JP2015033673A - 膜分離装置および膜分離装置の運転方法 - Google Patents
膜分離装置および膜分離装置の運転方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】分離膜モジュールを用いた小型分離膜ユニットをなるべく小さなエネルギーで、ファウリングを効果的に防止しながら、効率的な膜分離処理を実現する膜分離装置を提供する。【解決手段】被処理水を濃縮水と処理水に分離するための1つもしくは複数の分離膜モジュールから構成される分離膜ユニットと、被処理水を昇圧して分離膜ユニットに送るための昇圧ポンプと、昇圧ポンプにより昇圧された被処理水を分離膜ユニットに送る被処理水供給ラインと、濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ラインと、濃縮水の一部または全部を分離膜ユニットに循環させる、濃縮水排出ラインから分岐し、被処理水供給ラインに接続する濃縮水循環ラインと、濃縮水循環ラインに設けられ、濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプとを含む膜分離装置とする。【選択図】図1
Description
本発明は、被処理水中に存在している成分を分離除去するための分離膜モジュールを有する分離膜ユニットを備えた膜分離装置とその運転方法に関するものである。
近年、気体分離膜、逆浸透膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等、様々な分離膜を用いた流体分離技術は、高精度で省エネルギーの処理プロセスとして注目され、各種流体処理への適用が進められている。たとえば、逆浸透膜を用いた逆浸透分離法では、塩分等の溶質を含んだ溶液を該溶液の浸透圧以上の圧力で逆浸透膜を透過させることで、塩分等の溶質の濃度が低減された液体を得ることが可能であり、例えば海水やかん水の淡水化、超純水の製造、有価物の濃縮回収など幅広く用いられている。とくに、中東を初めとする水不足地域は、近年徐々にその範囲が拡大しており、逆浸透膜を利用した海水やかん水の淡水化は、日常の飲料水を得る手段として、中東はもちろん、アフリカ、オーストラリア、アジアなど、世界中で展開されている。さらに、自然環境の変化は水不足のみならず、水質の悪化も進行させている。そのため、井戸水や湧水のような、従来そのまま飲用に用いられていた水が飲用に不適になったり、家庭用の水道においても、地域によっては飲用に適していると言い難い状況が生じている。
このような環境下で、水道水源のトラブルや、地震などの災害時に安全な水が得られない等の問題が生じた場合、河川や地下水など、本来飲用に不向きな水を飲用水に変えるために、また、パーソナルユースもしくは、自治地区レベルで飲料水を製造するために、小型の水処理装置が販売されている(例えば、非特許文献1参照)。このような小型の水処理装置は、基本的には、大型の水処理装置と同じ構成からなる。すなわち、装置内に取水ポンプ、前処理フィルター、昇圧ポンプ、分離膜ユニット、および流量調節用のバルブを備えている。
代表的な造水装置として、海水淡水化装置を図11に例示する。図11の装置の場合、原水タンク1に溜められた海水(被処理水)は、原水供給ポンプ2により前処理ユニット3に供給され、前処理ユニット3で固形分を除去する。次いで、固形分除去水は昇圧ポンプ4により分離膜ユニット6に供給され、分離膜ユニット6で、清澄水を分離し、濃縮水は濃縮水排出ライン7から排出される。大型装置の場合、濃縮排水の保有する圧力エネルギーが少なからず存在するため、その圧力エネルギーを回収するために、通常、エネルギー回収ユニット5が装備されている。とくに、運転圧力が高く、濃縮水量が多い海水淡水化の場合は、高効率のエネルギー回収ユニットが装備されることが多い。
一方、小型装置の場合は、エネルギー回収ユニットの回収効率を高く維持するのが困難なことに加え、エネルギー回収ユニットの運転は、容易でない場合が多く、プライベートユースの装置にエネルギー回収ユニットを装備することは非常に困難である。また、大型装置のように前処理として十分な能力を有さない簡易的なものが多いことに加え、被処理水質の変動に応じて、前処理条件を変更するような細やかな制御も難しい。そのため、分離膜ユニットの汚染(ファウリング)による性能低下を引き起こしやすいという問題を有している。
そこで、エネルギー回収ユニットを備えることなく、圧力エネルギーを有効活用する手段として、特許文献1に示すように、濃縮水を循環させて原水と混合し、再度分離膜ユニットに供給、濃縮しながら、処理水を取り出す装置が考案されている。この装置の概略を図12に示す。この装置では、バルブ8を閉じた状態で原水を昇圧ポンプ4で分離膜ユニット6に供給し、濃縮水を濃縮水出口に備えられた循環ポンプ10で原水供給ラインに戻す。濃縮が進み、処理水が得られにくくなってきた場合は、バルブ8を開放することによって、循環している水を系外に排出し、再度濃度の比較的低い原水を供給するものである。この方法では、濃度が上昇した濃縮水を定期的に原水に置換すると、分離膜の運転条件が急激に変動する。特に海水淡水化のように、浸透圧が大きく、分離の駆動力となる有効圧力が浸透圧の影響を大きく受ける場合は、原水濃度の急激な変動は、分離膜への負荷変動が生じ、膜にダメージを与えてしまうという問題を有している。
一方、濃縮水の置換を効率的にした装置として、特許文献2に示すような高圧貯水タンクを装備した方法も考案されている。
水道機工株式会社、災害対策用非常用造水機トレスキュー リーフレット
しかしながら、特許文献2に示す装置は、バルブが多いと共に操作が複雑になるという問題点を抱えている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、分離膜モジュールを用いた小型分離膜ユニットをなるべく小さなエネルギーで、ファウリングを効果的に防止しながら、効率的な膜分離処理を実現することを課題とするものである。
前記課題を解決するために、本発明は次の(1)〜(12)の構成からなる。
(1)被処理水を濃縮水と処理水に分離するための1つもしくは複数の分離膜モジュールから構成される分離膜ユニットと、
前記被処理水を昇圧して前記分離膜ユニットに送るための昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプにより昇圧された前記被処理水を前記分離膜ユニットに送る被処理水供給ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を前記分離膜ユニットに循環させる、前記濃縮水排出ラインから分岐し、前記被処理水供給ラインに接続する濃縮水循環ラインと、
前記濃縮水循環ラインに設けられ、前記濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプと
を含むことを特徴する膜分離装置。
(2)前記被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインが入れ替え可能になっていることを特徴とする前記(1)に記載の膜分離装置。
(3)前記被処理水供給ラインが、前記濃縮水循環ラインとの接続部分より下流において、第1流路と第2流路に分岐し、前記第1流路と第2流路それぞれに第1バルブと第2バルブが備えられ、
前記第1流路が、前記第1バルブの下流において、第3流路と第4流路に分岐し、前記第4流路に第3バルブが備えられ、
前記第2流路が、前記第2バルブの下流において、第5流路と第6流路に分岐し、前記第5流路に第4バルブが備えられ、
前記第3流路と前記第6流路はそれぞれ前記分離膜ユニットに接続され、
前記第4流路と前記第5流路は互いに接続するとともに、その接続部が前記濃縮水排出ラインに接続され、
前記第1バルブと前記第4バルブが開状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが閉状態であるとき、前記第1流路と前記第3流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第5流路と前記第6流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成し、
前記第1バルブと前記第4バルブが閉状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが開状態であるとき、前記第2流路と前記第6流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第3流路と前記第4流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成する
ことを特徴とする前記(2)に記載の膜分離装置。
(4)前記分離膜ユニットが筒状圧力容器内に装填された少なくとも1つの分離膜エレメントから構成され、
