JP2003250539A - trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体 - Google Patents

trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体

Info

Publication number
JP2003250539A
JP2003250539A JP2002057547A JP2002057547A JP2003250539A JP 2003250539 A JP2003250539 A JP 2003250539A JP 2002057547 A JP2002057547 A JP 2002057547A JP 2002057547 A JP2002057547 A JP 2002057547A JP 2003250539 A JP2003250539 A JP 2003250539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diphosphate
trans
gene
transformant
polyprenyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002057547A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichiro Fukuzaki
英一郎 福崎
Akio Kobayashi
昭雄 小林
Kazutake Hirooka
和丈 広岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Industrial Promotion Organization
Original Assignee
Osaka Industrial Promotion Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Industrial Promotion Organization filed Critical Osaka Industrial Promotion Organization
Priority to JP2002057547A priority Critical patent/JP2003250539A/ja
Publication of JP2003250539A publication Critical patent/JP2003250539A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 炭素数がC20より大きいtrans型ポリプレニル
二リン酸合成酵素をコードする遺伝子およびそれを導入
した組換え体を提供する。 【解決手段】 シロイヌナズナ由来の特定の塩基配列か
らなるDNAから構成される遺伝子を調製し、これをベ
クターに連結した組換えベクターを作製する。そして、
前記組換えベクターを宿主大腸菌に導入することによっ
て、炭素数がC20より大きいtrans型ポリプレニル二リン
酸合成酵素を産生する形質転換体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、trans型ポリプレ
ニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子
を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入
した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、
および形質転換植物体に関する。
【0002】
【従来の技術】植物にはユビキノンとプラストキノンの
2種類の電子伝達仲介物質が存在する。前記ユビキノン
は、呼吸鎖においてNADH脱水素酵素複合体からb-c1複合
体への電子伝達を仲介し、一方、プラストキノンは、光
合成において光化学系IIからb6-f複合体への電子伝達を
仲介するという重要な機能をそれぞれ担っている。これ
らの化合物は、電子を運搬するためのキノン環に、膜に
結合するアンカーである下記式(1)に示すtrans型ポ
リプレニル側鎖が付加した共通構造を持っているが、前
記ユビキノン(2,3-シ゛メトキシ-5-メチル-6-ホ゜リフ゜レニル-1,4-ヘ゛ンソ
゛キノン)とプラストキノン(2,3-シ゛メチル-6-ホ゜リフ゜レニル-1,4-ヘ
゛ンソ゛キノン)では、前記ポリプレニル側鎖長(6-ホ゜リフ゜レニ
ル)が異なり、また、生物種間においても前記鎖長が異
なっている。
【0003】
【化1】
【0004】このようにポリプレニル側鎖の鎖長の違い
によって、例えば、様々なユビキノンやプラストキノン
等が存在する。この中でも、特にポリプレニル側鎖が炭
素数C20よりも大きいユビキノン等には、例えば、ポリ
プレニル側鎖の炭素数がC50(前記式(1)においてn
=10)であるユビキノン10や、前記側鎖炭素数C30のユ
ビキノン6(前記式(1)においてn=6)等があり、
これらは医薬品原料としても有用なものである。
【0005】これらのポリプレニル側鎖は、開始物質で
あるアリル性化合物に、イソペンテニル二リン酸(IP
P、炭素数C5、)が順次trans型の立体化学で縮合して生
じるtrans型ポリプレニル二リン酸に由来するとされて
いる。
【0006】そして、前述のようにアリル性化合物への
IPPのtrans型縮合反応を触媒し、炭素数C20以下のtrans
型短鎖ポリプレニル二リン酸を生成するファルネシル二
リン酸(FPP、炭素数C15)合成酵素およびゲラニルゲラ
ニル二リン酸(GGPP、炭素数C20)合成酵素について
は、植物を含む多くの生物から遺伝子が単離されてい
る。一方、酵母と原核生物からは、さらに炭素数C20よ
りも長鎖の生成物を与えるtrans型ポリプレニル二リン
酸合成酵素の遺伝子単離も報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、植物に
おいては、酵母等のように炭素数C20より長い鎖長のポ
リプレニル二リン酸を合成する酵素について、その酵素
活性が確認されているものの、植物体からの酵素精製は
極めて困難であり、また、trans型短鎖ポリプレニル二
リン酸合成酵素活性の方が極めて高いことから、タンパ
ク質の精製や解析は行われていなかった。また、従来報
告されているバクテリア等の生物由来の前記酵素をコー
ドする遺伝子配列から、相同性によってクローニングす
る試みも、trans型短鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素
遺伝子ばかりが得られ、trans型長鎖ポリプレニル二リ
ン酸合成酵素遺伝子のクローニングは成功していないた
め、酵素遺伝子の単離等による詳細な解析はこれまで行
われていなかった。
【0008】前述のように、炭素数C20より大きいポリ
プレニル二リン酸を生成する酵素をコードする遺伝子を
単離できれば、例えば、前記遺伝子を植物に組込むこと
によって、炭素数が20より大きいポリプレニル基を有
するユビキノンのような有用化合物を過剰生産させるこ
とも可能となる。
【0009】そこで、本発明の目的は、炭素数がC20よ
りも大きい長鎖ポリプレニル二リン酸を生成する酵素を
コードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクタ
ー、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それか
ら得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体の
提供である。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の遺伝子は、以下の(a)または(b)に示
すDNAからなる遺伝子である。 (a) 配列表の配列番号1に示す塩基配列からなるD
NA (b) (a)の塩基配列において1以上の塩基が欠
失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ炭素
数20より大きいtrans型ポリプレニル二リン酸合成活性
を有するタンパク質をコードするDNA
【0011】なお、本発明において、炭素数C20より大
