JP2015014569A - X線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置、およびその製造方法 - Google Patents

X線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】グローブ付オープンボックス、仲介チャンバーおよび2軸回折計を横方向に直列状に配列して接続して一体化し、装置全体の形状のコンパクト化を図ったX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置およびその製造方法を提供する。【解決手段】前面にグローブを有し、かつ内部目視用の窓を有するグローブ付オープンボックス3と、このグローブ付オープンボックスと気密的に接続された中空状の仲介チャンバー9と、この仲介チャンバーに組み付けられた2軸回折計11とを備え、前記2軸回折計は、回転中心を揃え、前記仲介チャンバーに組み付けられた第1の回転ステージおよび外側に位置する第2の回転ステージからなり、前記第1の回転ステージ側に設けられた回転可能な回転すべり面に設けられた試料台を前記仲介チャンバー内に配置した構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、X線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置、およびその製造方法、より詳細には、X線回折測定を行うために必要な回転駆動機構、検出器走査機構及び円弧状の窓および平面上の窓を外装の一部とし、またグローブを備えることで高い操作性自由度を提供するX線回折装置一体型不活性ガス循環型雰囲気制御グローブボックス装置、その製法方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの蓄電池に代表される大気(主に水と酸素)と反応性の高い材料を取り扱った研究には、雰囲気制御グローブボックスの利用は欠かせない。特に不活性ガスを循環させることで低い水分濃度、酸素濃度を長期間に渡り保持することができる不活性ガス循環型雰囲気制御グローブボックスは、国内外の大学・企業を問わず世界的に広く浸透している。一方で、材料自体の結晶構造や異物、欠陥などを検査する技術として、X線回折法は最も有効な手法の一つとして利用されている。しかしながら、これまで回折法などのX線分析を可能とする2軸回転機構と雰囲気制御グローブボックスは別個の技術としてそれぞれ発展してきた。例えば、雰囲気制御グローブボックス中にX線回折装置すべてを導入しても、真空状態から不活性ガス雰囲気まで環境を変えることは困難であった。さらに、X線回折装置に雰囲気制御アタッチメントを取り付けても、雰囲気を保ったままアタッチメント中の試料を手で操作することは尚困難であり、研究の大きな妨げになっていた。そのため、真空から不活性ガスまで様々な雰囲気制御下でのX線回折測定を可能とし、かつ手袋を介してボックス外部から試料を操作できる自由度の高い雰囲気制御グローブボックスは、これまでに実現できなかった研究開発や検査などを提供できる可能性を秘めている。
X線回折測定は透過法と反射法とに大別できるが、特に反射法の場合には入射X線に対して試料の角度を調整する必要がある。両手法とも反射した回折X線を検出するためには、イメージングプレートやフラットパネルなどの1、2次元検出装置を設置する手法や、0〜2次元検出装置をそれぞれ円弧上に走査する手法などがある。多くの場合、円弧上に結晶面に対応した回折X線が複数観測されるため、試料の結晶構造を理解するためにはこれら回折X線の強度を正しく検出あるいは補正する必要があり、試料と検出装置とをそれぞれ円弧上に移動させる回転機構の回転中心が一致している2軸回転駆動機構が一般的に利用されている。このようなX線回折装置を用いた雰囲気制御測定については、試料の回転駆動機構部に気密容器を設置する実施例(特許文献1、2、3)が示されている。
雰囲気制御下におけるX線回折測定の大きなメリットの一つは、雰囲気制御できるガスの種類や濃度(圧力)を変えられることである。ガス置換には、部分的なガス排気・置換を交互に繰り返す真空を経由しない方法と、一度真空まで排気後ガスを導入する方法とがある。コスト面や時間面だけでなく、残存水分濃度や酸素濃度など不必要なガス成分を極力取り除くことを考慮すれば、真空を経由する後者が雰囲気制御実験には有効である。例えば、特許文献4や5などは試料の回転駆動機構部に設置した気密容器に真空排気手段と各種ガス導入手段を用意することで、雰囲気制御下におけるX線回折測定を提案している。また、特許文献6には真空ポンプと気密容器を近づけ高真空を簡便に達成する方法も考案されている。
従来、雰囲気制御下におけるX線回折測定の主流はキャピラリー(細いガラス管)内部に目的試料を封入する方法である。この方法は少量の材料単体を解析するのには適しているが、発電素子や蓄電素子などの複合デバイスではそのまま適用することができない。そこで、大気と反応性の高い材料を取り扱った発電素子や蓄電素子などの研究では、主に水分や酸素に対してバリア性を発揮する材質を使った小型セルを用いることでX線回折法やX線吸収微細構造法などのX線分析を行ってきた(非特許文献1、2、3参照)。これらは別途設けたグローボックス等の気密容器内部で、材料を個々の密封容器に封じることで測定環境を整えたものであり、一度密封してしまえば一度解体しない限り内部の材料を操作することは困難である。また、バリア性を発揮する材質が可視光を遮る場合には中身が見えず、副反応などの危険性をはらむ場合には未然に事故を防止することが難しい。最も大きな課題は、分析手法の限界に合わせるために、内部の端子、電極、電解質などの部材構成や厚みなどを設計しなければならない上に、最終的に製品となる発電素子や蓄電素子とは違う構成で計測しなければならないことが多いことである。
特開平5−307012号公報 特開平11−6805号公報 特開平6−258261号公報 特開2006−17543号公報 特開2000−292375号公報 特開平6−102213号公報
