JP2015017162A - 塩素化ポリエチレン組成物、電線、ケーブル及び塩素化ポリエチレン組成物の製造方法 - Google Patents

塩素化ポリエチレン組成物、電線、ケーブル及び塩素化ポリエチレン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シラングラフト工程の押出時においてダイスかすの発生を抑制するとともに、シラングラフト塩素化ポリエチレンの水切れ性を向上させた塩素化ポリエチレン組成物及び当該組成物の製造方法、並びに当該組成物を被覆材に用いた電線及びケーブルを提供する。
【解決手段】塩素化ポリエチレン組成物は、塩素化ポリエチレンに当該塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部量の滑剤存在下でシランカップリング剤をグラフトさせたシラングラフト塩素化ポリエチレンを含み、滑剤は、分子量が1000〜5900の範囲であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩素化ポリエチレン組成物、電線、ケーブル及び塩素化ポリエチレン組成物の製造方法に関する。
塩素化ポリエチレンは、ポリエチレンを原料として水性懸濁法等の方法によって塩素をポリエチレンに作用させることにより得られる熱可塑性エラストマーの一種であり、可撓性、耐候性、耐油性、耐薬品性、難燃性、耐熱性及び耐摩耗性等の幅広い特性において優れた材料であるため、工業用ゴム製品や樹脂へのブレンド用、特にポリ塩化ビニルの耐衝撃改質剤等として様々な用途に利用されている。
塩素化ポリエチレンは、電線・ケーブルの被覆材としても広く用いられており、架橋処理が施されて製品とされることが多い。
塩素化ポリエチレンの架橋は、ラジカル発生剤として過酸化物を用いることによる化学架橋が広く行われているが、ポリエチレン等で適用実績があるシランカップリング剤及び過酸化物を用いたシラン水架橋も行われている(特許文献1〜3参照)。
塩素化ポリエチレンは、国内のみならず、海外、特に中国において生産が盛んであり、非常に多くのグレードの塩素化ポリエチレンが製品化されている。技術的には、如何なる種類の塩素化ポリエチレンであっても、シランカップリング剤によるグラフトが可能であることから、種々の要求特性に広く対応した電線・ケーブル用の被覆材の作製が可能である。
塩素化ポリエチレンのシラングラフトは、押出機で塩素化ポリエチレン及びシランカップリング剤を押し出し、押し出したものを水冷する工程により行われている(特許文献1参照)。
特公昭50−35540号公報 特公昭62−34323号公報 特公平8−19319号公報
しかし、使用する塩素化ポリエチレンの種類によっては、シラングラフト工程における押出時に多量のダイスかすが発生し、塩素化ポリエチレンの表面に付着するという問題がある。
また、水冷後の水切れ性が著しく悪化し、シラングラフト工程後の塩素化ポリエチレンに多量の水分が残留してしまうという問題がある。水分が残留していると、塩素化ポリエチレンにグラフトされたシランは加水分解されて縮合反応を起こしやすくなり、塩素化ポリエチレンが架橋されてしまう。塩素化ポリエチレンを電線・ケーブル用の被覆材として用いる場合、押出被覆前の塩素化ポリエチレンの架橋(いわゆる、スコーチ)は、押出被覆後の外観の悪化等を引き起こす原因となるため、極力抑制することが必要である。この架橋を抑制するためには、シラングラフト工程の後に残留した水分を除去するための工程が新たに必要となり、電線・ケーブルを製造する経済性が低下してしまう。
一方、ダイスかすを抑制する方法としては、ダイスと塩素化ポリエチレンを含む材料とが接触する部分の摩擦を低下させることが考えられる。そのためには、ダイスの表面に摩擦を低減するためのコーティングを施すことや、材料の吐出速度を低下させることが有効な手段と考えられる。
しかし、ダイス表面へのコーティングは、DLC(Diamond Like Carbon)などの低摩擦化を目的としたコーティング剤および処理方法が存在するものの比較的高価な対策であるため、経済性が低下する。また、材料の吐出速度を低下させることは、製品の生産性が低下するため、工業的及び経済的に好ましい対策とは言えない。
したがって、本発明は、シラングラフト工程の押出時においてダイスかすの発生を抑制するとともに、シラングラフト塩素化ポリエチレンの水切れ性を向上させた塩素化ポリエチレン組成物及び当該組成物の製造方法、並びに当該組成物を被覆材に用いた電線及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記の[1]〜[12]を提供する。
[1]塩素化ポリエチレンに当該塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部量の滑剤存在下でシランカップリング剤をグラフトさせたシラングラフト塩素化ポリエチレンを含み、前記滑剤は、分子量が1000〜5900の範囲であることを特徴とする塩素化ポリエチレン組成物。
