JP2015012338A - 測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価できる測定装置を提供する。【解決手段】振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音を聞かせる電子機器100を評価するための測定装置10であって、人体の耳を模した耳型部50と、耳型部50に形成された人工外耳道53の周辺部に配置された複数の振動ピックアップ57a、57bと、を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、筐体に保持された振動体を人間の耳に押し当てることで、振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置に関するものである。
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者(ユーザ)に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が屈曲振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と骨導音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
ところで、特許文献1に記載のように、気導音と外耳の軟骨を介しての骨導音とを利用者に伝える電子機器を評価するには、振動体の振動によって人体の聴覚神経に作用する音圧と振動量とを近似的に測定する必要がある。ここで、振動量の測定法としては、以下の二つの測定法が知られている。
第1の測定法は、耳の後ろの乳突部を機械的に模擬した骨導振動子測定用の人工マストイドに、測定対象の振動体を押し当てて振動量を電圧として測定するものである。第2の測定法は、例えば圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップを、測定対象の振動体に押し当てて振動量を電圧として測定するものである。
しかしながら、上記第1の測定法により得られる測定電圧は、振動体を人体の耳の後ろの乳突部に押し当てたときの人体の特徴が機械的に重み付けされた電圧であって、振動体を人体の耳に押し当てたときの振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。また、上記第2の測定法により得られる測定電圧は、振動体の振動量を直接的に測定したものであって、同様に、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。そのため、従来の測定法により振動体の振動量を測定しても、気導音と外耳の軟骨を介して骨導音とを利用者に伝える電子機器を正しく評価することができないことになる。
本発明は、上述した観点に鑑みてなされたもので、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価できる測定装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明に係る測定装置は、振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音を聞かせる電子機器を評価するための測定装置であって、
人体の耳を模した耳型部と、該耳型部に形成された人工外耳道の周辺部に配置された複数の振動ピックアップと、を備える。
本発明によれば、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価することができる。
本発明に係る測定装置により測定可能な電子機器としての携帯電話の一例を示す図である。 本発明に係る測定装置により測定可能な電子機器としての補聴器の一例を示す図である。 図2の補聴器の振動体の側面図である。 図2の補聴器をユーザの耳に装着した状態を示す図である。 本発明に係る測定装置により測定可能な電子機器としての補聴器の他の例を示す図である。 図5の補聴器が耳珠に当接している部分を示す図である。 図5の補聴器の振動体の側面図である。 本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。 図8の振動検出部の構成を示す図である。 図8の振動測定ヘッドの構成を示す図である。 図8の測定装置の要部の機能構成を示すブロック図である。 図11の2つの振動ピックアップの出力のゲイン校正を説明するための振動測定ヘッドを示す図である。 図11の2つの振動ピックアップに対応する2つのイコライザのゲイン特性を模式的に示す図である。 本発明の第2実施の形態に係る測定装置の要部の概略構成を示す図である。 本発明の第3実施の形態に係る測定装置の要部の概略構成を示す図である。
先ず、本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明に係る測定装置により測定可能な電子機器について説明する。
測定可能な電子機器は、振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音を聞かせる全ての電子機器が対象となる。このような電子機器には、特許文献1に開示されている電話機等の音声コミュニケーション機器の他、公知の骨伝導タイプの補聴器等の聴覚補助装置やイヤーホーン等がある。また、以下に例示するような電子機器も測定対象として挙げられる。
図1に示す電子機器は、本出願人の提案に係るスマートフォン等の携帯電話101であり、矩形状の筐体102の表面に、人の耳よりも大きい矩形状のパネル103を有する。この携帯電話101は、パネル103を振動体として振動させて、パネル103がユーザの耳を覆うように押し当てられることにより、振動伝達によってユーザに音を伝えるものである。
