JP2015030502A - 筒状体、包装体、および易開封性フィルム - Google Patents

筒状体、包装体、および易開封性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】高い易開封性(イージーオープン性)を持つ筒状体、包装体、および易開封性フィルムを提供する。
【解決手段】筒状体1は、基材フィルム2の長手方向に伸びる2つの側端部を、基材フィルム2よりも引張強力が大きい開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部と重ね合わせた部分に少なくとも1本の熱溶着線を形成して筒状に形成され、開封テープ3の上記両側端部の少なくともいずれか一方の側端部は掴み代を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒状体、包装体、および易開封性フィルムに関し、より詳細には、内容物を充填するための筒状体、包装体、および易開封性フィルムに関する。
ソーセージやスティックチーズ等の内容物が充填された包装体は、筒状に形成された筒状体に内容物を充填し、両端を結紮することによって製造されている。この筒状体は、1つの帯状のフィルムを筒状に巻き、当該フィルムの両側端部を重ね合わせて溶着することで形成される。
従来では、内容物が充填された包装体を易開封(イージーオープン)するための機構として、その胴体部にカットテープを設けたり、マジックカット(登録商標)と呼ばれる易切断部を設けたりしていた(特許文献1〜5)。包装体をこのカットテープにより開封する時、カットテープが破断したり、包装体の胴体部との溶着が不十分でカットテープのみが剥がれたり、カットテープが切断したりする等、イージーオープンできない問題点があった。また、包装体をマジックカットで開封するとき、自動充填機等の包装装置にかけた場合に、包装体の胴体部が切断してしまう等の問題点があった。
そこで、包装体にカットテープやマジックカット等を設けずに、溶着部を剥がしてイージーオープンする方法が提案されている。この場合、筒状体を形成する際のシール強度を弱めにしたり、シール材質を特定の樹脂組成物にしたりする等して、イージーオープンを可能にするための工夫を行っている。
例えば、特許文献6には、ポリアミド系樹脂からなる中間層とポリオレフィン系樹脂からなる両外側層との少なくとも3層からなる積層フィルムであって、両外側層のいずれかがイージーピール層であり、該積層フィルムを封筒貼り型シールにしたときのシール部のT剥離力(T)が20〜500g/cmの範囲とした積層フィルムが開示されている。このような積層フィルムを用いることにより、シール部分が剥離される際、いずれかの外側層のイージーピール層が凝集破壊により剥離し、イージーオープンが実現する。
特開2011−51610号公報(2011年3月17日公開) 実用新案登録第2529399号公報(1996年12月20日登録) 特開昭54−148698号公報(1979年11月21日公開) 特開昭57−43822号公報(1982年3月12日公開) 特開昭63−191771号公報(1988年8月9日公開) 特開2001−9993号公報(2001年1月16日公開)
しかながら、筒状体を形成する際のシール強度を弱めにしたり、シール材質を特定の樹脂組成物にしたりする等の方法には、以下の問題点がある。例えば、ソーセージやスティックチーズ等の内容物が充填された包装体に対してレトルトやボイル殺菌処理を行う際、シール強度が弱いとフィルムの収縮応力や内容物の膨張により内圧が高くなり、溶着部が破断し、包装体がパンクしてしまうことがある。一方、特許文献6に開示されている積層フィルムのように、シール材質を特定の樹脂組成物にすることによりこれを防ぐことができるが、シール材質を特定の樹脂組成物にするとフィルムの製造工程が複雑となり、高コストとなってしまう。
さらに、1つの帯状のフィルムを筒状に巻き、当該フィルムの両側端部を重ね合わせて溶着することで形成された筒状体では、溶着部分を掴み代として開封した際に当該掴み代のみが破断し、イージーオープンができない。これは、胴体部では分子鎖が配向していて強度が大きいが、溶着部分では分子鎖の配向がなく強度が小さくなり、胴体部と溶着部分との間に強度差が生じるためである。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高いイージーオープン性を有する筒状体および包装体を提供することにある。
本発明者らは、筒状体および包装体のイージーオープン性について鋭意検討した結果、筒状体の胴体部を形成する高分子フィルムの引張強力よりも、筒状体の掴み代を形成する高分子フィルムの引張強力を大きくすることによって、イージーオープンが可能になることを見出した。そこで、本発明者らは、胴体部および掴み代の高分子フィルムの間に引張強力差をつけた筒状体について種々調査したところ、筒状体を2つの帯状の高分子フィルムを封筒貼りで筒状に形成し、筒状体の胴体部を形成する一方の高分子フィルムの引張強力を、筒状体の掴み代を形成する他方の高分子フィルムの引張強力よりも小さくすることで高いイージーオープン性が実現されることを見出した。2つの高分子フィルムを用いる理由は、1つの高分子フィルムのみでは筒状体の胴体部と掴み代との間に引張強力差をつけることが工業的に困難であるためである。なお、筒状体を構成する2つの帯状の高分子フィルム各々は、単体では筒状体を成さない。すなわち、2つの帯状の高分子フィルムが合わさって筒状体が完成する。
本発明の一態様に係る筒状体は、帯状の第1高分子フィルムと、上記第1高分子フィルムよりも引張強力が大きい帯状の第2高分子フィルムとから構成され、上記第1高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、上記第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分と、上記第1高分子フィルムの上記2つの側端部の他方の側端部を、上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部の他方の側端部と重ね合わせた部分とそれぞれに、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで筒状に形成されており、上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部の少なくともいずれか一方の側端部は、外表面側に位置していることを特徴としている。
上記の構成によれば、第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部のうち筒状体の外表面側に位置する側端部(以下、掴み代と称す)を手指で掴んで引っ張った場合に、上記の重ね合わせた部分近傍の第1高分子フィルムが破断する。結果、掴み代のみが破断したりすることなく、容易に第2高分子フィルムを剥離することができる。したがって、筒状体内に充填された内容物を容易に取り出すことができる。
さらに、本発明の一態様に係る筒状体においては、上記第1高分子フィルムは、上記第2高分子フィルムよりも厚みが小さいことを特徴としている。
上記の構成によれば、第1高分子フィルムの厚みを、第2高分子フィルムの厚みよりも小さくすることにより、第2高分子フィルムの引張強力を、第1高分子フィルムの引張強力よりも大きくすることができる。
さらに、本発明の一態様に係る筒状体においては、上記第1高分子フィルムは、上記第2高分子フィルムよりも引張弾性率が小さいことを特徴としている。
上記の構成によれば、第1高分子フィルムの引張弾性率を、第2高分子フィルムの引張弾性率よりも小さくすることにより、第2高分子フィルムの引張強力を、第1高分子フィルムの引張強力よりも大きくすることができる。すなわち、第1高分子フィルムと第2高分子フィルムとの厚みが同じ場合でも、第1高分子フィルムよりも第2高分子フィルムの引張強力を大きくすることができる。
さらに、本発明の一態様に係る筒状体においては、上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部のうち外表面側に位置している側端部では、当該側端部を上記第1高分子フィルムの上記2つの側端部のいずれか一方と重ね合わせた部分に形成された上記熱溶着線から、当該側端部の縁部までの間に3mm以上の間隔が空いていることを特徴としている。
人により指の太さが異なるため、できるだけ掴み代の幅は大きい方が好ましい。そこで、上記の構成によれば、掴み代の幅が十分に確保されているので、ほぼ問題なく筒状体の掴み代を手指で掴んで当該筒状体を開封することができる。
さらに、本発明の一態様に係る筒状体においては、上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムは、塩化ビニリデン系共重合体樹脂から構成されていることが好ましい。
さらに、本発明の一態様に係る筒状体においては、上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムは、ポリアミド系樹脂から構成される層を含む多層フィルムであることが好ましい。
本発明の一態様に係る易開封性フィルムは、上記の課題を解決するために、帯状の第1高分子フィルムと、帯状の第2高分子フィルムとから構成され、上記第1高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、上記第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分に、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで形成されており、上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムの長手方向(縦方向(MD))に対する垂直方向(横方向(TD))の50%引張歪時の引張強力を、それぞれσ(A)およびσ(B)とした場合に、下記の関係式を満たすことを特徴とする易開封性フィルム。