[2]前記滑剤は、ポリエチレンワックスであることを特徴とする前記[1]に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[3]前記シラングラフト塩素化ポリエチレンは、安定剤存在下で前記シランカップリング剤をグラフトさせたものであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[4]前記安定剤は、ハイドロタルサイト又はエポキシ化大豆油であることを特徴とする前記[3]に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[5]前記シランカップリング剤は、トリメトキシビニルシラン又はトリエトキシビニルシランであることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[6]前記シラングラフト塩素化ポリエチレンは、押出機を用いて過酸化物存在下で前記シランカップリング剤をグラフトさせたものであることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[7]可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、カーボンブラック及び架橋触媒のうちのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[8]架橋触媒の存在下で水分の作用により架橋することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物。
[9]導体と、前記導体を被覆する絶縁体層とを備え、前記絶縁体層のうち最外層の絶縁体層が前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物から構成されたものであることを特徴とする電線。
[10]絶縁体層により被覆される導体と、前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の塩素化ポリエチレン組成物から構成されるシースとを備えるケーブル。
[11]分子量が1000〜5900である滑剤を塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部添加する工程と、前記塩素化ポリエチレンにシランカップリング剤を前記滑剤の存在下でグラフトさせる工程とを含む塩素化ポリエチレン組成物の製造方法。
[12]さらに、前記シランカップリング剤に過酸化物を溶解させる工程を含み、前記グラフトさせる工程は、前記過酸化物が溶解した前記シランカップリング剤を含浸させた前記塩素化ポリエチレンを押出機により押し出しすることにより、前記シランカップリング剤を前記塩素化ポリエチレンにグラフトさせることを特徴とする前記[11]に記載の塩素化ポリエチレン組成物の製造方法。
本発明によれば、シラングラフト工程の押出時においてダイスかすの発生を抑制するとともに、シラングラフト塩素化ポリエチレンの水切れ性を向上させた塩素化ポリエチレン組成物及び当該組成物の製造方法、並びに当該組成物を被覆材に用いた電線及びケーブルを提供することができる。
図1は、シラングラフト工程を模式的に示す図である。 図2は、被覆工程を模式的に示す図である。
(塩素化ポリエチレン組成物)
本発明の実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物は、塩素化ポリエチレンに当該塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部量の滑剤存在下でシランカップリング剤をグラフトさせたシラングラフト塩素化ポリエチレンを含む。
原料の塩素化ポリエチレンとしては、特に限定されることなく、用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有する有機シランが好適に用いられる。
押出機を用いて塩素化ポリエチレンにシランカップリング剤をグラフトさせる際には、ラジカル発生剤である過酸化物の存在下で行なうことが好ましい。
過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンのようなジアルキルパーオキサイド、m−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)−イソプロピルベンゼン、p−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)−イソプロピルベンゼン等を用いることが好ましい。これらは、単独で、又は、2種以上組み合わせて用いられる。
滑剤は、分子量が1000〜5900の範囲であり、塩素化ポリエチレンに塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部添加される。滑剤の添加量は、塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜3質量部であることが好ましい。滑剤は、押出機のダイスと材料との摩擦を低減することにより、シラングラフト工程で塩素化ポリエチレンを押し出す際のダイスかすの発生を抑制する。ここで、「分子量」とは、粘度法によって測定された粘度平均分子量である。
