JP2015032608A - 型、インプリント方法、それを用いた物品の製造方法 - Google Patents

型、インプリント方法、それを用いた物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インプリント材の充填性を良好に維持しつつ、型と基板上のインプリント材とを押し付けたときの余剰なインプリント材の溢れ出しを抑えるのに有利な型を提供する。
【解決手段】この型は、第1のパターン部を有し、第1のパターン部を未硬化状態のインプリント材に押し付けて、インプリント材を第1のパターン部の形状に成形する型であって、型とインプリント材が存在する基板との位置を合わせるために検出される第1の溝部5Cと、第1の溝部5Cに連通し、第1の溝部5Cと連通する部分が第1の溝部5Cの線幅よりも広がる形状を有する第2の溝部5Cとを含む第2のパターン部を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、型、インプリント方法、およびそれを用いた物品の製造方法に関する。
半導体デバイスやMEMSなどの微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィー技術に加え、基板上の樹脂(インプリント材)を型(モールドまたはテンプレートともいわれる)で成形し、樹脂のパターンを基板上に形成する微細加工技術がある。この技術はインプリント技術とも呼ばれ、基板上に数ナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することができる。例えば、インプリント技術の1つとして光硬化法がある。光硬化法を採用したインプリント装置では、まず、基板上のパターン形成領域の1つに樹脂(光硬化性樹脂)を塗布する。次に、この樹脂をパターン部を有する型を用いて成形する。そして、光を照射して樹脂を硬化させたうえで引き離すことにより、樹脂のパターンが基板上に形成される。なお、光硬化法以外にも、例えば熱サイクル法が存在するが、これらの相違は、樹脂を硬化させる方法にあり、型を用いて樹脂のパターンを成形するまでの工程は、基本的に同一である。
このようなインプリント装置では、型と基板上の樹脂とを押し付けたときに余剰となった樹脂の一部が、型のパターン部の外に押し出されて溢れ出す。溢れ出した樹脂は、隣接するパターン形成領域にある樹脂パターン上に乗り上げたり、または、基板上自体からも溢れ出し、例えば、基板の固定機構に不具合を生じさせたりする場合がある。そこで、このような状況を改善するために、特許文献1は、調整専用の型を準備し、予めその型と基板上の樹脂とを押し付けて樹脂の塗布分布を調整することで、通常処理時の樹脂の溢れ出し量を減らすインプリント装置を開示している。なお、この調整専用の型に形成されているパターン部の形状は、通常のインプリント処理に用いられる型に形成されているパターン部の粗密分布に合わせられている。また、特許文献2は、メインパターン部とは別に、余剰な樹脂を吸収するスペースとしてのダミーパターン部を有する型を開示している。
一方、型のパターン部は、ナノメートルオーダーで形成され、押し付けの際には、基板に対する型(パターン部)の位置合わせもナノメートルオーダーの精度が要求される。そこで、インプリント装置においても、半導体露光装置のアライメント計測と同様に、型に形成されているアライメントマークと基板上のアライメントマークとを用いた位置合わせを実施する。一般的に、型のアライメントマークは、パターン部の外周領域に形成され、押し付けが実施される基板上のショットごとのアライメント計測時に参照される。
特許第4410204号公報 特開2008−91782号公報
しかしながら、特許文献1および2に示す技術は、型のパターン部にて余剰な樹脂の発生(溢れ出し)を抑える点で有効であるが、型のアライメントマークが溝部である場合に、型のアライメントマークで生じ得る余剰な樹脂の発生について考慮したものではない。ここで、基板上への樹脂の塗布は、塗布量を微少に制御できるインクジェット方式にて実施されるのが一般的である。そして、従来のインクジェット方式の吐出部(塗布部)で制御可能な最小液滴量は、1pリットル程度である。これに対して、従来のアライメントマーク(溝部)の総容積は、0.5pリットル程度である。したがって、総容積が小さいアライメントマークに対して樹脂を充填しようとした場合に、アライメントマークから樹脂が溢れ出さないように塗布量を調整することが難しいという問題がある。