1.1×σ(A)≦σ(B)
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る筒状体を形成するのに好適なフィルムを提供することができる。
本発明の一態様に係る包装体は、上記の課題を解決するために、上述したいずれかの筒状体の上下端を結紮または封止することにより形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る筒状体を用いて製造した包装体は、容易に第2高分子フィルムを剥離することができるので、包装体内に充填された内容物を容易に取り出すことができる。
本発明の一態様に係る筒状体によれば、第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部のうち筒状体の外表面側に位置する側端部を手指で掴んで引っ張った場合に、第1高分子フィルムと第2高分子フィルムとを重ね合わせた部分近傍の第1高分子フィルムが破断する。結果、掴み代のみが破断したりすることなく、容易に第2高分子フィルムを剥離することができる。したがって、筒状体内に充填された内容物を容易に取り出すことができる。
本発明の一態様に係る包装体も同様であり、容易に第2高分子フィルムを剥離することができるので、包装体内に充填された内容物を容易に取り出すことができる。
本発明の一実施形態に係る筒状体の側面図である。 本発明の一実施形態に係る筒状体の断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の側面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体を開封した状態の側面図である。 本発明の一実施形態に係る筒状体の断面図である。
図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
(筒状体および包装体の概略)
ソーセージやスティックチーズ等の内容物が充填された包装体は、筒状に形成された筒状体に内容物を充填し、両端を結紮することによって製造されている。本実施形態では、
この筒状体および当該筒状体を用いて形成される包装体、ならびに当該筒状体を形成するための易開封性フィルムを提供する。まず、本実施形態に係る筒状体および包装体の概略について、図1〜4を参照して説明する。図1は、筒状体1の側面図であり、図2は、筒状体1の断面図である。また、図3は、包装体10の側面図であり、図4は、包装体10を開封した状態の側面図である。
図1に示すように、筒状体1は、2つの帯状の二軸延伸性の高分子フィルムから構成されている。以下では、説明の便宜上、一方の高分子フィルムを基材フィルム2(第1高分子フィルム)と称し、他方の高分子フィルムを開封テープ3(第2高分子フィルム)と称す。図2に示すように、基材フィルム2の長手方向に伸びる両側端部と、開封テープ3の長手方向に伸びる両側端部とを重ね合わせ、重ね合わせた部分を封筒貼りで熱溶着(縦シール)して筒状に形成している。具体的には、筒状体1は、基材フィルム2の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分と、基材フィルム2の上記2つの側端部の他方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる上記2つの側端部の他方の側端部と重ね合わせた部分とそれぞれに、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで筒状に形成されている。
熱溶着は、各重ね合わせた部分(以下、熱溶着部と称す)に少なくとも1本の熱溶着線4を形成することによって行われている。図1では、基材フィルム2と開封テープ3との間の2つの熱溶着部に、それぞれ1つの熱溶着線4が形成されている。図2中の点Aおよび点Cは、熱溶着線4による熱溶着点である。
詳細は省略するが、筒状体1は、基材フィルム2および開封テープ3の間の2つの熱溶着部を熱溶着するための溶着手段を備える筒状体製造装置によって製造される。具体的には、フィルム原反から引き出された基材フィルム2と、フィルム原反から引き出された開封テープ3とは、それぞれガイドローラで案内されて走行し、フィルムを円筒形状に形成するフォーミングプレートに導かれる。フォーミングプレートにて、基材フィルム2および開封テープ3の互いの両側端部が重ね合わされて筒状に形成される。基材フィルム2と開封テープ3とは、その筒状の形を保ったまま走行案内され、溶着手段により熱溶着部が封筒貼りで熱溶着されて筒状体1に形成される。
ここで、基材フィルム2および開封テープ3の間の熱溶着は、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部のうち少なくともいずれか一方の側端部が、外表面側に位置するように行われている。図2では、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部が、外表面側に位置するように熱溶着されている。なお、熱溶着は、高周波電力を印加する高周波熱溶着が好適であるが、これ以外にも超音波熱溶着、熱風(ホットジェット)シール、抵抗加熱溶着、レーザー加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いることができる。さらに、熱溶着は、ホットメルト樹脂材料を用いて行うこともできる。
包装体製造装置によって、筒状体1にソーセージやスティックチーズ等の内容物を充填し、図3に示すように、結紮または封止により留め具6を筒状体1の上下端につけて包装体10は製造される。詳細は省略するが、筒状体1内にポンプから送られた内容物が充填され、内容物が充填された筒状体1は、筒状体1を狭圧するしごきローラにより間欠的に所定の長さにわたって狭圧され、内容物のない部分が所定の間隔をもって形成される。内容物がない部分を結紮または封止により留め具6で留めて包装体10は製造される。
掴み代として、開封テープ3の2つの側端部のうち包装体10の外表面側に位置する側端部(以下では、単に掴み代と称す)を手指で掴み、当該側端部を引っ張ることで開封テープ3が剥離される。その結果、図4に示すように、包装体10は開封され、包装体10の中の内容物5を取り出すことができるようになる。ここで、図2に示したように、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部が、外表面側に位置するように熱溶着されていてもよいが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、図5に示すように、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部のうち一方の側端部のみが、外表面側に位置するように熱溶着されていてもよい。このように、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部のうち少なくともいずれか一方の側端部が、外表面側に位置するように熱圧着されていればよい。筒状体1において、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部のうち少なくともいずれか一方の側端部が外表面側に位置していれば、当該側端部を掴み代として手指で掴み、当該側端部を引っ張ることで開封テープ3を剥離することができる。
(筒状体および包装体のイージーオープン性)
本発明者らは、筒状体および包装体のイージーオープン性について鋭意検討した結果、筒状体の胴体部を形成する高分子フィルムの強度よりも、筒状体の掴み代を形成する高分子フィルムの強度を大きくすることによって、イージーオープンが可能になることを見出した。そこで、本発明者らは、胴体部および掴み代の高分子フィルムの間に引張強力差をつけた筒状体について種々調査したところ、筒状体を2つの帯状の高分子フィルムを封筒貼りで筒状に形成し、筒状体の胴体部を形成する一方の高分子フィルムの引張強力を、筒状体の掴み代を形成する他方の高分子フィルムの引張強力よりも大きくすることで高いイージーオープン性が実現されることを見出した。2つの高分子フィルムを用いる理由は、1つの高分子フィルムのみでは筒状体の胴体部と掴み代との間に引張強力差をつけることが工業的に困難であるためである。
それ故、本実施形態に係る筒状体1は、図1に示したように、基材フィルム2および開封テープ3の間の2つの熱溶着部に少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで筒状に形成されており、開封テープ3の引張強力は基材フィルム2の引張強力よりも大きくなっている。これにより、筒状体1の掴み代を手指で掴んで引っ張った場合に、熱溶着部近傍の基材フィルム2が破断する。結果、掴み代のみが破断したりすることなく、容易に開封テープ3を剥離することができる。したがって、本実施形態に係る筒状体1を用いて製造した包装体10は、容易に開封テープ3を剥離することができるので、包装体10内に充填された内容物を容易に取り出すことができる。なお、基材フィルム2および開封テープ3に積層(多層)フィルムを用いる場合もあり得る。この場合は、熱溶着部の基材フィルム2の外層が破断する結果、開封テープ3を容易に剥離することができる。
