JP6152390B2 - 冷却空洞が改善されたピストン - Google Patents

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Description

発明の背景
1.技術分野
この発明は、概して内燃機関に関し、より特定的には内燃機関のためのピストンに関する。
2.関連技術
エンジン製造業者は、燃費の改善、燃料燃焼の改善、オイル消費量の削減、車両内で熱を継続使用するための排気の高温化、シリンダボア内の圧縮負荷の上昇、軽量化およびエンジンの小型化を含むがこれらに限定されないエンジン効率および性能を改善すべきとの要求の高まりに直面している。したがって、エンジンの燃焼室内で温度および圧縮負荷を上昇させることが望ましい。しかしながら、燃焼室内で温度および圧縮負荷を上昇させることにより、ピストンに対する摩耗および物理的負荷が大きくなり、これにより、その潜在的な耐用年数が短くなってしまう。特に懸念される分野として、ピストンのピストンリング領域内での過度な発熱およびそれに付随する摩耗が挙げられる。
この発明に従って構成されたピストンは、本開示を読み、添付の図面を参照すると当業者に明らかとなるように、現代の高性能エンジンにおいて生じる過度の熱に耐えることができる。
発明の概要
内燃機関のためのピストンが提供される。ピストンは、長手方向の中心軸に沿って延在する本体を有する。本体は、上部燃焼面を有する上部燃焼壁と、上部燃焼面に隣接したリングベルト領域を備える円筒形の外壁と、上部燃焼壁の下方にあってピンボア軸に沿って並んだピンボアを有する1対のピンボスと、リングベルト領域と径方向に並んで配置される閉じられた環状の冷却空洞とを備える。冷却媒体は冷却空洞に収容されている。冷却空洞は、リングベルト領域に沿って延在する径方向最外部分を含む内面を有する。最外部分は、上部燃焼壁から長手方向の中心軸に向かって集束する。したがって、ピストンの下方ストローク中に、冷却媒体を流して上部燃焼壁と接触させ、これにより、熱が上部燃焼壁から冷却媒体にまで伝わることを可能にする。
本発明の別の局面に従って構成される内燃機関のためのピストンは、長手方向の中心軸に沿って延在する本体を含む。本体は、上部燃焼面を有する上部燃焼壁と、上部燃焼面に隣接するリングベルト領域を備えた円筒形の外壁と、上部燃焼壁の下方にある1対のピンボスと、リングベルト領域から径方向内側に位置する閉じられた環状の冷却空洞と、冷却空洞に収容されている冷却媒体とを備える。冷却空洞は、冷却空洞の境界をなす内面を有する。内面は、長手方向の中心軸から離れたところにある上部燃焼壁から冷却空洞の最下の谷部へと円錐形に分岐するウェブを含む。したがって、ピストンの下方ストローク中に、冷却媒体を流して上部燃焼壁と接触させ、これにより、熱が上部燃焼壁から冷却媒体に伝わることを可能にする。
図面の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の局面、特徴および利点は、現在好ましい実施形態およびベストモードについての以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲ならびに添付の図面に関連付けて考慮されると、より容易に認識されるだろう。
本発明の一局面に従って構成されるピストンのピンボア軸に交差するように延在する線に概ね沿った断面図である。 図1のピストンのピンボア軸に概ね沿った断面図である。
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すると、図1および図2は、たとえば、コンパクトで高性能な現代の車両エンジンなどの内燃機関のシリンダボアにおいて往復運動させる、本発明の現在好ましい一局面に従って構成されたピストン10の断面図を示す。ピストン10は本体12を有する。この本体12は、単一の一体型の鋳込材料などでできたものであるかまたは鍛造材料もしくはビレット材料から形成されているが、これは一例であって、これに限定されるものではない。この本体12は、中心の長手方向軸14に沿って延在し、この中心の長手方向軸14に沿って、ピストン10がシリンダボアにおいて往復運動する。本体12は上部燃焼壁16を有する。この上部燃焼壁16は、その一方側に、シリンダボア内で燃焼ガスに直接晒されるように構成された上部燃焼面18と、その反対側に、上部燃焼面18の一部の真下にあり軸方向に位置する下面20とを有する。ピストン本体12はまた、概して円筒形の外壁21を含む。この円筒形の外壁21は、上部燃焼面18から、この上部燃焼面18に直接隣接するリングベルト領域22上にわたって垂下する円筒形の外面23を有する。リングベルト領域22は、対応するピストンリング(図示せず)を収容するように構成された1つ以上のピストンリング溝24を含む。さらに、ピストン本体12は、内部に冷却媒体28を収容している閉じられた冷却空洞26を有するよう形成される。冷却空洞26は、径方向内側に構成され、リングベルト領域22と実質的に径方向に並んで構成される。冷却空洞26は、上部燃焼壁16からピストン本体12の他の部分への熱の伝わりを向上させ、最終的に、熱がピストン本体12からシリンダライナおよびエンジンブロックへと伝わり易くするために、本発明に従って構成された途切れのない連続的な環状内面30を有する。したがって、上部燃焼壁16内で生じた熱は外面23へと伝わり、最終的にシリンダライナおよびエンジンブロックへと伝わり、これにより、上部燃焼壁16の動作温度の低下を促進し、こうして、ピストン10の耐用年数を長くする。
