JP5474138B2 - 測定システム及び測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、筐体に保持された振動体を人間の耳に押し当てることで、振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定システム及び測定方法に関するものである。
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者(ユーザ)に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と骨導音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
ところで、発明者らは、上記特許文献1に記載された電話機とは異なり、携帯電話の表面に配置された表示パネルや保護パネル等のパネルを振動させることにより発生する気導音と、振動するパネルを人間の耳に当てた時に伝わる振動伝達による音成分である振動音とを用いて音を伝える携帯電話を開発している。そして発明者は、特許文献1のような電話機や発明者らが開発を行っている携帯電話等の振動により何らかの音を伝える電子機器を適切に評価するには、振動体の振動によって人体に音圧と振動量とが合成された体感音圧がどれだけ伝わるかを可能な限り人体に近似させて測定することが好ましいことに思い至った。
しかし、従来、振動体の振動によって人体に伝わる音圧と振動量、つまり気導音と骨導音とが合成された体感音圧を測定可能な測定法は提案されていない。なお、一般に振動量の測定法としては、以下の二つの測定法が知られている。第1の測定法は、耳の後ろの乳突部を機械的に模擬した骨導振動子測定用の人工マストイドに、測定対象の振動体を押し当てて振動量を電圧として測定するものである。第2の測定法は、例えば圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップを、測定対象の振動体に押し当てて振動量を電圧として測定するものである。
しかしながら、上記第1の測定法により得られる測定電圧は、振動体を人体の耳の後ろの乳突部に押し当てたときの人体の特徴が機械的に重み付けされた電圧であって、振動体を人体の耳に押し当てたときの振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。また、上記第2の測定法により得られる測定電圧は、振動体の振動量を振動する物体から直接的に測定したものであって、同様に、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。そのため、従来の測定法により振動体の振動量を測定しても、電子機器が人体に伝える振動量を正しく評価することができないことになる。
本発明は、上述した観点に鑑みてなされたもので、振動体の振動によって人体に伝わる振動量と音圧とが合成された体感音圧を人体に近似させて測定できる測定システム及び測定方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明に係る測定システムの発明は、筐体に保持された振動体を人体の耳に押し当てて、前記振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定システムであって、
人体の耳を模した耳型部と、
該耳型部に形成された人工外耳道の周辺部に配置された振動検出部と、
前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を測定するための音圧測定部と、
前記振動検出部の出力の位相及び前記音圧測定部の出力の位相を相対的に調整可能な位相調整部と、を備える。
前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力及び前記音圧測定部の出力を合成する出力合成部をさらに備えてもよい。
前記位相調整部は、前記振動検出部の出力の位相を調整してもよい。
前記振動検出部及び前記音圧測定部の感度を調整可能な感度調整部をさらに備えてもよい。
前記振動検出部の出力の周波数特性及び前記音圧測定部の出力の周波数特性を調整可能な周波数特性調整部をさらに備えてもよい。
前記出力合成部の合成出力波形を表示する表示部をさらに備えてもよい。
前記表示部は、前記出力合成部の合成出力波形、前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力波形又は前記音圧測定部の出力波形を選択的に表示可能であってもよい。
前記出力合成部の合成出力を外部接続機器に供給する音響信号出力部をさらに備えてもよい。
人体の頭部模型をさらに備え、前記耳型部は、前記頭部模型を構成する人工耳として、当該頭部模型に着脱自在であってもよい。
前記耳型部は、耳模型と、該耳模型に結合された人工外耳道部とを備え、
前記人工外耳道部に前記人工外耳道が形成されていてもよい。
前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有してもよい。
前記電子機器を保持する保持部をさらに備えてもよい。
前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備えてもよい。
