JP2015025105A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 下記式(I)
Xは、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
R1は、C1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示すか、或いは、一方のR1は、上記Xとも結合している−O−C(=O)−基を示し、6員環を形成するものであり、且つ他方のR1は、独立してC1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示し;
R2とR3は、一体となって−O−基、−S−基もしくは−N(R8)−基(ここで、R8は水素原子又はC1-12アルキル基を示す)を形成し、且つR4とR5は水素原子基を示すか、或いは、R4とR5は、一体となって−O−基、−S−基、もしくは−N(R8)−基(R8は上記と同義を示す)を形成し、且つR2とR3は水素原子基を示し;
R6とR7は、独立して水素原子基、C1-12アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
上記アリール基又はヘテロアリール基の置換基は、C1-12アルキル基、モノ(C1-12アルキル)アミノ基、ジ(C1-12アルキル)アミノ基、水酸基及びC1-12アルコキシ基からなる群より選択される1以上の基を示す。)で表されるアゾ−ホウ素錯体化合物からなる近赤外蛍光色素を含有する熱可塑性樹脂組成物であり、極大吸収波長が650nm以上、かつストークスシフトが50nm以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
[2] 前記アゾ−ホウ素錯体化合物が、下記式(I1)
[3] 前記近赤外蛍光色素と熱可塑性樹脂とが溶融混練されたものである、前記[1]又は[2]の熱可塑性樹脂組成物。
[4] 極大蛍光波長が700nm以上である、前記[1]〜[3]のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかの熱可塑性樹脂組成物を加工して得られる成形体。
[6] 少なくとも一部が、患者の体内で使用される医療用具である、前記[5]の成形体。
本発明に係る樹脂組成物が含有する近赤外蛍光色素は、下記式(I)で表されるアゾ−ホウ素錯体化合物である。
Xは、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
R1は、C1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示すか、或いは、一方のR1は、上記Xとも結合している−O−C(=O)−基を示し、6員環を形成するものであり、且つ他方のR1は、独立してC1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示し;
R2とR3は、一体となって−O−基、−S−基もしくは−N(R8)−基(ここで、R8は水素原子又はC1-12アルキル基を示す)を形成し、且つR4とR5は水素原子基を示すか、或いは、R4とR5は、一体となって−O−基、−S−基、もしくは−N(R8)−基(R8は上記と同義を示す)を形成し、且つR2とR3は水素原子基を示し;
R6とR7は、独立して水素原子基、C1-12アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
上記アリール基又はヘテロアリール基の置換基は、C1-12アルキル基、モノ(C1-12アルキル)アミノ基、ジ(C1-12アルキル)アミノ基、水酸基及びC1-12アルコキシ基からなる群より選択される1以上の基を示す。]
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、近赤外蛍光色素(前記式(I)で表されるアゾ−ホウ素錯体化合物)を含有する熱可塑性樹脂組成物である。本発明に係る熱可塑性樹脂組成物が含有する樹脂成分は、熱可塑性の樹脂組成物であれば特に限定されるものではなく、各種の熱可塑性樹脂が用いられる。本発明において用いられる樹脂成分としては、1種のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。2種類以上を混合する場合には、相溶性の高い樹脂同士を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記樹脂成分に近赤外蛍光色素(前記式(I)で表されるアゾ−ホウ素錯体化合物)と混合・分散させることにより製造できる。近赤外蛍光色素を樹脂成分に混合・分散する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法で行ってもよく、さらに添加剤を併用しても構わない。例えば、適当な溶媒に溶解させた樹脂組成物溶液に、近赤外蛍光色素を添加して分散させてもよい。また、溶媒を使用しない場合も、樹脂組成物に近赤外蛍光色素を添加して溶融混練させ、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。こうして樹脂中に近赤外蛍光色素が均一に分散された状態の熱可塑性樹脂組成物が得られる。
