JP2015014040A - Ti含有銅合金の製造方法 - Google Patents

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瑞穂 平賀
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Abstract

【課題】高い導電率と強度とを確保できるとともに、曲げ加工性に特に優れたTi含有銅合金の製造方法を提供する。
【解決手段】所定量のTiを含有する銅合金鋳塊を得る鋳造工程S01と、800〜885℃の温度範囲で均質化する均質化処理工程S02と、熱間加工工程S03と、冷間加工工程S04と、Tiを固溶させる溶体化熱処理工程S05と、CuTiの金属間化合物を析出させる時効処理工程S06と、所定の形状に塑性加工する仕上加工工程S07と、を備え、熱間加工工程S03では、加工後の材料温度が700℃以上とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却し、前記溶体化熱処理工程では、処理温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、Tiを含有するTi含有銅合金の製造方法に関するものであり、特に、高強度で曲げ加工性に優れ、各種コネクタ及びその他の端子、あるいは電磁リレーの可動導電片などの電子・電気機器用部品等の素材に適したTi含有銅合金の製造方法に関するものである。
近年、電子機器や電気機器等の小型化にともない、これら電子機器や電気機器等に使用されるコネクタ及びその他の端子、リレー、リードフレーム等の電子・電気機器用部品の小型化及び薄肉化が図られている。このため、電子・電気機器用部品を構成する材料として、曲げ性、強度に優れた銅合金が要求されている。
ここで、上述の電子機器用部品等を構成する材料として、例えば特許文献1、2には、Ti含有銅合金及びこのTi含有銅合金の製造方法が提案されている。
特許文献1に記載されたTi含有銅合金の製造方法においては、加熱温度900〜970℃の均質化処理と、900〜960℃での熱間圧延と、圧下率70〜99%の冷間圧延と、730〜880℃の溶体化熱処理と、400〜500℃の時効処理と、圧下率3〜40%の最終冷間圧延と、を実施する構成とされており、溶体化熱処理によってCuの母相中にTiを固溶させ、時効処理によってCuとTiの金属間化合物を析出させている。
また、特許文献2に記載されたTi含有銅合金の製造方法においては、800〜950℃に加熱した鋳塊を、終了温度が650℃以上となるように熱間圧延し、熱間圧延終了後に冷却速度10〜50℃/secで300℃以下になるまで冷却し、次いで、面削後に冷間圧延を実施する構成とされており、熱間圧延後に急冷することでCuの母相中にTiを固溶させている。
特許第4889801号公報 特許第4329065号公報
ところで、最近では、電子機器や電気機器等のさらなる小型化が進んでおり、電子機器用部品を構成する材料には、導電率を確保しつつ、さらなる強度向上が求められている。また、コネクタ等の端子を成形する際には厳しい曲げ加工が施されるため、曲げ加工性の向上が求められている。
ここで、特許文献1においては、第3元素を添加して結晶粒を微細化させることによって曲げ加工性の向上を図っている。
しかしながら、特許文献1に記載されたTi含有銅合金の製造方法では、均質化処理温度が900〜970℃及び熱間圧延温度が900〜960℃と、CuとTiの共晶点温度(885℃)よりも高温であるため、鋳塊の一部に液相が生じ、熱間圧延時に割れが生じてしまうといった問題があった。また、熱間圧延後の冷却速度が遅いと、粗大なCuTiの金属間化合物が析出し、その後の加工で割れが生じるおそれがあった。さらに、溶体化熱処理温度が730〜880℃と広く設定されていることから、溶体化熱処理時にTiを十分に固溶させることができず、その後の時効処理によってCuTiの金属間化合物を均一に分散させることができず、強度を十分に向上させることができないおそれがあった。また、第3元素の挙動が制御できず、結晶粒微細化の効果を十分に得ることができないおそれがあった。
また、特許文献2に記載された製造方法では、熱間圧延工程においてTiを固溶させ、その後の冷却速度を規定し、CuTiの金属間化合物の析出を抑制することにより、その後の溶体化熱処理を省略している。このため、例えば特許文献1に記載されたように、第3元素を添加した場合であっても、結晶粒の微細化が不十分となり、曲げ加工性の向上を図ることができなかった。