きなポリプレニルは、以下、「長鎖ポリプレニル」とい
い、炭素数C20以下のポリプレニルを「短鎖ポリプレニ
ル」という。
【0012】このような本発明の遺伝子は、炭素数20よ
り大きいtrans型ポリプレニル二リン酸合成活性を有す
る酵素をコードするため、例えば、形質転換により前記
遺伝子がコードする長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素
を大量発現させて、炭素数が20より大きい長鎖ポリプ
レニル基を有する各種有用化合物を過剰生産させること
が可能となる。また、植物においては、前述のように、
これまで炭素数20より大きいtrans型ポリプレニル二
リン酸の合成酵素遺伝子が単離されていなかった。した
がって、例えば、前記遺伝子を植物体に組込んで葉緑体
内で発現させれば、長鎖ポリプレニルを有するプラスト
キノン量を増大でき、これによって、光合成における電
子伝達効率が向上した高効率の光合成活性を有する形質
転換植物の作製も可能になるため、環境面においても有
用に活用することができる。
【0013】このような本発明の遺伝子がコードするtr
ans型ポリプレニル二リン酸合成酵素によって合成され
る炭素数がC20より大きいポリプレニル二リン酸を製
造原料とすることができる有用化合物としては、前記ユ
ビキノン10の他に、例えば、ソラネソール(C45)プ
ラストキノンA(C45)、ユビキノン6(C30)、ユビ
キノン7(C35)、ユビキノン8(C40)、ユビキノン
9(C45)、メナキノン6(C30)、メナキノン7(C
35)、メナキノン8(C40)、メナキノン9(C45)、
デスメチルメナキノン6(C30)等があげられる。かっ
こ内は、ポリプレニル側鎖の炭素数を示す。
【0014】本発明において、前記遺伝子は植物由来で
あることが好ましく、前記植物としては、特に制限され
ないが、シロイヌナズナがあげられ、具体的には、Arab
idopsis thaliana Columbia である。
【0015】本発明の遺伝子において、trans型長鎖ポ
リプレニル二リン酸合成活性が、アリル性化合物に、イ
ソペンテニル二リン酸(C5)を順次縮合させて炭素数20
より大きいtrans型ポリプレニル二リン酸を合成する活
性であることが好ましく、前記アリル性化合物として
は、ファルネシル二リン酸(C15)およびゲラニルゲラ
ニル二リン酸(C20)の少なくとも一方が好ましい。
【0016】本発明の遺伝子において、前記trans型ポ
リプレニル二リン酸合成活性は、炭素数20より大きいtr
ans型ポリプレニル二リン酸を合成する活性であればよ
いが、少なくとも炭素数40および45のいずれか一方の炭
素数であるtrans型ポリプレニル二リン酸を合成する活
性であることが好ましい。
【0017】この中でも、特に、前記trans型長鎖ポリ
プレニル二リン酸合成活性は、ソラシネル二リン酸(SP
P、C45)合成活性であることが好ましい。SPP(C45)か
ら二リン酸を脱離させたソラネソールは、前述のように
医薬品として有用なユビキノン10の工業生産原料とし
て、その重要性が知られている。このため、本発明の遺
伝子を用いて形質転換体等を作製すれば、例えば、ユビ
キノン10の原料供給源として非常に有用なものとなるか
らである。
【0018】つぎに、本発明の組換えベクターは、ベク
ターに前記本発明の遺伝子を組込んだ組換えベクターで
ある。このような組換えベクターにより形質転換体を調
製すれば、前述のように有用性に優れたtrans型長鎖ポ
リプレニル二リン酸を容易かつ大量に生産することがで
きる。
【0019】前記ベクターとしては、特に制限されない
が、例えば、前記遺伝子を大量に発現させるためのpE
T−15bベクターや、植物を形質転換するためのベク
ターが使用できる。また、宿主として大腸菌およびアグ
ロバクテリウムの両方を選択できることから、バイナリ
ーベクターであることも好ましい。
【0020】つぎに、本発明の組換え体は、前記本発明
の組換えベクターを導入した形質転換体である。形質転
換体の種類は特に制限されず、目的に応じて適宜決定で
きるが、例えば、組換えタンパク質であるtrans型長鎖
ポリプレニル二リン酸合成酵素を大量に生産させる場合
等は、大腸菌に前記組換えベクターを導入した形質転換
体であることが好ましい。
【0021】また、高効率の光合成活性を付与できるこ
と等から、植物細胞に組換えベクターを導入した形質転
換植物細胞であることも好ましい。前記植物細胞として
は特に制限されず、目的に応じて適宜決定できるが、例
えば、 Fragaria 、Lotus 、Medicago 、Onobrychis 、Trifoliu
m 、Trigonella 、Vigna 、Citrus 、Linum 、Geranium 、Manihot 、D
aucus 、Arabidopsis 、Brassica 、Raphanus 、Sinapis 、Atrop
a 、Capsicum 、Hyoscyamus 、Lycopersicon 、Nicotiana 、Solan
um 、Petunia 、Digitalis 、Majorana 、Cichorium 、Helianthu
s 、Lactuca 、Bromus 、Asparagus 、Antirrhinum 、Hererocalli
s 、Nemesia 、Pelargonium 、Panicum 、Pennisetum 、Ranunculu
s 、Senecio 、Salpiglossis 、Cucumis 、Browaalia 、Glycine 、L
olium 、Zea 、Triticum 、Sorghum 、Datura 、Chrysanthemum 、Di
anthus 、Gerbera 、Euphorbia 、Pelaronium 、Ipomoea 、Passif
lora 、Cyclamen 、Malus 、Prunus 、Rosa 、Rubus 、Populus 、Sant
alum 、Allium 、Lilium 、Narcissus 、Ananas 、Arachis 、Phaseo
lus 、Eucomia 、Heavea 、Periploca および Pisum 属からな
る群から選択された少なくとも一つの植物の細胞が使用
できる。具体例として、例えば、タバコ、シロイヌナズ
ナ、ニンジン、大豆、トマト、ジャガイモ、トチュウ、
パラゴムノキ、ペリプロカ等の双子葉植物、オオムギ、
コムギ、ユリ、イネ、トウモロコシ、アスパラガス、タ
ケ、ヤシ等の単子葉植物、あるいはマツ、イチョウ、ソ
テツ等の裸子植物等の細胞であることが好ましい。
【0022】つぎに、本発明の組換えタンパク質は、前
記本発明の形質転換体から得られ、かつ以下の(c)ま
たは(d)に示すDNAからなる遺伝子によりコードさ
れたアミノ酸配列からなる組換えタンパク質である。 (c) 配列表の配列番号1に示す塩基配列のうち、塩
基番号(165)〜(1385)で示す塩基配列からなるDN
A (d) (c)の塩基配列において1以上の塩基が欠
失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ炭素
数20より大きいtrans型ポリプレニル二リン酸合成活性
を有するタンパク質をコードするDNA
【0023】このような組換えタンパク質によれば、tr
ans型長鎖ポリプレニル二リン酸を酵素化学的に容易に
合成できるため、例えば、前記ユビキノン10のような
有用物質の原材料を容易かつ低コストに供給することが
可能になる。なお、前記配列番号1において塩基番号
(165)〜(1385)に示す塩基配列は、trans型長鎖ポリ
プレニル二リン酸合成酵素のコード領域の配列を示す。
【0024】前記組換えタンパク質は、trans型長鎖ポ
リプレニル二リン酸の合成反応を触媒できればよいが、
例えば、アリル性化合物に、イソペンテニル二リン酸
(C5)を順次縮合させてtrans型長鎖ポリプレニル二リ
ン酸を合成することが好ましい。また、前記アリル性化
合物としては、前述のようなものが使用できる。
【0025】前記組換えタンパク質によって合成される
trans型長鎖ポリプレニル二リン酸としては、例えば、
ゲラニルファルネシル二リン酸(C25)、ヘキサプレニ
ル二リン酸(C30)、ヘプタプレニル二リン酸(C35)、