また、吐出部は、型のパターン部の粗密分布に合わせて基板上に樹脂を吐出するが、この樹脂を吐出する複数のノズルが、一定の設置間隔(ピッチP1)で配列されていると想定する。この場合、塗布される複数の樹脂の配列間隔(ピッチP3)は、ノズルのピッチP1と等しい。しかしながら、ピッチP1がアライメントマークの大きさに対して数分の1以下の微細ピッチでない限り、アライメントマークの位置と基板上に吐出された樹脂の位置とのずれが大きくなる。これでは、押し付け時に樹脂の液滴が回り込まなければならない距離が長くなり、結果的に、樹脂がアライメントマークとしての溝部に完全に充填されなかったり、充填するまでに時間がかかり過ぎたりする原因となる場合がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、インプリント材の充填性を良好に維持しつつ、型と基板上のインプリント材とを押し付けたときの余剰なインプリント材の溢れ出しを抑えるのに有利な型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1のパターン部を有し、第1のパターン部を未硬化状態のインプリント材に押し付けて、インプリント材を第1のパターン部の形状に成形する型であって、型とインプリント材が存在する基板との位置を合わせるために検出される第1の溝部と、第1の溝部に連通し、第1の溝部と連通する部分が第1の溝部の線幅よりも広がる形状を有する第2の溝部とを含む第2のパターン部を有することを特徴とする。
本発明によれば、例えば、インプリント材の充填性を良好に維持しつつ、型と基板上のインプリント材とを押し付けたときの余剰なインプリント材の溢れ出しを抑えるのに有利な型を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。 塗布部に含まれる吐出部を模式的に示す図である。 第1実施形態に係るモールドの形状を示す図である。 第1実施形態に係るモールドにあるマークの形状を示す図である。 インプリント工程時の動作を時系列で示す図である。 第2実施形態に係るモールドの形状を示す図である。 第2実施形態に係るインプリント工程の流れを示すフローチャートである。 従来のモールドにあるマークの形状を示す図である。 ウエハ上への樹脂の従来の塗布方法を説明する図である。 吐出部から吐出された樹脂の状態を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る型(以下「モールド」という。)について説明する。図1は、本実施形態に係る型を適用し得るインプリント装置100の構成を示す概略図である。インプリント装置100は、物品としての半導体デバイスなどの製造に使用され、ウエハ1上(基板上)に塗布された未硬化樹脂15とモールド5とを接触させて成形し、ウエハ1上に樹脂15のパターンを形成する装置である。なお、ここでは、光硬化法を採用したインプリント装置とする。また、以下の図においては、上下方向(鉛直方向)にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内に互いに直交するX軸およびY軸を取っている。インプリント装置100は、照明系6と、モールド保持機構16と、アライメント計測系11と、ウエハステージ3と、塗布部17と、制御部18とを備える。
照明系6は、インプリント処理時に、光源から発せられた紫外線19をインプリントに適切な光に調整し、モールド5に照射する。光源は、水銀ランプなどのランプ類を採用可能であるが、モールド5を透過し、かつ樹脂(紫外線硬化樹脂)15が硬化する波長の光を発する光源であれば、特に限定するものではない。なお、本実施形態では、光硬化法を採用するので照明系6を設置しているが、例えば熱硬化法を採用する場合には、照明系6に換えて、熱硬化性樹脂を硬化させるための熱源部を設置することとなる。
モールド5は、ウエハ1に対向する面に、例えば回路パターンなどの転写すべき凹凸パターンが3次元状に形成されたパターン部(第1のパターン部)5aを含む。なお、モールド5の詳細については後述する。モールド保持機構16は、それぞれ不図示であるが、モールド5を保持するモールドチャックと、モールドチャックを保持し、モールド5を移動させるモールド駆動機構とを有する。モールドチャックは、モールド5における紫外線19の照射面の外周領域を真空吸着力や静電力により引き付けることでモールド5を保持し得る。また、モールドチャックおよびモールド駆動機構は、照明系6から照射された紫外線19がモールド5を透過してウエハ1に向かうように、中心部(内側)に開口領域を有する。