JP2015017751A - ヒートポンプ熱源機 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサの追加装備を省略して、空調端末への熱負荷に応じた熱の供給を確保しつつ、節電を達成するヒートポンプ熱源機を提供することである。
【解決手段】ヒートポンプ部30は、圧縮機64の作動による冷媒循環により熱交換器45−熱交換器53間の熱移動を行う。圧縮機制御部75は、サーミスタ56の検出した負荷側部分32における往き側水の温度が所定の暖房用対比温度に接近するように、圧縮機64を作動及び停止させる。対比温度更新部77は、経過時間測定部76が測定した圧縮機64の連続作動時間が基準時間未満であれば、暖房用対比温度を下降させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、暖房又は冷房システムに装備されるヒートポンプ熱源機に関する。
暖房システムに装備されるヒートポンプ熱源機が知られている(例:特許文献1)。また、所与の設定室温に対して所定の差を付けて冷暖房の開始及び終了の温度を設定する空気調和機が知られている(例:特許文献2)。
特許文献1のヒートポンプ熱源機では、ヒートポンプ部が、圧縮機により冷媒を採熱側及び負荷側の熱交換器間に循環させて、熱交換器間の熱移動を行うとともに、負荷側循環ポンプが負荷側循環通路において負荷側熱媒体を循環させている(特許文献1/図1)。該ヒートポンプ熱源機は、また、負荷側において、熱交換器から出た往き側の熱媒体温度と熱交換器に戻る戻り側の熱媒体温度との差(=往き側の熱媒体温度−戻り側の熱媒体温度)を検出する。そして、差が上限を上回るときは、負荷側循環ポンプの回転速度を上昇させ、差が下限を下回るときは、負荷側循環ポンプの回転速度を下降させる(特許文献1/図3)。
特許文献1のヒートポンプ熱源機は、さらに、負荷側熱媒体について、往き側の熱媒体温度と所定の対比温度との差に基づいてヒートポンプ部の圧縮機の回転速度を制御している(特許文献1/図4)。
また、特許文献2の空気調和機は、冷暖房両用となっており、室温に関する所与の設定温度T0に対して、暖房開始温度T4<冷房終了温度T3<T0<暖房終了温度T1<冷房開始温度T2を設定するとともに、室温tを検出する。そして、tが暖房開始温度T4まで下降すると、暖房開始し、tが冷房終了温度T3まで下降すると、冷房終了し、tが暖房終了温度T1まで上昇すると、暖房終了し、tが冷房開始温度T2まで上昇すると、冷房開始している(特許文献2/図3)。
さらに、特許文献2の空気調和機は、冷房終了温度T1及び暖房終了温度T3とは別に冷房終了温度T6(>T3)及び暖房終了温度T5(<T1)を設定する。そして、暖房から冷房への切替後又は冷房から暖房への切替後の所定時間は、冷房終了温度T6及び暖房終了温度T5が選択されて、室温の急激な変化を抑制する(特許文献2/図3)。
ここで、ヒートポンプ熱源機は、任意の時刻に生じる負荷の変化に対処して、ヒートポンプ部の圧縮機の回転速度を各時点の負荷に応じて制御して、負荷側への熱の供給流量を制御することが望まれる。このため、従来のヒートポンプ熱源機においては、負荷側循環ポンプを、ヒートポンプ部の圧縮機の作動及び停止に関係なく常時作動させて、負荷側循環通路に負荷側熱媒体を循環させるとともに、該負荷側熱媒体の往き側の熱媒体の温度から各時点の負荷を検出するようになっている。
特開2012−233605号公報 特開平6−137637号公報
空調端末の熱負荷(空調端末の設置された室内を所定の温度に保つときに必要となる熱量(顕熱負荷)、及び水分(潜熱負荷)の総量)は、該空調端末が配設されている室内の広さ、室温及び外気温等により変化する。例えば広い部屋に配設された空調端末の熱負荷は、狭い部屋に配設された空調端末の熱負荷より大きくなる。また、暖房時の場合、空調端末の熱負荷は、外気温が低いほど大きくなる。
空調端末の熱負荷が小さければ、ヒートポンプ熱源機から空調端末への熱供給が遅れても、部屋を速やかに所望の温度に速やかに回復することができる。また、ヒートポンプ部の圧縮機を作動及び停止を切替える時の負荷側熱媒体の往き側の熱媒体の温度が、空調端末の熱負荷に関係なく、固定されていると、熱負荷が小さい場合には、熱負荷が大きい場合よりも、圧縮機が頻繁に作動及び停止することになり、圧縮機の節電上、不利となる。
一方、ヒートポンプ熱源機のヒートポンプの効率は、暖房時では、負荷側熱媒体の温度が低いほど、また、冷房時では、負荷側熱媒体の温度が高いほど、すなわち、負荷側熱交換器における冷媒と負荷側熱媒体との温度差が大きい程、高くなって、ヒートポンプ熱源機の消費電力は減少する。
したがって、空調端末の熱負荷が小さい場合には、部屋の空調に支障を与えない程度に、負荷側熱交換器における冷媒と負荷側熱媒体との温度差を増大させて、ヒートポンプ熱源機の節電を図ることが望ましい。
特許文献1のヒートポンプ熱源機では、負荷側熱媒体について往き側温度と戻り側温度との差を検出し、差が小さい場合は、負荷側循環ポンプの回転速度を下降させて、差が増大するようにして、ヒートポンプ熱源機のヒートポンプ効率を増大させている。しかしながら、負荷側熱媒体について往き側温度と戻り側温度との差は、各時点の空調端末の熱出力によって決まるものであり、空調端末の熱負荷とは無関係である。
特許文献2の空気調和機では、実際に冷暖房を開始及び終了する温度を所与の設定温度に対して所定の関係で設定しているものの、冷暖房の開始及び終了温度を、冷暖房の切替後所定時間に限り通常の期間に対して一時的に変更するものであり、この一時変更は、熱負荷の制御とは無関係である。
また、空調端末の熱負荷を検出するために、外気温度センサや各部屋の室温センサを追加装備したり、それらセンサとヒートポンプ熱源機の制御部との間に配線を設けることは、コスト増大の原因になる。
本発明の目的は、センサの追加装備を省略して、空調端末への熱負荷に応じた熱(暖房時の放熱及び冷房時の吸熱の両方を含む)の供給を確保しつつ、節電を達成することができるヒートポンプ熱源機を提供することである。