オクタプレニル二リン酸(C40)およびソラシネル二リ
ン酸(C45)等があげられるが、有用性が高いことから
ソラシネル二リン酸(C45)が特に好ましい。
【0026】つぎに、本発明の形質転換植物体は、前記
本発明の植物細胞の形質転換体から得られた形質転換植
物体である。このような形質転換植物体は、例えば、葉
緑体内においてtrans型長鎖ポリプレニル二リン酸を過
剰に合成できるため、高効率の光合成活性を有する植物
体となり、環境面においても有用である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の遺伝子は、例えば、後述
する実施例1に示す方法によって、シロイヌナズナcD
NAより単離できるが、前記シロイヌナズナ由来には限
定されず、例えば、実施例1により得られたtrans型長
鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素遺伝子の塩基配列情報
に基づいて、各種植物由来のtrans型長鎖ポリプレニル
二リン酸合成酵素遺伝子を調製することもできる。具体
的には、例えば、前記塩基配列の情報からプライマーを
作製してPCRを行ったり、プローブを作製してサザン
ハイブリダイゼーションを行うこと等によっても調製で
きる。なお、cDNAから前記遺伝子を単離する場合
は、まず、従来公知の方法によって全RNAを抽出し、
これを逆転写反応に供することによってcDNAを調製
すればよい。
【0028】このような本発明の遺伝子は、例えば、tr
ans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素遺伝子のクロ
ーニング用プローブ、PCR用プライマー等として使用
することもできる。
【0029】つぎに、本発明の組換えベクター、形質転
換体、形質転換植物体は、例えば、以下のようにして作
製することができる。なお、これらの方法には制限され
ない。
【0030】(1)組換えベクターの調製 ベクターに前記trans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成
酵素遺伝子を連結することによって調製できる。
【0031】前記trans型ポリプレニル二リン酸合成酵
素をコードする遺伝子は、例えば、後述する形質転換体
において前記酵素を発現すればよいことから、例えば、
少なくともコード遺伝子(配列番号1における塩基番号
(165)〜(1385))を有していることが好ましい。ま
た、前記遺伝子は、そのまま後述するベクターに組込ん
でもよいが、例えば、trans型長鎖ポリプレニル二リン
酸合成活性を示す範囲内で、前記塩基の欠失、置換もし
くは付加を行ってもよい。
【0032】さらに、前記DNAの3’末端および5’
末端の少なくとも一方に、形質転換した際に宿主内で遺
伝子の発現を制御する、例えば、プロモーターやエンハ
ンサー等の塩基配列を付加してもよい。このようなプロ
モーターは、例えば、後述するバイナリーベクターpBI1
21のカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモ
ーターのように、ベクター自体に組込まれていてもよ
い。
【0033】前記ベクターとしては、例えば、プラスミ
ドベクターが使用でき、カナマイシン耐性、クロラムフ
ェニコール耐性等の抗生物質耐性の選択マーカーを有し
ていることが好ましい。より好ましくはバイナリーベク
ターであって、例えば、pBI121、pBI221、pBI101、pM
SH1、pMSH2等が使用できる。
【0034】(3)形質転換体の調製 形質転換体の宿主としては、特に制限されないが、例え
ば、大腸菌や植物細胞等が使用できる。 (i)大腸菌の形質転換 前記組換えベクターを大腸菌に導入することによって形
質転換を行う場合、例えば、従来公知のコンピテントセ
ルを用いるヒートショック法、エレクトロポレーション
法等が採用できる。このように大腸菌を形質転換する場
合、前記組換えベクターに使用するベクターとしては、
特に制限されないが、例えば、pUC18、pUC19、発現プ
ラスミドpRT-15、前記バイナリーベクター等があげら
れる。
【0035】(ii)植物細胞の形質転換 植物細胞の形質転換は、前記組換えベクターを植物細胞
に導入することによって行うことができる。前記形質転
換の方法としては、例えば、従来公知の方法が採用で
き、例えば、外来遺伝子をアグロバクテリウムを用いて
生物学的に導入する方法(アグロバクテリウム法)、外
来遺伝子を直接導入する方法等があげられる。これらの
方法は、例えば、形質転換する宿主植物の種類等に応じ
て適宜決定できる。
【0036】(アグロバクテリウムによる導入方法)tr
ans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素遺伝子をアグ
ロバクテリウムにより植物細胞に導入する場合、まず、
前記組換えベクターを、例えば、エレクトロポレーショ
ン法等によってアグロバクテリウムに導入する。アグロ
バクテリウムの種類は特に制限されず、例えば、前記バ
イナリーベクターとの組み合わせにより決定できる。
【0037】前記組換えベクターを導入したアグロバク
テリウムを、例えば、カナマシン等の抗生物質を含む培
地で培養すれば、抗生物質耐性により生育したコロニー
を、形質転換したアグロバクテリウムとして選択的に得
ることができる。
【0038】そして、得られた形質転換アグロバクテリ
ウムを植物細胞に感染させれば、形質転換植物細胞が得
られる。アグロバクテリウムを植物に感染させるには、
例えば、植物の種類に応じて組織、カルス、細胞、プロ
トプラスト等を調製し、これと前記アグロバクテリウム
とをインキュベートして感染させればよい。
【0039】アグロバクテリウム法を適用する植物とし
ては、アグロバクテリウムに感受性を示す植物であるこ
とが好ましく、例えば、前述のような双子葉植物や単子
葉植物等が上げられる。
【0040】なお、このようにアグロバクテリウム法を
行う場合、前記組換えベクターを構成するベクターとし
ては、例えば、前述のpBI121等のベクターが使用でき
る。
【0041】(直接導入法)植物細胞に外来遺伝子を直
接導入する方法としては、例えば、エレクトロポレーシ
ョン法、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール
法等の従来公知の方法があげられる。
【0042】エレクトロポレーション法は、例えば、プ
ロトプラストの培養が安定かつ容易であり、再生が容易
な植物細胞に適用することが好ましい。また、パーティ
クルガン法は、宿主の限定を受けないため、例えば、ア
グロバクテリウムに感染し難い植物細胞や、プロトプラ
ストの調製が困難な植物細胞に適用することが好まし
い。
【0043】なお、このようにエレクトロポレーション
法を行う場合、前記組換えベクターを構成するベクター
としては、例えば、pUC18、pUC19、pBR322、pBR325、pB
luescript 等が好ましい。
【0044】(iii)形質転換植物体の作製 前述のようにして得られた形質転換植物細胞を、例え
ば、植物分化誘導剤を含む培地中でインキュベートすれ
ば、形質転換植物体を再生できる。前述のように植物分
化誘導剤としては、特に制限されず、例えば、インドー
ル酢酸、インドールプロピオン酸、インドール酪酸、ナ
フタレン酢酸等のオーキシン類、およびゼアチン、カイ
ネチン、ベンジルアデニン等のカイネチン類等が使用で
きる。また、これらの誘導剤は、いずれか一種類でもよ
いし、二種類を併用してもよい。
【0045】つぎに、本発明の組換えタンパク質は、例
えば、前記形質転換体を用いて以下のようにして調製す
ることができる。なお、これらの方法には制限されな
い。
【0046】前述のような大腸菌の形質転換体を用いる
場合は、例えば、まず、宿主である大腸菌および組換え
ベクターに使用したベクターの種類に応じて、適当な栄
養培地で培養する。その後、遠心分離によって大腸菌を
集菌し、これを破砕して粗酵素抽出液を調製する。さら
に、前記粗酵素抽出液を、例えば、塩析やカラムクロマ
トグラフィー等に供することによって、精製された本発
明の組換えタンパク質が得られる。
【0047】前記組換えタンパク質は、炭素数20より
大きなtrans型長鎖ポリプレニル二リン酸を合成する反