滑剤は、塩素化ポリエチレンに添加されることにより、塩素化ポリエチレン組成物の表面に滑剤の薄い層を形成されると考えられ、滑剤の分子量が1000よりも小さいと、薄い層の形成が不十分となり、一方、分子量が5900の範囲を越えると、塩素化ポリエチレンの表面への滑剤の移行が不十分となるため、ダイスかすの発生を抑制することが困難になると考えられる。
また、塩素化ポリエチレンへの滑剤の添加量が1.5質量部未満の場合には、ダイスとの摩擦を低減する効果が小さく、ダイスかすの発生を十分に抑制できない。一方、滑剤の添加量が10質量部を超える場合には、塩素化ポリエチレン組成物と混練機との滑性が高すぎて混練の作業性が悪くなる。さらに、滑剤の添加量が10質量部を超えると滑剤がシランにグラフとしてしまうため、塩素化ポリエチレンのゲル分率が低下するおそれがある。
滑剤としては、ポリエチレンワックスが好適に用いられる。塩素化ポリエチレンは、分子内の塩素の存在により極性を有し、極性の低いポリエチレンワックスとの相溶性があまり高くないことから、ポリエチレンワックスは、効果的に塩素化ポリエチレンの表面に移行できると考えられる。ポリエチレンワックスとしては、例えば高密度ポリエチレンワックス、低密度ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックスを用いることができる。
押出機を用いて塩素化ポリエチレンにシランカップリング剤をグラフトさせる際には、安定剤の存在下で行なうことが好ましい。安定剤とは塩素化ポリエチレン分子から脱離した塩化水素を捕捉する働きを有する化合物である。
安定剤としては、ハイドロタルサイトや、エポキシ化大豆油等の塩化水素捕捉剤が好適に用いられる。
本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物は、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、カーボンブラック及び架橋触媒のうちのいずれか1つ以上を含むことが好ましい。その他に老化防止剤、銅害変色防止剤、架橋助剤なども充填でき、電線・ケーブルの被覆材に通常使用される添加剤であれば使用可能である。
可塑剤、難燃剤、カーボンブラックとしては、それぞれプロセスオイル、三酸化アンチモン、FEFカーボンブラック等が好適に用いられる。また、酸化防止剤としては、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)や、2,2,4−トリメチル−1,2―ジヒドロキノリン重合物等が好適に用いられる。
本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物は、架橋触媒、特にシラノール縮合触媒の存在下で水分の作用により架橋するものであることが好ましい。これにより、効率的にシラングラフト塩素化ポリエチレンをシラノール縮合反応させることができる。シラノール縮合触媒としては、マグネシウム、カルシウム等のII族元素、コバルト、鉄等のVIII族元素、錫、亜鉛、チタン等の元素及びこれらの金属化合物、オクチル酸やアジピン酸の金属塩、アミン系化合物、酸等が用いられる。より具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸等の無機酸、又はトルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸等の有機酸が用いられる。
(電線、ケーブル)
次に、本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物を被覆材として使用した電線及びケーブルについて説明する。
本実施の形態に係る電線は、銅等の金属材料である導体と、導体の外周を被覆する絶縁体層とを備え、前記絶縁体層のうち最外層の絶縁体層が上記の本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物から構成されたものである。最外層以外の絶縁体層を備える場合には、当該絶縁体層は、公知の材料により構成されていてもよいし、上記の本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物により構成されていてもよい。
また、本実施の形態に係るケーブルは、絶縁体層により被覆される導体と、上記の本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物から構成されるシースとを備える。絶縁体層は、公知の材料により構成されていてもよいし、上記の本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物により構成されていてもよい。
(塩素化ポリエチレン組成物、電線の製造方法)
次に、本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物の製造方法について説明する。
