JP2015015953A - 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定塩基配列の88位から1134位までの塩基配列またはその相補配列、特定塩基配列の42位から1088位までの塩基配列またはその相補配列、および特定塩基配列の91位から1140位までの塩基配列またはその相補配列からなる群から選択される少なくとも1つの塩基配列でなるDNAからなる長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子、この遺伝子を含む発現ベクターにより形質転換された植物、及び形質転換植物を用いたトランス−1,4−ポリイソプレンの製造方法。
【選択図】なし
Description
(a)配列番号1に記載の塩基配列の88位から1134位までの塩基配列またはその相補配列、配列番号3に記載の塩基配列の42位から1088位までの塩基配列またはその相補配列、および配列番号5に記載の塩基配列の91位から1140位までの塩基配列またはその相補配列からなる群から選択される少なくとも1つの塩基配列でなるDNA;
(b)該(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成するDNAであって、長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列、配列番号4に記載のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との間において10−80以下のE−valueを有し、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質、をコードするDNA;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列、配列番号4に記載のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入されたアミノ酸配列でなり、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質、をコードするDNA。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列、配列番号4に記載のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列でなるタンパク質;
(B)該(A)のタンパク質のアミノ酸配列との間において10−80以下のE−valueを有し、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質;
(C)該(A)のアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入されたアミノ酸配列でなり、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質。
(トチュウのトータルRNAの調製1)
トチュウ植物体試料として、愛媛県生名村に生育するトチュウ標準木より5月下旬に採取した若い当年枝に付いた葉を使用した。トチュウ植物体試料(当年枝に付いた葉)を、液体窒素で冷却しつつ乳鉢・乳棒で破砕し、試料の10倍量(w/v)の2×CTAB溶液(2%(w/v)ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、1%(w/v)β−メルカプトエタノール、0.1M Tris−HCl[pH9.5]、1.4M NaCl、20mM EDTA)に懸濁した。これを65℃にて10分間インキュベートし、次いでクロロホルム/イソアミルアルコールで処理(洗浄)した(2回くり返す)。回収した水層に1/4量(w/v)の10M LiClを加えて混合し、−20℃にて2時間静置し、RNAの選択的沈殿を行った。これを遠心分離し、沈殿を適量のトリス−EDTA(TE)緩衝液に溶解後、遠心分離し、上清を回収して、多糖類を排除した。回収した上清をフェノール処理、フェノール/クロロホルム処理、およびクロロホルム/イソアミルアルコール処理し、再度LiClによるRNAの選択的沈殿を行った。沈殿を70%エタノールで洗浄し、減圧乾燥し、次いでジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に溶解して、トータルRNAを得た。
上記のトチュウ葉由来トータルRNAを鋳型として、AMV Reverse Transcriptase XL(タカラバイオ株式会社製)を用いて、逆転写反応を行い、トチュウ由来のcDNAを得た。逆転写反応のプライマーには、Oligo dT Adaptor Primer(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