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、高い導電率と強度とを確保できるとともに、曲げ加工性に特に優れ、コネクタ及びその他の端子、リレー等の電子電気部品等の素材に適したTi含有銅合金を製造することが可能なTi含有銅合金の製造方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、各種熱処理条件を適正化することにより、CuTiの金属間化合物を適正に析出させることが可能となり、高強度、高導電率、優れた曲げ加工性を有するTi含有銅合金を製造可能であるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基いてなされたものであって、本発明のTi含有銅合金の製造方法は、Ti;1.5mass%以上4.5mass%以下を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成を有する銅合金鋳塊を得る鋳造工程と、前記銅合金鋳塊を800℃以上885℃以下の温度範囲で保持して均質化する均質化処理工程と、前記均質化処理工程によって加熱された前記銅合金鋳塊を熱間加工する熱間加工工程と、前記熱間加工工程後に冷間加工を実施する冷間加工工程と、前記冷間加工工程後に熱処理を実施してTiをCuの母相中に固溶させる溶体化熱処理工程と、前記溶体化熱処理工程において固溶させたTiをCuTiの金属間化合物として析出させる時効処理工程と、所定の形状に塑性加工する仕上加工工程と、を備え、前記熱間加工工程では、加工後の材料温度が700℃以上とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却し、前記溶体化熱処理工程では、処理温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却することを特徴としている。
上述の構成のTi含有銅合金の製造方法によれば、Ti;1.5mass%以上4.5mass%以下を含有しているので、CuTiの金属間化合物を均一に析出させて強度の向上を図ることが可能となる。
そして、本発明のTi含有銅合金の製造方法では、均質化処理温度が800℃以上885℃以下の範囲内とされているので、TiをCuの母相中に十分に固溶させることができるとともに鋳塊の一部が液相となることを抑制できる。よって、熱間加工時の割れの発生を抑制できる。
また、熱間加工工程では、加工後の材料温度が700℃以上とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却する構成とされているので、CuTiの金属間化合物の粗大化を抑制できる。よって、熱間加工後の冷間加工等での割れを抑制しつつ、曲げ加工性を維持することができる。
また、溶体化熱処理工程では、温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされているので、Tiを十分に固溶させることができる。さらに、溶体化熱処理工程では、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却する構成とされているので、CuTiの金属間化合物の粗大化を抑制でき、溶体化熱処理後の冷間加工等での割れを抑制しつつ、曲げ加工性を維持することができる。
なお、熱間加工工程及び溶体化熱処理工程における溶体化度は、次の式によって算出される。
溶体化度=〔1−{(σ―σ)/σ}〕
このとき、σは、27℃において測定した導電率、σは、含有するTiの全量が固溶した場合の理論上の導電率である。
本発明のTi含有銅合金の製造方法においては、前記銅合金鋳塊は、さらに、Co;0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下のいずれか一方又は両方を含有しており、前記均質化処理工程では、前記銅合金鋳塊を850℃以上885℃以下の温度範囲で保持して均質化する構成としてもよい。
この場合、さらに、Co;0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下のいずれか一方又は両方を含有しているので、Co及びCrの少なくとも一方又は両方を含む金属間化合物を析出させることで結晶粒を微細化させて曲げ加工性を向上させることが可能となる。
また、均質化処理温度が850℃以上885℃以下の範囲内とされているので、Tiと、Co及びCrの少なくとも一方又は両方を、Cuの母相中に十分に固溶させることができるとともに鋳塊の一部が液相となることを抑制できる。よって、熱間加工時の割れの発生を抑制できる。
さらに、溶体化熱処理工程では、温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされているので、Tiを十分に固溶させることができるとともにCo及びCrの少なくとも一方又は両方を含む金属間化合物を析出させることができる。これにより、溶体化熱処理時において、結晶粒の微細化を図ることが可能となる。