前記分離膜エレメントが、分離膜を流路部材とともに巻回した膜巻体の外周を外装体で覆い、前記膜巻体及び外装体の少なくとも片端にテレスコープ防止板を設け、少なくとも1つの前記テレスコープ防止板の外周と前記筒状圧力容器の内周面の間に被処理水シール部材を設け、かつ前記分離膜エレメントを前記筒状圧力容器内で両方向に移動可能になっている
ことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の膜分離装置。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の排出量を、濃縮水濃度に応じて調節することを特徴とする膜分離装置の運転方法。
(6)前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を下回るときは、前記濃縮水を全量循環し、前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を超えるときは、前記濃縮水を全量排出することを特徴とする前記(5)に記載の膜分離装置の運転方法。
(7)前記濃縮水を循環昇圧する圧力が、0.1bar以上、5bar以下であることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の膜分離装置の運転方法。
(8)前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が40bar以上、70bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の5%以上、20%以下であることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法。
(9)前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が2bar以上、20bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の1%以上、4%以下であることを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法。
(10)前記(3)に記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記第1バルブと前記第4バルブを開状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを閉状態で運転する第1モードと、前記第1バルブと前記第4バルブを閉状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを開状態で運転する第2モードを切り替えることによって、前記分離膜ユニットへの前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替え、前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインの入れ替えを以下の順序1)〜4)で実施することを特徴とする膜分離装置の運転方法。
1)前記第1モードにおいては前記第2バルブを、前記第2モードにおいては前記第1バルブを開く。
2)前記第1モードにおいては前記第1バルブを、前記第2モードにおいては前記第2バルブを閉じる。
3)前記第1モードにおいては前記第3バルブを、前記第2モードにおいては前記第4バルブを開く。
4)前記第1モードにおいては前記第4バルブを、前記第2モードにおいては前記第3バルブを閉じる。
(11)前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替えるに際して、前記濃縮水排出ラインから排出する前記濃縮水の流量を増加させることを特徴とする前記(10)に記載の膜分離装置の運転方法。
(12)前記分離膜ユニットの供給水圧力の変動が毎秒1.0bar以下に維持されるように前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブの開閉動作を行うことを特徴とする前記(10)または(11)に記載の膜分離装置の運転方法。
(1)被処理水を濃縮水と処理水に分離するための1つもしくは複数の分離膜モジュールから構成される分離膜ユニットと、
前記被処理水を昇圧して前記分離膜ユニットに送るための昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプにより昇圧された前記被処理水を前記分離膜ユニットに送る被処理水供給ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を前記分離膜ユニットに循環させる、前記濃縮水排出ラインから分岐し、前記被処理水供給ラインに接続する濃縮水循環ラインと、
前記濃縮水循環ラインに設けられ、前記濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプと
を含むことを特徴する膜分離装置。
(2)前記被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインが入れ替え可能になっていることを特徴とする前記(1)に記載の膜分離装置。
(3)前記被処理水供給ラインが、前記濃縮水循環ラインとの接続部分より下流において、第1流路と第2流路に分岐し、前記第1流路と第2流路それぞれに第1バルブと第2バルブが備えられ、
前記第1流路が、前記第1バルブの下流において、第3流路と第4流路に分岐し、前記第4流路に第3バルブが備えられ、
前記第2流路が、前記第2バルブの下流において、第5流路と第6流路に分岐し、前記第5流路に第4バルブが備えられ、
前記第3流路と前記第6流路はそれぞれ前記分離膜ユニットに接続され、
前記第4流路と前記第5流路は互いに接続するとともに、その接続部が前記濃縮水排出ラインに接続され、
前記第1バルブと前記第4バルブが開状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが閉状態であるとき、前記第1流路と前記第3流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第5流路と前記第6流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成し、
前記第1バルブと前記第4バルブが閉状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが開状態であるとき、前記第2流路と前記第6流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第3流路と前記第4流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成する
ことを特徴とする前記(2)に記載の膜分離装置。
(4)前記分離膜ユニットが筒状圧力容器内に装填された少なくとも1つの分離膜エレメントから構成され、
前記分離膜エレメントが、分離膜を流路部材とともに巻回した膜巻体の外周を外装体で覆い、前記膜巻体及び外装体の少なくとも片端にテレスコープ防止板を設け、少なくとも1つの前記テレスコープ防止板の外周と前記筒状圧力容器の内周面の間に被処理水シール部材を設け、かつ前記分離膜エレメントを前記筒状圧力容器内で両方向に移動可能になっている
ことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の膜分離装置。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の排出量を、濃縮水濃度に応じて調節することを特徴とする膜分離装置の運転方法。
(6)前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を下回るときは、前記濃縮水を全量循環し、前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を超えるときは、前記濃縮水を全量排出することを特徴とする前記(5)に記載の膜分離装置の運転方法。
(7)前記濃縮水を循環昇圧する圧力が、0.1bar以上、5bar以下であることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の膜分離装置の運転方法。
(8)前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が40bar以上、70bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の5%以上、20%以下であることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法。
(9)前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が2bar以上、20bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の1%以上、4%以下であることを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれか一つに記載の膜分離装置の運転方法。
