JP2015032501A - エレクトロルミネセンス素子 - Google Patents

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聖也 木町
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Abstract

【課題】高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることができ、複雑なプロセス制御を要することなく製造可能なEL素子を提供する。【解決手段】EL素子1は、第1の電極層30と発光体層40と透光性を有する第2の電極層50とを順次備える。EL素子1は、第1の電極層30と発光体層40との間に、面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21と、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に形成された針状導電体22とを含む針状導電体層20を備える。【選択図】図1A

Description

本発明は、エレクトロルミネセンス素子に関するものである。
無機エレクトロルミネセンス(以降、「EL」と略記する場合がある。)素子は、大面積化が可能である、長寿命であるなどの特徴を持つ自発光素子である。
従来、無機EL素子として、薄膜型無機EL素子と分散型無機EL素子とが知られている。
薄膜型無機EL素子は、透光性を有する絶縁性基板上に、透光性を有する下部電極層、発光体層、及び上部電極層が順次積層された素子である(特許文献1の図4参照)。
下部電極層と発光体層との間、及び/又は、発光体層と上部電極層との間に、絶縁体層が設けられる場合がある。
薄膜型無機EL素子において、発光体層材料としては、母体化合物に少なくとも1種の発光中心元素が添加されたものが好ましく用いられる。
母体化合物としては、ZnS、SrS、及びCaS等のII−VI族二元化合物、並びにCaGa、SrGaS、及びBaAl等のII−III−VI族三元化合物等が知られている。また、発光中心元素としては、Mn、Cu、Au、及び希土類等の金属元素が挙げられる。
発光体層材料としては例えば、橙色の発光色を示すZnS:Mn、緑色の発光色を示すZnS:Tb、及び青色の発光色を示すBaAl:Eu等がある(特許文献1の段落0004参照)。
電界中で、発光体層内を流れる電子が発光中心元素に衝突すると、発光中心元素が励起されて発光を示す。電子の衝突エネルギーが高い程、発光中心元素の励起が起こりやすいため、高電界になることで高い発光輝度が得られる。例えば、ZnS:Mnでは1×10V/cm以上の電界で励起が起き、急激に発光輝度が上昇する。
一方、分散型無機EL素子は、フッ素系樹脂あるいはシアノ基含有樹脂等の高誘電性樹脂からなるバインダ中に蛍光体粒子を分散させた発光体層と、この発光体層を挟持する一対の電極板とを備える素子である(特許文献2の請求項7参照)。通常、分散型無機EL素子は、絶縁破壊を防ぐために高誘電性樹脂中にチタン酸バリウムのような誘電体物質を分散させた誘電体層をさらに備える。
特許文献2には、硫化亜鉛(ZnS)を母体化合物とし、Cu等の付活剤及びCl等の共付活剤が添加されたEL蛍光体粉末、及びこれを用いたEL素子が開示されている(請求項1)。
付活剤としてCuを用いる場合、ZnS結晶内に固溶されなかった余剰のCuが、積層欠陥の隙間に析出し、針状導電体を形成する。この針状導電体を含む蛍光体粒子に交流電圧が印加されると、針状導電体の先端部に電界が集中し、発光に寄与する電流が集中的に流れることにより、1×10V/cm程度の比較的低電界でもEL発光が得られる(非特許文献1参照)。針状導電体が電極面に対して垂直であるほど、電界が集中しやすいため、高発光輝度が得られやすい。針状導電体が析出する(111)結晶面を配向させることで、電極面に対して垂直配向した針状導電体が増加し、電界集中が起こりやすくなり、発光輝度が向上する(特許文献2の段落0005参照)。
特開2008-251336号公報(特許4928329号公報) 特開2004-131583号公報 特許4271467号公報(特開2004-285405号公報) 特開平4-87213号公報 特開2004-273289号公報
J. Electrochem. Soc., Vol.110, No.7, 733-748 (1963). Chemistry Letters, Vol.35, No.12, 1352-1353 (2006). Electrochemistry Communications 13 (2011) 458-461. Nanoscale Research Letters 2012, 7:406.
特許文献1等に記載の従来の薄膜型無機EL素子においては、発光輝度及び発光効率等の発光特性の改良が試みられている。しかしながら、高発光輝度を得るためには高電界が必要であり、発光に寄与せず熱となる電力が多く、発光効率が低下する傾向がある。
一方、特許文献2等に記載の従来の分散型無機EL素子においては、Cu等の針状導電体の先端部付近で集中電界が発生することで、比較的低電界で高発光輝度が得られる。しかしながら、発光体層が蛍光体粒子とバインダとを含むため、発光体層に印加された電界は蛍光体粒子とバインダとの両方に分配される。その結果、バインダにより消費される電力が大きく、発光効率が低下する傾向がある。また、蛍光体粒子内のCu等の針状導電体は結晶面内で多方向(ランダム方向)に析出することから、電極面に対して垂直配向している針状導電体の割合が少なく、電界が集中しにくい。
以上の理由から、従来の薄膜型無機EL素子と分散型無機EL素子は共に、発光輝度及び発光効率を充分に向上することは困難である。
上記は特に無機EL素子における課題であるが、有機EL素子でも発光輝度及び発光効率を充分に向上できることが好ましい。
本発明の関連技術としては、特許文献3〜5及び非特許文献3、4がある。
特許文献3には、被陽極酸化金属体を陽極酸化し、得られた陽極酸化金属膜の複数の非貫通孔のうちの一部を選択的に貫通孔とし、その内部に選択的に針状導電体を形成した微小電極アレイが記載されている(請求項1、2、図2)。
この文献では、被陽極酸化金属体(Al)に対してSiCモールドをプレスすることにより、表面に複数の窪みを設けてから陽極酸化を実施している。この方法で製造される陽極酸化金属膜では、窪みを形成した部分の細孔長が窪みを形成しなかった部分の細孔長よりも長くなる。窪みを形成した部分とそうでない部分は、バリア層の厚みが異なるので、窪みを形成しなかった部分の非貫通孔を選択的に貫通孔とし、その内部に選択的に針状導電体を形成することができる。
しかしながら、この方法はプロセスが複雑である。また、窪みを形成した部分のバリア層は残しつつ、窪みを形成しなかった部分のバリア層は確実に除去する必要があり、バリア層除去の制御が難しい。また、被陽極酸化金属体(Al)の表面に微細な凹凸が有り、平坦性が低い場合には、SiCモールドをプレスしても窪みを設けることができない。一般に金属体製造時の加工工程においては、圧延筋のような数μm以上の凹凸が発生することが多い。従って、被陽極酸化金属体(Al)の平坦性の点から大面積化が難しい。
特許文献4には、半導体チップの用途において、複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜を得た後、その表面にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、一部の貫通孔を選択的に拡径し、拡径した貫通孔内に選択的に針状導電体を形成する異方性導電体膜の製造方法が記載されている(第3図(a)〜(e))。
陽極酸化金属膜は親水性を有するのに対し、レジストは親油性を有するため、陽極酸化金属膜の表面に直接レジストを塗布することは容易ではない。特許文献4に記載の方法を実施するには、少なくとも疎水化剤が必要である。疎水化剤を用いたとしても、内部に針状導電体を形成したくない貫通孔内の空間の上に、その開口部を封止するようにレジストを確実に塗布することは困難である。