モールド駆動機構は、モールド5とウエハ1上の樹脂15との押し付けまたは引き離しを選択的に行うようにモールド5を各軸方向に移動させる。モールド駆動機構に採用可能な動力源としては、例えばリニアモーターまたはエアシリンダーがある。また、モールド5の高精度な位置決めに対応するために、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向だけでなく、X軸方向やY軸方向、またはθ(Z軸周りの回転)方向の位置調整機能や、モールド5の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成もあり得る。なお、インプリント処理時の押し付けおよび引き離し動作は、モールド5をZ軸方向に移動させることで実現してもよいが、ウエハステージ3をZ軸方向に移動させることで実現してもよく、または、その双方を相対的に移動させてもよい。
アライメント計測系11は、モールド5に予め形成されているアライメントマーク(後述)と、ウエハ1に予め形成されているアライメントマーク(不図示)とを光学的に同時に観察する。制御部18は、モールド5とウエハ1との位置合わせに際して、アライメント計測系11が観察した結果を参照し、両者の相対位置関係を求める。アライメント計測系11としては、例えば自動調節スコープ(Automatic Adjustment Scope:AAS)を採用し得る。
ウエハ1は、例えば、単結晶シリコン基板やSOI(Silicon on Insulator)基板であり、被処理面には、紫外線硬化樹脂であり、モールド5に形成されたパターン部5aにより成形される樹脂15が塗布される。ウエハステージ3は、ウエハ1を保持し、モールド5とウエハ1上の樹脂15との押し付けに際して、モールド5と樹脂15との位置合わせを実施する。ウエハステージ3は、ウエハ1を吸着力により保持するウエハチャック2と、ウエハチャック2を機械的手段により保持し、定盤4上で少なくともウエハ1の表面に沿う方向に移動可能とするステージ駆動機構とを有する。ステージ駆動機構に採用可能な動力源としては、例えばリニアモーターや平面モーターがある。ステージ駆動機構も、X軸およびY軸の各方向に対して、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向の位置調整のための駆動系や、ウエハ1のθ方向の位置調整機能、またはウエハ1の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成もあり得る。
塗布部(ディスペンサー)17は、モールド保持機構16の近傍に設置され、ウエハ1上に存在するパターン形成領域としてのショット上に、樹脂(未硬化樹脂)15を所望の塗布量で、かつ所望の塗布分布で塗布する。ここで、モールド5に形成されるパターン部5aは、粗密分布を持っているので、塗布部17は、この粗密分布に合わせた量の樹脂15をウエハ1上に塗布することが望ましい。そこで、樹脂15の塗布方式としては、インクジェット方式が好適である。この場合、塗布部17は、インクジェット方式の吐出部7と、樹脂15を収容するタンク8と、タンク8から吐出部7へ樹脂を供給する供給配管9と、吐出部7を移動可能とする移動部10とを備える。図2は、吐出部7を模式的に示す断面図である。吐出部7は、ピッチP1の等間隔で直線状に配列された、未硬化状態の樹脂15を吐出する複数のノズル7aを有する。移動部10は、吐出部7を、通常の吐出時には吐出位置に位置決めし、メンテナンス(クリーニングや交換)時には退避位置に移動させる。ここで、樹脂15は、紫外線19を受光することにより硬化する性質を有する光硬化性樹脂(インプリント材)であり、物品の製造工程などの各種条件により適宜選択される。なお、樹脂15には、モールド5を押し付けた後に引き離し容易とするための離型剤が混合される。
制御部18は、インプリント装置100の各構成要素の動作および調整などを制御し得る。制御部18は、例えばコンピューターなどで構成され、インプリント装置100の各構成要素に回線を介して接続され、プログラムなどにしたがって各構成要素の制御を実行し得る。なお、制御部18は、インプリント装置100の他の部分と一体で(共通の筐体内に)構成してもよいし、インプリント装置100の他の部分とは別体で(別の筐体内に)構成してもよい。
