、酸化鉄(II)がマグネタイトないしはマグヘマイトに酸化され、容器の表面全体にマグネタイトないしはマグヘマイトの粒状微粒子の集まりが磁気吸着する。これによって、発泡金属を構成する金属ないしは合金の粒状微粒子は、マグネタイトないしはマグヘマイトの粒状微粒子によって保護される。
さらに、前記したカルボン酸鉄は、いずれも容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機鉄化合物と反応させると、カルボン酸鉄が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であるため、大気雰囲気においては350℃程度の比較的低い熱処理温度で酸化鉄(II)が析出する。従って、安価な原料を容器の表面に吸着させ、この容器を熱処理するだけで、容器の表面全体が強磁性の酸化物の粒状微粒子で満遍なく覆われる。この結果、耐熱性が高く、腐食性液を充填できる極めて軽量な容器が安価に製造できる。
発泡金属からなる容器を製造する第一の製造方法は、2種類の金属微粒子の集まりで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、熱分解温度が異なる第一と第二とのカルボン酸金属化合物とからなる2種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散する第一の工程と、該分散液に前記2種類のカルボン酸金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合物を作成する第二の工程と、該混合物を第一の容器に充填する第三の工程と、該第一の容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記2種類のカルボン酸金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する第五の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第六の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第二のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第七の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記有機化合物の気化点を超える温度にさらす第八の工程とからなる8つの工程を連続して実施することで、2種類の金属微粒子で構成された発泡金属からなる容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第一の製造方法。
つまり、本特徴手段によれば、8つの工程を連続して実施することで、2種類の金属微粒子で構成された発泡金属からなる容器が、第二の容器内に製造される。第一の工程は、2種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散するだけの工程である。第二の工程は、カルボン酸金属化合物の分散液に、有機化合物の粉体の集まりを投入し、分散液に粉体が混合された混合物を作成するだけの工程である。第三の工程は、混合物を容器に充填するだけの工程である。第四の工程は、容器を有機溶剤の沸点にさらすだけの工程である。第五の工程は、2種類の有機金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを、容器に充填するだけの工程である。第六の工程は、容器を第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらすだけの工程である。第七の工程は、容器を第二のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらすだけの工程である。第八の工程は、容器を有機化合物の沸点を超える温度にさらすだけの工程である。いずれの工程も極めて簡単な処理であり、また、大気雰囲気での熱処理は第八工程で最高の400℃程度である。こうした簡単な処理を連続して実施することで、発泡金属からなる容器が安価に製造できる。
発泡金属からなる容器を製造する第二の製造方法は、金属微粒子と合金微粒子との集まりで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、第一のカルボン酸金属化合物と同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物とからなる複数種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散する第一の工程と、該分散液に前記複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体の集まりからなる混合物を作成する第二の工程と、該混合物を第一の容器に充填する第三の工程と、該容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する第五の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第六の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第七の工程と、該第二の容器を前記有機化合物の気化点を超える温度にさらす第八の工程とからなる8つの工程を連続して実施することで、金属微粒子と合金微粒子とで構成された発泡金属からなる容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第二の製造方法。
つまり、本特徴手段によれば、8つの工程を連続して実施することで、金属微粒子と合金微粒子とで構成された発泡金属からなる容器が、第二の容器内に製造される。第一の工程は、複数種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散するだけの工程である。第二の工程は、カルボン酸金属化合物の分散液に、有機化合物の粉体の集まりを投入し、分散液に粉体が混合された混合物を作成するだけの工程である。第三の工程は、混合物を容器に充填するだけの工程である。第四の工程は、容器を有機溶剤の沸点にさらすだけの工程である。第五の工程は、複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを、容器に充填するだけの工程である。第六の工程は、容器を第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらすだけの工程である。第七の工程は、容器を同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらすだけの工程である。第八の工程は、容器を有機化合物の沸点を超える温度にさらすだけの工程である。いずれの工程も極めて簡単な処理であり、また、大気雰囲気での熱処理は第八工程で最高の400℃程度である。こうした簡単な処理を連続して実施することで、発泡金属からなる容器が安価に製造できる。
発泡金属からなる容器を製造する第三の製造方法は、発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の集まりが磁気吸着した容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を有機溶剤に分散した分散液を作成する第一の工程と、該分散液を容器に充填する第二の工程と、20段落ないしは22段落で記載した発泡金属からなる容器を製造する製造方法で製造した発泡金属からなる容器の集まりを、前記分散液に浸漬する第三の工程と、前記容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記容器を大気雰囲気で前記有機金属化合物が熱分解する温度にさらす第五の工程と、前記容器を磁性を有する金属酸化物が生成される温度にさらす第六の工程とからなる6つの工程を連続して実施することで、発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の集まりが磁気吸着した容器を製造することを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第三の製造方法。