上記のように、特許文献4はそもそも実現が難しい。
また、特許文献4に記載の方法では、貫通孔内に形成された針状導電体の先端が、疎水化剤、レジストあるいはレジストパターン除去に用いる溶剤により汚染又は変質されて、エミッタとしての性能が低下する恐れもある。
また、レジストが貫通孔内に残存した場合、加熱プロセスにより熱拡散してエミッタ全体が汚染され、エミッタとしての性能が低下する恐れもある。
特許文献5には、導電性基板上に複数の粒子を配列させ、得られた粒子マスクを介して(半)導電体材料を成膜し、粒子マスクを除去するデバイスの製造方法が開示されている(要約書)。この方法では、複数の粒子の隙間に突起を形成できる(図3)。導電性基板としては、単結晶シリコンウエハ、及びチタン等が用いられている(実施例1〜5)。粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、及びポリスチレンが挙げられている(請求項4)。(半)導電体材料としては、タングステン、シリコン、窒化チタン、及びアモルファスカーボンが挙げられている(請求項5)。
非特許文献3には、GaAs基板上に複数の粒子を配列させ、得られた粒子マスクを介してGaAs基板をエッチングして、GaAsピラー構造体を製造する方法が記載されている。
非特許文献4には、シリコン基板上に、相対的に大きい径を有する複数の無機粒子と相対的に小さい径を有する複数の樹脂粒子とを含む粒子層を形成し、複数の無機粒子を除去して粒子状の空洞部を形成し、空洞部内に導電体膜を形成したデバイスの製造方法が記載されている。
特許文献5及び非特許文献3、4に記載の方法は、陽極酸化金属膜を用いたものではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることができ、複雑なプロセス制御を要することなく製造可能なEL素子を提供することを目的とするものである。
本発明のエレクトロルミネセンス(EL)素子は、
第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備えたエレクトロルミネセンス素子であって、
さらに、
前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された針状導電体とを含む針状導電体層を備えたものである。
本明細書において、「針状」とは長さ/直径が2以上の形状を指す。
本発明に係る第1の態様のEL素子は、
前記第1の電極層が、内部に前記針状導電体が形成された前記貫通孔の開口部を覆い、前記針状導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と、内部に前記針状導電体が形成されていない前記貫通孔の開口部を覆い、前記第1の導電体膜に繋がって形成され、前記針状導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを含むものである。
本発明に係る第2の態様のEL素子は、
一方の面に前記第1の電極層が形成された前記細孔構造体を用意する工程(A2)と、
前記細孔構造体の他方の面に、前記貫通孔よりも大きい径を有する複数の樹脂粒子を配置する工程(B2)と、
前記細孔構造体に接する前記樹脂粒子の底部を前記細孔構造体に固着させて、一部の前記貫通孔の開口部を封止する工程(C2)と、
前記複数の樹脂粒子を固着させた前記細孔構造体に対して電解メッキを実施する工程(D2)と、
前記複数の樹脂粒子を除去する工程(E2)とを順次有する製造方法により製造されたものである。
本発明に係る第3の態様のEL素子は、
さらに、
前記細孔構造体の前記第1の電極層側の一方の面に形成された無機粒子層と、
前記細孔構造体の前記一方の面に接して前記無機粒子層内に形成され、前記貫通孔よりも径の大きい複数の粒子状の空洞部とを備え、
前記空洞部内に、前記細孔構造体の前記一方の面に接して、前記針状導電体をメッキ可能な材料からなる前記第1の電極層が形成されており、
前記複数の貫通孔のうち前記第1の電極層に接した貫通孔内に選択的に前記針状導電体が形成されたものである。
本発明の第1のEL素子の製造方法は、
上記の第1の態様のEL素子の製造方法であって、
前記細孔構造体を用意する工程(A1)と、
前記細孔構造体の一方の面に、内部に前記針状導電体が形成される前記貫通孔の開口部を覆い、前記針状導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と、内部に前記針状導電体が形成されない前記貫通孔の開口部を覆い、前記第1の導電体膜に繋がって形成され、前記針状導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを形成する工程(B1)と、
前記第1の導電体膜及び前記第2の導電体膜を電極層として、前記細孔構造体に対して電解メッキを実施する工程(C1)とを順次有するものである。
本発明の第2のEL素子の製造方法は、
上記の第2の態様のEL素子の製造方法であって、
一方の面に前記第1の電極層が形成された前記細孔構造体を用意する工程(A2)と、
前記細孔構造体の他方の面に、前記貫通孔よりも大きい径を有する複数の樹脂粒子を配置する工程(B2)と、
前記細孔構造体に接する複数の前記樹脂粒子の底部を前記細孔構造体に固着させて、一部の前記貫通孔の開口部を封止する工程(C2)と、
前記複数の樹脂粒子を固着させた前記細孔構造体に対して電解メッキを実施する工程(D2)と、
前記複数の樹脂粒子を除去する工程(E2)とを順次有するものである。
本発明の第3のEL素子の製造方法は、
上記の第3の態様のEL素子の製造方法であって、
前記細孔構造体を用意する工程(A3)と、
前記細孔構造体の一方の面に、複数の無機粒子と、前記貫通孔および前記無機粒子よりも径の大きい複数の樹脂粒子とを含み、少なくとも一部の前記樹脂粒子が前記細孔構造体の前記一方の面に接した粒子層を形成する工程(B3)と、
前記細孔構造体に接する前記樹脂粒子の底部を前記細孔構造体に固着させて、一部の前記貫通孔の開口部を封止する工程(C3)と、
前記複数の樹脂粒子を除去して、前記粒子層の内部に複数の粒子状の空洞部を形成する工程(D3)と、
前記空洞部内に前記細孔構造体の前記一方の面に接する第1の電極層を形成する工程(E3)と、
前記第1の電極層に通電して、前記細孔構造体に対して電解メッキを実施する工程(F3)とを順次有するものである。
本発明によれば、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることができ、複雑なプロセス制御を要することなく製造可能なEL素子を提供することができる。
本発明に係る一実施形態のEL素子の全体模式断面図である。 図1AのEL素子における貫通孔及び針状導電体の平面パターン例を示す図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の製造方法を示す工程図である。 図1AのEL素子の設計変更例を示す模式断面図である。 実施例1で得られた下部電極層と針状導電体層との積層構造体のSEM表面写真である。 実施例5で得られた下部電極層と針状導電体層との積層構造体のSEM表面写真である。 実施例6で得られた下部電極層と針状導電体層との積層構造体のSEM表面写真である。
「EL素子」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態のEL素子の構造について説明する。
図1Aは、本実施形態のEL素子の全体模式断面図である。
図1Bは、貫通孔21H及び針状導電体22の平面パターンを示す図である。
図3は、設計変更例を示す図である。
図1及び図3において、同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
図1Aに示すように、本実施形態のEL素子1は、図示下方より、下部電極層(第1の電極層)30と発光体層40と透光性を有する上部電極層(第2の電極層)50とを順次備えている。