本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物の製造方法は、分子量が1000〜5900である滑剤を塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部添加する工程と、前記塩素化ポリエチレンにシランカップリング剤を前記滑剤の存在下でグラフトさせる工程とを含む。さらに、本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物の製造方法は、前記シランカップリング剤に過酸化物を溶解させる工程を含み、前記グラフトさせる工程は、前記過酸化物が溶解した前記シランカップリング剤を含浸させた前記塩素化ポリエチレンを押出機により押し出しすることにより、前記シランカップリング剤を前記塩素化ポリエチレンにグラフトさせることを特徴とする。以下に、本実施の形態に係る塩素化ポリエチレン組成物により被覆された電線の製造方法を含めて、塩素化ポリエチレン組成物の製造方法の一例を製造工程順に説明する。
(塩素化ポリエチレンの前処理工程)
次のシラングラフト工程で使用される塩素化ポリエチレンは、次のように前処理を行なうことで得られる。先ず、8インチロール機を用いて粉末状の塩素化ポリエチレンを練り、これに安定剤及び滑剤を添加する。安定剤及び滑剤が均一に分散するように、例えばロール表面温度100℃程度、混練時間5分以内の条件で混練を行い、これをシート状にする。次に、得られたシートを約5mm角のペレットに成形する。
次に、混練した後のペレットに塩素化ポリエチレン100質量部に対して1質量部のタルクをまぶす。なお、ペレットにタルクをまぶすのは、ペレット同士の粘着を防止するためである。
(シラングラフト工程)
図1は、シラングラフト工程を模式的に示す図である。
シラングラフト押出に使用する押出機は、単軸、二軸、またはこれ以上の多軸押出機といった押出機の種類に制限されないが、特に単軸押出機を使用する場合には比較的に混練効果が小さいことから固形状の滑剤を添加するときは、上記の通りシラングラフトの前処理工程で塩素化ポリエチレンに混練、分散させておくことが望ましい。
シラングラフト工程では、先ず上記の前処理工程で得られたペレットに過酸化物を溶解したシランカップリング剤を含浸させる。これを押出機1のホッパ11から供給して押出機1のダイス13から押し出すことにより、シランカップリング剤を塩素化ポリエチレンにグラフトさせる。
グラフト押出は、例えば図1に示すスクリュ径40mmの単軸押出機(長さL/直径D=25)を用いて、表1に示す以下の押出条件により行う。すなわち、押出機1のスクリュ12は、フルフライト形状、圧縮比2.0のものを用いる。押出機1のダイス13には、穴の直径が5mm、穴数3つのストランド押出用のダイスを用いる。押出機1の各部の温度は、ホッパ11側から順に、第1シリンダ14を80℃、第2シリンダ15を200℃、ヘッド16を200℃に設定し、スクリュ回転数を20rpm(押出量約120g/min)に設定して押し出しを行う。
次に、押し出されたシラングラフト塩素化ポリエチレンのストランド100を長さ150cm程度の水槽101に貯められた水の中を通すことで、水冷する。次に、ストランド100をエアワイパー102を通過させ、エアワイパー102が吹き付ける空圧によってストランド100表面の水分を飛ばす。
次に、ペレタイザー103によりストランド100を切断し、約5mm角のペレット104に成形する。
(添加剤を添加する工程)
得られたシラングラフト塩素化ポリエチレンのペレット104と、添加剤としての可塑剤、酸化防止剤、難燃剤及びカーボンブラックとを混練してシート状にする。これらの混練は、8インチロール機によりロール表面温度が100℃、全ての添加剤投入後5分間の条件で行う。次に、混練した後のシートを約5mm角のペレットに成形した後、このペレットにペレット同士の粘着を防止するためにタルクを1質量部まぶす。添加剤を添加する工程は、シラングラフト工程と同一工程で行なっても良い。
(シラノール縮合触媒マスターバッチを作製する工程)
上記シラングラフト工程及び添加剤の添加工程とは別に、上記の前処理工程で得られたペレットにシラノール縮合触媒を添加する。これを8インチロール機を用いてロール表面温度が100℃、触媒投入後3分間の条件で混練を行う。混練した後のシートを約5mm角のペレットに成形して、シラノール縮合触媒マスターバッチを作製する。
(被覆工程、架橋工程)
図2は、被覆工程を模式的に示す図である。
添加剤を添加した塩素化ポリエチレン組成物、及びシラノール縮合触媒マスターバッチのそれぞれのペレットを押出機2のホッパ21から供給して押し出し、絶縁体層の厚みが1.4mmになるように銅導体200(断面積1.5mm)を被覆することで電線201を作製する。
銅導体200の被覆は、図2に示すスクリュ径が20mmの単軸押出機(長さL/直径D=15)を用いて、表2に示す以下の押出条件により行う。すなわち、押出機2のスクリュ22は、フルフライト形状、圧縮比2.0のものを用いる。押出機2の各部の温度をホッパ側から順に、第1シリンダ24を100℃、第2シリンダ25を120℃、クロスヘッド26を120℃、ネック27を110℃、ダイス23を110℃に設定し、スクリュ回転数を15rpm(押出量約120g/min)にして押し出しを行う。
次に、得られた電線201を70℃の飽和水蒸気中に24時間放置し、架橋触媒の存在下で水架橋方式による塩素化ポリエチレンの架橋処理を行う。
