JP2015025424A - エンジン - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、潤滑油をピストンの裏面(下面)に向けて噴射し、ピストンの裏面に突設されたリブを挟む各側で潤滑油を流下させることによって、ピストンを冷却する技術が記載されている。この技術では、ピストンの裏面をリブで仕切ることによって、ピストンの裏面に供給された潤滑油が一方向に集中することを防止し、ピストンの裏面が均等に冷却されるようにしている。
また、例えば、コンロッドの大端部に切り欠き(オイルジェット)を設けることによって積極的に潤滑油を飛散させる手法もあるが、この手法を用いても、飛散させた潤滑油を確実にコンロッド及びピストンピンに供給することは困難である。このため、従来の技術では、コンロッド及びピストンピンを積極的に潤滑及び冷却することは難しい。
前記突起部の先端は、前記小端部の表面に対して対向して設けられることが好ましい。また、前記突起部の先端は、その周囲全体が正の曲率を持つ曲面に囲まれていることが好ましい。
(3)また、前記ピストンの内部において中空に形成され、その内部を潤滑油が流通する空洞部と、前記空洞部と前記ピストンの裏面とを連通する第二油路と、を備え、前記第二油路の開口端が前記突起部あるいは前記突起部に隣接した位置に設けられることが好ましい。
この場合、前記第二油路の開口端は前記突起部の先端に形成されることが好ましい。
[1−1.構成]
[1−1−1.ピストン構成の概要]
本実施形態に係るエンジンのピストン1と、ピストン1を支持するコネクティングロッド2(以下、コンロッドという。)とを図1(a)に示す。図1(a)では、ピストン1が上死点付近にある状態を示している。以下、ピストン1が図示しないシリンダ内で往復運動する方向を上下方向とし、ピストン1の中心軸C1に向かう側を内側、その逆側を外側として説明する。
まず、ピストン1の基本的な構造について説明する。図1(a)に示すように、ピストン1は、この上方に形成される燃焼室4から爆発による圧力を受けて円筒状のシリンダ内を上下に摺動する部材であり、例えばアルミニウム系合金で円筒の頂面を閉塞したような形状に形成される。ピストン1には、燃焼室4側に設けられるヘッド部11と、ピストンピン3を介してコンロッド2と接続されるピンボス部12と、ヘッド部11の下方に延設されるスカート部13とが設けられている。なお、図1(a)は、ピストン1の中心軸C1を含み且つピストンピン3の中心軸C3と垂直な平面で切断した断面図(図2のB−B矢視断面図)である。
リング溝11cの内側には、ヘッド部11の内部において中心軸C1と同軸を有する環状の中空に形成された空洞部14が設けられている。空洞部14は、ピストン1を冷却するために内部を潤滑油が流通する部位である。また、図3に示すように、ヘッド部11には、潤滑油を空洞部14に出入りさせるための給排油路14aが形成されている。給排油路14aは、空洞部14からピストン裏面11bに向かって下方向に貫通しており、空洞部14とピストン裏面11bとを連通している。このヘッド部11には、二つの給排油路14aが中心軸C1を挟んで互いに対向した位置に設けられており、これらは潤滑油を空洞部14に供給する機能と潤滑油を空洞部14から排出する機能とをそれぞれ分担している。
スカート部13は、ヘッド部11の側面を下方に延設することにより形成される略円筒面を部分的に形成する部位である。スカート部13は、ヘッド部11の下方においてピストン1の中心軸C1及びピストンピン3の中心軸C3を挟んで互いに対向して一対設けられる。つまり、ピストン1のうちヘッド部11より下方は、一対のピンボス部12,12及び一対のスカート部13,13が周方向に交互に並んで接続されることにより形成されている。
次に、コンロッド2について説明する。コンロッド2は、ピストン1とクランクシャフトとを連結する部材であり、例えばニッケルクロム鋼やクロムモリブデン鋼等の特殊鋼を型打鍛造することによって形成される。図2に示すように、コンロッド2は、ピストン1のピンボス部12にピストンピン3を介して接続される小端部(上端部)21と、ピストン1の下方に配設されるクランクシャフトに接続される図示しない大端部(下端部)とを有している。
図2に示すように、ピストンピン3は、ピストン1とコンロッド2とを接続する軸状の部材であり、ピストン1のボス孔部12a及びコンロッド2のロッド孔部21aに挿通され、ピストン1とコンロッド2とを互いに回動自在に軸支している。これによって、コンロッド2は、ピストン1の往復運動に伴って、ピストンピン3の中心軸C3を中心にピストン1及びピストンピン3に対して相対的に回動する。
次に、ピストン1の特徴的な構造について説明する。図1(b)に示すように、ピストン1のヘッド部11には、ピストン裏面11bからコンロッド2の小端部21に向かって突起部16が突設されている。突起部16は、ロッド表面21cに対向する先端16aが突出した形状を有しており、先端16a側を丸められた略円錐状に形成されている。先端16aは点状であり、その周囲全体が正の曲率を持つ曲面をなしている。突起部16の表面は、基端から先端16aに向かって傾斜した面勾配を有している。
また、ヘッド部11には、空洞部14とピストン裏面11bとを連通する第二油路15が穿設されている。第二油路15は、空洞部14を流通する潤滑油をコンロッド2側に流下させるための潤滑油の通路であり、空洞部14から突起部16の基端に向かって傾斜している。言い換えると、突起部16の基端は第二油路15の開口端15aに位置しており、突起部16と第二油路15の開口端15aとが隣接するように配置されている。
上述のように構成されたエンジンにおける潤滑油の供給作用について説明する。なお、図1(b)及び図3では、潤滑油が流れる方向を矢印で示す。
エンジンの運転時、エンジンの構成部品には潤滑油が供給される。このとき、クランクシャフトやコンロッド2の大端部に供給された潤滑油は、クランクシャフトの回転による遠心力で飛散する。主としてこのように潤滑油が飛散することによって、ピストン裏面11bには潤滑油が供給される。