EL素子1は、さらに、下部電極層30と発光体層40との間に、面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21と、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に形成された針状導電体22とを含む針状導電体層20を備えている。
本実施形態において、下部電極層30は第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる。
図中、符号21Sは細孔構造体21の一方の面(図示下面)であり、符号21Dは面21Sにおける貫通孔21Hの開口部である。
細孔構造体21の面21Sには、下部電極層30として、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、針状導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、針状導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とが形成されている。
本実施形態において、第1の導電体膜31は、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成されている。第2の導電体膜32は、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第1の導電体膜31のパターン単位同士を繋ぐように形成されている。本実施形態において、第2の導電体膜32はパターンを有しないベタ膜である。
本実施形態において、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とを互いに繋がるように形成しているのは、これらを一体として下部電極層30とするためである。これにより、互いに離間形成された第1の導電体膜31の複数のパターン単位を第2の導電体膜32を介して導通することができる。
図1A及び図1Bに示す例において、平面視で、第1の導電体膜31のパターン単位31Pは、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hを2個×2個含む略矩形状パターンである。平面視で、互いに隣接する第1の導電体膜31のパターン単位31Pの間には、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hが2個×2個ある。上述のように、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの直下には、第2の導電体膜32が形成されている。
なお、パターン設計は一例に過ぎず、複数の貫通孔21Hのうちいずれの内部に針状導電体22を形成するかは、自在に設計可能である。本実施形態では、第1の導電体膜31のパターンを変更することで、内部に針状導電体22を形成する貫通孔21Hを自在に選択できる。
貫通孔21Hの内部に形成された針状導電体22は、電解メッキ可能な材料からなる。
針状導電体22の組成は特に制限されず、導電性が高い程、集中電界強度が高くなり、好ましい。
針状導電体22は、Ag、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Mo、Ni、Sn、W、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属または金属化合物を含むことが好ましい。
上記の中で、製造容易で導電性が高い点からは、Ni及び/又はAgを含む金属または金属化合物が特に好ましい。
上記の中で、融点が高い点からは、Mo及び/又はWを含む金属または金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
第1の導電体膜31は、針状導電体22の材料をメッキ可能な材料からなる。
第1の導電体膜31は、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属または金属化合物を含むことが好ましい。
上記の中で、標準電極電位が高い点から、Au及び/又Agを含む金属または金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
第2の導電体膜32は、針状導電体22の材料をメッキ難な材料(難メッキ材料)からなる。難メッキ材料としては、表面に絶縁性が高い酸化皮膜が発生しやすい金属または金属化合物が挙げられる。
第2の導電体膜32は、Al、Mg、Si、Ti、Mo、及びWからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属または金属化合物、またはステンレスを含むことが好ましい。
上記の中で、製造容易で安価な点から、Alを含む金属または金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
ステンレスとしては、Fe−Ni−Cr合金等が挙げられる。
本実施形態のEL素子1において、針状導電体層20に電圧が印加されると、針状導電体22が高誘電率であるため、針状導電体22の発光体層40側の先端部の電荷密度が高くなる。
以降、特に明記しない限り、針状導電体22の先端部は、「針状導電体22の発光体層40側の先端部」を意味するものとする。
電荷に近いほど電気力線は高密度になり、電気力線の密度は電界強度に比例するため、針状導電体22の先端部付近は高電界強度となる。つまり、針状導電体22の先端部付近で電界集中が起こる。
針状導電体22が電圧印加方向に対して長いほど、先端部の電荷密度が高くなり、先端部付近の電界強度が増大する傾向がある。また、針状導電体22の直径が小さいほど、先端部の電荷密度が高くなり、先端部付近の電界強度が増大する傾向がある。
「背景技術」の項に挙げた非特許文献1より、集中電界強度は以下の式で表されると考えられる。
(集中電界強度)=(係数)×(針状導電体の長さ/針状導電体の断面積)×(平均印加電界)
本実施形態において、貫通孔21H及び針状導電体22の断面積は、およそ細孔径の2乗に比例する。また、発光輝度は集中電界強度の2乗に比例するため、細孔長の4乗に比例し、細孔径の4乗に反比例する。すなわち、細孔長が長く、細孔径が小さいほど、集中電界強度が増加し、発光強度が増加する傾向がある。
なお、貫通孔21H及び針状導電体22の断面形状が真円からずれる場合、その直径は、同等の断面積を有する真円の直径により定義するものとする。
「課題を解決するための手段」の項で定義したように、本明細書において、「針状」とは長さ/直径が2以上の形状を指す。
従来の分散型無機EL素子で用いられる蛍光体粒子内の針状導電体の長さは、粒子径にもよるが通常1〜20μmの範囲内であり、針状導電体の直径は通常0.01〜0.5μmである。本実施形態における針状導電体22についても、同様の長さと直径が好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の長さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の直径は0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。
形成容易性を考慮すれば、針状導電体22の直径は0.02μm以上であることが好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の長さ/直径は100以上であることが好ましい。
本実施形態において、複数の針状導電体22は、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に形成されている。
針状導電体22の好ましいサイズを考慮すれば、貫通孔21Hの長さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
貫通孔21Hの直径は0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。
貫通孔21Hの長さ/直径は100以上であることが好ましい。
