JP2015034126A - 多孔質酸化チタン積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化チタン微粒子と、(メタ)アクリル樹脂と、加熱消失性樹脂微粒子と、有機溶媒とを含有する酸化チタンペーストを調製する工程、前記酸化チタンペーストを樹脂基材上に印刷し、該樹脂基材上に酸化チタンペースト層を形成する工程、前記酸化チタンペースト層を焼成する工程、及び、前記焼成後の酸化チタンペースト層に積算光量が100〜1000J/cm2の紫外線を照射する工程を有する多孔質酸化チタン積層体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
従来、実用化されてきたのは、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi等に代表されるシリコン系太陽電池であるが、高価であることや原料Siの不足問題等が表面化するにつれて、次世代太陽電池への要求が高まりつつある。
以下に本発明を詳述する。
なかでも、アルキル(メタ)アクリレートからなる重合体が好ましく、上記アルキル(メタ)アクリレートを構成するアルキル基としては、炭素数が1〜20であるものが好ましい。このような(メタ)アクリル樹脂を用いることで、得られる酸化チタンペーストは、優れた印刷性と熱分解性を両立することができる。
なお、上記(メタ)アクリル樹脂は、上記酸化チタン微粒子よりも少ない含有量であることが好ましい。上記(メタ)アクリル樹脂が、上記酸化チタン微粒子よりも多くなると、加熱後の(メタ)アクリル樹脂残留量が多くなることがある。
ポリ(メタ)アクリレート樹脂等上記酸素原子を含む樹脂は、所定熱が加えられると、燃焼反応を伴って分解消滅し、優れた加熱消滅性を発揮する。
また、上記ポリオキシアルキレン樹脂は、所定の温度に加熱することにより、低分子量の炭化水素、エーテル等に分解された後、燃焼反応や蒸発等の相変化によって消滅し、極めて優れた加熱消滅性を発揮する。
上記架橋性モノマーを含有することによって、上記加熱消失性樹脂微粒子の圧縮強度を向上させることができる。また、上記架橋性モノマーを含有することによって、加熱消失性樹脂微粒子を溶剤に膨潤しないものとすることができる。
上記架橋性モノマーとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性モノマーや、ジビニルベンゼン、後述する官能基を2個以上もつマクロモノマー等が挙げられる。
また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性モノマーの重合体が好適に用いられる。
特に、ポリオキシアルキレン樹脂とアクリルモノマー重合体との共重合体が好ましい。
具体的には、ポリオキシアルキレンマクロモノマー又はポリオキシアルキレンマクロモノマーとアクリルモノマーとの共重合体が好ましい。なお、本明細書において、マクロモノマーとは、分子末端にビニル基等の重合可能な官能基を有する高分子量の線状分子のことをいい、ポリオキシアルキレンマクロモノマーとは、線状部分がポリオキシアルキレンからなるマクロモノマーのことをいう。
上記ポリオキシアルキレンマクロモノマーとしては、例えば、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンユニットは、1〜5であることが好ましい。
上記多価アルコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−イソプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
上記混合溶媒としては、特にテルペン系溶剤と多価アルコール系溶剤との組み合わせが好ましい。
なかでも、紫外線波長域に最大吸収波長域を有し更には強力な酸化効果を有する酸を発生するもの、例えば下記式(1)に示すようなスルホン酸塩構造を有する光酸発生剤を用いることが好ましい。
なお、上記粘度は、E型粘度計を用いて25℃、10rpmせん断時における動粘度を測定したものである。
なお、上記粘度変化率は、酸化チタンペーストをガラス上に乗せ、ゴム製スキージを用いてガラス表面に酸化チタンペーストを薄く延ばし、また擦り取るという操作を25回繰り返した前後の粘度の比率であり、粘度は、E型粘度計を用いて25℃、10rpmせん断時における動粘度を測定したものである。
更に、上記酸化チタンペーストは、色素増感太陽電池の材料として用いた場合、短時間で増感色素を充分に吸着させることが可能となり、得られる色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を実現することができる。
上記酸化チタンペーストを樹脂基材上に印刷する方法としては特に限定されないが、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。
このような樹脂基材を、例えば、色素増感太陽電池用途に使用する場合は、透明導電層を形成した透明樹脂基材の該透明導電層上に塗工することによって行う。また、樹脂基材が柔軟性を有する場合はロールトゥロール方式による連続印刷工程を用いることで量産性及び生産コストの観点で大きな利点となる。
上記透明樹脂基材としては、透明で且つ柔軟性を有する樹脂であれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等からなるものが挙げられる。また、特にコストや化学的、熱的安定性の観点からポリエチレンナフタレートが好適である。また、透明で且つ柔軟性を確保できれば、種々の表面処理等を行ってもよい。
上記樹脂基材の厚さは、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜5mmがより好ましい。
また、乾燥及び焼成は、単一の温度で1回又は温度を変化させて2回以上行ってもよい。