また、本発明のTi含有銅合金の製造方法においては、前記時効処理工程の後に、前記仕上加工工程を実施することが好ましい。
この場合、時効処理時に、回復が生じて強度が低下することを防止できる。これにより、仕上加工工程における加工率を高くしなくても強度を確保することが可能となり、曲げ加工性を向上させることができる。
本発明によれば、高い導電率と強度とを確保できるとともに、曲げ加工性に特に優れ、コネクタ及びその他の端子、リレー等の電子電気部品等の素材に適したTi含有銅合金を製造することが可能なTi含有銅合金の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態であるTi含有銅合金の製造方法の工程例を示すフローチャートである。 Cu−Ti合金の2元状態図である。 比較例1の熱間圧延割れの外観観察写真及びEPMA観察結果である。
以下に、本発明の一実施形態であるTi含有銅合金の製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態であるTi含有銅合金の製造方法においては、下記の組成のTi含有銅合金塑性加工材(Ti含有銅合金板)を製造するものである。
ここで、本実施形態であるTi含有銅合金は、Tiを1.5mass%以上4.5mass%以下の範囲内で含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成を有している。
さらに、Coを0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Crを0.01mass%以上0.5mass%以下、のいずれか一方又は両方を含有してもよい。
以下に、これらの元素の含有量を前述のように規定した理由について説明する。
(Ti:1.5mass%以上4.5mass%以下)
Tiは、Cu中においてスピノーダル分解を起こし、Ti濃度の周期的変動である変調構造が発達させること、もしくはCuと結合してCuTiの金属間化合物を形成してCu母相中に析出させることにより、強度を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Tiの含有量が1.5mass%未満では、その作用効果を十分に奏功せしめることができない。一方、Tiの含有量が4.5mass%を超えると、導電率が大幅に低下してしまうおそれがある。
このような理由から、Tiの含有量を1.5mass%以上4.5mass%以下に設定している。
(Co:0.1mass%以上0.8mass%以下)
Coは、TiまたはTi及びCuと結合して金属間化合物を形成する元素である。Coを含有するこれらの金属間化合物は、800〜850℃の熱処理時に析出することから、Tiの溶体化熱処理時に析出して溶体化熱処理後の結晶粒径を微細化することが可能となる。
ここで、Coの含有量が0.1mass%未満では、その作用効果を十分に奏功せしめることができない。一方、Coの含有量が0.8mass%を超えると、導電率が大幅に低下してしまうおそれがある。
このような理由から、Coを添加する場合には、Coの含有量を0.1mass%以上0.8mass%以下に設定している。
(Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下)
Crは、Cr単体またはCu、Co、Tiと結合した金属間化合物として銅の母相中に析出する。Cr単体及びCrを含有するこれらの金属間化合物は、800〜850℃の熱処理時に析出することから、Tiの溶体化熱処理時に析出して溶体化熱処理後の結晶粒径を微細化することが可能となる。
ここで、Crの含有量が0.01mass%未満では、その作用効果を十分に奏功せしめることができない。一方、Crの含有量が0.5mass%を超えると、導電率が大幅に低下してしまうおそれがある。
このような理由から、Crを添加する場合には、Crの含有量を0.01mass%以上0.5mass%以下に設定している。
なお、上述のように、CoとCrは、同様の作用効果を有する元素であることから、Co;0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下のいずれか一方を添加してもよいし、CoとCrの両方を上述の範囲でそれぞれ添加していてもよい。