J. Solid State Chem. 2001, 156, 286. J. Electrochem. Soc., 2003, 150, A1560. J. Electrochem. Soc., 2006, 153, A583.
しかしながら、これまでに報告されてきたX線回折装置の試料回転駆動機構部に設置した気密容器は、いずれも設置後に気密容器内部で人が材料や器具などを操作して追加実験することは想定されていなかった。このような用途には気密容器自体に広いオープンスペースが必要不可欠であるが、X線回折装置に付随する他の駆動機構との干渉や重量制限などから、別個に気密容器を開発して後付けでX線回折装置に載せるやり方には限界があった。
気密容器をX線回折装置に設置する以外にも、非常に大型の雰囲気制御グローブボックスの内部に、2軸回転駆動機構全体を設置することも提案されている(非特許文献4)。しかし、種々の原理に基づくX線検出器を目的に応じて使うX線分析においては、検出器走査機構は雰囲気制御グローブボックスの外側にあることが望ましい。例え検出器を含めて装置全体をグローブボックス内部に収め気密性が確保できても、ガス置換を行う際には真空状態を通ることは避けられず、内部に設置できる機器・素子・検出器には大きな制限を受けることになる。
よって、図1に示した本発明の一実施例に係る説明図などのように、雰囲気制御グローブボックスの外装の一部にシール材を介して2軸回転駆動機構の内側の回転機構を組み
込み、回転中心をそろえた外側の回転機構と高い気密性を確保したまま連動して動かす事ができれば、グローブによる高い操作性自由度と雰囲気制御を両立したX線回折測定を実現することが期待される。
JAERI−Tech 98−022,1998,21p.
本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスは、使用目的に合わせて真空状態から不活性雰囲気などを構築することができる上に、グローブボックス内部と外部にX線回折測定が可能な回転中心を揃えた2軸回転機構を有し、これに付随する検出窓を外装の一部に組み込んでいる。これまでに無いX線回折装置と雰囲気制御グローブボックスの一体開発ができれば産業利用上好ましい。また、そのようなX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスのさらなる利用が望まれる。
本発明の目的は、従来の別個に生産されていた不活性ガス循環雰囲気制御グローブボックスやX線回折装置とは外装形状・構成が異なる、グローブ付オープンボックス、仲介チャンバーおよび2軸回折計を横方向に直列状に配列して接続して一体化し、仲介チャンバーに入射X線用の平面状の窓を設けると共に、円弧状の細長いX線検出用の窓を設け、かつ仲介チャンバー内には2軸回折計の試料台を配置し、装置全体の形状のコンパクト化を図ったX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置およびその製造方法を提供することにある。
上記問題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、前面にグローブ3bを有し、かつ内部目視用の窓4bを有するグローブ付オープンボックス3と、このグローブ付オープンボックス3と気密的に接続された中空状の仲介チャンバー9と、この仲介チャンバー9に組み付けられた2軸回折計11とを備え、前記2軸回折計11は、回転中心を揃え、前記仲介チャンバー9に組み付けられた第1の回転ステージ18aおよび外側に位置する第2の回転ステージ18bからなり、
前記第1の回転ステージ18a側に設けられた回転可能な回転すべり面29に設けられた試料台30を前記仲介チャンバー9内に配置したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス3の下部にゲートバルブ8を介し外部から試料を入れるサイドボックス2を設け、このサイドボックス2内には、入れられた前記試料を前記ゲートバルブ8を開き前記グローブ付オープンボックス3内に搬入する伸縮自在な搬送機構が設けられたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス3に、内部に注入された不活性ガスを循環させる不活性ガス循環機構を接続したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス3にその内部を真空にする真空計引き機構を接続し、かつ内部に不活性ガスを注入する注入用バルブ5を設けたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記仲介チャンバー9は円筒状をなし、X線を入射させるポートが設けられていると共に、その回折X線強度を計測するためのX線が透過する円弧状のX線検出窓9aが設けられ、かつ前記X線検出窓9aの外側には円弧状のX線検出窓9aに沿って回転可能で、透過した回折X線強度を検出する一次元検出器13が設けられ、かつ前記仲介チャンバー9には内部にセットされた試料を回転させる試料回転機構が設けられたことを特徴とする。
請求項6の発明は、X線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の製造方法において、2つの第1、第2の回転ステージ18a、18bを一体化して2軸回折計11とするステップと、この2軸回折計11の第1の回転ステージ18a側にシール機構を介し円筒状の仲介チャンバー9の一方の側を接続し、かつ前記第1の回転ステージ18aの試料用回転軸20aに、前記仲介チャンバー9内に位置し試料をセット可能な試料台30を設けるステップと、前記仲介チャンバー9にグローブ付オープンボックス3の背面側の開口部をシール手段を介し接続するステップと、を備えX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置を組立てることを特徴とする。