(10)前記(3)に記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記第1バルブと前記第4バルブを開状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを閉状態で運転する第1モードと、前記第1バルブと前記第4バルブを閉状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを開状態で運転する第2モードを切り替えることによって、前記分離膜ユニットへの前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替え、前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインの入れ替えを以下の順序1)〜4)で実施することを特徴とする膜分離装置の運転方法。
1)前記第1モードにおいては前記第2バルブを、前記第2モードにおいては前記第1バルブを開く。
2)前記第1モードにおいては前記第1バルブを、前記第2モードにおいては前記第2バルブを閉じる。
3)前記第1モードにおいては前記第3バルブを、前記第2モードにおいては前記第4バルブを開く。
4)前記第1モードにおいては前記第4バルブを、前記第2モードにおいては前記第3バルブを閉じる。
(11)前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替えるに際して、前記濃縮水排出ラインから排出する前記濃縮水の流量を増加させることを特徴とする前記(10)に記載の膜分離装置の運転方法。
(12)前記分離膜ユニットの供給水圧力の変動が毎秒1.0bar以下に維持されるように前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブの開閉動作を行うことを特徴とする前記(10)または(11)に記載の膜分離装置の運転方法。
本発明によって、被処理水を昇圧して分離膜ユニットで濃縮水と処理水に分離し、濃縮水の一部を系外に排出すると共に、残りを昇圧して循環、昇圧した後、昇圧ポンプと分離膜ユニットの間の管路に直結還流させるようにしたので、エネルギー回収ユニットなしでも、エネルギー消費を抑えながら、効率的に膜分離装置を運転することができるようになる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれら図面に示す実施態様に限定されるものではない。
図1は、本発明を適用した水処理用の膜分離装置の第1実施形態の一例を示すフロー図である。
本発明の膜分離装置は、被処理水が貯留される原水タンク1、原水タンク1から被処理水を汲み上げる原水供給ポンプ2、前処理ユニット3、前処理ユニット3で処理された前処理水を昇圧し、分離膜ユニット6に送るための昇圧ポンプ4、昇圧ポンプ4により昇圧された被処理水を分離膜ユニット6に送る被処理水供給ライン12、分離膜ユニット6、分離膜ユニット6で処理された処理水を貯留する生産水タンク9、分離膜ユニット6で得られた濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ライン7、濃縮水排出ライン7に設けられるバルブ8、濃縮水排出ライン7から分岐し、被処理水供給ライン12に直接接続する濃縮水循環ライン13、濃縮水循環ライン13に設けられる循環ポンプ10を備えている。なお、前処理ユニット3は必ずしも必須のものではなく、必要に応じて設ければよい。
本発明の膜分離装置は、被処理水が貯留される原水タンク1、原水タンク1から被処理水を汲み上げる原水供給ポンプ2、前処理ユニット3、前処理ユニット3で処理された前処理水を昇圧し、分離膜ユニット6に送るための昇圧ポンプ4、昇圧ポンプ4により昇圧された被処理水を分離膜ユニット6に送る被処理水供給ライン12、分離膜ユニット6、分離膜ユニット6で処理された処理水を貯留する生産水タンク9、分離膜ユニット6で得られた濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ライン7、濃縮水排出ライン7に設けられるバルブ8、濃縮水排出ライン7から分岐し、被処理水供給ライン12に直接接続する濃縮水循環ライン13、濃縮水循環ライン13に設けられる循環ポンプ10を備えている。なお、前処理ユニット3は必ずしも必須のものではなく、必要に応じて設ければよい。
濃縮水は、本発明の主旨としては、エネルギー回収ユニットを通さず、系外に排出されるが、エネルギー回収させることを否定するものではない。濃縮水排出ライン7と濃縮水循環ライン13の分岐点は、分離膜ユニット6の濃縮水出口にできるだけ近い方が好ましい。これによって、濃縮水分岐前の配管を流れる流量を必要最小限に抑え、圧力損失を低減することができ、循環させる濃縮水圧力を高く維持することができる。本発明において、循環ポンプ10は、濃縮水循環ライン13に備えられる。濃縮水排出ライン7と濃縮水循環ライン13の分岐点と分離膜ユニット6の間に循環ポンプを備えることも可能であるが、その場合、全ての濃縮水が循環ポンプ10を流れるため、循環ポンプ10の昇圧流量が増え、せっかく昇圧した濃縮水を系外に排出することになるため、好ましくない。
分離膜ユニット6は、被処理水を濃縮水と処理水に分離するための1つ若しくは複数の分離膜モジュールから構成される。分離膜ユニット6としては、特に制限はなく、膜の種類としても、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜を挙げることができる。本発明の目的であるエネルギー効率改善の点からは、被処理水として海水を処理する場合は、逆浸透膜を用いることが好ましい。海水を処理する逆浸透膜としては、例えば、原水圧力5MPa、温度25℃、原水中のNaCl濃度35,000mg/lの条件での透水量が少なくとも0.5m3/m2・日、NaCl排除率が少なくとも99%の逆浸透膜を使用できる。このような逆浸透膜は、特に、非常時造水用の分離膜として好適なものである。分離膜モジュールの構造として、例えばコンパクトな構成が可能なスパイラル型モジュールを備えているものが好ましい。
昇圧ポンプ4は、分離膜ユニット6において、被処理水から処理水を分離することができるだけの圧力を付加できるものであれば特に限定されず、市販のポンプを用いることができる。例えば、プランジャー式、渦巻き式、マグネット式など必要とする出力、特性に応じ適宜選択し、用いることができる。
濃縮水排出ライン7には、該濃縮水排出ライン7から分岐する濃縮水循環ライン13よりも下流に、バルブ8が設けられている。バルブ8は、濃縮水排出ライン7から排出される濃縮水の流量を調整するためのものであり、バタフライバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ等を用いることができるが、流量制御の精度や自動化のしやすさを考慮すると、バタフライバルブやボールバルブが適している。
濃縮水循環ライン13は、分離膜ユニット6で得られた濃縮水の一部または全部を分離膜ユニット6に循環させる。濃縮水循環ライン13を通って濃縮水を被処理水供給ライン12に直接戻すことで、濃縮水の圧力エネルギーを維持しながら、再度被処理水として、利用することができる。
濃縮水循環ライン13には、濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプ10が備えられている。循環ポンプ10は、分離膜ユニット6を通った結果低下した圧力分を補い、濃縮水循環ライン13を流れる濃縮水の圧力を被処理水12の圧力に合わせるために設けられる。循環ポンプ10としては、循環させる濃縮水の圧力を高めることができれば特に限定されず、市販のポンプを用いることができる。例えば、渦巻き式ポンプが適している。
濃縮水循環ライン13には、濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプ10が備えられている。循環ポンプ10は、分離膜ユニット6を通った結果低下した圧力分を補い、濃縮水循環ライン13を流れる濃縮水の圧力を被処理水12の圧力に合わせるために設けられる。循環ポンプ10としては、循環させる濃縮水の圧力を高めることができれば特に限定されず、市販のポンプを用いることができる。例えば、渦巻き式ポンプが適している。
本発明の膜分離装置を運転するに当たっては、まず、被処理水を原水供給ポンプ2で供給し、昇圧ポンプ4で昇圧する。ここで供給する被処理水の量については、膜メーカーのガイドラインとして、分離膜モジュールに必要な流量が決められている場合は、その範囲の流量を分離膜ユニット6に供給をすることが必要である。例えば、スパイラル型逆浸透膜のガイドラインとして、例えば、プロジェクションプログラムToray−DSに例示されるように、例えば、表層海水(Open Sea)の場合、8インチ逆浸透膜エレメントへの供給流量が最大310m3/日、濃縮水の最小流量が最小86m3/日というように規定されている。すなわち、本来、原水供給ポンプ2や昇圧ポンプ4の能力として、この範囲に入るように選定する必要があるが、本発明の主旨である定常状態での濃縮水の一部の還流を考慮した上で、決定することが好ましい。運転開始直後の循環流量がないもしくは少ない場合に併せて、原水供給ポンプ2や昇圧ポンプ4の能力を決定すると、循環流量が発生した定常運転においては、ポンプ能力の一部しか発現しないことになる。さらに、流量調節をする必要があることになり、インバーターなどの高価な装備が必要になる。そのため、定常運転状態を前提にポンプの仕様を決定し、運転開始直後から、循環流量が増えて安定するまでは非定常的な条件で運転させることが好ましい。