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に移動調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に回動調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記耳型部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能であってもよい。
前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含んでもよい。
前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含んでもよい。
前記耳型部は、IEC60318‐7に準拠した素材からなってもよい。
前記振動検出部は、前記人工外耳道の周辺部に配置された複数個の振動検出素子を備えてもよい。
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁から延在するチューブ部材に保持されたマイクを備えてもよい。
前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁からフローティング状態で配置されたマイクを備えてもよい。
さらに、上記目的を達成する本発明に係る測定方法の発明は、筐体に保持された振動体を人体の耳に押し当てて、前記振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するにあたり、
人体の耳を模した耳型部に前記振動体を押し当て、該振動体の振動により前記耳型部に形成された人工外耳道の周辺部を伝達する振動を振動検出部により検出すると共に、前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を音圧測定部により測定するステップと、
前記振動検出部の出力の位相及び前記音圧測定部の出力の位相を位相調整部により相対的に調整するステップと、を含む。
前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力及び前記音圧測定部の出力を出力合成部により合成するステップ、をさらに含んでもよい。
本発明によれば、振動体の振動によって人体に伝わる振動量と音圧とが合成された体感音圧を人体に近似させて測定できるシステム及び測定方法を提供することが可能となる。
本発明の第1実施の形態に係る測定システムの概略構成を示す図である。 測定対象の電子機器の一例を示す平面図である。 図1の耳型部の部分詳細図である。 図1の測定部の要部の構成を示す機能ブロック図である。 図4の振動検出素子の出力とマイクの出力との位相関係を説明するための図である。 図1の測定システムによるアプリケーション画面及び測定結果の一例を示す図である。 本発明の第2実施の形態に係る測定システムの要部の概略構成を示す図である。 図7の測定システムの部分詳細図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る測定システムの概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定システム10は、電子機器装着部20と、測定部200とを備える。電子機器装着部20は、基台30に支持された耳型部50と、測定対象の電子機器100を保持する保持部70とを備える。なお、以下の説明において、電子機器100は、図2に平面図を示すように、矩形状の筐体101の表面に、人の耳よりも大きい矩形状のパネル102を有するスマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものとする。先ず、電子機器装着部20の構成について説明する。
耳型部50は、人体の耳を模したもので、耳模型51と、該耳模型51に結合された人工外耳道部52とを備える。人工外耳道部52は、耳模型51を覆う大きさを有し、中央部に人工外耳道53が形成されている。耳型部50は、人工外耳道部52の周縁部において、支持部材54を介して基台30に支持されている。
耳型部50は、例えば人体模型のHATS(Head And Torso Simulator)やKEMAR(ノウルズ社の音響研究用の電子マネキン名)等に使用される平均的な耳模型の素材と同様の素材、例えば、IEC60318‐7に準拠した素材からなる。この素材は、例えば硬度35から55のゴム等の素材で形成することができる。なお、ゴムの硬さは、例えばJIS K 6253やISO 48 などに準拠した国際ゴム硬さ(IRHD・M 法)に準拠して測定されるとよい。また、硬さ測定システムとしては、株式会社テクロック社製 全自動タイプIRHD・M法マイクロサイズ 国際ゴム硬さ計GS680が好適に使用される。なお、耳型部50は、年齢による耳の硬さのばらつきを考慮して、大まかに、2から3種類程度、硬さの異なるものを準備し、これらを付け替えて使用するとよい。
人工外耳道部52の厚さ、つまり人工外耳道53の長さは、人の鼓膜(蝸牛)までの長さに相当するもので、例えば20mmから40mmの範囲で適宜設定される。本実施の形態では、人工外耳道53の長さを、ほぼ30mmとしている。