図面上は、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hにおいては、針状導電体22が完全に充填され、針状導電体22の先端部と発光体層40とは互いに密着している場合について図示してあるが、1つの貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率は100%でなくてもよい。
つまり、針状導電体22の先端部と発光体層40とは互いに密着している必要は無い。ただし、集中電界強度が高くなることから、針状導電体22の先端部と発光体層40とは近いほど好ましい。この点を考慮すれば、1つの貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率は高いほど好ましい。
本明細書において、1つの貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率は、針状導電体22の長さ/貫通孔21Hの長さ×100(%)により定義するものとする
1つの貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率は、70〜100%が好ましい。
1つの貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率にばらつきがあってもよいが、この場合、貫通孔21Hと発光体層40との離間距離にばらつきが生じ、電界集中効果にばらつきが生じることになる。発光の面内均一性を考慮すれば、充填率のばらつきは小さい方が好ましい。
貫通孔21Hの長さは、好ましい針状導電体22の長さと、貫通孔21Hの内部における針状導電体22の充填率とを考慮して、決定される。
針状導電体22の数密度は高いほど集中電界による発光部分が増加するため、高い発光輝度が得られるし、発光輝度の面内均一性も高くなり、好ましい。しかしながら、互いに隣接する針状導電体22間の距離が近くなりすぎると、各針状導電体22先端にかかる電界が遮蔽され、それぞれの針状導電体22に集中する電気力線が低密度になり、電界強度が低下する恐れがある。このような電界強度の低下を抑制するには、互いに隣接する針状導電体22の離間距離を0.02μm以上とすることが好ましい。
本実施形態では、細孔構造体21の複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に複数の針状導電体22が選択的に形成されている。
本実施形態では、第1の導電体膜31の1個のパターン単位31Pの直上に形成された複数の貫通孔21Hの内部に形成された複数の針状導電体22が、1つの針状導電体群22Gを構成している。平面視で、複数の針状導電体群22Gは、内部に針状導電体22が形成されていない複数の貫通孔21Hを介して、互いに離間されている。本実施形態では、複数の針状導電体群22Gの間が互いに離間されており、その間隔の制御も容易である。
本実施形態では、針状導電体22の間隙を広範囲で制御することができる。例えば、針状導電体22の間隙(本実施形態では、互いに隣接する針状導電体群22Gの間隙)を100nm程度から数十μm程度の範囲で制御することができる。その結果、針状導電体22間隙が狭くなりすぎて、各針状導電体22先端にかかる電界が遮蔽されることを抑制でき、高い電界集中効果を発現できる。
針状導電体22の数密度は、1個/μm以上であることが好ましい。
針状導電体22の数密度は、400個/μm以下であることが好ましい。
針状導電体22の数密度は、10〜300個/μmであることがより好ましい。
発光体層40は電界中で励起されて発光する層である。発光体層40の厚さは、針状導電体22の先端部付近に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.05〜2μmの範囲が好ましい。
発光体層40の材料としては特に制限されず、EL素子用の公知の発光体材料を用いることができる。
EL素子1は、平面視にて、異なる波長の光を発光する複数種の発光体層40がアレイ配列されたものであってもよい。
発光体層40の材料としては、ZnS:Mn、ZnS:Tb,F、ZnS:Pr,F、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Cu,Cl、Y:Eu、ZnSiO:Eu、SrS:Ce、BaAl:Eu、BaMgAl1017:Eu、MgWO、CaWO、RbVO、及びCsVOなどの無機化合物、あるいはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの有機化合物が挙げられる。これらは、1種又は複数種を用いることができる。
図示するように、針状導電体層20と発光体層40との間に、絶縁体層(下部絶縁体層)60を設けることが好ましい。絶縁体層60は、単層構造でも積層構造でもよい。
絶縁体層60はバリア層として機能し、貫通孔21Hの内部に形成された針状導電体22の成分が発光体層40に拡散し、発光を不活性にすることを抑止できる。
絶縁体層60の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、及びAlなどの酸化物、Si、AlN、及びTiNなどの窒化物、SiON、及びAlONなどの酸窒化物、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の先端部と発光体層40とは近いほど好ましいことを述べた。
絶縁体層60の有無に拘わらず、針状導電体22と発光体層40との離間距離は1μm以下であることが好ましい。
絶縁体層60の厚さは、針状導電体22に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.2μm以下であることが好ましい。
絶縁体層60の厚みが過小では、バリア層として機能が効果的に得られない。
絶縁体層60の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。
上記のように、針状導電体層20と発光体層40との間に絶縁体層60を設けてもよいが、針状導電体層20と発光体層40との間に導電体層は設けない。針状導電体層20と発光体層40との間に導電体層は設けると、導電体層が実質的に下部電極層として機能し、複数の針状導電体22による電界集中効果が得られなくなる。
図示するように、発光体層40と上部電極層50との間に、絶縁体層(上部絶縁体層)70を設けることが好ましい。絶縁体層70は、単層構造でも積層構造でもよい。
絶縁体層70はキャップ層として機能し、発光体層40の表面における材料の脱着を抑止し、発光体層40の組成を均一にすることができ、発光特性を向上できる。
絶縁体層70の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、及びAlなどの酸化物、Si、AlN、及びTiNなどの窒化物、SiON、及びAlONなどの酸窒化物、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
絶縁体層70の厚さは、針状導電体22に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.2μm以下であることが好ましい。
絶縁体層70の厚みが過小では、キャップ層として機能が効果的に得られない。
絶縁体層70の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。
本実施形態では、バリア層として機能する絶縁体層60とキャップ層として機能する絶縁体層70の双方を設ける態様を示してあるが、これら絶縁体層のうち一方のみを設ける構成としてもよい。
上部電極層50の材料は、透光性を有する導電材料であればよく、ITO(インジウム錫酸化物)、FTO(フッ素添加酸化スズ) 、SnO、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、及びCNT(カーボンナノチューブ)等が好ましく用いられる。