つまり、本特徴手段によれば、5つの工程を連続して実施することで、発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の集まりが磁気吸着した容器が製造される。第一の工程は、熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を有機溶剤に分散するだけの工程である。第二の工程は、分散液を容器に充填するだけの工程である。第三の工程は、20段落ないしは22段落で記載した発泡金属からなる容器を製造する製造方法で製造した発泡金属からなる容器の集まりを、前記分散液に浸漬するだけの工程である。第四の工程は、容器を有機溶剤の沸点にさらすだけの工程である。第五の工程は、容器を大気雰囲気で前記有機金属化合物が熱分解する温度にさらすだけの工程である。第六の工程は、容器を磁性を有する金属酸化物が生成される温度にさらすだけの工程である。いずれの工程も極めて簡単な処理であり、また、大気雰囲気での熱処理は第六工程で最高の400℃程度である。こうした簡単な処理を連続して実施することで、発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の集まりが磁気吸着するため、磁性を有する金属酸化物で表面が保護された発泡金属からなる容器が安価に製造できる。
鉄微粒子とアルミニウム微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 鉄微粒子と銅微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 鉄微粒子とニッケル−銅−鉄の三元合金の微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 鉄微粒子とニッケル−クロム−鉄の三元合金の微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 鉄微粒子と鉄−ニッケル−コバルトの三元合金の微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 鉄微粒子とニッケル−鉄の二元合金の微粒子とで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造工程を説明する図である。 実施例1の発泡金属からなる容器の表面に、マグネタイト微粒子の集まりが磁気吸着した容器を製造する製造工程を説明する図である。 実施例1の発泡金属からなる容器の表面に、マグヘマイト微粒子の集まりが磁気吸着した容器を製造する製造工程を説明する図である。
実施形態1
本実施形態は、有機化合物の粉体の表面に多層構造を形成する金属の粒状微粒子の原料に係わる実施形態である。金属の粒状微粒子を析出する原料は、有機化合物の粉体の表面で金属の粒状微粒子に変化する化学反応が進まなければならない。
ここで、鉄微粒子が析出する有機鉄化合物を具体例として説明する。有機鉄化合物から鉄微粒子が生成される化学反応が、有機化合物の粉体の表面で起こる必要がある。有機鉄化合物から鉄が生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、有機鉄化合物を昇温するだけで、有機鉄化合物が熱分解して鉄が析出する。さらに、有機鉄化合物の合成が容易でれば、有機鉄化合物を安価に製造できる。こうした性質を兼ね備える有機鉄化合物にカルボン酸鉄がある。つまり、カルボン酸鉄を構成するイオンの中で、最も大きいイオンは鉄イオンである。従って、カルボン酸鉄におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、鉄イオンと共有結合すれば、鉄イオンと酸素イオンとの距離が、イオン同士の結合距離の中で最も長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸鉄を昇温させると、カルボン酸鉄を構成するカルボン酸の沸点において、カルボン酸と鉄とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に鉄が析出して熱分解反応を終える。また、カルボン酸鉄は合成が容易で、安価な有機鉄化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。このカルボン酸アルカリ金属化合物を、硫酸鉄などの無機鉄化合物と反応させると、カルボン酸鉄が生成される。なお、カルボン酸が不飽和脂肪酸であれば、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸鉄が熱分解すると、複数種類の鉄の酸化物からなるナノ粒子が析出する。以下に、カルボン酸鉄の実施形態を説明する。なお、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子となって鉄イオンに近づき、酸素イオンが鉄イオンに配位結合するカルボン酸鉄は、鉄イオンと酸素イオンとの距離が短くなるため、熱分解によって酸化鉄を生成する。
カルボン酸鉄の組成式は、RCOO‐Fe‐COORで表わせられる。Rは炭化水素で、組成式はCである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸鉄を構成するイオンの中で、組成式の中央に存在する鉄イオンFe2+が最も大きいイオンになる。従って、鉄イオンFe2+とカルボキシル基を構成する酸素イオンOとが共有結合する場合は、鉄イオンFe2+と酸素イオンOとの距離が最大になる。この理由は、鉄イオンFe2+の共有結合半径は116pmであり、酸素イオンOの共有結合半径は63pmであり、炭素原子の共有結合半径は75pmであり、酸素原子の共有結合半径は57pmであることによる。このため、鉄イオンと酸素イオンとが共有結合するカルボン酸鉄は、カルボン酸の沸点において、結合距離が最も長い鉄イオンと酸素イオンとの結合部が最初に切断され、鉄とカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に鉄が析出して熱分解反応を終える。こうしたカルボン酸鉄として、オクチル酸鉄(2−エチルヘキサン酸鉄ともいう)、ラウリン酸鉄(ドデカン酸鉄ともいう)、ステアリン酸鉄(オクタデカン酸鉄ともいう)などがある。
さらに、飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸鉄について、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸鉄は低い温度で熱分解し、鉄の析出に関わる熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高くなる。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。従って、分子量が相対的に小さい飽和脂肪酸からなるカルボン酸鉄は、熱分解温度が相対的に低くなるので、鉄の粒状微粒子の原料として望ましい。
また、飽和脂肪酸が分岐鎖構造からなる場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点がさらに低くなる。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸鉄は、さらに低い温度で熱分解する。また、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸鉄も極性を持ち、アルコールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸はCH(CHCH(C)COOHの構造式で示され、CHでCH(CHとCとのアルカンに分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃であり、前記したラウリン酸より沸点が68℃低い。従って、鉄の粒状微粒子の原料として、オクチル酸鉄が望ましい。
以上に説明したように、金属微粒子の原料は、有機溶剤に分散する有機金属化合物の中で、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンと共有結合するカルボン酸金属化合物が望ましい。さらに、飽和脂肪酸からなるカルボン酸で構成されるカルボン酸金属化合物が望ましい。さらに、直鎖が短い飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物が望ましい。さらに、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるオクチル酸金属化合物が望ましい。
なお、オクチル酸鉄は商品化されていないため、次の製法で新たに合成した。組成式がC15COOHで表されるオクチル酸(協和発酵ケミカル株式会社の製品)を水酸化ナトリウムNaOH(試薬一級品)の水溶液と反応させると、オクチル酸のカルボキシル基COOHを構成する水素が電離し、電離したカルボキシル基にナトリウムが結合し、C15COONaの組成式で表されるオクチル酸ナトリウムが析出する。このオクチル酸ナトリウムを水洗して、オクチル酸ナトリウムを精製する。次に、オクチル酸ナトリウムを硫酸鉄FeSO(試薬一級品)の水溶液と反応させると、組成式がC15COO‐Fe‐C15COOで表されるオクチル酸鉄が析出する。析出したオクチル酸鉄を水洗して、オクチル酸鉄を精製する。合成したオクチル酸鉄は、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了して鉄が析出し、メタノールやn‐ブタノールなどに10重量%まで分散する。
