JP2015019251A - スピーカグリル - Google Patents

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Abstract

【課題】スピーカグリルの成形性を向上させるともに開口率を向上させる。【解決手段】スピーカの前面を覆い、多数の孔部が形成されるとともに、裏面側に複数の補強リブ32a〜32fを、スピーカグリル26の裏面の一方側から他方側に向かって、互いに並設して形成するとともに、隣接する補強リブ32a〜32f同士が互いに交差しないように形成する。【選択図】図5

Description

本発明は、スピーカグリルの構造に関するものである。
自動車などの車両に装着されるスピーカ、またテレビのキャビネットに装着されるスピーカには、その表面に、スピーカ本体を保護するとともに、スピーカから出力された音を外部に放射する、多数の開口孔を有するスピーカグリルが装着されている。そして、スピーカグリルの剛性を上げるために、スピーカグリルの裏面には、補強用のリブが設けられている。(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
特許第3043580号公報 特開平7−274273号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明によると、補強リブが六角形状(ハニカム形状)をなしているため、スピーカグリルの剛性を高めることはできるが、補強リブの分岐や合流が多いため、スピーカグリルを成形する際に充填される溶融樹脂の流れが滞ることによって、樹脂の充填不足による成形不良が発生するという問題があった。また、補強リブが六角形状をなして、密に配置されているため、スピーカの音圧を低下させる要因の一つであるスピーカグリルの開口率をより一層向上させることが困難であった。
また、特許文献2に記載された発明によると、補強リブは互いに鋭角に交差する複数の直線からなる形状を有しているため、六角形状の補強リブに比べて開口率を向上させることはできるが、補強リブ同士の交差箇所が多数存在するため、充填された溶融樹脂の流れが阻害されて、樹脂の充填不足による成形不良が発生するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、成形性が高く、なおかつ開口率が高いスピーカグリルを提供することを目的とする。
本発明に係るスピーカグリルは、開口率を向上させることができるとともに、補強リブを安定して成形することができるものである。
すなわち、本発明に係るスピーカグリルは、スピーカの前面を覆い、多数の孔部が形成されるとともに、裏面側に複数の補強リブが形成されたスピーカグリルにおいて、前記複数の補強リブは前記スピーカグリルの裏面の一方側から他方側に向かって互いに並設して形成されるとともに、隣接する前記補強リブは互いに交差しないように形成されることを特徴とする。
このように構成されたスピーカグリルによれば、スピーカの前面を覆い、多数の孔部が形成されるとともに、裏面側に複数の補強リブが形成されたスピーカグリルにおいて、複数の補強リブはスピーカグリルの裏面の一方側から他方側に向かって互いに並設して形成されるとともに、隣接する補強リブ同士が互いに交差しないように形成されるため、スピーカグリルの成形時に外部からスピーカグリルの型に樹脂を射出したときに、射出された樹脂の流路である補強リブに分岐や合流がないため、樹脂の流れが阻害されない。そのため、射出された樹脂がスピーカグリルの周縁部まで確実に届くことによって、樹脂の充填不足による成形不良の発生を防止してスピーカグリルの成形性を向上させることができる。また、隣接する補強リブ同士が交差しないことによって、補強リブの距離が短くなるため、より多くの孔部を形成することができ、これによってスピーカグリルの開口率を向上させることができ、音圧の低下を小さくすることができる。
本発明に係るスピーカグリルによれば、スピーカグリルの開口率を向上させることができるともに、補強リブを安定して成形することができるという効果が得られる。
スピーカが取り付けられるインストルメントパネルの斜視図である。 (a)は図1の部分拡大図であり、スピーカが車両に取り付けられた様子を示す図である。(b)はスピーカの上部にスピーカグリルが取り付けられた様子を示す図である。 (a)はスピーカの正面図である。(b)はスピーカを構成するスピーカコーンの断面図である。(c)はスピーカグリルの正面図である。 (a)はスピーカグリルの裏面に設けられた補強リブの配置構成を示す図である。(b)は図4(a)を切断線B−Bで切断した断面図である。 (a)は従来の補強リブの配置構成の一例を示す図である。(b)は本発明に係る実施例1によって形成された補強リブの配置構成の一例を示す図である。(c)は本発明に係る実施例1によって形成された補強リブの別の配置構成の一例を示す図である。 (a)はスピーカグリルを含む化粧板を成形する際に、溶融樹脂を充填するゲート位置の一例を示す図である。(b)はゲート位置の第2の例を示す図である。(c)はゲート位置の第3の例を示す図である。