第1発明のヒートポンプ熱源機は、採熱側熱媒体が循環する採熱側循環通路と、負荷側熱媒体が暖房端末を通って循環する負荷側循環通路と、前記採熱側循環通路に配設された採熱側熱交換器と、前記負荷側循環通路に配設された負荷側熱交換器と、前記採熱側熱交換器と前記負荷側熱交換器との間で冷媒の循環による熱移動を行うヒートポンプ部と、前記ヒートポンプ部に配備され、前記ヒートポンプ部における前記冷媒の循環を制御する圧縮機と、前記負荷側循環通路に配設され、前記負荷側熱媒体を循環させる負荷側循環ポンプと、前記負荷側循環通路に配設され、前記暖房端末へ向かう往き側熱媒体の温度を検出する温度検出器と、所定の暖房用対比温度に対して該暖房用対比温度以上の暖房用作動終了温度と該暖房用対比温度未満の暖房用作動開始温度とを設定し、前記負荷側循環ポンプを作動させつつ、前記温度検出器による検出温度を監視し、前記検出温度が前記暖房用作動終了温度より高くなると、前記圧縮機を作動終了し、前記検出温度が前記暖房用作動開始温度より低くなると、前記圧縮機を作動開始する圧縮機制御部と、前記圧縮機の作動開始時刻からの経過時間を測定する経過時間測定部と、前記経過時間測定部の測定による経過時間が所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止した場合は、前記暖房用対比温度が更新前より低くなるように、前記暖房用対比温度を更新する対比温度更新部とを備えることを特徴とする。
第1発明によれば、経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達する前に、圧縮機が停止した場合は、暖房用対比温度が更新前より低くなるように、暖房用対比温度を更新する。
圧縮機が作動開始してから作動終了するまでの連続作動時間は、ヒートポンプ熱源機が負荷側熱媒体の循環により熱を供給する暖房端末の熱負荷が大きいほど、長くなる。したがって、暖房端末の熱負荷が小さい場合に、暖房用対比温度が低くされることにより、負荷側熱交換器における冷媒と負荷側熱媒体との温度差を大きくして、ヒートポンプ効率を高め、消費電力を低減することができる。
また、冷房端末の熱負荷が小さい場合に、ヒートポンプ効率が上昇するのに伴い、圧縮機の停止時間が増大するとともに、圧縮機の作動及び停止の頻繁な切替が抑制される。このことによっても、圧縮機の節電が図られる。
なお、暖房端末の熱負荷が小さい場合は、ヒートポンプ熱源機から暖房端末への熱供給が遅れても、部屋を所望の温度に速やかに戻すことができる。したがって、負荷側熱媒体の温度を下降させても、暖房端末への熱の供給に支障を生じることを防止することができる。
さらに、圧縮機が作動開始から連続作動を続ける経過時間により熱負荷を検出することにより、暖房端末の熱負荷を検出するためのセンサの追加装備を省略することができる。
第1発明において、前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止したことが連続して起きる場合には、各停止ごとに、前記暖房用対比温度が段階的に低くなるように、前記暖房用対比温度を更新することが好ましい。
この構成によれば、暖房用端末の熱負荷の様々な大きさに対して、適切な暖房用対比温度を設定することができる。
第1発明において、前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達した後も、前記圧縮機が作動を継続している場合は、前記暖房用対比温度が更新前より高くなるように、前記暖房用対比温度を更新することが好ましい。
この構成よれば、負荷側熱媒体による暖房端末への熱供給流量が不足している場合に、負荷側熱媒体の往き側温度を上昇させて、対処することができる。
第2発明のヒートポンプ熱源機は、採熱側熱媒体が循環する採熱側循環通路と、負荷側熱媒体が冷房端末を通って循環する負荷側循環通路と、前記採熱側循環通路に配設された採熱側熱交換器と、前記負荷側循環通路に配設された負荷側熱交換器と、前記採熱側熱交換器と前記負荷側熱交換器との間で冷媒の循環による熱移動を行うヒートポンプ部と、前記ヒートポンプ部に配備され、前記ヒートポンプ部における前記冷媒の循環を制御する圧縮機と、前記負荷側循環通路に配設され、前記負荷側熱媒体を循環させる負荷側循環ポンプと、前記負荷側循環通路に配設され、前記冷房端末へ向かう往き側熱媒体の温度を検出する温度検出器と、所定の冷房用対比温度に対して該冷房用対比温度以上の冷房用作動開始温度と該冷房用対比温度未満の冷房用作動終了温度とを設定し、前記負荷側循環ポンプを作動させつつ、前記温度検出器による検出温度を監視し、前記検出温度が前記冷房用作動終了温度より低くなると、前記圧縮機を作動終了し、前記検出温度が前記冷房用作動開始温度より高くなると、前記圧縮機を作動開始する圧縮機制御部と、前記圧縮機の作動開始時刻からの経過時間を測定する経過時間測定部と、前記経過時間測定部の測定による経過時間が所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止した場合は、前記冷房用対比温度が更新前より高くなるように、前記冷房用対比温度を更新する対比温度更新部とを備えることを特徴とする。
第2発明によれば、経過時間測定部の測定による経過時間が所定の基準時間に達する前に、圧縮機が停止した場合は、冷房用対比温度が更新前より高くなるように、冷房用対比温度を更新する。
圧縮機が作動開始してから作動終了するまでの連続作動時間は、ヒートポンプ熱源機が負荷側熱媒体の循環により熱(吸熱)を供給する冷房端末の熱負荷が大きいほど、長くなる。したがって、冷房端末の熱負荷が小さい場合に、冷房用対比温度が高くされることにより、負荷側熱交換器における冷媒と負荷側熱媒体との温度差を大きくして、ヒートポンプ効率を高め、消費電力を低減することができる。
また、冷房端末の熱負荷が小さい場合に、ヒートポンプ効率が上昇するのに伴い、圧縮機の停止時間が増大するとともに、圧縮機の作動及び停止の頻繁な切替が抑制される。このことによっても、圧縮機の節電が図られる。
なお、冷房端末の熱負荷が小さい場合は、ヒートポンプ熱源機から冷房端末への熱供給(吸熱の供給)が遅れても、部屋を所望の温度に速やかに戻すことができる。したがって、負荷側熱媒体の温度を上昇させても、冷房端末への熱の供給に支障を生じることを防止することができる。
さらに、圧縮機が作動開始から連続作動を続ける経過時間により熱負荷を検出することにより、冷房端末の熱負荷を検出するためのセンサの追加装備を省略することができる。
