JP2015016595A - ヘッド駆動回路、記録ヘッド、記録ヘッドを備えた画像記録装置、及びヘッド駆動方法 - Google Patents

ヘッド駆動回路、記録ヘッド、記録ヘッドを備えた画像記録装置、及びヘッド駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録ヘッドの濃度及び位置ずれの補正のために必要なデータ量を、従来よりも少なくして、処理を単純化するとともに必要なメモリ容量を低減することができるヘッド駆動回路を提供する。
【解決手段】液滴を吐出する記録ヘッドのヘッド駆動回路111であって、吐出液滴のタイミングに関するタイミングパルスデータを複数格納する記憶部を備え、タイミングパルスデータに基づき液滴吐出開始のタイミングを補正するタイミングパルスを複数生成するタイミングパルス生成部201と、吐出液滴のドット径に関するパルスデータを複数格納する記憶部を備え、パルスデータとタイミングパルスの一つに基づき、駆動信号生成部210に印加するパルス信号を生成するパルス信号生成部202と、ヘッド駆動用の駆動信号を生成する駆動信号生成部とを備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、ヘッド駆動回路、記録ヘッド、記録ヘッドを備えた画像記録装置、及びヘッド駆動方法に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(又は画像形成装置)としてインクジェット記録装置が用いられている。このインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧液室(吐出室、圧力室、加圧室、液室、インク流路、流路等とも称される)と、加圧液室内のインクを加圧する圧力発生手段とを備えた液滴吐出用の記録ヘッドを搭載している。
記録ヘッドは、インク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる。この記録ヘッドとして、圧力発生手段に圧電素子等の電気機械変換素子が用いられ、いわゆるピエゾ型のものが知られている。このピエゾ型の記録ヘッドのヘッド駆動回路(又はヘッドドライバ)には、スイッチング素子によって構成されたものがあり、印字データと、スイッチング素子を制御するパルス信号を入力することで駆動信号を生成し、その駆動信号によりピエゾ型素子への充放電を制御して記録ヘッドを駆動している。
また、インクジェット記録装置としては、記録ヘッドを主走査方向に複数走査させることにより印刷を行うシリアル型インクジェット記録装置と、複数の記録ヘッドを主走査方向に並べて、1パスで印刷を行うライン型インクジェット記録装置が知られている。
ところで、インクジェット記録装置において、ノズルを均一な精度で製造することは困難である。そのため、例えば、各ノズルのインク吐出滴量やインクの着弾位置にばらつきが生じ、同一濃度のベタ画像等の印刷結果において濃度の濃い部分と薄い部分とが生じる、所謂濃度むら(濃度飛びともいう)が発生することが知られている。
図24Aは、インクジェット記録装置における各ノズルのインク吐出滴量やインクの着弾位置のばらつき補正前の、主走査方向に並べて配置した記録ヘッドの位置と、各記録ヘッドの印字濃度との関係を表したものである。また、図24Bはその補正後の印字濃度を表した図である。図24Aから明らかなように、各記録ヘッドは、ノズルの吐出特性が異なるため、記録ヘッドアレイ全体として印字画像に濃度むらを生じる。また、記録ヘッドの繋ぎ部分は、記録ヘッド間の「濃度飛び」が生じているため、繋ぎ部の印字画像にはバンディング(画像濃度の濃淡による縞)や白スジを伴うという問題がある。
このような濃度むらを補正して印刷画質を向上するための対策としては、従来から濃度むら補正テーブル等に基づき画像データを補正することで濃度むらの発生を抑える方法が知られている。
しかし、画像データを補正する方法は、印字時、記録画像毎にデータ処理を行う必要がある。また、通常、高画質画像を印字するためには、このデータ処理量は多くなる。そのため、データ処理に時間が掛かり、印字速度が遅くなるという問題がある。
また、用紙搬送位置による印字ずれを補正する機能を備えたインクジェット記録装置(プリンタ)では、用紙が搬送時に位置ずれを起こした場合、用紙の位置ずれに合わせて印字画像データをシフトし、さらにシフト後の印字画像データに対するデータ処理の必要がある。用紙が位置ずれを起こすと、各ノズルに割り当てられるデータが変わるため、再データ処理が必要であり、さらに印字速度が遅くなる。
この問題に対し、特許文献1には、ピエゾ素子を駆動する波形データを変換し、圧縮データとしてシリアルで転送してヘッド駆動回路中のメモリに格納し、圧縮データから波形を生成する伸張回路を設け、これによりメモリの容量の削減とヘッド駆動回路への信号線数を削減する、液滴吐出ヘッド等が記載されている。
特許文献2には、記録ヘッドの各ノズルのランクに応じたパルス信号を予め複数生成し、生成した波形をヘッド駆動回路に入力し、駆動回路内で各ノズルのランクに適した波形を選択することにより、ノズル毎の吐出のばらつきを補正する液滴吐出装置等が記載されている。
しかしながら、前記従来の液滴吐出装置等では、駆動回路内に駆動波形毎又はパルス信号毎のデータをメモリに格納する。そのため、ドット径のみを補正する駆動波形データ、着弾位置のみを補正する駆動波形データ、ドット径と着弾位置の両方を補正する駆動波形データの、補正に必要な複数のデータをそれぞれ準備する必要がある。そのため、補正用駆動波形を格納するメモリサイズが大きくなるという問題がある。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、画像記録装置において、記録ヘッドの濃度及び位置ずれの補正のために必要なデータ量を従来よりも少なくして、処理を単純化するとともに必要なメモリ容量を低減することである。
本発明は、液滴を吐出する記録ヘッドのヘッド駆動回路であって、吐出液滴のタイミングに関するタイミングパルスデータを複数格納する記憶部を備え、前記液滴の着弾位置の補正のために、前記タイミングパルスデータに基づき液滴吐出開始のタイミングを補正するタイミングパルスを複数生成するタイミングパルス生成部と、吐出液滴のドット径に関するパルスデータを複数格納する記憶部を備え、前記パルスデータと前記タイミングパルスの一つに基づき、前記記録ヘッドの各圧電素子に接続された駆動信号生成部に印加するパルス信号を生成するパルス信号生成部と、前記パルス信号に基づきヘッドの駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備えたヘッド駆動回路である。
本発明によれば、画像記録装置において、記録ヘッドの濃度及び位置ずれの補正に必要なデータ量を、従来よりも少なくして、処理を単純化するとともに必要なメモリ容量を低減することができる。
本発明の画像記録装置の実施形態に係る記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタの側面図である。 図1に示すインクジェットプリンタの平面図である。 本インクジェットプリンタの記録ヘッドアレイのノズル面とノズル列を示した図である。 本インクジェットプリンタの液滴吐出を行う記録ヘッドの加圧室長手方向に沿う断面図である。 本インクジェットプリンタの記録ヘッドの加圧室短手方向に沿う断面図である。 本インクジェットプリンタの記録ヘッドの要部平面説明図である。 本インクジェットプリンタの本体制御部を概略的に示したブロック図である。 ヘッド駆動回路のブロック図である。 タイミングパルス生成部のブロック図である。 パルス信号生成部のブロック図である。 パルス信号生成部の大滴データのレジスタの一例である。 レベルシフタの出力信号と圧電素子へ印加される駆動信号との関係を示す図である。 図12に示す1パルスの信号を圧電素子に印加した時の、パルス幅に対する吐出滴速度と吐出滴量の特性を示す図である。 パルス信号選択部のブロック図である。 セレクタのブロック図である。 インバータ回路と圧着素子の構成を示す回路図である。 図16に示すインバータの基本動作を示す図である。 タイミングパルス生成部のカウンタのカウント値と生成されるタイミングパルスとの関係を示すタイミング図である。 パルス信号生成部のカウンタのカウント値と生成されるパルス信号との関係を示すタイミング図である。 図19とは別のパルス信号生成部のカウンタのカウント値と生成されるパルス信号との関係を示すタイミング図である。 パルス信号生成部が出力するパルス信号の一例(大滴)を示す図である。 パルス信号生成部が出力するパルス信号の一例を示す図である。 パルス補正の例を説明する図である。 図24Aは、記録ヘッドの位置と、各記録ヘッドの印字濃度との関係を表した図であり、図24Bは、その補正後の印字濃度を表した図である。
図1は本発明の画像記録装置の実施形態に係る記録ヘッドを備えたプリンタ、ここでは一例としてライン型インクジェットプリンタの側面図、図2は、その平面図である。