いっぽう、発泡金属からなる容器を製造するにあたり、2種類のカルボン酸金属化合物を原料として用いるため、第二の金属の粒状微粒子の原料である第二のカルボン酸金属化合物は、第一の金属の粒状微粒子の原料である第一のカルボン酸金属化合物より、熱分解温度が高いことが必要になる。従って、長鎖飽和脂肪酸と金属からなるラウリン酸金属化合物は、第二のカルボン酸金属化合物として用いることができる。
さらに、合金の粒状微粒子を析出する原料として、同一の飽和脂肪酸から構成される複数種類のカルボン酸金属化合物を用いることができる。つまり、複数種類のカルボン酸金属化合物が、同一の飽和脂肪酸から構成されるため、飽和脂肪酸の沸点で複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に熱分解し、飽和脂肪酸の気化が完了した後に、各々のカルボン酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。この金属は不純物を持たない活性状態にあり、析出した複数種類の金属の比率を組成割合とする合金が生成され、同一の飽和脂肪酸から構成される複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解反応を終える。
実施形態2
本実施形態は、発泡金属からなる容器の表面を、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子で覆う粒状微粒子を析出する原料に係わる実施形態である。以下の説明では、磁性を有する鉄の酸化物を析出する原料を説明する。
熱処理で磁性を有する鉄の酸化物を析出する原料を、発泡金属からなる容器の表面に吸着させるため、原料は液相化できる有機鉄化合物が望ましい。さらに、有機鉄化合物は、熱分解によって酸化鉄(II)FeOを析出することが必要になる。つまり、酸化鉄(II)を大気中で昇温すると、酸化鉄(II)を構成する2価の鉄イオンFe2+の一部が酸化して三価の鉄イオンFe3+になり、FeO・Feの組成式で表さられるマグネタイトFeになる。このマグネタイトFeは、強磁性で導電性の酸化物である。さらに大気中で昇温すると、2価の鉄イオンFe2+の全てが酸化されて三価の鉄イオンFe3+になり、酸化鉄(III)Feのγ相であるマグヘマイトγ‐Feになる。このマグヘマイトγ‐Feは、強磁性で絶縁性の酸化物でありる。なお、有機鉄化合物を構成する物質の中で、最も大きい共有結合半径を持つイオンは鉄イオンFe2+である。いっぽう、鉄イオンFe2+とカルボキシル基を構成する酸素イオンOとが共有結合するカルボン酸鉄は、鉄イオンと酸素イオンとの距離が最大になるため、27段落で説明したように熱分解によって鉄を析出する。従って、熱分解によって酸化鉄(II)を析出する有機鉄化合物は、鉄イオンFe2+と結合する酸素イオンOとの距離が短く、酸素イオンOが鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する距離が長い分子構造上の特徴を持つ必要がある。つまり、有機鉄化合物の熱分解が始まると、酸素イオンOが鉄イオンFe2+の反対側で結合するイオンと結合する部位が最初に切れ、鉄イオンと酸素イオンとが結合した酸化鉄(II)と有機酸とに分解する。このような分子構造上の特徴を持つ有機鉄化合物として、カルボキシル基を構成する酸素イオンOが配位子になって鉄イオンFe2+に近づいて配位結合するカルボン酸鉄がある。
また、有機金属化合物の中でカルボン酸金属化合物は、27段落で説明したように合成が容易で、有機酸の沸点が低いため熱分解温度が低い。このため、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、配位子となって金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物は、安価な化学薬品であり、熱処理費用も安価で済む。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などが挙げられる。なお、カルボン酸鉄においては、酢酸鉄とカプリル酸鉄と安息香酸鉄とは、酸素イオンが鉄イオンに近づいて配位結合して、複核錯塩を形成するが、熱分解の途上においては不安定な物質であるため、ナフテン酸鉄に比べると取り扱いが難しい。従って、酸化鉄(II)を析出するカルボン酸鉄としてはナフテン酸鉄がよい。さらに、ナフテン酸鉄はn−ブタノールに対して10重量%近くまで分散する。
以上に説明したように、熱分解によって磁性を有する金属酸化物を析出する原材料は、酢酸鉄、カプリル酸鉄、安息香酸鉄、ナフテン酸鉄などのカルボン酸鉄化合物が望ましく、この中で、ナフテン酸鉄は取り扱いが容易なカルボン酸鉄化合物である。
本実施例は、鉄微粒子とアルミニウム微粒子との集まりで空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物としてテレフタル酸(市販品、例えば株式会社日立プラントテクノロジーの製品)を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、実施形態1に準じてオクチル酸鉄を合成した。さらに、アルミニウム微粒子の原料は、ラウリン酸アルミニウム(市販品、例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用意した。
図1に発泡金属からなる容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸アルミニウムの30モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S10工程)。この分散液に、テレフタル酸の微粉1kgを加えて撹拌する(S11工程)。この混合物を容器に充填する(S12工程)。次に、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S13工程)。さらに、オクチル酸鉄とラウリン酸アルミニウムが吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S14工程)。2重同心円筒の外側の円筒の内径が20cmで、内側の円筒の外径が19cmであり、2つの円筒の隙間は5mmである。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S15工程)。さらに、容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、ラウリン酸アルミニウムを熱分解する(Sl6工程)。次に、容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S17工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、容器内に製作された発泡金属からなる容器を取り出す(S18工程)。製作された容器は、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を電子顕微鏡で観察した。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は100Vからの極低加速電圧による観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料が観察できる特徴を有する。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層に近い厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側にアルミニウム原子が3倍近い厚みで存在することが確認できた。
以上に説明した試料の観察結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりによって充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、アルミニウム微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔はアルミニウム微粒子で結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の開口率は約82%で、容器の密度は0.704g/cmになり、密度が1.12g/cmの6ナイロンからなる容器の63%程度の重量になる。
この発泡金属からなる円筒容器は、アルミニウムの性質が優勢になる。アルミニウムは銀、銅、金に次いで熱伝導性と電気導電性に優れるため、容器は、優れた熱伝導性と電気導電性とを兼備し、重量が合成樹脂の容器の半分程度で、耐熱性がアルミニウムの融点である660℃に近い性質を持つ。
本実施例は、鉄微粒子と銅微粒子との集まりで空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物として実施例1と同様にテレフタル酸を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、実施例1と同様にオクチル酸鉄を合成した。さらに、銅微粒子の原料は、ラウリン酸銅(市販品、例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用意した。