第2発明において、前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止したことが連続して起きる場合には、各停止ごとに、前記冷房用対比温度が段階的に高くなるように、前記冷房用対比温度を更新することが好ましい。
この構成によれば、冷房用端末の熱負荷の様々な大きさに対して、適切な冷房用対比温度を設定することができる。
第2発明において、前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達した後も、前記圧縮機が作動を継続している場合は、前記冷房用対比温度が更新前より低くなるように、前記冷房用対比温度を更新することが好ましい。
この構成よれば、負荷側熱媒体による冷房端末への熱(吸熱)供給流量が不足している場合に、負荷側熱媒体の往き側温度を下降させて、対処することができる。
第1及び第2発明において、ユーザの選択操作に応じて通常モードと該通常モードよりも節電運転となる節電モードとを切替えるモード切替部を備え、前記対比温度更新部は、前記通常モードにおいては暖房用又は冷房用対比温度をユーザ指定温度に固定し、前記節電モードにおいては、前記ユーザ指定温度を前記暖房用又は冷房用対比温度の初期値に設定するとともに、前記暖房用又は冷房用対比温度を前記圧縮機の作動開始時刻からの連続作動時間に基づいて更新することが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、暖房用又は冷房用対比温度をユーザ指定温度に固定して、負荷が大きいときの圧縮機の十分な作動を保証できる通常モードと、暖房用又は冷房用対比温度を熱負荷に応じて更新して、節電を図る節電モードを選択することができる。
ヒートポンプ式冷暖房システム全体の構成図。 ヒートポンプ熱源機の詳細図。 圧縮機の回転速度を制御するルーチンのフローチャート。 対比温度更新ルーチンの第1部分のフローチャート。 対比温度更新ルーチンの第2部分のフローチャート。
図1を参照して、ヒートポンプ式冷暖房システム1の一例を概略的に説明する。図1は、ヒートポンプ式冷暖房システム1が一般家庭に使用される例を示している。
ヒートポンプ式冷暖房システム1は、室外に配備されるヒートポンプ熱源機2と、各部屋5(部屋5a,5bを区別しない場合は、「部屋5」という)に配備されたファンコイルユニット6及び床暖房パネル8とを備える。ファンコイルユニット6は、暖房端末及び冷房端末の両用であり、床暖房パネル8は暖房端末専用となっている。
ヒートポンプ熱源機2は、ヒートポンプリモコン3からのユーザ操作により操作される。ファンコイルユニット6は、ワイヤレス式の専用リモコン7からのユーザ操作により操作される。各床暖房パネル8は、各部屋5の壁に取付けられている床暖房コントローラ9からのユーザ操作により操作される。
往き管路15は、ヒートポンプ熱源機2とヘッダ11とを接続し、ヒートポンプ熱源機2からヘッダ11へ水を負荷側の往き側熱媒体として導く。戻り管路16は、ヒートポンプ熱源機2とヘッダ12と接続し、ヘッダ12からヒートポンプ熱源機2へ水を負荷側の戻り側熱媒体として導く。
ヘッダ11は、往き管路15に共通に接続されている複数の分岐口を備える。各分岐口は、各部屋5のファンコイルユニット6又は床暖房パネル8の端末の熱媒体流入口に個々に接続されている。熱動弁19は、ヘッダ11の各分岐口に配備され、各分岐口の開閉を制御する。
ヘッダ12は、戻り管路16に共通に接続されている複数の分岐口を備える。各分岐口は各部屋5のファンコイルユニット6又は床暖房パネル8の端末の熱媒体流出口に個々に接続されている。ヘッダ12において、各部屋5の床暖房パネル8に接続されている分岐口には、サーミスタ20が配備され、各床暖房パネル8から戻る水の温度を検出する。ファンコイルユニット6に対応するサーミスタは、ヘッダ12ではなく、ファンコイルユニット6の本体内部に配備される。
ファンコイルユニット6の本体内のコントローラ(図示せず)は、本体内のサーミスタが検出する室温が、ユーザが専用リモコン7を介して指定したユーザ指定温度になるように、本体内の送風機の回転速度とヘッダ11の熱動弁19の開閉とを制御する。床暖房パネル8の床暖房コントローラ9は、サーミスタ20が検出する温度が、ユーザが床暖房コントローラ9において指定したユーザ指定温度になるように、ヘッダ11の熱動弁19の開閉を制御する。
なお、専用リモコン7又は床暖房コントローラ9におけるユーザ操作によるユーザ指定温度と、ヒートポンプリモコン3におけるユーザ操作によるユーザ指定温度は、別のものである。
対応する熱動弁19が開状態になっているファンコイルユニット6又は床暖房パネル8では、ヒートポンプ熱源機2からの水は、ヒートポンプ熱源機2、往き管路15、ヘッダ11、ファンコイルユニット6又は床暖房パネル8、ヘッダ12、及び戻り管路16を順番に循環する。
ドレン管21は、冷房又はドライ運転時にファンコイルユニット6内の熱交換器に生じた結露水を屋外へ排出する。ドレン管26は、ヒートポンプ熱源機2内の水タンク43,54(図2)に生じた結露水を屋外へ排出する。
地中熱交換器24は、例えば2つの上端がヒートポンプ熱源機2に接続され、下端が地中の十分な深さに到達するまで下降するUチューブ方式となっている。なお、ヒートポンプ熱源機2の採熱源としては、Uチューブ方式により地下深くの土の地中熱を利用する以外に、地下所定深さの地下水の熱や、地上の大気熱を利用することもできる。ストレーナ25は、ヒートポンプ熱源機2と地中熱交換器24とを接続する管路に配設され、管路内を循環する採熱側熱媒体としての水に含まれる異物を除去する。
図2はヒートポンプ熱源機2の詳細図である。ヒートポンプ熱源機2は、ヒートポンプ部30、採熱側部分31及び負荷側部分32を備える。図2において、c1−c1線及びc2−c2線は、ヒートポンプ部30、採熱側部分31及び負荷側部分32を区分けする説明の便宜上、引いたものである。c1−c1線は、ヒートポンプ熱源機2内をヒートポンプ部30と採熱側部分31とに区分けし、c2−c2線は、ヒートポンプ熱源機2内をヒートポンプ部30と負荷側部分32とに区分けしている。
ヒートポンプ熱源機2では、採熱側部分31及び負荷側部分32の熱媒体として水が使用される。熱媒体としての水は、冬季の凍結防止のために、凍結防止剤入りとなっている。