なお、上述した工程で用いた押出機1、2には、単軸、二軸あるいはこれ以上の多軸スクリュを備える押出機を用いることができ、スクリュ形状、長さL/直径Dの値、ダイス形状等の設備上の制約を受けるものではない。押出機1、2の各部の温度は、上記の温度に限定されない。また、上述した工程で用いた混練機は、8インチロール機に限定されるものではなく、他の形状のロール機、ニーダー、ミキサー等を用いてもよい。混練機の混練条件は、上記の条件に限定されない。
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)シラングラフト工程での押出時にダイスかすの発生を抑制できるので、シラングラフト塩素化ポリエチレンの表面に付着するダイスかすの量を低減できる。これにより、塩素化ポリエチレン組成物に残留する水分量を低減でき、塩素化ポリエチレン組成物の水切れ性が向上する。
(2)塩素化ポリエチレン組成物の水切れ性が向上することから、シラングラフト工程において、乾燥等の工程を省略できるので、より経済的な工程で塩素化ポリエチレン組成物、電線及びケーブルを製造することができる。
(3)塩素化ポリエチレンのシラングラフト工程においてより工業的・経済的な製法とすることが可能であって、これを用いて製造した電線・ケーブルの外観、架橋処理後の架橋度に関して良質なものを得ることができる。本実施の形態に係るシラン水架橋方式を用いた電線・ケーブルの製造は、現在の加硫(架橋)ゴム被覆ケーブルの製造方法にて主流である加硫釜あるいは加硫管を用いた製造方式や電子線照射方式等と比べて製造・設備コストを低減できるものであり、経済的なメリットが大きい。
[実施例]
次に、本発明の実施例について説明する。
(塩素化ポリエチレン組成物及び電線の作製)
表1〜2に記載された組成を有する実施例1〜9及び比較例1〜8に係る塩素化ポリエチレン組成物を上述した工程により作製した。実施例1〜9については、比較例1〜8の組成に加えて可塑剤、酸化防止剤、難燃剤及びカーボンブラックを添加した。さらに、実施例1〜9に係る塩素化ポリエチレン組成物により被覆した電線を作製した。
Figure 2015017162
Figure 2015017162
具体的には、塩素化ポリエチレン100質量部に安定剤としてハイドロタルサイト6質量部とエポキシ化大豆油2質量部、各種滑剤を0〜10質量部を混練したもの(コンパウンドA)に対して、過酸化物を溶解したシランカップリング剤をグラフト反応させ、押出後、ペレット成形した。ここで、過酸化物としてジクミルパーオキサイド0.03質量部、シランカップリング剤としてトリメトキシビニルシラン3質量部を使用した。
後述する「押出時のダイスかすの発生有無」と「ペレットの水切れ性」の評価に合格したもの、すなわち、実施例1〜9のシラングラフト塩素化ポリエチレンに対して、可塑剤としてナフテン系プロセスオイル10質量部、酸化防止剤として硫黄系酸化防止剤0.08質量部、アミン系酸化防止剤1.5質量部、難燃剤として三酸化アンチモン3質量部、カーボンブラックとしてFEFカーボンブラック40質量部を混練して、コンパウンドBを得た。また、コンパウンドA100質量部に対してシラノール縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート1質量部を混練してシラノール縮合触媒マスターバッチを作製した。
実施例1〜9のコンパウンドB 100質量部に対してシラノール縮合触媒マスターバッチ2.5質量部をドライブレンドしたものを銅導体上に押出被覆することで電線を作製した。作製後の電線は70℃飽和水蒸気中に24時間放置することで架橋処理を行った。
(塩素化ポリエチレン組成物及び電線の評価)
実施例1〜9及び比較例1〜8に係る塩素化ポリエチレン組成物の評価は、シラングラフト工程における押出時のダイスかすの発生の有無、及び水冷後の塩素化ポリエチレン組成物のペレットの水切れ性をそれぞれ目視及び手触りにて行った。その結果、押出時にダイスかすの発生が無いものを良好(〇)、有るものを不良(×)と判定し、水冷後にペレットの表面に水分が残留していないものを良好(〇)、水分が残留しているものを不良(×)と判定した。いずれも○であったものを合格とした。評価結果を表1及び表2に示す。
さらに、実施例1〜9の塩素化ポリエチレン組成物について、被覆後の電線の外観、及び被覆された絶縁体層を形成する架橋処理後の塩素化ポリエチレン組成物のゲル分率による評価を行った。電線の外観については、目視及び手触りにより評価し、電線の表面にツブが無く平滑であるものを良好(〇)、ツブやメルトフラクチャーによる外観不良が生じているものを不良(×)と判定した。また、ゲル分率が60%以上のものを合格(〇)、60%未満のものを不合格(×)と判定した。評価結果を表1に示す。
なお、ゲル分率は、以下のように算出した。すなわち、電線の絶縁体層を形成する架橋処理後の塩素化ポリエチレン組成物0.5gを40メッシュの真鍮製金網に入れ、これを110℃のオイルバスに浸してキシレンによる抽出処理を行った後、80℃で4時間の真空乾燥したものの質量を秤量して、次の式により算出した。
ゲル分率(%)=(抽出処理後の質量(g)/抽出処理前の質量(g))×100
総合的な判定として、ダイスかすの発生の有無、ペレットの水切れ性、電線の外観及びゲル分率の全ての項目で良好又は合格であれば合格(○)、ひとつでも不良又は不合格の項目があれば不合格(×)と判定した。評価結果を表1及び表2に示す。