応を触媒できればよいが、前記ポリプレニル二リン酸の
長さは、例えば、炭素数25〜45の、ゲラニルファルネシ
ル二リン酸(C25)、ヘキサプレニル二リン酸(C30)、
ヘプタプレニル二リン酸(C35)、オクタプレニル二リ
ン酸(C40)およびソラシネル二リン酸(C45)があげら
れ、好ましくは炭素数40または45の、オクタプレニル二
リン酸(C40)およびソラシネル二リン酸(C45)があげ
られ、特に好ましくはソラシネル二リン酸(C45)であ
る。
【0048】また、組換えタンパク質の基質としては、
例えば、アリル性化合物とIPPとの組合わせがあげら
れ、前記アリル性化合物としては、例えば、ファルネシ
ル二リン酸(C15)やゲラニルゲラニル二リン酸(C20)
等が使用できる。
【0049】
【実施例】(実施例1)シロイヌナズナcDNAからtr
ans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素遺伝子の単離
を行った。
【0050】1.材料および方法 シロイヌナズナA. thaliana Columbia株は、その種子を
滅菌した土に植えた後、 50 μmol/sec/m2の白色光のも
とで16時間明条件、8時間暗条件の周期で、23℃で栽培
した。TAクローニングには、大腸菌E. coli TOP10F'
株と商品名pCR2.1ベクター(Invitrogen社)を使用し、
組換えタンパク質の大量発現には、大腸菌E. coli BL21
(DE3)株と商品名pET-15bベクター(Novagen社)を使用
した。また、基質として、[4-14C]IPPは NENTM Life Sc
ience Products社より購入し、DMAPP、GPP、全trans型F
PP、全trans型GGPPの各種アリル性化合物、および酸性
ホスファターゼは、Sigma社のものを使用した。逆相TLC
プレート(RP-18)は、Merck社より購入した。
【0051】2.trans型長鎖ポリプレニル二リン酸合
成酵素遺伝子クローニングのための解析 trans型短鎖ポリプレニル二リン酸を生成するファルネ
シル二リン酸(FPP、炭素数C15)合成酵素や、ゲラニル
ゲラニル二リン酸(GGPP、炭素数C20)合成酵素等のよ
うに、炭素数20以下のポリプレニル二リン酸を生成す
る酵素は、すでにそのアミノ酸配列や塩基配列が決定さ
れている。このデータ解析の結果から、これらの酵素に
は、アリル性化合物およびIPPのそれぞれが結合する、
アスパラギン酸に富む2つのモチーフ(First Aspartat
e Rich Motif(以下「FARM」という)およびSecond Asp
artate Rich Motif(以下「SARM」という))を含む、
幾つかの保存配列が存在することと、前記保存配列の機
能とが明らかとなっている。さらに、動物および原核生
物由来のtrans型ポリプレニル二リン酸合成酵素を用い
た生成物鎖長制御機構に関する研究から、これらの酵素
内に存在するアリル性化合物結合部位であるFARMの配列
とその近傍の配列が、生成物鎖長決定に重要であること
もわかっている。すなわち、FARMの上流4番目と5番目の
アミノ酸残基とFARM内への配列の挿入とが生成物鎖長を
決定しており、例えば、FARM上流4番目と5番目がともに
芳香族アミノ酸残基である場合、または、FARM上流5番
目が芳香族アミノ酸残基であり、かつFARM内に挿入配列
がある場合は、生成物がFPP(C15)となり、一方、FARM
上流5番目が芳香族アミノ酸残基であり、かつFARM内に
挿入配列がない場合は、生成物がGGPP(C20)となる。
【0052】これらの知見から、本発明者らは、FARM上
流4番目と5番目のアミノ酸がともに立体的に小さなアミ
ノ酸基であって、かつFARM内に挿入配列がない場合は、
生成物鎖長は炭素数20よりも長くなるのではないかとい
う考えに至った。つまり、trans型短鎖ポリプレニル二
リン酸合成酵素では、FARM上流領域が形成するα-ヘリ
ックスに沿ってプレニル鎖が伸長し、このプレニル鎖の
ω末端がFARM上流4番目と5番目の嵩高いアミノ酸残基と
作用して、プレニル鎖の伸長がブロックされて生成物鎖
長が決定されるというモデルを立て、逆にFARM上流4番
目と5番目のアミノ酸残基が小さなアミノ酸残基であれ
ば、この位置では伸長が妨げられることなく、生成物鎖
長が炭素数20よりも長くなると考えたのである。
【0053】そこで、シロイヌナズナの全配列が登録さ
れているゲノムデータベースから、この条件を満たすOR
Fの検索を試みた。
【0054】シロイヌナズナからは、trans型短鎖ポリ
プレニル二リン酸合成酵素であるFPP(炭素数15)合成
酵素とGGPP(炭素数20)合成酵素とが、すでに単離され
て解析が行われている。前記FPP合成酵素はFARM内に挿
入配列をもたず、FARM上流の4番目と5番目のアミノ酸
残基がともに芳香族アミノ酸残基となっている。これに
対して前記GGPP合成酵素は、FARM上流の4番目と5番目
のアミノ酸残基が小さなアミノ酸残基(セリン(4番
目)、メチオニン(5番目))であって、FARM内に挿入
配列を有している。また、これまでに単離されている全
てのtrans型ポリプレニル二リン酸合成酵素の間で系統
樹を作成すると、trans型長鎖ポリプレニル二リン酸合
成酵素は、GGPP合成酵素よりも、むしろFPP合成酵素に
近いという結果が得られている。
【0055】そこで、まず BLAST search(http://www.
ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)を利用して、推定アミノ酸
配列が、前記FPP合成酵素のアミノ酸配列と相同性があ
るORFの検索を行った。アミノ酸配列の相同性は、約
20〜30%の範囲で検索した。ついで、リストアップ
されたホモログの中で、FARM上流の4番目と5番目のア
ミノ酸残基が前述のような小さなアミノ酸残基であるも
のを選択した。その結果、3種類のORFを候補として見
つけ出すことができた(NP#177972,AAD50025,NP#1810
10)。なお、これらのORFは、全てその機能が不明のも
のである。そして、これらの中でも、ORF NP#177972
は、第1染色体上(At1g78510)に位置しており、Chlor
oP 1.1(http://www.cbs.dtu.dk/services/ChloroP/)
およびPredotar(http://www.inra.fr/predotar/)によ
って、葉緑体に輸送されるタンパク質をコードすること
が予測された。そこで、このORF NP#177972が、葉緑体
中のプラストキノン側鎖の前駆体となるtrans型長鎖ポ
リプレニル二リン酸を合成する酵素をコードすると予想
して、対応する完全長のcDNAを単離して詳細な解析を行
うことした。
【0056】3.trans型長鎖ポリプレニル二リン酸合
成酵素候補の完全長cDNAの単離 前記条件下、約4週間生育させたシロイヌナズナArabid
opsis thaliana Columbia株の全組織から、商品名RNeas
y Plant Mini Kit(QIAGEN社)を使用して全 RNAを抽出
し、さらに、DNase処理した後、前記RNeasy Plant Mini
Kitを用いて精製した。精製したRNAを鋳型として、商
品名ReverTra Ace-α-TMを用いた逆転写反応によりcDNA
を合成し、これをRNase H処理して1本鎖cDNAを調製し
た。この一本鎖cDNAを鋳型にして、trans型長鎖ポリプ
レニル二リン酸合成酵素遺伝子であると予想された前記
ORF NP#177972の配列情報をもとに設計したプライマー
(At-trans-F, 5'-ATGTCGGAATATAGATTTAGGTACGA-3'; At
-trans-R, 5'-CTAATCAATTCTTTCGAGGTTATACAA-3')を用
いてPCRを行い、前記ORF NP#177972に対応する遺伝子断
片を調製した。そして、得られた増幅断片を商品名 pCR
2.1ベクターにTAクローニングして、プラスミドpCR-At-
trans-PTを作製した。
【0057】なお、前記ORFに対応する完全長cDNA配列
を獲得するために、5'-RACEおよび3'-RACEを行った。ま