本発明の実施形態に係るライン型インクジェットプリンタ(以下、単にインクジェットプリンタという)は、記録媒体である用紙を搬送ベルトによって搬送し、搬送された用紙に記録ヘッドからインク滴を吐出して画像を形成する。
本インクジェットプリンタは、FC(フルカラー、以下FCという)印字モードとBk(ブラック、以下Bkという)印字モードの2つの印字モードを備えている。また、これらの印字モード毎に記録ヘッドアレイ70を備えている。
ここで、各記録ヘッドアレイ70は、それぞれの印字モードにおいて印字動作を行い、FC印字モード時には、FC記録ヘッドアレイ70aが、また、Bk印字モード時にはBk記録ヘッドアレイ70bが対応している。
各記録ヘッドアレイ70は、独立して搬送ベルト面に対し垂直方向に移動することが可能である。また、本インクジェットプリンタは搬送ベルト74上にキャッピングユニット76を備えており、このキャッピングユニット76は、搬送ベルト74面に対して水平方向に移動可能である。印字中使用しない記録ヘッドアレイ70の直下にはキャッピングユニット76が位置しており、記録ヘッドアレイ70を構成する各記録ヘッド72はキャッピングされる。
印字に使用する記録ヘッドアレイ70は、搬送ベルト74と記録ヘッドアレイ70面とのギャップが1mm程度の位置に固定されている。印字は、記録ヘッドアレイ70と直交するように記録媒体、ここでは用紙75を搬送し、用紙75が記録ヘッドアレイ70の下を通過する際に、記録ヘッドアレイ70を構成する各記録ヘッド72からインク滴を吐出して印字を行う。なお、78は、用紙搬送用のローラである。
各記録ヘッドアレイ70は、複数の液滴吐出用の記録ヘッド72を主走査方向にアレイ状に並べて構成されている。FC記録ヘッドアレイ70aは、Y(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン)K(ブラック)各色のノズル列45Lを備えた記録ヘッド72により構成されている。Bk記録ヘッドアレイ70bはすべてBkのノズル列45Lによって構成されており、FC記録ヘッドアレイ70aよりも高解像度の印字が行えるようなノズル配置構成となっている。
図3は、インクジェットプリンタの記録ヘッドアレイ70のノズル面とノズル列45Lを示した図である。
本インクジェットプリンタにおける記録ヘッドアレイ70は、図示するように4本のノズル列45L(Yノズル列45L、Mノズル列45L、Cノズル列45L、Kノズル列45L)を備えた記録ヘッド72によって構成されている。
記録ヘッドアレイ70を構成する記録ヘッド72は、図示のように千鳥状に配置されている。FC記録ヘッドアレイ70aを構成する記録ヘッド72は各記録ヘッド72の各ノズル列45Lで異なる色(Y、M、C、K)のインクを吐出する。
Bk記録ヘッドアレイ70bを構成する記録ヘッド72は、すべてのノズル列45LからBkインクを吐出する。
記録ヘッドアレイ70は、本インクジェットプリンタにおいて、用紙75の搬送方向と記録ヘッドアレイ70を構成する各記録ヘッド72のノズル列45Lが交差する方向に実装されている。
FC印字モードでは、各色において1ノズル列45Lを使用して印字を行う。一方、Bk印字モードでは、モノクロ印字4ノズル列45Lを使用して印字を行うことにより、FC印字モードの4倍の印字解像度となる。
図4は、液滴吐出を行う記録ヘッド72の加圧室長手方向に沿う断面図、図5は記録ヘッド72の加圧室短手方向に沿う断面図、図6は記録ヘッド72の要部平面説明図である。
記録ヘッド72は、単結晶シリコン基板で形成した流路板41と、この流路板41の下面に接合した振動板42と、流路板41の上面に接合したノズル板43とを有する。記録ヘッド72には、加圧室46とインク供給路47が形成されている。
インク供給路47は、流体抵抗部であり、加圧室46にインクを供給するための共通液室48に対しインク供給口49を介して連通している。加圧室46には、インク流路であるノズル45連通路45aを介してノズル45が連通している。ノズル45は、液滴であるインク滴を吐出する。
振動板42の外面側(液室と反対面側)には、各加圧室46に対応して加圧室46内のインクを加圧するための電気機械変換素子である積層型圧電素子(以下、圧電素子という)52が接合されている。この圧電素子52は、圧力発生手段(アクチュエータ手段)であり、ベース基板53に接合されている。
圧電素子52の間には、加圧室46、46間の隔壁部41a(図5)に対応して、支柱部54が設けられている。圧電素子52は、ハーフカットのダイシングによりスリット加工が施されており、櫛歯状に分割されている。圧電素子部材は、1つ毎に圧電素子52と支柱部54として形成している。支柱部54の構成は、圧電素子52と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
振動板42の外周部は、フレーム部材44にギャップ材を含む接着剤50で接合されている。フレーム部材44には、共通液室48となる凹部が形成されている。共通液室48には、外部からインクを供給するための、図示しないインク供給穴が形成されている。フレーム部材44は、例えばエポキシ系樹脂又はポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成されている。
流路板41は、例えば、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)等のアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングされる。これにより、流路板41には、ノズル45連通路45a、加圧室46、インク供給路47となる凹部や穴部が形成される。なお、流路板41は、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂等を用いることもできる。
振動板42は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製したものである。振動板42には、その他の金属板や樹脂板又は金属と樹脂板との接合部材等を用いることもできる。振動板42には、加圧室46に対応する部分に、変形を容易にするための薄肉部(ダイアフラム部)55及び圧電素子52と接合するための厚肉部(島状凸部)56が形成されている。
また、振動板42の支柱部54に対応する部分、及びフレーム部材44との接合部にも厚肉部57が形成されている。振動板42の平坦面側は、流路板41に接着剤で接合され、島状凸部56は、圧電素子52に接着剤で接合されている。更に振動板42の厚肉部57は、支柱部54及びフレーム部材44に接着剤50で接合されている。なお、ここでは、振動板42は、2層構造のニッケル電鋳で形成されている。
ノズル板43は、各加圧室46に対応してノズル45を形成し、流路板41に接着剤で接合されている。ノズル板43としては、ステンレス、ニッケル等の金属、金属とポリイミド樹脂フィルム等の樹脂との組み合わせ、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成されている。なお、ノズル45の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成する。
ノズル板43のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層が設けられている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチ等)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜が設けられている。これにより、インクの滴形状、飛翔特性が安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
圧電素子52は、1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層61と、銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極62とを交互に積層したものである。圧電素子52の内部電極62は、端面の端面電極(外部電極)である個別電極63と、共通電極64に電気的に交互に接続されている。
この圧電素子(圧電定数はd33である)52の伸縮により、加圧室46が収縮、膨張されるようになっている。圧電素子52は、駆動信号が印加され充電されると伸長し、充電された電荷が放電すると反対方向に収縮する。
圧電素子部材の一端面の端面電極は、ハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極63となる。他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されず、全ての圧電素子52が導通した共通電極64となる。