上記のトチュウ由来のcDNAを鋳型として、TaKaRa Ex Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて、1回目のPCRを行った。次いで、1回目のPCR産物を鋳型として、TaKaRa Ex Taqを用いて、2回目のPCRを行った。いずれのPCRでも、プライマーには縮重プライマーを用い、その塩基配列は以下の通りである。いずれのPCRでも、94℃にて5分のサイクルを1サイクル、94℃にて1分、54℃にて1分および74℃にて2分のサイクルを30サイクル、ならびに74℃にて7分のサイクルを1サイクル行った。2回目のPCRにより得られた増幅断片をpUC18ベクターにクローニングし、複数のプラスミドクローンについて塩基配列を決定した結果、いくつかのクローンは配列番号1の塩基配列の部分配列を有していた。
センスプライマー:CIYTIGGITGGTGYRTNGARTGG(配列番号7)
アンチセンスプライマー:GTYCANGTYCTRCTIATIIAICTIAC(配列番号8)
2回目のPCR用プライマーセット
センスプライマー:GGTGIRTIGARTGGYTNCARGC(配列番号9)
アンチセンスプライマー:CCCNTRNATRAAIGTICAIGTIC(配列番号10)
トチュウ植物体試料として、愛媛県生名村に生育するトチュウ標準木より5月下旬に採取した若い当年枝の師部(樹皮)および木部を使用した以外は、トチュウのトータルRNAの調製1と同様に調製した。得られたトータルRNAを吸光度測定により定量し、そして電気泳動によって確認した。師部約4gから2mgおよび木部約4gから0.84mgのトータルRNAが得られた(260nmと280nmとにおける吸収の比は、それぞれ1.991および1.956であった)。
上記のトチュウ師部および木部由来トータルRNA試料から、Oligotex-dT30<Super>(タカラバイオ株式会社製)を用いて、mRNAを精製した。次いで、mRNAから、Lambda ZAP II XR Library Construction Kit(Stratagene社製)を用いて、cDNAライブラリを調製した。
上記の縮重PCRで得られた、配列番号1の塩基配列の部分配列を含むプラスミドクローンを鋳型として、TaKaRa Ex Taqを用いて、PCRを行った。使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである。PCRでは、94℃にて5分のサイクルを1サイクル、94℃にて1分、50℃にて1分および72℃にて1分のサイクルを30サイクル、ならびに72℃にて7分のサイクルを1サイクル行った。PCR反応産物を、AlkPhos Direct Labelling and Detection System with CDP-Star(GE Healthcare社製)を用いて、アルカリフォスファターゼで標識し、スクリーニング用プローブとした。
センスプライマー:GTGCTCTTGTTCTTGATGATA(配列番号11)
アンチセンスプライマー:CAAGAAGTATGTCCTTCATGT(配列番号12)
上記のトチュウcDNAライブラリから、常法に従い、Hybond N+メンブラン(GE Healthcare社製)上にファージプラークリフティングを行った。次いで、このメンブランを、上記のスクリーニング用プローブおよびAlkPhos Direct Labelling and Detection System with CDP-Starを用いて、ハイブリダイゼーション、洗浄およびシグナル検出に供した。ハイブリダイゼーションは55℃にて16時間、1次洗浄は55℃にて10分間を2回、そして2次洗浄は室温にて5分間を2回行った。スクリーニングの結果、23個の陽性ファージプラークが得られた。次いで、これらのファージクローンを、Lambda ZAP II XR Library Construction Kitを用いて、in vivo excisionにより、プラスミドクローンへ変換した。23個のプラスミドクローンについて塩基配列を決定した結果、10個のクローンが配列番号1の塩基配列と同一の塩基配列またはそのスプライシングバリアントと考えられる塩基配列を有していた。
実施例1と同様にしてTPL3−cDNAを単離した。得られた完全長のcDNA(TPL3−cDNA)は、配列番号3の塩基配列を有する。配列番号3に記載の塩基配列の37位から1089位までの塩基配列は、TPL1のcDNAの塩基配列(配列番号1:GenBank登録番号AB041626)と76%の相同性を有する。配列番号3に記載の塩基配列の42位から1088位の塩基配列は、オープンリーディングフレームであった。このcDNAによりコードされる推定アミノ酸配列は、配列番号4に示す通りである。配列番号4に記載の全アミノ酸配列(1位から348位)は、TPL1のアミノ酸配列(配列番号2:GenBank登録番号BAB16687)との間において10−169のE−value(77%の相同性)を有する。
