JP2015028267A - あと施工アンカーの定着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンカー挿入孔に対してあと施工アンカーを定着する方法において、アンカー挿入孔内のグラウト材中に空気が混入することを防止して、品質の低下を抑制する。【解決手段】あと施工アンカー3及び可塑性グラウト材Gを予め挿入するための貯留容器15を準備し、この貯留容器15内に可塑性グラウト材Gを充填して打込みアンカー3を挿入する。既設のコンクリート構造体に穿孔されたアンカー挿入孔2に可塑性グラウト材を充填した後に、貯留容器15をアンカー挿入孔2に連通させてコンクリート構造体に密着させる。貯留容器15の下端の開口15dから押し込み部材17を挿入し、あと施工アンカー3を押し上げてアンカー挿入孔2内に挿入する。押し込み部材17を用いてあと施工アンカー3の拡張部32を拡張させて、あと施工アンカー3を固着させる。【選択図】図8

Description

本発明は、水平方向または施工面から上向きに延在する挿入孔にあと施工アンカーを挿入して定着させる方法に関する。
土木又は建築工事の分野では、コンクリート構造体や硬岩などの表面にアンカーボルト(あと施工アンカー)を設置することがあり、アンカーボルトの直径は、6mm程度から50mm程度のものまでさまざまである。このようなアンカーボルトには、周囲に付着させることで定着させる接着系アンカーや、機械的に固着させることで定着させるメカニカルアンカーなどがある。メカニカルアンカーとしては種々のものがあり、例えば、径を拡大させる機構(拡張部)を有するスリーブを異形鉄筋やねじ鋼棒の先端に備えた打込み方式の拡底アンカーが知られている。打込み方式の拡底アンカーを施工する場合には、スリーブとは反対側の端部を打撃し、挿入孔先端の周壁に拡張部を押し当てて挿入孔先端の径を拡大させる。
また、メカニカルアンカーとしては、ねじ鋼棒の先端に設けられた拡張部をねじに沿って回転させることで径を拡大させる締付け方式の拡底アンカーが知られている。
例えば下向きの挿入孔に締付け方式の拡底アンカーを施工する技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1の拡底アンカーは、挿入孔に挿入されるアンカー本体としてのネジ棒と、このネジ棒に螺合するナットと、ネジ棒に挿通されてナット上に配置されたリング体からスカート状に拡がる複数の拡張片を有する拡径金具とを備えている。ナットには上すぼまりのテーパー部が形成され、拡径金具の拡張片はテーパー部に当接して径方向に拡げられる。
拡径アンカーを施工する場合、特許文献1では、既存のコンクリート構造物に形成した下向きの挿入孔に、孔壁を拡径切削して上すぼまりの拡径部を形成し、この挿入孔に拡底アンカーを挿入し、治具により拡径金具を押し下げて拡張片を拡げて孔壁の拡径部に係合させ、さらに、ネジ棒と挿入孔との間の隙間に充填材を充填している。
特許第3636632号明細書
上記のようなメカニカルアンカーにおいても、強度や剛性を向上させるため、さらに防錆の観点から挿入孔内を充填材料で満たすことが望ましい。充填材料としては、樹脂系材料よりセメント系グラウト材が好ましく、セメント系グラウト材は、長期耐久性や耐火性において樹脂系材料より優れ、さらに鋼材に対してアルカリ雰囲気を形成することができる。
粘性が高く、内径30〜100mm程度の上向きに穿孔された挿入孔内に充填しても、垂れにくいグラウト材として、可塑性グラウト材が知られている。このような可塑性グラウト材は、衝撃や振動によって粘性が低下して流動しやすくなる性質があり、流動性が増すことで挿入孔から漏れ出すおそれがある。
打込み方式の拡底アンカーを施工する際には、拡底アンカーを打撃することで拡張部を拡げているが、挿入孔が水平方向に延在する場合、または挿入孔が施工面から斜め上方へ延在する場合、または挿入孔が鉛直上向きに延在する場合には、挿入孔に充填されたグラウト材が打撃による衝撃で漏れ出すおそれがある。このように挿入孔からグラウト材が漏れると、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入し、品質の低下を招くことになる。
締付け方式の拡底アンカーを施工する際には、拡張部を回転させるための治具を挿入孔内に挿入して拡張部に押し当て回転させ、拡張部を拡げているが、挿入孔が水平に延在する場合、または挿入孔が施工面から斜め上方へ延在する場合、または挿入孔が鉛直上向きに延在する場合には、挿入孔に充填されたグラウト材が回転による振動で挿入孔から漏れ出すおそれがある。このように挿入孔からグラウト材が漏れると、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入し、品質の低下を招くことになる。また、治具を挿入孔から抜き出す際に、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入するおそれがある。
そこで、本発明の課題は、水平方向に延在する挿入孔又は施工面から上向きに延在する挿入孔に対してあと施工アンカーを挿入して定着させる方法において、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入することを防止して、品質の低下を抑制することができるあと施工アンカーの定着方法を提供することにある。