圧電素子52の個別電極63には、駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合又はワイヤボンディングでFPC(フレクシブルプリントケーブル)65を接続されている。FPC65には、各圧電素子52に選択的に駆動信号を印加するためのヘッド駆動回路111(図7)が接続されている。また、共通電極64は、圧電素子52の端部に電極層を設けてFPC65のグラウンド(GND)電極に接続されている。
上記のような構成の液滴吐出記録ヘッド72は、例えば、印字データに応じて圧電素子52に駆動信号を印加(圧電素子52を充放電)することで、圧電素子52に積層方向の変位が生じる。これにより、振動板42を介して加圧室46内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル45からインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧室46内のインク圧力が低減する。これとインクの流れの慣性と駆動パルスの放電によって、加圧室46内に負圧が発生してインク充填工程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室48に流入する。インクは共通液室48からインク供給口49を経て流体抵抗部47を通り、加圧室46内に充填される。
なお、流体抵抗部47は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。したがって、流体抵抗部47の流体抵抗値を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れる。また、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
次に、記録ヘッド72を制御するインクジェットプリンタ本体の制御部の構成について説明する。
図7は、本インクジェットプリンタの本体制御部10を概略的に示したブロック図である。
本体制御部10は、インクジェットプリンタ全体の制御を司るCPU101と、CPU101が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM102と、画像データ等を一時格納するRAM103と、装置(インクジェットプリンタ)の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)104と、画像データに対する各種信号処理、データの並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)105と、を備えている。
また、本体制御部10は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホスト側とのデータ、信号の送受信を行なうためのホストI/F107と、記録ヘッド72を駆動制御するためのデータ転送手段を含む記録ヘッド72のヘッド制御部108、搬送モータ112を駆動するための搬送モータ駆動制御部109と、リニアエンコーダ116とホイールエンコーダ115からの検出パルス、環境温度を検出する温度センサ114からの検出信号、及びその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O(入出力部)106等を備えている。
本体制御部10には、このインクジェットプリンタに必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル110が接続されている。
本体制御部10は、ホスト側からの印刷データ等を、ケーブル又はネットを介してホストI/F107で受信する。本体制御部10のCPU101は、ホストI/F107に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。ASIC105は、必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、画像データをヘッド制御部108から記録ヘッド72に転送する。
なお、画像出力用のドットパターンデータの生成は、例えばROM102にフォントデータを格納して行ってもよい。また、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしてもよい。
ヘッド制御部108は、上述した画像データをシリアルデータで、記録ヘッド72に転送する。ヘッド制御部108は、後述する転送クロックやラッチ信号、インク滴吐出動作の開始基準となる基準信号、ヘッド駆動回路の動作のための動作クロック信号等を、記録ヘッドアレイ70の各記録ヘッド72のヘッド駆動回路111に出力する。
なお、インクは温度によって粘度が変化するため、パルス信号を生成するデータ(パルスデータ)は環境温度によって変える必要がある。そのため、温度センサ114から本体制御部10に記録ヘッド72近傍の温度データを入力する。ヘッド制御部108は、この温度データを基に、対応するパルスデータを選択してヘッド駆動回路111へ転送する。
本体制御部10は、記録ヘッド72を駆動制御するための駆動信号を生成するパルスデータと、制御対象となる記録ヘッド72の各ノズル45毎の吐出特性の区分を示すノズルランクデータを格納した、不揮発性メモリ104(NVRAM)を備えている。ヘッド制御部108は、印字データ受信時等の印字動作直前のタイミングにおいて、ヘッド駆動回路111にパルスデータとノズルランクデータを転送する。
なお、ノズルランクデータ(ドット径)は、ノズル径を計測してその計測したノズル径の数値分布を、複数のランクに区分して、その区分したデータをいう。また、ノズルランクデータ(着弾位置)は、同一のパルス信号、同一の吐出時間等の条件でインク滴を吐出したとき、印刷用紙にインク滴が着弾するときの位置を計測して、その着弾位置の位置ずれデータを、ドット径と同様に、複数のランクに区分してその区分したデータをいう。
ヘッド駆動回路111は、後述するように、シリアルデータで入力される記録ヘッド72のノズルランクデータや印字データに基づいて、そのパルス信号生成部で生成したパルス信号を選択し、記録ヘッド72の各圧電素子52に接続されるインバータに入力することで、アクチュエータ(上述した記録ヘッド72の構成では圧電素子52)を駆動する。
なお、ヘッド制御部108によるヘッド駆動回路111の制御については、後述する。
搬送モータ駆動制御部109は、CPU101側から与えられる目標値とホイールエンコーダ115からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて、制御値を算出して、内部のモータドライバを介して搬送モータ112を駆動する。
図8は、ヘッド駆動回路111のブロック図である。
ヘッド駆動回路111は、着弾位置の補正のためのタイミングパルス等を生成するタイミングパルス生成部201と、パルス信号選択部208に供給するパルス信号を生成するパルス信号生成部202と、ヘッド制御部108から印字データ又は駆動を行う記録ヘッド72のノズルランクデータ等が入力されるシフトレジスタ203と、シフトレジスタ203の印字データをラッチ信号によって一時的に格納する印字データ用のバッファ204と、シフトレジスタ203のデータをラッチ信号によってノズルランクデータを保持するレジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドット径)206と、タイミングパルス生成部201で生成されるタイミングパルスによりバッファ204の印字データを保持するレジスタ207と、複数のパルス信号から印字データ及びノズルランクデータに応じて、レベルシフタ209に転送するパルスを選択するパルス信号選択部208と、パルス信号選択部208から出力されたパルス信号を、インバータ回路210が動作可能となる電圧レベルに変換し、レベルを反転して出力するレベルシフタ209と、記録ヘッド72の各圧電素子52に接続され、圧電素子52の充放電を行うインバータ回路210と、着弾位置のノズルランクデータによりタイミングパルスを選択して出力するセレクタ211と、によって構成されている。
なお、ラッチ信号には、ここでは、上述した印字データをバッファ(印字データ)204に保持する信号、ノズルランクデータをレジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドット径)205に保持する信号のほか、タイミングパルス生成部201に接続されるタイミング生成基準信号305を含む。
シフトレジスタ203は、バッファ(印字データ)204、レジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドット径)206と接続され、バッファ(印字データ)204はレジスタ207に接続されている。