具体的な方法としては、被処理水の分離膜ユニット6への供給量、すなわち、被処理水供給量(F)と循環させる濃縮水の水量(以下、「循環濃縮水量」という)(B2)の和(F+B2)に対する分離膜ユニット6で処理された処理水の量、すなわち、処理水流量(P)を抑えること、また、排出される濃縮水の水量(以下、「濃縮水排出量」という)(B1)を抑え、なるべく早く循環流量を定常値に持っていくことが好ましい。
この調整の仕方として、前者の場合は、P/(F+B2)を予め設定した値になるように維持する、後者については、図2に例示するように、循環濃縮水量を0(すなわち、バルブ8を全閉)でスタートし、濃度センサー11によって得られる濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度CB1に到達したら、濃縮水濃度が増えるのに応じて、濃縮水排出量(B1)を増やし、予め設定した濃縮水濃度CB2を超えるときは、濃縮水を全量排出し、定常状態に持っていくのが好ましい。これによって、分離膜への過度な負荷を防止することができる。濃度センサー11としては、とくに制限はないが、運転圧力に影響が大きい塩濃度を監視するために電気伝導度計によって塩分濃度を測定するのが一般的である。対象が有機物を含有する場合は、全有機炭素濃度(TOC)計やUV吸収によって監視することもできる。
この調整の仕方として、前者の場合は、P/(F+B2)を予め設定した値になるように維持する、後者については、図2に例示するように、循環濃縮水量を0(すなわち、バルブ8を全閉)でスタートし、濃度センサー11によって得られる濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度CB1に到達したら、濃縮水濃度が増えるのに応じて、濃縮水排出量(B1)を増やし、予め設定した濃縮水濃度CB2を超えるときは、濃縮水を全量排出し、定常状態に持っていくのが好ましい。これによって、分離膜への過度な負荷を防止することができる。濃度センサー11としては、とくに制限はないが、運転圧力に影響が大きい塩濃度を監視するために電気伝導度計によって塩分濃度を測定するのが一般的である。対象が有機物を含有する場合は、全有機炭素濃度(TOC)計やUV吸収によって監視することもできる。
なお、被処理水の濃度や温度などが、時間によって大きく変動するような場合は、同様の方法で、濃縮水排出量(B1)や処理水流量(P)を制御することも好ましい。具体的な例としては被処理水に海水を用いた場合、濃度が上がると浸透圧が上がり、処理水流量(P)を減らす、また、濃縮水排出量(B1)を増やす(ただし、F+B1が、分離膜のガイドライン範囲内になるようにする)ことで分離膜への供給濃度や濃縮水濃度の変動を抑え、分離膜への供給圧力をできるだけ一定に維持し、安定運転に寄与することができる。
次に、循環させる濃縮水を被処理水に直結混合させるに際しては、分離膜ユニット6での圧力損失を考慮し、循環ポンプ10で昇圧する必要がある。具体的には、循環昇圧する圧力として、0.1bar以上、5bar以下の昇圧を実施する。この範囲を超える昇圧が必要になるような配管やバルブ構成にすると、本発明の目的とする省エネルギー運転が困難になる場合がある。このとき、配管が直結しているため、昇圧ポンプ4と循環ポンプ10の吐出バランスを制御する必要がある。
本発明を適用する用途は、特に限定されるものではなく、河川水や地下水の除濁、脱塩、また、海水やかん水の淡水化など、いろんな目的に適用可能であるが、エネルギー消費が特に大きな問題となり、さらに、エネルギー回収のために高価なエネルギー回収ユニットが必要となる海水淡水化に適している。具体的には、総塩濃度が3質量%以上の海水淡水化の場合、分離膜ユニットに供給される被処理水の圧力が40bar以上、すなわち、濃縮水の圧力も35bar以上あることが好ましい。ただし、運転圧力が70barを超えると、分離膜や耐圧容器などに特殊な仕様が必要となるため、70bar以下に設計することが好ましい。また、排出する濃縮水の流量としては、濃縮水の全体流量の5%以上、かつ、20%以下であることが好ましい。5%未満にすると濃縮が過度に進み、20%を超えると、系外に排出する圧力エネルギーが大きくなる。いずれにしても、エネルギー的なデメリットが大きくなるため好ましくない。一方、被処理水濃度が1質量%未満のかん水の淡水化の場合も同様の理由で、分離膜ユニットに供給される被処理水の圧力が2bar以上、20bar以下、排出する濃縮水の流量が濃縮水の全体流量の1%以上、4%以下とすることが好ましい。
次に、本発明の膜分離装置の第2実施態様について説明する。
濃縮水を循環する場合、被処理水に濁質、有機物など、分離膜の表面に蓄積して性能を低下させるような物質が入っている場合は、濃縮によってその蓄積を加速させる場合がある。これを防止するため、分離膜ユニットにおける被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインが入れ替え可能な構造になっており、定期的に流れる方向を逆にすることができる。
濃縮水を循環する場合、被処理水に濁質、有機物など、分離膜の表面に蓄積して性能を低下させるような物質が入っている場合は、濃縮によってその蓄積を加速させる場合がある。これを防止するため、分離膜ユニットにおける被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインが入れ替え可能な構造になっており、定期的に流れる方向を逆にすることができる。
第2実施態様の膜分離装置を図3に示す。
分離膜ユニット6に連結する配管ラインとしては、被処理水供給ライン12が、濃縮水循環ライン13との接続部分より下流において、第1流路F1と第2流路F2に分岐し、第1流路F1と第2流路F2それぞれに第1バルブV1と第2バルブV2が備えられ、第1流路F1が、第1バルブV1の下流において、第3流路F3と第4流路F4に分岐し、第4流路F4に第3バルブV3が備えられ、第2流路F2が、第2バルブV2の下流において、第5流路F5と第6流路F6に分岐し、第5流路F5に第4バルブV4が備えられ、第3流路F3と第6流路F6はそれぞれ分離膜ユニット6に接続され、第4流路F4と第5流路F5は互いに接続するとともに、その接続部が濃縮水排出ライン7に接続されている。
分離膜ユニット6に連結する配管ラインとしては、被処理水供給ライン12が、濃縮水循環ライン13との接続部分より下流において、第1流路F1と第2流路F2に分岐し、第1流路F1と第2流路F2それぞれに第1バルブV1と第2バルブV2が備えられ、第1流路F1が、第1バルブV1の下流において、第3流路F3と第4流路F4に分岐し、第4流路F4に第3バルブV3が備えられ、第2流路F2が、第2バルブV2の下流において、第5流路F5と第6流路F6に分岐し、第5流路F5に第4バルブV4が備えられ、第3流路F3と第6流路F6はそれぞれ分離膜ユニット6に接続され、第4流路F4と第5流路F5は互いに接続するとともに、その接続部が濃縮水排出ライン7に接続されている。
第2実施態様の膜分離装置において、第1バルブV1と第4バルブV4が開状態であり、第2バルブV2と第3バルブV3が閉状態であるとき、第1流路F1と第3流路F3が被処理水供給ライン12の一部を形成するとともに、第5流路F5と第6流路F6が濃縮水排出ライン7の一部を形成し、第1バルブV1と第4バルブV4が閉状態であり、第2バルブV2と第3バルブV3が開状態であるとき、第2流路F2と第6流路F6が被処理水供給ライン12の一部を形成するとともに、第3流路F3と第4流路F4が濃縮水排出ライン7の一部を形成する。
次に、第2実施態様の膜分離装置を用いた運転方法について説明する。
まず、第1バルブV1と第2バルブV2のうちの一方を開状態、他方を閉状態とし、昇圧ポンプ4によって加圧された被処理水を第1流路F1もしくは第2流路F2に流す。第1バルブV1を開状態にした場合は、第3バルブV3は閉じた状態とする。これによって被処理水は第1流路F1→第3流路F3を流れて分離膜ユニット6に供給される。分離膜ユニット6で得られた濃縮水は、第4バルブV4を開くと、第2流路F2は流通不可であるので、第6流路F6→第5流路F5を通って、一部が濃縮水排出ライン7から排出され、残りが循環ポンプ10により昇圧されて濃縮水循環ライン13を通して還流される。