耳型部50には、人工外耳道部52の耳模型51側とは反対側の端面において、人工外耳道53の開口周辺部に位置するように振動検出部55が配置されている。振動検出部55は、振動するパネル102を耳型部50に当てた際に外耳道部52を経て伝わる振動量を検出する。つまり、振動検出部55は、パネル102を人体の耳に押し当てた際に、パネル102の振動が直接内耳を揺らし、鼓膜を経由しないで聴く骨導成分に相当する振動量を検出する。振動検出部55は、例えば、電子機器100の測定周波数範囲(例えば、0.1kHz〜10kHz)においてフラットな出力特性を有し、軽量で微細な振動でも正確に計測できる振動検出素子56により構成される。このような振動検出素子56は、例えば、圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップ、例えばリオン社製の振動ピックアップPV−08A等が使用可能である。
図3(a)は、耳型部50を基台10側から見た平面図である。図3(a)では、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むようにリング状の振動検出素子56を配置した場合を例示しているが、振動検出素子56は、1個だけでなく、複数個であってもよい。複数個の振動検出素子56を配置する場合は、人工外耳道53の周辺部に適時の間隔で配置してもよいし、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むように円弧状の2個の振動検出素子を配置してもよい。なお、図3(a)において、人工外耳道部52は矩形状を成しているが、人工外耳道部52は任意の形状とすることができる。
さらに、耳型部50には、音圧測定部60が配置されている。音圧測定部60は、人工外耳道53を経て伝播される音の音圧を測定する。つまり、音圧測定部60は、パネル102を人体の耳に押し当てた際に、パネル102の振動により空気が振動して直接鼓膜を経由して聴く気導成分に相当する音圧、及び、パネル102の振動により外耳道内部が振動して耳自体で発生した音を鼓膜経由で聴く気導成分に相当する音圧を測定する。
音圧測定部60は、図3(b)に図3(a)のb−b線断面図を示すように、人工外耳道53の外壁(穴の周壁)から、リング状の振動検出素子56の開口部を通して延在するチューブ部材61に保持されたマイク62を備える。マイク62は、例えば、電子機器100の測定周波数範囲においてフラットな出力特性を有し、自己雑音レベルの低い計測用コンデンサマイクにより構成される。このようなマイク62は、例えばリオン社製のコンデンサマイクロホンUC−53A等が使用可能である。マイク62は、音圧検出面が人工外耳道部52の端面にほぼ一致するように配置される。なお、マイク62は、例えば、人工外耳道部52や基台10に支持して、人工外耳道53の外壁からフローティング状態で配置してもよい。
次に、保持部70について説明する。電子機器100が、スマートフォン等の平面視で矩形状を成す携帯電話の場合、人が当該携帯電話を片手で保持して自身の耳に押し当てようとすると、通常、携帯電話の両側面部を手で支持することになる。また、耳に対する携帯電話の押圧力や接触姿勢は、人(利用者)によって異なったり、使用中に変動したりする。本実施の形態では、このような携帯電話の使用態様を模して、電子機器100を保持する。
そのため、保持部70は、電子機器100の両側面部を支持する支持部71を備える。支持部71は、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向に、y軸と平行な軸y1を中心に回動調整可能にアーム部72の一端部に取り付けられている。アーム部72の他端部は、基台30に設けられた移動調整部73に結合されている。移動調整部73は、アーム部72を、y軸と直交するx軸と平行な方向で、支持部71に支持される電子機器100の上下方向x1と、y軸及びx軸と直交するz軸と平行な方向で、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向z1とに移動調整可能に構成されている。
これにより、支持部71に支持された電子機器100は、軸y1を中心に支持部71を回動調整することで、又は、アーム部72をz1方向に移動調整することで、振動体(パネル102)の耳型部50に対する押圧力が調整される。本実施の形態では、0Nから10Nの範囲、好ましくは3Nから8Nの範囲で押圧力が調整される。もちろん軸y1に加え、他の軸を中心に支持部71を回動自在に構成されてもよい。
ここで、0Nから10Nの範囲は、人間が電子機器を耳に押し当てて通話等の使用をする際に想定される押し当て力よりも十分な広い範囲での測定を可能とすることを目的としている。なお、0Nの場合として、例えば耳型部50に接触しているが押し当てていない場合のみならず、耳型部50から1cmきざみで離間させて保持でき、それぞれの離間距離において測定ができるようにしてもよい。これにより、気導音の距離による減衰の度合いもマイク62による測定により可能となり、測定システムとしての利便性が向上する。また、3Nから8Nの範囲は、通常、健聴者が従来型のスピーカを用いて通話をする際に耳に押し当てる平均的な力の範囲を想定している。人種、性別により差があるかもしれないが、要は従来型のスピーカを搭載したスマートフォンや従来型携帯電話等の電子機器において、通常、ユーザが押し付ける程度の押圧力において振動音や気導音を測定できることが好ましい。
また、アーム部72をx1方向に移動調整することで、耳型部50に対する電子機器100の接触姿勢が、例えば、パネル102が耳型部50のほぼ全体を覆う姿勢や、図1に示されるように、パネル102が耳型部50の一部を覆う姿勢に調整される。なお、アーム部72を、y軸と平行な方向に移動調整可能に構成したり、x軸やz軸と平行な軸回りに回動調整可能に構成したりして、耳型部50に対して電子機器100を種々の接触姿勢に調整可能に構成してもよい。なお、振動体は、もちろんパネルのような耳を幅広く覆うものに限られず、耳型部50の一部、例えば耳珠の部位だけに対して振動を伝達させるような突起や角部を有する電子機器であっても本発明の測定対象となりうる。