まず、車両へのスピーカ取付構造について、図1,2を用いて説明する。
図1は、左ハンドル車のインストルメントパネル1を示しており、このインストルメントパネル1の左側が運転席側部分2、右側が助手席側部分3、中央がセンターパネル部分6となっている。このセンターパネル部分6には、図1に示すように、必要なパネル類が取り付けられる、所要形状の凹部8が形成されている。
また、インストルメントパネル1における凹部8の内側部分には、図1に示すように、各種の機器を取付けるための機器取付用開口部10が上下に複数段に亘って形成されている。図1の場合、凹部8の最上部に、スピーカ取付用の機器取付用開口部10が形成されている。
そして、図2(a)に示すように、スピーカ取付用の機器取付用開口部10に対して、スピーカ部品20が、上方から取付面9にネジ留めされる。
スピーカ部品20は、図2(a)に示すように、略円錐形状をしたスピーカコーン22の外周に、矩形状の取付フランジ部24を取り付けた構造のものが使用される。取付フランジ部24の4隅には、インストルメントパネル1のセンターパネル部分6に設けられた取付面9に開口されたネジ孔とそれぞれ対応する孔部12a,12b,12c,12dが開口されており、この4箇所の孔部にそれぞれネジを螺着することによって、取付フランジ部24を取付面9に取り付ける。
このようにして取り付けられたスピーカ部品20の上方には、図2(b)に示すように、化粧板25が装着される。そして、化粧板25の中でスピーカ部品20の上部を被覆する領域にはスピーカグリル26が設けられている。
次に、図3(a)を用いて、スピーカ部品20の構成について説明する。図3(a)は、スピーカ部品20を構成するスピーカコーン22を正面から見た図である。そして、図3(b)は、スピーカコーン22の断面図である。スピーカコーン22の最外周部には、スピーカコーン22を保持するエッジ部22aが設けられている。そして、図3(b)に示すように、スピーカコーン22の中心を挟んで対向する位置にあるエッジ部22a,22aの各頂点22b,22b間の距離を、スピーカコーン22の直径Asとする。
スピーカグリル26は、樹脂で成形されており、図3(c)に示すような長円型をなしている。そして、スピーカグリル26の円形の開口領域Gの部分には、多数の孔部28が開口されている。そして、スピーカコーン22から出力された音は、その孔部28を通して外部に出力される。
また、スピーカグリル26の開口領域G以外の領域には、開口されていない多数の孔部28が設けられている。
なお、図3(c)に示すように、開口領域Gと、スピーカコーン22の位置をスピーカグリル26上に射影したときに得られるスピーカ領域Sと、は一致していない。
これは、同じスピーカグリル26を、設置されるスピーカコーン22の直径Asが異なる複数の車両に対して流用するためである。そして、後述するスピーカグリル26の開口率Apは、開口領域Gと、車両によって異なるスピーカ位置、スピーカコーン22の直径Asに対応するスピーカ領域Sと、が重なった領域である共通領域Cの内部に対して計算される。
ここで、図3(c)に示すように、スピーカグリル26に設けられた開口領域Gは、左側にオフセットしている。これは、図3(c)に示したスピーカグリル26は左ハンドルの車両に取り付けられるため、運転者に対して、より高い音圧で信号を出力させるためである。
一方、右ハンドル車の場合、開口領域Gの位置が、図3(c)に対して右側にオフセットしたものとなる。
このように、左ハンドル車と右ハンドル車では、スピーカ部品20(図2(a)参照)の取り付け位置が若干異なっており、左ハンドル車、右ハンドル車に関わらず、同じ形状のスピーカグリル26を使用するため、開口領域Gは、ハンドル位置に対応した位置に設けられる。
次に、本発明に係るスピーカグリル26の具体的な実施形態について、図4を用いて説明する。
[実施例1の構成と機能の説明]
図4(a)は、本実施例におけるスピーカグリル26の詳細構成を示すものである。スピーカグリル26の裏面側(スピーカコーン22側)には、多数の孔部28を有するスピーカグリル26の剛性を向上させるために、複数の補強リブ29(29a〜29h)が設けられている。