レジスタ(着弾位置)205、レジスタ(ドット径)206及びレジスタ(印字データ)207は、パルス信号選択部208に接続され、パルス信号選択部208はレベルシフタ209に接続されている。レベルシフタ209はインバータ回路210と接続され、インバータ回路210は圧電素子52と接続されている。また、セレクタ211は、タイミングパルス生成部201とレジスタ(着弾位置)205とに接続され、セレクタ211の出力はレジスタ207に供給される。なお、レジスタ(着弾データ)205、レジスタ(ドット径)206及びレジスタ(印字データ)207はヘッド駆動回路の記憶部(ノズルランクデータ及び印字データ記憶部)として機能する。
次に、ヘッド駆動回路111の各構成要素について概略的に説明する。
(タイミングパルス生成部201)
図9は、タイミングパルス生成部201のブロック図である。
タイミングパルス生成部201は、記録ヘッド72内の全てのノズル45で共通であり、記録ヘッド72毎に1つ設けられる。タイミングパルス生成部201は、カウンタ402と、転送クロックと同期して転送されるタイミングパルスデータを格納するレジスタ403、404、405と、レジスタ403〜405とカウンタ402とに接続された比較器406と、比較器406に接続されたフリップフロップ407と、から構成されている。
カウンタ402は、ここでは11ビットからなるカウンタであり、ヘッド制御部108から動作クロック301及びタイミング生成基準信号が入力される。カウンタ402の出力は、各比較器406に供給される。
各比較器406は、レジスタ403〜405のタイミングパルスデータとカウント値とを比較して、両者が一致した時に、動作クロック301の1クロック分の一致検出パルスを出力する。
フリップフロップ407は、比較器406から一致検出パルスがトリガ信号として入力されると、その毎に出力を反転し、タイミングパルスを出力する。
なお、タイミングパルスを生成する3個のレジスタ403〜405の値とカウンタ値と比較するため、比較器406は、1タイミングパルスで2個の構成となる。それぞれの比較器406の出力はOR論理回路で1つの出力にまとめられ(図示せず)、各フリップフロップ407に出力される。
また、図示していないが、タイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405は、すべてカスケード接続されており、シフトレジスタとして動作する。そのため、タイミングパルスデータはヘッド制御部108からシリアルデータとして転送される。なお、レジスタ403〜405は、タイミングパルス生成部201の記憶部として機能する。
(パルス信号生成部202)
図10は、パルス信号生成部202のブロック図である。
パルス信号生成部202は、記録ヘッド72内の全てのノズル45で共通のものである。つまり、パルス信号生成部202は、記録ヘッド72毎に1つ設けられる。
パルス信号生成部202は、動作クロック301をカウントする11ビットで構成された3つのカウンタ501、502、503と、パルス信号を生成するためのパルスデータを格納する大滴データA、B、Cの各レジスタ504(大滴Cは図示せず)、中滴データのレジスタ505(Aのみ図示)、小滴データのレジスタ506(Aのみ図示)、全ノズル45に共通する微駆動データのレジスタ507、各レジスタ504〜507のレジスタの値とカウンタ値とを比較する比較器508、比較器508から出力される一致検出パルスをトリガとしてパルス信号を生成するフリップフロップ509と、から構成されている。
動作クロック301は、カウンタ501〜503のカウント用である。生成されるパルス信号のレベル反転のタイミングは、動作クロック301に同期している。したがって、動作クロック301の周波数が高周波数になるほど、パルス信号を高分解能で生成することができる。
タイミングパルス302〜304は、カウンタ501〜503のリセット端子に接続される。
カウンタ501〜503は、ヘッド制御部108から動作クロック301が入力され、タイミングパルス生成部201からのタイミングパルス302〜304が入力される。カウンタ501〜503の出力は各比較器508に供給される。
ここで、大滴、中滴、小滴、微駆動データのレジスタ504〜507は、いずれもパルス信号の構成パルスを2進数11ビッドで表わしたデータが格納される。大滴データは5構成パルス(パルス信号を構成するパルスを、ここでは構成パルスという)×2個(立上り、立下り)=10個、中滴データは3構成パルス×2個=6個、小滴データは1構成パルス×2個=2個、微駆動データは1構成パルス×2個=2個のデータで構成される。
大滴、中滴、小滴の各滴データに、3種類のA、B、Cの区別を設けたのは、ドット径のノズルランクにより、パルス信号のパルス幅、パルス間隔、構成パルス数等が異なるためである。つまり、予めノズルランクによる吐出ばらつきを補正する複数のパルス信号を、ここでは3種類準備し、そのパルスデータをA、B、Cとしている。なお、ドット径のノズルランクは、ノズル径を計測してその計測したノズル径の数値分布を、ここでは、3つのランク「A〜C」に区分したその区分をいう。
また、微駆動のパルス信号は、実際に吐出を行わずノズル面のメニスカスを揺らすのみの信号である。本実施形態では行わないが、ノズルランク毎に微駆動パルスを用意し、微駆動についてもノズルランク毎にパルス信号を生成するような構成にしてもよい。
比較器508は、カウンタ501〜503とパルス信号を生成するパルスデータを格納するレジスタ504〜507とに接続される。比較器508の出力は、生成するパルス信号毎に設けられたフリップフロップ509に接続される。
フリップフロップ509は、比較器からの一致検出パルスをトリガとして出力を反転させ、タイミングは異なるがパルス幅やパルス位置はそれぞれ同じ、3種類のパルス信号a、b、cを生成する。
図11は、図10に示すパルス信号生成部202の大滴データのレジスタ504の一例である。
大滴データのレジスタ504は、11ビットの10個のレジスタからなる。即ち、レジスタ504は、図11に示すように、それぞれ11ビットで、最初が第1パルス立下り、2番目が第1パルス立上り、以下第2パルスから第5パルスと続き、最後が第5パルス立上りの計10個のパルスデータを格納する。
なお、図示していないが、パルス信号生成部202のレジスタ504〜507は、すべてカスケード接続されており、シフトレジスタとして動作する。そのため、パルスデータはヘッド制御部108からシリアルデータで転送される。なお、レジスタ504〜507は、パルス信号生成部202の記憶部として機能する。
また、比較器508の構成は、タイミングパルス生成部201の比較器406と同様に、10個のレジスタからなる大滴パルスデータでは、レジスタ値がそれぞれカウンタ値と比較されるため、比較器508は大滴データAの場合で10個の構成となる。10個の比較器508の出力はOR論理回路で1つの出力にまとめられ(図示はせず)、各フリップフロップ509の入力となり、出力するパルス信号のレベルを反転させる。
図12は、レベルシフタ209の出力信号と圧電素子52へ印加される駆動信号との関係を示す図である。
図12の上部にはパルス信号を、下部には圧電素子52に印加される駆動信号の電圧を示している。
図示のように、後述するレベルシフタ209から出力されるパルス幅Pwのパルス信号がインバータ回路210に印加されると、インバータ回路210と圧電素子52で構成される回路の時定数で定まる立上り時間Tr、立下りの時間Tfで、圧電素子52の電圧が変化する。つまり、圧電素子52は充放電を繰り返し、ノズル45からインクが吐出される。
図13は、図12に示す1パルスの駆動信号を圧電素子52に印加した時の、パルス幅Pwに対する吐出滴速度と吐出滴量の特性を示す図である。即ち、図13Aは、パルス幅Pwと吐出滴速度の関係を、また、図13Bはパルス幅Pwと吐出滴量の関係を示す図(グラフ)である。
吐出滴速度、吐出滴量は、図示するように、圧電素子52に印加する電圧のパルス幅Pwによって変動する。本実施形態は、この特性を利用しパルス信号のパルス幅Pwを吐出特性に応じて調整する。
ただ、図示するように、パルス幅Pwを変更することによって吐出滴速度と吐出滴量のどちらとも変動し、その度合いはそれぞれ異なる。そのため、パルス幅Pwの調整のみで所望の吐出滴速度と吐出滴量となるように補正することは困難である。
ここでは、所望の吐出滴量が得られるようにパルス幅Pwを変更するが、その場合、吐出滴速度に関しては、所望の速度を得られない場合が生じる。そこで、所望の速度のときの着弾位置が得られるように、パルス信号のタイミング(液滴吐出開始の時間)を変更する。これによって、吐出滴速度のばらつきによって生じる着弾位置のばらつきを補正することができる。
図13Bのパルス幅Pwに対する吐出滴量特性によると、パルス幅Pwを変更することによる吐出滴量の補正域は小さい。そのため、パルス幅Pwによる補正は主として微量の吐出補正が必要な場合に実施する。所望の吐出滴量に対するばらつきが大きい場合には、パルス信号に、補正する吐出滴量に相当するパルス幅Pwのパルスを加算することで吐出滴量を補正する。
(パルス信号選択部208)
次に、パルス信号選択部208の回路構成について説明する。