基材フィルム2の引張強力よりも開封テープ3の強度を大きくするとは、すなわち基材フィルム2の見かけの応力σ(A)および開封テープ3の見かけの応力σ(B)が、1.1×σ(A)≦σ(B)となるようにすることである。ここで、見かけの応力は引張強力と捉えることができる。基材フィルム2および開封テープ3の間に引張強力差をつける具体的な方法はいくつかある。例えば、基材フィルム2および開封テープ3に同一材質の高分子フィルムを用いて、基材フィルム2の厚みを開封テープ3の厚みよりも小さくする方法がある。あるいは、基材フィルム2の剛性(引張弾性率)を開封テープ3の剛性(引張弾性率)よりも小さくする方法がある。
なお、引張強力は、例えば以下の方法で測定することができる。JIS K7127−1998に準拠し、TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、横方向(TD)にカッターを用いて切断した幅10mmおよび長さ50mmのフィルム(基材フィルム2および開封テープ3)を、引張速度500mm/分の条件下にて引張強度を測定し、その時のS−S(応力―歪)特性(曲線)から50%歪(伸び)時の強力を読み取った値を引張強力とする(n=5の平均値)。この際、測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとする。
基材フィルム2および開封テープ3に積層(多層)フィルムを用いる場合は、基材フィルム2の引張強力よりも開封テープ3の引張強力を大きくすることに加え、基材フィルム2の最外層の厚みよりも開封テープ3の最内層の厚みを大きくする必要がある。これは、基材フィルム2および開封テープ3が互いに接する箇所(熱溶着部)において、基材フィルム2の最外層の厚みよりも開封テープ3の最内層の厚みを大きくすることにより、包装体10を開封する際に熱溶着部の基材フィルム2の最外層が破断するためである。
本実施形態に係る筒状体1では、以下に示す構成を採用してもよい。以下の構成は、イージーオープン性のさらなる向上や筒状体1内に食品を充填することへの最適化に寄与する。各構成について順に詳細に説明する。
[フィルム幅]
基材フィルム2と開封テープ3との幅に制約はなく、それぞれの幅は任意に決定すればよい。ただし、筒状体1の良好な開封を実現するために、基材フィルム2の幅は開封テープ3の幅よりも大きいことが好ましい。
[シール強度]
基材フィルム2と開封テープ3との間の2つの熱溶着部におけるシール強度は、剥離形態により、せん断剥離強度とT剥離強度とがある。以下の理由により、これらのシール強度を評価している。せん断剥離強度は、内容物を充填した後、殺菌およびクッキング時の加熱処理によりフィルムが収縮した際に生じる収縮応力と、内容物が熱膨張することにより内圧が高くなることとに起因して、熱溶着部が破断し、包装体がパンクすることを防止するために必要となるため測定している。他方、T剥離強度は、本実施形態に係る包装体10においてT剥離の剥離形態をとることになるため測定している。なお、せん断剥離強度の方がT剥離強度より大きな値となる。
ここで、基材フィルム2と開封テープ3との間の2つの熱溶着部におけるせん断剥離のシール強度は、包装体の加熱処理時にパンク等の発生を防ぐために10N以上(最大でフィルムの破断強度)であることが好ましく、T剥離のシール強度は、イージーオープン性の観点から5N〜25Nであることが好ましい。
また、基材フィルム2と開封テープ3との間の2つの熱溶着部におけるシール強度に差をつけることにより、筒状体1のイージーオープン性を高めることができる。したがって、一方の熱溶着部におけるシール強度Sσ(a)(単位:N)および他方の熱溶着部におけるシール強度Sσ(b)(単位:N)が、Sσ(a)≧Sσ(b)となるようにするとよい。ここで、上記と同様に、一方の熱溶着部におけるせん断剥離のシール強度Sσ(a)は、10<Sσ(a)<Sσ(MAX)、好ましくは15<Sσ(a)<Sσ(MAX)の関係式を満たし、他方の熱溶着部におけるT剥離のシール強度Sσ(b)は、5<Sσ(b)<25の関係式を満たすことが好ましい。Sσ(MAX)とは、基材フィルム2の破断強度である。なお、一方のシール強度Sσ(a)が十分な大きさであれば、包装体10に対してレトルトクッキング処理を行っても、フィルムの収縮応力や内容物の膨張により内圧が高くなることに起因して、熱溶着部が破断し、包装体がパンクしてしまう虞がほとんどない。
なお、シール強度は、例えば以下の方法で測定することができる。TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、縦方向(MD)および横方向(TD)にカッターを用いて切断した幅10mmおよび長さ20mmのフィルム(基材フィルム2および開封テープ3)を、引張速度200mm/分の条件下にて測定した値をシール強度とする。この際、測定における剥離形態としてせん断剥離およびT剥離を測定し(n=5の平均値)、測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとする。
熱溶着を行う条件を2つの熱溶着部の間で変えることによって、シール強度に差をつけるため、例えば2つの熱溶着部の間で熱溶着の方法を異ならせることにより、シール強度に差をつけることができる。例えば、2つの熱溶着部における熱溶着をいずれも高周波熱溶着で行った場合と比較して、一方の熱溶着部における熱溶着を高周波熱溶着で行い、他方の熱溶着部における熱溶着を超音波熱溶着で行った場合、2つの熱溶着部におけるシール強度の差が大きくなる。あるいは、2つの熱溶着部の間で形成する熱溶着線の数に差をつけることによっても、シール強度に差をつけることができる。例えば、2つの熱溶着部の双方に1本の熱溶着線を形成して熱溶着を行った場合と比較して、一方の熱溶着部に2本の熱溶着線を形成して熱溶着を行い、他方の熱溶着部に1本の熱溶着線を形成して熱溶着を行った場合、2つの熱溶着部における熱横着のシール強度の差が大きくなる。
[ノッチ]
本実施形態に係る開封テープ3は二軸延伸フィルムであるため、引裂き強度が小さく、筒状体1を開封する際に開封テープ3を短手方向に引き裂いた場合、容易に反対側の熱溶着部にまで裂け目が到達する。そこで、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部にノッチをつけることが好ましい。より正確には、筒状体1を開封する際に、掴み代(すなわち、開封テープ3の2つの側端部のうち筒状体1の外表面側に位置する側端部)にノッチをつけることが好ましい。これにより、筒状体1において、掴み代を手指で掴んで引っ張った場合に、当該掴み代に設けられたノッチにより開封テープ3がより容易に短手方向に引き裂かれ、筒状体1の開封がより容易になる。
[熱収縮率および熱水収縮率]
筒状体1にソーセージ、ハム、チーズ、またはういろう等の内容物を充填した包装体10において、基材フィルム2および開封テープ3の間で熱収縮率が異なるとクッキングおよび殺菌処理(70℃〜125℃)時にバナナ状に曲がり変形してしまう。具体的には、開封テープ3の熱収縮率が基材フィルム2の熱収縮率よりも小さいと、開封テープ3が基材フィルム2側に引っ張られる。逆に、基材フィルム2の熱収縮率が開封テープ3の熱収縮率よりも小さいと、基材フィルム2が開封テープ3側に引っ張られる。包装体10がバナナ状に変形してしまうと、包装体10の開封が困難になるため好ましくない上に、製品としての見栄えも好ましくない。
そこで、基材フィルム2および開封テープ3それぞれの熱収縮率をできるだけ互いに近似させることが好ましい。正確には、基材フィルム2および開封テープ3の間の熱収縮率の差は、好ましくは5%以内であり、より好ましくは4%以内、さらに好ましくは3%以内である。なお、ハムまたはういろう等は、クッキングおよび殺菌処理をリテーナー内で行う場合がある。この場合は、基材フィルム2および開封テープ3の間に熱収縮率差があっても曲がり変形等は生じない。そこで、このような場合は包装体10への皺入り等を発生させないために、基材フィルム2および開封テープ3の間の熱収縮率の差は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下である。
なお、熱水収縮率は、例えば以下の方法で測定することができる。ASTM D−2732に準拠して、フィルム(基材フィルムおよび開封テープ)の長手方向である機械方向(縦方向;MD)ならびに機械方向に対する垂直方向(横方向;TD)に、それぞれ10cmの距離で印をつけたフィルムを、80℃に調整した熱水に10秒間浸漬した後取り出し、直ちに常温の水で冷却する。その後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値を原長10cmに対する割合として百分率で求めた値を熱水収縮率とする。5回試験を行い、MDおよびTDのそれぞれの平均値を用いる。
なお、基材フィルム2および開封テープ3は熱収縮性フィルムであるため、一般的な二軸延伸フィルムに求められる熱水収縮率に鑑みて、80℃における熱水収縮率は、MDおよびTDともに5%〜35%、好ましくは5%〜30%である。
[掴み代]
人により指の太さが異なるため、できるだけ掴み代の幅は大きい方が好ましい。そこで、掴み代の幅は、好ましくは3mm以上であり、より好ましくは5mm以上であり、さらに好ましくは7mm以上である。掴み代の幅が少なくとも3mm以上であれば、掴み代の幅が十分に確保されているので、ほぼ問題なく筒状体1の掴み代を手指で掴んで当該筒状体1を開封することができる。なお、省資源、コスト、および見栄え等に鑑みると掴み代の幅は小さい方が好ましいため、開封のし易さと省資源、コスト、および見栄え等との兼ね合いで掴み代の幅を決定すればよい。