採熱側部分31では、循環通路部分35は、両端の戻り側接続口38及び往き側接続口39を介して地中熱交換器24に接続されている。循環通路部分35と地中熱交換器24とは、採熱側循環水の循環通路を構成する。連通管46は、戻り側接続口38及び往き側接続口39を連通し、地中熱交換器24側の流れが悪化した場合にも、循環通路部分35における水の循環を確保する。
循環通路部分35には、戻り側接続口38からの循環水の流れ順に、水タンク43、採熱側循環ポンプ44及び熱交換器45が配設される。サーミスタ40は、循環通路部分35において戻り側接続口38及び連通管46からの循環水の合流部付近に配備され、戻り側循環水の温度を検出する。水タンク43は、地中熱交換器24からの戻り側循環水を所定量貯留する。排水管47は、水タンク43内の水が溢れるまで膨張した場合に、溢れる水を水タンク43の頂部から外へ排出する。
採熱側循環ポンプ44は、循環水を水タンク43から吸入し、熱交換器45の方へ圧送する。F1は、熱交換器45内における循環水の流れ方向を示す。循環通路部分35における循環水とヒートポンプ部30の冷媒とは、熱交換器45において熱交換を行う。
負荷側部分32では、循環通路部分50は、両端の戻り側接続口51及び往き側接続口52を介してそれぞれ戻り管路16及び往き管路15に接続されている。連通管57は、戻り側接続口51及び往き側接続口52を連通し、往き管路15への循環水の送出流量が低下した場合にも、循環通路部分50における循環水の循環を確保する。
循環通路部分50には、戻り側接続口51からの循環水の流れ順に、熱交換器53、水タンク54及び負荷側循環ポンプ55が配設される。サーミスタ56は、負荷側循環ポンプ55からの循環水が連通管57に分流する前の循環通路部分50の部位に配備され、該部位における循環水の温度を往き側熱媒体の温度として検出する。
熱交換器53において、F2は、熱交換器53における循環水の流れ方向を示している。循環通路部分50の循環水とヒートポンプ部30の冷媒とは、熱交換器53において熱交換を行う。
水タンク54は、熱交換器53から出てくる循環水を所定量貯留する。排水管58は、水タンク54内の水が溢れるまで膨張した場合に、溢れる水を水タンク54の頂部から外へ排出する。負荷側循環ポンプ55は、水タンク54から循環水を吸入して、往き側接続口52の方へ吐出する。
ヒートポンプ部30は、熱交換器45,53、切替側通路61、膨張側通路62、四方弁63、圧縮機64及び膨張弁65を備える。熱交換器45,53、切替側通路61及び膨張側通路62は、ヒートポンプ部30における冷媒の循環通路を構成する。
四方弁63は、切替側通路61に配設され、圧縮機64の吸入側及び吐出側と熱交換器45,53との接続を切替える。圧縮機64の吸入側及び吐出側は、四方弁63における切替により、暖房時では、それぞれ熱交換器45,53に接続され、冷房時では、それぞれ熱交換器53,45に接続される。膨張弁65は、膨張側通路62に配設され、上流側の冷媒を断熱膨張させて下流側に出す。
熱交換器45,53において、Fw(実線)は、暖房時の冷媒の流れ方向を示し、Fc(破線)は、冷房時の冷媒の流れ方向を示している。熱交換器45,53は、暖房時では、それぞれ蒸発器及び凝縮器として機能し、冷房時では、それぞれ凝縮器及び蒸発器として機能する。
制御基板70は、ヒートポンプリモコン3からの指示信号やサーミスタ40,56の検出信号に基づいて、採熱側循環ポンプ44及び負荷側循環ポンプ55の駆動や四方弁63の切替位置を制御する。
制御基板70は、圧縮機制御部75、経過時間測定部76及び対比温度更新部77を備えている。圧縮機制御部75、経過時間測定部76及び対比温度更新部77は、制御基板70が装備するマイクロプロセッサ(図示せず)が所定のプログラムを実行することにより実現する機能部である。圧縮機制御部75は、インバータ基板71のインバータを介して圧縮機64の作動、停止、及び回転速度を制御する。
図3を参照して、圧縮機64の回転速度を制御するルーチンについて説明する。圧縮機回転速度制御ルーチンは、制御基板70のマイクロプロセッサにおいてプログラムとして実行されるものである。圧縮機回転速度制御ルーチンは、例えば、メインルーチンに対して一定時間間隔ごとに割り込んで実行される割込みルーチンとなっている。
なお、通常モード及びエコモードについては後述するが、図3の圧縮機回転速度制御ルーチンは、ユーザが通常モードを選択している場合を想定している。ユーザがエコモードを選択している場合の圧縮機回転速度制御ルーチンは、図3における「ユーザ指定温度」が「対比温度」に代わるだけである。なお、対比温度には、暖房用対比温度と、冷房用対比温度との2種類がある。
STEP1の説明の前に、ヒートポンプ熱源機2の基本的作用について説明する。地中熱交換器24(図1)が埋設されている地中は、年間を通じてほぼ同一温度に維持され、冬季では熱供給源となり、夏季では熱吸収源となる。ヒートポンプ熱源機2は、冷暖房両用であり、暖房時と冷房時とでは、ヒートポンプ部30における冷媒の流れが逆になって、採熱側部分31−負荷側部分32間で熱移動の方向が逆になる。
ユーザは、暖房時及び冷房時共に、ヒートポンプリモコン3を介して負荷側部分32の往き側水のユーザ指定温度を指定する。
STEP1において、圧縮機制御部75は、ヒートポンプ熱源機2が暖房運転及び冷房運転のどちらの運転状態になっているかを調べる。圧縮機制御部75は、ヒートポンプ熱源機2が暖房運転になっている場合は、処理をSTEP2へ進め、冷房運転になっている場合は、処理をSTEP12へ進める。
STEP2とSTEP12とは、それぞれ暖房運転時及び冷房運転時の実行処理となっているが、判断内容は同一であり、判断結果に対する処理の進め先が異なっているだけである。
圧縮機制御部75は、STEP2及びSTEP12において共に、サーミスタ56の検出温度とユーザ指定温度とを対比する。圧縮機制御部75は、サーミスタ56の検出温度<ユーザ指定温度、サーミスタ56の検出温度=ユーザ指定温度、サーミスタ56の検出温度>ユーザ指定温度とそれぞれ判断した場合、処理の進み先を、STEP2ではそれぞれSTEP3、終了及びSTEP13とし、STEP12ではそれぞれSTEP13、終了及びSTEP3とする。
すなわち、サーミスタ56の検出温度<ユーザ指定温度は、ヒートポンプ熱源機2の出力が負荷の熱需要量に対して、暖房時では、不足していることを意味し、冷房時では、余剰になっていることを意味する。