また、不可避不純物としては、Fe,Ni,Si,Mn,Zn,Al,Zr,Ag,Mg,Sn,P,B,Li,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,希土類元素,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Os,Se,Te,Rh,Ir,Pd,Pt,Au,Cd,Ga,In,Ge,As,Sb,Tl,Pb,Bi,Po,S,O,C,Be,N,H,Hg等が挙げられる。これらの不可避不純物は、総量で0.3mass%以下であることが望ましい。
次に、本実施形態であるTi含有銅合金の製造方法について、図1に示すフロー図を参照して説明する。
(溶解・鋳造工程S01)
まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、Tiの添加には、Ti単体やCu−Ti母合金等を用いることができる。また、Tiを含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。なお、Co、Crについても、金属単体、母合金、スクラップ材等を用いて添加することができる。
ここで、銅溶湯は、純度が99.99質量%以上とされたいわゆる4NCuとすることが好ましい。また、溶解工程では、活性元素であるTiの酸化等を抑制するために、真空炉、あるいは、不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気とされた雰囲気炉を用いることが好ましい。
そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。この溶解・鋳造工程S01により、上述した組成の銅合金鋳塊を得る。
(均質化処理工程S02)
次に、得られた銅合金鋳塊の均質化および溶体化のために熱処理を行う。鋳塊の内部には、凝固の過程においてTiが偏析で濃縮することにより発生したCuとTiを主成分とする金属間化合物等が存在することになる。そこで、これらの偏析および金属間化合物等を消失または低減させるために、鋳塊を800℃以上885℃以下にまで加熱して保持する均質化処理を行い、鋳塊内において、Tiを均質に拡散させたり、Tiを母相中に固溶させたりする。なお、この均質化処理工程S02は、大気中で実施してもよいが、酸化膜の形成を抑制するためには非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。
ここで、均質化処理温度が800℃未満では、Tiの溶体化が不完全となり、母相中にTiを含む金属間化合物が多く残存するおそれがある。一方、均質化処理温度が885℃を超えると、図2の状態図に示すように、CuTiの共晶点以上となるため、鋳塊の一部が液相となり、その後の熱間加工工程S03によって割れが生じるおそれがある。以上のことから、本実施形態においては、均質化処理温度を800℃以上885℃以下の範囲に設定している。
また、Co及びCrを添加する場合には、この均質化処理工程S02においてCo及びCrについても、母相中へ十分に固溶させる必要があるため、均質化処理温度を850℃以上885℃以下とする。
ここで、均質化処理温度が850℃未満では、Co及びCrの溶体化が不完全となり、母相中にCo及びCrを含む金属間化合物が多く残存するおそれがある。以上のことから、Co及びCrを添加する場合には、均質化処理温度を850℃以上885℃以下の範囲に設定することが好ましい。
(熱間加工工程S03)
次に、均質化処理工程S02において加熱された鋳塊に対して、粗加工の効率化と組織の均一化のために熱間加工を実施する。この時の加工率は目的の形状により適宜選択することが好ましい。熱間加工の加工方法については、特に限定されないが、最終形状が板や条の場合は圧延を、最終形状が線や棒の場合には押出や溝圧延を、最終形状がバルク形状の場合には鍛造やプレスを適用すればよい。
この熱間加工工程S03においては、熱間加工終了まで加工温度が700℃以上に保持されている。すなわち、熱間加工終了後の材料温度が700℃以上とされているのである。そして、熱間加工後には、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却を実施する。なお、熱間加工後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入などを適用することができる。
ここで、熱間加工終了後の材料温度が700℃未満とした場合、あるいは、27℃における溶体化度が92%未満となるように冷却した場合には、CuTiの金属間化合物が粗大化してしまうため、その後の冷間加工工程S04等において割れが生じるおそれがある。以上のことから、本実施形態においては、熱間加工終了後の材料温度を700℃以上とし、熱間加工後には、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却を実施する構成としている。