発光体層40と絶縁体層60、70は、バインダとして非導電性ポリマーを含むものであってもよい。
本実施形態のEL素子1は、下部電極層30と発光体層40との間に、面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21と、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に形成された針状導電体22とを含む針状導電体層20を備えている。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、特許文献1等に記載の従来の薄膜型無機EL素子では、発光輝度及び発光効率等の発光特性改良が試みられている。しかしながら、充分な発光輝度を得るためには高電界が必要であり、発光効率が低下する傾向がある。
本実施形態の構成では、針状導電体22の先端部付近で集中電界が発生することで、比較的低電界でも高い発光輝度が得られる。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、特許文献2等に記載の従来の分散型無機EL素子は、針状導電体の先端部付近で高電界が発生することで、比較的低電界で高発光輝度が得られる。しかしながら、発光体層に含まれるバインダにより消費される電力が大きく、発光効率が低下する傾向がある。また、蛍光体粒子内の針状導電体は結晶面内で多方向(ランダム方向)に析出することから、電極面に対して垂直配向している針状導電体の割合が少なく、電界が集中しにくい。
本実施形態では、針状導電体層20にバインダが不要であるため、バインダにより消費される電力による発光効率の低下が生じない。本実施形態ではまた、針状導電体22を電圧印加方向又はそれに近い方向に容易に配向させることができ、電界集中を効果的に起こすことができる。
本実施形態では、細孔構造体21の複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に、針状導電体22が選択的に形成されている。
本実施形態では、針状導電体22の間隙を広範囲で制御することができるので、針状導電体22間隙が狭くなりすぎて、各針状導電体22先端にかかる電界が遮蔽されることを抑制でき、高い電界集中効果を発現できる。
本実施形態では、下部電極層30を、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、針状導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、針状導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とから構成している。
かかる構成とすることにより、後記製造方法により、複雑なプロセス制御を有することなく、細孔構造体21の複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に、針状導電体22を選択的に形成することができる。
本実施形態によれば、上記の作用効果が相俟って、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることが可能なEL素子1を提供することができる。
本発明は、無機EL素子及び有機EL素子のいずれにも適用可能であり、無機EL素子に好ましく適用できる。
(設計変更例)
図3は、設計変更例を示す模式断面図である。上記実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明は省略する。
図3に示す設計変更例のEL素子2においては、第2の導電体膜32は、内部に針状導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成されている。第1の導電体膜31は、内部に針状導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第2の導電体膜32のパターン単位同士を繋ぐように形成されている。この例において、第1の導電体膜31はパターンを有しないベタ膜である。
この設計変更例においても、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とを互いに繋がるように形成しているのは、これらを一体として下部電極層30とするためである。これにより、互いに離間形成された第2の導電体膜32の複数のパターン単位を第1の導電体膜31を介して導通することができる。
図3に示す設計変更例においても、複数の貫通孔21Hのうちいずれの内部に針状導電体22を形成するかは、自在に設計可能ある。この設計変更例では、第2の導電体膜32のパターンを変更することで、内部に針状導電体22を形成する貫通孔21Hを自在に選択できる。
この設計変更例においては、第2の導電体膜32の1個のパターン単位の直上に形成された複数の貫通孔21Hの内部に形成された複数の針状導電体22が、1つの針状導電体群22Gを構成する。EL素子2においても、複数の針状導電体群22Gは、内部に針状導電体22が形成されていない複数の貫通孔21Hを介して、互いに離間されている。
この設計変更例においても、複数の針状導電体群22Gの間が互いに離間され、その間隔の制御も容易である。
したがって、針状導電体22間隙(互いに隣接する針状導電体群22Gの間隙)を広範囲で制御することができる。その結果、針状導電体22間隙が狭くなりすぎて、各針状導電体22先端にかかる電界が遮蔽されることを抑制でき、高い電界集中効果を発現できる。
(EL素子の製造方法)
図面を参照して、EL素子1、2の製造方法の例について説明する。
図2A〜図2Gは工程図である。図2A及び図2Bは模式斜視図であり、図2C〜図2Gは模式断面図である。
(工程(A1))
はじめに、複数の貫通孔21Hを有する細孔構造体21を用意する。
<工程(AX)>
はじめに図2Aに示すように、被陽極酸化金属体Mを用意する。
被陽極酸化金属体Mの主成分としては特に制限なく、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、W、Nb、及びZn等が挙げられる。被陽極酸化金属体はこれらを1種又は複数種含むことができる。
被陽極酸化金属体の主成分としては、Al等が特に好ましい。
本明細書において、「被陽極酸化金属体の主成分」は99質量%以上の成分と定義する。
被陽極酸化金属体Mの形状は制限されず、板状等が挙げられる。また、支持体の上に被陽極酸化金属体Mが層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。
図2Bに示すように、被陽極酸化金属体Mの少なくとも一部を陽極酸化すると、金属酸化物膜からなる細孔構造体21Xが生成される。例えば、被陽極酸化金属体MがAlを主成分とする場合、Alを主成分とする細孔構造体21Xが生成される。
板状等の被陽極酸化金属体Mを用いる場合、通常、被陽極酸化金属体Mの一部を残して、被陽極酸化金属体Mの一部を陽極酸化する。図中、符号10が被陽極酸化金属体Mの残部である。この場合、通常、被陽極酸化金属体Mの残部10に対して、生成される細孔構造体21は薄いが、図面では、視認しやすくするため、細孔構造体21Xを大きく図示してある。
陽極酸化は例えば、被陽極酸化金属体Mを陽極とし、カーボンあるいはアルミニウム等を陰極(対向電極)とし、これらを陽極酸化用電解液に浸漬させ、陽極と陰極との間に電圧を印加することで実施できる。
電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びアミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
被陽極酸化金属体Mを陽極酸化すると、図2Bに示すように、表面(図示上面)からこの面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物膜が生成される。