ず、前述の調製したシロイヌナズナ1本鎖cDNAを鋳型と
して、商品名5'-Full RACE Core Set(宝酒造)と、配
列特異的プライマー(逆転写反応用5'リン酸化プライマ
ー At-trans-RT, 5'-pAATAACTTCAAGATTCTC-3'; 1st PCR
用プライマー At-trans-1st-F, 5'-GCGGTGCTAGCTGGAGAT
TTC-3'; At-trans-1st-R, 5'-CTTGTGCCGAAAAGCTCATGAAC
-3'; 2nd PCR用プライマー At-trans-2nd-F, 5'-CGTCAT
GGTACTTAGCAAATCTC-3'; At-trans-2nd-R, 5'- CATGTCAC
TCTCGTCTAACACAT-3')とを用いて、5'-RACEを行った。
また、商品名3'-Full RACE Core Set(宝酒造)と、配
列特異的プライマー(前記1st PCR用プライマー At-tra
ns-1st-F, 前記2nd PCR用プライマー At-trans-2nd-F)
とを用いて3'-RACEを行った。これによって、成熟mRNA
における5'-UTRと3'-UTRとを決定した。
【0058】そして、これらのデータを統合してtrans
型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素遺伝子の候補につ
いて、完全長cDNAの塩基配列を決定した(配列番号
1)。前記決定した塩基配列とゲノム上の対応する塩基
配列とを比較して、PCRの際に非特異的な変異が導入さ
れていないことを確認した。ここで決定した完全長cDNA
内のコード配列を仮にAt trans PT(A. thaliana trans
prenyl diphosphate synthase)と呼ぶこととする。な
お、このcDNAの配列情報は、登録番号AB071514でDDBJ/G
enBankに登録済みである。また、前記コード配列がコー
ドするアミノ酸配列を配列表の配列番号2に示す。
【0059】なお、以前に登録されていたORF NP#17797
2の配列情報は、ゲノム配列から計算によって求めたも
のであったが、それに比べて、前述のように決定したOR
Fの塩基配列は、N末端が14アミノ酸残基分長いことが
わかった。このアミノ酸配列を、前記ChloroP 1.1およ
びPredotarに入力して再度計算したところ、前記アミノ
酸配列からなるタンパク質は、葉緑体輸送ペプチドを含
み、葉緑体に輸送されると推測された。
【0060】4.At trans PTタンパク質の大量発現と
精製 続いて、前記At trans PTがコードするタンパク質が、t
rans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素活性を有する
ことを調べるために、以下に示すようにしてAttrans PT
がコードするタンパク質を大量に調製した。
【0061】At trans PTの両端に制限酵素部位を導入
するためのプライマー(At-trans-NdeI-F, 5'-CATATGAT
GACGTCATGTCGGAATATAGATTTAGGTACG-3'; At-trans-BamHI
-R, 5'-GGATCCCTAATCAATTCTTTCGAGGTTATAC-3',制限酵
素部位を下線で示す)を用いて、前述のpCR-At-trans-P
Tを鋳型としてPCRを行った。得られた断片を、さらに商
品名pCR2.1ベクターにTAクローニングし、DNAシークエ
ンシングして、前記挿入断片に非特異的な変異が導入さ
れていないことを確認した。それから、再度、Nde IとB
amH Iで挿入したAt trans PT断片を切り出し、これを、
Nde IとBamH Iで処理したpET-15bベクターに組み込ん
で、At trans PT大量発現用プラスミドpET-15-At-trans
-PTを構築した。
【0062】すでに、作製したpET-15-At-trans-PTを用
いて大腸菌E. coli BL21(DE3)株を形質転換した。得ら
れた形質転換体を60 μg/mlアンピシリン含有LB培地
により37℃で培養し、OD600が約1.0に達した段階で、終
濃度が1 mMになるようにIPTGを添加し、さらに、30℃で
3時間振とうしてHisタグを付加したAt trans PTタンパ
ク質の発現を誘導した。前記誘導後、培養菌体を遠心分
離で回収し、商品名BugBusterTM HT(Novagen社)を用
いて破砕後、遠心分離を行って粗酵素抽出液を調製し
た。この粗酵素抽出液をNiキレートアフィニティカラム
(商品名His-trapカラム;Amersham Pharmacia Biotech
社)に供し、イミダゾール含有20mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.4)を用いて、メーカー指定の処方
箋に従い、イミダゾールの段階的濃度勾配によってタン
パク質を溶出させ、得られた画分のうち、SDS-PAGEによ
りAt trans PTタンパク質が確認された画分を回収して
濃縮した。この濃縮液を、さらに商品名Superdex 200HR
10/30カラム(Amersham Pharmacia Biotech社)に供
し、150 mM NaClを含む50 mM MOPSバッファー(pH 8.
0)を用いて流速0.4 ml/minでゲルろ過カラムクロマト
グラフィーを行い精製した。このゲルろ過カラムクロマ
トグラフィーによって、At trans PTタンパク質の分子
量は、約108kDaであり、ヒスチジンタグが付加した
サブユニットの分子量は46.6kDaであると算出され
ることから、この酵素が2量体を形成すると推測され
た。また、ゲルろ過精製後のAt trans PTタンパク質をS
DS-PAGEに供し、そのバンドをNIH Imageで評価した結
果、その純度は、約52%と見積もることができた。
【0063】5.ポリプレニル二リン酸合成酵素活性の
確認 精製した前記At trans PTタンパク質が、長鎖ポリプレ
ニル二リン酸合成活性を有するタンパク質であることの
確認を行なった。
【0064】(i)ポリプレニル二リン酸合成酵素の活
性の確認 下記組成の反応溶液195μLに前記精製したAt trans PT
タンパク質溶液5μLを添加して(計200μL)、30℃で10
min反応させた。反応後、反応生成物を水飽和1-ブタノ
ール1 mLで抽出し、得られたブタノール抽出液の放射能
量を液体シンチレーションカウンターで測定して比活性
を求めた。ここで酵素活性の1 unitを、1分間に1−ブ
タノールに抽出され得る生成物中に[4-14C]IPPを1 nmol
取り込むのに要する活性と定義する。
【0065】(反応溶液:終濃度) 100 mM MOPSバッファー(pH 8.0) 8 mM MgCl2 50 μM アリル性基質 50 μM [4-14C]IPP (37 GBq/mol) 0.05 %(w/v) Triton X-100
【0066】前記アリル性基質としてFPPを使用して、
前記活性測定法により精製At transPTタンパク質の酵素
反応を行った結果、1−ブタノール抽出液から相当量の
放射能量156.5Bqが検出され、その比活性は418.8U/mgで
あった。この結果から、炭素数15のFPPと [4-14C]IPP
との重合反応によって、長鎖ポリプレニル二リン酸が生
成されたと推測されるため、At trans PTタンパク質
が、長鎖ポリプレニル二リン酸生成活性を有する可能性
が高いといえる。
【0067】(ii)反応生成物の分析 実際にAt trans PTタンパク質による反応生成物を分析
し、実際に長鎖ポリプレニルニリン酸が生成されている
かを確認した。まず、前記アリル性基質としてFPPおよ
びGGPPをそれぞれ使用し、前記(i)と同様にして反応
を行い、1−ブタノール抽出液を調製した。800μL
の各抽出液に700μLのメタノールと1mLの0.5
M酢酸緩衝液(pH4.7)を添加して、これに濃度2
U/mLとなるように酸性ホスファターゼを添加して、37
℃で8時間反応させ、前記各抽出液中の反応生成物(ポ
リプレニル二リン酸)から二リン酸を加水分解によって
除去し、それぞれ対応するプレノールを調製した。この
調製したプレノールをさらにn−ペンタンで抽出して、