本発明は、有底の挿入孔を水平方向に又は施工面から上向きに穿孔し、挿入孔にあと施工アンカーを挿入して定着させるあと施工アンカーの定着方法において、挿入孔内に可塑性グラウト材を充填する工程と、貯留容器内に可塑性グラウト材を充填する工程と、貯留容器内にあと施工アンカーを挿入する工程と、可塑性グラウト材及びあと施工アンカーが充填された貯留容器を挿入孔に連通させて施工面に密着させる工程と、貯留容器の後端の開口から押し込み部材を挿入して、あと施工アンカーを押し込んで挿入孔内に挿入する工程と、あと施工アンカーの拡張部を拡張させて拡張部を挿入孔の内壁に固着させる工程とを備えることを特徴としている。
本発明に係るあと施工アンカーの定着方法においては、あと施工アンカー及び可塑性グラウト材を予め充填するための貯留容器を準備し、この貯留容器内に可塑性グラウト材を充填してあと施工アンカーを挿入する。施工面に穿孔された挿入孔に可塑性グラウト材を充填した後に、貯留容器を挿入孔に連通させて施工面に密着させる。貯留容器の後端の開口から押し込み部材を挿入し、あと施工アンカーを押し込んで挿入孔内に挿入する。このように可塑性グラウト材が充填された貯留容器を挿入孔に連通させて施工面に密着させた後、貯留容器内のあと施工アンカーを挿入孔内に挿入しているので、貯留容器と施工面との間から空気が侵入することを防止し、挿入孔内の可塑性グラウト材中に空気が混入されることが防止される。また、貯留容器及び挿入孔に充填された可塑性グラウト材中をあと施工アンカーが移動することになるので、あと施工アンカーの移動に伴って空気が挿入孔内に侵入することが防止できる。また、あと施工アンカーを挿入する際や、拡張部を拡張させる際に、可塑性グラウト材に衝撃や振動が加わっても、可塑性グラウト材を貯留容器で受けることができるので、可塑性グラウト材が外部に漏れ出さず、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入することが抑制される。なお、上向きの挿入孔とは、鉛直方向の上向きの挿入孔に限定されず、斜め上方に傾斜する挿入孔でもよい。また、貯留容器において、施工面に近い方の端部を先端とし、施工面に遠い方の端部を後端とする。
また、あと施工アンカーより長い円筒状の貯留容器内に、あと施工アンカーを挿入し、貯留容器の先端のフランジを施工面に取り付けて挿入孔の開口部の周囲に密着させることが好ましい。これにより、あと施工アンカーより長い貯留容器内にあと施工アンカーを挿入することで、あと施工アンカーの全長を可塑性グラウト材中に納めることができるので、可塑性グラウト材に覆われた状態のあと施工アンカーを挿入孔内に挿入することができ、挿入孔内に空気が侵入するおそれが一層低減される。また、貯留容器の上端に設けられたフランジ面を施工面に取り付けることができるので、貯留容器を安定的に保持することができ、貯留容器の位置ずれや傾きを防止して空気の侵入のおそれを低減することができる。また、フランジ面を施工面に平行に取り付けることで、円筒状の貯留容器の延在方向が規制されるので、挿入孔及び貯留容器の延在する方向を容易に一致させることができる。
また、あと施工アンカーは打撃による力によって拡張部を拡張させる打込み方式のあと施工アンカーであり、押し込み部材は貯留容器よりも長いものであり、拡張部を固着させる工程では、貯留容器の後端から突出する押し込み部材を叩き、押し込み部材を介して打撃による力を拡張部に伝達して拡張部を拡張させてもよい。これにより、貯留容器の後端から外方に突出する押し込み部材を叩いて拡張部を拡張させることができるので、貯留容器を開口部の周囲の施工面に押し当てたまま拡張部を拡張させることができ、可塑性グラウト材が外部へ漏れ出すことを防止して空気の侵入を防止することができる。
また、あと施工アンカーは回転による力によって拡張部を拡張させる締付け方式のあと施工アンカーであり、押し込み部材は貯留容器よりも長いものであり、拡張部を固着させる工程では、貯留容器の後端から突出する押し込み部材を軸回りに回転させ、押し込み部材を介して回転による力を拡張部に伝達して拡張部を拡張させてもよい。これにより、貯留容器の後端から外方に突出する押し込み部材を回転させて拡張部を拡張させることができ、可塑性グラウト材が外部へ漏れ出すことを防止して空気の侵入を防止することができる。また、押し込み部材を挿入孔内から抜き出す際に、押し込み部材の移動に伴って挿入孔内の可塑性グラウト材が振動しても、貯留容器によって受けることができるので、外部に可塑性グラウト材が漏れ出すことがない。
貯留容器内にあと施工アンカーを挿入した後に、貯留容器の上端よりも上方まで可塑性グラウト材を盛り上げることが好適である。このように、可塑性グラウト材を余分に盛ることで、余分に盛られた可塑性グラウト材を挿入孔内の可塑性グラウト材に押し当てることができ、貯留容器内の可塑性グラウト材中に空気が混入するおそれを低減することができる。
また、貯留容器内にあと施工アンカーを挿入する工程では、貯留容器の中心にあと施工アンカーの位置を拘束するスペーサーを用いて、あと施工アンカーの位置を規制してもよい。これにより、あと施工アンカーの位置を貯留容器の中心に規制することができるので、挿入孔に対して貯留容器の位置を合わせて、挿入孔とあと施工アンカーとの位置を一致させることができ、あと施工アンカーを確実に挿入孔に挿入することができ、作業スピードを向上させることができる。