(実施例1)
実施例1は、塩素化ポリエチレンに分子量が1000(粘度法により測定、以下同じ)であるポリエチレンワックスを1.5質量部添加したものである。シラングラフト工程で実施例1の塩素化ポリエチレン組成物を押し出すと、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例1の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、70%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例1の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例2)
実施例2は、塩素化ポリエチレンに分子量が3100であるポリエチレンワックスを1.5質量部添加したものである。実施例2では、実施例1と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例2の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、67%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例2の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例3)
実施例3は、塩素化ポリエチレンに分子量が5900であるポリエチレンワックスを1.5質量部添加したものである。実施例3では、実施例1、2と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例3の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、72%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例3の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例4)
実施例4は、塩素化ポリエチレンに分子量が1000であるポリエチレンワックスを3質量部添加したものである。実施例4では、実施例1〜3と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例4の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、68%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例4の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例5)
実施例5は、塩素化ポリエチレンに分子量が3100であるポリエチレンワックスを3質量部添加したものである。実施例5では、実施例1〜4と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例5の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、65%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例5の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例6)
実施例6は、塩素化ポリエチレンに分子量が5900であるポリエチレンワックスを3質量部添加したものである。実施例6では、実施例1〜5と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例6の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、70%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例6の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例7)
実施例7は、塩素化ポリエチレンに分子量が1000であるポリエチレンワックスを10質量部添加したものである。実施例7では、実施例1〜6と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例7の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、64%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例7の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例8)
実施例8は、塩素化ポリエチレンに分子量が3100であるポリエチレンワックスを10質量部添加したものである。実施例8では、実施例1〜7と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例8の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、64%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例8の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(実施例9)