図2に容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸銅の30モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S20工程)。この分散液に、テレフタル酸の微粉1kgを加えて混合する(S21工程)。この混合液を容器に充填する(S22工程)。次に、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S23工程)。さらに、オクチル酸鉄とラウリン酸銅が吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、実施例1と同じ2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S24工程)。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S25工程)。さらに、容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、ラウリン酸銅を熱分解する(S26工程)。次に、容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S27工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、発泡金属からなる容器を取り出す(S28工程)。製作された容器は、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を実施例1と同様に電子顕微鏡によって観察した。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層に近い厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側に銅原子が3倍近い厚みで存在することが確認できた。
以上に説明した試料の分析結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりによって充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、銅微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔は銅微粒子で結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の発泡率は約82%で、容器の密度は6ナイロンの1.4倍である1.527g/cmになる。
この発泡金属からなる円筒容器は、銅の性質が優勢になる。銅は銀に次いで熱伝導性と電気導電性に優れるため、容器は、優れた熱伝導性と電気導電性とを兼備し、重量が合成樹脂の容器と同等で、耐熱性は銅の融点である1083℃に近い性質を持つ。
以上、実施例1および実施例2に、鉄微粒子の集まりを多層構造の第1層として形成し、その外側にアルミニウムあるいは銅の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成する2つの実施例を説明したが、第2層がアルミニウムや銅に限られることはない。ラウリン酸金属化合物もオクチル酸金属化合物と同様に、様々な金属からなるラウリン酸金属化合物が容易に合成できるので、様々な金属の微粒子によって多層構造の第2層が形成できる。このように、金属微粒子の原料が、合成が容易で安価なカルボン酸金属化合物であるため、様々な金属微粒子の組み合わせからなる発泡金属の容器が容易に製造でき、様々な性質を持つ発泡金属が安価に製造できる。また、容器の形状は実施例で示した円筒形状に限定されない。テレフタル酸が微粉であるため、微粉を容器の間隙に充填することは容易であり、これによって、様々な形状の容器が製造できる。さらに、発泡率は、テレフタル酸の微粉の大きさで如何様にも変えられ、この結果、容器の密度が変えられる。
本実施例は、鉄微粒子の集まりで多層構造の第1層を形成し、その外側にニッケルと銅と鉄とからなる三元合金の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成し、これらの多層構造で空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物として実施例1と同様にテレフタル酸を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、実施例1と同様にオクチル酸鉄を合成した。さらに、ニッケルの原料としてラウリン酸ニッケル(市販品、例えば、日油株式会社の製品)を用意し、銅の原料としてラウリン酸銅(市販品、例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用意し、鉄の原料としてラウリン酸鉄(市販品、例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用意した。
図3に容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸ニッケルの19.5モルとラウリン酸銅の9.9モルとラウリン酸鉄0.6モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S30工程)。この分散液に、テレフタル酸の微粉1kgを加えて混合する(S31工程)。この混合液を容器に充填する(S32工程)。次に、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S33工程)。さらに、オクチル酸鉄と3種類のラウリン酸金属化合物とが吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、実施例1と同じ2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S34工程)。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S35工程)。さらに、容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、3種類のラウリン酸金属化合物を熱分解する(S36工程)。次に、容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S37工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、発泡金属からなる容器を取り出す(S38工程)。製作された容器は、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を実施例1と同様に電子顕微鏡によって観察した。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層に近い厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側にニッケル原子と銅原子とわずかな鉄原子とが均一に分散し、層の厚みが鉄原子の集まりの3倍近い厚みで存在することが確認できた。また、ニッケル原子と銅原子と鉄原子とが存在する比率は、30対15対1に近い比率であったため、3種類のラウリン酸金属化合物のモル濃度の比率から、多層構造の外側は、ニッケルが65%、銅が33%、鉄が2%の三元合金で構成されていると考えられる。
以上に説明した試料の観察結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりで充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、合金の微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔は合金の微粒子によって結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の発泡率は約82%で、容器の密度は6ナイロンの1.5倍に近い1.636g/cmになる。
この発泡金属からなる円筒容器は、ニッケルと銅と鉄とからなる三元合金(モネル400と呼ばれる)の性質が優勢になる。このため、容器は塩水に対する耐食性があり、塩化物による応力腐食割れが発生せず、こうした腐食性物質を充填する容器になる。また、低温から550℃までの機械的特性に優れるため、480℃までの高温の腐食性物質を充填する容器に用いることができる。
