JP2013100571A - 電子機器用銅合金、電子機器用銅合金の製造方法、電子機器用銅合金塑性加工材および電子機器用部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Mgを、3.3原子%以上6.9原子%以下の範囲で含み、さらに少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含み、残部が実質的にCu及び不可避不純物とされ、走査型電子顕微鏡観察において、粒径0.1μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の平均個数が、1個/μm2以下とされていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
また、その他の合金として、非特許文献2に記載されているCu−Mg合金、や、特許文献2に記載されているCu−Mg−Zn−B合金等が開発されている。
また、CuとMgを主成分とする金属間化合物の粒径は、金属間化合物の長径(途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)と短径(長径と直角に交わる方向で、途中で粒界に接しない条件で最も長く引ける直線の長さ)の平均値とする。
また、りん青銅に比べて、高温での耐応力緩和特性が向上することから、自動車のエンジンルームの周辺等の高温環境下で使用することが可能となる。
また、本発明の電子機器用銅合金においては、少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含んでいるので、導電率を大きく低下させることなく機械的強度を大幅に向上させることが可能となる。
この場合、応力緩和率が上述のように規定されていることから、高温環境下でも使用した場合であっても接圧低下による通電不良の発生を抑制することができる。よって、エンジンルーム等の高温環境下で使用される電子機器用部品の素材として適用することが可能となる。
0.2%耐力σ0.2が400MPa以上である場合には、容易に塑性変形しなくなるため、端子、コネクタ、リレー、リードフレーム等の電子機器用部品に特に適している。
この場合、仕上熱処理工程によって、耐応力緩和特性を向上させることができ、応力緩和率を150℃、1000時間で50%以下とすることができる。また、前記仕上熱処理工程において、CuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することを抑制できる。
また、加熱された前記銅素材を、200℃/min以上の冷却速度で200℃以下にまで冷却する急冷工程を備えているので、冷却の過程でCuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することを抑制することが可能となり、銅素材をCu−Mg過飽和固溶体とすることができる。
この構成の電子機器用部品(例えば端子、コネクタ、リレー、リードフレーム)は、耐応力緩和特性に優れているので、高温環境下でおいても使用することができる。
本実施形態である電子機器用銅合金の成分組成は、Mgを3.3原子%以上6.9原子%以下の範囲で含み、さらに少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含み、残部が実質的にCu及び不可避不純物とされている。
すなわち、CuとMgを主成分とする金属間化合物がほとんど析出しておらず、Mgが母相中に固溶しており、本実施形態である電子機器用銅合金は、Cu−Mg過飽和固溶体とされているのである。
さらに、本実施形態である電子機器用銅合金は、0.2%耐力σ0.2が400MPa以上とされている。
Mgは、導電率を大きく低下させることなく、強度を向上させるとともに再結晶温度を上昇させる作用効果を有する元素である。また、Mgを母相中に固溶させることにより、優れた曲げ加工性が得られる。
ここで、Mgの含有量が3.3原子%未満では、その作用効果を奏功せしめることはできない。一方、Mgの含有量が6.9原子%を超えると、溶体化のために熱処理を行った際に、CuとMgを主成分とする金属間化合物が残存してしまい、その後の塑性加工等で割れが発生してしまうおそれがある。
このような理由から、Mgの含有量を、3.3原子%以上6.9原子%以下に設定している。
ここで、少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上の元素の含有量の合計が0.1原子%未満では、その作用効果を奏功せしめることはできない。一方、少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上の元素の含有量の合計が3.0原子%を超えると、導電率が大きく低下することから好ましくない。
このような理由から、少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上の元素の含有量の合計を0.1原子%以上3.0原子%以下の範囲内に設定している。
本実施形態である電子機器用銅合金においては、走査型電子顕微鏡で観察した結果、粒径0.1μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の平均個数が、1個/μm2以下とされている。すなわち、CuとMgを主成分とする金属間化合物がほとんど析出しておらず、Mgが母相中に固溶しているのである。
ここで、溶体化が不完全であったり、溶体化後にCuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することにより、サイズの大きい金属間化合物が多量に存在すると、これらの金属間化合物が割れの起点となり、塑性加工時に割れが発生したり、曲げ加工性が大幅に劣化することになる。
さらに、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、粒径0.05μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の個数が合金中に1個/μm2以下であることが、より好ましい。