なお、負荷と熱負荷とを区別している。ヒートポンプ熱源機2の負荷とは、各時点で単一又は複数の空調端末が単位時間当たりに消費している熱量である。空調端末の熱負荷とは、前述したように、空調端末の設置された室内を所定の温度を保つとき必要とする熱量であり、部屋の広さや外気温等に関係する(部屋内から部屋外へ逃げる熱量も考慮した部屋の熱容量にほぼ等しい。)。
また、サーミスタ56の検出温度>ユーザ指定温度は、ヒートポンプ熱源機2の出力が負荷の熱需要量に対して、暖房時では、余剰になっていることを意味し、冷房時では、不足していることを意味する。サーミスタ56の検出温度=ユーザ指定温度は、ヒートポンプ熱源機2の出力と負荷とがほぼ均衡していることを意味する。
ヒートポンプ熱源機2の出力が負荷の熱需要量に対して不足している場合は、圧縮機64の回転速度を上昇させて、ヒートポンプ熱源機2の出力を増大させるために、圧縮機制御部75は、STEP3〜STEP5を実行する。
これに対し、ヒートポンプ熱源機2の出力が負荷の熱需要量に対して余剰になっている場合は、圧縮機64の回転速度を下降させて、ヒートポンプ熱源機2の出力を減少させるために、圧縮機制御部75は、STEP13〜STEP15を実行する。また、ヒートポンプ熱源機2の出力と負荷とが均衡している場合は、圧縮機64の回転速度を変更することなく、圧縮機回転速度制御ルーチンを終了する。
圧縮機制御部75は、STEP3において、圧縮機64の回転速度を所定量Δだけ上昇させる。圧縮機制御部75は、STEP13において、圧縮機64の回転速度を所定量Δだけ下降させる。
STEP4,5は、圧縮機64の回転速度を上限回転速度以下にする処理である。STEP14,15は、圧縮機64の回転速度を下限回転速度以上にする処理である。
圧縮機制御部75は、STEP4において、STEP3で更新後の圧縮機64の回転速度が上限回転速度より高いか否かを判断し、上限回転速度以下であれば、圧縮機回転速度制御ルーチンを終了し、上限回転速度より高ければ、STEP5において圧縮機64の回転速度を上限回転速度に設定する。
圧縮機制御部75は、STEP14において、STEP13で更新後の圧縮機64の回転速度が下限回転速度より低いか否かを判断し、下限回転速度以上であれば、圧縮機回転速度制御ルーチンを終了し、下限回転速度より低ければ、STEP15において圧縮機64の回転速度を下限回転速度に設定する。
圧縮機制御部75は、次の条件のいずれか1つが成立した時、圧縮機64を直ちに停止する。
(a1)圧縮機64が、下限回転速度(例:1800rpm)で所定時間(例:10分)、連続作動した時。
(a2)暖房時では、圧縮機64が下限回転速度で作動中に、サーミスタ56の検出温度>ユーザ指定温度+5℃となった時。
(a3)冷房時では、圧縮機64が下限回転速度で作動中に、サーミスタ56の検出温度<ユーザ指定温度−5℃となった時。
圧縮機制御部75は、圧縮機64の停止期間に、次の条件のいずれか1つが成立した時、圧縮機64の作動(回転)を直ちに再開させる。
(b1)暖房時では、サーミスタ56の検出温度<ユーザ指定温度−5℃となった時。
(b2)冷房時では、サーミスタ56の検出温度>ユーザ指定温度+5℃となった時。
次に、図4及び図5を参照して、対比温度更新ルーチンについて説明する。対比温度更新ルーチンは、図3の圧縮機回転速度制御ルーチンをエコモード時に実行する際に使用する対比温度を更新するルーチンである。圧縮機制御部75は、図3の圧縮機回転速度制御ルーチンにおいて、通常モード時では、ユーザ指定温度を使用するが、エコモード時では、ユーザ指定温度に代えて対比温度を使用する。
対比温度更新ルーチンは、図3の圧縮機回転速度制御ルーチンをエコモード時に実行する際に使用する対比温度を更新するルーチンである。なお、図4及び図5の対比温度更新ルーチンでは、対比温度のことを具体的には、「ECO(エコ)対比温度」と呼んでいる。対比温度更新ルーチンは、制御基板70のマイクロプロセッサにおいてプログラムとして実行されるものであるとともに、メインルーチンの一部を構成する。
メインルーチンは、ヒートポンプ熱源機2が電源プラグを介して商用電源に接続されている期間は、すなわち電源がオンの期間は、ヒートポンプリモコン3における運転スイッチのオン(ON)、オフ(OFF)に関係なく、サイクリックに実行されるものである。したがって、対比温度更新ルーチンは、メインルーチンの繰り返しの実行に伴い、間欠的にかつ遅滞なく繰り返し実行される。
対比温度更新ルーチンにおいて、ECO対比温度の初期値は、ユーザ指定温度に設定されている。
STEP21において、対比温度更新部77は、ヒートポンプ熱源機2の運転スイッチがオン(ON)かオフ(OFF)かを調べる。ヒートポンプ熱源機2の運転スイッチのオン、オフと、ヒートポンプ熱源機2の電源のオン、オフとは異なる。ヒートポンプ熱源機2の運転スイッチは、ヒートポンプリモコン3に配備され、ユーザが、ヒートポンプ熱源機2を使用する場合にオンにされ、使用しない場合は、オフにされる。
したがって、ヒートポンプ熱源機2が、商用電源に接続されて、商用電源から電力を供給されていても、運転スイッチはオフとなっていることがある。運転スイッチはオフとなっている期間も、ヒートポンプ熱源機2は商用電源からの電力の供給を確保され、制御基板70上の一部の素子が作動状態になっているとともに、メインルーチンの一部は実施されている。
対比温度更新部77は、STEP21において、運転スイッチがオンであると判断すると、処理をSTEP22へ進ませ、オフであると判断すると、処理をメインルーチンに戻す。厳密には、メインルーチンにおいて対比温度更新ルーチンの実行後に設定されている次のSTEPに進む。
ヒートポンプ熱源機2における運転スイッチのオンは、エラーフラグのリセット(オフにすること)を兼ねている。制御基板70は、図4及び図5の対比温度更新ルーチンとは別に、ヒートポンプ熱源機2の所定の素子が正常に作動している否かを判断するエラー判定ルーチンを並列的に実行する。対比温度更新部77が含まれている制御基板70は、エラー判定ルーチンによりエラー(異常)が見つかった場合には、ヒートポンプ熱源機2の運転を強制的に停止するとともに、エラーに対応するエラーフラグをセット(オンにすること)する。ユーザがヒートポンプリモコン3から運転スイッチのオンを指示すると、所定のエラーフラグはリセットされて、ヒートポンプ熱源機2の運転再開が可能になる。