(トチュウのcDNAライブラリの調製)
実施例1と同様に調製したトチュウ師部および木部由来トータルRNA試料から、日立計測器サービス株式会社にてG−キャッピング法によりcDNAライブラリを調製した。師部由来のcDNAライブラリは、ライブラリサイズが3.8×105、インサート率が、88%(24試料/アガロースゲル電気泳動)、完全長率は86%(インサートのあるクローンに対して)であった。木部由来のcDNAライブラリは、ライブラリサイズが2.2×105、インサート率が79%(24試料/アガロースゲル電気泳動)、完全長率が63%(インサートのあるクローンに対して)であった。
上記のトチュウ師部および木部由来cDNAライブラリの各々約20000クローンについて、北里大学北里生命科学研究所ゲノム情報学研究室にて塩基配列の解析を行った。配列解析により得られた配列情報から、インサートを保持しないクローンおよび配列が読めていないクローンを除去し、精度の高い配列情報を得た。師部および木部のライブラリについて、それぞれ16567、16113の精度の高いEST配列が得られた(合計32680)。次いで、得られた配列について、グループ分け(clustering)および注釈付け(annotation)を行った。「グループ分け」はEST配列の中で同一の配列、類似した配列をグループ分けする。グループ分けのために、NTTソフトウェアのVISUALBIO clusteringを使用した。「注釈付け」は、既知遺伝子との比較によりEST配列の注釈付けを行う。注釈付けには、NCBI BLASTを使用した相同性検索を用いた。検索の際に使用したデータベースは nr(All non-redundant GenBank CDS translations + PDB + SwissProt + PIR (Peptide Sequence Database))である。
上記のグループ分けおよび注釈付けで得られた情報により、TPL1(配列番号1)と極めて高い相同性を示すTPL5(配列番号5)の5’末端側の配列を見出した。TPL5(配列番号5)の3’末端側の配列は、3’−RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends, RACE)により決定した。3’−RACEには、3’-Full RACE Core Set(タカラバイオ株式会社製)を使用した。まず、実施例1で得たトータルRNAを鋳型として、3’-Full RACE Core Setに付属のOligo dT-3 sites Adaptor Primerをプライマーとして用いて逆転写反応を行った。次いで、逆転写反応産物を鋳型として1回目のPCRを行い、さらに、1回目のPCR産物を鋳型として2回目のPCRを行った。使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである。1回目および2回目のPCRでは、いずれも94℃にて60秒、54℃にて60秒および74℃にて2分のサイクルを30サイクル行った。2回目のPCRにより得られた増幅断片をpT7Blueベクター(タカラバイオ株式会社製)にTAクローニングし、塩基配列を決定した。
センスプライマー:ACAGTGGCTGGGCAGATGATAG(配列番号13)
アンチセンスプライマー:3’-Full RACE Core Setに付属の3 sites Adaptor Primer
2回目のPCR用プライマーセット
センスプライマー:TTACCACACTTCTCGGAGAGGC(配列番号14)
アンチセンスプライマー:CGCTTGCATCCATTCGATACACC(配列番号15)
(TPL発現ベクターの構築)
上記のトチュウ標準木の葉から、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen社製)を用いて、トータルRNAを調製した。トータルRNA抽出用緩衝液には、キットに添付のバッファーRLCを用いた。次いで、トータルRNAを鋳型として、High Fidelity RNA PCR Kit(タカラバイオ株式会社製)を用いて、TPL1、TPL3およびTPL5のcDNA断片をPCRで増幅した。使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである。PCRでは、94℃にて30秒、55℃にて30秒および72℃にて2分のサイクルを35サイクル行った。
センスプライマー:ACGCTGTCCTTGCACTTG(配列番号16)
アンチセンスプライマー:GGAGAACCAAATATGCAATAAAGCCTG(配列番号17)
TPL3−cDNA増幅用プライマーセット
センスプライマー:GGCCTTTCGTTCTCTCTCTCTCTCTT(配列番号18)