陽極酸化により生成される金属酸化物膜は、略正六角柱状の複数の柱状体21Cが互いに隙間なく隣接して配列した構造を有するものとなる。各柱状体21Cの略中心部には、表面から深さ方向に延びた針状の非貫通孔21Aが開孔される。非貫通孔21Aの底面と金属酸化物膜の底面との間には、バリア層21Bが生成される。
図示するように、非貫通孔21Aは被陽極酸化金属体Mの表面に対して概ね垂直方向に開孔されるが、多少斜め方向に開孔される場合もある。
<工程(AY)>
工程(AX)後に被陽極酸化金属体Mの残部10がある場合にはこの残部10とバリア層21Bとを除去し、工程(AX)後に被陽極酸化金属体Mの残部10がない場合にはバリア層21Bを除去して、非貫通孔21Aを貫通孔21Hとする。
被陽極酸化金属体Mの残部10は例えば、陽極酸化の方法において逆電解を印加する逆電解剥離によって除去できる。
被陽極酸化金属体Mの残部10及びバリア層21Bは、リン酸等の酸性液に浸漬することでも除去できる。
被陽極酸化金属体Mの残部10及びバリア層21Bは、切削等により物理的に除去することができる。
以上のようにして、図2Cに示す、複数の貫通孔21Hを有する細孔構造体21が得られる。
本実施形態の製造方法では、バリア層21Bが除去されるので、バリア層21Bを有する細孔構造体21Xを用いる場合よりも、高い電界集中効果を有するEL素子1、2が得られる。
(工程(B1))
次に、細孔構造体21の一方の面(図示下面)21Sに、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる下部電極層30を形成する。
この工程においては、細孔構造体21の面21Sに、内部に針状導電体22を形成する貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、針状導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に針状導電体22を形成しない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、針状導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とを形成する。
細孔構造体21において、下部電極層30を形成する面は、非貫通孔21Aの開口部があった側でもよいし、バリア層21Bがあった側でもよい。
図2D及び図2Eに示すように、第1の導電体膜31を形成してから、第2の導電体膜32を形成することができる。この場合、第1の導電体膜31は、内部に針状導電体22が形成される貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に針状導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成することができる。例えば、金属メッシュ等のマスクを用いた金属蒸着等により、第1の導電体膜31をパターン形成することができる。第2の導電体膜32は、内部に針状導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第1の導電体膜31のパターン単位同士を繋ぐように形成することができる。図示する例では、第2の導電体膜32は、パターンを有しないベタ膜である。
上記プロセスとは逆に、第2の導電体膜32を形成してから、第1の導電体膜31を形成してもよい。この場合、図3に示したように、第2の導電体膜32は、内部に針状導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に針状導電体22を形成する貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成することができる。第1の導電体膜31は、内部に針状導電体22が形成される貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第2の導電体膜32のパターン単位同士を繋ぐように形成することができる。
(工程(C1))
次に図2Fに示すように、第1の導電体膜31及び第2の導電体膜32からなる下部電極層30に通電して、細孔構造体21に対して電解メッキを実施する。これにより、直下に第1の導電体膜31が形成された貫通孔21Hの内部に選択的に針状導電体22を形成することができる。
以上のようにして下部電極層30と針状導電体層20とを形成した後、図2Gに示すように、必要に応じて絶縁体層60を形成し、発光体層40を形成し、必要に応じて絶縁体層70を形成し、上部電極層50を形成する。
発光体層40、上部電極層50、及び絶縁体層60、70の成膜方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
成膜法としては、スパッタリング法、あるいは電子線蒸着法等の真空下での物理的蒸着法、並びに、成膜しようとする層の成分又は前駆体を含む溶液又は分散液を、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、又はスプレー塗工法等により塗布する塗布法等の液相法等が挙げられる。
以上のようにして、EL素子1または2が製造される。
電界集中効果は、針状導電体22の延びる方向が電圧印加方向に近い程、効果的に発現する。陽極酸化法によれば、電圧印加方向に対して平行又はそれに近い方向に延びる複数の貫通孔21Hが規則正しくアレイ配列した細孔構造体21を、簡易なプロセスで形成できる。陽極酸化法によれば、貫通孔21Hのサイズ(長さと直径)及び数密度の制御がしやすく、大面積化も容易である。陽極酸化法は、低コストな方法である。
本実施形態の方法によれば、複雑なプロセス制御を要することなく、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に針状導電体22を形成することができ、針状導電体22の平面パターンも容易に制御できる。
針状導電体層20はレジストを用いずに製造することができるので、貫通孔21Hの内部に形成された針状導電体22の先端が、疎水化剤、レジストあるいはレジストパターン除去に用いる溶剤により汚染又は変質されて、エミッタとしての性能が低下する恐れがない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
厚み3mmの100×100mmアルミニウム板に対して、以下の条件で陽極酸化処理を行い、複数の針状の非貫通孔とバリア層とを有するアルミナ膜を形成した。
・対向電極(陰極):アルミニウム
・電解液:0.3M硫酸
・浴温:15〜19℃
・電圧:直流電圧40V
・時間:8時間
得られたアルミナ膜について、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製「S−4800」)を用いて表面及び断面を観察した。表面SEM像(80,000倍)において、細孔100個の細孔面積から平均細孔径を求めた。また、同表面SEM像中の細孔個数から細孔密度を求めた。断面SEM像 (10,000倍)において、細孔100個の細孔長から平均細孔長を求めた。
得られたアルミナ膜は、複数の針状の非貫通孔がほぼ規則正しく開孔しており、平均細孔径0.02μm、平均細孔長50μm、平均細孔密度300個/μmであった。
次に、アルミナ膜を陰極に、Pt-Ti電極を陽極に接続した状態で、直流5Vを印加して、アルミナ膜をAl基板から剥離させた。
次に、アルミナ膜をリン酸に浸漬することで、アルミナ膜底部のバリア層を溶解し、アルミナ膜の複数の非貫通孔をすべて貫通孔とした。
以上のようにして、複数の貫通孔を有する、厚み50μmの細孔構造体を得た。
次に、上記細孔構造体の一方の面(バリア層があった側の面)に対して、目開8μm、線径8μmの金属メッシュをマスクとして、真空蒸着装置(真空デバイス社製「VE−2030」)を用いて、60nm厚の金膜(Au膜、第1の導電体膜)を形成した。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.9%金線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:5nm/min.