なお、溶体化度は、次の式によって算出される指標である。
溶体化度=〔1−{(σ―σ)/σ}〕
σ:27℃において測定した導電率
σ:含有するTiの全量が固溶した場合の理論上の導電率
(冷間加工工程S04)
次に、熱間加工工程S03で熱間圧延を施した熱間加工材を必要に応じて切断するとともに、表面に形成された酸化膜等を除去するために必要に応じて表面研削を行う。そして、所定の加工率で冷間加工を実施する。この冷間加工工程S04における温度条件は特に限定はないが、−200℃から+200℃の範囲内とすることが好ましい。また、加工率も特に限定されないが、通常は10〜99%程度とする。加工方法は特に限定されないが、特に限定されないが、最終形状が板や条の場合は圧延を、最終形状が線や棒の場合には押出や溝圧延を、最終形状がバルク形状の場合には鍛造やプレスを適用すればよい。
(溶体化熱処理工程S05)
次に、冷間加工工程S04の後に、Tiの溶体化を徹底するために、800℃以上850℃未満の温度条件で熱処理を行う。また、熱処理後には、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却を実施する。
ここで、Co及びCrを添加した場合には、Coを含む金属間化合物、Cr単体、Crを含む金属間化合物のいずれかが母相中に析出し、結晶粒が微細化されることになる。
なお、熱処理の方法は特に限定はないが、非酸化雰囲気又は還元性雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。また、熱処理後の冷却方法は、特に限定しないが、特に限定しないが、水焼入などを適用することができる。なお、溶体化の徹底のため、あるいは、加工率の調整のために、冷間加工工程S04と溶体化熱処理工程S05とを繰り返して実施しても良い。
(時効処理工程S06)
次に、冷間加工工程S05後に、時効熱処理を実施し、CuTiの金属間化合物を析出させる。
ここで、時効熱処理の条件は、要求される強度、導電率等を考慮して適宜設定することが好ましい。また、熱処理の方法は特に限定はないが、非酸化雰囲気又は還元性雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。さらに、熱処理後の冷却方法は、特に限定しないが、特に限定しないが、水焼入などを適用することができる。
(仕上加工工程S07)
次に、時効処理工程S06後に、仕上加工を実施する。なお、加工方法については、特に限定されないが、最終形状が板や条の場合は圧延を、最終形状が線や棒の場合には押出や溝圧延を、最終形状がバルク形状の場合には鍛造やプレスを適用すればよい。
また、この仕上加工工程S07における温度条件は、冷間または温間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。
なお、本実施形態では、仕上加工工程S07として冷間圧延を実施している。この仕上加工工程S07における圧延率に特に限定はないが、圧延後のTi含有銅合金塑性加工材(Ti含有銅合金板)における異方性を低減するためには、20%以下に設定することが好ましい。
以上のようにして、本実施形態であるTi含有銅合金塑性加工材(Ti含有銅合金板)が製出されることになる。このTi含有銅合金塑性加工材(Ti含有銅合金板)を素材としてさらに加工を施すことにより、例えばコネクタ及びその他の端子、リレー、リードフレームといった電子・電気機器用部品が成形される。
以上のような構成とされた本実施形態であるTi含有銅合金の製造方法によれば、Ti;1.5mass%以上4.5mass%以下を含有しているので、CuTiの金属間化合物を均一に析出させて強度の向上を図ることができるとともに、導電率を確保することができる。
また、均質化処理工程S02において、均質化処理温度が800℃以上885℃未満とされているので、Tiを十分に固溶させることができ、CuTiの金属間化合物を均一に析出させることができる。また、銅合金鋳塊の一部が液相となることを抑制でき、その後の熱間加工工程S03における割れの発生を抑制できる。
さらに、熱間加工工程S03では、熱間加工終了後の材料温度を700℃以上とし、熱間加工後には、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却を実施する構成としているので、熱間加工工程S03後においてCuTiの金属間化合物の粗大化を抑制でき、熱間加工工程S03後の冷間加工工程S04において割れが発生することを抑制できるとともに、曲げ加工性を維持することができる。