また、挿入孔の開口部を覆うことが可能な蓋を準備し、蓋の中央開口部にあと施工アンカーを挿通して、あと施工アンカーに蓋を装着した後に、あと施工アンカー及び蓋を貯留容器内に挿入し、拡張部を挿入孔の内壁に固着させ、貯留容器を施工面から離した後において、蓋をあと施工アンカーに装着したままとして挿入孔の開口部を覆った状態で、挿入孔内の可塑性グラウト材を養生してもよい。このように挿入孔の開口部を覆うための蓋を準備し、この蓋をあと施工アンカーに装着して貯留容器内に収容し、貯留容器内のあと施工アンカーを挿入孔に移動させて、あと施工アンカーの拡張部を挿入孔の内壁に固着し、貯留容器を施工面から離した後に、蓋をあと施工アンカーに装着したままとして挿入孔の開口部を覆うことで、挿入孔内の可塑性グラウト材を養生することができる。これにより、中央開口部を有する蓋をあと施工アンカーに装着するだけで、可塑性グラウト材を養生することができる。
本発明によれば、水平方向に延在する挿入孔または施工面から上向きに延在する挿入孔に対してあと施工アンカーを定着する方法において、挿入孔内のグラウト材中に空気が混入することを防止して、品質の低下を抑制することができるあと施工アンカーの定着方法を提供することができる。
コンクリート構造体に削孔されたアンカー挿入孔内に打込みアンカーが挿入された状態を示す断面図である。 アンカー挿入孔内にグラウト材注入ホースを挿入して、グラウト材を注入している状態を示す断面図である。 作業者がグラウト材注入ホースを支持しながらグラウト材を注入している様子を示す概略図である。 貯留容器及び押し込み棒を示す斜視図である。 グラウト材が充填された貯留容器を示す断面図である。 グラウト材及び打込みアンカーを収容した貯留容器が、アンカー挿入孔の直下に配置されている状態を示す断面図である。 図6中の養生蓋を示す斜視図である。 貯留容器を施工面に押し当てた状態で押し込み棒を打撃して、打込みアンカーの拡張部を拡張させた状態を示す断面図である。 締付け方式のアンカーを拡張させる手順を示す図であり、アンカー挿入孔に挿入された拡張部を示す断面図である。 締付け方式のアンカーの拡張部を回転可能な押し込み棒の先端部を示す斜視図である。 センタリングスペーサーを示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る打込みアンカーの定着方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示されるように既設のコンクリート構造体1に上向きのアンカー挿入孔2を穿孔し、上向きのアンカー挿入孔2に打込みアンカー(あと施工アンカー)3を挿入してグラウト材Gを用いて定着させる方法について説明する。図1では、コンクリート構造体1に削孔されたアンカー挿入孔2内に打込みアンカー3が挿入された状態を示している。
既設のコンクリート構造体1としては、ボックスカルバート、トンネル及びその他のコンクリート製の壁体などが挙げられる。コンクリート構造体1の天井面に施工面4が形成され、施工面4にアンカー挿入孔2が施工される。施工面4は、アンカー挿入孔2が施工される面である。
打込みアンカー3の定着方法では、まず、施工面4に対してドリルを用いて削孔し、有底のアンカー挿入孔2を穿孔する。アンカー挿入孔2の削孔径は、6mm〜50mm程度である。アンカー挿入孔2は下方に向く施工面4から上方に延びるように形成される。アンカー挿入孔2は鉛直上向きに延在している。また、施工面4に対してアンカー挿入孔2を削孔した後、アンカー挿入孔2の内壁面に下地処理として吸湿防止剤などのプライマーを塗布してもよい。
打込みアンカー3は、異形鉄筋からなるアンカー本体31と、先端に設けられた拡張部32と、後端に形成されたおねじ部33とを備えている。拡張部32はアンカー本体31の先端に接続されたスリーブ34を有し、スリーブ34の先端には、スリーブ34から前方に延びる複数の拡張片35が設けられている。複数の拡張片35は、スリーブ34の周方向に沿って配置されている。また、拡張部32は複数の拡張片35に挟まれて保持されたテーパー部36を備え、テーパー部36の外径は後端側から先端側に向かうにつれて拡径されている。テーパー部36の後端側は複数の拡張片35に周囲を覆われて保持され、スリーブ34が先端側へ押し込まれると、テーパー部36は拡張片35の後端側へ食い込み、拡張片35はテーパー部36の外面に沿って径方向に押し拡げられて拡張する。
アンカー挿入孔2を削孔した後、アンカー挿入孔2内にグラウト材Gを充填する工程を実施する。図2及び図3に示されるように、グラウト材注入ホース7を用いて、アンカー挿入孔2に対してグラウト材Gの注入を行う。グラウト材注入ホース7の先端近傍の外周面には、外方に張り出すつば部7aが形成されている。つば部7aは、例えば鋼製リングであり、この鋼製リングをグラウト材注入ホース7の先端の筒体に装着することでつば部7aが形成されている。
つば部7aの外径は、アンカー挿入孔2の内径よりも少し小さくなっている。グラウト材注入ホース7を、アンカー挿入孔2内に挿入した際のアンカー挿入孔2の内壁面とつば部7aとの間の隙間は、1mm程度であることが好ましい。アンカー挿入孔2の内壁面とつば部7aとの間の隙間は、空気を通しグラウト材Gの通過を防止可能な大きさであることが好適である。