上記積算光量が100J/cm2未満であると、有機残渣の除去を充分に行うことができず、1000J/cm2を超えると、樹脂基材の紫外線劣化や熱的劣化を及ぼす。上記積算光量の好ましい下限は150J/cm2であり、好ましい上限は750J/cm2である。
また、紫外線照射の積算光量を上述の範囲内とすることで、加熱消失性樹脂微粒子の直径と近似した空孔を形成し、樹脂基材を屈折した際の酸化チタン層の応力緩和点となりうることから、樹脂基材との追従性に優れる多孔質酸化チタン積層体を得ることができる。
なお、積算光量は照射強度(mW/cm2)×照射時間(秒)によって簡易的に算出することができる。
このようにして得られた多孔質酸化チタン積層体に増感色素を吸着させる工程を行い、対向電極と対向させて設置し、これらの電極の間に電解質層を形成することで、色素増感太陽電池セルを製造することができる。このようにして得られた色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を達成することができる。上記増感色素を吸着する方法としては、例えば、増感色素を含むアルコール溶液に、上記多孔質酸化チタン積層体を浸漬した後、アルコールを乾燥除去する方法等が挙げられる。
(加熱消失性樹脂微粒子Aの作製)
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート5重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約4;日油社製、ブレンマーPDP−250)、メタクリル酸イソブチル95重量部を混合したモノマー100重量部全量を、ノニオン系界面活性剤NL−250(第一工業製薬社製)0.5重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を投入し、重合器を70℃まで昇温したのち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち0.5重量部をシードモノマーとして添加し重合を開始した。30分熟成させた後に残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。
さらに2時間熟成させた後、重合器を室温まで冷却して加熱消失性樹脂微粒子Aのスラリーを得た。得られた加熱消失性樹脂微粒子Aの体積平均粒子径を測定したところ454nmであった。得られたスラリーを、遠心分離機を用いて分離し、更に水、メタノールを用いて再分散させ、再び遠心分離機を用いて分離することによって洗浄を行い、加熱消失性樹脂微粒子Aを得た。
なお、加熱消失樹脂微粒子Aの粒子径(体積平均粒子径)は、SEM写真を画像解析することで無作為に抽出した任意個数の加熱消失性樹脂微粒子Aの粒子径を測定した後、その平均値を求めることで測定した。
平均粒子径が20nmの酸化チタン微粒子、有機バインダとしてイソブチルメタクリレート重合体(重量平均分子量50000)、加熱消失性樹脂微粒子A、有機溶媒としてα−テルピネオール(沸点219℃)及び、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(PD−9、沸点264℃)を用い、表1の組成となるようにビーズミルを用いて均一に混合することにより酸化チタンペーストを作製した。
得られた酸化チタンペーストを、25mm角のITO透明電極形成済みポリエチレンナフタレート基材上(厚み0.1mm)に、5mm角の正方形状に印刷し、150℃で1時間焼成した。その後、更に高圧水銀ランプ(セン特殊光源社製、HLR100T−2)を用いて、樹脂基材とは逆側(表側)から照射強度100mW/cm2で60分間照射することにより多孔質酸化チタン層を得た。なお、得られた多孔質酸化チタン層の厚みが10μmとなるよう、印刷条件の微調整を行った。
得られた多孔質酸化チタン層付き樹脂基材を、Ru錯体色素(N719)のアセトニトリル:t−ブタノール=1:1溶液(濃度0.3mM)中に1日浸漬することにより、多孔質酸化チタン層表面に増感色素を吸着させた。次に、この基材上に、一方向を除いて多孔質酸化チタン層を取り囲むように厚さ30μmのハイミラン社製フィルムを載せ、更にその上から白金電極を蒸着したガラス基板を乗せ、その隙間にヨウ化リチウム及びヨウ素のアセトニトリル溶液を注入、封止することで色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、紫外線照射の時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、紫外線照射の時間を120分に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例3において、加熱消失性樹脂微粒子Aに代えて、下記方法で作製した加熱消失性樹脂微粒子Bを用いた以外は、実施例3と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1の(加熱消失性樹脂微粒子Aの作製)において、モノマー成分をポリオキシプロピレンジメタクリレート10重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約4)、トリメチロールプロパントリメタクリレート15重量部、イソブチルメタクリレート75重量部を混合したモノマー100重量部としたこと以外は同様の手法を用いて加熱消失性樹脂微粒子Bのスラリーを得た。
得られた加熱消失性樹脂微粒子Bの体積平均粒子径を測定したところ475nmであった。