逆相薄層クロマトグラフィー(TLC)に供した。この
際、標準物質として鎖長の異なる各種プレノール(C1
5、C20、C25、C30、C35、C40、C45)も共にTLCに供し
た。そして、展開後のTLCプレートに、ヨウ素蒸気の
下、25℃で20分間放置することにより呈色を行い、
標準物質のスポットを検出した。放射標識された生成物
のスポットは、バイオイメージングアナライザー(商品
名BAS2000;富士フィルム社製)を用いて視覚化した。T
LCプレートとしては商品名RP-18(Merck社製)を、展開溶
媒としてはアセトン/水(体積比19/1)を使用した。
このTLCプレートのオートラジオグラフィーの結果を図
1に示す。なお、同図においては、標準物質のスポット
箇所に矢印を付した。
【0068】その結果、図1に示すように、各種標準物
質と同様のRF値の部位にスポットが検出でき、特にプレ
ノールC45と同様の箇所に濃いスポットが顕著に検出さ
れた。この結果から、At trans PTタンパク質は長鎖ポ
リプレニルニリン酸生成活性を有していることが確認で
きた。
【0069】さらに、展開済みの前記TLCプレートの各
スポットについて、バイオイメージングアナライザー
(商品名BAS2000;富士フィルム社製)を用いて放射能
量を測定し、反応液中の全生成物における各鎖長生成物
の割合を求めた。具体的には、下記式に示すように、各
スポットにおける放射能量絶対値を、各生成物に取り込
まれた [4-14C]IPP の数で割り、この値を基に前記割合
(%)を求めた。これらの結果を下記表1に示す。
【0070】 プレノール生成物(%)アリル性基質 C15 C20 C25 C30 C35 C40 C45 FPP (C15) − 28.8 5.85 2.94 3.37 6.49 52.6 GGPP(C20) − − 11.5 0.91 2.21 3.84 81.6
【0071】前記図1および前記表1のTLCの結果か
ら、精製したAt trans PTタンパク質によれば、炭素数
20より長鎖のポリプレニル二リン酸を生成でき、特に
主生成物として、ソラシネル二リン酸(SPP、C45)が得
られることがわかった。以上の結果より、前記At trans
PTタンパク質はSPP合成酵素であって、前記ORF NP#17
7972に対応する遺伝子断片At trans PTが、SPP合成酵素
遺伝子であることを確認できた。以後、このAt trans P
Tを、At SPS(A. thaliana solanesyl diphosphatesynt
hase)と呼び、その翻訳産物をAt SPSタンパク質と呼
ぶ。
【0072】なお、前記表1に示すように、アリル化合
物としてFPP(C15)を用いた場合には、C25〜C40の中間
生成物がある程度の割合で生成したのに対し、GGPP(C2
0)をアリル性基質とした場合には、SPP(C45)がほぼ
単一の生成物として得られた。この結果から、シロイヌ
ナズナ細胞内では、GGPPがAt SPSタンパク質の本来のア
リル性基質であることを示唆していると考えられる。
【0073】(実施例2)前記実施例1により得られた
At SPSタンパク質について、その理化学的性質および基
質特異性を調べた。
【0074】1.理化学的性質の検討 前述のポリプレニル二リン酸合成酵素活性の測定方法に
よって、At SPSタンパク質の至適条件を決定した。な
お、アリル基質としてはFPPを使用した。その結果を以
下に示す。
【0075】 至適温度 40℃ 熱安定性 40℃以下 至適pH 8.0(100mM MOPS緩衝剤) 至適Mg2+ 8.0mM 至適界面活性剤濃度 0.05重量%(商品名Triton X
-100)
【0076】2.基質特異性の検討 前記至適条件下において、各種アリル性化合物と [4-14
C]IPP とを用いて基質特異性の検討を行った。前記アリ
ル性化合物としては、ジメチルアリル二リン酸(DMAP
P、C5)、ゲラニル二リン酸(GPP、C10)、FPP(C15)
およびGGPP(C20)を基質として使用した。そして、前
述の活性測定方法によりそれぞれの活性値を求め、FPP
を基質とした場合の活性値を100%とした場合の相対活
性(%)を求めた。これらの結果を下記表2に示す。
【0077】 (表2) アリル性基質 相対活性(%) DMAPP(C5) 0.34 GPP (C10) 0.00 FPP (C15) 100 GGPP (C20) 111
【0078】前記表2に示すように、At SPSタンパク質
は、DMAPPおよびGPPを重合開始基質としてほとんど使用
できないが、FPPおよびGGPPを特異的に重合開始基質と
して使用できることがわかった。
【0079】また、至適pHがpH 8.0であり、FPPよりもG
GPPに対して高い特異性を示すことから、次のようなこ
とがわかった。植物細胞内でpHが弱塩基性であるのは、
ミトコンドリアのマトリックス内と葉緑体のストロマ内
であり、GGPPは、葉緑体を含む色素体に局在することが
知られている。つまり、この知見と、前記至適pHおよび
基質特異性の結果とから、At SPSタンパク質が、葉緑体
ストロマ内に局在して、GGPPを基質としてプラストキノ
ン側鎖合成に寄与していると考えられる。
【0080】(実施例3)前記実施例1により得られた
At SPSタンパク質について、触媒反応機構を解析するた
めに速度論解析を行った。
【0081】[4-14C]IPP 濃度を50μMに固定して、アリ
ル性基質(FPPおよびGGPP)濃度を変化させ、また、ア
リル性基質(FPPおよびGGPP)濃度を50μMに固定して、
[4-1 4C]IPP 濃度を変化させて、前述と同様にして活性
測定を行った。そして得られたデータを EnzymeKinetic
s software version 1.5(Trinity Software社) によ
り解析して、速度論パラメータを決定した。これらの結
果を下記表3に示す。
【0082】 (表3) 基質 Km kcat kcat/Km (μM) (s-1b (103-1*-1 FPP(IPP)a 3.42±0.64 0.225±0.009 65.7 GGPP(IPP) 0.356±0.056 0.500±0.030 1404 IPP(FPP) 59.9±9.5 0.200±0.0011 3.33IPP(GGPP) 53.6±8.3 0.288±0.016 5.36 a :かっこ内は、50μMに固定した基質を示す b :1サブユニットの酵素1nmolによって、1秒間に生成物に取り込まれるIP Pのnmolを示す
【0083】前記表3に示すように、GGPPのKm値は0.35
6 μMであり、FPPのKm値3.42 μMの約10分の1となり、G
GPPを用いた場合のkcat値は0.500 s-1であり、FPPを用
いた場合のkcat値0.225 s-1の約2倍となった。したがっ
て、実質的な触媒活性を示すkcat/Km値では、GGPPの値1
404 x 103 s-1*M-1はFPPの値65.7 x 103 s-1*M-1の約20
倍大きいことになる。このようにAt SPSが、FPPよりもG
GPPに対して高い特異性を示すことはGGPPが本来のアリ
ル性基質であることを示唆している。また、FPPとGGPP
のアリル性基質の濃度を50 μMに固定して、IPP濃度を
変化させて,IPPについての速度論パラメータを算出し
た結果、IPPのKm値は、FPPを用いた場合59.9 μMであ
り、GGPPを用いた場合は53.6 μMとなり、前記アリル性
基質(FPP、GGPP)のKm値よりも数十倍大きいことがわ
かった。このことは、At SPSのIPPに対する親和性は、
アリル性基質に対する親和性よりも相当低いことを示し
ている。このことから、前述のようにAt SPSタンパク質
が局在すると考えられる葉緑体ストロマ内において、IP
P濃度はかなり高いことが予想される。
【0084】(実施例4)前記実施例1で得られたAt S
PS タンパク質の細胞内局在の解析を、コンピューター
の計算によって行った。その結果、ChloroP 1.1(http:
//www.cbs.dtu.dk/services/ChloroP/)およびPredotar
(http://www.inra.fr/predotar/)によって、葉緑体に
輸送されることが予測された。さらに、前記ChloroP 1.