本実施例は、鉄微粒子の集まりで多層構造の第1層として形成し、その外側にニッケルとクロムと鉄とからなる三元合金の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成し、これらの多層構造で空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物として実施例1と同様にテレフタル酸を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、実施例1と同様にオクチル酸鉄を合成した。さらに、ニッケルの原料としてラウリン酸ニッケル(市販品、例えば、日油株式会社の製品)を用意し、鉄の原料としてラウリン酸鉄(市販品、例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用意し、クロムの原料としてラウリン酸クロム(例えば、三津和化学薬品株式会社の試作品)を用意した。
図4に容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸ニッケルの21.9モルとラウリン酸クロムの5.1モルとラウリン酸鉄3モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S40工程)。この分散液にテレフタル酸の微粉1kgを加えて混合する(S41工程)。この混合液を容器に充填する(S42工程)。次に、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S43工程)。さらに、オクチル酸鉄と3種類のラウリン酸金属化合物とが吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、実施例1と同じ2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S44工程)。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S45工程)。さらに、容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、3種類のラウリン酸金属化合物を熱分解する(S46工程)。次に容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S47工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、容器内に製造された発泡金属からなる容器を取り出す。製作された容器は、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を実施例1と同様に電子顕微鏡によって観察した。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層に近い厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側にニッケル原子とクロム原子と鉄原子とが均一に分散し、層の厚みが鉄原子の集まりの3倍近い厚みで存在することが確認できた。また、ニッケル原子と銅原子と鉄原子とが存在する比率は、7対2対1に近い比率であったため、3種類のラウリン酸金属化合物のモル濃度の比率から、多層構造の外側は、ニッケルが73%、クロムが17%、鉄が10%の三元合金で構成されていると考えられる。
以上に説明した電子顕微鏡による試料の観察結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりで充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、合金の微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔は合金の微粒子で結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の発泡率は約82%で、容器の密度は6ナイロンの1.3倍に近い1.468g/cmになる。
この発泡金属からなる円筒容器は、ニッケルとクロムと鉄とからなる三元合金(インコネル600と呼ばれる)の性質が優勢になり、大気中で1100℃の耐熱性を持ち、水素ガスや一酸化炭素ガスの還元性ガス雰囲気では1150℃までの耐熱性を有し、亜硫酸ガスを含む大気中で815℃の耐熱性を持ち、硫化水素を含む還元性雰囲気では535℃の耐熱性を持ち、塩化水素に対しては540℃の耐熱性を持ち、塩化ガスに対して510℃の耐熱性を持つ。このため、高温の各種雰囲気での使用や、腐食性が強い各種液体の充填が可能になる。
本実施例は、鉄微粒子の集まりで多層構造の第1層を形成し、その外側に鉄とニッケルとコバルトとからなる三元合金の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成し、これらの多層構造で空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物として実施例1と同様にテレフタル酸を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、実施例1と同様にオクチル酸鉄を合成した。さらに、鉄の原料としてラウリン酸鉄(市販品、例えば三津和化学薬品株式会社の製品)を用意し、ニッケルの原料としてラウリン酸ニッケル(市販品、例えば、日油株式会社の製品)を用意し、コバルトの原料としてラウリン酸コバルト(例えば、三津和化学薬品株式会社の試作品)を用意した。
図5に容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸鉄の16.2モルとラウリン酸ニッケルの8.7モルとラウリン酸コバルト5.1モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S50工程)。この分散液に、テレフタル酸の微粉1kgを加えて混合する(S51工程)。この混合液を容器に充填する(S52工程)。容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S53工程)。さらに、オクチル酸鉄と3種類のラウリン酸金属化合物とが吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、実施例1と同じ2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S54工程)。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S55工程)。さらに、容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、3種類のラウリン酸金属化合物を同時に熱分解する(S56工程)。次に、容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S57工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、容器内に製作された容器を取り出す。製作された容器は、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を実施例1と同様に電子顕微鏡によって観察した。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層の厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側に鉄原子とニッケル原子とコバルト原子とが均一に分散し、層の厚みが鉄原子の集まりの3倍近い厚みで存在することが確認できた。また、鉄原子とニッケル原子とコバルト原子とが存在する比率は、3対2対1に近い比率であったため、3種類のラウリン酸金属化合物のモル濃度の比率から、多層構造の外側は、鉄が54%、ニッケルが29%、コバルトが17%の三元合金(コバールと呼ばれる)で構成されていると考えられる。
以上に説明した試料の観察結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりで充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、合金の微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔は合金の微粒子で結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の発泡率は約82%で、容器の密度は6ナイロンの1.3倍に近い1.446g/cmになる。
この発泡金属からなる円筒容器は、鉄とニッケルとコバルトとからなる三元合金の性質が優勢になる。この三元合金は、熱膨張係数が4.9〜5.3×10−6/Kと小さい。このような性質を生かす高温で使用する軽量な容器として用いられる。
本実施例は、鉄微粒子の集まりで多層構造の第1層を形成し、その外側に鉄とニッケルとからなる二元合金の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成し、これらの多層構造で空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例である。有機化合物として実施例1と同様にテレフタル酸を用い、平均粒径が25μmの粉体として微粉化した。また、鉄微粒子の原料は、オクチル酸鉄を合成した。さらに、鉄の原料としてラウリン酸鉄(市販品、例えば三津和化学薬品株式会社の製品)を用意し、ニッケルの原料としてラウリン酸ニッケル(市販品、例えば、日油株式会社の製品)を用意した。