本発明によるX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、グローブ付オープンボックス3と接続された仲介チャンバー9からなる気密容器の内部、すなわち仲介チャンバー9内に、2軸回折計11の内側の試料用回転円盤20aに接続された試料台を位置させ、容器の外部に、前記試料用回転円盤20aと回転中心を揃え、X線回折測定が可能な検出器用回転円盤20bを設けた配置としている。このようなX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスは、他の雰囲気制御グローブボックス中にX線回折装置を入れた場合と、X線回折装置の試料部に気密容器を置いた場合の両方と比べ、装置全体がコンパクトになり、また、低い酸素濃度、露点を保ったまま試料の交換・調整作業などをグローブを介して容易に行うことが可能であり、飛躍的に研究効率を向上させることができる。さらに、従来小型の容器で個々に密封しなければ分析できなかった材料やデバイスなどにおいても、従来のように、ボックス内部では特別に外装を使わずとも良いため、本発明では目視による位置確認や現象理解を可能とする。加えて、グローブと、グローブ付オープンボックス3および仲介チャンバー9内のオープンスペースを活かして他の分析手法、例えば蛍光X線分析やラマン分光、赤外分光、熱測定などとの同時測定も可能になるため、これまでに理解できなかった現象を解明できる期待がある。
本発明によるX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、上記したように、試料台30をグローブ付オープンボックス3と接続された仲介チャンバー9から容器内に入れた構成としたため、装置全体をコンパクトにまとめることができ、装置外部にサイドチャンバーやガス循環装置、外部端子、外部接続ポート、各種センサーやモニター等を設置するためのスペースを稼ぐことができる。また、従来のX線回折に用いられてきた気密容器とは異なりグローブを備えているため、ボックス内部に大気と反応性の高い材料を取り扱える実験スペースを提供することが可能である。そのため、限られた施設敷地内で別個にX線回折装置と雰囲気制御グローブボックスを設置するより一体型とすることで敷地面積を大幅に有効活用でき、工業的利用価値を有している。
本発明によるX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、グローブ付オープンボックス3内部から大気を排出するための真空ポンプや不活性ガス、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムあるいはそれらの混合ガスなどのガスを導入・排出できるバルブを有しており、使用目的に合わせて真空から不活性雰囲気などを構築することができる。グローブボックス内部には様々なガスを導入し濃度・圧力を制御できるだけでなく、最初に含まれている大気中の水分や酸素濃度を真空ポンプを介し低減することにより、低温・高温共に測定雰囲気温度を容易に変えられる極めて有用な使用態様を含んでおり、大いに使用され、産業の発展に寄与することが期待される。
近年の震災以降、電気を生み出す発電技術と電気を貯めておく蓄電技術などのエネルギー関連の研究には大きな関心が寄せられている。我が国に限らず世界的に見ても、原子力発電に頼らなければ既存の発電・蓄電技術だけでは年々増加する電気の使用量を賄うことは難しくなっており、さらなる高効率発電や大容量蓄電技術の創出が望まれる。通例、発電・蓄電素子のアウトプットは電力エネルギーであり、回路を組むことで仕事を行うことが可能となる。これら素子を構成する部材(例:電極、電解質、触媒、半導体など)においては、イオンや電子の流れの基となる電気化学反応が関与するために、部材を取り巻く環境すべての雰囲気制御が必要不可欠である。例えば、現在市販されているほぼすべてのリチウムイオン二次電池内部の有機系電解液は空気に晒せばたちまち反応してしまうため、その研究開発には低い水分・酸素濃度を達成できる不活性ガス循環型雰囲気制御グローブボックスの利用は欠かせない。また、発電・蓄電素子中で起きる電気化学反応は、速度に差があるもののいずれも動的な現象を含む反応であるため「その場X線観察」による非解体分析が研究開発の重要な技術となっている。
本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、使用目的に合わせて真空から不活性雰囲気などを構築することができる上に、グローブ付オープンボックス3の内部と外部にX線回折測定が可能な回転中心を揃えた2軸回転機構を有している。そのため、様々な形態の発電・蓄電素子をグローブボックス内部に設置することで、触媒作用などのガスとの反応を調べるための雰囲気制御下、あるいは電気化学反応を進行させるのに妨げとならない不活性ガス雰囲気下における充放電その場X線観察などの応用展開が考えられうる。
電荷分離層、光電子倍増管、信号増幅器からパルス計数回路、とくに冷却器まで様々な材料やデバイスを組み合わせ構成されているX線検出器では、真空状態に耐えられる仕様はごく限られている。研究目的に応じて検出器を選択して行うX線分析においては、検出器走査機構は雰囲気制御グローブボックスの外側にあることが望ましい。グローブボックス内部の回転機構と外部の検出器走査機構は厳密に回転中心点を合わせる必要があるため、従来の雰囲気制御グローブボックスはX線検出用の窓を備えていても、回転機構を走査するための円弧状の検出窓と回転機構を外装の一部として備えたものは無かった。