また、溶体化熱処理工程S05では、温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされているので、Tiを十分に固溶させることができる。さらに、溶体化熱処理工程S05では、熱処理後には、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却を実施する構成としているので、CuTiの金属間化合物の粗大化を抑制でき、溶体化熱処理工程S05後の冷間加工工程S04や仕上加工工程S07において割れが発生することを抑制できるとともに、曲げ加工性を維持することができる。
ここで、Co;0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下のいずれか一方又は両方を添加した場合には、Coを含む金属間化合物、Cr単体、Crを含む金属間化合物のいずれかを母相中に析出させることで結晶粒を微細化させて曲げ加工性をさらに向上させることができるとともに、導電率を確保することができる。
Co及びCrを添加する場合には、均質化処理工程S02において、均質化処理温度を850〜885℃とすることにより、Co及びCrを十分に固溶させることができ、Coを含む金属間化合物、Cr単体、Crを含む金属間化合物を均一に析出させることができる。
また、溶体化熱処理工程S05では、温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされているので、Coを含む金属間化合物、Cr単体、Crを含む金属間化合物を析出させることができ、結晶粒の微細化を図ることが可能となる。
さらに、本実施形態においては、時効処理工程S06の後に、仕上加工工程S07を実施する構成としているので、仕上加工工程S07における加工硬化によって強度向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、仕上加工工程S07における圧延率を20%以下としているので、圧延後のTi含有銅合金塑性加工材における異方性を低減することができ、曲げ加工性をさらに向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態であるTi含有銅合金の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、時効処理後に仕上加工工程を実施するものとして説明したが、これに限定されることはなく、仕上加工工程の後に時効処理を実施してもよい。ただし、時効処理によって強度が低下するおそれがあることから、仕上加工工程における加工率は、要求される強度に応じて高めに設定することが好ましい。
さらに、仕上加工工程の後に、歪取り焼鈍等を実施してもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
純度99.99質量%以上の無酸素銅(ASTM B152 C10100)からなる銅原料を準備し、これを高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1に示す成分組成に調製し、5min保持した後、カーボン鋳型に注湯して鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ約50mm×幅約80mm×長さ約100mmとした。
均質化処理として、大気雰囲気において、表1に示す温度で3時間保持した。
上述の均質化熱処理によって加熱された鋳塊を、直ちに熱間圧延した。1pass当りの圧下量は1mm程度として、板厚10mmまで圧延した。なお、本発明例1−5、比較例3,4では、4passごとに880℃×30分の加熱を実施することによって、加工温度を700℃以上に保持した。熱間圧延後の材料温度を表1に示す。また、熱間圧延終了後には水冷を実施した。
次に、第1冷間圧延を実施した。なお、1pass当りの圧下量は1mm程度とした。また、圧下率は、後述する第2冷間圧延及び仕上圧延の圧下率を考慮して、最終の板厚が0.2mmとなるように調整した。
この第1冷間圧延の後、第1溶体化熱処理を実施した。ソルトバスにて820℃×90secで加熱後、ただちに水冷した。
次に、第2冷間圧延を実施した。このとき、圧下率75%とした。
この第2冷間圧延の後、第2溶体化熱処理を実施した。表1に示す温度と時間で保持し、ただちに水冷した。
次に、時効処理として、ソルトバスにて400℃で4時間保持した。
そして、仕上圧延として、表1に示す圧延率で冷間圧延を実施した。
上述の製造方法において、以下の工程で加工性及び特性を評価した。
熱間圧延工程後に、割れの有無、導電率、溶体化度について評価した。
溶体化熱処理工程後に、導電率、溶体化度、結晶粒径について評価した。
仕上圧延工程後に、導電率、硬度、曲げ性(GW、BW)について評価した。
