JP2015018959A - 酸化物半導体及び酸化物半導体膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、最近液晶表示素子や有機EL表示素子のバックプレーンとして期待されている酸化物半導体も、薄膜のキャリア濃度は酸素欠損で決まる。酸化物半導体のキャリア濃度は、トランジスタ動作させる場合に、閾値電圧に直接影響するため、極めて重要なパラメータである。
残留水分がプラズマ中で分解して生成したOHラジカルの方が、酸素ラジカルよりも酸化力が強いため、酸素のみを一定量供給し続けても、OHラジカルの量の変動によって、酸素欠損量が変化する。また、酸素のみを供給して得た酸化物半導体膜を使って作製したTFTは室温でのキャリア濃度は適切でも、トラップが多いため、Off電流が高い傾向がある。このことから酸化の程度はキャリア濃度だけによる評価では不十分で、活性化エネルギーも考慮する必要がある。以上より、TFT特性に悪影響を与える不要なキャリアを抑制し、On/Off比に優れたTFTを得るためには、半導体チャネルスパッタ時の中のOHラジカル量を適切な範囲で制御する必要がある。
1.室温におけるキャリア密度が1×1016cm−3以上、1×1018cm−3以下であり、キャリア密度の活性化エネルギーが10meV以上、100meV以下である酸化物半導体。
2.前記酸化物半導体が、
In(インジウム)及びO(酸素)と、
Zn(亜鉛)、Sn(錫)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、N(窒素)から選ばれる1種以上からなる1に記載の酸化物半導体。
3.前記酸化物半導体が結晶構造を有する1又は2に記載の酸化物半導体。
4.前記酸化物半導体が平均結晶粒径0.5μm以上の結晶構造を有する3記載の酸化物半導体。
5.前記酸化物半導体がアモルファス構造を有する1又は2に記載の酸化物半導体。
6.ターゲットと電極の間でプラズマを発生させて、スパッタリング法により、1〜5のいずれか一項に記載の酸化物半導体の薄膜を得る方法であって、スパッタ雰囲気中のOHの分圧が0.0001Pa以上、0.01Pa以下である酸化物半導体膜の製造方法。
7.スパッタ雰囲気中のOHの成膜開始時の分圧[OHs]と成膜終了時の分圧[OHf]が、
0.8≦[OHs]/[OHf]≦1.2
を満たす6記載の酸化物半導体膜の製造方法。
8.反応性ガスとして、水素原子と酸素原子を含むガスを用い、OHラジカルを供給する6又は7に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
9.反応性ガスとして、H2O、O2及びN2Oから選択される1以上の酸素原子を含むガスと、H2O、H2及びNH3から選択される1以上の水素原子を含むガスを用いる6又は7記載の酸化物半導体膜の製造方法。
10.反応性ガスとして、
H2O、
H2O及びH2、
H2O及びO2、
H2及びO2、並びに
NH3及びN2O
のいずれかを用いる6又は7記載の酸化物半導体膜の製造方法。
11.スパッタ方式が、直流スパッタ方式、又は周波数1MHz以下の交流スパッタ方式である6〜10のいずれかに記載の酸化物半導体膜の方法。
12.1〜5のいずれか記載の酸化物半導体を備える薄膜トランジスタ。
13.12記載の薄膜トランジスタを備える電子機器。
キャリア密度が1×1016cm−3以上、1×1018cm−3以下であり、キャリア密度の活性化エネルギーが10meV以上、100meV以下であると、良好なTFT動作が得られる。活性化エネルギーは、薄膜のホール効果を温度を変えて測定し、キャリア濃度の対数を逆温度に対してプロット(アレニウスプロット)したときの傾きによって求められる。
好ましくはキャリア密度は5×1016cm−3以上、5×1017cm−3以下である。好ましくは、キャリア密度の活性化エネルギーは30meV以上、70meV以下である。
インジウム複合酸化物として、In及びOと、Zn、Sn、Ga、Al、Hf、Zr、Nから選ばれる1種以上からなる酸化物が挙げられる。