実施例9は、塩素化ポリエチレンに分子量が5900であるポリエチレンワックスを10質量部添加したものである。実施例9では、実施例1〜8と同様に、押出時にダイスかすが発生せず、かつ押出後に水冷したペレットは、十分に水切れがされていた。また、実施例9の塩素化ポリエチレン組成物を用いて作製した電線の外観は、十分に平滑であり、かつ架橋処理後のゲル分率は、67%であり、十分な架橋度であった。以上から、実施例9の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を合格(〇)と判定した。
(比較例1)
比較例1は、滑剤を含まないものである。シラングラフト工程で比較例1の塩素化ポリエチレン組成物を押し出すと、押出時に多量のダイスかすが連続的に発生するとともに、押し出したストランドの表面にダイスかすが付着していたため、ダイスかすの有無を有(×)とした。さらに、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であったため、ペレットの水切れ性を不良(×)とした。そのため、比較例1の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例2)
比較例2は、塩素化ポリエチレンに分子量500のポリエチレンワックスを3質量部添加したものである。比較例2では、比較例1と同様に、多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例2の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例3)
比較例3は、塩素化ポリエチレンに分子量1000のポリエチレンワックスを1質量部添加したものである。比較例3では、比較例1と同様に、多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例3の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例4)
比較例4は、塩素化ポリエチレンに分子量3100のポリエチレンワックスを1質量部添加したものである。比較例4では、比較例1と同様に、多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例4の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例5)
比較例5は、塩素化ポリエチレンに分子量5900のポリエチレンワックスを1質量部添加したものである。比較例5では、比較例1と同様に、多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例5の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例6)
比較例6は、塩素化ポリエチレンに分子量7200のポリエチレンワックスを3質量部添加したものである。比較例6は、比較例1〜5と比較すると少量であるが、押出時にダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例6の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
(比較例7)
比較例7は、塩素化ポリエチレンに滑剤としてエチレンビスオレイン酸アミド(分子量589)を1.5質量部添加したものである。比較例7は、比較例1〜5と同様に、押出時に多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例7の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
エチレンビスオレイン酸アミドは、ポリエチレン等の非極性ポリマの滑剤として一般的に使用される。しかし、塩素化ポリエチレンは塩素化部分が極性を有するため、相溶性が比較的高くなって塩素化ポリエチレン組成物の表面に移行できずにダイスかすの発生を抑制できなかったと考えられる。
(比較例8)
比較例8は、塩素化ポリエチレンに滑剤としてフッ素ゴム系添加剤(ダイス表面コーティング剤)を0.05質量部添加したものである。比較例8は、ダイスの出口部分の表面にフッ素ゴムをコーティングさせることでダイスとストランド表面との間の摩擦を低減することを目的としてフッ素ゴム系添加剤を添加したが、比較例1〜5、7と同様に、押出時に多量のダイスかすが連続的に発生し、押し出したストランドの表面に付着した。また、押出後に水冷・水切り処理したペレットは、ひどく濡れており水切れが不十分であった。そのため、比較例8の塩素化ポリエチレン組成物について、総合評価を不合格(×)と判定した。
実施例1〜9及び比較例1〜8から、塩素化ポリエチレン組成物は、分子量が1000〜5900の範囲であるポリエチレンワックスを1.5〜10質量部含むことで、シラングラフト工程の押出時にダイスかすの発生を抑制することができるとともに、十分に水切れがされることが分かった。また、実施例1〜9の塩素化ポリエチレン組成物を用いて電線を被覆することにより、電線の外観が平滑であり、かつ、架橋処理を行うことで十分な架橋度が得られることが分かった。