次に、図1の測定部200の構成について説明する。図4は、測定部200の要部の構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、測定対象の電子機器100の振動によって耳型部50を介して伝わる振動量と音圧、つまり骨導音と気導音とが合成された体感音圧を測定するもので、感度調整部300、信号処理部400、PC(パーソナルコンピュータ)500及びプリンタ600を備える。
振動検出素子56及びマイク62の出力は、感度調整部300に供給される。感度調整部300は、振動検出素子56の出力の振幅を調整する可変利得増幅回路301と、マイク62の出力の振幅を調整する可変利得増幅回路302とを備え、それぞれ対応するアナログの入力信号の振幅を、手動又は自動により所要の振幅に独立して調整する。これにより、振動検出素子56の感度及びマイク62の感度の誤差を補正する。なお、可変利得増幅回路301,302は、入力信号の振幅を例えば±20dBの範囲で調整可能に構成される。
感度調整部300の出力は、信号処理部400に入力される。信号処理部400は、A/D変換部410、周波数特性調整部420、位相調整部430、出力合成部440、音響信号出力部480、及び、信号処理制御部470を備える。A/D変換部410は、可変利得増幅回路301の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路(A/D)411と、可変利得増幅回路302の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路(A/D)412とを備え、それぞれ対応するアナログの入力信号をデジタル信号に変換する。なお、A/D変換回路411,412は、例えば16ビット以上、ダイナミックレンジ換算で96dB以上に対応でき、かつダイナミックレンジが変更可能に構成することができる。
A/D変換部410の出力は、周波数特性調整部420に供給される。周波数特性調整部420は、A/D変換回路411の出力である振動検出素子56による検出信号の周波数特性を調整するイコライザ(EQ)421と、A/D変換回路412の出力であるマイク62による検出信号の周波数特性を調整するイコライザ(EQ)422とを備え、それぞれの入力信号の周波数特性を、手動又は自動により人体の聴感に近い周波数特性に独立して調整する。なお、イコライザ421,422は、例えば複数バンドのグラフィカルイコライザ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等から構成される。尚、イコライザ(EQ)とA/D変換回路とは配列順序が逆であってもよい。
周波数特性調整部420の出力は、位相調整部430に供給される。位相調整部430は、イコライザ421の出力である振動検出素子56による検出信号の位相を調整する可変遅延回路431を備える。すなわち、耳型部50の材質を伝わる音速と人体の肉や骨を伝わる音速とは全く同じではないので、振動検出素子56の出力とマイク62の出力との位相関係が、特に高い周波数で人体の耳とのずれが大きくなることが想定される。
このように、振動検出素子56の出力とマイク62の出力との位相関係が大きくずれると、後述する出力合成部440での両出力の合成時に、実際とは異なる値において振幅のピークやディップが現れたり、出力合成が増減したりする場合がある。例えば、振動検出素子56で検出される振動の伝達速度に対して、マイク62で検出される音の伝達速度が0.2ms遅れる場合、2kHzの正弦波振動による両者の出力合成は、図5(a)に示すようになる。これに対し、両者の伝達速度にずれがない場合の出力合成は、図5(b)に示すようになり、本来起こらないタイミングで振幅のピークやディップが現れることになる。なお、図5(a),(b)において、太線は振動検出素子56での振動検出波形を示し、細線はマイク62での音圧検出波形を示し、破線は出力合成波形を示している。
そのため、本実施の形態では、測定対象の電子機器100の測定周波数範囲に応じて、イコライザ421の出力である振動検出素子56による検出信号の位相を、可変遅延回路431により所定の範囲で調整する。例えば、電子機器100の測定周波数範囲が100Hz〜10kHzの場合、可変遅延回路431により±10ms(±100Hz相当)程度の範囲で、少なくとも0.1ms(10kHz相当)より小さい単位で振動検出素子56による検出信号の位相を調整する。なお、人体の耳の場合でも、骨導音と気導音との位相ずれは生じるので、可変遅延回路431による位相調整は、振動検出素子56及びマイク62の両者の検出信号の位相を合わせるという意味ではなく、両者の位相を耳による実際の聴感に合わせるという意味である。
位相調整部430の出力は、出力合成部440に供給される。出力合成部440は、可変遅延回路431により位相調整された振動検出素子56による検出信号と、位相調整部430を通過したマイク62による検出信号とを合成する。これにより、測定対象の電子機器100の振動によって伝わる振動量と音圧、つまり骨導音(bone)と気導音(air)とが合成された体感音圧(air+bone)を人体に近似させて得ることが可能となる。