本発明の酸化物半導体は、実質的に上記の元素からなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。「実質的」とは、半導体の95原子%以上100原子%以下(好ましくは98原子%以上100原子%以下)が上記の元素であることを意味する。
結晶化した酸化物半導体の平均結晶粒径は、好ましくは0.5μm以上である。0.5μm以上であると、結晶粒内の散乱が減少し、移動度を高めることができる。平均結晶粒径の範囲は、0.8μm以上、又は1.0μm以上とすることができ、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下とすることができる。
ただし、平均結晶粒径は、走査イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscopy)や走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により、35μm四方の枠内で観察される結晶粒それぞれの最大径を調べ、これらの粒径の平均値として求めてもよく、上記EBSPによって得られる平均結晶粒径と同様の結果が得られる。
スパッタリングターゲットとして、所望の組成の酸化物に対応する組成を有するものを用いればよい。
また、本発明の薄膜トランジスタは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置等、様々な電子機器に用いることができる。
ゲート膜基板として、熱酸化膜(膜厚100nm)が付いたシリコン基板を用い、スパッタリングターゲットとして、酸化インジウム:酸化亜鉛(In2O3:ZnO)(重量%(wt%)比)=95:5の焼結体を使用した。チャネルとして使用するため、2mm角の穴が開いたメタルマスクを使用し、下記の条件でスパッタ成膜して厚さ50nmの酸化物薄膜を得た。
このとき、ホール効果及びEBSP測定用に、スライドガラス(ガラス基板)も同時にセットし、ガラス基板上に酸化物薄膜を形成した。
尚、ターゲットの製法は、例えば、特許第2695605号を参照できる。
スパッタリング装置:HSM−552((株)島津製作所製)
ターゲットサイズ:直径4インチ,厚さ5mm
放電形式:直流マグネトロン
放電電流:0.2A 放電電圧:400V
バックグラウンド圧力:5.0×10−4Pa
導入ガス分圧:O2=3.6×10−3Pa、H2=7.2×10−3Pa、Ar=1.1×10−1Pa
スパッタ圧力:0.12Pa
基板温度:室温
成膜開始時OH分圧 9×10−4Pa
成膜終了後OH分圧 9×10−4Pa
尚、IZO膜が形成されたガラス基板は、金をスパッタしないで、空気中300℃、1時間の条件で、アニールし、ガラス素子を得た。
図1に示す伝達特性(Vds=10V,Vgs=-20V〜20V)のグラフにおいて、Vgs=−20〜−10VのIdsの平均値をIOff、Vgs=10〜20VのIdsの平均値をIOnとし、IOn/IOffをOn/Off比とした。
以下に示す飽和領域での電流Idsの式から、移動度μを導出した。
Ids=μWC(Vgs−Vth)2/2L
ここでWはチャネル幅、Cは絶縁膜の静電容量、Vgsはゲート電極とソース電極間の電圧、VthはIgsが10−9Aを超えるときのVgs、Lはチャネル長を表す。
ガラス素子をホール効果装置Resitest8300(株式会社東陽テクニカ製)にセットし、室温でのキャリア濃度を測定した結果、キャリア濃度は1×1017cm−3であった。
また、測定温度を液体窒素温度から室温まで変化させ、キャリア濃度の温度依存性を測定した。
n=n0exp(−Ea/kT)の式に従って、横軸に逆温度、縦軸にキャリア濃度の対数をとり、その傾き(活性化エネルギー=Ea)を求めたところ、55meVとなった。ここで、「T」は温度、「n」は温度Tでのキャリア濃度、「n0」は定数、「Ea」は活性化エネルギー、そして「k」はボルツマン定数を示す。
ガラス素子に形成された膜について、Hikari High Speed EBSD Detector(EDAX(TSL)社製、OIM解析ソフト ver.5.2)により、EBSP測定して、結晶粒界を調べた。加速電圧8kVの電子ビームを用いた。