比較例1〜8のポリエチレン組成物は、シラングラフト工程後に保管すると残留した水分の作用で架橋されてしまうため、速やかに水分を除去する必要があり工業的、経済的に不利となる。比較例1〜8において、水冷後の水切れ性が不良であるのは、シラングラフト工程の押出時にダイスかすが発生することにより、押出した塩素化ポリエチレン組成物のストランドの表面が荒れてストランドの表面積が増大するためであると考えられる。
また、分子量が1000未満のポリエチレンワックスを添加したもの、又はポリエチレンワックスの添加量が少ないものでは、十分な滑性が得られず、塩素化ポリエチレン組成物とダイスとの間の摩擦を十分に低減できずにダイスかすが発生したと考えられる。一方、分子量が5900を超えるポリエチレンワックスを添加したものでは、ポリエチレンワックスが塩素化ポリエチレン組成物の表面に十分に移行できなかったため、ダイスかすを抑制できなかったと考えられる。
[変形例]
なお、本発明の実施の形態及び実施例は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々に変形、実施が可能である。
1、2…押出機、11、21…ホッパ、12、22…スクリュ、13、23…ダイス、14、24…第1シリンダ、15、25…第2シリンダ、16…ヘッド、26…クロスヘッド、27…ネック、100…ストランド、101…水槽、102…エアワイパー、103…ペレタイザー、104…ペレット、200…銅導体、201…電線

Claims (12)

  1. 塩素化ポリエチレンに当該塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部量の滑剤存在下でシランカップリング剤をグラフトさせたシラングラフト塩素化ポリエチレンを含み、
    前記滑剤は、分子量が1000〜5900の範囲であることを特徴とする塩素化ポリエチレン組成物。
  2. 前記滑剤は、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項1に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  3. 前記シラングラフト塩素化ポリエチレンは、安定剤存在下で前記シランカップリング剤をグラフトさせたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  4. 前記安定剤は、ハイドロタルサイト又はエポキシ化大豆油であることを特徴とする請求項3に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  5. 前記シランカップリング剤は、トリメトキシビニルシラン又はトリエトキシビニルシランであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  6. 前記シラングラフト塩素化ポリエチレンは、押出機を用いて過酸化物存在下で前記シランカップリング剤をグラフトさせたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  7. 可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、カーボンブラック及び架橋触媒のうちのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  8. 架橋触媒の存在下で水分の作用により架橋することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物。
  9. 導体と、前記導体を被覆する絶縁体層とを備え、
    前記絶縁体層のうち最外層の絶縁体層が請求項1〜8のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物から構成されたものであることを特徴とする電線。
  10. 絶縁体層により被覆される導体と、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の塩素化ポリエチレン組成物から構成されるシースとを備えるケーブル。
  11. 分子量が1000〜5900である滑剤を塩素化ポリエチレン100質量部に対して1.5〜10質量部添加する工程と、
    前記塩素化ポリエチレンにシランカップリング剤を前記滑剤の存在下でグラフトさせる工程とを含む塩素化ポリエチレン組成物の製造方法。
  12. さらに、前記シランカップリング剤に過酸化物を溶解させる工程を含み、
    前記グラフトさせる工程は、前記過酸化物が溶解した前記シランカップリング剤を含浸させた前記塩素化ポリエチレンを押出機により押し出しすることにより、前記シランカップリング剤を前記塩素化ポリエチレンにグラフトさせることを特徴とする請求項11に記載の塩素化ポリエチレン組成物の製造方法。
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