出力合成部440の出力合成(air+bone data)は、信号処理制御部470に供給される。さらに、本実施の形態では、信号処理制御部470に、出力合成部440による合成前の振動検出素子56による検出信号(bone data)及びマイク62による検出信号(air data)も供給される。
音響信号出力部480は、ヘッドホン等の外部接続機器が着脱自在に接続可能に構成される。音響信号出力部480には、信号処理制御部470において、上記のair+bone data、bone data又はair dataのいずれかが選択され、かつアナログの音響信号にD/A変換されて供給される。
信号処理制御部470は、例えば、USB,RS−232C,SCSI、PCカード等のインターフェース用の接続ケーブル510を介してPC500に接続され、PC500からのコマンドに基づいて、信号処理部400の各部の動作を制御する。なお、信号処理部400は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって構成したりすることができる。
PC500は、測定システム10による電子機器100の評価アプリケーションを有する。評価アプリケーションは、例えば、CD−ROMやネットワーク等を介してダウンロードされる。そして、PC500は、例えば、評価アプリケーションに基づくアプリケーション画面を表示部520に表示すると共に、該アプリケーション画面を介して入力される情報に基づいて信号処理部400にコマンドを送信する。また、PC500は、信号処理部400からのコマンド応答やデータを受信し、受信したデータに基づいて所定の処理を施して、アプリケーション画面に測定結果を表示すると共に、必要に応じて測定結果をプリンタ600に出力して印刷する。
なお、図4において、感度調整部300及び信号処理部400は、例えば電子機器装着部20の基台30上に搭載し、PC500及びプリンタ600は、基台30から離れて設置して、信号処理部400とPC500とを接続ケーブル510を介して接続することができる。
図6は、表示部520に表示されるアプリケーション画面の一例を示す図である。図6に示すアプリケーション画面521は、「Calibration」アイコン522、「Measure Start」アイコン523、「Measure Stop」アイコン524、測定結果表示領域525、測定結果表示選択ボックス527、ファイルアイコン528、測定タイプアイコン529、及び、ヘルプアイコン530を有する。以下、各機能について簡単に説明する。
「Calibration」アイコン522は、振動検出素子56及びマイク62の感度の誤差を校正する。この校正モードでは、保持部70に標準機がセットされて、耳型部50の標準位置に当てられる。そして、標準機を所定の振動モード(例えば、純音又はマルチサイン)で振動させた場合に、振動検出素子56による検出信号のパワースペクトルデータ及びマイク62による検出信号のパワースペクトルデータがそれぞれ対応する正常誤差範囲となるように、可変利得増幅回路301,302により振動検出素子56及びマイク62の感度が調整される。
「Measure Start」アイコン523は、測定開始コマンドを信号処理部400に送信し、測定終了までデータを受信し続ける。「Measure Stop」アイコン524は、測定終了コマンドを信号処理部400に送信し、データの受信を終了する。測定結果表示領域525には、受信したデータに基づいて測定タイプアイコン529で選択された測定モードに対応する測定結果が表示される。図6は、時間波形測定モードによるbone(骨導)、air(気導)、air+bone(体感音圧)の時間波形が、測定結果表示領域525に表示された場合を例示している。
測定結果表示選択ボックス527は、測定結果表示領域525に表示可能な時間波形の種類及びその選択ボックスを表示する。ファイルアイコン528は、例えば表示中のアプリケーション画面を印刷したり、測定結果をpdf等の形式で出力したりする。測定タイプアイコン529は、時間波形測定モード等の各種測定モードを切り替える。ヘルプアイコン530は、測定システム10の使用方法のヘルプを表示する。
本実施の形態に係る測定システム10は、測定対象の電子機器100のパネル102を、例えば圧電素子により振動させながら、振動検出素子56及びマイク62の出力合成を測定して電子機器100を評価する。以下、本実施の形態に係る測定システム10による電子機器100の測定動作の一例について説明する。
先ず、PC500は、図6のアプリケーション画面521の「Measure Start」アイコン523が操作されると、信号処理部400に対して測定開始コマンドを送信する。信号処理部400は、測定開始コマンドを受信すると、電子機器100の測定を実行する。これにより、信号処理部400は、振動検出素子56及びマイク62の出力を、感度調整部300で感度調整した後、A/D変換部410でデジタル信号に変換し、さらに、周波数特性調整部420で周波数特性を調整した後、位相調整部430で位相を調整して出力合成部440で合成する。
そして、信号処理部400は、出力合成部440での出力合成をPC500に送信すると共に、D/A変換して音響信号出力部480に出力する。また、信号処理部400は、必要に応じて出力合成部440による合成前の振動検出素子56による検出信号及びマイク62による検出信号をPC500に送信する。そして、PC500は、信号処理部400から送信された出力合成部440の出力合成、出力合成部440による合成前の振動検出素子56による検出信号及びマイク62による検出信号のそれぞれの時間波形を表示部520に表示する。これにより、表示部520に表示された時間波形に基づいて、測定対象の電子機器100の評価が可能となる。