また、CuとMgを主成分とする金属間化合物の粒径は、金属間化合物の長径(途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)と短径(長径と直角に交わる方向で、途中で粒界に接しない条件で最も長く引ける直線の長さ)の平均値とする。
本実施形態である電子機器用銅合金においては、上述のように、応力緩和率が150℃、1000時間で50%以下とされている。
この条件における応力緩和率が低い場合には、高温環境下で使用した場合であっても永久変形を小さく抑えることができ、接圧の低下を抑制することができる。よって、本実施形態である電子機器用銅合金は、自動車のエンジンルーム周りのような高温環境下で使用される端子として適用することが可能となる。
なお、応力緩和率は150℃、1000時間で30%以下とすることが好ましく、150℃、1000時間で20%以下とすることがさらに好ましい。
なお、下記の製造方法において、加工工程として圧延を用いる場合、加工率は圧延率に相当する。
まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、Mgの添加には、Mg単体やCu−Mg母合金等を用いることができる。また、Mgを含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
ここで、銅溶湯は、純度が99.99質量%以上とされたいわゆる4NCuとすることが好ましい。また、溶解工程では、Mgの酸化を抑制するために、真空炉、あるいは、不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気とされた雰囲気炉を用いることが好ましい。
そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために加熱処理を行う。鋳塊の内部には、凝固の過程においてMgが偏析で濃縮することにより発生したCuとMgを主成分とする金属間化合物等が存在することになる。そこで、これらの偏析および金属間化合物等を消失または低減させるために、鋳塊を400℃以上900℃以下にまで加熱する加熱処理を行うことで、鋳塊内において、Mgを均質に拡散させたり、Mgを母相中に固溶させたりするのである。なお、この加熱工程S02は、非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。
ここで、加熱温度が400℃未満では、溶体化が不完全となり、母相中にCuとMgを主成分とする金属間化合物が多く残存するおそれがある。一方、加熱温度が900℃を超えると、銅素材の一部が液相となり、組織や表面状態が不均一となるおそれがある。よって、加熱温度を400℃以上900℃以下の範囲に設定している。より好ましくは500℃以上850℃以下、更に好ましくは520℃以上800℃以下とする。
そして、加熱工程S02において400℃以上900℃以下にまで加熱された銅素材を、200℃以下の温度にまで、200℃/min以上の冷却速度で冷却する。この急冷工程S03により、母相中に固溶したMgが、CuとMgを主成分とする金属間化合物として析出することを抑制し、走査型電子顕微鏡観察において、粒径0.1μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の平均個数を1個/μm2以下とすることができる。すなわち、銅素材をCu−Mg過飽和固溶体とすることができるのである。
なお、粗加工の効率化と組織の均一化のために、前述の加熱工程S02の後に熱間加工を実施し、この熱間加工の後に上述の急冷工程S03を実施する構成としてもよい。この場合、加工方法に特に限定はなく、例えば最終形態が板や条の場合には圧延、線や棒の場合には線引きや押出や溝圧延等、バルク形状の場合には鍛造やプレス、を採用することができる。
加熱工程S02および急冷工程S03を経た銅素材を必要に応じて切断するとともに、加熱工程S02および急冷工程S03等で生成された酸化膜等を除去するために必要に応じて表面研削を行う。そして、所定の形状へと塑性加工を行う。
なお、この中間加工工程S04における温度条件は特に限定はないが、冷間または温間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、最終形状を得るまでの中間熱処理工程S05の回数を減らすためには、20%以上とすることが好ましい。また、加工率を30%以上とすることがより好ましい。加工方法は特に限定されないが、最終形状が板、条の場合は圧延を採用することが好ましい。線や棒の場合には押出や溝圧延、バルク形状の場合には鍛造やプレスを採用することが好ましい。さらに、溶体化の徹底のために、S02〜S04を繰り返しても良い。
中間加工工程S04後に、溶体化の徹底、再結晶組織化または加工性向上のための軟化を目的として熱処理を実施する。
熱処理の方法は特に限定はないが、好ましくは400℃以上900℃以下の条件で、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を行う。より好ましくは500℃以上850℃以下、さらに好ましくは520℃以上800℃以下とする。
なお、中間加工工程S04及び中間熱処理工程S05は、繰り返し実施してもよい。
中間熱処理工程S05後の銅素材を所定の形状に仕上加工を行う。なお、この仕上加工工程S06における温度条件は特に限定はないが、常温で行うことが好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、加工硬化によって強度を向上させるためには、20%以上とすることが好ましい。また。さらなる強度の向上を図る場合には、加工率を30%以上とすることがより好ましい。この塑性加工方法は特に限定されないが、最終形状が板、条の場合は圧延を採用することが好ましい。線や棒の場合には押出や溝圧延、バルク形状の場合には鍛造やプレスを採用することが好ましい。
