JP2015012439A - コンデンサマイクロホンユニット - Google Patents

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【課題】ユニット内に含まれる台座の厚みを薄くして、音響端子間距離を短くするにあたって、固定極板と台座とを機械的結合力にばらつきを生じさせることなく一体化する。
【解決手段】振動板20と固定極板40とを含むコンデンサマイクロホンユニットにおいて、固定極板40を支持する円盤体からなる台座50を備え、台座50は、その周辺部分を残して固定極板40との間に所定容積の空気室を形成する凹部51と、固定極板40の周縁部に対する第1支持面52aを有し台座50の周辺部分に沿って環状に形成されたリブ壁52と、固定極板40のほぼ中央部分に対する第2支持面53aを有し凹部51内に突設された突起部53とを備え、リブ壁52の第1支持面52aと突起部53の第2支持面53aとに砥石による平面研削加工を施して、支持面52a,53aを同一平面上に仕上げ、固定極板40を支持面52a,53aに対し接着材により固定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、コンデンサマイクロホンユニットに関し、さらに詳しく言えば、固定極板を支持する台座に関するものである。
コンデンサマイクロホンユニットは、振動板と固定極板とを所定の間隔をもって対向的に配置してなる音響電気変換器を備えているが、振動板の有効面積を大きくすることにより、感度をより高くすることができる。
単一指向性コンデンサマイクロホンユニットでは、振動板の前面が前部音響端子として動作し、ユニットの後部側に後部音響端子が設けられている。前部音響端子と後部音響端子との間隔が音響端子間距離として定義されている。
振動板の有効面積を大きくする、すなわち振動板の径を大きくすると、その分、音響端子間距離が長くなる。音響端子間距離が音波の波長に対して十分小さい範囲では、音響端子間距離が長くなるほど、音波の周波数上昇に伴って双指向性の駆動力は増加する。しかしながら、音波の周波数が高くなって、音波の半波長が音響端子間距離と等しくなると、音圧傾度による駆動力がなくなる。
そのため、音波の高い周波数まで音圧傾度による駆動力を得るには、音響端子間距離が短くなるように設計する必要があるが、振動板の径を大きくして感度を高めた状態を維持して音響端子間距離を短くするには、収音軸に沿ったユニットの厚み方向の寸法を小さく設計すればよい。
ユニットの厚み方向の寸法には、振動板を支持するダイアフラムリング,スペーサリング,固定極板および固定極板を支持する台座(通常、絶縁座と呼ばれている部品)の各厚みが含まれるが、このうち台座の占める割合がもっとも大きい。
そこで、台座の厚みを薄くすることになるが、振動板の径に合わせて台座の径も大きくした状態で、台座の厚みを薄くすると、台座には固定極板との間で所定容積の空気室を形成するための凹部が設けられていることもあって、台座が強度不足となり、固定極板と台座が音波によって振動し、指向周波数応答に大きな凹凸が発生し、音色が損なわれることがある。
この点を解消するため、特許文献1に記載された発明では、台座の空気室を形成する凹部内に固定極板の中央部分を支持する柱状の突起部を設けて、この突起部と台座の周縁部分とに接着材を介して固定極板を固定し、固定極板と台座とを一体化することが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された発明の場合、突起部と固定極板との間に0.1〜0.3mm程度の隙間を設ける必要がある。
その理由は、台座と固定極板の各周縁部分に隙間があった場合、ユニットの組立時に台座の周縁部分に応力が加わり、台座の中央部分が凸状に変形する。したがって、突起部と固定極板との間に隙間がない場合には、固定極板の中央部分も凸状に変形し、マイクロホン使用時に振動板と接触する、という問題を発生させる。
台座は、合成樹脂材のほかに真鍮材やセラミック材等により作られることもあるが、切削加工でも、台座の周縁部分と中央の突起部の各支持面を同一平面に形成することは困難である。例えば、振動板と固定極板との間隔が50μmであるとして、ユニット組立時に固定極板の中央部分が5μm振動板側に変位すると、感度が10%程度変化し、吸着安定度は約27%低下する。
上記した理由により、特許文献1に記載された発明では、突起部と固定極板との間に0.1〜0.3mm程度の隙間を設け、接着材で固定極板を突起部に固定するようにしているが、次のような問題がある。
上記接着材には、通常、エポキシ系の接着材等の2液混合タイプの接着材が用いられるが、この種の接着材は、混合比や硬化条件等により、往々にして硬度が変化するため、固定極板と台座との機械的結合力にばらつきが発生し、これが原因で指向周波数応答や音色等の特性が損なわれることがある。