図14は、パルス信号選択部208のブロック図である。パルス信号選択部208は、入力された複数のパルス信号の中から、記録ヘッド72の各ノズル45の吐出制御に使用するパルス信号を選択する回路である。パルス信号選択部208には、パルス信号を選択するために、吐出毎にレジスタ207に保持される印字データと、印字前にレジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドッド径)206内に格納されているノズルランクデータが入力される。
パルス信号選択部208は、図14に示す回路構成が記録ヘッド72のノズル数と同数分の記録ヘッド72に設けられる。
パルス信号選択部208は、大滴選択部601、中滴選択部602、小滴選択部603と1個のマルチプレクサ606で構成される。
大滴選択部601には、ノズルランクによる着弾位置の補正のためのパルス信号a、b、cを選択する3個のマルチプレクサ604と、マルチプレクサ604で選択された大滴A、B、Cの各パルス信号をノズルランクのドット径により選択する1個のマルチプレクサ605とで構成される。なお、ノズルランクによる着弾位置の補正は、同一のパルス信号、同一の吐出時間等の条件でインク滴を吐出したとき、印刷用紙にインク滴が着弾するときの位置を計測して、その着弾位置の位置ずれデータを、ドット径の場合と同様に、ここでは3つのランクに区分し、その区分に応じて行う補正をいう。
中滴選択部602と小滴選択部603は、大滴選択部601と同じ構成であるため、説明は省略する。
大滴選択部601、中滴選択部602、小滴選択部603で選択されたパルス信号は、マルチプレクサ606に入力され、マルチプレクサ606で選択された1つのパルス信号が、レベルシフタ209へ出力される。
ここでは、パルス信号選択部208は、1〜3段の3段階のそれぞれマルチプレッサで構成されたパルス信号選択段で構成される。
図14に示すように、1段目のパルス信号選択段は、大滴、中滴、小滴毎のパルス信号数に対応した数のマルチプレクサ604で構成されており、記録ヘッド72の各ノズル45に入力されるパルス信号a、b、cのいずれかのパルス信号が選択される。1段目のパルス信号選択段には、パルス信号生成部202で生成された全てのパルス信号が入力される。1段目のパルス信号選択段は、ノズルランクデータ(着弾位置)に基づいて、記録ヘッド液滴吐出に使用するタイミングのパルス信号を選択する。
即ち、1段目のパルス信号選択段は、大滴選択部601では、大滴A〜Cの各ノズルランクのパルス信号a、b、c毎に、マルチプレクサ604が設けられており、大滴A〜Cの各ノズルランク毎に生成されたパルス信号が入力される。大適選択部601には3つのマルチプレクサ604が設けられている。
この3つのマルチプレクサ604には、着弾位置に応じた記録ヘッド72のノズルランクデータが選択信号として入力され、ノズルランクと一致する1つのパルス信号がそれぞれのマルチプレクサ604から出力される。
中滴A〜C、小滴A〜Cについても、大滴A〜Cの場合と同様であり、説明は省略する。
2段目のパルス選択段は、大滴、中滴、小滴毎に一つずつ設けたマルチプレクサ605で構成されており、ここでは、記録ヘッド72の各ノズル45に入力されるパルス信号がドット径のノズルランク(A、B、C)により選択される。ノズルランクデータ(ドット径)に基づいた、大滴、中滴、小滴毎の異なるA、B、Cのパルス信号が入力され、そのなかから一つの大滴、中滴、小滴毎のパルス信号が選択される。
3段目のパルス選択段は1つのマルチプレクサ606によって構成されており、前段のマルチプレクサ605によって選択された各パルス信号(大滴、中滴、小滴)とパルス信号生成部202から微駆動パルスが入力される。パルス信号の選択信号は印字データが入力されており、印字データに応じて大滴、中滴、小滴、微駆動のいずれかのパルス信号が選択される。
マルチプレクサ606から出力される選択された1つのパルス信号がレベルシフタ209に送られ、電圧レベルが変換され、レベルを反転してインバータ回路210に印加される。これにより、ノズルヘッドの加圧室46の圧力が変化し、インク滴がノズル45より摘出され、印字動作が行われる。
以上、説明したパルス信号選択部208の選択機能により、パルス信号生成部202で生成された複数のパルス信号が、記録ヘッド72のノズル45毎の吐出特性に合わせて1つのパルス信号に選択されることになり、ノズル45毎の吐出補正が実現できる。
(セレクタ211)
図15は、セレクタ211のブロック図である。
パルス信号選択部208と同じ機能を有するセレクタ211は、図15に示すように、マルチプレクサ607を1個備えている。
マルチプレクサ607に、タイミングパルス生成部201で生成した3つのタイミングパルス302〜304が入力される。ノズルランク(着弾位置)のデータを格納したレジスタ(着弾位置)205のノズルランクデータにより、一つのタイミングパルスが選択され、レジスタ207へ印字データを格納する信号として出力される。
なお、セレクタ211は、パルス信号選択部208と同様に、ノズル数と同数の記録ヘッド72に設けられる。
(インバータ回路210)
図16は、インバータ回路210と圧電素子52の構成を示す回路図である。
本ヘッド駆動回路111のインバータ回路210は、図示のように、圧電素子52毎に1つのインバータ210Aが設けられ、ノズル数分のインバータ210Aによって構成される。
インバータ回路210の給電部には、圧電素子52の駆動電圧VHが印加される。また、インバータ回路210の出力は、圧電素子52の個別電極63と接続されており、図12の下部に示すように、パルス信号の論理反転した信号(駆動信号)に応じて圧電素子52の充電、放電を行う。
図17は、図16に示すインバータ210Aの基本動作を示す図である。
インバータ210Aを構成する各MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)210Tのゲート部には、パルス信号が入力される。なお、インバータ回路210に入力される「パルス信号」は、後述するヘッド駆動回路111のレベルシフタ209(図8)から出力され、パルス信号生成部202で生成したパルス信号を、インバータ回路210が動作可能となる電圧レベルに変換し、レベルを反転した信号である。
入力されるパルス信号のレベルがLowレベルのときは、Pch(P channel)のMOSFET210TがONし、Nch(N channel)のMOSFET210TがOFFとなる。これにより、PchのMOSFET210Tを介して圧電素子52と駆動電圧VHが短絡され、圧電素子52の電圧は駆動電圧VHに充電される。
入力されるパルス信号がHiレベルのときは、PchのMOSFET210TがOFFし、NchのMOSFET210TがONとなる。これにより、NchMOSFET210Tを介して圧電素子52とグランド(GND)が短絡される。そのため、圧電素子52は放電され電圧はグランドレベル(0V)となる。
インバータ回路210を構成する各MOSFET210Aにはオン抵抗があり、オン抵抗と圧電素子52の静電容量により時定数が定められ、圧電素子52の電圧は立上り、立下りの時間はTr、Tfとなる(図12)。例えば、圧電素子52の静電容量が1000pF、各MOSFET210Aのオン抵抗が200Ωとすると、立上り/下がり時間Tr、Tfは約450ns程度となる。
圧電素子52の駆動信号の電圧の変動に伴い圧電素子52が伸縮することにより、ノズル面のメニスカスが変動してインク滴が吐出される。
本実施形態に係るインクジェットプリンタは、上記のように、圧電素子52の充放電を繰り返すことによって印字動作を行う。
既に述べたように、インク粘度は環境温度によって変化する。そのため、ヘッド制御部108は、パルスデータ転送時に、温度センサ114で検出した温度データに基づいて駆動電圧VHを可変にして、インバータ回路210に給電する。
以上で、ヘッド駆動回路111の各構成要素について概略的に説明したので、次に本実施形態の特徴に係る、タイミングパルス生成部201及びパルス信号生成部202におけるそれぞれのパルス信号の生成について、その実施形態をより詳細に説明する。
まず、図18を参照して、タイミングパルス生成部201におけるタイミングパルスの生成について説明する。
図18は、タイミングパルス生成部201のカウンタ402のカウント値と生成(又は出力)されるタイミングパルスとの関係を示すタイミング図である。
図中、上から、ヘッド制御部108からのタイミング生成基準信号305、動作クロック301、以下順に、カウンタ402の2進数11ビットのカウント値(10進数で表示)、比較器406の出力(一致検出パルス)、タイミングパルス302〜304(フリップフロップ407出力)の動作タイミングを示している。
図9に示すタイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405は、各タイミングパルス302〜304を発生させるタイミングパルスデータを格納している。このタイミングパルスデータは、印字動作前にヘッド制御部108からシリアルデータとして転送され、タイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405に格納されている。