グラウト材Gは粘性を有する可塑性のグラウト材であり、スラリー状または粘土状のセメント系グラウト材である。可塑性のグラウト材Gは、アンカー挿入孔2に充填される直前に、可塑剤及び添加剤が混入されて練り混ぜられて生成される。練り混ぜ後の可塑性のグラウト材Gをホッパーに導入し、バイブレータをかけてグラウト材G中の空気を抜き出した後に、グラウト材Gをアンカー挿入孔2に充填する。
アンカー挿入孔2内にグラウト材Gを充填する工程において、作業者Mはグラウト材注入ホース7をアンカー挿入孔2内に挿入する。グラウト材注入ホース7は、アンカー挿入孔2の奥まで挿入されて天端2cに押し当てられる。グラウト材注入ホース7の先端を、アンカー挿入孔2の天端2cに押し当てた状態で、グラウト材Gの注入を開始する。
グラウト材注入ホース7から流れ出たグラウト材Gは、天端2cとつば部7aとの間に充填される。このとき、天端2cとつば部7aとの間の空気は、グラウト材Gによって押し出され、つば部7aとアンカー挿入孔2の内壁との間の隙間を通り、つば部7aよりも下方に流れ出る。また、グラウト材注入ホース7は、アンカー挿入孔2に注入されたグラウト材Gによって、下方に押し下げられる。流れ出たグラウト材Gがつば部7aを押し下げるので、グラウト材注入ホース7がアンカー挿入孔2内を下方へ移動することになる。グラウト材Gがアンカー挿入孔2の下端まで充填されたら、グラウト材Gの注入を停止する。上向きのアンカー挿入孔2に対して可塑性グラウト材Gを充填しているので、アンカー挿入孔2内からグラウト材Gが垂れ落ちることが防止されている。
図4は、貯留容器及び押し込み棒を示す斜視図である。貯留容器15は、打込みアンカー3をアンカー挿入孔2に挿入する前に、打込みアンカー3をグラウト材Gと共に収容する容器である。貯留容器15は、円筒体を成しグラウト材G及び打込みアンカー3を収容するパイプ本体(容器本体)15aを備え、パイプ本体15aの上端部にはフランジ15bが設けられ、下端部には筒体の開口部を覆う底板15cが設けられている。底板15cの中央部には、板厚方向に貫通する底板開口部15dが形成されている。貯留容器15内にグラウト材Gが充填される際には、底板開口部15dにはゴム栓16(図5参照)が装着される。底板開口部15dは、打込みアンカー3を押し上げる際に利用される押し込み棒(押し込み部材)17が挿入される開口部である。貯留容器15は、打込みアンカー3の長さより長いものである。
貯留容器15内にグラウト材Gを充填する工程は、アンカー挿入孔2内にグラウト材Gを充填する工程を実施した後に実行する。図5は、グラウト材Gが充填された貯留容器を示す断面図である。ここでは、アンカー挿入孔2に注入されたものと同じ可塑性のグラウト材Gを注入する。貯留容器15は、例えば作業員によって上下方向に延在するように支持されていてもよく、その他の支持具によって上下方向に延在するように支持されてもよい。貯留容器15を支持した後、上端の開口部からグラウト材Gを貯留容器15内に注入する。底板開口部15dはゴム栓16によって閉じられているので、底板開口部15dからのグラウト材Gの流出は防止されている。
貯留容器15にグラウト材Gを注入する場合には、注入ホースを用いてもよく、注入ホースを用いずに、容器内のグラウト材Gを貯留容器15内に流し込んでもよい。
パイプ本体15aの側部には、パイプ本体15aから流入したグラウト材Gを貯留すると共に、グラウト材Gをパイプ本体15a内に押し戻し可能な蓄圧部15eが連結されている。蓄圧部15eは、パイプ本体15aの側部から側方に張り出す短管15fと、短管15fの開口部を覆うシート状のゴム(弾性体)15gとを有する。蓄圧部15eはゴム15gが伸びることで容積が増加し、ゴム15gが収縮することで容積が減少する。これにより、蓄圧部15eは、パイプ本体15aから流入したグラウト材Gを貯留すると共に、グラウト材Gをパイプ本体15a内に押し戻す。
貯留容器15にグラウト材Gを充填する工程を実施した後に、貯留容器15内に打込みアンカー3を挿入する工程を実行する。図6は、グラウト材G及び打込みアンカー3を収容した貯留容器15が、アンカー挿入孔2の直下に配置された状態を示す断面図である。ここでは、アンカー挿入孔2の開口部2aを覆うことが可能な養生蓋41を準備し、打込みアンカー3に養生蓋41を装着し、打込みアンカー3を養生蓋41と共に貯留容器15内に挿入する。
図7は、図6中の養生蓋を示す斜視図である。養生蓋41は円環状を成し、中央開口部41aには打込みアンカー3が挿通される。養生蓋41は、例えばスポンジゴムなど弾力性を有する材料によって形成され、中心線方向に所定の厚みを有している。養生蓋41の外径は、貯留容器15の内径に対応して貯留容器15の内径よりやや小さく、養生蓋41の中央開口部41aの内径は、アンカー本体31の外径に対応してアンカー本体31の外径よりやや小さくなっている。これにより、中央開口部41aに打込みアンカー3を挿通することで、養生蓋41をアンカー本体31に密着させることができる。
図6に示されるように、打込みアンカー3は、養生蓋41の中央開口部41aに挿通され、養生蓋41を装着した状態で、貯留容器15内に挿入される。打込みアンカー3を挿入する際には、打込みアンカー3の向きをアンカー挿入孔2内に挿入される向きに合わせる。打込みアンカー3のおねじ部33を下側に配置し拡張部32を上側に配置して、打込みアンカー3を貯留容器15の上端部の開口から挿入する。打込みアンカー3は、パイプ本体15a内に収容され、後端のおねじ部33から先端の拡張部32までの全長がグラウト材Gに覆われることになる。
