JP2015023847A - 乗用型田植機 - Google Patents

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Abstract

【課題】枕地旋回後に行なわれる植付作業機の下降操作や植付クラッチの入り操作を自動化する乗用型田植機において、植付作業機の下降タイミングや植付クラッチの入りタイミングを適正化にする。【解決手段】旋回開始からの走行距離が第一の設定距離L1に到達したとき、植付作業機3を自動的に下降させる植付作業機自動下降手段と、旋回開始からの走行距離が第二の設定距離L2に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにする植付クラッチ自動入り手段とを備える乗用型田植機であって、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離L1に到達しても、前輪切れ角が所定角度P以上である場合、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させるタイミング遅延手段を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、枕地旋回後に行なわれる植付作業機の下降操作や植付クラッチの入り操作を自動化する乗用型田植機に関する。
ステアリングハンドルによる旋回開始操作を判断し、該旋回開始操作からの走行距離が第一の設定距離に到達したとき、植付作業機を自動的に下降させ、さらに、旋回開始操作からの走行距離が第二の設定距離に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにする乗用型田植機が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような乗用型田植機によれば、枕地旋回後に行なわれる植付作業機の下降操作や植付クラッチの入り操作が不要になるので、オペレータの操作負担を軽減することができる。
特開2010−200770号公報
しかしながら、この種の乗用型田植機では、枕地旋回における旋回経路が基準旋回経路よりも大回りになった場合や、圃場のスリップ率が通常よりも大きい場合、走行機体が基準位置に到達する前に植付作業機が下降したり、植付クラッチが入りになる惧れがあり、例えば、走行機体が基準位置に到達する前に植付作業機が下降すると、旋回途中で植付作業機が接地し、植付作業機のフロートが圃場の泥を横方向に押すので、枕地を荒らしてしまうという問題があった。
なお、特許文献1に示される乗用型田植機では、枕地旋回中における車軸回転及びステアリングハンドルの切れ角にもとづいて第一の設定距離を補正しているが、想定外の状況、即ち第一の設定距離に到達しても、ステアリングハンドルの切れ角が所定角度以上である場合は、旋回異常として警報を出力し、後続の制御(植付作業機の自動下降制御や植付クラッチの自動入り制御)をスキップしてしまうため、オペレータによる植付作業機の手動下降操作や植付クラッチの手動入り操作が必要になるという問題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、ステアリングハンドルの操作に応じて操向される走行機体と、走行機体の後部に昇降自在に連結され、下降状態で圃場に苗を植付ける植付作業機と、植付作業機に対する動力供給を入り/切りする植付クラッチと、走行機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、ステアリングハンドル操作による前輪切れ角を検出する前輪切れ角検出手段と、前輪切れ角検出手段による前輪の直進位置側から所定の切れ角への操向操作の検出によって機体が旋回を開始したと判断する旋回開始判断手段と、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離に到達したとき、植付作業機を自動的に下降させる植付作業機自動下降手段と、旋回開始からの走行距離が第二の設定距離に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにする植付クラッチ自動入り手段とを備える乗用型田植機であって、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離に到達しても、前輪切れ角が所定角度以上である場合、植付作業機を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させるタイミング遅延手段を備えることを特徴とする。
また、前記タイミング遅延手段は、植付作業機を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させる場合、植付作業機を自動的に下降させる補正した距離と、植付クラッチを自動的に入りにする補正した距離の距離差を、第一の設定距離と第二の設定距離の距離差よりも大きくなるように設定することを特徴とする