複数の補強リブ29(29a〜29h)は、図4(a)において、スピーカグリル26の下方(一方側)から上方(他方側)に向かって、互いに分岐、合流することなく、略平行に設けられる。特に、図4(a)に示す例では、補強リブ29(29a〜29h)は、左下から右上に向かう方向に設けられる。
そして、スピーカグリル26の周縁部には、スピーカグリル26の周縁を取り囲むように周縁部補強リブ27が設けられている。
これらの補強リブ29(29a〜29h),周縁部補強リブ27の存在によって、スピーカグリル26の面外方向、および面内方向の撓みに対する剛性が向上する。
図4(b)は、スピーカグリル26を図4(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。
図4(b)に示すように、孔部28は、スピーカグリル26の表面を貫通する開口孔部28aと、スピーカグリル26の表面を貫通しない非開口孔部28bとからなる。
スピーカグリル26は後述するように溶融樹脂を充填することによって成形されるが、このとき、図4(b)の断面図の上半分の部位を形成するためのキャビティ(凹型)と、下半分の部位を形成すためのコア(凸型)と、からなる型が用いられる。
そして、成形後に、成形されたスピーカグリル26を、キャビティとコアから容易に抜き出すために、開口孔部28aと非開口孔部28bのキャビティ側端面には、それぞれ抜き勾配dが設けられて、開口孔部28aのコア側端面には抜き勾配eが設けられて、補強リブ29aのコア側端面には抜き勾配gが設けられている。
成形されたスピーカグリル26の開口孔部28aには、スピーカグリル26の表面から厚み方向約半分の位置に、有効孔径rの丸孔が形成される。この開口孔部28aは、少なくとも開口領域Gの内側の、後述する補強リブ29が形成されていない位置に、互いにピッチpの間隔を有して規則的に形成される。
非開口孔部28bは、スピーカグリル26の表面の約半分の厚み位置まで開口されている。この非開口孔部28bは、開口領域Gの外側、および、後述する補強リブ29が形成された位置に、開口孔部28aと同様に、互いにピッチpの間隔を有して規則的に形成されている。
また、図4(b)には、補強リブ29の一例として補強リブ29aの断面形状を示す。補強リブ29aは、図4(b)に示すように、スピーカグリル26の裏面側に突出するように設けられている。そして、図4(a)に示すその他の補強リブ29b〜29hも、図4(b)に示す補強リブ29aと同様の断面形状を有している。
スピーカコーン22から出力された音圧の一部は、互いに隣接する開口孔部28aの間に形成されたスピーカグリル26の表面と、補強リブ29(29a〜29h)と、によって遮蔽されるため、スピーカコーン22から出力される音と、実際に車両の乗員に聞こえる音との間には差が生じる可能性がある。そのため、スピーカグリル26から出力される音圧と、スピーカコーン22から出力される音圧と、をできるだけ等しくする必要がある。そのためには、スピーカグリル26の開口率Apをできるだけ大きくする必要がある。そのため、開口孔部28aの有効孔径rと、隣接した開口孔部28a間のピッチpと、補強リブ29の形状が、それぞれ適切に設計される。
[開口率Apの算出方法の説明]
次に、スピーカグリル26の開口率Apの具体的な算出方法について説明する。
スピーカコーン22の直径をAs(スピーカ径に対応)、開口孔部28aの有効孔径をr、前記した開口領域G(または共通領域C)の中で開口が100%である開口孔部28aの孔数をnとする。
また、スピーカコーン22のうち、割合α(0<α1)の領域が開口領域G(または共通領域C)と重複しているとする。
さらに、開口領域G(または共通領域C)の中の非開口孔部28bの総非開口面積をSaとする。総非開口面積Saは、開口領域G(または共通領域C)の内部に設けられた補強リブ29やオーナメントによって、開口孔部28aが塞がれて、非開口孔部28bとなった領域の面積の総和を表わす。
そして、開口領域G(または共通領域C)の中で一部だけ非開口である孔部の総開口面積をSbとする。総開口面積Sbは、開口領域G(または共通領域C)の内部に設けられた補強リブ29やオーナメントによって、開口孔部28aが一部だけ塞がれたときに、塞がれずに残っている開口孔部28aの面積の総和を表わす。
このとき、開口率Ap(%)は、(式1)で算出される。
Ap=100[{nπ(r/2)−Sa+Sb}/απ(As/2)] (式1)
したがって、予め決められた直径Asを有するスピーカコーン22に対して、開口領域G(または共通領域C)における開口率Apを大きくするためには、(式1)からわかるように、開口孔部28aの有効孔径rを大きくする、共通領域Cの中で開口が100%である開口孔部28aの孔数nを多くする、開口領域G(または共通領域C)の中の非開口孔部28bの総非開口面積Saを小さくする、または、共通領域Cの中で一部だけ非開口である孔部の総開口面積Sbを大きくする、のいずれかを行えばよいことがわかる。