タイミングパルス生成部201の動作は、タイミング生成基準信号がヘッド制御部108から入力されることで開始される。
なお、ここでは、1つのタイミングパルス302の生成について説明する。
タイミング生成基準信号305が入力されると、カウンタ402がリセットされる。カウンタ402は、次の動作クロック301の立上りからクロック数のカウントを開始する。図9に示すように、比較器406には、カウンタ402の出力とレジスタ403の出力が供給されており、カウント値とレジスタ403の値を比較している。
レジスタ403の一つのデータが「00000000010(2進数)」であった場合に、カウンタ値が「2」になったとき、比較器406は2つの値が一致したと判定し、一致検出パルスを動作クロックの1クロック分フリップフロップ407に出力する。
フリップフロップ407は、印字動作前には初期値はHighレベルに設定されており(図示はせず)、一致検出パルスの立上りで出力をLowレベルに反転させる。
その後、レジスタ403のもう一つのデータが「00000000110(2進数)」の場合に、カウンタ501のカウント値が「6」となったとき、比較器406は、2つの値が一致したと判定し、2つ目の一致検出パルスをフリップフロップ407に出力する。
フリップフロップ407は、2つ目の一致検出パルスにより、出力をHighレベルに反転させる。
以上、レジスタを構成する2つのレジスタ403により、タイミングパルスが生成される。ここでは、タイミングパルス302について説明したが、タイミングパルス303及び304は、タイミングパルス302と生成されるタイミングが異なるのみでタイミングパルスの生成動作は同じである。よって、説明は省略する。
このように、タイミングパルスデータを格納するレジスタを2つ設け、1つのレジスタにタイミング生成基準信号305の入力からタイミングパルスの立下り時間までの動作クロック数を2進数で格納し、もう1つのレジスタにタイミングパルスの立上り時間までの動作クロック数を2進数で格納することで所望のタイミングパルスを生成することができる。
このタイミングパルスは、図8に示すように、パルス信号生成部202と、セレクタ211に出力される。
以上説明したように、タイミングパルス生成部201は、タイミング生成基準信号305をトリガとして、タイミングパルスデータの1組2個のレジスタ組数分のタイミングパルスを生成する。本実施形態では、図9に示すように、タイミングパルス生成部201は3つのタイミングパルスを生成する。
なお、タイミングパルス数は、3つに限るものではなく、着弾位置のノズルランクにより増減してもよい。
次に、図19を参照して、パルス信号生成部202におけるパルス信号の生成について説明する。
図19は、パルス信号生成部202のカウンタ501〜503のカウント値と生成されるパルス信号との関係を示すタイミング図である。ここでは、パルス信号の2つの構成パルスの生成を示す。
なお、図19のタイミングパルス(基準信号)の入力から1パルス目の立上りまでのタイミングの部分は、図18に示すものと同じである。
図中、上から、タイミングパルス302、303、304のいずれかの動作タイミング、以下順に、ヘッド制御部108からの動作クロック301、パルス信号生成部202のカウンタ501〜503の2進数11ビットのいずれかのカウント値(10数で表示)、比較器508の出力(一致検出パルス)、パルス信号(フリップフロップ509出力)の動作タイミングを示している。
パルス信号生成部202は、図10に示すように内部にカウンタ501〜503と、生成するパルス信号のデータが格納されたレジスタ504〜507を内蔵している。タイミングパルス生成部201からの3種のタイミングパルス302〜304とレジスタ504〜507のパルス信号のデータである滴種(大滴、中滴、小滴、微駆動)データに基づきパルス信号a、b、cが生成される。
生成されたパルス信号a、b、cは、パルス信号選択部208で選択され、レベルシフタ209から本発明の駆動信号生成部に対応するインバータ回路210へ送られ、各ノズル45に対応したパルス信号に基づき生成された駆動信号により各ノズル45から液滴が吐出される。
本実施形態では、パルス信号生成部202内にパルス信号のデータを格納するレジスタ504〜507を備えているため、印字時において、パルス信号を生成するデータを液滴の吐出毎にヘッド制御部108から転送する必要がない。したがって、データ転送時間が短縮でき印字速度が向上するとともに、配線数を従来の液滴吐出装置に対して少なくすることが出来る。
タイミングパルス302〜304は3種類入力されているが、各タイミングパルスによる動作は同じである。ここでは、タイミングパルス302と大滴データA(レジスタ504)について、図10、図19を参照してパルス信号の生成について説明する。
最初に、タイミングパルス生成部201からタイミングパルス302が入力される。タイミングパルス302は、上述したように着弾位置の補正の場合は、補正のため液滴吐出開始のタイミングをずらしたタイミング生成基準信号305のことである。
なお、タイミングパルス302の入力後、パルス信号の第1構成パルスの立下り、立上りの動作は図18のタイミングパルスと同様の動作となるので、省略する。
パルス信号の第1の構成パルスが生成され、第3のレジスタ値(ここでは10進数で「10」)とカウント値の比較により、カウント値が「10」となったときに、パルス信号の第2の構成パルスが立下る。第4のレジスタ値(ここでは10進数で「12」)とカウント値の比較により、カウント値が「12」となったときに、第2の構成パルスが立上る。以下、大滴用のレジスタ504とカウント値の比較により、10回の一致検出パルスが出力され、パルス信号の5つの構成パルスが生成される。
ここで、図10に示す比較器508は、上述したようにレジスタ504の10個のレジスタに対応して設けられる。また、比較器508の10個の出力は、OR論理回路で1つの出力にまとめられて(図示はせず)、各フリップフロップ509に出力される。
なお、タイミングパルス303及び304によるパルス信号生成の動作はタイミングパルス302と同じであり、説明は省略する。また、大滴B、Cの場合でも同じ動作であり、中滴、小滴、微駆動の場合でも構成パルス数は、大滴と異なるが、パルス信号の生成は同様であるため、説明を省略する。
図20は、図19とは別のパルス信号生成部202のカウンタ501〜503のカウント値と生成されるパルス信号との関係を示すタイミング図である。図19とはパルス信号のパルス幅が異なっている。
図20で示すパルス信号が反転するカウンタ501〜503のカウント値はそれぞれ10進数の「2」と「8」である。即ち、この場合の1構成パルスを生成する2つのレジスタ、例えば大滴データAのレジスタ504のパルスデータは、「00000000010(2進数)」と「00000001000(2進数)」に設定されている。
ここで、パルス信号生成部202から出力されるパルス信号の数(種類)は、パルス信号生成部202が格納するパルス信号のデータ数とタイミングパルス302〜304の数を乗算したものとなる。
即ち、タイミングパルスが入力されたパルス信号生成部202では、図10を参照して説明したように、大滴A、B、Cの3種類、中滴A、B、Cの3種類、小滴A、B、C3種類と微駆動の1種類の計10種類のパルスデータに基づいて、3つのタイミングパルスとの組み合わせにより、合計30種類のパルス信号が生成される。つまり、パルスデータは、大、中、小各3つと微駆動の1つの計10のデータと3つのタイミングパルスデータの合計13種類のデータにより、30種類のパルス信号を生成することができる。
そのため、本実施形態では、30種類のパルスデータ及びタイミングパルスデータをヘッド駆動回路111に格納する必要がなく、補正に必要なデータ量を少なくすることができる。
即ち、パルス信号を生成するパルスデータは30種類から13種類で済むことになり、ヘッド駆動回路に格納するレジスタ(メモリ)を減らすことができる。
なお、本実施形態では、パルス信号生成部202は、レジスタ504〜507、カウンタ501〜503、比較器508及びフリップフロップ509で構成されている。
パルスデータは11ビットの構成であることから、動作クロック数2048(2の11乗)の時間内に5構成パルス(大滴用の場合)のパルス信号を生成する。
このパルス信号のデータを変換して圧縮し、ヘッド駆動回路111に送信し、ヘッド駆動回路111内で元のデータに復元する方法としてもよい。
次に、本実施形態の記録ヘッド72の各ノズル45の吐出補正について説明する。