冷却媒体28は、もっぱら、ピストン10の動作温度では液体となる金属冷却材として提供することができる。所望される熱伝達特性を考慮に入れて如何なる好適な軽量金属材料が用いられてもよい。さらに、冷却媒体28は、銅またはアルミニウムなどの粉末金属と混ぜ合わされた液体金属として提供することができる。特に冷却媒体28の比熱を変更することが望まれる場合、金属粉末を添加することができる。さらには、典型的には工業用途での熱交換のために用いられるような熱伝達液を用いることができる。
図2に最もよく示されるように、ピストン本体12は1対のピンボス32を有する。これら1対のピンボス32は下面20から垂下して、横方向に間隔を空けて配置されたピンボア34を形成する。これらピンボア34は、中心の長手方向軸14に概ね交差するよう延在するピンボア軸36に沿って同軸に並んでいる。これらピンボス32は、横方向に間隔を空けて配置されたスカート部分38に接合される。これらスカート部分38は、互いから直径方向に間隔を空けてピンボア軸36の両側に配置されており、シリンダボア内でピストン10が往復運動する際にこのピストン10をその所望の向きで維持し易くするために当該シリンダボア内で摺動運動させるための輪郭を有する凸状外面40を有する。
上部燃焼面16は、内部に窪んだ燃焼ボウル42を有するものとして表されており、この燃焼ボウル42により、シリンダボア内において所望の気体流がもたらされる。燃焼ボウル42が上部燃焼面16に窪んで設けられているため、燃焼壁16は、軸方向の断面に見られるように、その厚さ(t)が全体にわたって比較的薄くなっている。特に、燃焼壁16は第1の領域44、第2の領域46および第3の領域48を含む。第2の領域46および第3の領域48は、窪んだ燃焼ボウル42があるせいで薄くなっている。
冷却空洞26は、冷却媒体28の冷却効果を最適化するように構成される。特に、冷却空洞26は、内面30の4つの異なる部分によって囲まれているものとして見ることができる。この内面30の4つの異なる部分は、内面30のうち、燃焼壁16の第1の領域44の下方に延在し最も上にある第1の部分50と、内面30のうち、燃焼壁16の第2の領域46に沿って延在する内側の第2の部分52と、内面30のうち、長手方向の中心軸14から離れたところにある燃焼壁16から冷却空洞26の最も下にある谷部57へ、かつ全体的には外壁21へと分岐するウェブ55に沿って延在する内側の第3の部分54と、概ね外壁21のリングベルト領域22に沿って延在する外側の第4の部分56とを含む。第2の部分52、第3の部分54および第4の部分56は、長手方向軸14およびピンボア軸36に対して、本発明に従った角度関係で傾斜しており、これにより、シリンダボア内においてピストン10が上方ストロークおよび下方ストロークへと往復運動する間、冷却空洞26内において所望の流量の冷却媒体28をもたらす。
内面30の第2の部分52は径方向内側の上方部分であって、概ね軸58に沿って燃焼ボウル42の谷部分に沿って延在する。この軸58は、上部燃焼壁16の第1の部分50から長手方向の中心軸14に向かって円錐形に集束する。長手方向軸14に対する収束角は、15度〜75度、好ましくは30度〜60度など、所望の通りに選択することができる。第2の部分52がこのように角度のある斜面であるため、ピストン10がシリンダボア内での下方ストローク中に下方向に移動すると、冷却媒体28が外壁21に向かって径方向外側に向けられる。これにより、上部燃焼壁16から外壁21にまで熱が伝わり、そこで、熱を容易にシリンダライナおよびエンジンブロックに伝えることができる。
内面30の第3の部分54は径方向内側の下方部分であって、長手方向の中心軸14から離れたところにある上部燃焼壁16から外壁21に向かって円錐形に分岐する軸60に沿って延在している。長手方向軸14に対する分岐角は、たとえば15度〜75度、好ましくは30度〜60度など、所望の通りに選択することができる。第3の部分54がこのように角度のある斜面であるため、ピストン10がシリンダボア内での下方ストローク中に下方向に移動すると、冷却媒体28が外壁21に向かって径方向外側へと向けられる。これにより、上部燃焼壁16から出た熱が外壁21にまで伝わり、そこで、熱を容易にシリンダライナおよびエンジンブロックに伝えることができる。