まず、第1バルブV1と第2バルブV2のうちの一方を開状態、他方を閉状態とし、昇圧ポンプ4によって加圧された被処理水を第1流路F1もしくは第2流路F2に流す。第1バルブV1を開状態にした場合は、第3バルブV3は閉じた状態とする。これによって被処理水は第1流路F1→第3流路F3を流れて分離膜ユニット6に供給される。分離膜ユニット6で得られた濃縮水は、第4バルブV4を開くと、第2流路F2は流通不可であるので、第6流路F6→第5流路F5を通って、一部が濃縮水排出ライン7から排出され、残りが循環ポンプ10により昇圧されて濃縮水循環ライン13を通して還流される。
このとき、前者、すなわち、第1バルブV1と第4バルブV4を開状態、第2バルブV2と第3バルブV3を閉状態で運転する場合を第1モードM1とし、後者、すなわち、第1バルブV1と第4バルブV4を閉状態、第2バルブV2と第3バルブV3を開状態で運転する場合を第2モードM2としたとき、被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインの入れ替えは、下記の順序1)〜4)で実施することが好ましい。
1)第1モードM1においては第2バルブV2を、第2モードM2においては第1バルブV1を開く。
2)第1モードM1においては第1バルブV1を、第2モードM2においては第2バルブV2を閉じる。
3)第1モードM1においては第3バルブV3を、第2モードM2においては第4バルブV4を開く。
4)第1モードM1においては第4バルブV4を、第2モードM2においては第3バルブV3を閉じる。
なお、各バルブは、急激な圧力変化を避けるべく、一度に開閉させるよりも徐々に開閉させるほうが好ましい。
1)第1モードM1においては第2バルブV2を、第2モードM2においては第1バルブV1を開く。
2)第1モードM1においては第1バルブV1を、第2モードM2においては第2バルブV2を閉じる。
3)第1モードM1においては第3バルブV3を、第2モードM2においては第4バルブV4を開く。
4)第1モードM1においては第4バルブV4を、第2モードM2においては第3バルブV3を閉じる。
なお、各バルブは、急激な圧力変化を避けるべく、一度に開閉させるよりも徐々に開閉させるほうが好ましい。
バルブ操作にあたっては、分離膜ユニットの供給水圧力の変動が毎秒1.0bar以下、より好ましくは、0.7bar以下に維持されるように開閉動作を実施することが好ましい。これによって、分離膜ユニットへのウォーターハンマーなど過度な負荷を防止し、分離膜ユニットを保護することができる。
さらに、被処理水の流れる方向を切り替えるタイミングで、バルブ8の開度を開き、濃縮水排出ライン7を通して、循環水を全量もしくは、通常より多くの割合排出し、被処理水の濃度を低減させることも好ましい運転方法である。より具体的には、例えば、上記1)および2)の間にバルブ8を徐々に開くとともに、循環ポンプ10の循環を減じ、3)および4)の間にバルブ8を徐々にもとに戻すとともに、循環ポンプ10の循環を元に戻すという方法を採ることができる。
このような被処理水と濃縮水の逆流に関して、分離膜ユニットが多段になる場合は、図3に示す分離膜ユニット6を図4に例示するような構造とすることができる。第3流路F3から被処理水を供給する場合は、バルブv11、v13を開状態とし、バルブv12、v14を閉状態とする。分離膜ユニット6a又は分離膜ユニット6bを一段目とし、分離膜ユニット6cを二段目として分離を行い、第6流路F6から濃縮水を流すとともに、ラインFAから透過水を得る。また、第6流路F6から被処理水を供給する場合は、バルブv11〜v14の開閉を逆にすることで逆流させることが可能である。分離膜ユニットを多段で使用する場合は、バルブ制御が複雑になるため、装置の規模や目的によって適宜選択すればよい。
被処理水の供給方向の制御については、特に制約はないが、分離膜ユニットコンポーネントの汚染を抑制する目的を鑑みるに、定期的、もしくは、汚染状態を監視しつつ、被処理水の供給方向を第1流路F1と第2流路F2とで交互に切り替えて処理することが好ましい。とくに、被処理水の供給方向を定期的に切り替える場合は、例えば、深夜電力のみで運転するような場合など装置の停機に併せて切り替えると無駄がなく効率的である。また、定期的な洗浄を、被処理水の供給方向を逆方向にすることで行うことも好適である。一方、汚染状態を監視する場合は、被処理水(供給水)と濃縮水の間の圧力損失、供給水側と透過水側の圧力差、濃縮水の汚染物質(例えば、微生物)の濃度を監視し、値が設定値を超えた場合に切り替える方式を採ることができる。もちろん、これらの値は被処理水の状態(濃度、温度、pH等)によっても変動するため、圧力損失などの測定値を適宜補正することが好ましい。とりわけ、1つの分離膜ユニットコンポーネントにおける供給流体の圧力と濃縮流体の圧力の差から計算される圧力損失、または複数の分離膜ユニットコンポーネントが直列に配置されたサブユニットにおける最初に供給する被処理水の圧力と最後尾のサブユニットからの濃縮流体の圧力との差から計算される圧力損失、もしくは、複数のサブユニットの一部の圧力差から計算される圧力損失を測定し、その変化に基づいて前記被処理水の供給方向を変えることが好ましい。とくに、先頭と最後尾のサブユニットにおいて、ファウリングによる圧力損失が生じやすいため、それらの圧力損失を単独もしくは、含めて測定することが特に好ましい。
このように被処理水の供給方向を変更可能な分離膜ユニット6としては、特に制限されるものではないが、分離膜ユニット6に適用する分離膜モジュール内の膜面を流れる流量が均一であるスパイラル型分離膜エレメントを耐圧容器に装填したものが好適である。図5は、本発明を構成するスパイラル型分離膜エレメントの実施形態の一例を示す部分破断斜視図である。
図5において、分離膜エレメント20は、供給水と透過水の混合が生じないように端部が封止された構造の分離膜21、供給側流路部材23及び透過側流路部材22の積層体の単数または複数が、有孔の中心管24の周囲にスパイラル状に巻回され、その分離膜巻回体の外周が外層体で覆われ、この膜巻体及び外装体の少なくとも片端にテレスコープ防止板25が設置されている。テレスコープ防止板25の外周には、少なくとも1つの周回溝251が設けられ、図示しない被処理水シール部材が配置される。
この分離膜エレメント20は、被処理水26が一端面より供給され、供給側流路部材23に沿って流動しながら成分の一部(例えば、海水淡水化の場合は水)が分離膜21を透過することにより、透過流体と濃縮流体とに分離される。その後、分離膜を透過した成分(透過水)は、透過側流路部材22に沿って流動して、中心管24内へとその側面の孔から流入し、中心管24内を流動し、処理水(透過流体)27として取り出される。一方、非透過成分(海水淡水化の場合は塩分)を高濃度に含有する処理水は、分離膜エレメント20の他端面より濃縮流体28(濃縮水)として排出される。
本発明を適用可能なスパイラル型膜エレメントに用いられる分離膜21は平膜状の分離膜であって、逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ガス分離膜、脱ガス膜などが使用できる。供給側流路部材23には、ネット状材料、メッシュ状材料、溝付シート、波形シート等が使用できる。透過側流路部材22には、ネット状材料、メッシュ状材料、溝付シート、波形シート等が使用できる。いずれも、分離膜と独立したネットやシートでも構わないし、接着や融着するなどして一体化したものでも差し支えない。
テレスコープ防止板25は、分離膜巻回体が通過する流体の圧力により筒状に変形すること(テレスコープ現象)を防止するために設置された、空隙を有する板状物であり、外周側にはシール材を装填するための周回溝251を有していることが好ましい。テレスコープ防止板25は変形防止の機能を有すれば、その材質は特に制約はない。ただし、用途に応じて、耐薬品性や耐熱性など必要になる場合は、要求仕様に応じて適宜選択することが可能である。一般には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂などの樹脂材が好適である。また、このテレスコープ防止板25は、原水の流れをなるべく妨げずに強度を維持する目的から、外周環状部と内周環状部と放射状スポーク部とを有するスポーク型構造であることが好ましい。
中心管24は、管の側面に複数の孔を有するものであり、中心管24の材質は、樹脂、金属など何れでもよいが、コスト、耐久性を鑑みて、ノリル樹脂、ABS樹脂等のプラスチックが通常使用されることが一般的である。
分離膜21の端部を封止するための手段としては、接着法が好適に用いられる。接着剤としては、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ホットメルト接着剤等、公知の何れの接着剤も使用することができる。
また、スパイラル型分離膜エレメントは、分離膜巻回体の外周部が外装材により拘束されて拡径しない構造になっていることも好ましい。外装材は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどからなるシートや、硬化性樹脂を塗ったガラス繊維などからなるもので、分離膜巻回体の外周表面に、かかるシートや繊維を巻回して分離膜エレメントが拡径しないように拘束する。