1によって、At SPS タンパク質のN末端部分71残基
が葉緑体への輸送ペプチドであると推定された。
【0085】
【発明の効果】このように本発明の遺伝子は、trans型
長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードするため、
例えば、これによって大腸菌や植物細胞等を形質転換
し、大量発現させることによって、各種プラストキノン
や、特に有効な医薬品であるユビキノン10等のユビキ
ノン等の生産原料を容易に合成することができる。この
ため、前記遺伝子を用いて作製した形質転換体や形質転
換植物細胞は、原料供給源として非常に有用である。
【0086】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 財団法人大阪産業振興機構 <120> trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子 を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それか ら得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体 <130> R6435 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1521 <212> DNA <213> Arabidopsis thaliana <400> 1 gtaccttttt ttgttgtaat ttttccatac acccaatttc ccgtggaaga aaaggagtca 60 gctttttcgt ttgctttaaa gcttgaatct ttacatagtt ccagttactt tctatagagc 120 ttcataatcc ctagttgccc aaaaggattc tgggttttgt gagaatgatg acgtcatgtc 180 ggaatataga tttaggtacg atgatgatgg catgtggttg tggccgtcgt cagtttcctt 240 cattagcgaa gactgtttgt aagtttacta gcagcaatag aagctatggc ggtctggtgg 300 ggagttgcaa agcggtgcca acgaaatcaa aggagatctc tttgctcaat ggtattggtc 360 aatctcaaac agtgagtttt gatttgaaac aagagtcaaa acagcctatt tcgttggtga 420 ctctgtttga gctagtagct gttgatctgc agactttgaa tgacaatctt ttatcgattg 480 ttggtgcgga aaatccggtt ttgatatctg cggctgagca gattttcgga gctggtggta 540 aaagaatgag accgggtttg gtattccttg tatcacatgc cacggcggaa ttagcaggcc 600 taaaggaact aacaacagaa caccggcgtt tggctgagat catcgagatg atacacactg 660 caagcttgat acacgacgat gtgttagacg agagtgacat gcgaagagga aaggaaacag 720 ttcatgagct tttcggcaca agagtagcgg tgctagctgg agatttcatg tttgctcaag 780 cgtcatggta cttagcaaat ctcgagaatc ttgaagttat taagctcatc agtcaggtga 840 tcaaagactt tgcaagcgga gagataaagc aggcgtccag cttatttgac tgcgacacca 900 agctcgacga gtacttactc aaaagtttct acaagacagc ctctttagtg gctgcgagca 960 ccaaaggagc tgccattttc agcagagttg agcctgatgt gacagaacaa atgtacgagt 1020 ttgggaagaa tctcggtctc tctttccaga tagttgatga tattttggat ttcactcagt 1080 cgacagagca gctcgggaag ccagcaggga gtgatttggc taaaggtaac ttaacagcac 1140 ctgtgatttt cgctctggag agggagccaa ggctaagaga gatcattgag tcagagtttt 1200 gtgaggcggg ttctctggaa gaagcgattg aagcggtgac aaaaggtggg gggattaaga 1260 gagcacaaga attggctagg gagaaagctg atgacgctat aaagaatcta cagtgtctac 1320 ctcgaagtgg cttcaggtcg gctctagaag atatggtgtt gtataacctc gaaagaattg 1380 attagctttc caaaagaagt tggaaacact gagacatgct tatagactta tagtacagta 1440 aaacacacac aaaagaggaa tgattgtaac tcctatttca aaagtaataa cacatgattt 1500 cgattaaaaa aaaaaaaaaa a 1521 <210> 2 <211> 406 <212> PRT <213> Arabidopsis thaliana <220> <221> PEPTIDE <222> (1)..(406) <400> 2 Met Met Thr Ser Cys Arg Asn Ile Asp Leu Gly Thr Met Met Met Ala 1 5 10 15 Cys Gly Cys Gly Arg Arg Gln Phe Pro Ser Leu Ala Lys Thr Val Cys 20 25 30 Lys Phe Thr Ser Ser Asn Arg Ser Tyr Gly Gly Leu Val Gly Ser Cys 35 40 45 Lys Ala Val Pro Thr Lys Ser Lys Glu Ile Ser Leu Leu Asn Gly Ile 50 55 60 Gly Gln Ser Gln Thr Val Ser Phe Asp Leu Lys Gln Glu Ser Lys Gln 65 70 75 80 Pro Ile Ser Leu Val Thr Leu Phe Glu Leu Val Ala Val Asp Leu Gln 85 90 95 Thr Leu Asn Asp Asn Leu Leu Ser Ile Val Gly Ala Glu Asn Pro Val 100 105 110 Leu Ile Ser Ala Ala Glu Gln Ile Phe Gly Ala Gly Gly Lys Arg Met 115 120 125 Arg Pro Gly Leu Val Phe Leu Val Ser His Ala Thr Ala Glu Leu Ala 130 135 140 Gly Leu Lys Glu Leu Thr Thr Glu His Arg Arg Leu Ala Glu Ile Ile 145 150 155 160 Glu Met Ile His Thr Ala Ser Leu Ile His Asp Asp Val Leu Asp Glu 165 170 175 Ser Asp Met Arg Arg Gly Lys Glu Thr Val His Glu Leu Phe Gly Thr 180 185 190 Arg Val Ala Val Leu Ala Gly Asp Phe Met Phe Ala Gln Ala Ser Trp 195 200 205 Tyr Leu Ala Asn Leu Glu Asn Leu Glu Val Ile Lys Leu Ile Ser Gln 210 215 220 Val Ile Lys Asp Phe Ala Ser Gly Glu Ile Lys Gln Ala Ser Ser Leu 225 230 235 240 Phe Asp Cys Asp Thr Lys Leu Asp Glu Tyr Leu Leu Lys Ser Phe Tyr 245 250 255 Lys Thr Ala Ser Leu Val Ala Ala Ser Thr Lys Gly Ala Ala Ile Phe 260 265 270 Ser Arg Val Glu Pro Asp Val Thr Glu Gln Met Tyr Glu Phe Gly Lys 275 280 285 Asn Leu Gly Leu Ser Phe Gln Ile Val Asp Asp Ile Leu Asp Phe Thr 290 295 300 Gln Ser Thr Glu Gln Leu Gly Lys Pro Ala Gly Ser Asp Leu Ala Lys 305 310 315 320 Gly Asn Leu Thr Ala Pro Val Ile Phe Ala Leu Glu Arg Glu Pro Arg 325 330 335 Leu Arg Glu Ile Ile Glu Ser Glu Phe Cys Glu Ala Gly Ser Leu Glu 340 345 350 Glu Ala Ile Glu Ala Val Thr Lys Gly Gly Gly Ile Lys Arg Ala Gln 355 360 365 Glu Leu Ala Arg Glu Lys Ala Asp Asp Ala Ile Lys Asn Leu Gln Cys 370 375 380 Leu Pro Arg Ser Gly Phe Arg Ser Ala Leu Glu Asp Met Val Leu Tyr 385 390 395 400 Asn Leu Glu Arg Ile Asp 405
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において、形質転換体から得
られたtrans型長鎖ポリプレニル二リン酸合成酵素の酵
素反応における生成物を確認したTLCの模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 昭雄 大阪府吹田市山田丘2−1 大阪大学工学 部内 (72)発明者 広岡 和丈 大阪府吹田市山田丘2−1 大阪大学工学 部内 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD08 CA06 CA17 CA19 CB03 CD02 CD07 CD09 4B024 AA03 AA08 BA07 CA01 CA04 DA01 DA06 EA01 EA04 FA02 GA11 4B050 CC01 CC03 DD13 LL05 4B065 AA26X AA88X AA88Y AB01 BA01 CA13 CA27 CA60 (54)【発明の名称】 trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換え ベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、お よび形質転換植物体

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)または(b)に示すDNA
    からなる遺伝子。 (a) 配列表の配列番号1に示す塩基配列からなるD
    NA (b) (a)の塩基配列において1以上の塩基が欠
    失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ炭素
    数20より大きいtrans型ポリプレニル二リン酸合成活性
    を有するタンパク質をコードするDNA
  2. 【請求項2】 植物由来である請求項1記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】 植物がシロイヌナズナである請求項2記
    載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 シロイヌナズナが Arabidopsis thalian
    a Columbia である請求項3記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】 trans型ポリプレニル二リン酸合成活性
    が、アリル性化合物に、イソペンテニル二リン酸(C5)