本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスは、様々なX線源を利用することができるため、放射光施設から大学・企業などの実験室など各研究施設において利用されることが期待できる。従来の雰囲気制御グローブボックス中にX線回折装置を入れた場合とX線回折装置の試料部に雰囲気制御アタッチメントを置いた場合の両方と比べても、X線回折装置を一体として駆動機構、外装を設計することでまったく新しいX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスが産み出され、大気に晒せば忽ち劣化する材料、食品、デバイス等の幅広い分野での研究が推進されることが期待され、総じてその意義は極めて大きい。
(a)は本発明の一実施例に係るX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の概略正面図、(b)は同側面図である。 (a)は架台を除き、図1(a)より詳細に示したX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の概略正面図、(b)は同側面図である。 (a)は仲介チャンバーの正面図、(b)は側面図、(c)は(b)図中A部の拡大図である。 (a)は回転ステージの構成を示す正面図、(b)は側面図である。 2つの回転ステージからなる2軸回折計を仲介チャンバーに接続した内部構成を示す説明図である。 2つの回転ステージを一体化して2軸回折計とする組立説明図である。 2軸回折計と仲介ステージとを一体化した状態を示す組立説明図である。 一体化された2軸回折計と仲介ステージの内部構造を説明する説明図。 2軸回折計が接続された仲介ステージにグローブ付オープンボックスを接続した状態を示す説明図。 本発明の一実施例に係るX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置のシステム全体の概略説明図である。 本発明の一実施例のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置中で開放系にしたリチウム二次電池を充電したときの電圧変化の時間依存性を示す図。 本発明の一実施例のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置中で開放系にしたリチウム二次電池を充電しながら、X線回折測定を行った結果を示す図。
以下、図面に沿って本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の一実施例を説明する。
但し、この実施例はあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示するためのものであって、本発明をこれによって限定する趣旨ではない。
図1(a)は本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の正面図、(b)は側面図である。
まず、正面図において、1は高さ調整機能を有する架台であり、その上部には、前面に開閉自在な扉2aを有するボックス状のサイドボックス2が配置され、かつその上部に気密容器として機能し、かつ前面に着脱自在な蓋4aを有し、かつ2つのグローブ3bが設けられたグローブ付オープンボックス3が配置されている。また、蓋4aを外すと外部から中の状態を覗き、目視するための窓4bがある。目視用の窓4bにはシール付きガラスが設けられる。5はArガス、Nガスのような不活性ガス注入用のバルブ、6はグローブボックス内の真空度を示す真空計、7はグローブボックス上部に設けられた表示器付きコントロールボックスである。このコントロールボックス7には後述する真空ポンプ16、33(図1(a)、図10参照)やゲートバルブ等のスイッチ等が設けられている。8aはグローブ付オープンボックス3とサイドボックス2とを連結する連結部で、この連結部8aにはゲートバルブ8が設けられている。なお、16はサイドボックス2に接続された真空ポンプである。
側面図において、9は架台1のほぼ中央部に設けられた略円筒状をなす仲介チャンバー、9aは仲介チャンバー9に設けられた細長い円弧状の窓、10はシール機構、11は側面図において右端部に設けられた、X線回折測定を行う2軸回折計である。また12は検出器取付アーム、13はその先端に設けられた一次元検出器であり、円弧状の窓4bに対し離間して対抗配置されている。
図2(a)、(b)は上記サイドボックス2およびグローブ付オープンボックス3の部分を図1(a)、(b)に比べ詳細に示した正面図、側面図である。
グローブ付オープンボックス3の側面には、酸素濃度計、露点計、温度計等を取り付け、また、100V電源用コンセントと真空引き、ガスを導排出するためのポートを設けた。これらについては本発明の要旨とは直接関係ないため、図示および詳細な説明は省略する。その他、実験用途に応じて別途電源確保や電気シグナルが送受信できるようにハーメチックコネクタを設置・加工した。なお、サイドチャンバーは、図1(a)、(b)に示した一次元検出器13の走査に妨害とならないように下側に取り付けられる。
サイドボックス2の内部には外部に露出したハンドル14aを手動によって回転させることにより伸縮自在なパンタグラフ14bを備え、試料を搬入、搬出する搬送機構として機能するパンタグラフ型昇降機14が設けられている。このパンタグラフ型昇降機14上には扉2aを開いて試料用容器15が設置され、この試料用容器15内に測定する試料が入れられる。
このように、グローブ付オープンボックス3とサイドボックス2とをゲートバルブ8を有する連結部8aを介し接続したのは、測定する試料を交換する度に不活性ガス注入用バルブ5を介し注入されたグローブ付オープンボックス3内のガス雰囲気を壊すのは非効率である。このため、ゲートバルブ8を適宜開閉することによりグローブ付オープンボックス3とサイドボックス2との内部空間を連通、非連通とし、サイドボックス2にある試料容器15をグローブ付オープンボックス3内へ搬入したり、あるいはグローブ付オープンボックス3からサイドボックス2へ試料容器15を戻し、ゲートバルブ8を閉じ、グローブ付オープンボックス3内のガス雰囲気を壊さずに試料容器15内の試料交換ができるようにしている。