本発明では、図5に例示したスパイラル型膜エレメントを、図6に示すように、筒状圧力容器46に一つもしくは複数装填して、分離膜モジュール47を構成する。複数の分離膜エレメント39(39a,39b,39c,39d,39e,39f)を、筒状圧力容器46内に装填することにより、分離膜モジュール47を構成する。分離膜エレメント39を構成する少なくとも片端に設けられたテレスコープ防止板の少なくとも1つの外周と筒状圧力容器46の内周面の間に、被処理水シール部材45(45a1,45a2,45b1〜45e2,45f1,45f2)が配置される。被処理水シール部材45は、分離膜エレメント39が筒状圧力容器46内で実質的に両方向に移動可能であるように設けられている。
この被処理水シール部材45を設けることにより、図5に例示するようなスパイラル型分離膜エレメント20であって、被処理水を図5に示すように原水26の方向に流すこともできれば、図5に示す濃縮水28の方向から被処理水を供給することも可能な構造になっている。
図6では、符号39a〜39fがそれぞれ図5に示す分離膜エレメント20を示している。被処理水は、被処理水供給口38(被処理水の流れ方向を逆向きにするときは40)から供給され、第1の分離膜エレメント39aの端部に供給される。第1の分離膜エレメントで処理された濃縮水(濃縮流体)は、第2の分離膜エレメント39bに供給されその後、順次39c,39d,39e,39fに供給、処理された後、最終的に濃縮水排出口40(被処理水の流れ方向を逆向きにするときは38)から排出される。それぞれの分離膜エレメント39a〜39fの中心パイプは、それぞれコネクター41で連接されるとともに、端板42a,42bに設けられた透過流体(透過水)取出口43a,43bに接続されており、それぞれの分離膜エレメントで得られた透過流体(透過水)が集められ、系外に取り出される。
なお、図5では、被処理水供給口38(流れ方向を逆向きにするときは40)と濃縮水排出口40(流れ方向を逆向きにするときは38)が、端板に備えられているが、耐圧容器胴部44の端板近傍(すなわち、被処理水供給口38が端板42aと第1の分離膜エレメント39aの間、濃縮水排出口40が端板42bと最終分離膜エレメント39fの間)に備えられていても差し支えない。圧力容器46と分離膜エレメント39の間には、被処理水が通って性能低下を生じないように、シールすることが必要である。具体的には、それぞれの分離膜エレメント39a〜39fのテレスコープ防止板25の外周部には周回溝251を有しており、被処理水シール部材(以下、単に「シール部材」ということがある。)45a1〜45f2を装填できることが好ましい。テレスコープ防止板25部分にシール部材45a1,45a2〜45f1,45f2が備えられ、それぞれの分離膜エレメントの被処理水と濃縮水が隔離されている。
なお、図6では、それぞれの分離膜エレメント39a〜39fの両側にシール部材45が備えられているが、片側のみ(すなわち、45a1,45b1,45c1〜45f1もしくは45a2,45b2,45c2〜45f2)とすることも可能である。両方備えた方がシール性は向上するが、装填、取り出し時に困難度が増すこと、また、隣接するシール部材間(例えば、45a1と45a2の間)にデッドスペースを生じやすくなるため、例えば、ジュースの濃縮など濃縮水が汚染されると問題となる場合は、好ましくない。
本発明において、被処理水シール部材(シール部材)としては、分離膜モジュール47の被処理水供給口が、図6に示すように符号38と40で入れ替わるため、被処理水の流れ方向を逆向きにさせるのに差し支えない構造になっていることが求められる。一般には、被処理水の供給が一方向であるため、シール部材としてU−カップリングシールもしくはV−カップリングシールが考案され広く使用されている。このU−カップリングシールは、弾性樹脂を用い、U字状の開いた部分が被処理水を供給する側(原水側)に向くように分離膜エレメントのテレスコープ防止板にセットされている。このU−カップシールは、原水側から水が供給された時に、その水圧でU字が開き、U−カップシールと圧力容器との隙間を埋める構造になっている。V−カップリングシールも同様である。
図7は、分離膜エレメントが圧力容器内に装填された状態において、U−カップシール33がテレスコープ防止板の外周部30の周回溝251に嵌着され、テレスコープ防止板の外周と圧力容器の内周面との間でシールする状態を示すものであって、U−カップシール装着部分の近傍を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
図7において、U−カップシール33は、圧力容器の内壁29との接触面積は比較的小さいが、前述したとおり、被処理水(原水)上流から下流(図7の矢印Fで示すように左から右への方向)に流れる水に対してはシール機能が発揮される。また、圧力容器内で分離膜エレメントを移動させる場合は、図7の左から右に摺動させれば、比較的小さな抵抗で移動させることが可能である。しかしながら、分離膜エレメントを右から左に移動させるのは難しい。本発明では被処理水を両側から供給できるようにしなければならないため、U−カップシールやV−カップシールは適していない。
一方、従来技術として、O−リングシールを使用する場合もあり、テレスコープ防止板の外周側の周回溝に嵌着されたO−リングシールが、圧力容器の内壁と接触し、O−リングシールがつぶれて変形することで、分離膜エレメントと圧力容器内との隙間を埋めているため、両側からの被処理水の供給に対して、良好なシール性を発揮することができる。図8は、分離膜エレメントが圧力容器内に装填された状態において、O−リングシール32がテレスコープ防止板25の外周部30の周回溝251に嵌着された、テレスコープ防止板の外周と圧力容器の内周面との間でシールする状態を示すものであって、O−リングシール装着部分の近傍を拡大して模式的に示す部分拡大断面図である。
図8において、O−リングシール32は、圧力容器の内壁29と圧接している部分において変形し、圧力容器の内壁29との接触面積が大きくなっている。さらに、O−リングシール32は弾性樹脂で構成されているので圧力容器の内壁29との摺動摩擦が大きいため、圧力容器内の分離膜エレメントの移動が容易でないという欠点を有している。
O−リングシールとU−カップシールの欠点を解決する方法として、例えば、図9(a)および(b)に示すようなスプリットリング状のシール部材(以下、「スプリットリングシール」という)を用いることが好ましい。
スプリットリングシール34は、国際公開第2011/046944号に記載されている。スプリットリングシール34は、環状シールが1箇所以上で切断・分割された如き形状を有するものである。例えば、図9(a)のスプリットリングシールの平面図に示すようにスプリット部35が1箇所存在するものが好ましいが、環状シールが2箇所で切断・分割された如き半円弧状スプリットリングシールを2つ用いてもよい。スプリットリングシールの横断面形状は、特に限定されるものでは無いが、テレスコープ防止板の外周部30の周回溝251に収まり、移動しない構造であればよく、例えば、図9(b)の断面図に示すように略四角形でもよいし、略多角形でもよい。また、スプリットリングシールの外周部の長さ(外周長)は、そのスプリットリングシール34のスプリット部35を繋げて環状にした時の外周直径37が、圧力容器の内壁の直径サイズよりも少し大きくなるように設計し、実際に分離膜エレメントのテレスコープ防止板に装着して圧力容器内に装填された時には、そのスプリット部の隙間が縮まり、スプリットリングシールが圧力容器の内壁と密接する構造となるようにする。また、スプリットリングシールの内周部長さ(内周長)は、そのスプリットリングシール34のスプリット部35を繋げて環状にした時の内周直径36が、テレスコープ防止板の外周部30の周回溝251内に、隙間無く収まる大きさであれば良い。スプリットリングシール34の大きさは、エレメントの外径や材質等により最適化すればよいが、例えば、シールの径方向幅(即ち、外周直径37と内周直径36との差の半分)が5〜10mm程度、シールの厚み3〜10mm程度を採用することができる。
スプリットリングシール34は、国際公開第2011/046944号に記載されている。スプリットリングシール34は、環状シールが1箇所以上で切断・分割された如き形状を有するものである。例えば、図9(a)のスプリットリングシールの平面図に示すようにスプリット部35が1箇所存在するものが好ましいが、環状シールが2箇所で切断・分割された如き半円弧状スプリットリングシールを2つ用いてもよい。スプリットリングシールの横断面形状は、特に限定されるものでは無いが、テレスコープ防止板の外周部30の周回溝251に収まり、移動しない構造であればよく、例えば、図9(b)の断面図に示すように略四角形でもよいし、略多角形でもよい。また、スプリットリングシールの外周部の長さ(外周長)は、そのスプリットリングシール34のスプリット部35を繋げて環状にした時の外周直径37が、圧力容器の内壁の直径サイズよりも少し大きくなるように設計し、実際に分離膜エレメントのテレスコープ防止板に装着して圧力容器内に装填された時には、そのスプリット部の隙間が縮まり、スプリットリングシールが圧力容器の内壁と密接する構造となるようにする。また、スプリットリングシールの内周部長さ(内周長)は、そのスプリットリングシール34のスプリット部35を繋げて環状にした時の内周直径36が、テレスコープ防止板の外周部30の周回溝251内に、隙間無く収まる大きさであれば良い。スプリットリングシール34の大きさは、エレメントの外径や材質等により最適化すればよいが、例えば、シールの径方向幅(即ち、外周直径37と内周直径36との差の半分)が5〜10mm程度、シールの厚み3〜10mm程度を採用することができる。