STEP22において、対比温度更新部77は、ヒートポンプ熱源機2の運転モードを調べる。対比温度更新部77は、ヒートポンプ熱源機2がエコモードであると判断すると、処理をSTEP23へ進める。対比温度更新部77は、また、ヒートポンプ熱源機2が通常モードであると判断すると、処理をSTEP24へ進める。
ヒートポンプ熱源機2の運転については、通常モードとエコモード(節電モード)とが設定される。通常モードとエコモードとの選択操作は、ヒートポンプリモコン3の図示しないモード切替部におけるユーザ操作により行われる。通常モードとは、ヒートポンプ熱源機2の能力を制限しない運転モードである。
これに対し、エコモードとは、ヒートポンプ熱源機2の一部の能力を制限又は低下させて、節電運転を図る運転モードである。制限又は低下させる一部の能力とは、例えば、空調端末の熱需要量の変動に対するヒートポンプ熱源機2の熱供給流量の増減の応答性を低下させることである。
STEP23において、対比温度更新部77は、ヒートポンプリモコン3のユーザ指定温度がユーザにより変更されてからの経過時間が5分以上か5分未満かを判断する。対比温度更新部77は、経過時間が5分以上であると判断した場合は、処理をSTEP28へ進め、経過時間が5分未満であると判断した場合は、処理をSTEP24へ進める。
STEP23の意義は、ユーザは5分以内に指定温度を再変更することがあり、ユーザの指定温度が決まったことを見極めてから、対比温度の更新処理を行うことにして、対比温度の無用な更新処理を回避するためである。
STEP24において、対比温度更新部77は、ヒートポンプリモコン3におけるユーザ指定温度を読み込む。対比温度更新部77は、STEP24の後、処理をメインルーチンに戻す。
STEP28において、対比温度更新部77は、停止フラグがオン(ON)かオフ(OFF)かを調べる。停止フラグは、圧縮機64の最後(=最新)の作動状態チェックにおける作動状態を記憶しておくものであり、対比温度更新ルーチンの前回の実行時の作動状態チェック(STEP29,43,48)における圧縮機64の作動状態が停止中であれば、オンとなっており、作動中であれば、オフになっている。対比温度更新部77は、停止フラグがオンになっていれば、処理をSTEP29へ進め、オフになっていれば、STEP29,30をスキップして、処理をSTEP41へ進める。
STEP29において、対比温度更新部77は、圧縮機64の作動状態が作動中か停止中かを調べ、停止中と判断すれば、処理をメインルーチンに戻す。対比温度更新部77は、圧縮機64の作動状態が作動中と判断すれば、処理をSTEP30へ進める。
STEP29の実行時に、圧縮機64の作動状態が作動中であるということは、圧縮機64の運転が再開されたことを意味する。このため、対比温度更新部77は、STEP30において、停止フラグをオフにする。停止フラグのオンは、圧縮機64の作動状態についての最新の判断が停止中であったことを意味し、停止フラグのオフは、圧縮機64の作動状態についての最新の判断が作動中であったことを意味する。
図5のSTEP41において、対比温度更新部77は、経過時間測定部76からの入力に基づいて、圧縮機64の連続作動時間が10分以上であるか未満であるかを調べる。経過時間測定部76は、圧縮機64が、作動開始時刻から停止することなく作動を継続している経過時間としての連続作動時間を測定している。経過時間測定部76は、圧縮機64が作動終了すると、リセットされ、次の作動開始時刻から経過時間を再び測定する。経過時間測定部76による圧縮機64の最新の連続作動時間は、所定のメモリに記憶される。
対比温度更新部77は、圧縮機64の連続作動時間が10分以上に達していれば、処理をSTEP42へ進め、10分に達していなければ、処理をSTEP48へ進める。
圧縮機64の連続作動時間は、ヒートポンプ熱源機2の熱負荷におおよそ比例する。空調端末(暖房端末及び冷房端末)の熱負荷は、該空調端末が配設されている部屋の広さ、室温及び外気温等により変化する。すなわち、広い部屋に配設された空調端末の熱負荷は、狭い部屋に配設された空調端末の熱負荷より大きく、また、暖房時の場合、空調端末の熱負荷は、外気温が低いほど大きくなる。
なお、熱負荷を、空調端末が空調を行う容積空間の各時点の熱容量と見ることもできる。該熱容量は、容積空間自体とは別に外気温等の外部要因の影響を受ける。
空調端末の熱負荷が小さい場合は、負荷側熱媒体によるヒートポンプ熱源機2から空調端末への熱(暖房時の放熱又は冷房時の吸熱)の供給流量が少なくても、部屋5の温度を維持することができる。
STEP42において、対比温度更新部77は、ECO対比温度を変更してからの経過時間が5分以上であるか5分未満であるかを判断する。対比温度更新部77は、5分以上と判断した場合は、処理をSTEP43へ進め、5分未満と判断した場合は、処理をメインルーチンに戻す。
STEP42の意義は、ECO対比温度を変更してからその変更が負荷側部分32の循環水の温度の変化として現われるのに、時間がかかり、所定時間としての5分が経過するまでは、再度のECO対比温度のさらなる変更を中止して、無用な再変更を防止しようとするものである。
この結果、STEP42と後述のSTEP49とが交互に無用に実行されることが防止される。また、STEP42が連続して実行される場合には、STEP42の連続実行間隔は5分以上となる。
STEP43において、対比温度更新部77は、圧縮機64の作動状態が作動中か停止中かを調べる。そして、作動中であれば、処理をSTEP44へ進ませ、停止中であれば、処理をSTEP50へ進める。
STEP44において、対比温度更新部77は、ECO対比温度を、暖房時では更新前より1℃上昇させ、冷房時では更新前より1℃下降させる。これにより、ECO対比温度はユーザ指定温度に近づき、ユーザ指定温度とサーミスタ56による検出温度(負荷側熱媒体の往き側温度)との温度差が減少する。したがって、ヒートポンプ熱源機2から空調端末への負荷側熱媒体による熱の供給流量(暖房時の放熱の供給流量又は冷房時の吸熱の供給流量)は増大する。