すなわち、試料容器15に測定用の試料を入れ、サイドボックス2の扉2aを開け、それをサイドボックス2内に設置されている試料搬送機構であるパンタグラフ型昇降機14に搭載する。
そして、真空ポンプ16と接続されたサイドボックス2の内部を真空に引き、特に図示しないが適宜の箇所に設けたガス充填用バルブを介しサイドボックス2内にガスを充填してグローブ付オープンボックス3の内部と同じガス雰囲気にする。
その後、ゲートバルブ8を開け、パンタグラフ型昇降機14に設けられ、外部に露出したハンドル14aを手動で回転させて試料が入った試料容器15を上昇させ、連結部8aを通ってグローブ付オープンボックス3内に搬入できるように構成されている。
図3(a)は仲介チャンバー9の正面図で、グローブ付オープンボックス3に接続される側から見た説明図である。(b)は側面図、(c)は(b)中A部分の拡大図である。仲介チャンバー9の全体形状は円筒状をなし、図中(a)に示すように、図示の状態において左側にX線入射ポート、すなわち平面状のX線の入射窓17が設けられている。17aは入射窓取付部材である。また、後述する回転機構に連結された試料台の試料を走査するための円弧状の窓9aが設けられている。円弧状の窓9aは薄いアルミ箔aが設けられている。9dは仲介チャンバー9に取り付けられるアルミ箔押え金具で、押え金具9dが円筒面から出っ張らないように押え金具固定用溝に取り付けられている。アルミ箔aはこの押え金具9dの内側に接着され、押え金具9dを仲介チャンバー9に取り付ければ良い。なお、アルミ箔aに代えカプトンを用いても良い。なお、図中9eは0リングである。固定用溝には0リング溝が設けられている。
図1(b)に示した2軸回折計11と連結される仲介チャンバー9には、上記のように、入射X線の進行方向となる平面状の入射窓17、出射窓となる円弧状の窓9aが外装の一部として設けられている。そして、図3(b)の状態において、仲介チャンバー9の左側の部分9bが背面側がオープン状態となっているグローブ付オープンボックス3と接続される。反対側の9cの部分は好ましくは磁性流体からなるシール機構10が接続され、また、2軸回折計11が設けられる側である(図1(b)参照)。
そして、グローブ付オープンボックス3と接続されるこの仲介チャンバー9は真空容器としての機能を有し、円筒部の外周部には2次元検出器(商品名 イメージングプレート等)が取り付けられる。そのため、円筒部は好ましくは半径273mmに精密に加工されている。
図4(a)、(b)は、図1(b)の右側に示した2軸回折計11の構成部材である回転ステージ18の構成を示した平面図および側面図である。
図4(a)の平面図において、19はケーシングで、その上面には円形をなす回転円盤20が回転可能に設けられている。21は回転円盤20を回転させるためのパルスモータである。この回転ステージ18は、後述する図8に示すように、シール機構10の回転軸10bを挿通するために中央部に孔Aが形成されている。
図4(b)は回転ステージ18の内部構造を示す。22は回転円盤用の高精度、高剛性ベアリング、23は回転円盤用の主軸、24は主軸23に連結されたウォームホイール、25はウォームホイール24と噛合わされたウォームギヤで、このウォームギヤ25はパルスモータ21の回転軸と連結され、パルスモータ21を駆動すると、その回転がウォームギヤ25、ウォームホイール24に伝達され、主軸23が回転し、これによって回転円盤20が回転するように構成されている。
図5は、図4(a)、(b)に示した回転ステージ18a、18bを二つ背中合せに結合して2軸回折計11とした状態を示す。内側、すなわち図中左側の第1の回転ステージ18aの回転円盤が試料用回転円盤20a、外側の第2の回転ステージ18bの回転円盤は検出器用回転円盤20bとなり、このうち内側の試料用回転円盤20a側が、図1(b)に示した仲介チャンバー9側と対向する。
図5において、27はイケール(回転ステージ取り付け台)で、このイケール27の取付部26aのA面(内面)とB面(外面)にそれぞれ、互いの回転中心が合うように位置決めして第1、第2の回転ステージ18a、18bを取り付け、2軸回折計11が構成される。A面側の第1の回転ステージ18aは仲介チャンバー9内(図1(b)参照)にセットされた試料を回転させる試料用回転円盤20aとして機能し、B面側の第2の回転ステージ18bの回転円盤は一次元検出器13(図1(b)参照)を回転させるための検出器用回転円盤20bとなる。
2軸回折計11は、上記した2つの高精度の第1、第2の回転ステージ18a、18bがイケール27の取付部26aに対し対象形に、かつ同軸上に配置され構成される。
一体化にあたっては、2つの第1、第2の回転ステージ18a、18bの各回転軸である主軸23a、23bが3次元的に同一になるよう、回転ステージ取り付け用のイケール27の取付部26aのA面とB面とが平行になるように加工されており、2台の回転ステージ18a、18bを組み付ける際には、組み付け治具(図示せず)を用いて各回転軸が一致するように組み付けられる。
これら第1、第2の回転ステージ18a、18bの試料用回転円盤20a、検出器用回転円盤20bは各パルスモータ21を駆動させることにより、回転する。
2つの第1、第2の回転ステージ18a、18bを一体化してなる2軸回転計11の作用は次のとおりである。
X線の回折現象を調べる場合、試料に入射するX線の角度をθとすると、回折X線は2θ(θの倍の角度)になる。試料は試料用回転円盤20aで、一次元検出器13は検出器用回転円盤20bで回転され、回折現象を起こす角度を正確に調べることで、物質の構造を知見出来る。