次に、本実施形態に係るモールド5について詳説する。図3は、本実施形態に係るモールド5の形状を示し、ウエハ1に対向する側(紫外線19が照射される面の裏側)から見た概略平面図である。モールド5は、外周形状が多角形(好適には矩形または正方形)であり、上記のとおりパターン部5aを有する。モールド5の材質は、紫外線19を透過させることが可能で、かつ熱膨張率の低いことが望ましく、例えば石英とし得る。パターン部5aを有する側の面において、パターン部5aが形成されている領域(第1領域)の外周には、物品の製造工程の一部としての回路パターンの形成に係るパターンを有しない非パターン領域(第2領域)5bがある。非パターン領域5bには、押し付け動作の前に、モールド5とウエハ1との位置合わせを行うアライメント計測時に用いられる、第2のパターン部としての複数のアライメントマーク5cが配置されている。そして、パターン部5aと各アライメントマーク5cとは、電子線描画装置や半導体露光装置などを用いて、それぞれ、数十nmから数μmまでの線幅で、かつ数十nmから数百nmまでの深さの線溝として形成される。
ここで、本実施形態におけるアライメントマーク5cの形状を説明するに際し、その特徴を明確にするために、比較例として従来のモールドに形成されている一般的なアライメントマークの形状を説明する。図8は、従来の一般的な1つのアライメントマーク30cの形状の例を示す平面図である。通常、モールド5は、ウエハ1に対して2次元方向(X軸およびY軸からなる平面方向)で位置合わせされる。そこで、アライメントマーク30cは、Y軸方向で直線状に配列される第1アライメントパターン32と、それに直交する方向(X軸方向)で直線状に配列される第2アライメントパターン34とを含む。また、アライメントマーク30cは、マーク全体の中心位置を示す第3アライメントパターン33を含む。この場合、具体的な寸法およびパターン本数としては、例えば、第1アライメントパターン32を、幅3μm、長さ100μm、深さ50nm、本数15本とし、第2アライメントパターン34を、幅3μm、長さ150μm、深さ50nm、本数11本とし得る。そして、この寸法およびパターン形状を採用するならば、アライメントマーク30c(溝部)の容積は、総量で約0.5pリットルとなる。
これに対して、本実施形態におけるアライメントマーク5cの形状は、以下のとおりとする。図4は、1つのアライメントマーク5cの形状の3つを例示する平面図である。アライメントマーク5cは、アライメント計測時に実際に検出対象となり、複数の線溝の集合で構成される第1パターン(第1の溝部)5cと、第1パターン5cに結合する溝部としての第2パターン(第2の溝部)5cを含む。
図4(a)は、アライメントマーク5cの形状の第1例を示す図である。このアライメントマーク5cでは、第1パターン5cは、従来のアライメントマーク(図8参照)と同様に、第1の方向としてのX軸方向(不図示であるが、第2の方向としてのY軸方向のものも存在する。)に延びる、互いに並列の複数の線溝である。そして、複数の線溝の集合のうちのある領域が、アライメント計測系11によるアライメント計測領域20となる。一方、第2パターン5cは、第1パターン5cの端部(各線溝の端部)に連通し、かつ第1パターン5cと連通する部分が第1パターン5cの線幅よりも広がる形状を有し、アライメント計測領域20を含まない領域に設置(形成)される。この場合の第2パターン5cの形状は、第1パターン5cの寸法が図8に示すものと同等であるとすると、第1パターン5cを構成する直線の幅(線幅)よりも大きい幅(最大幅)40μmで、長軸の長さ150μm、深さ50nmの楕円形とし得る。なお、以下の図4(b)、図4(c)に示す例でも同様であるが、第2パターン5cの最大幅は、1μmから100μmまでの範囲とすることが、液滴として吐出される樹脂15を効率良く充填する観点からも望ましい。
図4(b)は、アライメントマーク5cの形状の第2例を示す図である。このアライメントマーク5cでは、第1パターン5cを構成する複数の線溝は、第1例とは異なり、すべてが同一方向に並列ではない。例えば、図中に示すように、直角部分を有する線溝(L字形溝)を複数(この例では3つ)、各辺が平行になるように並べ、互いの垂心(直角の頂点)が含まれるように、第2パターン5cを設置する構成とし得る。また、第2例では、第2パターン5cの形状を、第1例とは異なり矩形(長方形)としているが、このような形状としても構わず、この場合、上記の例でいう幅(最大幅)は、第1パターン5cと連通する側の長辺に直交する辺(すなわち短辺)の長さをいう。