上述したように図8に示すタイミングパルス生成部201及びパルス信号生成部202は、記録ヘッド72内のすべてノズル45で共通としている。したがって、ここでは、各記録ヘッド72毎の吐出特性に応じたタイミングパルスデータをタイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405に、及びパルスデータをパルス信号生成部202のレジスタ504〜507に格納することで吐出補正のパルス信号を生成する。
即ち、各記録ヘッド72毎の吐出特性に応じて、タイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405のタイミングパルスデータ、及びパルス信号生成部202のレジスタ504〜507のパルスデータを変更することで、各記録ヘッド72の吐出補正が可能となる。記録ヘッド72の各ノズル45の吐出補正は、各ノズル45に備えられたパルス信号選択部208によってパルス信号が選択され、ノズル45毎の吐出補正が実施される。
図21は、パルス信号生成部202が出力するパルス信号の一例(大滴)を示す図である。タイミングパルス302〜304により生成された大滴A、B、Cのパルス信号の例である。
図中、上から、タイミング生成基準信号305、以下順に、タイミングパルス302〜304、大滴Aのパルス信号a、大滴Bのパルス信号a、大滴Cのパルス信号a、大滴Aのパルス信号b、大滴Aのパルス信号cを示している。
タイミングパルス生成部201にタイミング生成基準信号305が入力されると、タイミングパルスの生成が開始される。生成されたタイミングパルス302〜304が、パルス信号生成部202に入力されると、各タイミングパルス302〜304の立下りエッジをトリガとして、パルス信号の生成が開始され、図に示すように、ここでは、タイミングパルス302〜304のそれぞれのタイミングで、ノズル45を駆動するための8個のパルス信号が出力される。図21で示すパルス信号では大滴用データのレジスタ504は、16個の構成としている。
なお、大滴BとCのパルス信号b、大滴BとCのパルス信号cは、それぞれ省略している。
図22は、パルス信号生成部202が出力するパルス信号の一例を示す図である。タイミングパルス302〜304の1つのタイミングパルスにより生成される大滴、中滴、小滴、微駆動のパルス信号の例である。
即ち、大滴A〜Cでは、5つの構成パルスでパルス幅の異なるパルス信号が示されており、また、中滴は3つの構成パルス、小滴は1つの構成パルス、微駆動は1つの構成パルスのパルス信号が示されている。なお、図中、中滴、小滴のパルス信号は一部(中滴B、C、小滴B、C)を省略している。
なお、パルス信号生成部202を、各ノズル45毎又は複数のノズル45をまとめた吐出ブロック毎に複数設けた構成としてもよい。各パルス信号生成部202からは対応するノズル45毎又は吐出ブロック毎の吐出特性に適したパルス信号が生成されるため、ノズル45毎又は吐出ブロック毎の吐出補正が可能となる。
この場合のパルス信号生成部202は、複数のパルス信号を生成するのではなく、ノズル45毎又は吐出ブロック毎の特性に合わせた大滴、中滴、小滴、微駆動の4種類のパルス信号を生成する。この場合は、パルス信号を生成するための図10に示すレジスタ504〜507は、大滴、中滴、小滴、微駆動の4つで済み、上述した実施形態よりもレジスタ数が減少する。
ここで、ノズル45毎又は吐出ブロック毎の特性に合わせたパルス信号生成部202とした場合、1つのレジスタのみでパルス信号を生成するため、パルス信号を選択しないことから、パルス信号を生成するレジスタ504〜507の構成数を増加して、構成パルスを追加する場合やパルス信号の構成パルスの位置を変更する場合が発生する。その方法について説明する。
2個のパルスデータを追加する予備領域を設けて、大滴であれば計12個のレジスタとして、6構成パルスとすることもできる。また、中滴の場合は計8個、小滴の場合は計4個のレジスタの構成となる。追加のレジスタは2個に限られるものではなく、追加する構成パルス数に合わせて追加してもよい。
次に、構成パルスのパルス幅や構成パルスの位置を変更する場合と構成パルスを追加する場合(総称してパルス補正という)について説明する。
図23は、パルス補正の例を説明する図である。小滴パルスにおけるパルス補正の例を説明するものである。
図中、初期設定パルスは、基本となるパルス信号であり、補正前の段階では記録ヘッド72内のすべてのノズル45でこの小滴の初期設定パルス信号が用いられる。この初期設定パルスで所望の吐出特性(吐出滴量、着弾位置)を満足している場合にはパルス補正は実施しない。
変更パターン例1は、構成パルスのパルス幅を変更した場合のパルス信号の補正例である。この例では吐出滴量を微調整するために、パルス幅を変更している。なお、パルス幅を変更することにより吐出滴速度が変動し着弾位置がずれる。そのため、パルス幅変更による着弾位置ずれを元に戻すために、パルスの生成位置(タイミング)を変更する。この例では、パルス幅変更により吐出滴速度が上昇したことを想定して、パルスの生成位置の時間軸を後にずらしている。
変更パターン例2は、パルス信号の構成パルスを追加する場合のパルス信号の補正例である。この例では、吐出滴量を増加させるために、初期設定パルスの後に1つの構成パルスを追加している。構成パルスを追加する場合には、追加する構成パルスの吐出液滴が、初期設定パルスにより吐出される液滴と着弾する前に空中合体する必要がある。そのため、追加の構成パルスの吐出滴速度は初期設定パルスよりも速い速度の液滴が吐出されるパルス幅のものが用いられる。
ここで示す例は、小滴のパルス信号の補正であるが、複数パルスで構成され空中合体を前提として液滴を吐出する。大又は中滴用のパルス信号では、最初と最後の構成パルスの間のどこかに構成パルスを追加すれば、追加したパルスの速度によらず吐出液滴の空中合体が可能である。したがって、パルス幅の制約がなくなる。
変更パターン例2では、構成パルスの追加の例を吐出滴量の調整用とした。しかし、追加するパルス幅を液滴が吐出しない幅に設定することで、追加する構成パルスをメニスカス制振用途として使用することもできる。
構成パルスを追加するために予備領域に追加のレジスタを設けた場合に、パルス信号に構成パルスを追加しないときは、予備領域にはダミーのデータを格納すればよい。ダミーデータとしては、パルス信号の生成に使用するパルスデータと同じデータを入力する。例えば、予備領域のデータを第一パルスの立下りデータを格納すると、図10に示す比較器508により一致検出パルスの出力が、第1パルス立下り領域のデータと予備領域のデータが同時となる。そのため、生成されるパルス信号は予備領域がない場合と同じになる。
最後に、以上で説明した各パルス信号を用いて行う本実施形態の印字動作について説明する。
再び、図8を参照して、まず、印字動作直前のヘッド制御部108からヘッド駆動回路111へのデータ転送について説明する。
印字動作前において、いずれもシリアルデータを、(i)タイミングパルス生成部201のレジスタ403〜405、(ii)パルス信号生成部202のレジスタ504〜507、及び(iii)ノズルランクのレジスタ(着弾位置)205とレジスタ(ドット径)206に、それぞれ転送する。
まず、(i)印字動作直前のタイミングパルス生成部201へのタイミングパルスデータのデータ転送について説明する。
図8に示すように、タイミングパルス生成部201には、ヘッド制御部108からシリアルデータ(タイミングパルスデータ)が転送され、タイミングパルス生成部201に設けられたタイミングパルスのレジスタ403〜405にタイミングパルスデータが格納される。
このタイミングパルスデータは、本体制御部10内に設けられている不揮発性メモリ104に格納されたデータである。各レジスタ403〜405は上述したように、シフトレジスタのみの構成であり、そのシフトレジスタ同士がカスケード接続されているため、ヘッド制御部108からシリアルでデータが転送される。
次に、(ii)パルス信号生成部202へのシリアルデータ(パルスデータ)の転送について説明する。
ヘッド制御部108から、パルス信号生成部202へ各ノズル45の吐出特性に応じたパルス信号の生成のためのパルスデータがシリアルで転送される。このパルスデータは、本体制御部10内に設けられている不揮発性メモリ104に格納されたデータである。パルス信号生成部202の各レジスタ504〜507は、上述したように、シフトレジスタのみの構成であり、そのシフトレジスタ同士がカスケード接続されているため、ヘッド制御部108からシリアルでデータが転送される。
図8に示すように、モード信号線を設けることで、シフトレジスタ203と、ラッチ信号線は、印字動作前と印字中で共用することができる。
なお、このような構成ではなく、ヘッド制御部108からレジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドッド径)206へのデータ転送配線を別途設けるような構成にしてもよい。
次に、(iii)印字動作前のデータ転送におけるノズルランクデータの転送について説明する。