なお、STEP44によりECO対比温度を更新した時から、5分以上が経過しても、なお、圧縮機64の連続作動が終わっていなければ(STEP41,42が共にYES)、対比温度更新部77は、STEP44を再実行することになる。STEP42と後述のSTEP49とが交互に実行されることなく、STEP42の実行が連続する場合には、すなわち、圧縮機64の作動継続時間が5分ずつ増大するごとに、ECO対比温度は、暖房時では所定量としての1℃ずつ段階的に上昇する。また、冷房時では所定量としての1℃ずつ段階的に下降する。
STEP44におけるECO対比温度の暖房時の上昇及び冷房時の下降については、それぞれ暖房用上限対比温度及び冷房用下限対比温度が設定される。暖房用上限対比温度と冷房用下限対比温度とは、共にユーザ指定温度に設定される。STEP44におけるECO対比温度の暖房時の上昇の更新は、暖房用上限対比温度以下であることを条件に、行われる。また、ECO対比温度の冷房時の下降の更新は、冷房用下限対比温度以上であることを条件に、行われる。
STEP48において、対比温度更新部77は、圧縮機64の作動状態が作動中か停止中かを調べる。そして、作動中であれば、処理をメインルーチンに戻し、停止中であれば、処理をSTEP49に進める。
STEP49において、対比温度更新部77は、ECO対比温度を、暖房時では更新前より1℃下降させ、冷房時では更新前より1℃上昇させる。これにより、熱交換器53における冷媒と負荷側熱媒体との温度差が増大し、ヒートポンプの効率が上昇する。この結果、圧縮機64の節電を介してヒートポンプ熱源機2の節電が行われる。また、ヒートポンプの効率上昇に伴い、圧縮機64の作動及び停止の繰り返し頻度が低下し、この点からも、ヒートポンプ熱源機2の節電が図られる。
一方、空調端末の熱負荷が小さい場合は、ヒートポンプ熱源機2から空調端末への負荷側熱媒体による熱の供給流量が少なくても、すなわち、暖房時では負荷側熱媒体の温度が多少、低くても、また、冷房時では負荷側熱媒体の温度が多少、高くても、部屋5をユーザ指定温度に維持することができる。したがって、ECO対比温度の更新に因る支障は抑制することができる。
STEP49におけるECO対比温度の暖房時の下降及び冷房時の上昇については、それぞれ暖房用下限対比温度及び冷房用上限対比温度が設定される。冷房用上限対比温度は、ユーザ指定温度に関係なく、一律に20℃とされる。
暖房用下限対比温度は、例えば、暖房用下限対比温度=(ユーザ指定温度−15)×3/4+15(単位℃)とされる。この式によれば、暖房用下限対比温度は、ユーザ指定温度=60℃の場合、48℃となり、ユーザ指定温度=38℃の場合、32℃となり、ユーザ指定温度=15℃の場合、15℃となる。
STEP49によりECO対比温度を更新したにもかかわらず、圧縮機64の次の作動再開時においても、圧縮機64の連続作動が10分未満で終了した場合には、STEP49が再実行される。このように、STEP42とSTEP49とが交互に実行されることなく、STEP49の実行が連続する場合には、すなわち、経過時間測定部76の測定による経過時間が10分に達する前に、圧縮機64が停止したことが連続して起きる場合には、各停止ごとに、ECO対比温度が1℃ずつ段階的に下降又は上昇する。
暖房時のSTEP49の連続実行におけるECO対比温度の段階的な下降更新は、暖房用下限対比温度以上であることを条件に、行われる。また、冷房時のSTEP49の連続実行におけるECO対比温度の段階的な上昇更新は、冷房用上限対比温度以下であることを条件に、行われる。
STEP50において、対比温度更新部77は、停止フラグをオンにする。
図4及び図5の対比温度更新ルーチンは、圧縮機64の連続作動時間により熱負荷を検出することにより、熱負荷を検出するためのセンサの追加装備を省略することができる。
本発明を実施形態について説明した。循環通路部分35は、採熱側熱媒体としての水が循環する採熱側循環通路の部分の一例である。循環通路部分50は、負荷側熱媒体が暖房端末又は冷房端末を通って循環する負荷側循環通路の一例である。熱交換器45は採熱側熱交換器の一例である。
熱交換器53は負荷側熱交換器の一例である。サーミスタ56は、負荷側循環通路に配設されて、暖房端末又は冷房端末へ向かう往き側熱媒体の温度を検出する温度検出器の一例である。
圧縮機制御部75は、負荷側循環ポンプを作動させつつ、温度検出器による検出温度を監視する圧縮機制御部の一例である。
図5における暖房時のECO対比温度は、所定の暖房用対比温度の一例である。図5における冷房時のECO対比温度は、所定の冷房用対比温度の一例である。
実施形態のファンコイルユニット6は冷房及び暖房両用の空調端末の一例である。実施形態の床暖房パネル8は暖房端末専用機の一例である。本発明は、冷房端末専用機にも適用可能である。
前述の条件(a2)における「ユーザ指定温度(エコモード時ではECO対比温度)+5℃」は、暖房用対比温度以上の暖房用作動終了温度の一例である。前述の条件(a3)における「ユーザ指定温度(エコモード時ではECO対比温度)−5℃」は、冷房用対比温度未満の冷房用作動終了温度の一例である。
前述の条件(b1)における「ユーザ指定温度(エコモード時ではECO対比温度)−5℃」は、暖房用対比温度未満の暖房用作動開始温度の一例である。前述の条件(b2)における「ユーザ指定温度(エコモード時ではECO対比温度)+5℃」は、冷房用対比温度以上の冷房用作動開始温度の一例である。
図5のSTEP41の「10分」は、本発明の所定の基準時間の一例である。本発明の所定の基準時間は、「10分」とは別の時間に設定してもよい。
図5のSTEP44におけるECO対比温度の1℃ずつの上昇又は下降は、圧縮機の連続作動時間が基準時間以上になることが連続的に起きる場合の暖房用対比温度又は冷房用対比温度の段階的な更新の一例である。これらの段階的な更新は、1℃以外の値にすることもできる。
図5のSTEP49におけるECO対比温度の1℃ずつの下降又は上昇は、圧縮機の連続作動時間が基準時間に達しないことが連続的に起きる場合の暖房用対比温度又は冷房用対比温度の段階的な更新の一例である。これらの段階的な更新は、1℃以外の値にすることもできる。
本発明の節電モード時の対比温度としてのECO対比温度の初期値は、実施形態では、ユーザ指定温度に設定されているが、これに限定されない。また、実施形態では、本発明の通常モード時の対比温度は、ユーザ指定温度に固定されているが、ユーザ指定温度以外の所定温度に固定することもできる。