EBSPのイメージクォリティ像(IQ像)を図2に示す。測定領域は、40μm×40μmであり、ステップサイズは0.2μmである。
結晶粒内の微細構造を解析するために、EBSPの方位角マッピングを行い、方位差2°以上5°未満、5°以上15°未満、15°以上180°未満の3つに分離した。
方位差15°以上の成分で囲まれる領域を結晶粒として平均結晶粒径を解析した結果、平均結晶粒径は0.5μmであり、移動度の高いモルフォロジーとして示された。平均結晶粒径は、測定領域内の35μm四方の枠内に現れた全ての結晶粒について、それぞれ最大径を測定し、その平均値を算出して求めた。
平均結晶粒径の測定結果を表1に示す。尚、アモルファスの場合は、「アモルファス」と評価する。
以下、実施例2〜8について、ターゲット材料、スパッタ条件を表1及び2のように設定し、実施例1と同様にTFT素子とガラス素子を製造して、評価を行った。結果を表1及び2に示す。
尚、実施例5において、到達圧力を、残留水分の多い低真空とすることで、実質的にOHラジカルを供給した。
「IGO」:インジウムガリウム酸化物
「IHZO」:インジウムハフニウム亜鉛酸化物
「IZZO」:インジウムジルコニウム亜鉛酸化物
「ITZAO」:インジウム錫亜鉛アルミニウム酸化物
比較例1〜3について、ターゲット材料、スパッタ条件を表3のように設定し、実施例1と同様にTFT素子とガラス素子を製造して、評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (13)
- 室温におけるキャリア密度が1×1016cm−3以上、1×1018cm−3以下であり、キャリア密度の活性化エネルギーが10meV以上、100meV以下である酸化物半導体。
- 前記酸化物半導体が、
In(インジウム)及びO(酸素)と、
Zn(亜鉛)、Sn(錫)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、N(窒素)から選ばれる1種以上からなる請求項1に記載の酸化物半導体。 - 前記酸化物半導体が結晶構造を有する請求項1又は2に記載の酸化物半導体。
- 前記酸化物半導体が平均結晶粒径0.5μm以上の結晶構造を有する請求項3記載の酸化物半導体。
- 前記酸化物半導体がアモルファス構造を有する請求項1又は2に記載の酸化物半導体。
- ターゲットと電極の間でプラズマを発生させて、スパッタリング法により、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化物半導体の薄膜を得る方法であって、スパッタ雰囲気中のOHの分圧が0.0001Pa以上、0.01Pa以下である酸化物半導体膜の製造方法。
- スパッタ雰囲気中のOHの成膜開始時の分圧[OHs]と成膜終了時の分圧[OHf]が、
0.8≦[OHs]/[OHf]≦1.2
を満たす請求項6記載の酸化物半導体膜の製造方法。 - 反応性ガスとして、水素原子と酸素原子を含むガスを用い、OHラジカルを供給する請求項6又は7に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
- 反応性ガスとして、H2O、O2及びN2Oから選択される1以上の酸素原子を含むガスと、H2O、H2及びNH3から選択される1以上の水素原子を含むガスを用いる請求項6又は7記載の酸化物半導体膜の製造方法。
- 反応性ガスとして、
H2O、
H2O及びH2、
H2O及びO2、
H2及びO2、並びに
NH3及びN2O
のいずれかを用いる請求項6又は7記載の酸化物半導体膜の製造方法。 - スパッタ方式が、直流スパッタ方式、又は周波数1MHz以下の交流スパッタ方式である請求項6〜10のいずれかに記載の酸化物半導体膜の方法。
- 請求項1〜5のいずれか記載の酸化物半導体を備える薄膜トランジスタ。
- 請求項12記載の薄膜トランジスタを備える電子機器。
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