打込みアンカー3を貯留容器15内に挿入した後に、さらにグラウト材Gを追加して、貯留容器15の上端の開口部の上方までグラウト材Gを盛り上げる。可塑性のグラウト材Gは粘性を有しているので、上端の開口部よりも上方まで盛り上げることができる。そして、グラウト材Gを盛り上げた後に、貯留容器15に振動を与えてグラウト材G内の空気を抜き出す。貯留容器15の外周面を木槌などで打撃したり、貯留容器15内部にバイブレータを挿入してグラウト材Gに振動を与えたりして、グラウト材G中の空気を抜き出す。
次に、打込みアンカー3をアンカー挿入孔2に挿入する工程を実行する。ここでは、貯留容器15のフランジ15bを施工面4に押し当て、フランジ面と施工面4とを面接触させて密着させる。これにより、空気が施工面4とフランジ面との間から貯留容器15及びアンカー挿入孔2内に侵入しないようにする。
貯留容器15を施工面4に密着させる際に、貯留容器15に余分に盛られたグラウト材Gをアンカー挿入孔2内のグラウト材Gに押し当てるようにして、アンカー挿入孔2に貯留容器15を連通させる。このとき、貯留容器15内のグラウト材Gの一部は、パイプ本体15a内から蓄圧部15eに移動する。蓄圧部15eは容積を増加させてグラウト材Gを収容し、伸長したゴム15gの収縮作用によってグラウト材Gに所定の圧力が付与される。貯留容器15は作業員によって保持されてもよく、ビスなどを用いてフランジ15bを施工面4に固定してもよい。
また、図4に示されるように、シール部材19を介して貯留容器15のフランジ面を施工面4に密着させてもよい。シール部材19は例えばゴム、スポンジなどを用いて板状に形成され、シール部材19の中央部にはアンカー挿入孔2に対応する開口19aが形成されている。また、開口19aの周囲には、板厚方向に張り出すリング部19bが形成されている。このようなシール部材19を施工面4とフランジ面との間に挟み貯留容器15を施工面4に押し付けることで、施工面4とフランジ面との間から空気が侵入しないようにすることができる。特に、施工面4がトンネルなどの天井面であって湾曲している場合には、施工面4の湾曲形状をシール部材19によって吸収することができる。また、施工面4が硬岩などの表面である場合においても、施工面4の凹凸形状をシール部材19によって吸収することができる。また、フランジ面にリング状のシール部材を設けるようにして、空気の侵入を防止するようにしてもよい。
貯留容器15を施工面4に押し当てた後、打込みアンカー3をアンカー挿入孔2に挿入する。貯留容器15の底板開口部15dに装着されていたゴム栓16を取り外し、底板開口部15dを通じて押し込み棒17を挿入する。押し込み棒17を押し上げて打込みアンカー3のおねじ部33の端面に押し当てて、打込みアンカー3を押し上げる。打込みアンカー3が押し上げられてアンカー挿入孔2内に進入すると、アンカー挿入孔2のグラウト材Gの一部はアンカー挿入孔2内から貯留容器15内に移動する。打込みアンカー3がアンカー挿入孔2内に移動して、打込みアンカー3の先端のテーパー部36がアンカー挿入孔2の天端2cに突き当たったら、打込みアンカー3の挿入を停止する。
また、打込みアンカー3をアンカー挿入孔2内に挿入する際に、打込みアンカー3の体積に応じたグラウト材Gがアンカー挿入孔2内から貯留容器15内に移動することになる。貯留容器15は、移動した打込みアンカー3の体積に応じたグラウト材Gを収容する。
打込みアンカー3がアンカー挿入孔2内に移動する際に、貯留容器15内の上部側のグラウト材Gは、養生蓋41の外周面と貯留容器15の内壁面との間の隙間を通り、下方へ移動する。打込みアンカー3がアンカー挿入孔2の天端2cに突き当たる状態まで移動した際には、養生蓋41は施工面4に当接し、アンカー挿入孔2の開口部2aを覆った状態となる。
打込みアンカー3のテーパー部36をアンカー挿入孔2の天端2cに突き当てたら、打込みアンカー3の拡張部32を拡張させる工程を実行する。図8は、貯留容器を施工面に押し当てた状態で押し込み棒を打撃して、打込みアンカーの拡張部を拡張させた状態を示す断面図である。ここでは、貯留容器15の底板開口部15dから下方に突き出た押し込み棒17を打撃することにより、拡張部32を拡張させる。例えば、作業員が木槌8を用いて、押し込み棒17の下端部を打撃する。
打撃による力は、押し込み棒17を介して打込みアンカー3のおねじ部33に伝達される。この打撃によって、おねじ部33、アンカー本体31及びスリーブ34が上方に押し上げられ、テーパー部36の外周面に当接する拡張片35が押し拡げられ、拡張部32が拡張する。これにより、拡張片35はアンカー挿入孔2の内周壁に押し当てられて食い込み、拡張部32が固着される。なお、押し込み棒17は、所定の強度を有し、打込みアンカー3を押し上げ可能であり、拡張部32を拡張する際の打撃に耐え得る強度があればよい。
打撃によってグラウト材Gに衝撃が生じると、グラウト材Gの流動性が増加するが、貯留容器15が施工面4に押し当てられているので、グラウト材Gを貯留容器15によって受けることができ、アンカー挿入孔2内のグラウト材Gの流出が防止される。
拡張部32を拡張させてアンカー挿入孔2の内周壁に固着させた後、貯留容器15内から押し込み棒17を抜き出し、底板開口部15dにゴム栓16を装着し、貯留容器15を施工面4から離間させる。貯留容器15及び貯留容器15内に残留するグラウト材Gは、他のアンカー挿入孔2に対する打込みアンカー3の挿入の際に再利用される。