すなわち、本実施例1は、補強リブ29(29a〜29h)を、スピーカグリル26の裏面の一方側から他方側に向かって互いに並設するとともに、隣接する補強リブ29(29a〜29h)を互いに交差しないように形成することによって、補強リブの全長を短くして、開口領域G(または共通領域C)内における総非開口面積Saをできるだけ小さくするとともに、総非開口面積Saが減った場所に、新たに開口孔部28aを設けることによって孔数nを多くして、開口率Apを大きくしたものである。
[実施例1の変形例の説明]
以下、実施例1の変形例について、図5(a),(b)を用いて説明する。図5(a)は、スピーカグリル26の裏面側に設けられた、従来の補強リブ30の配置構成を示すものである。
従来の補強リブ30は、例えば、スピーカグリルの裏面側に隙間なく充填された複数の正六角形(ハニカム)の輪郭線によって構成されていた。このハニカム形状は、少ない部材で高い強度を得ることができる構造であるため、一般的に、強度が必要な箇所の補強に用いられている。
そして、本発明に係る実施例は、図5(b)に示すように、ハニカム形状をなす補強リブ30(30a〜30c)の中から、図5(a)において水平方向に延びる補強リブ30aのみを全て取り除いた配置構成の補強リブ32(32a〜32f)を形成するものである。
すなわち、補強リブ32(32a〜32f)は、いずれも、スピーカグリル26の表面を含む上下方向に延びた軸Xに沿う方向に設けられて、補強リブ32の延伸方向に沿って交互に設けられた複数の屈曲点Pa,Pbにおいて、その方向をジグザグ状に変えて延設される。
このように、ハニカム構造の補強リブ30(30a〜30c)の中から、1方向に延びる補強リブ30aのみを取り除くことによって、補強リブの全長が短くなって、開口領域G(または共通領域C)の中で補強リブ30aが通過していた箇所に、新たな開口孔部28aが生成されるため、開口率Apを向上させることができる。
なお、このような配置構成の補強リブ32(32a〜32f)を用いると、ハニカム構造が崩れるため剛性が低下するように考えられるが、実際に補強リブ32(32a〜32f)を試作して、スピーカグリル26に荷重を加えて変位量を比較してみると、剛性への影響は小さいことがわかった。
特に、図5(b)において、補強リブ32(32a〜32f)を、スピーカグリル26の中央を通り、軸Xに沿う方向に設けたため、軸Xに直交する方向、すなわちスピーカグリル26の長手方向の剛性を高めることができる。
なお、このような配置構成の補強リブ32(32a〜32f)は、図5(b)に示すように、軸Xに関して線対称に配置されるため、スピーカグリル26の剛性の方向依存性をなくすことができる。
そして、さらに、図5(b)の配置構成を有する補強リブ32(32a〜32f)を用いることによって、スピーカグリル26を成形する際の成形性を向上させることができる。これについては後述する。
[スピーカグリルの成形方法の説明]
次に、スピーカグリル26の成形方法について説明する。スピーカグリル26は予め製作された型の中に溶融樹脂を充填する、所謂、射出成形によって、化粧板25と一体成形される。
このとき、図5(a)に示すように、補強リブ30(30a〜30c)の中に分岐箇所や合流箇所が存在するときには、この分岐箇所や合流箇所において、充填した溶融樹脂の合流や分岐が発生する。
すると、この分岐や合流によって、溶融樹脂の流れの分岐や合流が発生することによって樹脂の流れが阻害される可能性があるため、溶融樹脂をスピーカグリル26全体に行き渡らせるのが難しくなる。
これに対して、図5(b)に示す補強リブ32(32a〜32f)を形成すると、補強リブ32(32a〜32f)の中に分岐,合流がないため、充填された溶融樹脂の流れが阻害されることなく、スピーカグリル26の周縁部にまでまんべんなく行き渡る。そして、充填された樹脂が偏ることなくスピーカグリル26を成形することができる。
そして、さらに、以下に説明するように射出成形の方法を工夫することによって、スピーカグリル26の成形性をより一層向上させることができる。
図6は、スピーカグリル26を含む化粧板25を裏面側から見た図であり、スピーカグリル26を含む化粧板25を成形する際に設ける、溶融樹脂の充填位置(ゲート)の設定例である。
なお、化粧版25の裏面側には、図6(a)〜(c)に示す補強リブYが形成されている。補強リブYは、化粧板25の裏面側に上下方向、左右方向に亘って形成されている。なお、補強リブYは、前記したスピーカグリル26の裏面に形成される補強リブ(29,30,32(図5参照))と異なり、互いに分岐・合流をなすように形成されているが、補強リブYは補強リブ(29,30,32)と比べて幅広く形成されているため、溶融樹脂の流れを阻害することはない。