特開2012−195717号公報
したがって、本発明の課題は、単一指向性コンデンサマイクロホンユニットで、ユニット内に含まれる台座の厚みを薄くして、音響端子間距離が短くなるように設計する場合において、固定極板と台座とを機械的結合力にばらつきを生じさせることなく一体化できるようにすることにある。
上記課題を解決するため、本発明は、ユニットケース内に、ダイアフラムリングに張設された振動板と、台座に支持された固定極板とをセパレータリングを介して対向的に配置してなる音響電気変換器が収納されているコンデンサマイクロホンユニットにおいて、
上記台座は円盤体からなり、その周辺部分を残して上記固定極板との間に所定容積の空気室を形成する凹部と、上記固定極板の周縁部に対する第1支持面を有し上記円盤体の周辺部分に沿って環状に形成されたリブ壁と、上記固定極板のほぼ中央部分に対する第2支持面を有し上記円盤体と一体に上記凹部内に突設された突起部とを含み、
上記リブ壁の第1支持面と上記突起部の第2支持面とが、平面研削により同一平面上に存在しており、上記固定極板が上記第1,第2支持面に対し接着材により固定されていることを特徴としている。
本発明において、上記台座は金属材、セラミック材もしくは合成樹脂材からなる。
本発明によれば、台座のリブ壁に設けられた第1支持面と台座の中央部分に設けられた突起部の第2支持面とが、砥石による平面研削により同一平面上に存在するように仕上げられているため、固定極板を台座に接着材にて固定するにあたって、その接着材層を薄くかつ均一にすることができ、固定極板と台座とを機械的結合力にばらつきを生じさせることなく一体化することができる。
本発明の実施形態に係るコンデンサマイクロホンユニットの組立状態を示す断面図。 上記コンデンサマイクロホンユニットを分解して示す断面図。 上記コンデンサマイクロホンユニットが備える台座の(a)拡大断面図,(b)固定極板の取り付け状態を示す拡大断面図。 本発明に好適な接着材塗布治具を示す模式的な断面図。
次に、図1ないし図4により、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、図1および図2を参照して、この実施形態に係るコンデンサマイクロホンユニット1は、ユニットケース10と、振動板20と、スペーサリング30と、固定極板40と、台座50と、ホルダ60と、ロックリング70とを備えている。
ユニットケース10は、アルミニウム材等の金属材により円筒状に形成されており、その前面側(収音時に音源側に向けられる面で、図1,2では左端側)に音波を取り入れる前部音響端子11を備えている。また、ユニットケース10の後部側は、円筒のまま開口されており、その内周面には雌ネジ12が形成されている。
振動板20には、片面に電極としての金属蒸着膜を有する合成樹脂の薄膜フィルムが用いられる。振動板20は、その金属蒸着膜側を貼着面側として、ダイアフラムリング21に所定の張力をもって接着材により貼り付けられており、ユニットケース10内の前部音響端子11側に収納される。ダイアフラムリング21は金属製で、ユニットケース10と電気的に接続される。
スペーサリング30は、振動板20とほぼ同径で電気絶縁材よりなる。スペーサリング30は、振動板20と固定極板40との間に介装され、それらの間の薄空気層の厚みを規定する。
固定極板40は、アルミニウム材等の金属板からなり、振動板20側の上記金属蒸着膜との間でコンデンサを形成する。固定極板40には、音を通す多数の音孔41が穿設されている。なお、固定極板40の振動板20と対向する面にエレクトレット材を貼着してエレクトレット型コンデンサマイクロホンとしてもよい。
台座50は、固定極板40を支持する部材で、この実施形態では真鍮材(黄銅合金)により円盤状に形成されている。台座50は、セラミック材もしくは合成樹脂材より形成されてもよい。
台座50は、固定極板40の背面側(反振動板側)に所定容積の空気室を形成する凹部51を有する。凹部51は、固定極板40の支持面側を一段低くなるように例えば切削することにより形成される。図示しないが、この凹部51内には不織布等の音響抵抗材が詰め込まれる。
台座50の周縁には、その全周にわたって凹部51を囲むようにリブ壁21が環状に形成されている。リブ壁21は、その端面に固定極板40の周縁部分を支持する第1支持面52aを備えている。
また、台座50の凹部51内で、その中央部分には柱状の突起部53が台座50と一体に設けられている。突起部53は、その端面に固定極板40の中央部分を支持する第2支持面53aを備えている。
このほか、台座50には、ユニットケース10の後端側から取り込まれた音波を凹部51内に導く音孔54が複数個設けられている。また、図示しないが、台座50には、固定極板40と電気的に接続され、固定極板40の電極を引き出す電極引出端子が設けられてよい。