本発明に係る樹脂組成物及び当該組成物からなる成形体は、被照射物の色彩が変わらず、かつ、検出感度を考慮すると、極大蛍光波長が700nm以上であれば実用的には問題がないが、720nm以上であることが好ましく、740nm以上であることがより好ましく、760nm以上であることが特に好ましい。なお、極大吸収波長が短い場合には、近赤外領域における検出感度の観点から、ストークスシフトがより大きいことが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、極大吸収波長が650nm以上、かつストークスシフトが50nm以上である近赤外蛍光を発する成形体が得られる。成形方法は、特に限定されないが、キャスティング(注型法)、金型を用いた射出成形、圧縮成形及びTダイ等による押し出し成形、ブロー成形などが挙げられる。
検出に用いる励起光としては、任意の光源を使用でき、波長幅が長い近赤外線ランプの他、波長幅が狭いレーザー、LEDなどを使用することができる。
近赤外領域の励起光を照射することで、被照射物の色彩が変わらない特徴を有するが、被照射物の色彩が多少赤みを帯びても構わない場合には、必ずしも近赤外線領域の励起光を使用することはない。この場合、例えば体内の医療用具に励起光を照射し、蛍光検出しようとした場合、皮膚などの生体透過性の高い波長領域で励起光を使用することが必要となるが、皮膚などの生体透過性の高い650nm以上の励起光を使用すればよい。
当該医療用具としては、例えば、ステント、コイル塞栓子、カテーテルチューブ、注射針、シャントチューブ、ドレーンチューブ、インプラント等が挙げられる。
(1) ヒドラゾン化合物の製造
合成装置用ナスフラスコに、オルトキノン誘導体(200mg,5.33×10−4mol)と2−ヒドラジノ安息香酸塩酸塩(402mg,2.13×10−3mol)を加えた後、さらにメタノール:水:ジメチルスルホキシド=3:4:4の混合溶媒(55mL)を加え、50℃で加熱撹拌した。反応を開始すると、反応溶液に結晶が析出した。反応開始から13時間後、反応溶液の加熱をやめ、撹拌しながら室温で放冷した。析出した結晶を濾別し、メタノール:水=4:1の混合溶媒で洗浄し、赤茶色粉末状結晶を得た(収量:96mg,収率:35.3%)。この化合物は溶解性が低いため、これ以上精製せず、ホウ素錯体化を行った。
上記(1)で得られた赤茶色粉末状結晶(200mg,3.92×10−4mol)を300mLナスフラスコに入れ、ジクロロメタン(70mL)を加えた。さらにトリエチルアミン(137mg,1.37×10−3mol)を加えてヒドラゾン化合物を完全に溶解させてから、三フッ化ホウ素エーテル錯塩(334mg,2.35×10−3mol)を滴下し、室温で撹拌して反応を行った。反応開始から3日間後、TLCで反応の進行が確認できなくなったため、水を加えて反応を停止した。ジクロロメタン層を分離し水洗した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル=10/1)で精製し、緑色粉末結晶である目的化合物を得た(収量:62.2mg,収率:29.4%)。
TPUペレット(製品名:Tecoflex EG65D、Lubrizol社製)55gと、製造例1で合成したアゾ−ホウ素錯体化合物55mgを混ぜて、ペレット表面に色素を付着させた。次いで、当該ペレットをラボプラストミルに投入し、設定温度190℃で10分間溶融混練(kneading)した。その後、混練された色素含有樹脂を取り出し、フィルム化した。
製造例1で合成したアゾ−ホウ素錯体化合物(近赤外蛍光色素)の添加量を、TPUペレット55gに対して、5.5mg(0.01質量%)、16.5mg(0.03質量%)、55mg(0.1質量%)、又は165mg(0.3質量%)とし、実施例1と同様にして色素含有樹脂を成形したフィルムを製造した。
得られたフィルムの吸収スペクトルと発光スペクトルを、実施例1と同様にして測定した。図1に、683nmで励起した際の各フィルムの蛍光スペクトルを示し、表1に各フィルムの吸収スペクトルと発光スペクトルと発光効率の測定結果を示す。
なお、吸収スペクトルはSHIMADZU社製の紫外可視近赤外分光光度計「UV3600」で測定し、発光スペクトルと発光効率は浜松ホトニクス社製の絶対PL量子収率測定装置「Quantaurus−QY C11347」で測定した。
PETペレット(製品名:SI173C、東洋紡績社製)50gと製造例1で合成したアゾ−ホウ素錯体化合物15mgを混ぜてペレット表面に色素を付着させた。次いで、当該ペレットをラボプラストミルに投入し、設定温度210℃で10分間溶融混練(kneading)した。その後、混練された色素含有樹脂を取り出し、実施例1と同様にしてフィルム化し、得られたフィルムの吸収スペクトルと発光スペクトルを測定した。測定結果を表2に示す。
実施例3で用いたPETペレット0.2gと製造例1で合成したアゾ−ホウ素錯体化合物0.6mgを溶媒2mLに溶解した。得られた樹脂溶液をスピンコーターで4cm×4cm(厚み1mm)のガラス基板に製膜し、90℃で30分乾燥させた(casting)。得られた樹脂被覆ガラス基板の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルの測定結果を表2に示す。