その後、PC500は、図6のアプリケーション画面521の「Measure Stop」アイコン524が操作されると、信号処理部400に対して測定終了コマンドを送信する。これにより、PC500及び信号処理部400は、測定動作を終了する。また、上記の電子機器100の測定結果は、当該電子機器100の測定中又は測定終了後に、必要に応じてプリンタ600から出力される。
本実施の形態に係る測定装置10によると、振動検出素子56の出力に基づいて測定される骨導成分に相当する振動量は、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされたものとなる。また、マイク62の出力に基づいて測定される気導成分に相当する音圧は、電子機器100の振動により空気が振動して直接鼓膜を経由して聴く気導成分に相当する音圧と、電子機器100の振動により外耳道内部が振動して耳自体で発生した音を鼓膜経由で聴く気導成分に相当する音圧とが合成されたものとなる。つまり、本実施の形態により測定される気導成分に相当する音圧は、人体の耳の音圧伝達の特徴が重み付けされたものとなる。
しかも、振動検出素子56からの骨導成分に相当する出力及びマイク62からの気導成分に相当する出力は、位相調整部430で位相が調整されてから出力合成部440で合成される。したがって、測定対象の電子機器100の振動によって人体に伝わる振動量と音圧とが合成された体感音圧を人体に近似させて測定でき、電子機器100を高精度で評価することが可能となり、測定システム10の信頼性を高めることができる。
ここで、位相調整部430による位相調整は、例えば以下の手順で行うことができる。先ず、測定システム10の保持部70に標準機をセットして、標準機を耳型部50の標準位置に当てつける。そして、標準機を振動させて1kHzから徐々に周波数を高くしながら純音を発生させて、そのときの出力合成部440の出力合成(air+bone data)を測定して、その時間波形を表示部520で確認する。なお、時間波形の観察に代えて、あるいは時間波形の観察と共に、音響信号出力部480にヘッドホンを接続して、出力合成の音を聴いてもよい。この測定では、空気中を伝播する音と、耳型部50を伝播する音とは伝播速度が異なるため、気導成分及び骨導成分の波形は位相がずれることになる。その結果、ある周波数で気導成分及び骨導成分の位相が同相又は逆相となって、合成信号に急激な変化が現れる。
次に、標準機を測定者の耳に当てて、急激な変化が生じた周波数で標準機を振動させる。そして、測定システム10による測定での時間波形と同じように音の大きさが変わる否かを確認する。その結果、聴感で同じ現象が感じられない場合は、測定システム10における気導成分−骨導成分の位相関係と、実際の耳での気導成分−骨導成分の位相関係とが一致していないことを示しているので、位相調整部430の可変遅延回路431により骨導成分の位相をずらしながら、同じ現象が得られるように両成分の位相関係を調整する。このように、測定システム10における気導成分−骨導成分の位相関係を、実際の耳での気導成分−骨導成分の位相関係に合わせるように校正することで、測定対象の電子機器100を測定する際の測定システム10の信頼性を格段に向上することができる。
また、本実施の形態では、ヘッドホンが接続可能な音響信号出力部480を備えているので、高出力の圧電レシーバを備える電子機器の開発が容易になる利点がある。つまり、圧電レシーバは、耳に当てないと音が発生しない。そのため、高出力の圧電レシーバを開発する場合、開発者は健聴者がまともに聞いていられない音圧を聞きながら音の調整、開発をしなければならないことになる。この場合、音響信号出力部480にヘッドホンを接続して、ヘッドホンから音を聴くことができれば、圧電レシーバの音質評価も安全に行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、出力合成部440による合成前の振動検出素子56からの骨導成分に相当する出力及びマイク62からの気導成分に相当する出力を独立して測定可能にしたので、電子機器100をより詳細に評価することが可能となる。さらに、感度調整部300により、振動検出素子56及びマイク62の感度を調整するようにしたので、年齢等に応じた体感音圧を測定することができる。したがって、電子機器100を個人の耳の機能に応じて評価することが可能となる。また、周波数特性調整部420により、振動検出素子56からの骨導成分に相当する出力及びマイク62からの気導成分に相当する出力の周波数特性を独立して調整可能に構成したので、電子機器100を個人の耳の機能に応じてより高精度で評価することが可能となる。
また、測定対象の電子機器100は、耳型部50に対する押圧力を可変できるとともに、接触姿勢も可変できるので、電子機器100を種々の態様で評価することが可能となる。
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態に係る測定システムの要部の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定システム110は、電子機器装着部120の構成が第1実施の形態における電子機器装着部20と異なるもので、その他の構成は第1実施の形態と同様である。したがって、図7においては、第1実施の形態で示した測定部200の図示を省略してある。電子機器装着部120は、人体の頭部模型130と、測定対象の電子機器100を保持する保持部150とを備える。頭部模型130は、例えばHATSやKEMAR等からなる。頭部模型130の人工耳131は、頭部模型130に対して着脱自在である。