ノズルランクデータは、着弾位置のデータとドット径の2種類のデータがある。これらのデータは、ヘッド制御部108からヘッド駆動回路111のシフトレジスタ203にシリアル転送される。シフトレジスタ203のデータは、モード信号(印字動作前と印字動作中でラッチ信号とシフトレジスタ203の接続先を切り替える信号)により、レジスタ(着弾位置)205又はレジスタ(ドッド径)206が選択され、ラッチ信号によってレジスタ(着弾位置)205又はレジスタ(ドッド径)206に格納される。
また、ノズルランクデータを格納するレジスタ(着弾位置)205及びレジスタ(ドッド径)206には、印字動作時には既に着弾位置及びドット径に関するデータが格納されており、印字動作中はデータの書き換え処理を行われない。
上記3つのパターン(i)〜(iii)のシリアルデータの転送順序は、印字直前であれば、いずれが先であってもよい。シフトレジスタ203へのシリアルデータ転送信号線、ラッチ信号線は印字動作時とそれぞれ共通で使用できるため、ヘッド制御部108とヘッド駆動回路111の信号線数を減らすことができる。
次に、印字動作中の印字データの転送及び印字動作について説明する。
図8に示すシフトレジスタ203には、転送クロックと同期して印字データが入力される。シフトレジスタ203の印字データは、ラッチ信号が入力されると印字データ用のバッファ204に保持される。この時、シフトレジスタ203の印字データが他のレジスタに保持されることを防ぐため、モード信号により印字データ用のバッファ204を選択する。
ノズル45からの吐出のタイミング毎に、セレクタ211においてノズルランクデータで選択されたタイミングパルスにより、印字データ用のバッファ204から、印字データ格納用のレジスタ207に、印字データが格納される。
なお、図8に示すバッファ204の印字データを、タイミング生成基準信号305によってレジスタ207に保持しないのは、次の理由による。
即ち、本実施形態では、着弾位置の補正のためにタイミングパルスにより吐出開始のタイミングをずらす方法を採っている。このため、レジスタ207への印字データの保持もノズルランクデータにより選択されたタイミングパルスに合わせないと、基準信号では印字データの保持がパルス信号と比べてずれてしまい、吐出開始のタイミングにより印字データがずれてしまうことがあるためである。
印字データがレジスタ207に格納されると同時に、動作クロック301、タイミング生成基準信号305、及びタイミングパルス302〜304によって、レジスタ504〜507に格納されたパルスデータによってパルス信号が生成される。印字動作直前に転送されていたノズルランクデータ(着弾位置及びドット径)と、レジスタ207に格納された印字データにより、各ノズル45に対応したパルス信号が選択される。そのパルス信号が各ノズル45のインバータ回路210に出力され、ノズル45からインク滴が吐出する。吐出タイミング毎に、以上の動作が繰り返して行われ、これにより印刷が行われる。
以上、本発明の実施形態について説明した。本実施形態では、ドット径はパルス信号データを変更することで補正し、着弾位置はパルス信号を生成するタイミングを変更することで補正する。これにより、補正のために必要なデータは、ドット径のみを補正するパルスデータと、着弾位置を補正するタイミングパルスデータのみとなるため、画像記録装置において、記録ヘッドの濃度及び位置ずれの補正に必要なデータ量を従来よりも少なく、かつ処理を単純化できると共に必要なメモリ容量を低減することができる。
このように、本実施形態では、ノズルランクデータを用いたことにより、繋ぎ部の印字画像にはバンディングや白スジを伴うという問題がなく、しかも、記録ヘッドの濃度及び位置ずれの補正に必要なデータ量を従来よりも少なくして、処理を単純化するとともに必要なメモリ容量を低減することができる。
10・・・本体制御部、41・・・流路板、41a・・・隔壁、42・・・振動板、43・・・ノズル板、44・・・フレーム部材、45・・・ノズル、45a・・・ノズル連通路、46・・・加圧室、47・・・流体抵抗部、48・・・共通液室、49・・・インク供給口、52・・・圧電素子、53・・・ベース基板、54・・・支柱部、55・・・薄肉部(ダイアフラム部)、56・・・厚肉部(島状凸部)、57・・・厚肉部、61・・・圧電層、62・・・内部電極、63・・・個別電極、64・・・共通電極、65・・・FPC(フレキシブルプリント配線板(ケーブル))、108・・・ヘッド制御部、111・・・ヘッド駆動回路、201・・・タイミングパルス生成部、202・・・パルス信号生成部、203・・・シフトレジスタ、204・・・バッファ(印字データ)、205・・・レジスタ(ノズルランク、着弾位置)、206・・・レジスタ(ノズルランク、ドット径)、207・・・レジスタ(印字データ)、208・・・パルス信号選択部、209・・・レベルシフタ、210・・・インバータ回路、211・・・セレクタ、301・・・動作クロック、302〜304・・・タイミングパルス、305・・・タイミング生成基準信号、402・・・カウンタ、403〜405・・・レジスタ(タイミングパルスデータ)、406・・・比較器、407・・・フリップフロップ、501〜503・・・カウンタ、504・・・レジスタ(大滴データ)、505・・・レジスタ(中滴データ)、506・・・レジスタ(小滴データ)、507・・・レジスタ(微駆動データ)、508・・・比較器、509・・・フリップフロップ、601・・・大滴選択部、602・・・中滴選択部、603・・・小滴選択部、604〜607・・・マルチプレクサ。
特開2006−218766号公報 特開2007−216576号公報

Claims (10)

  1. 液滴を吐出する記録ヘッドのヘッド駆動回路であって、
    吐出液滴のタイミングに関するタイミングパルスデータを複数格納する記憶部を備え、前記液滴の着弾位置の補正のために、前記タイミングパルスデータに基づき液滴吐出開始のタイミングを補正するタイミングパルスを複数生成するタイミングパルス生成部と、
    吐出液滴のドット径に関するパルスデータを複数格納する記憶部を備え、前記パルスデータと前記タイミングパルスの一つに基づき、前記記録ヘッドの各圧電素子に接続された駆動信号生成部に印加するパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記パルス信号に基づきヘッドの駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    を備えたヘッド駆動回路。
  2. 請求項1に記載されたヘッド駆動回路において、
    前記記録ヘッドの各ノズルの吐出特性の区分を示すノズルランクデータ及び印字データのノズルランクデータ及び印字データ記憶部と、
    複数のパルス信号から前記ノズルランクデータに基づき一つのパルス信号を選択するパルス信号選択部と、
    を備えたヘッド駆動回路。
  3. 請求項2に記載されたヘッド駆動回路において、
    前記タイミングパルス生成部及び前記パルス信号生成部を、前記記録ヘッド毎に設けたヘッド駆動回路。
  4. 請求項1に記載されたヘッド駆動回路において
    前記パルス信号生成部を、各ノズル毎又は複数のノズルをまとめた吐出ブロック毎に複数設けたヘッド駆動回路。
  5. 請求項2ないし4のいずれかに記載されたヘッド駆動回路において、
    前記パルス信号選択部は、前記記録ヘッドの各ノズルに設けられ、前記ノズルの吐出特性に応じた前記パルス信号を選択するヘッド駆動回路。
  6. 請求項2ないし5のいずれかに記載されたヘッド駆動回路において、
    前記ノズルランクデータにより、前記印字データを前記ノズルランクデータ及び印字データ記憶部に格納するタイミングパルスを選択するセレクタを備えたヘッド駆動回路。
  7. 請求項2ないし6のいずれかに記載されたヘッド駆動回路において、
    前記パルス信号選択部は、前記パルス信号生成部で生成された複数のパルス信号を前記記録ヘッドのノズルランクデータと印字データに基づき選択するヘッド駆動回路。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載されたヘッド駆動回路を備えた記録ヘッド。
  9. 請求項8に記載された記録ヘッドを備えた画像記録装置。
  10. 液滴を吐出する記録ヘッドのヘッド駆動回路のヘッド駆動方法であって、
    前記液滴の着弾位置の補正のために、記憶部に格納された複数の吐出液滴のタイミングに関するタイミングパルスデータに基づき、液滴吐出開始のタイミングを補正するタイミングパルスを複数生成するタイミングパルス生成工程と、
    吐出液滴のドット径に関するパルスデータを複数格納する記憶部に格納されたパルスデータと、前記タイミングパルスの一つに基づき、前記記録ヘッドの各圧電素子に接続された駆動信号生成部に印加するパルス信号を生成するパルス信号生成工程と、
    前記パルス信号に基づきヘッドの駆動信号を生成する工程と、
    を有するヘッド駆動回路のヘッド駆動方法。
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