図2に示す電子機器は、本発明者の提案に係る補聴器110であり、振動体111を備える。振動体111は、押付部材112aと、取付部113とを備える。押付部材112aは振動体111に取り付けられ、例えば振動体111がユーザの耳珠に接触する場合、耳珠に対向する外耳道の一部、例えば対耳珠近傍に接触させることにより、振動体111を耳珠に押し付ける。ここで、振動体111がユーザの耳に接触する位置は、例えば耳珠、対耳珠、耳甲介、耳介であってもよい。ここでは、ユーザの耳に接触する位置が耳珠(耳珠側の外耳道内壁)である例について説明する。
取付部113は、振動体111に押付部材112aを取り付けるための部材である。押付部材112aと取付部113は、互いに嵌合する形状である。好適には、押付部材112aは凹形状の切込部114aを有し、取付部113は、当該切込部114aと嵌合する凸形状である。押付部材112aは、幅方向にスライドして振動体111に着脱可能である。好適には、振動体111の大きさは、厚さ(D)が4mm、幅(W)が15mm以内である。この大きさの範囲内である場合、性別年齢を限らず(幼児以下は除く)、ユーザの耳の外耳道内に振動体111を収めることができる。また、好適には、押付部材112aは、3種類のサイズ(小サイズ、中サイズ、大サイズ)があり、ユーザの耳の大きさに合わせて押付部材112a、112b、112cのいずれかを選択して押付部材の取付部113に取り付けられる。
保持部120は、支持部121と、耳かけ部122と、本体部123とを備え、振動体111をユーザの耳に接触する位置(耳珠側の外耳道内壁)に保持する。支持部121の端部は振動体111に接続される。支持部121は中空構造であり、当該中空構造を通して振動体111へのリード処理が行われている。また支持部121は、振動体111の角度が変わらない程度の剛性を有する。支持部121の他端は、耳かけ部122の端部に接続される。
耳かけ部122は、ユーザの耳介の外側に当接し、補聴器110をユーザの耳に装着する。好適には、耳かけ部122はユーザの耳介に沿うフック形状をなし、これにより補聴器110はユーザの耳に安定的に装着される。耳かけ部122の他端は、本体部123に接続される。本体部123には、マイク部124、音量・音質調整インターフェース部、制御部等が内蔵される。
図3は、振動体111の側面図である。振動体111は、圧電素子115と、パネル116とを備える。圧電素子115は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または屈曲(湾曲)する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子115は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子で構成される。積層型圧電素子には、ユニモルフを積層した(たとえば16層または24層積層した)積層型ユニモルフ素子、またはバイモルフを積層した(例えば16層または24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると屈曲する。好適には、圧電素子115は、パネル116と接触する面(以下、主面という。)のサイズが、幅4.0mm、長さ17.5mmの板状である。
圧電素子115は、パネル116に接合部材により接合される。パネル116は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。好適にはパネル116の形状は板状である。接合部材は、圧電素子115の主面とパネル116の主面との間に設けられる。接合部材は、例えば非加熱型硬化性の接着材や両面テープが用いられる。また、圧電素子115のうち、パネル116との接合面以外はモールド117により覆われている。モールド117の上部には、押付部材112a及び押付部材の取付部113が備えられる。
好適には、パネル116の耳と接触する面(主面)は、圧電素子115の主面の面積の0.8倍から10倍の面積を有する。パネル116の主面が圧電素子115の主面の0.8倍から10倍の範囲の面積であれば、圧電素子115の伸縮または屈曲にあわせて変形でき、かつユーザの耳への接触面積が十分に確保できる。なお、パネル116の主面の面積は、圧電素子115の主面の面積の例えば0.8倍から5倍がより好適である。したがって、パネル116の主面のサイズは、例えば幅10mm、長さ18mmとなっている。
図4は、補聴器110をユーザの耳に装着した状態を示す図である。図4(a)は耳を正面から見た図であり、図4(b)は顔側から見た図である。補聴器110は、振動体111をユーザの耳の内側から、ユーザの耳珠や対耳珠に接触させ、振動を耳珠や対耳珠に伝達させることにより音をユーザに聞かせる。ここで振動体111を「ユーザの耳の内側から、ユーザの耳珠や対耳珠に接触させ」とは、耳の外耳道内に振動体111を埋入させた時に、外耳道入り口付近から耳珠や対耳珠に接触させることをいう。図4に示す例では、振動体111をユーザの耳の内側からユーザの耳珠に接触させている。またこのとき押付部材112aは、耳珠に対向する外耳道の一部に接触している。
また、図4(a)に示すように振動体111は、保持部120の自重、すなわち耳かけ部122の端部に接続された本体部123の自重により、支持部121を介して矢印a方向に引っ張られる。図4(b)に示すように、振動体111は耳珠に引っ掛かるように接触しているため、振動体111が矢印a方向に引っ張られると、振動体111にはユーザの耳に接触する方向(矢印b方向)の力が働く。つまり保持部120の自重により、振動体110をユーザの耳に接触させる方向の力(押付力)を生じさせる。このように保持部120は、振動体111に押付力を生じさせ、振動体111の振動による音の伝達をより確実にする。
好適には振動体111は、ユーザの耳に0.1Nから3Nの力で押圧される。振動体111が0.1Nから3Nの範囲で押圧される場合、振動体111による振動が耳に十分伝達される。また押圧が3N未満の小さい力であれば、補聴器110を長時間装着してもユーザの疲労感は少なく、装着時の快適性を維持することができる。