人工耳131は、耳型部を構成するもので、図8(a)に頭部模型130から取り外した側面図を示すように、第1実施の形態の耳型部50と同様の耳模型132と、該耳模型132に結合され、人工外耳道133が形成された人工外耳道部134とを備える。人工外耳道部134には、人工外耳道133の開口周辺部に、第1実施の形態の耳型部50と同様に、振動検出素子を備える振動検出部135が配置されている。また、頭部模型130の人工耳131の装着部には、図8(b)に人工耳131を取り外した側面図を示すように、中央部にマイクを備える音圧測定部136が配置されている。音圧測定部136は、頭部模型130に人工耳131が装着されると、人工耳131の人工外耳道133を経て伝播される音の音圧を測定するように配置されている。なお、音圧測定部136は、第1実施の形態の耳型部50と同様に、人工耳131側に配置してもよい。振動検出部135を構成する振動検出素子及び音圧測定部136を構成するマイクは、第1実施の形態と同様に測定部に接続される。
保持部150は、頭部模型130に着脱自在に取り付けられるもので、頭部模型130への頭部固定部151と、測定対象の電子機器100を支持する支持部152と、頭部固定部151及び支持部152を連結する多関節アーム部153と、を備える。保持部150は、多関節アーム部153を介して、支持部152に支持された電子機器100の人工耳131に対する押圧力及び接触姿勢を、第1実施の形態の保持部70と同様に調整可能に構成されている。
本実施の形態に係る測定システム110によると、第1実施の形態の測定システム10と同様の効果が得られる。特に、本実施の形態では、人体の頭部模型130に、振動検出用の人工耳131を着脱自在に装着して電子機器100を評価するので、頭部の影響が考慮された実際の使用態様により即した評価が可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、測定対象の電子機器100として、スマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものを想定したが、折り畳み式の携帯電話で、通話等の使用態様において耳に接触するパネルが振動する電子機器も同様に評価することが可能である。また、携帯電話に限らず、例えば補聴器等の高出力を必要とするような他の圧電レシーバも同様に評価することが可能である。
また、上記実施の形態では、位相調整部430において、振動検出素子56による検出信号の位相を、マイク62による検出信号に対して遅らせるように構成したが、FIFO等のバッファを用いて、マイク62による検出信号の位相を、振動検出素子56による検出信号に対して進ませるように構成してもよい。また、上記実施の形態では、測定部200に、信号処理部400と分離してPC500を設けるようにしたが、PC500によって実行する評価アプリケーションの機能を信号処理回路400に搭載して、PC500を省略してもよい。
また、上述の実施例における感度調整部、信号処理部、A/D変換部、周波数特性調整部、位相調整部、出力合成部、周波数解析部、記憶部、信号処理制御部、表示部、プリンタ等は、互いに有線通信或いは無線通信可能で信号の送信あるいは受信が可能であればよく、本発明の測定システムは、独立型ですべての機能を集約した測定装置だけでなく、感度調整部、信号処理部、周波数解析部或いは記憶部等が一または複数のPCや外部サーバーに分かれて配置されている場合のように、ネットワークシステムやクラウドを活用した測定システムであってもよいことはいうまでもない。
10 測定システム
20 電子機器装着部
30 基台
50 耳型部
51 耳模型
52 人工外耳道部
53 人工外耳道
54 支持部材
55 振動検出部
56 振動検出素子
60 音圧測定部
61 チューブ部材
62 マイク
70 保持部
71 支持部
72 アーム部
73 移動調整部
100 電子機器
101 筐体
102 パネル(振動体)
110 測定システム
120 電子機器装着部
130 頭部模型
131 人工耳
132 耳模型
133 人工外耳道
134 人工外耳道部
135 振動検出部
136 音圧測定部
150 保持部
151 頭部固定部
152 支持部
153 多関節アーム部
200 測定部
300 感度調整部
400 信号処理部
410 A/D変換部
420 周波数特性調整部
430 位相調整部
440 出力合成部
470 信号処理制御部
480 音響信号出力部
500 PC
520 表示部
600 プリンタ

Claims (26)

  1. 筐体に保持された振動体を人体の耳に押し当てて、前記振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定システムであって、
    人体の耳を模した耳型部と、
    該耳型部に形成された人工外耳道の周辺部に配置された振動検出部と、
    前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を測定するための音圧測定部と、
    前記振動検出部の出力の位相及び前記音圧測定部の出力の位相を相対的に調整可能な位相調整部と、
    を備える測定システム。
  2. 前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力及び前記音圧測定部の出力を合成する出力合成部をさらに備える、請求項1に記載の測定システム。