図6(a)は、溶融樹脂を充填するための充填口であるゲートG,Gを、化粧板25の周縁部の上部と下部に、それぞれ設けた例である。このように2箇所のゲートから、それぞれ溶融樹脂を充填することによって、化粧板25はもちろんのこと、スピーカグリル26の全体にまんべんなく樹脂を充填することができる。そして、これによって、溶融樹脂の充填不足(ショート)の発生を防止することができ、スピーカグリル26の成形性を高めることができる。なお、ゲートG,Gの設置位置は、スピーカグリル26の中心位置(重心位置)に対して、互いに点対称の関係をなす位置に設けるのが望ましい。
図6(b)は、溶融樹脂を充填するための充填口であるゲートGを、化粧板25の周縁部のうち、スピーカ位置付近、望ましくは開口領域G付近に設けた例である。このように、スピーカ位置付近から溶融樹脂を充填することによって、多数の開口孔部28aが存在するために強度が必要なスピーカ位置に、重点的に溶融樹脂を充填することができ、これによって、特にスピーカ位置に対応する開口領域G(または共通領域C)における溶融樹脂の充填不足(ショート)の発生を防止することができる。
図6(c)は、溶融樹脂を充填するための充填口であるゲートGを、化粧板25の周縁部のうち、補強リブYが形成されている位置に設けた例である。このように、補強リブYの位置から溶融樹脂を充填することによって、補強リブYを溶融樹脂の流路、すなわちフローリーダとして用いて、溶融樹脂の流れをより一層円滑にすることができる。そして、これによってスピーカグリル26の成形性を高めることができる。
なお、図6(a)〜(c)に示した複数の要件を互いに組み合わせた位置にゲートを設定することも可能である。例えば、図6(b)の構成で、さらにゲートGの点対称の位置にもゲートを設けるようにしてもよいし、また、図6(c)の構成で、さらにゲートGの点対称の位置にもゲートを設けるようにしてもよい。
次に、本発明に係るスピーカグリル26の別の具体的な実施形態について、図5(c)を用いて説明する。
図5(c)は、スピーカグリル26の裏面側に、以下に説明する方法に基づいて形成された補強リブ34(34a〜34f)の配置構成を示す図である。
[実施例2の構成と機能の説明]
補強リブ34(34a〜34f)は、スピーカグリル26の周縁部から所定距離以上離れた領域Rの内部にあっては、図5(b)に示した補強リブ32(32a〜32f)と同一の配置構成をなしている。
そして、領域Rの外部、すなわち、スピーカグリル26の周縁部に近接した領域においては、本来、図5(b)に示したように補強リブ32(32a〜32f)がジグザグ状に折り返された箇所において、折り返しを発生させずに、補強リブが延設される。
このように、補強リブに折り返しを発生させないことによって、補強リブの長さをより短縮することができる。そして、補強リブの長さが短縮されることによって、総非開口面積Saをできるだけ小さくするとともに、総非開口面積Saが減った場所に、新たに開口孔部28aを設けることによって孔数nを多くして、開口率Apを大きくすることができる。
なお、前記した領域Rのサイズは設計パラメータであり、開口領域G(または共通領域C)のサイズを考慮して、必要な開口率Apが得られるように適宜設定される。
なお、以上説明した実施例1,2は、車両のセンターパネル部分6にスピーカ部品20(スピーカ)を取り付ける例として説明したが、スピーカ部品20の取り付け位置はセンターパネル部分6に限定されるものではない。すなわち、車両の左右ドアに取り付けられるドアスピーカの表面に設けるスピーカグリルや、車両のリアパーセルに取り付けられるリアスピーカの表面に設けるスピーカグリルに対しても、本願発明は同様に適用することができる。
以上、説明したように、実施例1に係るスピーカグリル26によれば、スピーカ部品20(スピーカ)の前面を覆い、多数の孔部28が形成されるとともに、裏面側に複数の補強リブ(32a〜32f)が形成されたスピーカグリル26において、複数の補強リブ(32a〜32f)はスピーカグリル26の裏面の一方側から他方側に向かって互いに並設して形成されるとともに、隣接する補強リブ(32a〜32f)同士が互いに交差しないように形成されるため、スピーカグリル26の成形時に外部から樹脂を射出したときに、射出された樹脂の流路に分岐や合流がないため、樹脂の流れが阻害されない。そのため、射出された樹脂がスピーカグリル26の周縁部まで確実に届くことによって、樹脂の充填不足による成形不良の発生を防止してスピーカグリル26の成形性を向上させることができる。また、隣接する補強リブ(32a〜32f)同士が交差しないことによって、補強リブ(32a〜32f)全体の長さが短くなるため、共通領域Cの内部により多くの開口孔部28a(孔部)を形成することができる。したがって、スピーカグリル26の開口率Apを向上させることができ、音圧の低下を小さくすることができる。