また、上述の補聴器110は、図4(a)に示すように、振動体111及び押付部材112aにより外耳道が密閉されていない。そのため補聴器110は、こもり感が生じず、装着時の快適性を維持することができる。
図5に示す電子機器は、本発明者の提案に係る図2と同様の補聴器130である。以下、図2に示した構成要素と同一構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。この補聴器130は、振動体111を、ユーザの耳の外側から該耳の例えば耳珠に接触させて使用されるものである。そのため、図2に示すように、保持部120を備えている。図6は、振動体111が耳珠に接触している部分を別の角度から示している。図6に示すように、振動体111は、突出している耳珠に接触させるため、耳珠に接触させる部位に、後述する凹部131が備えられることにより、耳珠を大きく潰さなくても、振動体111と耳珠との接触面積を十分に確保することができる。
図2及び図5に示すように、保持部120は、支持部121と、耳かけ部122と、本体部123とを備え、振動体111がユーザの耳に接触させる位置(耳珠)に振動体111を保持する。支持部121の端部は振動体111に接続される。支持部121は中空構造であり、当該中空構造を通して振動体111へのリード処理が行われている。また支持部121は、振動体111の角度が変わらない程度の剛性を有する。支持部121の他端は耳かけ部122の端部に接続される。
耳かけ部122は、ユーザの耳介の外側に当接し、補聴器130をユーザの耳に装着する。好適には、耳かけ部122はユーザの耳介に沿うフック形状をなし、補聴器130がユーザの耳に安定的に装着される。耳かけ部122の他端は本体部123に接続される。本体部123には、マイク部、音量・音質調整インターフェース部、制御部等が内蔵される。
図7は、振動体111の側面図である。上述したように振動体111は、圧電素子115と、パネル116とを備える。好適には図7に示すように圧電素子115は板状である。
圧電素子115はパネル116に、接合部材により接合される。接合部材は、圧電素子115の主面とパネル116の主面との間に設けられる。接合部材は、非加熱型硬化性の接着材、または両面テープが用いられる。圧電素子115のうち、パネル116との接合面以外はモールド117により覆われる。
パネル116の主面は、凹部131を備える。凹部131はパネル116の中央部分をくぼませた部位である。ここで耳珠は突出しているため、平面を接触させた場合は、耳珠を大きく押し潰すことにより接触面積を得る必要がある。しかし、図5の補聴器130は、凹部131を備えており、凹部131が耳珠に接触されるため、耳珠を大きく押し潰さずに接触面積を得ることができる。耳珠を大きく押し潰す必要がないため、保持部120は簡易な構造でよく、また耳珠が大きく押し潰されないため補聴器1を装着するユーザの快適性も維持することができる。
振動体111のパネル116は、ユーザの耳に0.1Nから3Nの力で押圧される。パネル116が0.1Nから3Nの範囲で押圧される場合、パネル116による振動が耳に十分伝達される。また押圧が3N未満の小さい力であれば、補聴器130を長時間装着してもユーザの疲労感は少なく、装着時の快適性を維持することができる。
好適にはパネル116の凹部131のうち、ユーザの耳(例えば耳珠)に接触する部位と接触しない部位とを有する。パネル116のうち、ユーザの耳に接触しない部位があることにより、当該部位から気導音を発生させることもできる場合がある。
好適にはパネル116の主面は、圧電素子115の主面の面積の0.8倍から10倍の面積を有する。パネル116の主面が圧電素子115の主面の0.8倍から10倍の範囲の面積であれば、圧電素子115の伸縮または屈曲にあわせて変形でき、かつユーザの耳への接触面積が十分に確保できる。なお、パネル116の主面の面積は、圧電素子115の主面の面積の例えば0.8倍から5倍がより好適である。
図2及び図5に示した補聴器の他、人体の耳の一部だけに対して振動を伝達させるような突起や角部を有する電子機器も測定対象となり得る。
以下、本発明に係る測定装置の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図8は、本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定装置10は、電子機器装着部20と測定部200とを備える。測定装置10は、電子機器装着部20と測定部200とが一体的に構成されてもよいし、電子機器装着部20と測定部200とが分離されて適宜接続される測定システムとして構成されてもよい。電子機器装着部20は、基台30に支持された振動測定ヘッド40と、測定対象の電子機器100を保持する保持部70とを備える。保持部70は、電子機器100として、特許文献1に開示された電話機や図1の携帯電話101等を着脱自在に保持する。先ず、振動測定ヘッド40について説明する。
振動測定ヘッド40は、耳型部50と、振動検出部55とを備える。耳型部50は、人体の耳を模したもので、耳模型51と、該耳模型51に結合された人工外耳道部52とを備える。図8の耳型部50は、人の右耳に対応している。人工外耳道部52には、中央部に人工外耳道53が形成されている。人工外耳道53は、直径5mmから18mm、好ましくは人の外耳孔の平均的な直径である7mm〜8mmの孔径で形成される。耳型部50は、人工外耳道部52の周縁部において、支持部材54を介して基台30に着脱自在に支持される。
耳型部50は、例えば人体模型のHATS(Head And Torso Simulator)やKEMAR(ノウルズ社の音響研究用の電子マネキン名)等に使用される平均的な耳模型の素材と同様の素材、例えば、IEC60318−7に準拠した素材からなる。この素材は、例えば硬度35から55のゴム等の素材で形成することができる。なお、ゴムの硬さは、例えばJIS K 6253やISO 48 などに準拠した国際ゴム硬さ(IRHD・M 法)に準拠して測定されるとよい。また、硬さ測定装置としては、株式会社テクロック社製 全自動タイプIRHD・M法マイクロサイズ 国際ゴム硬さ計GS680が好適に使用される。なお、耳型部50は、年齢による耳の硬さのばらつきを考慮して、大まかに、2から3種類程度、硬さの異なるものを準備し、これらを付け替えて使用するとよい。各人種、即ち、例えば黄色人種、白人、黒人等のそれぞれの耳の硬さの統計データに基づいて作製してもよい。