実施例1において、樹脂基材とは逆側(表側)から照射強度100mW/cm2で30分間照射した後、更に樹脂基材側(裏側)から照射強度100mW/cm2で30分間照射することにより多孔質酸化チタン層を得た以外は実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、樹脂基材とは逆側(表側)から照射強度100mW/cm2で15分間照射した後、更に樹脂基材側(裏側)から照射強度100mW/cm2で15分間照射することにより多孔質酸化チタン層を得た以外は実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、樹脂基材とは逆側(表側)から照射強度100mW/cm2で60分間照射した後、更に樹脂基材側(裏側)から照射強度100mW/cm2で60分間照射することにより多孔質酸化チタン層を得た以外は実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、表1に示すように、酸化チタン微粒子と、(メタ)アクリル樹脂と、加熱消失性樹脂微粒子と、有機溶媒の量を変更し、光酸発生剤を添加した以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。なお、光酸発生剤としては、上記式(1)に示す構造を有するものを用いた。
実施例1(多孔質酸化チタン層の形成)の後に、更にキセノンフラッシュランプ(アルテック社製、Sinteron2000)を用いて、表1に示す光量、照射時間、照射回数の条件でパルス光を照射した以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、酸化チタンペーストの作製時に加熱消失性樹脂微粒子Aを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、紫外線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、焼成温度を500℃に変更し、紫外線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、紫外線照射の時間を15分に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、紫外線照射の時間を180分に変更した以外は、実施例1と同様にして、多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1(多孔質酸化チタン層の形成)において、樹脂基材とは逆側(表側)から照射強度100mW/cm2で7.5分間照射した後、更に樹脂基材側(裏側)から照射強度100mW/cm2で7.5分間照射することにより多孔質酸化チタン層を得た以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタン層、色素増感太陽電池を得た。
実施例1において、酸化チタンの代わりに平均粒子径16nmの酸化ケイ素微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化ケイ素層、色素増感太陽電池を得た。
実施例及び比較例で得られた多孔質酸化チタン層及び多孔質酸化ケイ素層、色素増感太陽電池について以下の評価を行った。結果を表2に示した。
なお、実施例1、比較例2、4で得られた多孔質酸化チタン層の断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真を図1〜3に示す。
得られた多孔質酸化チタン層について、クロスセクションポリッシャーを用いて膜厚方向に沿って研磨を行った。そして、X線光電子分法装置(アルバックファイ社製、PHI5000)を用いて、断面表面から10nmをスパッタリングし表面汚染層を除去した後、空孔部分に焦点を絞り、炭素ピークを測定した。また、加熱消失性樹脂微粒子単体に対しても同様に測定を行い、炭素ピークを測定した。得られた測定値との加熱消失性樹脂微粒子単体での測定値とを比較することにより、空孔中に残留する有機残渣量の相対評価を重量分率に換算した上で百分率を用いて行った。また、この評価を各実施例及び比較例において10回繰り返すことで平均値として算出を行った。
得られた多孔質酸化チタン層付き樹脂基材を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を用いて300nmから800nmにおける平均透過率を測定した。
得られた色素増感太陽電池の電極間に、電源(236モデル、KEYTHLEY社製)を接続し、100mW/cm2の強度のソーラーシミュレータ(山下電装社製)を用いて、色素増感太陽電池の光電変換効率を測定した。
得られた色素増感太陽電池を曲率半径が7.5mmとなるように均一の力で屈曲させ、これを15回及び50回繰り返し行った後における色素増感太陽電池の性能評価を行うことで色素増感太陽電池中における多孔質酸化チタン層の樹脂基材に対する追従性(フレキシビリティ)を評価した。
Claims (4)
- 酸化チタン微粒子と、(メタ)アクリル樹脂と、加熱消失性樹脂微粒子と、有機溶媒とを含有する酸化チタンペーストを調製する工程、前記酸化チタンペーストを樹脂基材上に印刷し、該樹脂基材上に酸化チタンペースト層を形成する工程、前記酸化チタンペースト層を焼成する工程、及び、前記焼成後の酸化チタンペースト層に積算光量が100〜1000J/cm2の紫外線を照射する工程を有することを特徴とする多孔質酸化チタン積層体の製造方法。
- 樹脂基材は、透明性及び柔軟性を有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の多孔質酸化チタン積層体の製造方法。
- 酸化チタンペースト層を焼成する工程において、焼成温度を150℃以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質酸化チタン積層体の製造方法。
- 請求項1、2又は3記載の多孔質酸化チタン積層体の製造方法を用いて製造された多孔質酸化チタン積層体を用いてなることを特徴とする色素増感太陽電池。
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