掴み代の幅とは、正確には筒状体1において開封テープ3の側端部が外表面側に位置している熱溶着部における熱溶着点(熱溶着線4)から当該側端部の縁部までの距離である。例えば、図2では、図中の点Aおよび点Cが熱溶着点であり、点Bおよび点Dが開封テープ3の側端部の縁部である。したがって、掴み代の幅とは、点Aおよび点Bの間の距離X1、ならびに点Cおよび点Dの間の距離X2である。また、図5では、図中の点Eが熱溶着点であり、点Fが開封テープ3の側端部の縁部である。したがって、掴み代の幅とは、点Eおよび点Fの間の距離X3である。
[引張弾性率]
筒状体1に充填する内容物は、ソーセージまたはハム等の食肉加工品、チーズ、またはういろう等である。これらの食品を包装するために使用される高分子フィルムは、一般的に軟包装材の分野に属するものであるため、高分子フィルムの軟らかさに鑑みて一般的に2GPa以下の引張弾性率が求められる。そこで、基材フィルム2および開封テープ3の引張弾性率は、2GPa以下であることが好ましい。
なお、引張弾性率は、例えば以下の方法によって測定することができる。JIS K7127−1998に準拠し、TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、幅20mmおよび長さ100mmのフィルム(基材フィルムおよび開封テープ)を、引張速度10mm/分の条件下にて引張弾性率を測定した値を引張弾性率とする。この際、塩化ビニリデン系共重合体樹脂フィルムに関しては、2.5%伸び(歪)時の応力を測定し、多層(積層)フィルムに関しては1%伸び(歪)時の応力を測定する(n=5の平均値)。測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとする。
[ガスバリア性]
本実施形態に用いられる基材フィルム2および開封テープ3は、酸素および水蒸気等に対するガスバリア性を有していることが必要である。当該ガスバリア性を有する材料としては、塩化ビニリデン系共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等が挙げられ、特にレトルト殺菌処理を行うためには、塩化ビニリデン系共重合体樹脂、およびポリアミド系樹脂が好ましく用いられる。
また、本実施形態に係る基材フィルム2および開封テープ3には、ガスバリア性を有する単層もしくは多層構成のフィルムを好適に用いられる。
[酸素透過度]
包装体10内の内容物の酸化劣化ならびに腐敗を防止するために、酸素ガスバリア性を有することが望ましく、23℃における酸素透過度は、好ましくは200cc/m・24hrs・atm以下であり、より好ましくは150cc/m・24hrs・atm以下、さらに好ましくは100cc/m・24hrs・atm以下である。
なお、酸素透過度は、例えば以下の方法によって測定することができる。ASTM D3985−81に準じて、モダンコントロール社製のOX−TRAN(登録商標)2/20型を使用して、温度30℃、相対湿度(RH)80%の条件下にて測定した値を酸素透過度とする。測定値の単位は、cm/m・24hrs・atmである。
[透湿度]
水分蒸散による内容物の目減りを防止するため、水蒸気バリア性を有することが望ましく、40℃×90%RHにおける透湿度は、20g/m・24hrs以下であることが好ましい。
なお、透湿度は、例えば以下の方法により測定することができる。ASTM F372−73に準じて、モダンコントロール社製のPERMATRAN−W(登録商標)3/31型を使用して、温度40℃、相対湿度(RH)90%RHの条件下で測定した値を透湿度とする。測定値の単位は、g/m・24hrsである。
[塩化ビニリデン系共重合体樹脂]
基材フィルム2および開封テープ3は、それぞれ塩化ビニリデン系共重合体樹脂で構成されていることが好ましい。塩化ビニリデン系共重合体樹脂は、塩化ビニリデン共重合体を主成分として含有する。塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン60〜98質量部および塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の少なくとも一種2〜40質量部から形成される共重合体であり、塩化ビニリデンモノマー(単量体)と塩化ビニリデンと共重合可能な単量体とを、懸濁重合または乳化重合して製造されるものである。上記の塩化ビニリデンと共重合可能な単量体(以下、「共単量体」と称すことがある)としては、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルまたはアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、またはタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル等の炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸のアルキルエステル(部分エステルを含み、アルキル基の炭素数1〜18);その他、ジエン系単量体、官能基含有単量体、多官能性単量体等を挙げることができる。これらの共単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。共単量体の中でも、塩化ビニル、アクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルが好ましい。塩化ビニリデンモノマー(単量体)と共重合可能な単量体として特に好ましくは塩化ビニルモノマー(単量体)であり、したがって、特に好ましい塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体である。塩化ビニリデン共重合体における塩化ビニリデンの含有比率は、好ましくは70質量部以上、より好ましくは80質量%以上である。塩化ビニリデンの含有比率の上限は、特にないが、押出加工性等の観点から、通常99質量%、多くの場合95質量%である。
本実施形態では、塩化ビニリデン共重合体は、還元粘度が、通常0.035〜0.07、好ましくは0.04〜0.065、より好ましくは0.045〜0.06の範囲である。還元粘度が小さすぎると、熱収縮フィルム等の成形品への押出加工性が不足し、大きすぎると、着色傾向を有したり、溶融成形が困難となったりすることがある。
本実施形態では、塩化ビニリデン系共重合体樹脂は、押出加工性を改善したり、該組成物から形成される熱収縮性フィルムの諸特性を目的に応じてバランスよく改良したりするために、さらに種々の添加剤を含有することができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい)または無機物質のいずれも使用することができる。例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、フィラー(充填剤)、顔料等が挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。用途や所望によっては、滑剤を含有することができる。
可塑剤としては、例えば、アセチルトリブチルサイトレート(ATBC)、グリセリンジアセチルモノラウレート(GDAML)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート及びジアセチル化モノグリセライド(DALG)等が挙げられる。可塑剤を含有させる場合は、塩化ビニリデン共重合体を含む樹脂成分100質量部に対して、通常0.05〜10質量部の割合で用いられる。安定剤としては、例えば、エポキシ化大豆油(ESBO)またはエポキシ化亜麻仁油(ELO)等のエポキシ化油;脂肪酸アルキルエステルのアミド誘導体;水酸化マグネシウム;ピロリン酸四ナトリウム等が挙げられる。安定剤は、樹脂成分100質量部に対して、通常0.1〜5質量部の割合で用いられる。抗酸化剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ジメチル−6−S−アルキルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、及びこれらの混合物等のフェノール系抗酸化剤;チオジプロピオン酸、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系抗酸化剤;トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系抗酸化剤;等が挙げられる。抗酸化剤は、樹脂成分100質量部に対して、通常0.0001〜0.05質量部の割合で用いられる。
これらの添加剤の含有量が大きすぎると、添加剤がブリードしたり、塩化ビニリデン共重合体組成物のガスバリア性が低下したりすることがある。これらの添加剤を含有することは、本実施形態において必須ではない。
本実施形態では、所望により滑剤を含有することができる。特に、本発明の塩化ビニリデン共重合体組成物から、自動充填包装用である熱収縮性フィルムを形成する場合、滑剤を含有することは、自動充填包装適性を有するものとすることができるので、好ましい。
本実施形態では、塩化ビニリデン共重合体組成物に含有することができる滑剤としては、一般に使用される滑剤を選択することができる。すなわち、滑剤としては、二酸化珪素、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機滑剤や有機滑剤を使用することができるが、好ましくは有機滑剤である。