人工外耳道部52の厚さ、つまり人工外耳道53の長さは、人の鼓膜(蝸牛)までの長さに相当するもので、例えば5mmから50mm、好ましくは8mmから30mmの範囲で適宜設定される。本実施の形態では、人工外耳道53の長さを、ほぼ30mmとしている。このように人口外耳道53を備える場合、人間の外耳道内壁からの気導音の発生を再現できるので好ましい。
振動検出部55は、図9(a)に平面図を、図9(b)に正面図をそれぞれ示すように、振動伝達部56と、複数(ここでは2個)の振動ピックアップ57a、57bとを備える。振動伝達部56は、人工外耳道53の孔径とほぼ同径、例えば直径8mmの孔58aを有する板状の振動伝達部材58を備える。
振動伝達部材58は、振動伝達効率の良好な素材、例えば、鉄、SUS、真鍮、アルミニウム、チタン等の金属や合金、あるいはプラスチック等が使用可能であるが、検出感度の点では軽量な素材で構成するのが好ましい。また、振動伝達部材58は、角形平ワッシャーのような外形が矩形状であってもよいが、耳型部50の変位量は人工外耳道53の周辺部で大きいことから、丸形平ワッシャーのようなリング形状が好ましい。なお、リング形状の外形は、例えば、孔58aの直径に、6mmから12mmを加えた、つまり孔58aの径方向両側のリングの幅を5mm程度として形成することができる。また、振動伝達部材58の厚さは、素材の強度等に応じて適宜設定される。
振動ピックアップ57a、57bは、測定対象の電子機器の測定周波数範囲(例えば、0.1kHz〜30kHz)においてフラットな出力特性を有し、小型軽量で微細な振動でも正確に計測できるものが好ましい。このような振動ピックアップとしては、例えば、圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップ、例えばリオン社製の振動ピックアップPV−08A等が使用可能である。振動ピックアップ57a、57bは、振動伝達部材58の一方の面上で、好ましくは振動伝達部材58の孔58aに関して対称な位置に、グリス等、あるいはアロンアルファ(登録商標)のような瞬間接着剤等の接合部材を介して振動伝達部材58に結合される。
図10(a)に振動測定ヘッド40を基台30側から見た平面図を、図10(b)に図10(a)のb−b線断面図をそれぞれ示すように、振動伝達部材58は、孔58aが人工外耳道53に連通するように、振動ピックアップ57a、57bが装着された面とは反対側の面が、人工外耳道部52の耳模型51側とは反対側の端面に接着される。好ましくは、振動伝達部材58は、一方の振動ピックアップ57aが耳模型51の耳珠に対応する位置に配置され、他方の振動ピックアップ57bが人口外耳道53を挟んで逆側に対応する位置に配置されるように、人工外耳道部52に結合される。振動ピックアップ57a、57bは、測定部200に接続される。
さらに、振動測定ヘッド40は、人工外耳道53を経て伝播される音の音圧を測定するための音圧測定部60を備える。音圧測定部60は、測定対象の電子機器の振動体を人体の耳に押し当てた際に、振動体の振動により空気が振動して直接鼓膜を経由して聴く気導成分に相当する音圧、及び、振動体の振動により外耳道内部が振動して耳自体で発生した音を鼓膜経由で聴く気導成分に相当する音圧を測定する。音圧測定部60は、図10(a)、(b)に示すように、人工外耳道53の外壁(穴の周壁)から振動検出部55の振動伝達部材58の孔58aを通して延在するチューブ部材61と、該チューブ部材61に保持されたマイクロフォン62とを備える。
マイクロフォン62は、例えば、電子機器の測定周波数範囲においてフラットな出力特性を有し、自己雑音レベルの低い計測用コンデンサマイクからなる。このようなマイクロフォン62は、例えばリオン社製のコンデンサマイクロフォンUC−53A等が使用可能である。マイクロフォン62は、音圧検出面が人工外耳道部52の端面にほぼ一致するように配置される。なお、マイクロフォン62は、例えば、人工外耳道部52や基台30に支持して、人工外耳道53の外壁からフローティング状態で配置してもよい。マイクロフォン62は、測定部200に接続される。なお、図10(a)において、人工外耳道部52は矩形状を成しているが、人工外耳道部52は任意の形状とすることができる。
次に、図8の保持部70について説明する。測定対象の電子機器100が、図1に示したようなスマートフォン等の平面視で矩形状を成す携帯電話の場合、人が当該携帯電話を片手で保持して自身の耳に押し当てようとすると、通常、携帯電話の両側面部を手で支持することになる。また、耳に対する携帯電話の押圧力や接触姿勢は、人(利用者)によって異なったり、使用中に変動したりする。保持部70は、このような携帯電話の使用態様を考慮して電子機器100を保持する。
そのため、保持部70は、電子機器100の両側面部を支持する支持部71を備える。支持部71は、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向に、y軸と平行な軸y1を中心に回動調整可能にアーム部72の一端部に取り付けられている。アーム部72の他端部は、基台30に設けられた移動調整部73に結合されている。移動調整部73は、アーム部72を、y軸と直交するx軸と平行な方向で、支持部71に支持される電子機器100の上下方向x1と、y軸及びx軸と直交するz軸と平行な方向で、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向z1とに移動調整可能に構成されている。