次に、仕上加工工程S06によって得られた塑性加工材に対して、耐応力緩和特性の向上、および、低温焼鈍硬化を行うために、または、残留ひずみの除去のために、仕上熱処理を実施する。
熱処理温度は、200℃以上800℃以下の範囲内とすることが好ましい。なお、この仕上熱処理工程S07においては、溶体化されたMgが析出しないように、熱処理条件(温度、時間、冷却速度)を設定する必要がある。例えば250℃で10秒〜24時間程度、300℃で5秒〜4時間程度、500℃で0.1秒〜60秒程度とすることが好ましい。この熱処理は、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で行うことが好ましい。
さらに、上述の仕上加工工程S06と仕上熱処理工程S07とを、繰り返し実施してもよい。なお、中間熱処理工程と仕上熱処理工程とは、中間加工工程又は仕上加工工程における塑性加工後の組織を再結晶化することを目的とするか否かによって区別することができる。
さらに、仕上熱処理工程S07によって、本実施形態である電子機器用銅合金は、応力緩和率が150℃、1000時間で50%以下とされている。
このようなCu−Mg過飽和固溶体からなる銅合金では、母相中には、割れの起点となる粗大なCuとMgを主成分とする金属間化合物が多く分散されておらず、曲げ加工性が向上することになる。よって、複雑な形状の端子、コネクタ、リレー、リードフレーム等の電子機器用部品を成形することが可能となる。
さらに、Mgを過飽和に固溶させていることから、加工硬化させることで、強度が向上することになり、比較的高い強度を有することが可能となる。
また、加熱工程S02によって400℃以上900℃以下にまで加熱された鋳塊または塑性加工材を、200℃/min以上の冷却速度で200℃以下にまで冷却する急冷工程S03を備えているので、冷却の過程でCuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することを抑制することが可能となり、急冷後の鋳塊または塑性加工材をCu−Mg過飽和固溶体とすることができる。
また、中間加工工程S04の後に、溶体化の徹底、再結晶組織化または加工性向上のための軟化を目的として中間熱処理工程S05を備えているので、特性の向上および加工性の向上を図ることができる。
また、中間熱処理工程S05においては、400℃以上900℃以下にまで加熱された銅素材を、200℃/min以上の冷却速度で200℃以下にまで冷却するので、冷却の過程でCuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することを抑制することが可能となり、急冷後の銅素材をCu−Mg過飽和固溶体とすることができる。
また、仕上熱処理工程S07においては、200℃以上800℃以下の範囲で熱処理を実施し、その後に、加熱された前記銅素材を、200℃/min以上の冷却速度で、200℃以下にまで冷却するので、冷却の過程でCuとMgを主成分とする金属間化合物が析出することを抑制することが可能となり、仕上熱処理工程S07後の電子機器用銅合金をCu−Mg過飽和固溶体とすることができる。
例えば、上述の実施形態では、電子機器用銅合金の製造方法の一例について説明したが、製造方法は本実施形態に限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
純度99.99質量%以上の無酸素銅(ASTM B152 C10100)からなる銅原料を準備し、これを高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1、2に示す成分組成に調製し、カーボン鋳型に注湯して鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ約20mm×幅約20mm×長さ約100〜120mmとした。
そして、仕上圧延後に、表に示す条件でソルトバス中で仕上熱処理を実施し、その後、水焼入れを実施し、特性評価用条材を作成した。
加工性の評価として、前述の冷間圧延時における耳割れの有無を観察した。目視で耳割れが全くあるいはほとんど認められなかったものを◎、長さ1mm未満の小さな耳割れが発生したものを○、長さ1mm以上3mm未満の耳割れが発生したものを△、長さ3mm以上の大きな耳割れが発生したものを×、耳割れに起因して圧延途中で破断したものを××とした。
なお、耳割れの長さとは、圧延材の幅方向端部から幅方向中央部に向かう耳割れの長さのことである。
(機械的特性)
特性評価用条材からJIS Z 2201に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、0.2%耐力σ0.2を測定した。なお、試験片は、圧延方向に平行な方向で採取した。
特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。
耐応力緩和特性試験は、日本伸銅協会技術標準JCBA−T309:2004の片持はりねじ式に準じた方法によって応力を負荷し、150℃の温度で所定時間保持後の残留応力率を測定した。
試験片(幅10mm)は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。
試験片の表面最大応力が耐力の80%となるよう、初期たわみ変位を2mmと設定し、スパン長さを調整した。上記表面最大応力は次式で定められる。
表面最大応力(MPa)=1.5Etδ0/LS 2
ただし、
E:たわみ係数(MPa)
t:試料の厚み(t=0.25mm)
δ0:初期たわみ変位(2mm)
Ls:スパン長さ(mm)
である。
150℃の温度で、1000h保持後の曲げ癖から、残留応力率を測定し、応力緩和率を評価した。なお応力緩和率は次式を用いて算出した。
応力緩和率(%)=(δt/δ0)×100
ただし、
δt:150℃で1000h保持後の永久たわみ変位(mm)−常温で24h保持後の永久たわみ変位(mm)