アンチセンスプライマー:ACGACTACATTTATTCAGGTTCGAAGTC(配列番号19)
TPL5−cDNA増幅用プライマーセット
センスプライマー:GATCAACACATCCTTGAGCGTTACC(配列番号20)
アンチセンスプライマー:GTTAGTCGTTGCAATTTATTTGTTCCCTC(配列番号21)
センスプライマー:GAGAGAGCATATGGCGGAACTGAAGAAAGAATTTC(配列番号22)
アンチセンスプライマー:CCGCTCGAGCTACTTGAGCCTCCTGTGAATCTTAG(配列番号23)
TPL3 タンパク質コード配列増幅用プライマーセット
センスプライマー:GAGAGAGCATATGACCGAGCTGAAGAGCAAATTTG(配列番号24)
アンチセンスプライマー:CCGCTCGAGCTACTTGAGCCTCTTGTGTATCTTAGC(配列番号25)
TPL5 タンパク質コード配列増幅用プライマーセット
センスプライマー:GAGAGAGCATATGGCGGAAACGACCCAA(配列番号26)
アンチセンスプライマー:CCGCTCGAGTCAATAATGCCTCCGATAGATCTTTGC(配列番号27)
TPLタンパク質を可溶性タンパク質として大腸菌細胞内で発現させるために、まず、大腸菌BL21(DE3)株コンピテント細胞を、シャペロンプラスミドpG-Tf2(タカラバイオ株式会社製)で形質転換した。次いで、得られた形質転換大腸菌からさらにコンピテント細胞を調製し、このコンピテント細胞を、TPL発現ベクターpCold-TPL1、pCold-TPL3またはpCold-TPL5で形質転換した。このようにして、TPL発現ベクターとシャペロンプラスミドとを共発現する形質転換大腸菌を得た。
上記の共発現形質転換大腸菌を、形質転換体選択薬剤であるアンピシリン(50μg/mL)およびクロラムフェニコール(20μg/mL)、ならびにシャペロン発現誘導薬剤であるテトラサイクリン(1ng/mL)を含む50mLのLB培地を用いて、37℃で振蘯培養し、培養液の600nmの吸光度が0.5程度になるまで続けた(発現誘導前)。次いで、培養液を15℃で30分間冷却し、これにイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(終濃度0.5mM)を添加した。次いで、振蘯培養を15℃で24時間さらに続けた(発現誘導後)。
上記TPLタンパク質の調製過程の試料をSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングにより解析した。SDS−PAGEでは、ゲル用緩衝液、電気泳動用緩衝液および試料用緩衝液として、2%のSDSおよび6%のβ−メルカプトエタノールを含む0.05mM Tris−HCl[pH 6.8]を用い、分離ゲルのアクリルアミドの濃度は10%とした。上記の発現誘導前の培養液および発現誘導後の培養液、ならびに上記のTPLタンパク質の溶出画分をそれぞれ試料用緩衝液中で100℃にて5分間加熱した後、それぞれ10μLをSDS−PAGEに供した。ウェスタンブロッティングでは、SDS−PAGE後のゲルからHybond−P PVDFメンブラン(GE Healthcare社製)上に転写を行い、このメンブランに、1次抗体として1,000倍希釈のHis・Tag Monoclonal Antibody(Novagen社製)を反応させ、次いで、2次抗体として5,000倍希釈のAnti-Mouse IgG (H+L) AP Conjugate(Promega社製)を反応させた。ProtoBlot II AP System with Stabilized Substrate(Promega社製)を用いて、メンブラン上のシグナルを検出した。この結果を図2に示す。図2は、上記TPLタンパク質が精製されていることを示す。
(TPL発現植物形質転換ベクターの構築)
上記のTPL発現ベクターpCold-TPL1の制限酵素NdeI−XhoI断片を、植物形質転換ベクターpBIsGFP(株式会社豊田中央研究所生物部光川典宏氏より分与)のマルチクローニングサイトの制限酵素XhoI−KpnI部位間に挿入し、TPL発現植物形質転換ベクターpBIsGFP-TPL1を構築した(図4)。pBIsGFPには、カナマイシン耐性遺伝子および改変型GFP遺伝子が含まれている。