ホルダ60は、台座50の背面側(反固定極板側)に嵌合して台座50を保持する部材で、この実施形態では合成樹脂材よりなる。
ロックリング70は、その外周面にユニットケース10の雌ネジ12と螺合する雄ネジ71を備えている。ロックリング70は、ホルダ60の背面側にあてがわれ、その締め付け力により、図1に示すように、上記した各部材(内蔵部材)がユニットケース10内に固定される。なお、ロックリング70に代えて、ユニットケース10の後端開口部の縁を内側にカールするようにかしめて固定する方法もある。
図示しない音源からの音波は、前部音響端子11から振動板20の前面側に到来し、また、ユニットケース10の後部側から回り込む音波は、台座50の音孔54,凹部51の空気室、固定極板40の音孔41を経て振動板20の背面側に至る。
ここで、振動板20の背面側を実質的な後部音響端子とすれば、振動板20の前面側の前部音響端子との音響端子間距離には台座50の厚み分が含まれる。
振動板20の径を大きくして感度を高めつつ、音響端子間距離を短くするのに有効な要素は、上記したように、台座50の厚みを薄くすることであるが、このようにすると、台座50には空気室のための凹部51が形成されていることもあって、台座50が強度不足となり、固定極板40と台座50が音波によって振動し、指向周波数応答に大きな凹凸が発生し、音色が損なわれることがある。
そこで、本発明では、固定極板40と台座50とを機械的結合力にばらつきを生じさせることなく一体化する。
まず、台座50の凹部51,リブ壁52,突起部53は、例えば切削加工により形成されるが、切削加工では、リブ壁52の第1支持面52aと突起部53の第2支持面53aとを同一平面にまで加工することは困難である。
そこで、切削加工したのち、リブ壁52の第1支持面52aと突起部53の第2支持面53aとに、砥石による平面研削加工(研磨加工)を施して、図3(a)に示すように、第1,第2支持面52a,53aを同一平面に仕上げる。
その後、図3(b)に示すように、固定極板40の周縁部分をリブ壁52の第1支持面52aに、また、固定極板40の中央部分を突起部53の第2支持面53aに、それぞれ接着材を介して固定する。
これによれば、両支持面52a,53aが同一平面に揃えられていることから、固定極板40と台座50とに曲げ応力をかけることなく、また、接着材層を薄くかつ均一にして固定極板40と台座50と一体化することができる。接着材には、エポキシ系の接着材等の2液混合タイプの接着材が用いられてよい。
なお、第1,第2支持面52a,53aに接着材を塗布するには、図4に示すように、その塗布治具として、表面に微細な凹凸を有するポリエチレンテレフタレート等の離型性のよい材料からなるシート80を用いるとよい。
手順としては、まず、シート80に接着材Aを多めに塗布したのち、図示いないスキージで余剰の接着材Aを掻き取って凹部内に接着材Aを充填し、その凹部内の接着材Aを第1,第2支持面52a,53aに転写することが好ましい。これにれば、接着材Aを薄くかつ均一に塗布することができる。
1 コンデンサマイクロホンユニット
10 ユニットケース
11 前部音響端子
12 雌ネジ
20 振動板
21 ダイアフラムリング
30 スペーサリング
40 固定極板
50 台座
51 凹部(空気室)
52 リブ壁
52a 第1支持面
53 突起部
53a 第2支持面
60 ホルダ
70 ロックリング
80 シート(塗布治具)

Claims (2)

  1. ユニットケース内に、ダイアフラムリングに張設された振動板と、台座に支持された固定極板とをセパレータリングを介して対向的に配置してなる音響電気変換器が収納されているコンデンサマイクロホンユニットにおいて、
    上記台座は円盤体からなり、その周辺部分を残して上記固定極板との間に所定容積の空気室を形成する凹部と、上記固定極板の周縁部に対する第1支持面を有し上記円盤体の周辺部分に沿って環状に形成されたリブ壁と、上記固定極板のほぼ中央部分に対する第2支持面を有し上記円盤体と一体に上記凹部内に突設された突起部とを含み、
    上記リブ壁の第1支持面と上記突起部の第2支持面とが、平面研削により同一平面上に存在しており、上記固定極板が上記第1,第2支持面に対し接着材により固定されていることを特徴とするコンデンサマイクロホンユニット。
  2. 上記台座は金属材、セラミック材もしくは合成樹脂材からなることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサマイクロホンユニット。
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