また、打込みアンカー3に装着されていた養生蓋41は、貯留容器15を取り除いた後も打込みアンカー3に装着させたままとする。これにより、養生蓋41は、アンカー挿入孔2の開口部2aを覆うように配置され、アンカー挿入孔2内のグラウト材Gの養生に利用される。1日程度経過し、アンカー挿入孔2のグラウト材Gが硬化したら、養生蓋41を撤去し、適宜コンクリート構造体1の表面を清掃して、打込みアンカー3の定着が完了する。
このような打込みアンカー3の定着方法によれば、貯留容器15を準備して、この貯留容器15にグラウト材Gを充填し、この貯留容器15内に打込みアンカー3を挿入した後に、貯留容器15を施工面4に密着させた状態で、押し込み棒17を用いて貯留容器15内の打込みアンカー3を押し上げてアンカー挿入孔2に挿入することができる。このようにグラウト材Gが充填された貯留容器15をアンカー挿入孔2に連通させて密着させた後、貯留容器15内の打込みアンカー3をアンカー挿入孔2内に挿入しているので、貯留容器15と施工面4との間から空気が侵入することが防止される。また、貯留容器15及びアンカー挿入孔2に充填されたグラウト材G中を打込みアンカー3が移動することになるので、打込みアンカー3の移動に伴って空気がアンカー挿入孔2内に侵入しない。
また、打込みアンカー3より長い貯留容器15に、グラウト材Gを充填して打込みアンカー3を挿入しているので、打込みアンカー3の全長をグラウト材G中に納めることができる。そのため、グラウト材Gに覆われた状態の打込みアンカー3をアンカー挿入孔2内に挿入することができ、アンカー挿入孔2内に空気が侵入することを防止することができる。
また、貯留容器15の上端部にフランジ15bが設けられているので、フランジ面を施工面4に押し当てて密着させることができ、貯留容器15を安定的に保持することができる。これにより、貯留容器15の位置ずれを防止して、アンカー挿入孔2内に空気が侵入することを防止することができる。また、フランジ面は、貯留容器15の長手方向に直交する面を形成しているので、フランジ面を施工面4に対面させて貯留容器15を取り付けることで、貯留容器15の延在方向が規制される。これにより、アンカー挿入孔2及び貯留容器15の延在する方向を容易に一致させることができ、貯留容器15内の打込みアンカー3を確実にアンカー挿入孔2内に挿入することができる。
貯留容器15内に打込みアンカー3を挿入した後に、貯留容器15の上端よりも上方までグラウト材Gを盛り上げているので、余分に盛られたグラウト材Gをアンカー挿入孔2のグラウト材Gに押し当てることができ、貯留容器15の上端とコンクリート構造体1との間から空気が侵入するおそれをより一層低減することができる。これにより、アンカー挿入孔2内のグラウト材G中に空気が混入することが防止される。
打込みアンカー3の定着方法では、貯留容器15の底板開口部15dから外方に突出する押し込み棒17を叩いて拡張部32を拡張させることができるので、貯留容器15をアンカー挿入孔2の開口部2aの周囲の施工面4に押し当てたまま拡張部32を拡張させることができ、グラウト材Gが貯留容器15の外部に漏れ出すことはなく、アンカー挿入孔2及び貯留容器15内への空気の侵入が防止される。
また、打込みアンカー3の定着方法では、養生蓋41を準備し、拡張部32を固着させ貯留容器15を施工面4から離した後に、養生蓋41を打込みアンカー3に装着したままでアンカー挿入孔2の開口部2aを覆うことができる。これにより、養生蓋41を打込みアンカー3に装着するだけで、アンカー挿入孔2内のグラウト材Gを養生することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
上記実施形態では、コンクリート構造体1に対してアンカー挿入孔2を削孔し打込みアンカー3を定着させているが、例えば硬岩などその他の物に対してアンカー挿入孔2を施工して打込みアンカー3を定着させてもよい。
上記実施形態では、鉛直上向きのアンカー挿入孔2に対して、打込みアンカー3を挿入しているが、アンカー挿入孔2が延在する方向は、鉛直上向きに限定されず斜め上向きに延在する方向でもよい。また、水平方向に延在するアンカー挿入孔2に対して、打込みアンカー3を挿入して定着させてもよい。
上記実施形態では、アンカー挿入孔2内にグラウト材Gを充填した後に、貯留容器15にグラウト材Gを充填し打込みアンカー3を挿入しているが、貯留容器15内にグラウト材Gを充填し打込みアンカー3を挿入した後に、アンカー挿入孔2内にグラウト材Gを充填してもよい。また、アンカー挿入孔2内へのグラウト材Gの充填と、貯留容器15内へのグラウト材Gの充填とを並行して実施してもよい。
上記実施形態では、貯留容器として円筒状の容器を用いているが、貯留容器は円筒状のものに限定されず、角筒状のものでもよく、その他の形状の容器でもよい。また、貯留容器は、打込みアンカー3の長さよりも短いものでもよい。また、貯留容器は、例えば布製の円筒状の袋でもよい。布製の袋を用いた場合には、袋が変形してするので、底部に開口部を設けずに袋の外から押し込み棒17を押し当てることで、打込みアンカー3をアンカー挿入孔2に移動させることができる。同様に袋の外から押し込み棒17を打込みアンカー3に押し当てて打撃することで、拡張部32を拡張させてもよい。
上記実施形態では、ゴム栓16を用いて、貯留容器15の底板開口部15dを閉じているが、例えばゴムシートなどその他のものを用いて、底板開口部15dを閉止してもよい。