中国四川省成都に生育するトチュウ雌株より採取した種子を発芽培地(1/2MS培地、20g/L スクロース)に無菌播種した。播種後10〜20日経過した幼植物体から幼根を2〜3cmに切り出し、増殖培地(1/2MS液体培地、1μM NAA)中で往復振蘯(120回/分)培養を行った。このトチュウ培養根は、4週間毎に継代培養することにより、長期にわたって増殖させることができ、実験材料に供した。増殖した新根を、1.5cm程に切断して、アグロバクテリウム法により、pBIsGFP-TPL1で形質転換した。アグロバクテリウム法には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)LBA4404株を用いた。アグロバクテリウム菌の感染を促進させるために、感染の前に、培養根を超音波で20分間処理した。アグロバクテリウム菌を感染させた培養根をカルス誘導寒天培地(MS培地、1μM 2−iP、1μM NAA)に移してカルスを誘導した後、形質転換トチュウカルスを選択した。形質転換カルスは、GFPシグナルを利用して選択した。次いで、選択した形質転換カルスを根誘導培地(MS培地、1μM NAA)に移し、カルスから根を分化・増殖させた。得られた形質転換トチュウ培養根のうち、20系統を維持し、解析に用いた。
形質転換トチュウ培養根20系統について、TPL1のmRNAの量をリアルタイムPCRにより定量した(図5)。形質転換トチュウ培養根から、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen社製)を用いてRNAを抽出した。まず、RNase-Free DNase I(Qiagen社製)を用いて、混入DNAの除去を行った。次いで、RNA試料の濃度を測定した。同時に、6種類の濃度の検量線用試料(RNA濃度:400、100、25、6.25、1.56および0.39ng/μL)を調製した。形質転換トチュウ培養根から抽出したRNA試料および検量線用試料から、High Capacity Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNAを調製した。このcDNAを鋳型として、ABI Prism 7300 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)を用いて、SYBR Green法により、リアルタイムPCRを行った。使用したプライマーの塩基配列は、以下の通りである。リアルタイムPCRでは、50℃にて2分および95℃にて10分のサイクルを1サイクル、ならびに95℃にて15秒および60℃にて1分のサイクルを40サイクル行った。次いで、95℃にて15秒、60℃にて1分、95℃にて15秒および60℃にて15秒の反応を行い、解離状況を観察した。
センスプライマー:AAGGAGCTCAACTCACTGAGAGC(配列番号28)
アンチセンスプライマー:AATGCACCAACCCAACACAG(配列番号29)
検量線用プライマーセット(内部参照遺伝子EF1αの検出)
センスプライマー:CCGAGCGTGAACGTGGTAT(配列番号30)
アンチプライマー:TAGTACTTGGTGGTTTCGAATTTCC(配列番号31)
TPL1のmRNAの量が最も多い形質転換トチュウ培養根TPL1−9−7(図6)と野生型トチュウ培養根(図7)とについて、培養根内に産生されたゴムの分布状況を、リアルスペクトルイメージング顕微鏡(SCLSM)を用いて評価した。SCLSMとして株式会社ニコン製DIGITAL ECLIPSE C1siを用いて、培養根の蛍光分離画像を取得した。蛍光分離は、参照スペクトルを用いて、株式会社ニコン製EZ-C1 3.40のソフトウェアにより行った。参照スペクトルは、次のように取得した。生薬用のトチュウ樹皮から取り出してNile redで染色した繊維状トランスポリイソプレン、ならびにNile red(粒子状脂溶性物質の染色)およびFluorescent Brightener 28(細胞壁の染色)で染色したトチュウ当年枝の樹皮の横断面切片について、DIGITAL ECLIPSE C1siを用いて蛍光スペクトル画像を取得し、EZ-C1 3.40により指定した10箇所のRegion of interest(ROI)の蛍光スペクトルを測定し、その平均値を参照スペクトルとした。Nile Red由来の蛍光スペクトルの取得では、固体レーザ(488nm、20mW)を用い、418〜578nmの範囲のスペクトルを取得し、Fluorescent Brightener 28由来の蛍光スペクトルの取得では、BDレーザ(408nm、17mW)を用い、498〜658nmの波長範囲のスペクトルを取得した。取得した参照スペクトルの蛍光最大波長は、545nm(Nile Red由来、トランスポリイソプレン)、575nm(Nile Red由来、粒子状脂溶性物質)および450nm(Fluorescent Brightener 28由来、細胞壁)であった。培養根の蛍光分離画像の取得では、固体およびBDレーザを用い、423〜723nmの範囲のスペクトルを取得した。
(TPL発現植物形質転換ベクターの構築)