  3. 前記位相調整部は、前記振動検出部の出力の位相を調整する、請求項1又は2に記載の測定システム。
  4. 前記振動検出部及び前記音圧測定部の感度を調整可能な感度調整部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定システム。
  5. 前記振動検出部の出力の周波数特性及び前記音圧測定部の出力の周波数特性を調整可能な周波数特性調整部をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定システム。
  6. 前記出力合成部の合成出力波形を表示する表示部をさらに備える、請求項に記載の測定システム。
  7. 前記表示部は、前記出力合成部の合成出力波形、前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力波形又は前記音圧測定部の出力波形を選択的に表示可能である、請求項6に記載の測定システム。
  8. 前記出力合成部の合成出力を外部接続機器に供給する音響信号出力部をさらに備える、請求項2、6、7のいずれか一項に記載の測定システム。
  9. 人体の頭部模型をさらに備え、前記耳型部は、前記頭部模型を構成する人工耳として、当該頭部模型に着脱自在である、請求項1から8のいずれか一項に記載の測定システム。
  10. 前記耳型部は、耳模型と、該耳模型に結合された人工外耳道部とを備え、
    前記人工外耳道部に前記人工外耳道が形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の測定システム。
  11. 前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の測定システム。
  12. 前記電子機器を保持する保持部をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の測定システム。
  13. 前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備える、請求項12に記載の測定システム。
  14. 前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に移動調整可能である、請求項12又は13に記載の測定システム。
  15. 前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部に対して押圧する方向に回動調整可能である、請求項12又は13に記載の測定システム。
  16. 前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項14又は15に記載の測定システム。
  17. 前記保持部は、前記振動体を前記耳型部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項14又は15に記載の測定システム。
  18. 前記保持部は、前記耳型部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能である、請求項12から17のいずれか一項に記載の測定システム。
  19. 前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含む、請求項18に記載の測定システム。
  20. 前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部に接触させる姿勢を含む、請求項18に記載の測定システム。
  21. 前記耳型部は、IEC60318‐7に準拠した素材からなる、請求項1から20のいずれか一項に記載の測定システム。
  22. 前記振動検出部は、前記人工外耳道の周辺部に配置された複数個の振動検出素子を備える、請求項1から21のいずれか一項に記載の測定システム。
  23. 前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁から延在するチューブ部材に保持されたマイクを備える、請求項1から2のいずれか一項に記載の測定システム。
  24. 前記音圧測定部は、前記人工外耳道の外壁からフローティング状態で配置されたマイクを備える、請求項1から2のいずれか一項に記載の測定システム。
  25. 筐体に保持された振動体を人体の耳に押し当てて、前記振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するにあたり、
    人体の耳を模した耳型部に前記振動体を押し当て、該振動体の振動により前記耳型部に形成された人工外耳道の周辺部を伝達する振動を振動検出部により検出すると共に、前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を音圧測定部により測定するステップと、
    前記振動検出部の出力の位相及び前記音圧測定部の出力の位相を位相調整部により相対的に調整するステップと、
    を含む、測定方法。
  26. 前記位相調整部により相対的に位相調整された前記振動検出部の出力及び前記音圧測定部の出力を出力合成部により合成するステップ、
    をさらに含む、請求項2に記載の測定方法。
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