本実施形態のエンジンでは、ロッド表面21cに向かって先端16aが突出した突起部16をピストン裏面11bに突設することで、ピストン裏面11bを伝って流れる潤滑油をコンロッド2に供給することができる。したがって、コンロッド2及びこれに挿通されるピストンピン3の潤滑性及び冷却性を向上させることができる。
また、突起部16をピストン1の中心軸C1について対称な形状とすることによって、中心軸C1まわりで突起部16の重量のバランスをとることができる。これにより、ピストン1の傾きを抑制することができるため、スカート部13の磨耗を抑制することができる。なお、突起部16はピストン1に対して十分小さく軽いため、突起部16が中心軸C1について対称な形状でない場合にも、中心軸C1まわりでピストン1の重量のバランスに影響を与えることはない。したがって、このような場合にも、上述したようにコンロッド2及びピストンピン3の潤滑性及び冷却性を向上させることができる。
[2−1.構成]
図4に示す第二実施形態に係るピストン20は、第一実施形態に係るピストン1に対して突起部26及び第二油路25の配置が変更されたものである。以下、ピストン20の突起部26及び第二油路25について説明し、他の要素については説明を省略する。なお、図4はピストン20の中心軸C20を含み且つピストンピン3の中心軸C3と垂直な平面で切断した断面図を示しており、ここでは第一実施形態で説明された要素に対応する要素や同一の要素に同一符号を付している。
上記のピストン20を備えたエンジンにおける潤滑油の供給作用について説明する。なお、図4では、潤滑油が流れる方向を矢印で示す。
ピストン20のピストン裏面11b及び空洞部14には、上述した第一実施形態のものと同様にして潤滑油が供給される。ピストン裏面11bに供給された潤滑油は、その大部分がピストン裏面11bを伝って流れ、突起部26の基端に達すると、図4に示すように突起部26の表面に沿って流れて点状の先端26aに集まる。先端26aに集まった潤滑油は、先端26aからロッド表面21cの開口端22aに供給され、開口端22aから第一油路22に導入される。第一油路22に導入された潤滑油は、第一油路22を通ってロッド孔部21aに挿通されているピストンピン3に供給される。
本実施形態に係るピストン20では、突起部26の先端26aが第一油路22の開口端22aに近接しているため、第一実施形態に係るピストン1と比べて、第一油路22内に流入させることのできる潤滑油の量が増加する。
本実施形態のエンジンでは、突起部26の先端26aが第一油路22の開口端22aでロッド表面21cに近接するように配置されているため、先端26aから第一油路22に潤滑油を直接的に導入することができる。したがって、コンロッド2及びピストンピン3の潤滑性及び冷却性をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図5は変形例に係るピストン10を示している。図5(a)は、ピストン10を図5(b)に示すC−C断面で縦方向に切断した状態を示す斜視図であり、図5(b)は、ピストン10の下面図である。なお、図5では、第一実施形態で説明された要素に対応する要素や同一の要素には同一符号を付している。
図5(b)に示すように、突条部17は、突起部16からピストン10の外周面向かって延設されている。ここに示す例では、突起部16から、ピストンピン3の中心軸C3とそれぞれ直交する方向に向かって一対の突条部17,17が延設されている。なお、突条部17は、突起部16からピストン10の外周面に向かう方向であれば、ピストンピン3の中心軸C3と直交する方向以外の方向に向かって延設されていてもよい。また、突条部17の個数は一対に限定されない。
なお、上記には、ピストン1に突条部17を適用した例について説明したが、突条部17が適用されるピストンはこれに限られず、例えば第二実施形態に係るピストン20に対しても同様に突条部17を適用することができる。
また、本発明のエンジンは、第一油路22,第二油路15,25及び空洞部14を備えていないものであってもよく、この場合もピストン裏面11bを伝って流れる潤滑油をコンロッド2に供給することができるため、コンロッド2及びピストンピン3の潤滑性及び冷却性を向上させることができる。
11b ピストン裏面
14 空洞部
15,25 第二油路
15a,25a 第二油路の開口端
16,26 突起部
16a,26a 突起部の先端
17 突条部
2 コネクティングロッド(コンロッド)
21 小端部
21b ロッド頂部
21c ロッド表面
22 第一油路
22a 第一油路の開口端
3 ピストンピン
Claims (4)
- ピストンと、ピストンピンを介して前記ピストンに連結される小端部を有するコネクティングロッドと、を有するエンジンであって、
前記ピストンの裏面から前記小端部に向かって突設され、前記小端部の表面に対向する先端が突出した形状を有する突起部を備えた
ことを特徴とする、エンジン。 - 前記ピストンピンの半径方向に向かって前記小端部を貫通して形成される第一油路を備え、
前記突起部は、前記ピストンが上死点にある際に、前記第一油路の開口端から前記コネクティングロッドの長手方向頂部までの範囲内で前記先端が前記表面に近接するように配置される
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン。 - 前記ピストンの内部において中空に形成され、その内部を潤滑油が流通する空洞部と、
前記空洞部と前記ピストンの裏面とを連通する第二油路と、を備え、
前記第二油路の開口端が前記突起部あるいは前記突起部に隣接した位置に設けられた
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン。 - 前記ピストンの裏面から前記突起部と一体に突設され、前記突起部から前記ピストンの外周面に向かって延設された突条部を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン。
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