請求項1の発明によれば、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離に到達しても、前輪切れ角が所定角度以上である場合、植付作業機を自動的に下降させるタイミングを遅延させるので、旋回途中で植付作業機が接地してしまうような状況を回避できる。また、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングも遅延させるので、植付作業機を自動的に下降させるタイミングだけを遅延させた場合のように、植付作業機が接地する前に植付クラッチが入りになり、空中植えが発生することも防止できる。
また、請求項2の発明によれば、植付作業機を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させる場合、植付作業機を自動的に下降させる補正した距離と、植付クラッチを自動的に入りにする補正した距離の距離差を、第一の設定距離と第二の設定距離の距離差よりも大きくなるように設定するので、スリップ率が大きい圃場において、植付作業機を自動的に下降させる位置と、植付クラッチを自動的に入りにする位置の関係を適正化することができ、その結果、植付作業機を接地させた後に適切なタイミングで植付作業を開始することができる。
乗用型田植機の全体左側面図である。 乗用型田植機の全体平面図である。 制御部の入出力を示すブロック図である。 作業機制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 作業機操作制御のフローチャートである。 植付自動制御の基本動作を示す説明図である。 本発明の第一実施形態に係る植付自動制御の動作を示す説明図である。 本発明の第一実施形態に係る植付自動制御のフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る植付自動制御の動作を示す説明図である。 本発明の第二実施形態に係る植付自動制御のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1は乗用型田植機の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して植付作業機3が連結されている。走行機体1と植付作業機3との間には、リフトシリンダ4が介設されており、該リフトシリンダ4の油圧伸縮動作に応じて植付作業機3が昇降される。
植付作業機3は、マット苗が載置される苗載台5、苗載台5から苗を掻取って圃場に植付ける植付機構6、田面を滑降するフロート7などを備えて構成されており、走行機体1から伝動される植付動力で植付作業を行う。
走行機体1の前部には、エンジン(図示せず)やトランスミッション8が搭載されている。エンジンが出力する動力は、トランスミッション8で変速され、植付作業機3、前輪9及び後輪10に伝動される。トランスミッション8には、植付クラッチ(図示せず)が内装されており、該植付クラッチの入り/切りにもとづいて植付作業機3に対する植付動力の伝動が入り/切りされる。
走行機体1には、植付クラッチやリフトシリンダ4の油圧制御バルブに連繋される作業機操作カム(図示せず)が設けられている。作業機操作カムは、作業機操作カムモータ11の駆動にもとづいて「上昇」、「固定」、「自動(下降)」、「植付」の各ポジションに操作される。そして、「上昇」ポジションでは、植付作業機3を上昇させ(植付クラッチは切り)、「固定」ポジションでは、植付作業機3を任意の高さで固定し(植付クラッチは切り)、「自動(下降)」ポジションでは、植付作業機3を下降させ(植付クラッチは切り)、「植付」ポジションでは、植付クラッチを入りにさせる。なお、「自動(下降)」及び「植付」ポジションでは、感知フロートによる対地高さ検出にもとづいた機械的な自動昇降制御が実行される。
走行機体1の上部には、オペレータが乗車する運転部12が構成されており、該運転部12には、オペレータが座る運転席13の他、前輪9を操舵するステアリングハンドル14、植付作業機3の昇降操作や植付クラッチの入り/切り操作を行なう作業機操作レバー15、走行速度を変速する主変速レバー16、主変速レバー16に設けられる作業機操作ボタン17、植付作業時にON操作される作業準備スイッチ18、後述する植付自動制御をON/OFF操作する植付自動スイッチ19などの操作具が設けられている。
さらに、走行機体1には、植付作業機3の昇降制御や植付クラッチの入り/切り制御を行う制御部20が設けられている。図3に示すように、制御部20の入力側には、前述した作業準備スイッチ18や植付自動スイッチ19に加え、作業機操作具(作業機操作レバー15、作業機操作ボタン17)の上側操作を検出する作業機操作スイッチ(上側)21、作業機操作具の下側操作を検出する作業機操作スイッチ(下側)22、作業機操作カムのポジションを検出する作業機操作カムポテンショ23、植付作業機3の昇降高さを検出するリフト角ポテンショ24、後輪動力伝動経路の回転(走行距離)を検出する回転センサ25(走行距離検出手段)、ステアリングハンドル14の切れ角を検出する前輪切れ角センサ26(前輪切れ角検出手段)などが接続される一方、制御部20の出力側には、前述した作業機操作カムモータ11が接続されている。