図6に容器を製造する製造工程を示す。オクチル酸鉄の10モルとラウリン酸鉄の19.2モルとラウリン酸ニッケルの10.8モルとを、80リットルのn−ブタノールに分散する(S60工程)。この分散液に、テレフタル酸の微粉1kgを加えて混合する(S61工程)。この混合液を容器に充填する(S62工程)。容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S63工程)。さらに、オクチル酸鉄と2種類のラウリン酸金属化合物とが吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを、実施例1と同じ2重同心円筒からなる円筒の隙間に充填する(S64工程)。次に、容器を290℃の熱処理炉に1分間放置し、オクチル酸鉄を熱分解する(S65工程)。さらに容器を360℃の熱処理炉に1分間放置し、2種類のラウリン酸金属化合物鉄を同時に熱分解する(S66工程)。次に、容器を410℃の熱処理炉に2分間放置してテレフタル酸を昇華させ、昇華したテレフタル酸は回収機で回収する(S67工程)。最後に2重同心円筒の内側の円筒を外して、容器内に製作された発泡金属からなる容器を取り出す。製作された容器は、実施例1と同じ形状で、外径が20cmで内径が19cmで厚みが5mmで高さが16cmからなる円筒形状である。
次に、前記した条件で製作した容器を構成する発泡金属の観察と分析とを行なった。容器の一部を試料として切り出し、試料を実施例1と同様に電子顕微鏡によって観察した。最初に、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料表面の凹凸を観察した。40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状の微粒子が、試料の表面全体を覆っていることが分かった。また、試料の断面の観察から、空孔は直径が0.15mmの球に近い形状であり、空孔と空孔との間は、粒状微粒子が100層に近い厚みで多層構造を形成していることが分かった。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料の断面における粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。空孔の近傍は鉄原子の集まりで覆われ、鉄原子の層の外側に鉄原子とニッケル原子とが均一に分散し、層の厚みが鉄原子の集まりの3倍近い厚みで存在することが確認できた。また、鉄原子とニッケル原子とが存在する比率は、2対1に近い比率であったため、2種類のラウリン酸金属化合物のモル濃度の比率から、多層構造の外側は、鉄が64%、ニッケルが36%の二元合金(インバーと呼ばれる)で構成されていると考えられる。
以上に説明した試料の観察結果から、空孔と空孔との間は、40nm〜60nmの大きさの幅に入る粒状微粒子の集まりで充填され、鉄微粒子が25層前後の層をなして空孔を覆い、合金の微粒子は鉄微粒子の層の外側に3倍に近い層をなして鉄微粒子の層を覆い、空孔は合金の微粒子で結合されていることが確認できた。この結果、作成した発泡金属の発泡率は約82%で、容器の密度は6ナイロンの1.3倍に近い1.435g/cmになる。
この発泡金属からなる円筒容器は、鉄とニッケルとからなる二元合金の性質が優勢になる。この二元合金は、熱膨張係数が1.7〜2.0×10−6/Kと極めて小さい。このような性質を生かす高温で使用する軽量な容器として用いられる。
以上、実施例3〜6に、鉄微粒子の集まりで多層構造の第1層を形成し、その外側に三元合金ないしは二元合金の微粒子の集まりで多層構造の第2層を形成し、これらの多層構造で空孔の殻を構成し、この空孔の集まりからなる発泡金属で容器を製造する実施例を説明したが、第2層が実施例で示した三元合金ないしは二元合金に限られることはない。ラウリン酸金属化合物もオクチル酸金属化合物と同様に、様々な金属からなるラウリン酸金属化合物が容易に合成できるので、様々な金属を組成として持つ三元合金ないしは二元合金の微粒子によって多層構造の第2層が形成できる。このように、金属微粒子の原料が、合成が容易で安価なカルボン酸金属化合物であるため、様々な金属と様々な合金の組み合わせからなる発泡金属の容器が容易に製造でき、様々な性質を持つ発泡金属からなる容器が安価に製造できる。さらに、製造される容器の形状は、複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着したテレフタル酸の微粉の集まりを充填する容器の形状を反映する。テレフタル酸が微粉であるため、容器の間隙に微粉を充填することは容易であり、様々な形状を有する発泡金属からなる容器が製造できる。さらに、容器を構成する発泡金属の発泡率は、テレフタル酸の微粉の大きさで如何様にも変えられ、この結果、容器の密度が変えられる。
本実施例は、実施例1に基づいて製作した容器の表面に、マグネタイト微粒子の集まりを析出させ、マグネタイト微粒子を容器の表面に満遍なく磁気吸着させた実施例である。マグネタイトの原料となるナフテン酸鉄(II)Fe(CCOO)は、金属石鹸として市販されているナフテン酸鉄(II)(例えば、東栄化工株式会社の製品)を用いた。
図7に容器を製造する製造工程を示す。最初に、実施例1に基づいて発泡金属からなる容器を製作する(S70工程)。次に、ナフテン酸鉄(II)の0.1モルを、10リットルのn−ブタノールに分散する(S71工程)。この分散液を容器に充填し、発泡金属からなる容器の集まりを分散液に浸漬する(S72工程)。さらに、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S73工程)。次に、容器を熱処理炉に入れ、熱処理炉の温度を10℃/min.の昇温速度で300℃まで昇温し、さらに300℃に10分間放置して、ナフテン酸鉄(II)をナフテン酸と酸化鉄(II)FeOに熱分解する(S74工程)。熱分解によって生成されたナフテン酸は気化し、気化したナフテン酸は回収機で回収した。この後、300℃から1℃/min.の昇温速度で350℃まで昇温し、350℃に30分間放置して、熱分解で生成された酸化鉄(II)FeOをマグネタイトFeに酸化させた(S75工程)。最後に、容器から発泡金属からなる容器の集まりを取り出す(S76工程)。
次に、前記した条件で製作した容器の一部を試料として取り出し、試料の観察を行ない、目的とするマグネタイト微粒子が確実に容器の表面に満遍なく磁気吸着されているかを観察した。試料表面は電子顕微鏡で観察した。反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い試料表面の凹凸を観察した。試料には、極めて多数の40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が、試料の表面全体に満遍なく形成されていることが確認できた。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料表面に吸着した粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。鉄原子、酸素原子の双方が表面に均一に存在し、特段に偏在する箇所が見られなかったため、酸化鉄からなる粒状微粒子であることが確認できた。さらに極低加速電圧SEMの機能にEBSP解析機能を付加し、結晶構造の解析を行なった。この結果から、試料表面に形成された粒状微粒子がマグネタイトFeであることが確認できた。なお、EBSP解析機能とは、試料に電子線を照射したとき、反射電子が試料中の原子面によって回折されることによってバンド状のパターンを形成し、このバンドの対称性が結晶系に対応し、バンドの間隔が原子面間隔に対応するため、このパターンを解析することで、結晶方位や結晶系が測定できる。
以上に説明した試料の観察結果から、容器の表面全体にマグネタイトの粒状微粒子が磁気吸着している事実が確認できた。この結果から、前記で説明した条件でナフテン酸鉄(II)を大気中で熱処理することで、容器の表面にマグネタイト微粒子が満遍なく磁気吸着する。容器の表面がマグネタイト微粒子で覆われるため、マグネタイトの性質に基づき、容器の耐食性が向上する。
本実施例は、実施例1に基づいて製作した容器の表面に、マグヘマイト微粒子の集まりを析出させ、マグヘマイト微粒子を容器の表面に満遍なく磁気吸着させた実施例である。マグヘマイトの原料は、実施例7と同じナフテン酸鉄(II)Fe(CCOO)を用いた。