次に、細孔構造体の金蒸着を実施した面に対して、ほぼ全面に、真空蒸着装置(真空デバイス社製「VE−2030」)を用いて、150nm厚のアルミニウム膜を形成した(Al膜、第2の導電体膜)。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.99%アルミニウム線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:10nm/min.
次に、金膜とアルミニウム膜とからなる導電体膜を電極層として、細孔構造体に対してNiを電解メッキ析出させた。メッキ条件は以下の通りとした。
・電解浴:1.2M硫酸ニッケル・6水和物、0.2M塩化ニッケル、及び0.7M硼酸の混合液
・浴温:32〜37℃
・pH:4.0〜5.0
・電圧:−0.9V vs.Ag/AgCl
・処理時間:120分
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察及びSEM断面観察を実施した。
得られたSEM表面写真を図4に示す。
図4において、左上図は倍率3000倍のSEM表面写真である。金蒸着に用いた金属メッシュの開口部のパターンに対応して、8μm×8μmの複数の略矩形状パターン単位がスペース8μmを空けてマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
図4において、右図は倍率20000倍のSEM写真である。この写真は上記略矩形状パターン単位の部分を拡大したものである。この部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分である。貫通孔の内部にNiが形成されている様子が見られた(封孔あり)。SEM断面観察を実施したところ、貫通孔内におけるNiの充填率は70〜100%であった。なお、右上図のSEM表面写真は表面を撮影したものであるので、Niの充填率が100%未満の貫通孔については空孔のように見えるが、実際には内部にNiが形成されている。
図4において、下図は倍率20000倍のSEM表面写真である。この写真は上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分を拡大したものである。この部分は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分である。貫通孔はすべて空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(封孔なし)。
図1Aおよび図1Bに示したように、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にNiが形成されていることが確認された。
以上のようにして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を形成した。
(実施例2)
第2の導電体膜として、アルミニウム膜の代わりにチタン膜を形成した以外は実施例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を得た。
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察を実施した。
実施例1と同様、金蒸着に用いた金属メッシュの開口部に対応して、複数の略矩形状パターン単位がマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
実施例1と同様、上記略矩形状パターン単位の部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔内にNiが形成されている様子が見られた(封孔あり)。上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分は、貫通孔の直下にチタン膜(第2の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔は空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(封孔なし)。
実施例1と同様、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にNiが形成されていることが確認された。
(実施例3)
金膜とアルミニウム膜とからなる導電体膜を電極層として、細孔構造体に対してNiの代わりにAgを電解メッキした以外は実施例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を得た。Agメッキ条件は以下の通りとした。
・電解浴:0.4Mメタンスルホン酸銀、0.5Mメタンスルホン酸、及び1.5M水酸化カリウムの混合液
・浴温:22〜27℃
・pH:7.5〜8.5
・電流密度:0.5mA/cm
・処理時間:120分
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察を実施した。
実施例1と同様、金蒸着に用いた金属メッシュの開口部に対応して、複数の略矩形状パターン単位がマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
実施例1と同様、上記略矩形状パターン単位の部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔内にAgが形成されている様子が見られた(封孔あり)。上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔は空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(封孔なし)。
実施例1と同様、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にAgが形成されていることが確認された。
(実施例4)
金膜とアルミニウム膜とからなる導電体膜を電極層として、細孔構造体に対してNiの代わりにMo−Ni合金(Mo:Ni(質量比)=20:80)を電解メッキした以外は実施例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を得た。Mo−Ni合金のメッキ条件は以下の通りとした。
・電解浴:0.1Mモリブデン酸ナトリウム、0.3Mグルコン酸ナトリウム、0.2M硫酸ニッケル、1.0M塩化アンモニウム
・浴温:22〜27℃
・pH:8.0〜11.0
・電流密度:5.0mA/cm
・処理時間:120分
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察を実施した。
実施例1と同様、金蒸着に用いた金属メッシュの開口部に対応して、複数の略矩形状パターン単位がマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
実施例1と同様、上記略矩形状パターン単位の部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔内にMo−Ni合金が形成されている様子が見られた(封孔あり)。上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔は空孔のままであり、貫通孔内にMo−Ni合金形成は見られなかった(封孔なし)。
実施例1と同様、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にMo−Ni合金が形成されていることが確認された。
(実施例5)
蒸着法により金膜(第1の導電体膜)を形成する際に用いるマスクとして、目開16μm、線径16μmの金属メッシュを用いた以外は実施例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を得た。
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察を実施した。
得られたSEM表面写真を図5に示す。
実施例1と同様、金蒸着に用いた金属メッシュの開口部に対応して、16μm×16μmの複数の略矩形状パターン単位がスペース16μmを空けてマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
実施例1と同様、上記略矩形状パターン単位の部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔内にNiが形成されている様子が見られた(封孔あり)。上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔は空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(封孔なし)。
実施例1と同様、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にNiが形成されていることが確認された。
(実施例6)
金膜とアルミニウム膜の形成順序を逆とした以外は実施例2と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を製造した。
実施例1と同様にして、複数の貫通孔を有する細孔構造体を得た。
得られた細孔構造体の一方の面(バリア層があった側の面)に対して、目開8μm、線径8μmの金属メッシュをマスクとして、真空蒸着装置により60nm厚のアルミニウム膜(Al膜、第2の導電体膜)を形成した。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.99%アルミニウム線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:10nm/min.