2・・・ヒートポンプ熱源機、6・・・ファンコイルユニット(暖房機又は冷房機)、8・・・床暖房パネル(暖房端末)、35・・・循環通路部分(採熱側循環通路)、45・・・熱交換器(採熱側熱交換器)、50・・・循環通路部分(負荷側循環通路)、53・・・熱交換器(負荷側熱交換器)、56・・・サーミスタ(温度検出器)、64・・・圧縮機、75・・・圧縮機制御部、76・・・経過時間測定部、77・・・対比温度更新部。

Claims (7)

  1. 採熱側熱媒体が循環する採熱側循環通路と、
    負荷側熱媒体が暖房端末を通って循環する負荷側循環通路と、
    前記採熱側循環通路に配設された採熱側熱交換器と、
    前記負荷側循環通路に配設された負荷側熱交換器と、
    前記採熱側熱交換器と前記負荷側熱交換器との間で冷媒の循環による熱移動を行うヒートポンプ部と、
    前記ヒートポンプ部に配備され、前記ヒートポンプ部における前記冷媒の循環を制御する圧縮機と、
    前記負荷側循環通路に配設され、前記負荷側熱媒体を循環させる負荷側循環ポンプと、
    前記負荷側循環通路に配設され、前記暖房端末へ向かう往き側熱媒体の温度を検出する温度検出器と、
    所定の暖房用対比温度に対して該暖房用対比温度以上の暖房用作動終了温度と該暖房用対比温度未満の暖房用作動開始温度とを設定し、前記負荷側循環ポンプを作動させつつ、前記温度検出器による検出温度を監視し、前記検出温度が前記暖房用作動終了温度より高くなると、前記圧縮機を作動終了し、前記検出温度が前記暖房用作動開始温度より低くなると、前記圧縮機を作動開始する圧縮機制御部と、
    前記圧縮機の作動開始時刻からの経過時間を測定する経過時間測定部と、
    前記経過時間測定部の測定による経過時間が所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止した場合は、前記暖房用対比温度が更新前より低くなるように、前記暖房用対比温度を更新する対比温度更新部とを備えることを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  2. 請求項1記載のヒートポンプ熱源機において、
    前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止したことが連続して起きる場合には、各停止ごとに、前記暖房用対比温度が段階的に低くなるように、前記暖房用対比温度を更新することを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  3. 請求項2記載のヒートポンプ熱源機において、
    前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達した後も、前記圧縮機が作動を継続している場合は、前記暖房用対比温度が更新前より高くなるように、前記暖房用対比温度を更新することを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  4. 採熱側熱媒体が循環する採熱側循環通路と、
    負荷側熱媒体が冷房端末を通って循環する負荷側循環通路と、
    前記採熱側循環通路に配設された採熱側熱交換器と、
    前記負荷側循環通路に配設された負荷側熱交換器と、
    前記採熱側熱交換器と前記負荷側熱交換器との間で冷媒の循環による熱移動を行うヒートポンプ部と、
    前記ヒートポンプ部に配備され、前記ヒートポンプ部における前記冷媒の循環を制御する圧縮機と、
    前記負荷側循環通路に配設され、前記負荷側熱媒体を循環させる負荷側循環ポンプと、
    前記負荷側循環通路に配設され、前記冷房端末へ向かう往き側熱媒体の温度を検出する温度検出器と、
    所定の冷房用対比温度に対して該冷房用対比温度以上の冷房用作動開始温度と該冷房用対比温度未満の冷房用作動終了温度とを設定し、前記負荷側循環ポンプを作動させつつ、前記温度検出器による検出温度を監視し、前記検出温度が前記冷房用作動終了温度より低くなると、前記圧縮機を作動終了し、前記検出温度が前記冷房用作動開始温度より高くなると、前記圧縮機を作動開始する圧縮機制御部と、
    前記圧縮機の作動開始時刻からの経過時間を測定する経過時間測定部と、
    前記経過時間測定部の測定による経過時間が所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止した場合は、前記冷房用対比温度が更新前より高くなるように、前記冷房用対比温度を更新する対比温度更新部とを備えることを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  5. 請求項4記載のヒートポンプ熱源機において、
    前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達する前に、前記圧縮機が停止したことが連続して起きるごとに、前記冷房用対比温度が段階的に高くなるように、前記冷房用対比温度を更新することを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  6. 請求項5記載のヒートポンプ熱源機において、
    前記対比温度更新部は、前記経過時間測定部の測定による経過時間が前記所定の基準時間に達した後も、前記圧縮機が作動を継続している場合は、前記冷房用対比温度が更新前より低くなるように、前記冷房用対比温度を更新することを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートポンプ熱源機において、
    ユーザの選択操作に応じて通常モードと該通常モードよりも節電運転となる節電モードとを切替えるモード切替部を備え、
    前記対比温度更新部は、
    前記通常モードにおいては暖房用又は冷房用対比温度をユーザ指定温度に固定し、
    前記節電モードにおいては、前記ユーザ指定温度を前記暖房用又は冷房用対比温度の初期値に設定するとともに、前記暖房用又は冷房用対比温度を前記圧縮機の作動開始時刻からの連続作動時間に基づいて更新することを特徴とするヒートポンプ熱源機。
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