PETペレットに代えてPVC樹脂(製品名:ソルバイン(登録商標)CL(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体=86/14)、日信化学工業社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂被覆ガラス基板を得、得られた樹脂被覆ガラス基板の吸収スペクトルと発光スペクトルを測定した。測定結果を表2に示す。
PETペレットに代えてPC樹脂(製品名:ユーピロン(登録商標)S−3000F、三菱エンジニアリングプラスチック社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂被覆ガラス基板を得、得られた樹脂被覆ガラス基板の吸収スペクトルと発光スペクトルを測定した。測定結果を表2に示す。
PETペレットに代えてPSペレット(製品名:LP6000、DIC社製)を用い、ラボプラストミルの設定温度を230℃とした以外は、実施例3と同様にして、色素含有樹脂を得、当該樹脂をフィルム化し、得られたフィルムの吸収スペクトルと発光スペクトルを測定した。測定結果を表2に示す。
PET樹脂をPS樹脂に変更し、アゾ−ホウ素錯体化合物に代えて、BASF社製の蛍光色素「LUMOGEN(登録商標)F RED305」を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂被覆ガラス基板を得た。得られた樹脂被覆ガラス基板の吸収スペクトルと発光スペクトルを測定した。測定結果を表2に示す。
アゾ−ホウ素錯体化合物に代えて、市販の近赤外蛍光色素IR−140(Aldrich社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして色素含有樹脂を成形したフィルムを製造した。
得られたフィルムの吸収スペクトルと発光スペクトルを、実施例1と同様にして測定したところ、極大吸収波長が823nm、極大蛍光波長が900nmであり、ストークスシフトが77nmであった。
PETペレットに代えてPSペレット(製品名:LP6000、DIC社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂被覆ガラス基板を得、得られた樹脂被覆ガラス基板の吸収スペクトルと発光スペクトルを測定したところ、極大吸収波長が670nm、極大蛍光波長が717nmであり、ストークスシフトが47nmであった。
Claims (6)
- 下記式(I)
Xは、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
R1は、C1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示すか、或いは、一方のR1は、上記Xとも結合している−O−C(=O)−基を示し、6員環を形成するものであり、且つ他方のR1は、独立してC1-12アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アリールエチニル基、C1-12アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を示し;
R2とR3は、一体となって−O−基、−S−基もしくは−N(R8)−基(ここで、R8は水素原子又はC1-12アルキル基を示す)を形成し、且つR4とR5は水素原子基を示すか、或いは、R4とR5は、一体となって−O−基、−S−基、もしくは−N(R8)−基(R8は上記と同義を示す)を形成し、且つR2とR3は水素原子基を示し;
R6とR7は、独立して水素原子基、C1-12アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示し;
上記アリール基又はヘテロアリール基の置換基は、C1-12アルキル基、モノ(C1-12アルキル)アミノ基、ジ(C1-12アルキル)アミノ基、水酸基及びC1-12アルコキシ基からなる群より選択される1以上の基を示す。)で表されるアゾ−ホウ素錯体化合物からなる近赤外蛍光色素を含有する熱可塑性樹脂組成物であり、
極大吸収波長が650nm以上、かつストークスシフトが50nm以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 前記近赤外蛍光色素と熱可塑性樹脂とが溶融混練されたものである、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 極大蛍光波長が700nm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を加工して得られる成形体。
- 少なくとも一部が、患者の体内で使用される医療用具である、請求項5に記載の成形体。
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JP2011162445A (ja) * | 2010-02-04 | 2011-08-25 | Kochi Univ | アゾ−ホウ素錯体化合物およびその製造方法 |
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