図4(c)は、アライメントマーク5cの形状の第3例を示す図である。第1および第2例における第2パターン5cは、第1パターン5cを構成するすべての線溝を1つに結合させる形状を有している。これに対して、このアライメントマーク5cでは、第1パターン5cは、第1例の場合と同様に互いに並列の複数の線溝である。一方、第2パターン5cは、第1パターン5cと連通する部分が第1パターン5cの線幅よりも広がる形状を有し、その複数の線溝のそれぞれに独立して連通するものとしている。なお、図4の各図で例示した第2パターン5cの形状は、楕円形、または長方形としての矩形であるが、正方形でも構わず、この場合には、1辺の長さが1μmから100μmまでの範囲にあるように形成することが望ましい。
次に、上記のようなモールド5を用いたインプリント工程について説明する。図5は、インプリント工程の基本動作を時系列で示す概略図である。まず、ウエハステージ3上には、処理対象となるウエハ1が載置されている。ここで、図5(a)に示すように、塗布部17は、ウエハ1上に設定されている所望のショット上に樹脂15を塗布する。このとき、塗布部17は、ウエハステージ3が吐出部7のノズル7aの配列方向と直交する方向に移動するのに合わせて、複数のノズル7aの吐出タイミングを制御することで、ショット上での樹脂15の分布を調整することができる。次に、図5(b)に示すように、ウエハステージ3は、モールド5の真下にある押し付け位置に、樹脂15が塗布された状態のウエハ1を搬送する。次に、図5(c)に示すように、モールド駆動機構は、モールド5を下降させて、モールド5のパターン部5aとウエハ1上の樹脂15とを押し付ける。このとき、樹脂15は、まだ未硬化状態であり、流動性を有するので、パターン部5aに充填されるとともに、その一部は、余剰分としてモールド5の外周側に溢れ出す。以下、この余剰分として溢れ出す樹脂40を「余剰樹脂」という。この互いに押し付けた状態で、照明系6は、モールド5を介して紫外線19を照射し、樹脂15を硬化させる。そして、図5(d)に示すように、樹脂15が硬化した後、モールド駆動機構は、モールド5を上昇させて、モールド5とウエハ1上の樹脂15とを引き離す。これにより、ウエハ1上には、硬化した樹脂15が転写パターン41として形成される。
ここで、インプリント装置100は、上記インプリント工程の基本動作を、ウエハ1上に複数存在するショットのそれぞれについて実施する。このとき、インプリント装置100は、基本的には、あるショット(第1ショット)に対して転写パターン41を形成した後、次回、第1ショットの隣りの第2ショットに対して同様に転写パターン41を形成する。したがって、上記のように余剰樹脂40が発生すると、すでに形成されている第1ショット上の転写パターン41に、その余剰樹脂40が侵入する可能性がある。これに対して、余剰樹脂40が硬化しないように対策を施し、後にその余剰樹脂40を除去することも考えられる。しかしながら、その一方で、次のインプリント対象である第2ショット上にも、余剰樹脂40が侵入する可能性がある。この場合、第2ショット上には、樹脂15を塗布する前にすでに余剰樹脂40が存在することになり、その結果、第2ショット上に塗布される樹脂15の塗布量を適切な量とするために、そのときのノズル7aから吐出する量を再調整しなければならなくなる。そこで、余剰樹脂40の量を極力少なくする必要性が生じる。
しかしながら、余剰樹脂40の量を少なくするのは、以下の点で難しい。まず、上記の図8を用いた説明では、一般的なアライメントマーク30cの容積は、総量で約0.5pリットルであると述べた。さらに、モールド側のアライメントマークは、図3を用いて説明したとおり、非パターン領域5bに形成されている。したがって、ショット上におけるアライメントマーク30cの周辺領域に対応する部分では、塗布部17は、0.5pリットル以下の分解能で、樹脂15の塗布量を調整することが必要となる。しかしながら、一般的な塗布部に含まれる吐出部の構造上、最も精密なものを用いたとしても、吐出可能な最小液滴量は、1pリットル程度であり、実際上、このような微少調整は難しい。このように、樹脂15を塗布するときの最小単位がアライメントマーク30cの容量の倍以上であるということは、ショット上の特にアライメントマーク30cの周辺領域に対応する部分に塗布された樹脂15の半分以上が、余剰樹脂40となることを意味する。