図4に示すように、制御部20が行なう作業機制御には、作業機操作具の操作に応じて、植付作業機3を昇降させたり、植付クラッチを入り/切りさせる作業機操作制御(S1)と、枕地旋回開始時に植付作業機3の上昇操作及び植付クラッチの切り操作を自動的に行なうとともに、枕地旋回終了時に植付作業機3の下降操作及び植付クラッチの入り操作を自動的に行なう植付自動制御(S2)が含まれている。
図5に示すように、作業機操作制御では、まず、作業機操作具の下側操作及び上側操作を判断する(S101、S102)。ここで、作業機操作具の下側操作があったと判断した場合は、続いて作業準備スイッチ18のON/OFFを判断する(S103)。この判断結果がONの場合は、植付作業機3の状態を判断し(S104〜S106)、ここで植付作業機3の状態が「上昇」の場合は、作業機操作カムを「固定」ポジションに切換え(S107)、植付作業機3の上昇動作を停止させる。また、植付作業機3の状態が「自動(下降)」の場合は、下降動作停止状態(接地状態)であるか否かを判断し(S108)、この判断結果がNOの場合は、植付クラッチ入り待ち状態とする一方(S109)、判断結果がYESの場合は、作業機操作カムを「植付」ポジションに切換えて植付クラッチを入りにする(S110)。また、植付作業機3の状態が「固定」の場合は、作業機操作カムを「自動(下降)」ポジションに切換える(S111)。
また、ステップS103の判断結果がOFFの場合も、植付作業機3の状態を判断し(S112、S113)、ここで植付作業機3の状態が「上昇」の場合は、作業機操作カムを「固定」ポジションに切換え(S107)、植付作業機3の上昇動作を停止させる。また、植付作業機3の状態が「固定」の場合は、作業機操作カムを「自動(下降)」ポジションに切換える(S114)。
一方、ステップS102において、作業機操作具の上側操作があったと判断した場合は、植付作業機3の状態を判断し(S115〜S117)、ここで植付作業機3の状態が「固定」の場合は、作業機操作カムを「上昇」ポジションに切換え(S118)、植付作業機3を上昇させる。また、植付作業機3の状態が「植付」の場合は、作業機操作カムを「自動(下降)」ポジションに切換えて植付クラッチを切りにする(S119)。また、植付作業機3の状態が「自動(下降)」の場合は、植付作業機3が下降動作停止状態であるか否かを判断し(S120)、該判断結果がYESの場合は、作業機操作カムを「上昇」ポジションに切換え(S118)、植付作業機3を上昇させる一方、判断結果がNOの場合は、作業機操作カムを「固定」ポジションに切換え(S121)、植付作業機3の昇降動作を停止させる。
また、作業機操作具の上側操作及び下側操作がない状態では、植付クラッチ入り待ち状態であるか否かを判断するとともに(S122)、植付作業機3が下降動作停止状態であるか否かを判断する(S123)。そして、両判断結果がYESの場合は、作業機操作カムを「植付」ポジションに切換えて植付クラッチを入りにさせる(S124)。
植付自動制御では、図6に示すように、ステアリングハンドル14による旋回開始操作を判断し(旋回開始位置L0)、該旋回開始操作からの走行距離が第一の設定距離(作業機下降開始位置L1)に到達したとき、植付作業機3を自動的に下降させ、さらに、旋回開始操作からの走行距離が第二の設定距離(植付開始位置L2)に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにすべく、作業機操作カムのポジションを制御する。
図7に示すように、植付自動制御では、枕地旋回における旋回経路が基準旋回経路よりも大回りになった場合や、圃場のスリップ率が通常よりも大きい場合、走行機体1が基準位置に到達する前に植付作業機3が下降したり、植付クラッチが入りになる惧れがある。例えば、走行機体1が基準位置に到達する前に植付作業機3が下降すると、旋回途中で植付作業機3が接地し、植付作業機3のフロート7が圃場の泥を横方向に押すので、枕地を荒らしてしまう。
そこで、本発明の実施形態に係る植付自動制御では、旋回開始操作からの走行距離が第一の設定距離L1に到達しても、前輪切れ角が所定角度以上である場合、未だ旋回途中であると判断し、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングを遅延させる。例えば、予め設定される設定距離L3(L3>L1)を目標として植付作業機3を自動的に下降させる。このようにすると、植付作業機3は、旋回途中で接地しないので、旋回途中の接地によって圃場の泥を横方向に押し、枕地を荒らすという不都合を回避できる。