これにより、支持部71に支持された電子機器100は、軸y1を中心に支持部71を回動調整することで、又は、アーム部72をz1方向に移動調整することで、振動体(パネル102)の耳型部50に対する押圧力が調整される。本実施の形態では、0Nから10Nの範囲、好ましくは3Nから8Nの範囲で押圧力が調整される。
ここで、0Nから10Nの範囲は、人間が電子機器を耳に押し当てて通話等の使用をするに想定される押し当て力よりも十分な広い範囲での測定を可能とすることを目的としている。なお、0Nの場合として、例えば耳型部50に接触しているが押し当てていない場合のみならず、耳型部50から1mmから1cmきざみで離間させて保持でき、それぞれの離間距離において測定ができるようにしてもよい。これにより、気道音の距離による減衰の度合いもマイクロフォン62による測定により可能となり、測定装置としての利便性が向上する。また、3Nから8Nの範囲は、通常、健聴者が従来型のスピーカを用いて通話をする際に耳に押し当てる平均的な力の範囲を想定している。人種、性別により差があるかもしれないが、要は従来型のスピーカを搭載したスマートフォンや従来型携帯電話等の電子機器において、通常、ユーザが押し付ける程度の押圧力において振動音や気道音を測定できることが好ましい。
また、アーム部72をx1方向に移動調整することで、耳型部50に対する電子機器100の接触姿勢が、例えば、振動体の一例であるパネル102が耳型部50のほぼ全体を覆う姿勢や、図1に示されるように、パネル102が耳型部50の一部を覆う姿勢に調整される。なお、アーム部72を、y軸と平行な方向に移動調整可能に構成したり、x軸やz軸と平行な軸回りに回動調整可能に構成したりして、耳型部50に対して電子機器100を種々の接触姿勢に調整可能に構成してもよい。
なお、測定対象が図2や図5に示したような人体の耳の一部だけに対して振動を伝える電子機器の場合、測定対象は保持部70に保持されることなく、耳型部50に直接保持される。この場合、振動測定ヘッド40は、耳型部50が、人が直立した状態と同じ状態となるように基台30に保持されるとよい。
次に、図8の測定部200について説明する。図11は、本実施の形態に係る測定装置10の要部の機能構成を示すブロック図である。測定部200は、感度調整部300、信号処理部400及びPC(パーソナルコンピュータ)500を備える。
振動ピックアップ57a、57b及びマイクロフォン62の出力は、感度調整部300に供給される。感度調整部300は、振動ピックアップ57a、57bの出力の振幅をそれぞれ調整する可変利得増幅回路301a、301bと、マイクロフォン62の出力の振幅を調整する可変利得増幅回路302とを備える。可変利得増幅回路301a、301b、302は、それぞれの回路に対応するアナログの入力信号の振幅を、手動又は自動により所要の振幅に独立して調整する。これにより、振動ピックアップ57a、57bの感度及びマイクロフォン62の感度の誤差を補正する。なお、可変利得増幅回路301a、301b、302は、入力信号の振幅を例えば±50dBの範囲で調整可能に構成される。
感度調整部300の出力は、信号処理部400に供給される。信号処理部400は、A/D変換部410、周波数特性調整部420、位相調整部430、出力合成部440、周波数解析部450、記憶部460、音響信号出力部480及び信号処理制御部470を備える。A/D変換部410は、可変利得増幅回路301a、301bのそれぞれの出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路(A/D)411a、411bと、可変利得増幅回路302の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路(A/D)412とを備える。なお、A/D変換回路411a、411b、412は、例えば16ビット以上、ダイナミックレンジ換算で96dB以上に対応できる。
A/D変換部410の出力は、周波数特性調整部420に供給される。周波数特性調整部420は、A/D変換回路411a、411bの出力である振動ピックアップ57a、57bによる検出信号の周波数特性をそれぞれ調整するイコライザ(EQ)421a、421bと、A/D変換回路412の出力であるマイクロフォン62による検出信号の周波数特性を調整するイコライザ(EQ)422と、イコライザ421a、421bの出力を合成する振動出力合成部である合成回路423とを備える。イコライザ421a、421b、422は、それぞれの入力信号の周波数特性を、手動又は自動により人体の聴感に近い周波数特性に独立して調整する。なお、イコライザ421a、421b、422は、例えば複数バンドのグラフィカルイコライザ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等から構成される。
周波数特性調整部420の出力は、位相調整部430に供給される。位相調整部430は、合成回路423の出力である振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号の位相を調整する可変遅延回路431を備える。すなわち、耳型部50の材質を伝わる音速と人体の肉や骨を伝わる音速とは全く同じではないので、振動ピックアップ57a、57bの合成出力とマイクロフォン62の出力との位相関係が、特に高い周波数で人体の耳とのずれが大きくなることが想定される。
このように、振動ピックアップ57a、57bの合成出力とマイクロフォン62の出力との位相関係が大きくずれると、後述する出力合成部440での両出力の合成時に、実際とは異なるタイミングにおいて振幅のピークやディップが現れたり、合成出力が増減したりする場合がある。そのため、本実施の形態では、測定対象の電子機器100の測定周波数範囲に応じて、合成回路423の出力である振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号の位相を、可変遅延回路431により所定の範囲で調整可能としている。