また、実施例1に係るスピーカグリル26によれば、補強リブ(32a〜32f)は、ジグザグ状に屈曲して形成されるため、スピーカグリル26の剛性の低下を防ぐことができる。さらに、樹脂を射出してスピーカグリル26を成形する際に、射出した樹脂が屈曲部に当たって向きを変えるため、補強リブ(32a〜32f)の奥まで、樹脂を確実に送出することができ、スピーカグリル26の成形性を向上させることができる。
また、実施例1に係るスピーカグリル26によれば、ジグザグ状の補強リブ32(32a〜32f)が、六角形のハニカム構造における、所定方向に延びるリブ(輪郭線30a)以外のリブの位置に形成されるため、輪郭線30aを取り除くことによるスピーカグリル26の剛性の低下を最小限に抑えながら、スピーカグリル26の開口率を向上させることができる。そして、スピーカグリル26の開口率Apが向上することによって、スピーカ部品20(スピーカ)の音圧の低下を小さくすることができる。
また、実施例1に係るスピーカグリル26によれば、補強リブ32(32a〜32f)が、スピーカグリル26の裏側に隙間なく充填された複数の正六角形の輪郭線のうち、スピーカグリル26の長手方向に沿って延びる輪郭線30a以外の輪郭線の位置に形成されるため、補強リブ32(32a〜32f)は、スピーカグリル26の長手方向に直交する方向に延びて形成されて、これによって、スピーカグリル26の長手方向の剛性を高めることができる。
また、実施例2に係るスピーカグリル26によれば、ジグザグ状の補強リブ34(34a〜34f)は、スピーカグリル26の周縁部から所定の範囲内においては、補強リブ34(34a〜34f)の長さができるだけ短くなるよう、スピーカグリル26の周縁部まで屈曲せずに延設して形成されるため、スピーカグリル26の開口率Apをより一層向上させることができる。そして、スピーカグリル26の開口率Apが向上することによって、スピーカ部品20(スピーカ)の音圧の低下をより一層小さくすることができる。
また、実施例1の変形例、または実施例2に係るスピーカグリル26によれば、補強リブ32(32a〜32f)、または補強リブ34(34a〜34f)は、スピーカグリル26の表面を含む所定の軸Xに関して線対称に形成されるため、スピーカグリル26の剛性の方向依存性をなくすことができる。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。
26 スピーカグリル
27 周縁部補強リブ
28 孔部
30(30a〜30c) 補強リブ
32(32a〜32f) 補強リブ
34(34a〜34f) 補強リブ
G 開口領域
Pa,Pb 屈曲点
R 領域
X 軸

Claims (6)

  1. スピーカの前面を覆い、多数の孔部が形成されるとともに、裏面側に複数の補強リブが形成されたスピーカグリルにおいて、
    前記複数の補強リブは、前記スピーカグリルの裏面の一方側から他方側に向かって互いに並設して形成されるとともに、隣接する前記補強リブは互いに交差しないように形成されることを特徴とするスピーカグリル。
  2. 前記補強リブは、ジグザグ状に屈曲して形成されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカグリル。
  3. 前記ジグザグ状の補強リブは、六角形のハニカム構造における、所定方向に延びるリブ以外のリブの位置に形成されることを特徴とする請求項2に記載のスピーカグリル。
  4. 前記所定方向は、前記スピーカグリルの長手方向であることを特徴とする請求項3に記載のスピーカグリル。
  5. 前記ジグザグ状の補強リブは、前記スピーカグリルの周縁部から所定の範囲内においては、前記補強リブの長さができるだけ短くなるように、前記スピーカグリルの周縁部まで屈曲せずに延設して形成されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のスピーカグリル。
  6. 前記補強リブは、前記スピーカグリルの表面を含む所定の軸に関して線対称に形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスピーカグリル。
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