また、植付自動制御は、旋回開始操作からの走行距離が第一の設定距離L1に到達しても、前輪切れ角が所定角度以上である場合、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングも遅延させる。例えば、予め設定される設定距離L4(L4>L2)を目標として植付クラッチを入りにする。このようにすると、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングだけを遅延させた場合のように、植付作業機3が接地する前に植付クラッチが入りになり、空中植えが発生することも防止できる。
以下、本発明の実施形態に係る植付自動制御の具体的な処理手順について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、本実施形態の植付自動制御では、まず、植付自動モード(植付自動スイッチ19)がONであるか否かを判断し(S201)、この判断結果がNOの場合は、そのまま上位ルーチンへ復帰する一方、判断結果がYESの場合は、枕地旋回の開始判断を行なう。つまり、前輪切れ角が所定の切れ角(旋回開始判定値)以上となった直後であるか否か(S202:旋回開始判断手段)、その前に所定距離以上の植付走行があったか否かを判断し(S203)、両判断結果がYESの場合は、枕地旋回の開始であると判定する。そして、枕地旋回の開始であると判定した場合は、作業機操作カムを「上昇」ポジションに切換えて植付作業機3の上昇及び植付クラッチの切りを行なうとともに(S204)、走行距離Lのカウントを開始する(S205)。
以降は、作業機操作具の操作が有ったか否か(S206)、後述するタイミング補正フラグのセット値が「1」であるか否か(S207)、走行距離Lが第二の設定距離L2(植付開始距離)以上であるか否か(S208)、走行距離Lが第一の設定距離L1(作業機下降距離)以上であるか否か(S209)を判断する。そして、走行距離Lが第一の設定距離L1(作業機下降距離)以上であると判断した場合は、前輪切れ角が所定の切れ角P(直進復帰判定値)以上であるか否かを判断し(S210)、この判断結果がNOの場合は、旋回終了段階であると判定して作業機操作カムを「下降」ポジションに切換え、植付作業機3を下降させる(S211:植付作業機自動下降手段)。一方、判断結果がYESの場合は、旋回途中であると判定してタイミング補正フラグに「1」をセットする(S212)。
タイミング補正フラグに「1」をセットすることなく、植付作業機3を下降させた場合は、走行距離Lが第二の設定距離L2以上となるタイミングを待ち、このタイミングで作業機操作カムを「植付」ポジションに切換えて植付クラッチを入りにし(S213:植付クラッチ自動入り手段)、次行程の植付作業を開始させる。また、このとき、タイミング補正フラグに「0」をセットするとともに(S214)、走行距離Lカウンタをクリアする(S215)。
一方、タイミング補正フラグに「1」をセットした場合は、走行距離Lが設定距離L4(補正植付開始距離)以上であるか否か(S216:タイミング遅延手段)、また、走行距離Lが設定距離L3(補正作業機下降距離)以上であるか否か(S217:タイミング遅延手段)を判断する。そして、走行距離Lが設定距離L3以上であるとい判断した場合は、作業機操作カムを「下降」ポジションに切換えて植付作業機3を下降させる(S218)。また、走行距離Lが設定距離L4以上であると判断した場合は、作業機操作カムを「植付」ポジションに切換えて植付クラッチを入りにし(S219)、次行程の植付作業を開始させる。また、このとき、タイミング補正フラグに「0」をセットするとともに(S220)、走行距離Lカウンタをクリアする(S221)。なお、本実施形態では、旋回途中に作業機操作具が操作された場合も、タイミング補正フラグに「0」をセットするとともに(S222)、走行距離Lカウンタをクリアする(S223)。
叙述の如く構成された本実施形態によれば、ステアリングハンドル14の操作に応じて操向される走行機体1と、走行機体1の後部に昇降自在に連結され、下降状態で圃場に苗を植付ける植付作業機3と、植付作業機3に対する動力供給を入り/切りする植付クラッチと、走行機体1の走行距離を検出する走行距離検出手段と、ステアリングハンドル14の操作による前輪切れ角を検出する前輪切れ角検出手段と、前輪切れ角検出手段による前輪9の直進位置側から所定の切れ角への操向操作の検出によって走行機体1が旋回を開始したと判断する旋回開始判断手段と、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離L1に到達したとき、植付作業機3を自動的に下降させる植付作業機自動下降手段と、旋回開始からの走行距離が第二の設定距離L2に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにする植付クラッチ自動入り手段とを備える乗用型田植機であって、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離L1に到達しても、前輪切れ角が所定角度P以上である場合、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させるタイミング遅延手段を備えるので、旋回途中で植付作業機3が接地してしまうような状況を回避できるだけでなく、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングだけを遅延させた場合のように、植付作業機3が接地する前に植付クラッチが入りになり、空中植えが発生することも防止できる。