例えば、測定周波数範囲が100Hz〜10kHzの場合、可変遅延回路431により±10ms(±100Hz相当)程度の範囲で、少なくとも0.1ms(10kHz相当)より小さい単位、例えば0.04μs単位で振動ピックアップ57による検出信号の位相を調整する。なお、人体の耳の場合でも、骨導音(振動伝達成分)と気導音(気導成分)との位相ずれは生じるので、可変遅延回路431による位相調整は、振動ピックアップ57a、57b及びマイクロフォン62の両者の検出信号の位相を合わせるという意味ではなく、両者の位相を耳による実際の聴感に合わせるという意味である。
位相調整部430の出力は、出力合成部440及び信号処理制御部470に供給される。出力合成部440は、可変遅延回路431により位相調整された振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号と、位相調整部430を通過したマイクロフォン62による検出信号とを合成する。これにより、測定対象の電子機器100の振動によって伝わる振動量と音圧、つまり振動伝達成分と気導成分とが合成された体感音圧を人体に近似させて得ることが可能となる。
出力合成部440の合成出力は、周波数解析部450及び信号処理制御部470に供給される。周波数解析部450は、出力合成部440からの合成出力を周波数解析するFFT(高速フーリエ変換)451を備える。これにより、FFT451から、振動伝達成分と気導成分とが合成された体感音圧に相当するパワースペクトルデータが得られる。
さらに、周波数解析部450は、出力合成部440で合成される前の信号、すなわち、位相調整部430を経た振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号とマイクロフォン62による検出信号とをそれぞれ周波数解析するFFT452,453を備える。これにより、FFT452から振動伝達成分に相当するパワースペクトルデータが得られ、FFT453から気導成分に相当するパワースペクトルデータが得られる。
なお、FFT451〜453は、電子機器100の測定周波数範囲に応じて周波数成分(パワースペクトル)の解析ポイントが設定される。例えば、電子機器100の測定周波数範囲が100Hz〜10kHzの場合は、測定周波数範囲の対数グラフにおける間隔を100〜2000等分した各ポイントの周波数成分を解析するように設定される。
FFT451〜453の出力は、記憶部460に記憶される。記憶部460は、FFT451〜453による解析データ(パワースペクトルデータ)をそれぞれ複数保持できるダブルバッファ以上の容量を有する。記憶部460は、後述するPC500からのデータ送信要求タイミングで、常に最新データを送信できるように構成することができる。なお、リアルタイムで解析を要するのでなければ、必ずしもダブルバッファ構成でなくともよい。
音響信号出力部480は、ヘッドホン等の外部接続機器が着脱自在に接続可能に構成される。音響信号出力部480には、信号処理制御部470により、出力合成部440に入力される振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号、マイクロフォン62による検出信号、又はそれらの出力合成部440での合成信号のいずれかが選択されて供給される。音響信号出力部480は、入力されるデータの周波数特性をイコライザ等により適宜調整した後、アナログの音響信号にD/A変換して出力する。
信号処理制御部470は、例えば、USB,RS−232C,SCSI、PCカード等のインターフェース用の接続ケーブル510を介してPC500に接続される。信号処理制御部470は、PC500からのコマンドに基づいて、信号処理部400の各部の動作を制御する。また、信号処理制御部470は、PC500からのコマンドに基づいて、位相調整部430で位相調整された振動ピックアップ57a、57bによる合成検出信号、マイクロフォン62による検出信号、出力合成部440の合成出力、記憶部460に記憶されたFFT451〜453による解析データをPC500に送信する。なお、感度調整部300及び信号処理部400は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって構成したりすることができる。また、感度調整部300は、アナログ処理に限らず、A/D変換部410と周波数特性調整部420との間に接続してデジタル処理により感度を調整するように構成してもよい。尚、信号処理制御部470や記憶部460が行う機能をPC500に持たせてもよいことはいうまでもない。
PC500は、メモリ501、試験信号生成部502、出力調整部503等を有する。メモリ501は、測定装置10による電子機器の評価アプリケーションや試験信号等の各種のデータ等を格納するもので、内蔵メモリであってもよいし、外部メモリであってもよい。評価アプリケーションは、例えば、CD−ROMやネットワーク等を介してメモリ501にダウンロードされる。試験信号は、例えば所要のWAVファイル(音声データ)として記憶され、選択的に読み出される。WAVファイルは、例えば、記録媒体又はネットワークを介してダウンロードされて記憶される。
PC500は、例えば、評価アプリケーションに基づくアプリケーション画面を表示部520に表示する。また、該アプリケーション画面を介して入力される情報に基づいて信号処理部400にコマンドを送信する。また、PC500は、信号処理部400からのコマンド応答やデータを受信し、受信したデータに基づいて所定の処理を施して、アプリケーション画面に測定結果を表示して測定対象を評価する。
試験信号生成部502は、好ましくは、所望の単一周波数のサイン波信号(純音)、所定の周波数範囲に亘って周波数が低周波数から高周波数へ又は高周波数から低周波数へ順次変化する純音スイープ信号(純音スイープ)、周波数の異なる複数のサイン波信号からなるマルチサイン波信号(マルチサイン)を選択的に生成して出力可能に構成される。なお、純音スイープにおける所定の周波数範囲は、可聴周波数範囲で適宜設定可能とする。また、純音スイープにおける順次の周波数における振幅は、好ましくは同一とする。マルチサインについても、それぞれのサイン波の振幅は、好ましくは同一とする。