次に、細孔構造体のアルミニウム蒸着を実施した面に対して、ほぼ全面に、真空蒸着装置(真空デバイス社製「VE−2030」)を用いて、150nm厚の金膜を形成した(Au膜、第1の導電体膜)。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.99%金線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:5nm/min.
次に、アルミニウム膜と金膜とからなる導電体膜を電極層として、実施例1と同条件で、細孔構造体に対してNiを電解メッキ析出させた。
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察を実施した。
得られたSEM表面写真を図6に示す。
実施例2の反転パターンが見られた。略矩形状パターン単位の部分(8μm×8μm)は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔は空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(封孔なし)。略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分であり、貫通孔内にNiが形成されている様子が見られた(封孔あり)。
図3に示したように、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にNiが形成されていることが確認された。
(比較例1)
細孔構造体の一方の面(バリア層があった側の面)に対して、第1の導電体膜としてマスクを用いずに略全面に蒸着法により金膜(ベタ膜)を形成し、第2の導電体膜を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を製造した。
電解メッキ後の細孔構造体のSEM観察を実施したところ、細孔構造体のすべての貫通孔の内部にNiが形成されている様子が確認された。
(比較例2)
細孔構造体に対してNiの代わりにAgを電解メッキした以外は比較例1と同様にして、下部電極層と針状導電体層との積層構造体を得た。
電解メッキ後の細孔構造体のSEM観察を実施したところ、細孔構造体のすべての貫通孔の内部にAgが形成されている様子が確認された。
(無機EL素子の製造)
実施例1〜6及び比較例1、2の各例においては、得られた下部電極層と針状導電体層との積層構造体を用いて無機EL素子を作製した。
下部電極層と針状導電体層との積層構造体上に、0.5質量%のMnを添加したZnS粉末を900℃、50MPaで1時間ホットプレスにより焼結した焼結体をターゲットとし、スパッタリング法により発光体層を成膜した。蒸着時の真空度は5×10−4Pa以下、基板温度200℃、蒸着速度20nm/minに設定し、膜厚800nmのZnS:Mn発光体層を得た。得られた発光体層に対して、窒素雰囲気下500℃で1時間の熱処理を行い、発光中心のMnを活性化した。
次に、上記発光体層上にITOをスパッタリング法により100nm厚で成膜し、上部電極層を形成した。
以上のようにして、無機EL素子を得た。
各例において得られたEL素子について、交流電源により周波数1kHzの交流電圧を印加し、電圧200Vにおける発光輝度と発光効率を評価した。発光輝度は、色彩輝度計(トプコン社製、BM7)にて測定した。
また、発光輝度1cd/mが得られた電圧を発光開始電圧として求めた。
各EL素子の主な製造条件と評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6では、比較例1、2に対して、発光輝度及び発光効率のいずれもが向上された無機EL素子が得られた。
1〜4 EL素子
20 針状導電体層
21 細孔構造体
21A 非貫通孔
21B バリア層
21C 柱状体
21H 貫通孔
21D、21E 開口部
21S 一方の面
21T 他方の面
22 針状導電体
22A〜22D パターン単位
22G 針状導電体群
30 下部電極層(第1の電極層)
31 第1の導電体膜
31P パターン単位
32 第2の導電体膜
33 第3の導電体膜
34 第4の導電体膜
40 発光体層
50 上部電極層(第2の電極層)
60、70 絶縁体層
80 粒子マスク
81 樹脂粒子
81A 固着部
90 粒子層
91 無機粒子層
91P 無機粒子
92 樹脂粒子層
92P 樹脂粒子
93 空洞部
93A 開口部
M 被陽極酸化金属体

Claims (11)

  1. 第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備えたエレクトロルミネセンス素子であって、
    さらに、
    前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
    面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された針状導電体とを含む針状導電体層を備えた、エレクトロルミネセンス素子。
  2. 前記針状導電体層と前記発光体層との間に導電体層を備えていない、請求項1に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  3. 前記第1の電極層は、
    内部に前記針状導電体が形成された前記貫通孔の開口部を覆い、前記針状導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と、内部に前記針状導電体が形成されていない前記貫通孔の開口部を覆い、前記第1の導電体膜に繋がって形成され、前記針状導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを含む、請求項1又は2に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  4. 前記針状導電体の長さが1μm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  5. 前記針状導電体の直径が0.5μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  6. 前記針状導電体の長さ/直径が100以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  7. 前記針状導電体層における前記針状導電体の数密度が1個/μm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  8. 前記針状導電体層と前記発光体層との間に絶縁体層をさらに備えた、請求項1〜7のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  9. 前記針状導電体層と前記発光体層との離間距離が1μm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  10. 前記発光体層と前記第2の電極層との間に絶縁体層をさらに備えた、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  11. 請求項3に記載のエレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、
    前記細孔構造体を用意する工程(A1)と、
    前記細孔構造体の一方の面に、内部に前記針状導電体が形成される前記貫通孔の開口部を覆い、前記針状導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と、内部に前記針状導電体が形成されない前記貫通孔の開口部を覆い、前記第1の導電体膜に繋がって形成され、前記針状導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを形成する工程(B1)と、
    前記第1の導電体膜及び前記第2の導電体膜を電極層として、前記細孔構造体に対して電解メッキを実施する工程(C1)とを順次有する、エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
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