JP2015012822A - 嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する新規微生物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する受託番号NITE P−1596または受託番号NITE P−1598で寄託された微生物である。
【選択図】図1
Description
そして、このような汚染土壌の浄化方法の1つに、微生物が有する汚染物質の分解能を利用したバイオレメディエーション法がある。またこのようなバイオレメディエーション法に用いる新規な微生物が各種単離されている(特許文献1〜3参照)。
従って、従前の汚染土壌の浄化においては、地表面から深い土壌においても微生物の分解能力を発現させるために、地中内に空気を供給する配管を設置したり、定期的に土壌を撹拌したりすることなどを行って、人為的に地中深くの土壌についても好気条件を作り出すことが行われている。
すなわち、本発明は従前のバイオレメディエーション法による汚染土壌の浄化における上記の問題点に鑑みてなされたものであって、嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する新規微生物の提供を目的とする。
特許微生物寄託センター(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に平成25年6月17日に受託されており、その受託番号はNITE P−1596(15−B株)とNITE P−1598(55−D株)である微生物である。
なお、本発明に係る微生物については、炭化水素化合物または油分を分解する能力を有しつつ、紫外線照射や放射線照射などの公知の手法にて変異をさせた変異株や、自然界において変異した変異株も含まれるものである。
(1)1次スクリーニング
まず、土壌サンプル0.1gを1.5ml容マイクロチューブに入れ、蒸留水1mlを加えてボルテックスミキサーで撹拌し、土壌懸濁液を作製した。次に、10ml容バイアル瓶にA重油を0.2%(w/v)含む改変SW培地10mlと、作製した土壌懸濁液1%(v/v)を加え、窒素を充填した嫌気ボックス内で密閉した。これを30℃の環境恒温下で培養し、濁度が上昇した培養液100 μLをGAM寒天培地(GAM培地に寒天末を20g/Lとなるように加えたもの)に塗布した。そして、このプレートを30℃、72時間静置培養し、単離できたコロニーを1次スクリーニング通過サンプルとした。なお、改変SW培地の組成を表1に、GAM培地の組成を表2に示す。
次に、10ml容バイアル瓶に改変SW培地10mlを入れて1次スクリーニング通過菌株を植菌した後、これにA重油を0.2%(v/v)加えて嫌気ボックス内で密栓し、30℃、72時間振盪培養した。そして、増殖が見られたサンプルを2次スクリーニング通過菌株とした。
(3)3次スクリーニング
最後に、3次スクリーニングを行うことによって、本発明に係る微生物15−B株、55−D株を単離した。具体的には、まずGAM培地で2次スクリーニング通過菌株を一晩培養し、前培養液を作製した。次に、500ml容培養瓶に改変SW培地500mlを入れ、作製した前培養液を1%(v/v)植菌した。さらにA重油を0.2%(w/v)加えて嫌気ボックス内で密栓し、30℃、72時間振盪培養した。そして、増殖が見られたサンプルに、クロロホルム・メタノール(3:1)混合溶液を30%入れてよく撹拌し、残存油分を抽出した。A重油の初期添加量と残存量を比較し、減少が認められたものをスクリーニング取得菌株すなわち本発明に係る微生物15−B株、55−D株とした。
次に、本発明に係る微生物15−B株の分類学的性質及び形態的性質を説明する。
まず、本発明に係る微生物15−B株の塩基配列は、配列番号1に示す16SrDNA塩基配列である。
次に、国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)に基づいて当該塩基配列の相同性検索を行ったところ表3に示す結果となり、Pseudomonas属の16S rDNA塩基配列に高い相同性を示した。また、基準株ではPseudomonas aeruginosa DSM50071株に対して相同率100%の高い相同性を示した。
さらに、アポロンDB細菌基準株データベース(株式会社テクノスルガ)に基づいて当該塩基配列の相同性検索を行った結果においても表4に示す通り、Pseudomonas属の16S rDNA塩基配列に高い相同性を示した。また、基準株ではPseudomonas aeruginosa ATCC10145株に対して相同率100%の高い相同性を示した。
次に、本発明に係る微生物15−B株の形態観察を、LB寒天培地(Polypeptone :10g/L、Extract Yeast Dried:5g/L、NaCl:5g/L、Agar:20g/L)上で、30℃下、培養24時間において行ったところ以下に示す通り、桿菌で、黄色のコロニー色を示した。コロニー像を図2に、グラム染色像を図3に示す。
細胞形態 : 桿菌(0.7−0.8×1.0−1.2μm)
グラム染色 : −
芽胞形成 : −
コロニー色調 : 黄色
最後に、本発明に係る微生物15−B株の培養条件、保管条件を以下に示す。なお、以下に記載の培養条件、保管条件は一例に過ぎず、本発明に係る微生物15−B株が増殖できるものであれば特に限定されるものではない。
[培養条件]
培地名:LB培地(Polypeptone:10g/L、Extract Yeast Dried:5g/L、NaCl:5g/L)
培地の殺菌条件:オートクレーブ(121℃、15min)
培養温度:30℃
培養期間:1〜2日
酸素要求性:好気
培養方法:好気培養
光要求性:不要
[保管条件]
凍結乾燥法による保管:可能(保管温度:5℃付近、保護剤の組成:10%スキムミルク、1%グルタミン酸ナトリウム、pH無調整、加圧滅菌(115℃、15分))
凍結法による保管(−80℃付近):可能(保護剤:20%グリセロール)