2軸回折計11は1/1000°という高い角度分解能を持っており、試料から回折されたX線の位置を正確に調べる事が出来る。
次に本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の製造方法について説明する。
図6に示すように、予め組み立てられた2つの第1、第2の回転ステージ18a、18bを、回転ステージ取り付け用のイケール27の取付部26aを介し一体化する。この場合、矢印で示すように、両回転中心が一致して同軸になるように左右、上下に微動可能な組み付け治具(図示せず)を用いて取り付ける。
次に、図7に示すように、第1、第2の回転ステージ18a、18bが組み付けられたイケール27に仲介チャンバー9を組み付ける。この場合、取付面が平行に加工された接続板28をイケール27に組み付け、仲介チャンバー9を組み付ける。この際、第1、第2の回転ステージ18a、18bの回転中心と仲介チャンバー9の円筒中心とが一致するよう組み付ける。
次に、図8に示すように、好ましくは磁性流体シールからなるシール機構10を磁性流体シール取付フランジ10cに組み付け、接続板28に仮止めする。そして、回転軸10bを仲介チャンバー9側から磁性流体シールからなるシール機構10の磁性流体シール部材10a内に差し込み、また、試料用円盤20aと回転軸10bとを連結する。試料用回転軸10bは内部に測定用の配線ケーブル(図示せず)を通すため、中空状に形成されている。
次に、各パルスモータ21を駆動して第1、第2の回転ステージ18a、18bを回転させ、磁性流体シール機構10の回転軸10bと試料用高精度回転ステージ18aの回転軸が一致するようになじませたら磁性流体シール取付フランジ10cを増し締めする。
次に、回転すべり面29を回転軸10bの内端面に取り付け、回転すべり面29の前方に試料台30を有する試料台保持機構31を設ける。次に、回転軸10bの端面に10b’ハーメチックシールを取り付ける。なお、上記磁性流体シールからなるシール機構10にはその回転軸10bに0リングが内蔵されており、回転軸10bの円筒部分の真空をシールしている。
また、2軸回折計11の外側である検出器用回転円盤20bには、図9に示すように、検出器取付アーム12の取付部12aが取り付けられる。検出器取付アーム12の先端部には、仲介チャンバー9の円弧状の窓9aと離間して対向配置され、試料から回折されたX線を検出する一次元検出器13が設けられる。
X線は仲介チャンバー9の平面状のX線入射窓17から内部に入り、試料台30に設けられた試料にあたり、試料で回折したX線が円弧状の窓9aから出射され、この一次元検出器13によって受光される。そして、この回折X線の位置と強度によって試料の結晶構造を推察する。
試料が電池材料の場合、電圧をかけない状態での反射角度と電圧を書けた状態での反射角度が異なり、その角度変化から試料の結晶構造がどのように変化したかを調べる。
このために回転軸10bの内部は配線ケーブルを通すために中空状になっている。内部の配線ケーブル(図示せず)は試料台保持機構31にまで延び、かつ試料台30にセットされる試料が電池材料で電圧を加えて測定する必要がある場合、試料に配線ケーブルを介し電圧を加えることができるようになっている。
検出器取付アーム12、一次元検出器13などが取り付けられた上記組立体に、ゲートバルブ8を有する連結部8aを介し接続されたサイドボックス2とグローブ付オープンボックス3からなる組立体を気密的に接続する。なお、グローブ付オープンボックス3と仲介チャンバー9の内部空間は気密空間となる。
なお、両者の一体化に当たり、2軸回折計仲介チャンバーをグローブ付オープンボックスの空いている裏面からシール材(図示せず)を介して接合する。次に、X線の入射窓17や円弧状の窓9aであるX線の出射窓にカプトンやアルミア箔などのX線が透過しやすい薄いフィルムを貼り、目視用の窓4bにはシール付きガラスを施工し、密封容器となるX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックスが完成する。真空ポンプを用いて同装置ボックス中の大気を排気し真空にした状態で、2軸回折計11のシール材を施した回転機構を可動させても、真空度はほとんど変化しないことを確認した。真空状態からArガス、Nガスのような不活性ガス注入用バルブ5を介し不活性ガスを大気圧とほぼ等しくなるまでガスを導入し容器内を満たすことで迅速にガス置換を行うことができた。不活性ガスが充満した状態で2軸回折計11のシール材を施した回転機構を可動させたところ、酸素濃度・露点共に可動前の初期状態と比べほとんど変化しなかった。
さらに、図10に示すように、X線回折計一体型雰囲気制御グローブボックス装置に不活性ガス循環精製装置32を取り付けた。グローブ付オープンボックス3および仲介チャンバー9からなる気密容器は真空後、不活性ガスを注入するが、若干不純ガスが混入することがあるため、このガス循環精製装置32によって取り除く。また、カプトンやアルミ箔などのX線が透過しやすい薄いフィルムが設けられた円弧状の窓9aには、同時に水分や酸素などが極わずかに浸透により混入する恐れがあるが、同装置を取り付けることで、雰囲気制御グローブボックス内部の露点を−90℃まで下げまた長期間維持することに成功した。この状態においても2軸回折計11のシール材を施した回転機構を可動させ、酸素濃度・露点共に可動前の初期状態と比べほとんど変化しないことを確認した。なお、図中33はグローブ付オープンボックス3を真空にするための真空ポンプ、33aはその間に設けられたバルブである。
X線回折測定には、X線回折計一体型雰囲気制御グローブボックス内の試料回転軸中心と入射X線の高さが一致すること、試料回転軸中心と入射X線が直交すること、試料中心と入射X線の位置が一致することが必要である。そのために装置全体を試料回転軸中心と入射X線の高さが一致させるための上下移動機構、試料回転軸中心と入射X線を直行させるための面内回転機構、試料中心と入射X線の位置を一致させるための並進機構を備えた架台を1としてある。