図8に容器を製造する製造工程を示す。最初に、実施例1に基づいて発泡金属からなる容器を製作する(S80工程)。次に、ナフテン酸鉄(II)の0.1モルを、10リットルのn−ブタノールに分散する(S81工程)。この分散液を容器に充填し、発泡金属からなる容器の集まりを分散液に浸漬する(S82工程)。さらに、容器を120℃の熱処理炉に入れてn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールは回収機で回収する(S83工程)。次に、容器を熱処理炉に入れ、熱処理炉の温度を10℃/min.の昇温速度で300℃まで昇温し、さらに300℃に10分間放置して、ナフテン酸鉄(II)をナフテン酸と酸化鉄(II)に熱分解した(S84工程)。熱分解によって生成されたナフテン酸は気化し、気化したナフテン酸は回収機で回収した。この後、熱処理炉を300℃から1℃/min.の昇温速度で400℃まで昇温し、さらに400℃に30分間放置して、熱分解で生成された酸化鉄(II)FeOをマグヘマイトγ−Feに酸化させた(S85工程)。最後に、容器から発泡金属の容器の集まりを取り出す。
次に、前記した条件で製作した容器の一部を試料として取り出し、試料の観察を行ない、目的とするマグヘマイト微粒子が確実に容器の表面に満遍なく磁気吸着されているかを、電子顕微鏡で観察した。反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い試料表面の凹凸を観察した。試料には、極めて多数の40nm〜60nmの大きさからなる粒状の微粒子が、試料の表面全体に満遍なく形成されていることが確認できた。次に、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、試料表面に吸着した粒状微粒子を構成する元素の種類とその分布状態を分析した。鉄原子と酸素原子の双方が表面に均一に存在し、特段に偏在する箇所が見られなかったため、酸化鉄からなる粒状微粒子であることが確認できた。さらに極低加速電圧SEMの機能にEBSP解析機能を付加し、結晶構造の解析を行なった。この結果から、試料表面に形成された粒状微粒子がマグヘマイトγ−Feであることが確認できた。
以上に説明した試料の観察結果から、容器の表面全体にマグヘマイトの粒状微粒子が満遍なく磁気吸着している事実が確認できた。この結果から、前記で説明した条件でナフテン酸鉄(II)を大気中で熱処理することで、容器の表面にマグヘマイト微粒子が満遍なく磁気吸着する。容器の表面がマグヘマイト微粒子で覆われるため、マグヘマイトの性質に基づき、容器の耐食性が増大する。
以上、実施例7および8に、実施例1に基づいて製造した容器の表面を、鉄の酸化物で強磁性の性質を持つマグネタイトないしはマグヘマイトからなる微粒子で覆う実施例を示した。鉄の酸化物からなる微粒子で覆う容器は、実施例1に限られることはない。実施例2から6の容器も強磁性の性質を持つため、鉄の酸化物からなる微粒子の集まりを磁気吸着させることができ、これによって、容器の耐食性が向上する。

Claims (9)

  1. 発泡金属からなる容器を製造することにおいて、
    熱分解温度が異なる第一の有機金属化合物と第二の有機金属化合物とからなる2種類の有機金属化合物を有機溶剤に分散し、該分散液に前記2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合物を作成し、該混合物を第一の容器に充填する、さらに、該第一の容器を前記有機溶剤の沸点にさらして前記有機溶剤を気化し、前記有機化合物の粉体に前記2種類の有機金属化合物を吸着させる、さらに、該有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する、さらに、該第二の容器を前記第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第一の有機金属化合物の熱分解で磁性を有する第一の金属の粒状微粒子の集まりを、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に析出させる、この際、該第一の金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面を、該粒状微粒子の集まりからなる第一の多層構造を形成して覆う、とともに、該粒状微粒子が発する磁気で前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が互いに接近する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記第二の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第二の有機金属化合物の熱分解で第二の金属の粒状微粒子の集まりを、前記第一の多層構造の表面に析出させる、この際、該第二の金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記第一の多層構造の表面を粒状微粒子の集まりからなる第二の多層構造を形成して覆う、とともに、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が前記第二の金属の粒状微粒子に結合する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記有機化合物の気化点を超える温度にさらし、該有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の気化によって該粉体の体積が爆発的に膨張する、この際、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造とを形成する金属の粒状微粒子同士の結合部の一部が破壊して前記有機化合物の気体が発散し、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が空孔になる、これによって、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造が前記空孔の殻を構成し、かつ、前記空孔が前記第二の金属の粒状微粒子に結合した空孔の集まりからなる発泡金属で構成された容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする発泡金属からなる容器の製造。
  2. 請求項1における第二の粒状微粒子を、合金の粒状微粒子で構成する発泡金属からなる容器の製造に関わり、該発泡金属からなる容器の製造は、第一の有機金属化合物と同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物とからなる複数種類の有機金属化合物を有機溶剤に分散し、該分散液に前記複数種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合物を作成し、該混合物を第一の容器に充填する、さらに、該容器を前記有機溶剤の沸点にさらして前記有機溶剤を気化し、前記有機化合物の粉体に前記複数種類の有機金属化合物を吸着させる、さらに、該有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する、さらに、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該第一の有機金属化合物の熱分解で磁性を有する金属の粒状微粒子の集まりを、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面に析出させる、この際、該金属の粒状微粒子同士が金属結合して、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の表面を第一の多層構造を形成して覆う、とともに、該金属の粒状微粒子が発する磁気で前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が互いに接近する、さらに、前記第二の容器を大気雰囲気で前記同一の有機酸からなる複数種類の有機金属化合物が熱分解する温度にさらし、該複数種類の有機金属化合物の熱分解で各々の有機金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出し、該析出した複数種類の金属の比率に応じた組成割合からなる合金の粒状微粒子の集まりが前記第一の多層構造の表面に析出する、この際、該合金の粒状微粒子同士が金属結合して、前記第一の多層構造の表面を第二の多層構造を形成して覆う、とともに、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が前記合金の粒状微粒子に結合する、さらに、前記第二の容器を前記有機化合物の気化点を超える温度にさらし、該有機化合物の粉体ないしは融解した粉体の気化によって該粉体の体積が爆発的に膨張する、この際、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造とを形成する粒状微粒子同士の結合部の一部が破壊して前記有機化合物の気体が発散し、前記有機化合物の粉体ないしは融解した粉体が空孔になる、これによって、前記第一の多層構造と前記第二の多層構造が前記空孔の殻を構成し、かつ、前記空孔が前記合金の粒状微粒子に結合した空孔の集まりからなる発泡金属で構成された容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、請求項1における第二の粒状微粒子を、合金の粒状微粒子で構成する発泡金属からなる容器の製造。