継代培養による保管:固体培養、液体培養どちらでも可(植え継ぎ間隔:1ヶ月、保管温度:5℃)
ここで、本発明に係る微生物15−B株は、後記するように嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する微生物であるが、Pseudomonas aeruginosaに属する微生物においてこのような能力を有する微生物はこれまで単離されていない。
従って、これらの結果から本発明に係る微生物15−B株は新規微生物であることが確認できた。なお、本発明に係る微生物15−B株は好気条件下においても生育可能な通性嫌気性微生物であるため、使用状況が嫌気条件下のみに限定されるものではない。
次に、本発明に係る微生物55−D株の分類学的性質及び形態的性質を説明する。
まず、本発明に係る微生物55−D株の塩基配列は、配列番号1に示す16SrDNA塩基配列である。
次に、国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)に基づいて当該塩基配列の相同性検索を行ったところ表5に示す結果となり、Pseudomonas属の16S rDNA塩基配列に高い相同性を示した。また、基準株ではPseudomonas aeruginosa DSM50071株に対して相同率100%の高い相同性を示した。
さらに、アポロンDB細菌基準株データベース(株式会社テクノスルガ)に基づいて当該塩基配列の相同性検索を行った結果においても表6に示す通り、Pseudomonas属の16S rDNA塩基配列に高い相同性を示した。また、基準株ではPseudomonas aeruginosa ATCC10145株に対して相同率100%の高い相同性を示した。
次に、本発明に係る微生物55−D株の形態観察を、LB寒天培地(Polypeptone :10g/L、Extract Yeast Dried:5g/L、NaCl:5g/L、Agar:20g/L)上で、30℃下、培養24時間において行ったところ以下に示す通り、桿菌で、黄色のコロニー色を示した。コロニー像を図5に、グラム染色像を図6に示す。
細胞形態 : 桿菌(0.7−0.8×1.0−1.2μm)
グラム染色 : −
芽胞形成 : −
コロニー色調 : 黄色
最後に、本発明に係る微生物55−D株の培養条件、保管条件を以下に示す。なお、以下に記載の培養条件、保管条件は一例に過ぎず、本発明に係る微生物55−D株が増殖できるものであれば特に限定されるものではない。
[培養条件]
培地名:LB培地(Polypeptone:10g/L、Extract Yeast Dried:5g/L、NaCl:5g/L)
培地の殺菌条件:オートクレーブ(121℃、15min)
培養温度:30℃
培養期間:1〜2日
酸素要求性:好気
培養方法:好気培養
光要求性:不要
[保管条件]
凍結乾燥法による保管:可能(保管温度:5℃付近、保護剤の組成:10%スキムミルク、1%グルタミン酸ナトリウム、pH無調整、加圧滅菌(115℃、15分))
凍結法による保管(−80℃付近):可能(保護剤:20%グリセロール)
継代培養による保管:固体培養、液体培養どちらでも可(植え継ぎ間隔:1ヶ月、保管温度:5℃)
ここで、本発明に係る微生物55−D株は、後記するように嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する微生物であるが、Pseudomonas aeruginosaに属する微生物においてこのような能力を有する微生物はこれまで単離されていない。
従って、これらの結果から本発明に係る微生物55−D株は新規微生物であることが確認できた。なお、本発明に係る微生物55−D株は好気条件下においても生育可能な通性嫌気性微生物であるため、使用状況が嫌気条件下のみに限定されるものではない。
まず、嫌気性ボックス(Thermo Scientific社製)内で改変SW培地にA重油を2000ppm添加することによって試験用培地を作製した。
15−B株を55−D株に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2を行った。
従って、本発明に係る微生物15−B株および55−D株は、従前の微生物では生育が困難である嫌気条件下においても生育するだけでなく、かかる条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を発現するものであることがわかった。
Claims (2)
- 嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する受託番号NITE P−1596または受託番号NITE P−1598で寄託された微生物。
- 請求項1に記載の微生物を炭化水素化合物または油分で汚染された土壌または水に供給することを特徴とする汚染土壌または汚染水の浄化方法。
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JP2013141062A JP6245866B2 (ja) | 2013-07-04 | 2013-07-04 | 嫌気条件下において炭化水素化合物または油分を分解する能力を有する新規微生物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101896428B1 (ko) * | 2017-07-12 | 2018-09-10 | (주)티에스케이워터 | 유류 분해능과 유류 탈리능을 갖는 슈도모나스 아에루지노사 (Pseudomonas aeruginosa) TSKW-S5 균주, 이를 이용한 오염 토양 정화방법 및 상기 균주의 선별 방법 |
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2013
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