また、吐出部のノズルのピッチと、アライメントマーク30cの位置との関係も考慮する必要がある。図9は、従来のインプリント装置における、モールド30に形成されているパターン部30aおよびアライメントマーク30cの各位置と、一般的な吐出部(塗布部)から塗布されるウエハ上の樹脂の位置との対応関係を示す概略平面図である。図中、2点鎖線で示す範囲(メッシュ25)は、吐出部の各ノズルがそれぞれ樹脂(樹脂の液滴)15を塗布し得る範囲(1つの四角で囲まれる領域が、1つのノズルが塗布し得る領域)を示す。このうち、ピッチP2は、メッシュ25のX軸方向のピッチ(塗布領域のX軸方向の間隔)であり、一方、ピッチP3は、メッシュ25のY軸方向のピッチ(塗布領域のY軸方向の間隔)である。例えば、Y軸方向にノズル7aの配列を合わせ、ウエハステージ3の送りをX軸方向に合わせるとすると、ピッチP3の値がノズル7aのピッチP1に等しい格子状のメッシュ25で、樹脂15の塗布座標を表すことができる。また、ピッチP2は、X軸方向でのウエハステージ3の送りにより調整され得る。例えば、ウエハステージ3の送りピッチを小さくすれば、ピッチP2が狭くなる。
まず、図9(a)に示すように、従来のモールド30には、本実施形態に係るモールド5と同様に、パターン部30aと、その周辺の非パターン領域30bとがある。非パターン領域30bには、図8に示すようなアライメントマーク30cが形成されている。これに対して、塗布部(便宜上、本実施形態の塗布部17と同一のものとする。)は、図9(b)に示すように、ウエハ1上のショットには、図9(a)に示す各パターンの位置と粗密分布とに合わせて樹脂15を塗布する。ここで、ノズル7aは、図2に示すようにピッチP1の間隔で配列しているものとすると、図9(a)のY軸方向にノズル7aの配列方向を合わせた場合には、塗布される各樹脂15a〜15gのピッチP3は、ピッチP1と等しくなる。しかしながら、ピッチP1がアライメントマーク30cの大きさに対して数分の1以下の微細ピッチでない限り、例えば、図9(b)に示すように、アライメントマーク30cの位置とその位置に対応した樹脂15a〜15dの位置とのずれが大きくなる。そのため、押し付け時には、樹脂15a〜15dの塗布位置からアライメントマーク30cを構成する各アライメントパターン32、34に到達するまでの距離が長くなる。これは、樹脂15が各アライメントパターン32、34に完全に充填されなかったり、充填するまでに時間がかかり過ぎたりする原因となり得る。
そこで、本実施形態では、モールド5のアライメントマーク5cの形状を、図4に示すように、第1パターン5cに結合する溝部、すなわち余剰樹脂40となり得る樹脂15が一時的に溜まる液溜まりとしての第2パターン5cを有する形状とする。そして、上記例示した寸法および形状で考えれば、第1パターン5cと第2パターン5cとの総容積が1pリットル以上となるように、第2パターン5cを形成することが望ましい。これにより、塗布部17(吐出部7)が従来と同等の精度(分解能)であるとしても、未充填の発生を抑えつつ、余剰樹脂40の発生も好適に抑えることができる。また、上記のようなアライメントマーク5cの形状とすることで、アライメントマーク5cの分布領域(すなわちパターン(溝)面積)が拡大するため、樹脂15の塗布座標位置の制御精度が緩くなる。したがって、図9を用いて説明したような、アライメントマーク5cの位置と樹脂15a〜15dの塗布位置とにずれが生じる場合があったとしても、押し付け時には、アライメントマーク5cに樹脂15が満遍なく、かつ迅速に充填されやすくなる。
以上のように、本実施形態によれば、樹脂の充填性を良好に維持しつつ、モールドとウエハ上の樹脂とを押し付けたときの余剰な樹脂の溢れ出しを抑えるのに有利なモールドを提供することができる。
なお、図3に示すように、モールド5のパターン部5aが形成された面と対向する面(パターン対向面)で、アライメントマーク5cのうち第2パターン5cと同じ位置に、樹脂15を硬化させる光の波長を透過させない遮光膜(遮光部材)21を配置している。そのため、樹脂15を硬化させる紫外線19を照射する工程では、紫外線19が第2パターン5cにある樹脂15に届くことはなく、その樹脂15は硬化しない。樹脂15が硬化した場所は、モールド5と樹脂15とを剥離する際に大きな力を必要とするが、第2パターン5cにある樹脂15を硬化させないことで、剥離の際に必要な力が余計に増加することを抑えることができる。なお、遮光膜21は、モールド5のパターン対向面ではなく、照明系6内に配置されてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るモールド、およびそれを用いたインプリント方法について説明する。本実施形態の特徴は、第1実施形態に係るモールド5に形成されているアライメントマーク5cの形状を以下のように変更する点にある。図6は、本実施形態に係るモールド5に形成されているパターン部5aおよびアライメントマーク5cの各位置と、本実施形態における第2パターン部5cの形状とを示す概略平面図である。なお、図6の記載は、従来の場合について示した図9の記載に対応している。本実施形態では、第1実施形態でいうY軸方向で直線状に配列される第1アライメントパターンと、X軸方向で直線状に配列される第2アライメントパターンとにそれぞれ連通している2つの第2パターン5cが、直角に(いわゆるL字形に)つながっている。そして、本実施形態における一体としての第2パターン5cは、その一部が塗布部17による樹脂15の塗布位置(塗布座標)に合うように、予めモールド5に形成される。