  3. 請求項1に記載した2種類の有機金属化合物、および、請求項2に記載した複数種類の有機金属化合物のいずれの有機金属化合物は、カルボン酸金属化合物であって、該カルボン酸金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合で結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とを有するカルボン酸金属化合物であって、該カルボン酸金属化合物は大気雰囲気での熱分解で金属を析出するカルボン酸金属化合物であることを特徴とする、請求項1に記載した2種類の有機金属化合物、および、請求項2に記載した複数種類の有機金属化合物のいずれの有機金属化合物。
  4. 請求項1に記載した2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物、および、請求項2に記載した複数種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物のいずれの有機化合物は、飽和脂肪酸ないしは芳香族カルボン酸ないしは多環芳香族炭化水素からなるいずれかの有機化合物であって、該有機化合物からなる粉体ないしは融解した粉体が気化することで該粉体が、請求項1および請求項2に記載した空孔を形成する有機化合物であることを特徴とする、請求項1に記載した2種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物、および、請求項2に記載した複数種類の有機金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物のいずれの有機化合物。
  5. 請求項1ないしは請求項2に記載した方法で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子の集まりが磁気吸着した発泡金属からなる容器の製造に関わり、該発泡金属からなる容器の製造は、大気雰囲気での熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を有機溶剤に分散させ、該分散液を容器に充填する、さらに、請求項1ないしは請求項2に記載した方法で製造した発泡金属からなる容器の集まりを前記分散液に浸漬する、さらに、前記容器を前記有機溶剤の気化点にさらし、前記発泡金属からなる容器に前記有機金属化合物を吸着させる、さらに、前記容器を大気雰囲気で前記有機金属化合物が熱分解する温度にさらす、この際、前記有機金属化合物が熱分解されて金属酸化物の粒状微粒子の集まりが前記発泡金属からなる容器の表面に析出する、さらに、前記容器を大気雰囲気で前記金属酸化物が磁性を有する金属酸化物に酸化される温度にさらす、これによって、前記発泡金属からなる容器の表面に、前記磁性を有する金属酸化物の粒状粒子の集まりが磁気吸着した容器の集まりが製造されることを特徴とする、請求項1ないしは請求項2に記載した方法で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の粒状微粒子の集まりが磁気吸着した発泡金属からなる容器の製造。
  6. 請求項5に記載した大気雰囲気での熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが鉄イオンに配位結合するカルボン酸鉄化合物であって、該カルボン酸鉄化合物は大気雰囲気での熱分解で酸化鉄(II)を析出する、さらに、該酸化鉄(II)を酸化させると、マグネタイトないしはマグヘマイトからなる磁性を有する金属酸化物が生成されることを特徴とする、請求項5に記載した大気雰囲気での熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物。
  7. 発泡金属からなる容器を製造する第一の製造方法は、2種類の金属微粒子の集まりで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、熱分解温度が異なる第一のカルボン酸金属化合物と第二のカルボン酸金属化合物とからなる2種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散する第一の工程と、該分散液に前記2種類のカルボン酸金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体とからなる混合物を作成する第二の工程と、該混合物を第一の容器に充填する第三の工程と、該第一の容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記2種類のカルボン酸金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する第五の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第六の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第二のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第七の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記有機化合物の気化点を超える温度にさらす第八の工程とからなる8つの工程を連続して実施することで、2種類の金属微粒子の集まりで構成された発泡金属からなる容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第一の製造方法。
  8. 発泡金属からなる容器を製造する第二の製造方法は、金属微粒子と合金微粒子との集まりで構成された発泡金属からなる容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、第一のカルボン酸金属化合物と同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物とからなる複数種類のカルボン酸金属化合物を有機溶剤に分散する第一の工程と、該分散液に前記複数種類のカルボン酸金属化合物の熱分解温度より高い気化点を持つ有機化合物の粉体の集まりを投入し、前記分散液と前記有機化合物の粉体の集まりからなる混合物を作成する第二の工程と、該混合物を第一の容器に充填する第三の工程と、該容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記複数種類のカルボン酸金属化合物が吸着した有機化合物の粉体の集まりを第二の容器に充填する第五の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記第一のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第六の工程と、該第二の容器を大気雰囲気で前記同一のカルボン酸からなる複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解する温度にさらす第七の工程と、該第二の容器を前記有機化合物の気化点を超える温度にさらす第八の工程とからなる8つの工程を連続して実施することで、金属微粒子と合金微粒子とで構成された発泡金属からなる容器が、前記第二の容器内に該容器の形状を反映した容器として製造されることを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第二の製造方法。
  9. 発泡金属からなる容器を製造する第三の製造方法は、請求項7ないしは請求項8に記載した製造方法で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の微粒子の集まりが磁気吸着した容器を製造する製造方法であって、該発泡金属からなる容器の製造方法は、熱処理で磁性を有する金属酸化物を生成する有機金属化合物を有機溶剤に分散する第一の工程と、該分散液を容器に充填する第二の工程と、請求項7ないしは請求項8に記載した製造方法で製造した発泡金属からなる容器の集まりを、前記分散液に浸漬する第三の工程と、前記容器を前記有機溶剤の沸点にさらす第四の工程と、前記容器を大気雰囲気で前記有機金属化合物が熱分解する温度にさらす第五の工程と、前記容器を磁性を有する金属酸化物が生成される温度にさらす第六の工程とからなる6つの工程を連続して実施することで、請求項7ないしは請求項8に記載した製造方法で製造した発泡金属からなる容器の表面に、磁性を有する金属酸化物の微粒子の集まりが磁気吸着した容器を製造することを特徴とする、発泡金属からなる容器を製造する第三の製造方法。
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