次に測定方法について説明する。
1.グローブ付オープンボックス3のグローブ3bの蓋、目視用の窓4bの蓋4aを閉め
ておく。
2.コントロールボックス7に設けられたスイッチ類(図示せず)を操作し、真空ポンプ
33を作動させグローブ付オープンボックス3を真空引きする。
3.不活性ガスをバルブ5を介しグローブ付オープンボックス3に所定量注入する。
4.不活性ガス循環精製装置32を作動させる。
5.測定用の試料を試料容器15へ入れ、サイドボックス2の扉2aを開き試料容器15
をサイドボックス2内のパンタグラフ型昇降機14上にセットし、扉2aを閉じる。
6.コントロールボックス7に設けられたスイッチ類(図示せず)を操作し、真空ポンプ
16を作動させサイドボックス2を真空引きした後、特に図示しないバルブを介し不活
性ガスを所定量注入する。
7.ゲートバルブ8を開き、パンタグラフ型昇降機14を上昇させ、試料容器15をグロ
ーブ付オープンボックス3内へ移動する。
8.目視用の窓4bから内部を見ながらグローブ3bを介し手作業で試料容器15中の試
料を取り出し、仲介チャンバー9内の試料台30の所定位置にセットする。
9.パンタグラフ型昇降機14を下動させ、サイドボックス2内に移動させ、ゲートバル
ブ8を閉じる。
10.X線シャッターを開き、X線入射窓17から試料に向ってX線を照射させる。
11.2軸回折計11の試料用回転円盤20aを回転させ試料を回転させる。
12.検出器用回転円盤20bも回転させ、一次元検出器13が回転する。
13.試料からのX線反射光を一次元検出器13が検出し、後続の公知構造の処理装置(
図示せず)を介し分析処理する。
14.試料を交換する場合はX線シャッターを閉じて行う(X線による被ばく防止)。
15.ゲートバルブ8を開き試料容器15をパンタグラグ型昇降機14を介し再びグロー
ブ付オープンボックス3内へ移動させる。
16.試料容器15をサイドボックス2内に移動させる。
17.ゲートバルブ8は閉じ、グローブ付オープンボックス3とサイドボックス2内の内
部空間は遮断されるため、サイドボックス2の扉を開け、試料容器15を取り出しても
グローブ付オープンボックス3内の不活性ガスは外部に洩れることはなく、作業性が良
く、また、経済的でもある。
18.試料を所望のものに交換し、サイドボックス2に入れ内部を真空引きし、かつガス
充填用バルブ(図示せず)を介しグローブ付オープンボックス3の内部と同じガス雰囲
気とし、その後、ゲートバルブ8を開き、パンタグラフ型昇降機14を介して新しい試
料が入った試料容器15をグローブ付オープンボックス3内に搬入させれば良い。
実験例
別途用意した密封袋の中で、正極にLiCoO、参照極/負極共に金属リチウムとLiPF 1M を含む炭酸エチレン:炭酸ジメチル(Ethylene Carbonate:Dimethyl Carbonate)が体積比1:2の有機系電解液を用いたリチウムイオン二次電池を作製し、アルゴンで満たした本発明のX線回折計一体型雰囲気制御グローブボックス中にサイドチャンバーを介して導入した。
次に、グローブ付オープンボックス3の蓋4aを取り外し、グローブ3bから手作業による操作を介してボックス内部で密封袋を解放するように一部加工を施し、開放系のリチウムイオン二次電池を試料台30に設置した。この電池の正極・負極・参照極から配線ケーブル(図示せず)をハーメチックコネクタの内側接続部へ繋ぎ、外側接続部からポテンショスタットに接続し充放電試験を行った。このときの電圧変化の時間依存性を図11に示した。図11において横軸は測定時間(秒)、縦軸は充電電位(V)を示す。同リチウム二次電池に用いた電解質は水分・酸素と容易に反応する上に、高電位まで充電した場合にはその反応性が益々高まることが知られている。図11に示すとおり本発明のX線回折計一体型雰囲気制御グローブボックス中においても、既存の雰囲気制御グローブボックスを単独で用いた結果と同様に、安全性を確保しながら5.2V以上の過充電領域まで充電できることがわかった。
充電すると同時に30keVの入射X線で60秒毎に0.5秒間、一次元検出器13で計測したときの各充電電位でのX線回折パターンを図12に示す。図12において横軸は回折角度(度)、縦軸は回折強度(X線フォトン数)である。図11に示した通り、同電池系ではLiCoOからLiを抜くことで充電反応が進行し充電電位が上昇する。各充電電位から得られた図11中のX線回折ピークを帰属したところ、非特許文献5、6同様の充電深度に伴う構造変化を検出することができた。また、5.2V以上の過充電領域以降では有機系電解質の分解など別の要因で充電電位が上昇することが知られており、過剰な反応による圧力や温度の上昇による発火・爆発の危険性が指摘されている。本発明のX線回折一体型雰囲気制御グローブボックス中では、雰囲気制御ボックスの中にあらかじめ密封した資料を導入した後、グローブ3bを介して開放系のセルとなるよう直接加工し用いることで、これまでは安全上実施が限られていた過充電領域のその場X線回折測定を行うことができた。
以上、本発明のX線回折計一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、水分・酸素を極端に嫌うリチウムイオン二次電池などの複合デバイスにおいてもグローブ3bを使うことで容易に操作、加工できる機能を提供していることに加え、高い雰囲気制御能力を活かし開放状態でその場X線回折測定を行える、研究開発にとって有益な使用形態を提供できることを示した。
Electrochimica Acta, 2004,49,1079. J.Electrochem.Soc., 2002,149, A1604.