このようなスプリットリングシール34は、図9(b)に示すように断面形状が矩形であるため、摺動面とシール部材が並行もしくは両方向対称に接触することができ、これによって、分離膜モジュール47の両側(被処理水供給口38,濃縮水取出口40)から被処理水を供給することが可能となり、しかも、スパイラル型分離膜エレメントを筒状圧力容器内に装填する時も、また、分離膜エレメントを圧力容器から抜き取る時も、容易に分離膜エレメントを圧力容器内で移動させることができるようになるため、両側からの装填や抜き取りができる構造は非常に好ましいものである。
本発明に適用可能なシール部材の特性としては、分離膜エレメントのどちらから被処理水を供給しても十分なシール性を発現することができる。このような特性を有するシール部材の形状としては、前述のスプリットリング状、もしくはシール接触面がとがった、すなわち、断面がたとえば三角形になっているデルタリング状や断面がOではなく凸レンズ状、また、接触面が凹凸を保った波板状が適用可能である。さらに、摺動性の問題はあるもののO−リング状も適用することは可能ではある。O−リングやデルタリングなどの場合、弾性材製シール部材を用いるとシール製が高くなるため好ましいが、摺動性が損なわれやすいため、注意が必要である。摺動性を重視するため、弾性材製シール材で一般に考慮する潰し代(弾性材を用いたO−リングなどで密着性を上げるため、使用時に圧縮変形させる割合)を小さくすることが重要である。具体的には、通常8〜30%とされている潰し代を、10%以下、より好ましくは5%以下にすることによって、圧力容器内での良好な摺動性を保つことが可能となるが、高い精度が必要となるため、適用に当たっては、注意が必要である。
スプリットリングシールにおけるスプリット部の形状は、特に限定されるものではないが、一例として、図10に示すように、シール長手方向に直角に切断し、垂直にカットされたスプリット部48とする場合(図10(a))、シール長手方向に対し斜めに切断し、斜めにカットされたスプリット部52とする場合(図10(b))、シール長手方向に対し階段状に切断し、階段的にカットされたスプリット部55とする場合(図10(c))が挙げられる。
特に、シール長手方向に対し斜めに切断した場合(図10(b))、シール長手方向に対し階段状に切断した場合(図10(c))のスプリットリングシールを用いた時には、実際に被処理水が圧力容器内を流れる際の圧力でもってスプリットリング端部同士が押し付けられ、スプリットリング端部の隙間がほとんど無い状態となる。この結果、スプリット端部同士の接合部分でもシール効果はほぼ保たれ、被処理水が分離膜エレメントの外側をバイパスする量はかなり少なく、効率的な水処理を行うことができる。
スプリットリングシールを、分離膜エレメントのテレスコープ防止板の外周部に装着した後、そのスプリット部どうしは単に接触するように配置することでもよいし、スプリット部どうしを接合しても良い。その際の接合の方法としては、熱融着接合や接着剤を用いる強固な接合でも良いし、スプリットリングシールのスプリット部の一片と他方とが凹凸嵌合により組み合わさった接合でもよい。スプリット端部同士を凹凸嵌合させて接合することで、取り扱い時の衝撃でスプリットリングシールの脱落を阻止することができる。
スプリットリングシールを、テレスコープ防止板の外周に装着するにあたって、1もしくは複数のシール部材を装着してもよい。複数個のシール部材を装着する場合は、スプリット部の位置を相互に異なる位置にすることが好ましく、これにより原水が分離膜エレメントの外側を通り抜ける量をより少なくすることができる。
スプリットリングを構成する素材は、非弾性体、弾性体のいずれでもよく、非弾性材を用いることが好ましい。有機材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンを始めとする、様々な硬質プラスチック、無機材料としても、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、チタンやそれらの合金を使うこともできれば、セラミック、黒鉛、石綿も用いることができるし、また、FRPなどのように有機無機複合体や以上の素材の複層品を用いることも可能である。
弾性材としては、特に制約はなく、ニトリルゴム、スチロールゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムなど、一般に多用されるシール材を用いることができる。
なお、これらの素材は、分離膜モジュール47の対象となる被処理水に耐久性があることが好ましい。たとえば、海水を対象にする場合は、鉄合金を用いると腐食しやすく、また、有機溶媒を含む場合は、耐久性が不十分な樹脂を使うと劣化しやすいので注意を要する。
従って、本発明の適用にあたっては、被処理水シール部材(図6の45a1〜45f1、45a2〜45f2)については、すべて、図7〜図9に示すシール部材、とくに、スプリットリング状のシール部材を使用することによって本発明の目的を達成することができる。また、逆流させた場合にシール性がU−カップシールリングやV−カップシールリングを併用することによって、分離膜エレメントの移動は一方向になるが、より確実なシール性を実現することができるため好ましい実施態様である。
本発明を適用可能な被処理水は特に、制限されるものではなく、河川水、海水、下水処理水、雨水、工業用水、工業廃水など、いろいろな流体を挙げることができるが、特に、様々な有機物や無機物が含まれている流体に好適である。
本発明は、分離膜ユニットの濃縮水流路を供給水流路に直結循環させるとともに、一部を系外に排出することで、エネルギー回収ユニットなしでも、エネルギー消費を抑えた効率に優れた水処理装置を提供することができる。また、被処理水の流れ方向を切り替えても膜分離性能を発揮できる構造にすることによって、分離膜をバランスよく使用できるとともに高い稼働率を維持しつつ、ファウリングを効果的に防止することが可能となる。
1:原水タンク
2:原水供給ポンプ
3:前処理ユニット
4:昇圧ポンプ
5:エネルギー回収ユニット
6:分離膜ユニット
7:濃縮水排出ライン
8:バルブ
9:生産水タンク
10:循環ポンプ
11:濃度センサー
12:被処理水供給ライン
13:濃縮水循環ライン
20:分離膜エレメント
21:分離膜
22:透過側流路材
23:供給側流路材
24:中心管
25:テレスコープ防止板
251:周回溝
26,26a:被処理水
27,27a:処理水(透過水)
28:濃縮水
29:内壁
30:テレスコープ防止板の外周部
31:テレスコープ防止板の外周面
32:O−リングシール
33:U−カップシール
34:スプリットリング状のシール部材(スプリットリングシール)
35:スプリット部
36:内径
37:外径
38:被処理水供給口
39a,39b,39c,39d,39e,39f:分離膜エレメント
40:濃縮水排出口
41:コネクター
42a,42b:端板
43a,43b:処理水(透過水)取出口
44:耐圧容器胴部
45a1,45b1,45c1,45d1,45e1,45f1:シール部材
45a2,45b2,45c2,45d2,45e2,45f2:シール部材
46:筒状圧力容器
47:分離膜モジュール
48:垂直にカットされたスプリット部
49,50:垂直にカットされたスプリット部の近傍のシール部材
51:テレスコープ防止板の円周溝の両側部分
52:斜めにカットされたスプリット部
53,54:斜めにカットされたスプリット部の近傍のシール部材
55:階段状にカットされたスプリット部
56,57:階段状にカットされたスプリット部の近傍のシール部材
2:原水供給ポンプ
3:前処理ユニット
4:昇圧ポンプ
5:エネルギー回収ユニット
6:分離膜ユニット
7:濃縮水排出ライン
8:バルブ
9:生産水タンク
10:循環ポンプ
11:濃度センサー
12:被処理水供給ライン
13:濃縮水循環ライン
20:分離膜エレメント
21:分離膜
22:透過側流路材
23:供給側流路材
24:中心管
25:テレスコープ防止板
251:周回溝
26,26a:被処理水
27,27a:処理水(透過水)
28:濃縮水
29:内壁
30:テレスコープ防止板の外周部
31:テレスコープ防止板の外周面
32:O−リングシール
33:U−カップシール
34:スプリットリング状のシール部材(スプリットリングシール)
35:スプリット部
36:内径
37:外径
38:被処理水供給口