図10は、吐出部7から吐出された樹脂15の状態を説明する図である。例えば、吐出部7のノズル7aから1pリットルの樹脂15を吐出したとき、空中の樹脂液滴42の直径φD1は、13μm程度である。そして、その樹脂液滴42がウエハ1の表面に着地すると、着地後の樹脂液滴43の直径φD2は、50〜80μmとなる。すなわち、ウエハ1上で隣り合う樹脂液滴43が互いに独立して存在するには、ピッチP2を100μm以上とする必要がある。
一方、ピッチP3は、ノズル7aのピッチP1と等しいものとし、インクジェット方式の吐出部7の分解能が細かいもので600dpi程度であることから、最小で43μm程度となる。しかしながら、着地後の樹脂液滴43の直径φD2が、上記と同様に50〜80μmとして、かつ250〜300dpiの分解能の吐出部7を用いるものとすると、ピッチP3も、ピッチP2と同様に100μm以上とすることが望ましい。なお、塗布部17は、ノズル7aの液詰まりを抑止する観点から、分解能600dpiの吐出部7を用いて、通常はノズル7aを1個置きで使用し、未使用のノズル7aを予備として確保しておいてもよい。
ここで、再度、従来の場合の図9を参照すると、アライメントマーク30cの各アライメントパターン32、34の長さが100〜150μmである場合、この長さとピッチP2、P3の長さとが同程度の値になる。これは、上記のとおり、各アライメントパターン32、34の位置と、その位置に対応した樹脂15の塗布位置とにずれが生じる可能性があることを意味する。そして、これが、樹脂15が各アライメントパターン32、34に完全に充填されなかったり、充填するまでに時間がかかり過ぎたりする原因となり得ることは、上述のとおりである。そこで、本実施形態では、第2パターン5cを、樹脂15の塗布位置に合わせて配置する。これにより、アライメントマーク5cを構成する第1パターン5cと第2パターン5cとのすべてが1つに連通することになるので、パターン溝での樹脂15の回り込みが早く、結果的に完全に充填されるまでの時間をさらに短くすることができる。
図7は、本実施形態に係るモールド5を用いたときのインプリント工程(インプリント方法)の流れを示すフローチャートである。まず、制御部18は、塗布工程として、図5(a)を用いて説明したように、塗布部17に、ウエハ1上の所望のショットに樹脂15を塗布させる(ステップS101)。そして、塗布部17は、パターン部5aに対向する塗布位置のみならず、アライメントマーク5cに対向する塗布位置にも樹脂15を塗布するが、ここでは、第2パターン5cに対向するように(合うように)塗布する。なお、第2パターン5cに対向するように樹脂15を塗布するのは、複数のノズル7aの設置間隔(ピッチP1)の寸法に基づいて、非パターン領域5b上の好適な設置位置を決定し、その設置位置に予め第2パターン5cを形成しておくことで対応可能である。次に、制御部18は、図5(a)を用いて説明したように、ウエハステージ3に、モールド5の押し付け位置に、樹脂15が塗布された状態のウエハ1を搬送させる(ステップS102)。次に、制御部18は、押し付け工程(押型工程)として、図5(c)を用いて説明したように、モールド駆動機構にモールド5を下降させて、モールド5のパターン部5aとウエハ1上の樹脂15とを押し付ける(ステップS103)。このとき、余剰樹脂40が発生する可能性があるが、本実施形態によれば、上記説明したモールド5を採用することで、その発生を極力抑えることができる。次に、制御部18は、硬化工程として、押し付け状態で照明系6に紫外線19を照射させ、樹脂15を硬化させる(ステップS104)。そして、制御部18は、引き離し工程(離型工程)として、図5(d)を用いて説明したように、樹脂15の硬化後、モールド駆動機構にモールド5を上昇させて、モールド5とウエハ1上の樹脂15とを引き離させる(ステップS105)。