つぎに、本発明の第二実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。ただし、前記実施形態と共通の部分については、前記実施形態と同じ符号を用いることにより、前記実施形態の説明を援用する。
図9及び図10に示すように、第二実施形態の植付自動制御は、旋回開始からの走行距離が第一の設定距離L1に到達しても、前輪切れ角が所定角度β(直進復帰判定値)以上である場合、つまり、タイミング補正フラグのセット値が「1」の状況における処理内容が前記実施形態と相違している。具体的には、タイミング補正フラグに「1」をセットした場合は、前輪切れ角が所定角度β以下となる操作(直進復帰操作)が有ったか否かを判断し(S301)、この判断結果がYESの場合は、作業機操作カムを「下降」ポジションに切換えて植付作業機3を下降させるとともに(S302)、現在の走行距離と第一の設定距離L1との差から補正値Lpを演算し(S303)、この補正値Lpを第二の設定距離L2に加算して補正された設定距離L2(補正値)を得る(S304)。
その後は、走行距離Lが設定距離L2(補正値)以上であるか否かを判断し(S305)、この判断結果がYESになると、作業機操作カムを「植付」ポジションに切換えて植付クラッチを入りにし(S306)、次行程の植付作業を開始させる。また、このとき、走行距離Lカウンタをクリアするとともに(S307)、タイミング補正フラグに「0」をセットする(S308)。
上記の補正値Lpは、現在の走行距離と第一の設定距離L1との差よりも大きくすることが好ましい。言い換えると、植付作業機3を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させる場合、植付作業機3を自動的に下降させる補正した距離と、植付クラッチを自動的に入りにする補正した距離の距離差を、第一の設定距離L1と第二の設定距離L2の距離差よりも大きくなるように設定することが好ましい。このようにすると、スリップ率が大きい圃場において、植付作業機3を自動的に下降させる位置と、植付クラッチを自動的に入りにする位置の関係を適正化することができ、その結果、植付作業機3を接地させた後に適切なタイミングで植付作業を開始することができる。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論である。例えば、前記実施形態では、設定距離L1、L2、L3、L4を固定値としているが、これらの設定距離L1、L2、L3、L4を圃場の状況に応じて任意に変更(例えば、調整ダイヤルの操作にもとづいて変更)できるようにしてもよい。
1 走行機体
3 植付作業機
9 前輪
14 ステアリングハンドル
15 作業機操作レバー
17 作業機操作ボタン
19 植付自動スイッチ
20 制御部
25 回転センサ
26 前輪切れ角センサ

Claims (2)

  1. ステアリングハンドルの操作に応じて操向される走行機体と、
    走行機体の後部に昇降自在に連結され、下降状態で圃場に苗を植付ける植付作業機と、
    植付作業機に対する動力供給を入り/切りする植付クラッチと、
    走行機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、
    ステアリングハンドル操作による前輪切れ角を検出する前輪切れ角検出手段と、
    前輪切れ角検出手段による前輪の直進位置側から所定の切れ角への操向操作の検出によって機体が旋回を開始したと判断する旋回開始判断手段と、
    旋回開始からの走行距離が第一の設定距離に到達したとき、植付作業機を自動的に下降させる植付作業機自動下降手段と、
    旋回開始からの走行距離が第二の設定距離に到達したとき、植付クラッチを自動的に入りにする植付クラッチ自動入り手段とを備える乗用型田植機であって、
    旋回開始からの走行距離が第一の設定距離に到達しても、前輪切れ角が所定角度以上である場合、植付作業機を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させるタイミング遅延手段を備えることを特徴とする乗用型田植機。
  2. 前記タイミング遅延手段は、植付作業機を自動的に下降させるタイミングと、植付クラッチを自動的に入りにするタイミングを遅延させる場合、植付作業機を自動的に下降させる補正した距離と、植付クラッチを自動的に入りにする補正した距離の距離差を、第一の設定距離と第二の設定距離の距離差よりも大きくなるように設定することを特徴とする請求項1に記載の乗用型田植機。
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