導電率は、JIS H 5050に準拠し、4端子法にて測定した。
溶体化度は、測定した導電率から、以下の式によって算出した。
溶体化度=〔1−{(σ―σ)/σ}〕
σ:27℃において測定した導電率
σ:含有するTiの全量が固溶した場合の理論上の導電率
ここで、本実施例では、理論上の導電率σを、銅と銅合金、第41号(2002)、P.1−9の記載を参考にして算出した。
硬度は、JIS Z 2244に準拠して測定した。
結晶粒径は、圧延方向に平行な断面をクロスセクションポリッシャにて切断し、出現した断面100μm(幅)×200μm(板厚)をEBSD測定し、平均結晶粒径を測定した。
曲げ性は、日本伸銅協会技術標準JCBA−T307−2007に準じて評価した。10mm×30mmの試験片の10mm方向を曲げ軸とし、曲げ軸が圧延方向に平行(badway:BW)、直交(goodway:GW)となるように試験片を採取し、試験片の厚みtと曲げ半径Rが等しい曲げ試験(R/t=1)を行った。曲げ試験後、曲げ加工部表面を光学顕微鏡にて観察し、割れやシワの有無を確認した。
しわ無しを「A」、しわ小を「B」、しわ大を「C」、割れ小を「D」、割れ大を「E」として評価した。なお、A、B及びCを良品と評価し、D及びEを不良として評価した。
条件、評価結果について表1、2に示す。
また、比較例1の熱間加工後の外観写真及びEPMA観察結果を図3に示す。
比較例1においては、均質化処理時の温度が920℃と高く、図3に示すように、熱間圧延時に割れが生じた。組織をEPMA観察した結果、粗大なCuTiの金属間化合物が形成されているのが認められ、この金属間化合物が均質化処理時に液相になったため、熱間圧延時に割れが生じた。
比較例2においては、熱間加工終了後の材料温度が650℃と低く、熱間圧延後に27℃まで冷却した後の溶体化度が59.6%と不十分であった。このため、曲げ加工性が不十分であった。
比較例3においては、溶体化熱処理時の温度が880℃と高く、曲げ加工性が不十分であった。
比較例4においては、溶体化熱処理時の温度が720℃と低く、熱処理後に27℃まで冷却した後の溶体化度が45.1%と不十分であった。これにより、硬度が比較的低く、曲げ性が不十分であった。
これに対して、本発明例1−5においては、いずれも曲げ加工性に優れていることが確認された。
また、Co及びCrのうち少なくともいずれか一方を添加した本発明例3−5においては、硬度が高く、かつ、結晶粒径が小さくなっており、曲げ加工性に優れていることが確認された。
S01 溶解・鋳造工程(鋳造工程)
S02 均質化処理工程
S03 熱間加工工程
S04 冷間加工工程
S05 溶体化熱処理工程
S06 時効処理工程
S07 仕上加工工程

Claims (3)

  1. Ti;1.5mass%以上4.5mass%以下を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成を有する銅合金鋳塊を得る鋳造工程と、
    前記銅合金鋳塊を800℃以上885℃以下の温度範囲で保持して均質化する均質化処理工程と、
    前記均質化処理工程によって加熱された前記銅合金鋳塊を熱間加工する熱間加工工程と、
    前記熱間加工工程後に冷間加工を実施する冷間加工工程と、
    前記冷間加工工程後に熱処理を実施してTiをCuの母相中に固溶させる溶体化熱処理工程と、
    前記溶体化熱処理工程において固溶させたTiをCuTiの金属間化合物として析出させる時効処理工程と、
    所定の形状に塑性加工する仕上加工工程と、を備え、
    前記熱間加工工程では、加工後の材料温度が700℃以上とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却し、
    前記溶体化熱処理工程では、処理温度が800℃以上850℃未満の範囲内とされ、27℃における溶体化度が92%以上となるように冷却することを特徴とするTi含有銅合金の製造方法。
  2. 前記銅合金鋳塊は、さらに、Co;0.1mass%以上0.8mass%以下、及び、Cr;0.01mass%以上0.5mass%以下のいずれか一方又は両方を含有しており、
    前記均質化処理工程では、前記銅合金鋳塊を850℃以上885℃以下の温度範囲で保持して均質化することを特徴とする請求項1に記載のTi含有銅合金の製造方法。
  3. 前記時効処理工程の後に、前記仕上加工工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のTi含有銅合金の製造方法。
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