上記の有機滑剤としては、従来有機滑剤として使用されている飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド等を好ましく使用することができる。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、ブチルアミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘニン酸アミド等を使用することができる。不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等を使用することができる。また、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミドやN−ステアリルエルカ酸アミド等の置換アミド、メチロールステアリン酸アミド等のメチロールアミド、メチレンビスステアリン酸アミドやエチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミド等を使用することができる。
本実施形態では、塩化ビニリデン共重合体組成物は、射出成形、押出成形、延伸成形その他慣用の成形方法によって、成形品を得ることができる。フィルムとしては、溶融押出とインフレーション延伸によって得られる、二軸延伸熱収縮性フィルムである。また、得られるフィルムをガスバリア層として配置して、共押出法やラミネート法により、多層フィルムを形成することもできる。
塩化ビニリデン共重合体組成物を用いる場合、基材フィルム2および開封テープ3は、一つの例示として以下のようにして製造される。塩化ビニリデン共重合体組成物を、単軸押出機を使用して、樹脂温度約185℃で環状に溶融押出し、温度10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、厚み10〜100μm、幅約1200mmの熱収縮性フィルムを作製する。
[ポリアミド系樹脂]
上述したように、本実施形態に係る基材フィルム2および開封テープ3をそれぞれ多層フィルムで構成してもよい。この場合には、多層構成の中間層として用いられるポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドとが挙げられる。脂肪族ポリアミドとしては、例えばナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、およびナイロン610等の縮合単位の重合体、またはこれら2種以上との共重合体が挙げられる。これらの中でナイロン6、ナイロン6−66、およびナイロン6−12等を用いることが好ましい。
上記の芳香族ポリアミドとしては、以下に述べる2つのうちいずれであってもよい。そのうちの1つは、芳香族系ジアミンと、芳香族または脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応により合成されるポリアミド樹脂である。芳香族系ジアミンは、メタキシリレンジアミン単独、またはメタキシリレンジアミン60重量%以上、好ましくは70重量%以上と、パラキシリレンジアミン40重量%以下、好ましくは30重量%以下とのジアミン混合物等である。また、脂肪族ジカルボン酸としては、好ましくは脂肪族ジカルボン酸、さらに好ましくは炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、またはドデカン二酸等)である。
より具体的には、芳香族ポリアミドとして、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド等の単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、またはメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド/セバカミド共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリメタキシリレンアジパミド(TRMXD6)を用いることが好ましい。これら芳香族ポリアミドからなるフィルムの層は、熱収縮性を有する積層フィルムに酸素ガスバリア性を付与するための層である。
[多層フィルム]
基材フィルム2および開封テープ3をそれぞれ多層フィルムで構成する場合には、それぞれ外側から外層/接着層/中間層/接着層/内層からなる5層構成の多層フィルムを用いることが好ましい。ここで、ガスバリア性を有する塩化ビニリデン系樹脂およびポリアミド系樹脂は、中間層として用いることが好ましい。
例えば、中間層としてポリアミド系樹脂が用いられる場合の例示として、基材フィルム2は、外側からPP/Ad/MXD/Ad/PPからなる二軸延伸の共押出多層フィルムを用いることができる。開封テープ3としては、外側からPP/Ad/MXD/Ad/PPからなる二軸延伸の共押出多層フィルムを用いることができる。
ここで、PPとは、プロピレン93質量%、エチレン2質量%、およびブテン−5質量%からなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体90質量%と、SSC系ポリエチレン10質量%との混合樹脂である。また、Adは、PP系接着樹脂50質量%と、LLDPE系接着樹脂50質量%との混合樹脂である。そして、MXDは、ナイロンMXD680質量%と、ナイロン66/610/MXD620質量%との混合樹脂、すなわちポリアミド系樹脂の混合樹脂である。
あるいは、基材フィルム2として、外側からPP/ポリウレタン系接着剤/収縮性ナイロン/ポリウレタン系接着剤/PPからなるドライラミネートフィルムを用いることができる。開封テープ3としては、外側からPP/ポリウレタン系接着剤/収縮性ナイロン/ポリウレタン系接着剤/PPからなるドライラミネートフィルムを用いることができる。
ここで、開封テープ3の接着層、中間層、および内層は基材フィルム2と同様のものを用いてもよいが、外層として用いるPPは、プロピレン−エチレン共重合体を用いて二軸インフレーション延伸法で作製したものを用いるのが好ましい。
さらには、基材フィルム2として、外側から収縮性ポリエチレン/ポリウレタン系接着剤/収縮性ナイロン/ポリウレタン系接着剤/収縮性ポリエチレンからなるドライラミネートフィルムを用いることができる。開封テープ3としては、収縮性ポリエチレン/ポリウレタン系接着剤/収縮性ナイロン/アンカーコート層/ポリエチレンからなるドライラミネートフィルムを用いることができる。
[易開封性フィルム]
以上では、基材フィルム2および開封テープ3それぞれをフィルム原反から引き出して、基材フィルム2の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分と、基材フィルム2の上記2つの側端部の他方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる上記2つの側端部の他方の側端部と重ね合わせた部分とそれぞれに、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで筒状体1を形成する方法を示したが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
例えば、筒状体1を形成するために、基材フィルム2の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分に、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで形成された易開封性フィルムを用いてもよい。ここで、易開封性フィルムを構成する基材フィルム2および開封テープ3の横方向(TD)の50%引張歪時の引張強力を、それぞれσ(A)およびσ(B)とした場合に、σ(A)およびσ(B)は、1.1×σ(A)≦σ(B)を満たす。
易開封性フィルムをフィルム原反から引き出して、易開封性フィルムにおける基材フィルム2の上記2つの側端部の他方の側端部を、開封テープ3の長手方向に伸びる上記2つの側端部の他方の側端部と重ね合わせた部分に、封筒貼りで少なくとも1本の熱溶着線を形成すれば、容易に筒状体1が形成される。このように、筒状体1を形成するのに好適な易開封性フィルムを用いてもよい。
以上で挙げた各構成は、筒状体1に必須な構成ではないが、求めるイージーオープン性の高さや筒状体1内に充填する内容物との適応性等に鑑みて適宜採用すればよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における各物性値は、以下に示す測定方法および評価方法を用いた。
(1.融点の測定)
融点(Tm)は、JIS K7121に準拠しDSCにより測定した。
(2.密度の測定)
樹脂材料の密度は、ASTM D1505に準拠し測定した。
(3.MFRの測定)
樹脂材料のMFRは、ASTM D1238に準拠し、東洋精機製作所製のメルトインデクサーを使用して、温度190℃の条件下で測定した。
(4.引張強力の測定)
引張強力は、JIS K7127−1998に準拠し、TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、帯状フィルムの横方向(TD)にカッターを用いて切断した幅10mmおよび長さ50mmのフィルム(基材フィルムおよび開封テープ)を、引張速度500mm/分の条件下にて引張強度を測定し、その時のS−S(応力―歪)特性(曲線)から50%伸び(歪)時の強力を読み取った(n=5の平均値)。測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとした。
(5.引張弾性率の測定)
引張弾性率は、JIS K7127−1998に準拠し、TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、帯状フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)にカッターを用いて切断した幅20mmおよび長さ100mmのフィルム(基材フィルムおよび開封テープ)を、引張速度10mm/分の条件下にて引張弾性率を測定した。この時、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂組成物(クレハ社製のDY−571RT40(以下、PVDCと略称する))に関しては、2.5%伸び(歪)時の応力を測定し、多層(積層)フィルムに関しては1%伸び(歪)時の応力を測定した(MDおよびTDのn=5の平均値)。測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとした。