本発明のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置は、様々なX線発生源、例えばシンクロトンX線、X線管球、回転対陰極型X線管球などと組み合わせることが可能である。厳密に水分・酸素濃度を管理したボックス内でX線回折測定を行う上に、高い操作性を提供するグローブと実験スペースを兼備することで他の分析法との連携も容易となる。
これまで密封しなければ測定できなかった様々なセラミックス等の材料部材から、デバイス・電池などの複合品、さらには飲料・食品から薬など幅広い分野の分析・検査に展開できる可能性を有し、産業上の価値は総じて高いと言える。
1 架台
2 サイドボックス
2a 扉
3 グローブ付オープンボックス
3a 扉
3b グローブ
4a 蓋
4b 窓
5 不活性ガス注入用バルブ
6 真空計
7 コントロールボックス
8 ゲートバルブ
8a 連結部
9 仲介チャンバー
9a 円弧状の窓
9b グローブ付オープンボックス接続部
9c 2軸回折計側
9d アルミ押え金具
9e 0リング
10 シール機構
10a 磁性流体シール部材
10b 回転軸
10c 取付フランジ
11 2軸回折計
12 検出器取付アーム
13 一次元検出器
14 パンタグラフ型昇降機
14a ハンドル
14b パンタグラフ
15 試料用容器
16 真空ポンプ
17 X線入射窓
17a 入射窓取付部材
18 回転ステージ
18a 第1の回転ステージ
18b 第2の回転ステージ
19 ケーシング
20 回転円盤
20a 試料用回転円盤
20b 検出器用回転円盤
21 パルスモータ
22 ベアリング
23 主軸
24 ウォームホイール
25 ウォームギヤ
26a 取付部
27 イケール
28 接続板
29 回転すべり面
30 試料台
31 試料台保持機構
32 不活性ガス循環精製装置
33 真空ポンプ
33a バルブ

Claims (6)

  1. 前面にグローブ(3b)を有し、かつ内部目視用の窓(4b)を有するグローブ付オープンボックス(3)と、このグローブ付オープンボックス(3)と気密的に接続された中空状の仲介チャンバー(9)と、この仲介チャンバー(9)に組み付けられた2軸回折計(11)とを備え、
    前記2軸回折計(11)は、回転中心を揃え、前記仲介チャンバー(9)に組み付けられた第1の回転ステージ(18a)および外側に位置する第2の回転ステージ(18b)からなり、
    前記第1の回転ステージ(18a)側に設けられた回転可能な回転すべり面(29)に設けられた試料台(30)を前記仲介チャンバー(9)内に配置したことを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置。
  2. 請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス(3)の下部にゲートバルブ(8)を介し外部から試料を入れるサイドボックス(2)を設け、このサイドボックス(2)内には、入れられた前記試料を前記ゲートバルブ(8)を開き前記グローブ付オープンボックス(3)内に搬入する伸縮自在な搬送機構が設けられたことを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置。
  3. 請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス(3)に、内部に注入された不活性ガスを循環させる不活性ガス循環機構を接続したことを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置。
  4. 請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記グローブ付オープンボックス(3)にその内部を真空にする真空計引き機構を接続し、かつ内部に不活性ガスを注入する注入用バルブ(5)を設けたことを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置。
  5. 請求項1記載のX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置において、前記仲介チャンバー(9)は円筒状をなし、X線を入射させるポートが設けられていると共に、その回折X線強度を計測するためのX線が透過する円弧状のX線検出窓(9a)が設けられ、かつ前記X線検出窓(9a)の外側には円弧状のX線検出窓(9a)に沿って回転可能で、透過した回折X線強度を検出する一次元検出器(13)が設けられ、かつ前記仲介チャンバー(9)には内部にセットされた試料を回転させる試料回転機構が設けられたことを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置。
  6. 2つの第1、第2の回転ステージ(18a)、(18b)を一体化して2軸回折計(11)とするステップと、
    この2軸回折計(11)の第1の回転ステージ(18a)側にシール機構を介し円筒状の仲介チャンバー(9)の一方の側を接続し、かつ前記第1の回転ステージ(18a)の試料用回転軸(20a)に、前記仲介チャンバー(9)内に位置し試料をセット可能な試料台(30)を設けるステップと、
    前記仲介チャンバー(9)にグローブ付オープンボックス(3)の背面側の開口部をシール手段を介し接続するステップと、
    を備えX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置を組立てることを特徴とするX線回折装置一体型雰囲気制御グローブボックス装置の製造方法。
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