出力調整部503は、メモリ501又は試験信号生成部502から出力される試験信号を、測定対象の電子機器100の外部入力の信号形式に応じて、例えばアナログ信号に変換する等の所定の信号形式に変換して、USB等のインターフェース用の接続ケーブル511を介して電子機器100の外部入力端子105に供給する。なお、試験信号出力部502から出力される試験信号は、電子機器100が携帯電話の場合、3GPP2(3GPP TS26.131/132)やVoLTE等の規格に則った信号からなっていてもよい。
次に、2つの振動ピックアップ57a、57bの出力のゲイン校正について説明する。図12(a)及び(b)は、人が直立した状態と同じ状態で振動測定ヘッド40を耳模型51側から見た正面図及び背面図である。図12(a)及び(b)において、人工外耳道53を含む周囲の領域を9等分に分割し、人工外耳道53を除く周囲の領域をA1〜A8と便宜上定義する。また、振動ピックアップ57aは、振動伝達部材58の領域A8に配置され、振動ピックアップ57bは、振動伝達部材58の領域A1に配置されているものとする。
かかる構成において、例えば図2や図5に示したような補聴器のように、耳介の一部分にのみ接触して振動を加えるような振動体を有する電子機器を評価する場合、振動体が、ハッチングを施して示す当て付け領域P1に当て付けられた場合と、当て付け領域P2に当て付けられた場合とでは、聴感上の違いはほとんど無い可能性がある。なお、当て付け領域P1は、振動ピックアップ57a、57bが設置された領域A8、A1のほぼ中間領域で、領域A3と領域A5とに跨る領域である。また、当て付け領域P2は、振動ピックアップ57aが設置された領域A8と、領域A8に隣接する領域A5とに跨る領域である。
しかしながら、本発明者による実験によると、当て付け領域P2は、振動ピックアップ57aの直上に位置するため、振動ピックアップ57aに伝わる振動成分のほうが、振動ピックアップ57bに伝わる振動成分よりも大きくなる傾向があることがわかった。その要因は、耳型部50や振動伝達部材58によって振動が完全には平均化されないことによるものと想定される。そのため、1個の振動ピックアップ57a又は57bの出力のみで測定対象を評価しようとすると、当て付け領域によっては測定結果と実際の聴感とにズレが生じて測定対象を正しく評価できない場合が想定される。なお、図1に示したような、振動体が人工外耳道53の周囲を覆うような使用態様の電子機器の場合は、平均化された振動が伝達されるので、1個の振動ピックアップ57a又は57bで振動を検出しても、実際の聴感とのズレは殆ど生じないと想定される。したがって、1個の振動ピックアップ57a又は57bの出力のみで測定対象を評価しても、評価対象を正しく評価することが可能である。
そこで、本実施の形態に係る測定装置10は、同一の振動体を、当て付け位置P1に当て付けて純音スイープ信号で振動させた場合と、当て付け位置P2に当て付けて純音スイープ信号で振動させた場合とで、合成回路423の出力が各周波数でほぼ同じになるように、イコライザ421a、421bのゲインが校正される。図13は、校正後のイコライザ421a、421bのゲイン特性を模式的に示す図である。図13において、横軸は周波数(Hz)を示し、縦軸はゲイン(dB)を示す。また、Gaはイコライザ421aのゲイン特性を示し、Gbはイコライザ421bのゲイン特性を示す。
これにより、本実施の形態に係る測定装置10によると、図2、図5に例示したような耳介の一部分にのみ接触して振動を伝える振動体を有する電子機器を、耳模型51の耳介の任意の部位に接触させて振動させることにより、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を正しく測定でき、測定対象を正しく評価することができる。もちろん、図1に例示したような耳介を覆うように接触させて振動を伝える振動体を有する電子機器についても、同様に、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされた振動量を正しく測定でき、測定対象を正しく評価することができる。また、2個の振動ピックアップ57a、57bの出力を合成するので、振動検出信号のS/Nの向上も図れる。
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態に係る測定装置は、第1実施の形態に係る測定装置10において、振動検出部55の構成が異なるものである。すなわち、図14に示すように、振動検出部55は、2個の振動伝達部材58a、58bを備える。2個の振動伝達部材58a、58bは、図9(a)及び(b)に示したリング形状の振動伝達部材58を2分割した形状からなる。振動伝達部材58aには、円弧状の中央部に振動ピックアップ57aが装着される。また、振動伝達部材58bには、円弧状の中央部に振動ピックアップ57bが装着される。振動伝達部材58a、58bは、第1実施の形態の場合と同様に、人工外耳道部52の耳模型51側とは反対側の端面に、好ましくは、一方の振動ピックアップ57aが耳模型51の耳珠に対応する位置に、他方の振動ピックアップ57bが対耳珠に対応する位置にそれぞれ配置されるように、結合される。
本実施の形態によれば、振動ピックアップ57a、57bが、互いに分離された振動伝達部材58a、58bに装着されるので、振動伝達部材58aに伝達された振動波が振動伝達部材58bに影響を及ぼすことがない。同様に、振動伝達部材58bに伝達された振動波が振動伝達部材58aに影響を及ぼすことがない。したがって、振動ピックアップ57a、57bで検出される振動が相互に干渉することがないので、振動をより高精度で検出することが可能となる。
(第3実施の形態)