(6.熱水収縮率の測定)
熱水収縮率は、ASTM D−2732に準拠して、フィルム(基材フィルムおよび開封テープ)の長手方向である機械方向(縦方向;MD)ならびに機械方向に対する垂直方向(横方向;TD)に、それぞれ10cmの距離で印をつけたフィルムを、80℃に調整した熱水に10秒間浸漬した後取り出し、直ちに常温の水で冷却した。その後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値を原長10cmに対する割合として百分率で求めた。5回試験を行い、MDおよびTDのそれぞれの平均値を熱水収縮率とした。
(7.酸素透過度の測定)
酸素透過度は、ASTM D3985−81に準じて、モダンコントロール社製のOX−TRAN(登録商標)2/20型を使用して、温度30℃、相対湿度(RH)80%の条件下にて測定した。測定値の単位は、cm/m・24hrs・atmである。
(8.透湿度の測定)
透湿度は、ASTM F372−73に準じて、モダンコントロール社製のPERMATRAN−W(登録商標)3/31型を使用して、温度40℃、相対湿度(RH)90%RHの条件下で測定した。測定値の単位は、g/m・24hrsである。
(9.シール強度の測定)
シール強度は、TOYO BALDWIN社製のTENSILON RTM−100型を用いて、幅10mmおよび長さ20mmのフィルム(基材フィルムおよび開封テープ)を、引張速度200mm/分の条件下にてシール強度を測定した。測定における剥離形態としてせん断剥離およびT剥離を測定した(n=5の平均値)。測定時の雰囲気温度は23℃とし、雰囲気湿度は50%RHとした。
(10.包装機械適性の評価)
実施例では、クレハ社製KAP500型を用いて、基材フィルムおよび開封テープの熱溶着部を熱溶着する工程において、開封テープの長手方向に伸びる側端部にかみそり刃にて深さ1〜2mmのノッチを入れた。一方、比較例では、基材フィルムの原反フィルムの長手方向に伸びる側端部にかみそり刃にて深さ1〜2mmのノッチを入れた後、KAP500型を用いて基材フィルムの熱溶着部を熱溶着する工程を経た。その後、得られた筒状体内に直ちに内容物を充填して筒状体の上下をアルミクリップで結紮して包装体を作製した。この包装体を得るまでの工程において、問題発生の有無を下記の基準により評価した。熱溶着方式としては、高周波熱溶着、超音波熱溶着、および熱風(ホットジェット)シールのいずれかを選択した。
A:1時間以上の連続運転(充填)が良好に行なわれた。
B:運転途中で、基材フィルムあるいは開封テープの切断が頻繁に発生した。
(11−1.イージーオープン性の評価)
ノッチがつけられた包装体の掴み代を手指で掴んで開封した時のイージーオープン性を、下記の基準により評価した。5人のパネラーそれぞれが20本の包装体を開封した時の評価を、評価基準の中で最も多かったものを選択した。
A:容易に開封し、内容物が取り出せた。(全部)
B:開封時に掴み代が切断したり、熱溶着部が部分的に残ったりしてしまう。(100本中10本以上)
C:開封時に掴み代が切断したり、掴み代のみが外れたりしてしまう。(100本中5本以上)
D:開封時に多層フィルムの掴み代が残ってしまうと共に、基材フィルムの外層および開封テープの内層に糸引き状物が発生する。(100本中5本以上)
(11−2.イージーオープン性の評価)
包装体の胴体部にカットテープをつけ、当該カットテープを手指で掴んで開封した時のイージーオープン性を、下記の基準により評価した。
A´:容易に開封し、内容物が取り出せた。(全部)
B´:開封時にカットテープが切断したり、カットテープのみが外れたりしてしまう。(100本中5本以上)
C´:開封時にカットテープが残ってしまうと共に、基材フィルムの外層および開封テープの内層に糸引き状物が発生する。(100本中5本以上)
〔実施例1〕
実施例1では、PVDCからなる幅70mm、厚み40μmの二軸延伸フィルムを基材フィルム(A)として用い、PVDCからなる幅25mm、厚み60μmのテープ状フィルムを開封テープ(B)として用いた。上述した実施形態にて説明した筒状体製造装置を用いて、図1に示したような筒状体を得た。ここで、基材フィルム(A)および開封テープ(B)の間の2つの熱溶着部を高周波熱溶着によって熱溶着して筒状体を得た。
続いて、上述した実施形態にて説明した包装体製造装置を用いて、得られた筒状体内に魚肉ソーセージのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、120℃、スチーム圧力2kg/cm(ゲージ)の条件下で20分間レトルト殺菌処理した包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。実施例1で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表1に示した。なお、表中の(A)の欄は基材フィルム(A)の物性値を表し、(B)の欄は開封テープの物性値を表している。
〔実施例2〕
実施例2では、PVDCからなる幅70mm、厚み40μmの二軸延伸フィルムを基材フィルム(A)として用い、PVDCからなる幅25mm、厚み80μmのテープ状フィルムを開封テープ(B)として用いた。その他の点は実施例1と同様にした。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。実施例2で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例3では、PVDCからなる幅70mm、厚み40μmの二軸延伸フィルムを基材フィルム(A)として用い、PVDCからなる幅25mm、厚み40μmのテープ状フィルムを開封テープ(B)として用いた。ここで、PVDCの処方を変更して、基材フィルム(A)の引張弾性率を325kg/cm(MD方向)/291kg/cm(TD)と、開封テープ(B)の引張弾性率を422kg/cm(MD方向)/370kg/cm(TD)とした。その他の点は実施例1と同様にした。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。実施例3で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例4では、PVDCからなる幅70mm、厚み40μmの二軸延伸フィルムを基材フィルム(A)として用い、PVDCからなる幅25mm、厚み60μmのテープ状フィルムを開封テープ(B)として用いた。ここで、基材フィルム2および開封テープ3の間の2つの熱溶着部のうち、一方は高周波熱溶着によって熱溶着し、他方は超音波熱溶着によって熱溶着して筒状体を得た。得られた筒状体内にプロセスチーズを充填し、両端を結紮または封止して包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。超音波熱溶着によって熱溶着した方の熱溶着部に約5mmの掴み代を設けた。実施例4で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表1に示した。
〔実施例5〕
実施例5では、PVDCからなる幅70mm、厚み40μmの二軸延伸フィルムを基材フィルム(A)として用い、PVDCからなる幅25mm、厚み40μmのテープ状フィルムを開封テープ(B)として用いた。本発明の筒状体を製造するための装置を用いて、基材フィルム2および開封テープ3の間の2つの熱溶着部のうち、一方は2本の熱溶着線を形成した高周波熱溶着し、他方は1本の熱溶着線を形成して高周波熱溶着して筒状体を得た。
本発明の包装体を製造するための装置を用いて、得られた筒状体にういろうのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、100℃の条件下で60分間スチーム処理を行い、室温で1日間放置して、包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。実施例5で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表1に示した。
〔実施例6〕
実施例6では、基材フィルム(A)として、外側から外層/接着層/中間層/接着層/内層からなる5層構成の多層フィルムを用いた。具体的には、外側からPP(厚み10μm)/Ad(厚み2μm)/MXD(厚み8μm)/Ad(厚み2μm)/PP(厚み15μm)からなる総厚み37μm、幅70mmの二軸延伸の共押出多層フィルムを用いた。開封テープ(B)としては、同じく5層構成の多層フィルムを用い、外側からPP(厚み15μm)/Ad(厚み2μm)/MXD(厚み8μm)/Ad(厚み2μm)/PP(厚み20μm)からなる総厚み47μm、幅30mmの二軸延伸の共押出多層フィルムを用いた。
ここで、PPとは、プロピレン93質量%、エチレン2質量%、およびブテン−5質量%からなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体(住友化学社製の住友ノーブレンFL851(融点139℃、密度0.90、MFR6g/10min))90質量%と、SSC系ポリエチレン(ダウケミカル社製のエリート5100(融点121℃、密度0.92、MFR0.85g/10min))10質量%との混合樹脂である。