内面30の第4の部分56は径方向最外部分であって、上部燃焼壁16から長手方向の中心軸14に向かって円錐形に集束する軸62に概ね沿って延在している。長手方向軸14に対する軸62の収束角は、たとえば1度〜30度、好ましくは10度〜20度など、所望の通りに選択することができる。第4の部分56がこのように角度のある斜面であるため、ピストン10がシリンダボア内での上方ストローク中に上方向に移動すると、冷却媒体28が径方向内側に向けられ、これにより、吸収された熱が燃焼壁16および第4の部分52からリングベルト領域22に効率的に伝えられる。こうして、熱伝達サイクルが完了し、これにより、熱を燃焼壁16から下方向および外方向に、そして最終的にはシリンダライナおよびエンジンブロックに効率的に伝えることが可能となる。
上述の現在好ましい実施形態の詳細な説明を考慮すると、本発明の多くの変更例および変形例が上述の教示に照らして実現可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内であれば、本発明が具体的に記載された以外の態様で実施され得ることが理解されるはずである。

Claims (12)

  1. 内燃機関のためのピストンであって、
    長手方向の中心軸に沿って延在する本体を備え、前記本体は、上部燃焼面を有する上部燃焼壁と、前記上部燃焼面に隣接するリングベルト領域を備えた円筒形の外壁と、前記上部燃焼壁の下方にある1対のピンボスとを含み、前記ピストンはさらに、
    前記リングベルト領域から径方向内側に位置する閉じられた環状の冷却空洞と、
    前記冷却空洞に収容されている冷却媒体とを備え、
    前記冷却空洞は、前記冷却空洞の境界をなす内面を有し、前記内面は、前記上部燃焼壁から前記長手方向の中心軸に向かって集束する軸に沿って延在する径方向最外部分を含み、
    前記径方向最外部分は前記リングベルト領域に沿って延在し、
    前記径方向最外部分が沿う前記軸は、前記長手方向の中心軸に対して1度〜30度傾斜している、ピストン。
  2. 前記径方向最外部分が沿う前記軸は、前記長手方向の中心軸に対して10度〜20度傾斜している、請求項1に記載のピストン。
  3. 前記上部燃焼壁内に窪んだ燃焼ボウルをさらに含む、請求項1に記載のピストン。
  4. 前記内面は、前記上部燃焼壁から前記長手方向の中心軸に向かって集束する軸に沿った前記燃焼ボウルの一部に沿って延在する上方内側部分を含む、請求項に記載のピストン。
  5. 前記内面は、前記長手方向の中心軸から離れたところにある前記上部燃焼壁から分岐する下方内側部分を含む、請求項に記載のピストン。
  6. 前記長手方向の中心軸から離れたところにある前記上部燃焼壁から分岐するウェブをさらに含み、前記ウェブは前記内面の一部を提供する、請求項1に記載のピストン。
  7. 前記上部燃焼壁内に窪んだ燃焼ボウルをさらに含む、請求項に記載のピストン。
  8. 前記ウェブは、前記長手方向の中心軸から離れたところにある前記上部燃焼壁から円錐形に分岐する、請求項に記載のピストン。
  9. 内燃機関のためのピストンであって、
    長手方向の中心軸に沿って延在する本体を備え、前記本体は、上部燃焼面を有する上部燃焼壁と、前記上部燃焼面に隣接するリングベルト領域を備えた円筒形の外壁と、前記上部燃焼壁の下方にある1対のピンボスとを含み、前記ピストンはさらに、
    前記リングベルト領域から径方向内側に位置する閉じられた環状の冷却空洞と、
    前記冷却空洞に収容されている冷却媒体とを備え、
    前記冷却空洞は、前記冷却空洞の境界をなす内面を有し、前記内面は、前記長手方向の中心軸から離れたところにある前記上部燃焼壁から前記冷却空洞の最下の谷部へと円錐形に分岐するウェブを含み、
    前記内面は、前記上部燃焼壁から前記長手方向の中心軸に向かって集束する軸に沿って延在する径方向最外部分を含み、
    前記径方向最外部分は前記リングベルト領域に沿って延在し、
    前記径方向最外部分が沿う前記軸は、前記長手方向の中心軸に対して1度〜30度傾斜している、ピストン。
  10. 前記上部燃焼壁内に窪んだ燃焼ボウルをさらに含む、請求項に記載のピストン。
  11. 前記内面は、前記上部燃焼壁から前記長手方向の中心軸に向かって集束する軸に沿った前記燃焼ボウルの一部に沿って延在する上方内側部分を含む、請求項10に記載のピストン。
  12. 前記内面は、前記長手方向の中心軸から離れたところにある前記上部燃焼壁から分岐する下方内側部分を含む、請求項11に記載のピストン。
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