    を順次縮合させて炭素数20より大きいtrans型ポリプレ
    ニル二リン酸を合成する活性である請求項1〜4のいず
    れか一項に記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】 アリル性化合物が、ファルネシル二リン
    酸(C15)およびゲラニルゲラニル二リン酸(C20)の少
    なくとも一方である請求項5記載の遺伝子。
  7. 【請求項7】 trans型ポリプレニル二リン酸合成活性
    が、少なくとも炭素数40および45のいずれか一方の炭素
    数であるtrans型ポリプレニル二リン酸を合成する活性
    である請求項1〜6のいずれか一項に記載の遺伝子。
  8. 【請求項8】 trans型ポリプレニル二リン酸合成活性
    が、ソラシネル二リン酸(C45)合成活性である請求項
    1〜7のいずれか一項に記載の遺伝子。
  9. 【請求項9】 ベクターに請求項1〜8のいずれか一項
    に記載の遺伝子を組込んだ組換えベクター。
  10. 【請求項10】 ベクターがpET−15bベクターで
    ある請求項9記載の組換えベクター。
  11. 【請求項11】 ベクターが植物を形質転換するための
    ベクターである請求項9記載の組換えベクター。
  12. 【請求項12】 ベクターが植物形質転換用バイナリー
    ベクターである請求項10または11記載の組換えベク
    ター。
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれか一項に記載
    の組換えベクターを導入した形質転換体。
  14. 【請求項14】 大腸菌に組換えベクターを導入した請
    求項13記載の形質転換体。
  15. 【請求項15】 植物細胞に組換えベクターを導入した
    請求項13記載の形質転換体。
  16. 【請求項16】 植物細胞が、 Fragaria 、Lotus 、Medica
    go 、Onobrychis 、Trifolium 、Trigonella 、Vigna 、Citrus 、Li
    num 、Geranium 、Manihot 、Daucus 、Arabidopsis 、Brassica 、R
    aphanus 、Sinapis 、Atropa 、Capsicum 、Hyoscyamus 、Lycoper
    sicon 、Nicotiana 、Solanum 、Petunia 、Digitalis 、Majoran
    a 、Cichorium 、Helianthus 、Lactuca 、Bromus 、Asparagus 、An
    tirrhinum 、Hererocallis 、Nemesia 、Pelargonium 、Panicu
    m 、Pennisetum 、Ranunculus 、Senecio 、Salpiglossis 、Cucum
    is 、Browaalia 、Glycine 、Lolium 、Zea 、Triticum 、Sorghum 、D
    atura 、Chrysanthemum 、Dianthus 、Gerbera 、Euphorbia 、Pel
    aronium 、Ipomoea 、Passiflora 、Cyclamen 、Malus 、Prunus 、R
    osa 、Rubus 、Populus 、Santalum 、Allium 、Lilium 、Narcissu
    s 、Ananas 、Arachis 、Phaseolus 、Eucomia 、Heavea 、Periploc
    a および Pisum 属からなる群から選択された少なくと
    も一つの植物の細胞である請求項15記載の形質転換
    体。
  17. 【請求項17】 請求項13〜16のいずれか一項に記
    載の形質転換体から得られ、かつ以下の(c)または
    (d)に示すDNAからなる遺伝子によりコードされた
    アミノ酸配列からなる組換えタンパク質。 (c) 配列表の配列番号1に示す塩基配列のうち、塩
    基番号(165)〜(1385)で示す塩基配列からなるDN
    A (d) (c)の塩基配列において1以上の塩基が欠
    失、置換または付加された塩基配列からなり、かつ炭素
    数20より大きいtrans型ポリプレニル二リン酸合成活性
    を有するタンパク質をコードするDNA
  18. 【請求項18】 アリル性化合物に、イソペンテニル二
    リン酸(C5)を順次縮合させてtrans型ポリプレニル二
    リン酸を合成する反応を触媒する請求項17記載の組換
    えタンパク質。
  19. 【請求項19】 アリル性化合物が、ファルネシル二リ
    ン酸(C15)およびゲラニルゲラニル二リン酸(C20)の
    少なくとも一方である請求項18記載の組換えタンパク
    質。
  20. 【請求項20】 合成されるポリプレニル二リン酸が、
    ゲラニルファルネシル二リン酸(C25)、ヘキサプレニ
    ル二リン酸(C30)、ヘプタプレニル二リン酸(C35)、
    オクタプレニル二リン酸(C40)およびソラシネル二リ
    ン酸(C45)からなる群から選択された少なくとも一つ
    の物質である請求項17〜19のいずれか一項に記載の
    組換えタンパク質。
  21. 【請求項21】 請求項15または16記載の植物細胞
    の形質転換体から得られた形質転換植物体。
JP2002057547A 2002-03-04 2002-03-04 trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体 Withdrawn JP2003250539A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057547A JP2003250539A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057547A JP2003250539A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003250539A true JP2003250539A (ja) 2003-09-09

Family

ID=28667775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002057547A Withdrawn JP2003250539A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003250539A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015015953A (ja) * 2014-08-12 2015-01-29 日立造船株式会社 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子
JP2016093186A (ja) * 2015-12-25 2016-05-26 日立造船株式会社 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015015953A (ja) * 2014-08-12 2015-01-29 日立造船株式会社 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子
JP2016093186A (ja) * 2015-12-25 2016-05-26 日立造船株式会社 長鎖トランス型プレニル二リン酸合成酵素遺伝子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU749323B2 (en) Mutated hydroxy-phenyl pyruvate dioxygenase, DNA sequence and method for obtaining herbicide-tolerant plants containing such gene
US6245968B1 (en) Mutated hydroxyphenylpyruvate dioxygenase, DNA sequence and isolation of plants which contain such a gene and which are tolerant to herbicides
US7884262B2 (en) Modified DMO enzyme and methods of its use
EP2451946B2 (en) Novel hydroxyphenylpyruvate dioxygenase polypeptides and methods of use
US7282359B2 (en) Plant 1-deoxy-D-xylulose 5-phosphate reductoisomerase
JP5403628B2 (ja) 植物のバイオマス量及び/又は種子量を増産させる遺伝子及びその利用方法
Alkhalfioui et al. A novel type of thioredoxin dedicated to symbiosis in legumes
JPH11504213A (ja) 構造に基づきデザインされた除草剤耐性生産物
JP5250807B2 (ja) 植物のバイオマス量及び/又は種子量を増産させる方法、バイオマス量及び/又は種子量を増産できる植物の製造方法
Shimajiri et al. Differential subcellular localization, enzymatic properties and expression patterns of γ-aminobutyric acid transaminases (GABA-Ts) in rice (Oryza sativa)
US7135622B2 (en) Mevalonate synthesis enzymes
AU2009287446A1 (en) Transgenic plants with enhanced growth characteristics
CN109929019B (zh) 一种与植物耐盐碱相关蛋白GsERF7及其编码基因与应用
JP5604657B2 (ja) 植物のバイオマス量及び/又は種子量を増産させる遺伝子及びその利用方法
JPWO2003074706A1 (ja) 催涙成分生成酵素活性を有する蛋白質又はポリペプチド、該蛋白質又はポリペプチドをコードするDNA、該DNAを用いた催涙成分生成酵素活性を有する蛋白質又はポリペプチドの製造方法及び該蛋白質又はポリペプチドについてのmRNAの翻訳を阻害する機能を有する核酸分子
JP2023514687A (ja) グリコシルトランスフェラーゼ、これらをコードするポリヌクレオチドおよび使用方法
JPH05184373A (ja) 抗菌ペプチドおよびそれに基づく植物耐病性
ES2316382T3 (es) Secuencias gst del frijol de soja y su uso en la produccion de plantas resistentes a los herbicidas.
JP2003250539A (ja) trans型ポリプレニル二リン酸合成酵素をコードする遺伝子、前記遺伝子を組込んだ組換えベクター、前記組換えベクターを導入した形質転換体、それから得られた組換えタンパク質、および形質転換植物体
Zhang et al. Cloning of a NaCl-induced fructose-1, 6-diphosphate aldolase cDNA from Dunaliella salina and its expression in tobacco
US6204039B1 (en) Plant isocitrate dehydrogenase homologs
Yang et al. A nodule-localized small heat shock protein GmHSP17. 1 confers nodule development and nitrogen fixation in soybean
CN109295024B (zh) 降低OsSAMS1蛋白及其编码基因表达在提高植物对水稻矮缩病毒抗性中的应用
US6171839B1 (en) Soybean glutathione-S-transferase enzymes
CN114716522A (zh) Kin10蛋白及其相关生物材料在植物耐盐碱中的应用

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050510