また、Adは、PP系接着樹脂(三菱化学社製のモディックP504V(融点140℃、密度0.89、MFR4g/10min))50質量%と、LLDPE系接着樹脂(三菱化学社製のモディックOM−101(融点120℃、密度0.93、MFR3.2g/10min))50質量%との混合樹脂である。
そして、MXDは、ナイロンMXD6(三菱化学社製のポリアミドMXD6♯6007(融点240℃、ガラス転移温度(Tg)75℃、密度1.22))80質量%と、ナイロン66/610/MXD6(エムスケミカル社製のグリロンBM−18SBH(融点181℃、Tg57℃、密度1.12))20質量%との混合樹脂である。
本発明の筒状体を製造するための装置を用いて、機材フィルム(A)および開封テープ(B)の間の各熱溶着部に熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、筒状体を得た。本発明の包装体を製造するための装置を用いて、得られた筒状体に魚肉ソーセージのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、120℃、スチーム圧力2kg/cm(ゲージ)の条件下で15分間レトルト殺菌処理をして包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。実施例6で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表2に示した。
〔実施例7〕
実施例7では、実施例5と同様の基材フィルム(A)および開封テープ(B)を用いて、基材フィルム(A)および開封テープ(B)の間の各熱溶着部に熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、ういろうのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、100℃の条件下で60分間スチーム処理を行い、室温で1日間放置して包装体を得た。その他の点は実施例1と同様にした。実施例7で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表2に示した。
〔実施例8〕
実施例8では、基材フィルム(A)として、外側から外層/接着層/中間層/接着層/内層からなる5層構成の多層フィルムを用いた。具体的には、外側からPP(厚み12μm)/ポリウレタン系接着剤(厚み2.5μm)/収縮性ナイロン(厚み15μm)/ポリウレタン系接着剤(厚み2.5μm)/PP(厚み12μm)からなる総厚み44μm、幅70mmのドライラミネートフィルムを用いた。開封テープ(B)としては、同じく5層構成の多層フィルムを用い、外側からPP(厚み20μm)/ポリウレタン系接着剤(厚み2.5μm)/収縮性ナイロン(厚み15μm)/ポリウレタン系接着剤(厚み2.5μm)/PP(厚み12μm)からなる総厚み52μm、幅30mmのドライラミネートフィルムを用いた。
ここで、基材フィルム(A)の外層および内層として用いたPPは、興人社製のコージンポリセット(90℃熱水収縮率(MD/TD)=(9/12%))であり、中間層として用いた収縮性ナイロンは、三菱化学興人パックス社製のスーパーニールSPR SHW(Ny6(厚み5μm)/MXD6(厚み5μm)/Ny6(5μm)からなる3層構成の両面コロナ処理品であり、95℃の熱水収縮率(MD/TD)=(20/17%))であり、接着層として用いたポリウレタン系接着剤は、武田薬品工業社製のタケラックA−385およびタケネートA−50である。開封テープ(B)の接着層、中間層、および内層は基材フィルム(A)と同様のものを用いたが、外層として用いたPPは、プロピレン−エチレン共重合体(日本ポリオレフィン社製のジョイアロマーFD411(密度0.90g/cm、エチレン含量7質量%、融点133℃))を用いて二軸インフレーション延伸法で作製した(90℃熱水収縮率(MD/TD)=(11/12%))。
本発明の筒状体を製造するための装置を用いて、基材フィルム(A)および開封テープ(B)の間の各熱溶着部に熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、筒状体を得た。本発明の包装体を製造するための装置を用いて、得られた筒状体に畜肉ソーセージのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、80℃の条件下で50分間ボイル処理を行い、90℃の熱水で10秒間皺伸ばしをし、5℃の冷蔵庫で1日間冷蔵して包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。実施例8で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表2に示した。
〔実施例9〕
実施例9では、基材フィルム(A)として、外側から外層/接着層/中間層/接着層/内層からなる5層構成の多層フィルムを用いた。具体的には、接着層および中間層は実施例8の基材フィルム(A)と同様のものを用いたが、外層および内層としては収縮性ポリエチレン(興人社製のポリセットUM(厚み15μm、90℃熱水収縮率(MD/TD)=(15/18%);以下S−PEと略称する))を用いた幅70mmのドライラミネートフィルムを使用した。開封テープ(B)としては、同じく5層構成の多層フィルムを用いた。具体的には、内層のポリエチレン(厚み25μm)を常法の押出機で溶融押出して、中間層の収縮ナイロンの片面に常法のアンカーコート処理を施した面にルーダーラミネートし、収縮性ナイロン(中間層)/アンカーコート層(接着層)/ポリエチレン(内層)の3層積層フィルムを得た。次いで、ポリウレタン系接着剤を用いて外層のS−PEを3層積層フィルムの収縮性ナイロンにドライラミネートし、総厚み60μm、幅30mmの5層積層フィルムを得た。
本発明の筒状体を製造するための装置を用いて、基材フィルム(A)および開封テープ(B)の間の各熱溶着部に熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、筒状体を得た。本発明の包装体を製造するための装置を用いて、得られた筒状体に畜肉ソーセージのペーストを充填し、両端を結紮または封止した後、80℃の条件下で50分間ボイル処理を行い、90℃の熱水で10秒間皺伸ばしをし、5℃の冷蔵庫で1日間冷蔵して包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。実施例9で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表2に示した。
〔比較例1〕
比較例1では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いて、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。ここで、基材フィルム(A)の両側端部を重ね合わせた熱溶着部を高周波熱溶着によって熱溶着して筒状体を得た。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。包装体の重量は約80gであり、直径24mm、長さ180mmであった。包装体の掴み代の幅は約5mmとした。比較例1で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例2〕
比較例2では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いたが、比較例1よりも高周波出力を弱くして熱溶着を行い、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例2で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例3〕
比較例3では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いて、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。ここで、筒状体の胴体部に縦型のカットテープを設けた。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例3で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例4〕
比較例4では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いて、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。ここで、筒状体の胴体部に横型のカットテープを設けた。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例4で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例5〕
比較例5では、実施例2で用いた基材フィルム(A)とテープ状フィルム(B)とを用いたが、基材フィルム(A)を厚み80μm、幅30mmとし、開封テープ(B)を厚み40μm、幅70mmとした。そして、実施例2と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例5で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例6〕
比較例6では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いて熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。そして、実施例1と同様にして、魚肉ソーセージが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例6で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