39a,39b,39c,39d,39e,39f:分離膜エレメント
40:濃縮水排出口
41:コネクター
42a,42b:端板
43a,43b:処理水(透過水)取出口
44:耐圧容器胴部
45a1,45b1,45c1,45d1,45e1,45f1:シール部材
45a2,45b2,45c2,45d2,45e2,45f2:シール部材
46:筒状圧力容器
47:分離膜モジュール
48:垂直にカットされたスプリット部
49,50:垂直にカットされたスプリット部の近傍のシール部材
51:テレスコープ防止板の円周溝の両側部分
52:斜めにカットされたスプリット部
53,54:斜めにカットされたスプリット部の近傍のシール部材
55:階段状にカットされたスプリット部
56,57:階段状にカットされたスプリット部の近傍のシール部材
Claims (12)
- 被処理水を濃縮水と処理水に分離するための1つもしくは複数の分離膜モジュールから構成される分離膜ユニットと、
前記被処理水を昇圧して前記分離膜ユニットに送るための昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプにより昇圧された前記被処理水を前記分離膜ユニットに送る被処理水供給ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を系外に排出する濃縮水排出ラインと、
前記濃縮水の一部または全部を前記分離膜ユニットに循環させる、前記濃縮水排出ラインから分岐し、前記被処理水供給ラインに直接接続する濃縮水循環ラインと、
前記濃縮水循環ラインに設けられ、前記濃縮水の一部または全部を昇圧して循環させるための循環ポンプと
を含むことを特徴する膜分離装置。 - 前記被処理水供給ラインと濃縮水排出ラインが入れ替え可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の膜分離装置。
- 前記被処理水供給ラインが、前記濃縮水循環ラインとの接続部分より下流において、第1流路と第2流路に分岐し、前記第1流路と第2流路それぞれに第1バルブと第2バルブが備えられ、
前記第1流路が、前記第1バルブの下流において、第3流路と第4流路に分岐し、前記第4流路に第3バルブが備えられ、
前記第2流路が、前記第2バルブの下流において、第5流路と第6流路に分岐し、前記第5流路に第4バルブが備えられ、
前記第3流路と前記第6流路はそれぞれ前記分離膜ユニットに接続され、
前記第4流路と前記第5流路は互いに接続するとともに、その接続部が前記濃縮水排出ラインに接続され、
前記第1バルブと前記第4バルブが開状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが閉状態であるとき、前記第1流路と前記第3流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第5流路と前記第6流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成し、
前記第1バルブと前記第4バルブが閉状態であり、前記第2バルブと前記第3バルブが開状態であるとき、前記第2流路と前記第6流路が前記被処理水供給ラインの一部を形成するとともに、前記第3流路と前記第4流路が前記濃縮水排出ラインの一部を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の膜分離装置。 - 前記分離膜ユニットが筒状圧力容器内に装填された少なくとも1つの分離膜エレメントから構成され、
前記分離膜エレメントが、分離膜を流路部材とともに巻回した膜巻体の外周を外装体で覆い、前記膜巻体及び外装体の少なくとも片端にテレスコープ防止板を設け、少なくとも1つの前記テレスコープ防止板の外周と前記筒状圧力容器の内周面の間に被処理水シール部材を設け、かつ前記分離膜エレメントを前記筒状圧力容器内で両方向に移動可能になっている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の膜分離装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の排出量を、濃縮水濃度に応じて調節することを特徴とする膜分離装置の運転方法。 - 前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を下回るときは、前記濃縮水を全量循環し、前記濃縮水の濃度が予め設定した濃縮水濃度を超えるときは、前記濃縮水を全量排出することを特徴とする請求項5に記載の膜分離装置の運転方法。
- 前記濃縮水を循環昇圧する圧力が、0.1bar以上、5bar以下であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の膜分離装置の運転方法。
- 前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が40bar以上、70bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の5%以上、20%以下であることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の膜分離装置の運転方法。
- 前記分離膜ユニットに供給される前記被処理水の圧力が2bar以上、20bar以下であるとともに、前記濃縮水排出ラインから排出する濃縮水の流量が前記濃縮水全体の流量の1%以上、4%以下であることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の膜分離装置の運転方法。
- 請求項3に記載の膜分離装置の運転方法であって、
前記第1バルブと前記第4バルブを開状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを閉状態で運転する第1モードと、前記第1バルブと前記第4バルブを閉状態、且つ前記第2バルブと前記第3バルブを開状態で運転する第2モードを切り替えることによって、前記分離膜ユニットへの前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替え、前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインの入れ替えを以下の順序1)〜4)で実施することを特徴とする膜分離装置の運転方法。
1)前記第1モードにおいては前記第2バルブを、前記第2モードにおいては前記第1バルブを開く。
2)前記第1モードにおいては前記第1バルブを、前記第2モードにおいては前記第2バルブを閉じる。
3)前記第1モードにおいては前記第3バルブを、前記第2モードにおいては前記第4バルブを開く。
4)前記第1モードにおいては前記第4バルブを、前記第2モードにおいては前記第3バルブを閉じる。 - 前記被処理水供給ラインと前記濃縮水排出ラインを入れ替えるに際して、前記濃縮水排出ラインから排出する前記濃縮水の流量を増加させることを特徴とする請求項10に記載の膜分離装置の運転方法。
- 前記分離膜ユニットの供給水圧力の変動が毎秒1.0bar以下に維持されるように前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブの開閉動作を行うことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の膜分離装置の運転方法。
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JP2013165476A JP2015033673A (ja) | 2013-08-08 | 2013-08-08 | 膜分離装置および膜分離装置の運転方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107935215A (zh) * | 2017-11-22 | 2018-04-20 | 南方创业(天津)科技发展有限公司 | 一种同时适用于苦咸水和海水淡化压力能回收的净水设备 |
CN111362360A (zh) * | 2020-03-24 | 2020-07-03 | 深圳市为开环保科技有限公司 | 一种膜法内循环浓缩方法 |
-
2013
- 2013-08-08 JP JP2013165476A patent/JP2015033673A/ja active Pending
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CN111362360B (zh) * | 2020-03-24 | 2022-05-24 | 深圳市为开环保科技有限公司 | 一种膜法内循环浓缩方法 |
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RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
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