図15は、本発明の第3実施の形態に係る測定装置の電子機器装着部の概略構成を示す図である。図15に示す電子機器装着部600は、人体の頭部模型610と、測定対象の電子機器100を保持する保持部620とを備える。頭部模型610は、例えばHATSやKEMAR等からなる。頭部模型610の左右の人工耳630L、630Rは、頭部模型610に対して着脱自在である。人工耳630L、630Rは、それぞれ第1実施の形態又は第2実施の形態で説明した振動測定ヘッドを構成し、同一の測定部に選択的に接続されるか、あるいは別々の測定部に接続される。
保持部620は、頭部模型610に着脱自在に取り付けられるもので、頭部模型610への頭部固定部621と、測定対象の電子機器100を支持する支持部622と、頭部固定部621及び支持部622を連結する多関節アーム部623と、を備える。保持部620は、多関節アーム部623を介して、支持部622に支持された電子機器100の一方の人工耳(図15では、右側の人工耳)630Rに対する押圧力及び接触姿勢を、第1実施の形態の保持部70と同様に調整可能に構成されている。なお、測定対象が図2や図5に示したような人体の耳の一部だけに対して振動を伝える電子機器の場合、測定対象は支持部622に支持されることなく、人工耳630L又は630Rに直接保持される。その他の測定部等の構成は、第1実施の形態と同様である。
本実施の形態に係る測定装置によると、第1実施の形態の測定装置10と同様の効果が得られる。特に、本実施の形態では、人体の頭部模型610に、振動測定ヘッドを構成する人工耳630を着脱自在に装着して電子機器を評価するので、頭部の影響が考慮された実際の使用態様により即した評価が可能となる。
以上、本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各部材等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段や部材等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、振動ピックアップは、2つに限らず3つ以上を同一の振動伝達部材上に、或いはそれぞれ独立した振動伝達部材上に設けてもよい。また、複数の振動ピックアップの出力は、合成した後にイコライザにより周波数ごとのゲインを調整するようにしてもよい。また、振動ピックアップは、振動伝達部材を介することなく人工外耳道の周囲に直接装着してもよい。
10 測定装置
50 耳型部
51 耳模型
52 人工外耳道部
53 人工外耳道
56 振動伝達部
57a、57b 振動ピックアップ
58、58a、58b 振動伝達部材
58a 孔
61 チューブ部材
62 マイクロフォン
100 電子機器
101 携帯電話
103 パネル(振動体)
110、130 補聴器
111 振動体
420 周波数特性調整部
423 合成回路(振動出力合成部)

Claims (14)

  1. 振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音を聞かせる電子機器を評価するための測定装置であって、
    人体の耳を模した耳型部と、該耳型部に形成された人工外耳道の周辺部に配置された複数の振動ピックアップと、を備える測定装置。
  2. 前記耳型部は、人工外耳道部と、該人工外耳道部に結合された耳模型と、前記人工外耳道部に結合された振動伝達部とを備え、
    前記人工外耳道部に前記人工外耳道が形成され、前記振動伝達部に前記複数の振動ピックアップが装着されている、請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記振動伝達部は、前記人工外耳道に連通する孔を有する振動伝達部材からなる、請求項2に記載の測定装置。
  4. 前記孔は、5mmから18mmの直径を有する、請求項3に記載の測定装置。
  5. 前記振動伝達部材は、前記孔の直径に、6mmから12mmを加えた外径を有するリング形状からなる、請求項4に記載の測定装置。
  6. 前記振動伝達部は、前記人工外耳道の周辺部に結合された複数の振動伝達部材を備え、該複数の振動伝達部材の各々に前記振動ピックアップが装着されている、請求項2に記載の測定装置。
  7. 前記複数の振動ピックアップは、前記人工外耳道に関して対称に配置された2個の振動ピックアップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置。
  8. 前記複数の振動ピックアップの出力を合成する振動出力合成部をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置。
  9. 前記複数の振動ピックアップの各々の出力の周波数特性を調整可能な複数の周波数特性調整部をさらに備え、前記振動出力合成部は前記複数の周波数特性調整部の出力を合成する、請求項8に記載の測定装置。
  10. 前記耳型部は、前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を測定するマイクロフォンをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の測定装置。
  11. 前記マイクロフォンは、前記人工外耳道の外壁から延在するチューブ部材に保持されている、請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記マイクロフォンは、前記人工外耳道の外壁からフローティング状態で配置されている、請求項10に記載の測定装置。
  13. 前記人工外耳道は、8mmから30mmの長さを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の測定装置。
  14. 前記耳型部は、IEC60318−7に準拠した素材からなる部位を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定装置。
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