δ0:初期たわみ変位(mm)
である。
日本伸銅協会技術標準JCBA−T307:2007の4試験方法に準拠して曲げ加工を行った。
圧延方向と試験片の長手方向が平行になるように、特性評価用条材から幅10mm×長さ30mmの試験片を複数採取し、曲げ角度が90度、曲げ半径が0.25mmのW型の治具を用い、W曲げ試験を行った。
そして、曲げ部の外周部を目視で確認し、破断した場合は×、一部のみ破断が起きた場合は△、破断が起きず微細な割れのみが生じた場合は○、破断や微細な割れを確認できない場合を◎として判定を行った。
各試料の圧延面に対して、鏡面研磨、イオンエッチングを行った。CuとMgを主成分とする金属間化合物の析出状態を確認するため、FE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)を用い、1万倍の視野(約120μm2/視野)で観察を行った。
次に、CuとMgを主成分とする金属間化合物の密度(個/μm2)を調査するために、金属間化合物の析出状態が特異ではない1万倍の視野(約120μm2/視野)を選び、その領域で、5万倍で連続した10視野(約4.8μm2/視野)の撮影を行った。金属間化合物の粒径については、金属間化合物の長径(途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)と短径(長径と直角に交わる方向で、途中で粒界に接しない条件で最も長く引ける直線の長さ)の平均値とした。そして、粒径0.1μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の密度(個/μm2)を求めた。
Mgの含有量が本発明の範囲よりも高い比較例2、3においては中間圧延時に大きな耳割れが発生し、その後の特性評価を実施することが不可能であった。
また、Ni,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上の含有量の合計が3.0原子%を超えた比較例4においては、導電率が10%と低かった。
さらに、組成が本発明の範囲であるが、導電率およびCuとMgを主成分とする金属間化合物の個数が本発明の範囲から外れた比較例5、6においては、曲げ加工性が劣っていることが確認される。
なお、仕上熱処理を実施した本発明例1−8は、仕上熱処理を実施しなかった本発明例9に比べて、応力緩和率が向上していることが確認される。
Claims (10)
- Mgを、3.3原子%以上6.9原子%以下の範囲で含み、さらに少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含み、残部が実質的にCu及び不可避不純物とされ、
走査型電子顕微鏡観察において、粒径0.1μm以上のCuとMgを主成分とする金属間化合物の平均個数が、1個/μm2以下とされていることを特徴とする電子機器用銅合金。 - 請求項1に記載の電子機器用銅合金において、
応力緩和率が150℃、1000時間で50%以下であることを特徴とする電子機器用銅合金。 - 請求項1または請求項2に記載の電子機器用銅合金において、
0.2%耐力σ0.2が400MPa以上とされていることを特徴とする電子機器用銅合金。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用銅合金を製出する電子機器用銅合金の製造方法であって、
Mgを、3.3原子%以上6.9原子%以下の範囲で含み、さらに少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含み、残部が実質的にCu及び不可避不純物とされた組成の銅素材を所定の形状に塑性加工する仕上加工工程と、この仕上加工工程の後に熱処理を実施する仕上熱処理工程と、を備えていることを特徴とする電子機器用銅合金の製造方法。 - 請求項4に記載の電子機器用銅合金の製造方法において、
前記仕上熱処理工程では、200℃以上800℃以下の範囲で熱処理を実施することを特徴とする電子機器用銅合金の製造方法。 - 請求項5に記載の電子機器用銅合金の製造方法において、
前記仕上熱処理工程では、200℃以上800℃以下の範囲で熱処理を実施し、
その後に、加熱された前記銅素材を、200℃/min以上の冷却速度で、200℃以下にまで冷却することを特徴とする電子機器用銅合金の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用銅合金を製出する電子機器用銅合金の製造方法であって、
Mgを3.3原子%以上6.9原子%以下の範囲で含み、さらに少なくともNi,Si,Mn,Li,Ti,Fe,Coの1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上3.0原子%以下の範囲で含み、残部が実質的にCu及び不可避不純物とされた組成の銅素材を、400℃以上900℃以下の温度にまで加熱する加熱工程と、
加熱された前記銅素材を、200℃/min以上の冷却速度で、200℃以下にまで冷却する急冷工程と、
急冷された銅素材を塑性加工する加工工程と、
を備えていることを特徴とする電子機器用銅合金の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用銅合金からなり、0.2%耐力σ0.2が400MPa以上とされていることを特徴とする電子機器用銅合金塑性加工材。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用銅合金からなり、
端子、コネクタ、リレー、リードフレーム等の電子機器用部品を構成する銅素材として使用されることを特徴とする電子機器用銅合金塑性加工材。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用銅合金からなること特徴とする電子機器用部品。
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