実施例4に記載のpBluescript-TPL1に由来するTPL1タンパク質コード配列断片、ならびにpBI221(Clontech社製)に由来するCaMV35Sプロモーター断片およびNOSターミネーター断片から構成されるTPL1発現カセットを構築し、これを、植物形質転換ベクターpCAMBIA2301(CAMBIA社製)のマルチクローニングサイトに挿入し、TPL発現植物形質転換ベクターpHis-TPL1を構築した(図8)。pCAMBIA2301には、カナマイシン耐性遺伝子およびβ−グルクロニダーゼ遺伝子が含まれている。
タバコ(Nicotiana tabacum cv Xanthi)の葉(リーフディスク)を、アグロバクテリウム法により、pHis-TPL1で形質転換した。コントロールとしてpBIsGFPで形質転換した。アグロバクテリウム法には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)LBA4404株を用いた。
pHis-TPL1で形質転換して得られた形質転換タバコ(TPL1形質転換タバコ)およびpBIsGFPで形質転換して得られた形質転換タバコ(GFP形質転換タバコ)について、それぞれTPL1およびGFP(コントロール)のmRNAの量をリアルタイムPCRにより検定した(図9)。実験の方法および条件は、実施例5と同様である。次いで、mRNAの量が多いTPL1形質転換タバコTPL1#8、GFP形質転換タバコGFP#1および野生型タバコから、花芽が形成される前の成葉を採取して、エタノールによるソックスレー抽出を行い、次いで、トルエンによるソックスレー抽出を行った。トルエン抽出物をポリイソプレンとした。抽出物のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を行った。Hitachi7000シリーズの液体クロマトグラフィー装置(株式会社日立製作所製)を用いた。カラムには、PLgel Mini Mixed B(10μm、250×内径4.6mm、Polymer Laboratories社製,Shopshire,英国)を用い、溶出液にはTHFを用いた。40℃のカラム温度で、0.2mL/分の流速で分析を行ない、紫外線吸収(210nm)を検出した。SEC分析のための検量線用試料としてPolymer Source社製の7種のシス−1,4−ポリイソプレン(Mn=1199400、Mw/Mn=1.10;Mn=138000、Mw/Mn=1.05;Mn=30000、Mw/Mn=1.04;Mn=12000、Mw/Mn=1.04;Mn=6000、Mw/Mn=1.04;Mn=2560、Mw/Mn=1.08;Mn=1150、Mw/Mn=1.11)を用いた。System Instruments社製SIC−480IIおよび解析ソフトを用いて、データの取り込みならびに検量線の作成および分子量分布の算出を行った。
Claims (8)
- 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子であって、
配列番号5に記載の塩基配列の91位から1140位までの塩基配列またはその相補配列でなるDNA;あるいは
配列番号6に記載のアミノ酸配列または当該アミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入されたアミノ酸配列でなり、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質をコードするDNA
のいずれかのDNAからなる、遺伝子。 - 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素であって、
配列番号6に記載のアミノ酸配列でなるタンパク質;あるいは
該配列番号6に記載のアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、付加、欠失または挿入されたアミノ酸配列でなり、かつ長鎖トランス型プレニル二リン酸合成活性を有するタンパク質
のいずれかのタンパク質からなる、酵素。 - 請求項1に記載の長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子を含む発現ベクター。
- 請求項3に記載の発現ベクターにより形質転換された植物。
- 前記植物が、トチュウ(Eucommia ulmoides)である、請求項4に記載の植物。
- 前記植物が、タバコ(Nicotiana tabacum)である、請求項4に記載の植物。
- 植物のトランス−1,4−ポリイソプレンの含量を増大させる方法であって、
請求項3に記載の発現ベクターによって該植物を形質転換する工程
を含む、方法。 - トランス−1,4−ポリイソプレンを製造する方法であって、
請求項4から6のいずれかの項に記載の植物を栽培する工程、および
該栽培された植物から該トランス−1,4−ポリイソプレンを回収する工程
を含む、方法。
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