なお、従来の場合の図9(b)に示したように、アライメントマーク30cがメッシュ25の境目(図中の2点鎖線上)に存在する場合がある。この場合、樹脂15は、パターン部30aの粗密分布に合わせて塗布されることで、樹脂15a〜15dのように、アライメントマーク30cに直接かからず分散して塗布される。ここで、インプリント装置の仕様によっては、ステップS103の前工程として、押し付けの際の、充填された樹脂15に気泡の混入を抑えるため、または、位置ずれを抑えるために、モールド5の表面を微少に凸形に撓ませる場合がある。この場合、次工程のステップS103では、制御部18は、モールド5を凸形に撓ませた状態のまま、中央部分から樹脂15に押し付ける。このような押し付けを行うと、樹脂15a〜15cは、押し付けに伴い、ショットの外側に向かって、すなわちアライメントマーク30cから逃げる方向に拡散する。これに対して、本実施形態によれば、このような押し付けを行っても、樹脂15の塗布位置に合わせて第2パターン5cを配置しているので、拡散方向に関係なく、樹脂15を第2パターン5cに効率良く充填させることができる。
(物品の製造方法)
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、上述したインプリント方法を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを形成する工程を含む。さらに、該製造方法は、パターンを形成された基板をエッチングする工程を含み得る。なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりにパターンを形成された基板を加工する他の処理を含み得る。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
5 モールド
5a パターン部
5c アライメントマーク
5c 第1パターン
5c 第2パターン

Claims (8)

  1. 第1のパターン部を有し、該第1のパターン部を未硬化状態のインプリント材に押し付けて、前記インプリント材を前記第1のパターン部の形状に成形する型であって、
    前記型と前記インプリント材が存在する基板との位置を合わせるために検出される第1の溝部と、該第1の溝部に連通し、該第1の溝部と連通する部分が前記第1の溝部の線幅よりも広がる形状を有する第2の溝部とを含む第2のパターン部を有することを特徴とする型。
  2. 前記インプリント材を硬化させる光が前記第2の溝部に照射されることを遮る遮光部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の型。
  3. 前記第1の溝部は、線幅が数十nmから数μmまでの範囲にある複数の線溝を有し、
    前記第2の溝部は、前記複数の線溝に連通することを特徴とする請求項1または2に記載の型。
  4. 前記第2の溝部の形状は、長方形または楕円形であり、
    前記複数の線溝が連通する側の前記第2の溝部の長辺または長軸に直交する方向の最大幅は、1μmから100μmまでの範囲にある、
    ことを特徴とする請求項3に記載の型。
  5. 前記第2の溝部の形状は、1辺の長さが1μmから100μmまでの範囲にある正方形であることを特徴とする請求項3に記載の型。
  6. 基板上に未硬化状態のインプリント材を塗布して型で成形し、基板上に前記インプリント材のパターンを形成するインプリント方法であって、
    前記型は、第1のパターン部と、前記型と前記基板との位置を合わせるために検出される第1の溝部と、該第1の溝部に連通し、該第1の溝部と連通する部分が前記第1の溝部の線幅よりも広がる形状を有する第2の溝部とを含む第2のパターン部とを含み、
    前記型と前記未硬化状態のインプリント材とを押し付けるときに前記第2の溝部に対向する位置に、前記インプリント材を塗布する塗布工程を含む、
    ことを特徴とするインプリント方法。
  7. 前記塗布工程では、前記インプリント材は、直線状に並ぶ複数のノズルからインクジェット方式で吐出され、
    前記型における前記第2の溝部の設置位置は、前記複数のノズルの設置間隔に基づいて決定される、
    ことを特徴とする請求項6に記載のインプリント方法。
  8. 請求項6または7に記載のインプリント方法を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成する工程と、
    前記工程で前記パターンを形成された基板を加工する工程と、
    を含むことを特徴とする物品の製造方法。
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