上記実施形態では、あと施工アンカーを打込みアンカー3として説明しているが、あと施工アンカーは打撃による力によって拡張部32を拡張させる打込みアンカー3に限定されず、例えば、回転力によって拡張部を拡張させる締付け方式のあと施工アンカー(拡底アンカー)でもよい。
図9は、締付け方式のアンカーを拡張させる手順を示す図であり、アンカー挿入孔に挿入された拡張部を示す断面図である。図9に示されるように、締付け方式のあと施工アンカー51は、ねじ棒からなるアンカー本体52と、アンカー本体52の先端に設けられた拡張部53とを備えている。拡張部53はアンカー本体52の先端に固定されたテーパー部54と、アンカー本体52に螺合されたリング55と、リング55から前方に延びるように配置された複数の拡張片56とを有する。
複数の拡張片56は、リング55の周方向に沿って配置されている。また、テーパー部54の外径は後端側から先端側に向かうにつれて拡径されている。リング55及び拡張片56は、ねじに沿って回転しながらアンカー本体52の軸線方向に移動し、拡張片56がテーパー部54に当接すると、拡張片56はテーパー部54の外面に沿って径方向に押し拡げられて拡張する。
図9に示されるように、締付け方式のあと施工アンカー3を適用する場合には、アンカー挿入孔2を削孔する際に、特殊な削孔ビットを用いてアンダーカット2dを形成する。アンダーカット2dは、拡張片56が拡張した際の外形に対応した形状であり、上側が下側より内径が大きくなるように拡径されている。すなわち、下方に向かうほど内径が小さくなるようにアンダーカット2dが形成され、拡張片56の拡張時においてアンダーカット2d内に拡張片56が嵌ることになる。
図10は、締付け方式のあと施工アンカーの拡張部を回転可能な押し込み棒の先端部を示す斜視図である。この押し込み棒(押し込み部材)61は、棒状の本体62と、本体62に先端に接続されたスリーブ63とを備えている。本体62は貯留容器15よりも長く、スリーブ63はあと施工アンカー51よりも長くなっている。スリーブ63は、あと施工アンカー51のアンカー本体52を収容すると共に、リング55に突き当てられて係合するものである。スリーブ63の先端には、リング55の一対の凹部55aに嵌る一対の凸部63aが設けられている。スリーブ63をリング55に突き当てて係合させ、軸回りに回転させることで、リング55をアンカー本体52のねじに沿って回転させて先端側に移動させ、拡張片56をテーパー部54に押し当てて径方向に拡張させることができる。
また、スリーブ63の後端(底面)には、棒状の本体62が接続されると共に、本体62の接続部の周囲には、複数の開口部63bが形成されている。押し込み棒61を貯留容器15内に挿入し、押し込み棒61をさらに押し進めた際には、スリーブ63先端から内部に侵入したグラウト材Gは、開口部63bを通りスリーブ63の後端から排出される。なお、スリーブ63の側面の後端側に開口部を形成し、側面に形成された開口部からグラウト材Gを排出してもよい。
締付け方式のあと施工アンカー51の定着方法が、上記の打込みアンカー3の定着方法と異なる点は、あと施工アンカーをアンカー挿入孔2に挿入する工程、及び拡張部を拡張させてアンカー挿入孔2の内壁に固着させる工程が違う点である。また、養生蓋41は、押し込み棒61を挿入する際に邪魔になるので使用しない。
あと施工アンカー51をアンカー挿入孔2に挿入する工程では、図10に示される押し込み棒61を用いる。貯留容器15にグラウト材Gを充填し、あと施工アンカー51をグラウト材Gに埋没させ、貯留容器15を施工面4に押し当てた後に、貯留容器15の底板開口部15dから押し込み棒61を挿入する。押し込み棒61のスリーブ63をあと施工アンカー51のリング55に押し当てて、あと施工アンカー51を移動させアンカー挿入孔2内に挿入する。図9(a)では、あと施工アンカー51がアンカー挿入孔2内に挿入された後の状態を示している。図9(a)では、押し込み棒61の図示を省略している。
あと施工アンカー51をアンカー挿入孔2内に挿入した後、図9(b)に示されるように、リング55の凹部55aにスリーブ63の凸部63aを係合させた状態で、押し込み棒61を回転させて、リング55を回転させる。リング55が回転すると、リング55及び複数の拡張片56はアンカー本体52に沿って先端側へ移動し、拡張片56はテーパー部54に押し当てられて拡張されてアンカー挿入孔2の内周壁に押し付けられる。これにより、図9(c)に示されるように、拡張片56はアンカー挿入孔2のアンダーカット2dに嵌ることで固着される。
締付け方式のあと施工アンカー51の定着方法によれば、貯留容器15の底板開口部15dから外方に突出する押し込み棒61を回転させて拡張部53を拡張させることができ、グラウト材Gが貯留容器15の外部へ漏れ出すことを防止してアンカー挿入孔2内への空気の侵入を防止することができる。押し込み棒61を回転させる際にグラウト材Gに振動が加わった場合でも、アンカー挿入孔2内のグラウト材Gを貯留容器15に充填されたグラウト材Gによって押さえることができ、グラウト材Gが外部に漏れ出すことがない。また、押し込み棒61をアンカー挿入孔2から抜き出す際に、押し込み棒61の移動に伴ってアンカー挿入孔2内のグラウト材Gが振動しても、貯留容器15に充填されたグラウト材Gによって押さえることで、グラウト材Gの外部への流出を防止することができ、アンカー挿入孔2内への空気の侵入を防止することができる。