〔比較例7〕
比較例7では、実施例1で用いた基材フィルム(A)のみを用いた。クレハ社製のKAP3000型を用いて熱風(ホットジェット)シール(温度350℃、エアー圧力1kg/cm、ノズルスリット幅1mm)を行い、基材フィルム(A)を筒状に形成した筒状体を得た。そして、実施例5と同様にして、ういろうが充填された包装体を得た。その他の点は比較例1と同様である。比較例7で得られた包装体の各物性値の測定結果および評価結果を表3に示した。
Figure 2015030502
Figure 2015030502
Figure 2015030502
(考察)
表1を見ると、実施例1では、基材フィルム(A)の厚みよりも開封テープ(B)の厚みを大きくすることにより、基材フィルム(A)の引張強力よりも開封テープ(B)の引張強力が大きくなっていることが分かる。その結果、イージーオープン性「A」の評価を得た。ここで、実施例2では、開封テープ(B)の厚みを、実施例1における開封テープ(B)の厚みも大きくした。これにより、開封テープ(B)の引張強力はさらに大きくなっていることが分かる。その結果、実施例2においても、イージーオープン性「A」の評価を得た。
また、実施例3では、基材フィルム(A)と開封テープ(B)との厚みを同じにしているが、基材フィルム(A)の引張弾性率よりも開封テープ(B)の引張弾性率を大きくした。これにより、基材フィルム(A)の引張強力よりも開封テープ(B)の引張強力が大きくなっていることが分かる。その結果、イージーオープン性「A」の評価を得た。
これに対して比較例1および2では、それぞれイージーオープン性「B」の評価を得た。また、比較例3および4では、開封テープ(B)をより容易に開封するためのカットテープを包装体に設けたにも拘らず、それぞれイージーオープン性「B´」の評価を得た。以上により、2つの帯状の高分子フィルム(すなわち、基材フィルム(A)および開封テープ(B))で形成した筒状体において、基材フィルム(A)の引張強力を開封テープ(B)の引張強力よりも大きくすることで高いイージーオープン性が実現されることが確認された。
ここで、比較例5では、実施例2で用いた基材フィルム(A)と開封テープ(B)とを用いたが、基材フィルム(A)の厚みおよび幅を実施例2の開封テープ(B)の厚みおよび幅とし、開封テープ(B)の厚みおよび幅を実施例2の基材フィルム(A)の厚みおよび幅とした。その結果、包装体の開封時に、掴み代のみが約半分くらい切断してしまい、良好な開封ができず、イージーオープン性「B」の評価を得た。以上により、包装体のより良好な開封を実現するためには、基材フィルム(A)の幅を、開封テープ(B)の幅よりも大きくすることが好ましいことが確認された。
実施例4および5においても、イージーオープン性「A」の評価を得た。実施例4では、2つの熱溶着部のうち一方の熱溶着部には高周波熱溶着を行い、他方の熱溶着部には超音波熱溶着を行うことにより、2つの熱溶着部におけるシール強度の差が大きくなっている。一方、実施例5では、2つの熱溶着部のうち一方の熱溶着部には1本の熱溶着線を形成して熱溶着を行い、他方の熱溶着部には2本の熱溶着線を形成して熱溶着を行うことにより、2つの熱溶着部におけるシール強度の差が大きくなっている。したがって、2つの熱溶着部におけるシール強度の差を大きくすることが好ましいことが確認された。
実施例6、8、および9においても、イージーオープン性「A」の評価を得た。実施例6、8、および9では、基材フィルム(A)の強度よりも開封テープ(B)の強度を大きくすることに加え、基材フィルム(A)の外層の厚みよりも開封テープ(B)の内層の厚みを大きしている。したがって、基材フィルム(A)および開封テープ(B)が多層フィルムの場合には、基材フィルム(A)の引張強力を開封テープ(B)の引張強力よりも大きくすることに加え、基材フィルム(A)の外層の厚みよりも開封テープ(B)の内層の厚みを大きくすることで高いイージーオープン性が実現されることが確認された。
実施例7では、2つの熱溶着部に熱風(ホットジェット)シールを行った。熱風(ホットジェット)シールで熱溶着部の熱溶着を行った場合でも、イージーオープン性「A」の評価を得た。これに対して比較例6および7では、それぞれイージーオープン性「D」の評価を得た。以上により、熱溶着部に高周波熱溶着以外の熱溶着方法を用いた場合でも、2つの帯状の高分子フィルム(すなわち、基材フィルム(A)および開封テープ(B))で形成した筒状体において、少なくとも基材フィルム(A)の引張強力よりも開封テープ(B)の引張強力を大きくしていれば、高いイージーオープン性が得られることが分かる。
なお、実施例1〜9すべてにおいて、包装機械適正は「A」であった。しかし、比較例1〜7すべてにおいて、包装機械適正は「B」であった。例えば、比較例1では、良好な開封が得られる包装体と、開封時に掴み代のみが切断したり、熱溶着部が部分的に残ってしまったりする包装体とが混在していた。また、比較例2では、レトルト殺菌処理時に、100本の包装体中、半分以上の包装体がシールパンクした。比較例3および4では、カットテープを利用した開封において、100本の包装体中、比較例3では約7本、比較例4では約6本の包装体において、カットテープが切断したり、カットテープのみが外れたりしてしまった。上述したように、比較例5では、包装体の開封時に、掴み代のみが約半分くらい切断してしまった。そして、比較例6および7では、開封時に多層フィルムの掴み代が残ってしまうと共に、基材フィルム(A)の外層および開封テープ(B)の内層に糸引き状物が発生するものが、100本の包装体中、比較例6では10本、比較例7では8本あった。以上のように、包装機械適正の観点からも、比較例1〜7の包装体は実用性に乏しく、実施例1〜9の包装体は十分な実用性を有していることが分かる。
本発明は、ソーセージやスティックチーズ等の内容物を充填する筒状体、および当該筒状体を用いて製造する包装体、ならびに当該筒状体を製造するための易開封性フィルムに適用することができる。
1 筒状体
2 基材フィルム
3 開封テープ
4 熱溶着線
5 内容物
10 包装体

Claims (8)

  1. 帯状の第1高分子フィルムと、上記第1高分子フィルムよりも引張強力が大きい帯状の第2高分子フィルムとから構成され、
    上記第1高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、上記第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分と、上記第1高分子フィルムの上記2つの側端部の他方の側端部を、上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部の他方の側端部と重ね合わせた部分とそれぞれに、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで筒状に形成されており、
    上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部の少なくともいずれか一方の側端部は、外表面側に位置していることを特徴とする筒状体。
  2. 上記第1高分子フィルムは、上記第2高分子フィルムよりも厚みが小さいことを特徴とする請求項1に記載の筒状体。
  3. 上記第1高分子フィルムは、上記第2高分子フィルムよりも引張弾性率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の筒状体。
  4. 上記第2高分子フィルムの上記2つの側端部のうち外表面側に位置している側端部では、当該側端部を上記第1高分子フィルムの上記2つの側端部のいずれか一方と重ね合わせた部分に形成された上記熱溶着線から、当該側端部の縁部までの間に3mm以上の間隔が空いていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状体。
  5. 上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムは、塩化ビニリデン系共重合体樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の筒状体。
  6. 上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムは、ポリアミド系樹脂から構成される層を含む多層フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状体。
  7. 帯状の第1高分子フィルムと、帯状の第2高分子フィルムとから構成され、
    上記第1高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部を、上記第2高分子フィルムの長手方向に伸びる2つの側端部の一方の側端部と重ね合わせた部分に、少なくとも1本の熱溶着線を形成した封筒貼りで形成されており、
    上記第1高分子フィルムおよび上記第2高分子フィルムの長手方向に対する垂直方向の50%引張歪時の引張強力を、それぞれσ(A)およびσ(B)とした場合に、下記の関係式を満たすことを特徴とする易開封性フィルム。
    1.1×σ(A)≦σ(B)
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の筒状体の上下端を結紮または封止することにより形成されていることを特徴とする包装体。
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