また、打込みアンカー3を貯留容器15内に挿入する際に、図11に示されるように、センタリングスペーサー21を用いて貯留容器15内における打込みアンカー3の位置を拘束してもよい。打込みアンカー3の位置を規制しながら打込みアンカー3を貯留容器15内に挿入した後、貯留容器15内の打込みアンカー3をアンカー挿入孔2に挿入してもよい。
センタリングスペーサー21は、貯留容器15の内壁に当接する上下一対の上リング22及び下リング23と、これらの上リング22及び下リング23を連結して打込みアンカー3に当接する複数のガイド部24とを備えている。センタリングスペーサー21は、針金など線状の部材によって形成されている。複数のガイド部24は、周方向に等間隔で例えば4箇所に配置されている。ガイド部24は、中心側へせり出すように湾曲している。複数のガイド部24は、上リング22から下方に進むにつれて互いに接近し、上下方向の中間部で最も接近し、下リング23に向かうにつれて離間している。ガイド部24の中間部が打込みアンカー3に当接することで、打込みアンカー3はセンタリングスペーサー21の中心に保持される。
センタリングスペーサー21は、例えば貯留容器15に挿入される前に、打込みアンカー3に装着され、打込みアンカー3と共に貯留容器15に挿入されてもよい。また、予め貯留容器15内にセンタリングスペーサー21を挿入してから、打込みアンカー3を挿入してもよい。
また、上記実施形態では、蓄圧部15eが設けられた貯留容器15にグラウト材G及びあと施工アンカー3,51を挿入しているが、蓄圧部15eが設けられていない貯留容器にグラウト材G及びあと施工アンカー3,51を挿入してもよい。
1…コンクリート構造体、2…アンカー挿入孔、2a…アンカー挿入孔の開口部、3…打込みアンカー(あと施工アンカー)、4…施工面、15…貯留容器、15b…フランジ、17,61…押し込み棒(押し込み部材)、21…センタリングスペーサー、32,53…拡張部、41…養生蓋、51…締付け方式のあと施工アンカー。

Claims (7)

  1. 有底の挿入孔を水平方向又は施工面から上向きに穿孔し、前記挿入孔にあと施工アンカーを挿入して定着させるあと施工アンカーの定着方法において、
    前記挿入孔内に可塑性グラウト材を充填する工程と、
    貯留容器内に可塑性グラウト材を充填する工程と、
    前記貯留容器内に前記あと施工アンカーを挿入する工程と、
    前記可塑性グラウト材及び前記あと施工アンカーが充填された前記貯留容器を挿入孔に連通させて前記施工面に密着させる工程と、
    前記貯留容器の後端の開口から押し込み部材を挿入して、前記あと施工アンカーを押し込んで前記挿入孔内に挿入する工程と、
    前記あと施工アンカーの拡張部を拡張させて前記拡張部を前記挿入孔の内壁に固着させる工程とを備えることを特徴とするあと施工アンカーの定着方法。
  2. 前記あと施工アンカーより長い円筒状の前記貯留容器内に、前記あと施工アンカーを挿入し、
    前記貯留容器の先端のフランジを前記施工面に取り付けて前記挿入孔の開口部の周囲に密着させることを特徴とする請求項1に記載のあと施工アンカーの定着方法。
  3. 前記あと施工アンカーは打撃による力によって前記拡張部を拡張させる打込み方式のあと施工アンカーであり、
    前記押し込み部材は前記貯留容器よりも長いものであり、
    前記拡張部を固着させる工程では、前記貯留容器の後端から突出する前記押し込み部材を叩き、前記押し込み部材を介して打撃による力を前記拡張部に伝達して前記拡張部を拡張させることを特徴とする請求項1又は2に記載のあと施工アンカーの定着方法。
  4. 前記あと施工アンカーは回転による力によって前記拡張部を拡張させる締付け方式のあと施工アンカーであり、
    前記押し込み部材は前記貯留容器よりも長いものであり、
    前記拡張部を固着させる工程では、前記貯留容器の後端から突出する前記押し込み部材を軸回りに回転させ、前記押し込み部材を介して回転による力を前記拡張部に伝達して前記拡張部を拡張させることを特徴とする請求項1又は2に記載のあと施工アンカーの定着方法。
  5. 前記貯留容器内に前記あと施工アンカーを挿入した後に、前記貯留容器の上端よりも上方まで前記可塑性グラウト材を盛り上げることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のあと施工アンカーの定着方法。
  6. 前記貯留容器内に前記あと施工アンカーを挿入する工程では、前記貯留容器の中心に前記あと施工アンカーの位置を拘束するスペーサーを用いて、前記あと施工アンカーの位置を規制することを特徴とする請求項3に記載のあと施工アンカーの定着方法。
  7. 前記挿入孔の開口部を覆うことが可能な蓋を準備し、
    前記蓋の中央開口部に前記あと施工アンカーを挿通して、前記あと施工アンカーに前記蓋を装着した後に、前記あと施工アンカー及び前記蓋を前記貯留容器内に挿入し、
    前記拡張部を前記挿入孔の内壁に固着させ、前記貯留容器を前記施工面から離した後において、前記蓋を前記あと施工アンカーに装着したままとして前記挿入孔の開口部を覆った状態で、前記挿入孔内の前記可塑性グラウト材を養生することを特徴とする請求項3に記載のあと施工アンカーの定着方法。
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