JP2015011867A - 酸化物超電導体及び酸化物超電導導体 - Google Patents

酸化物超電導体及び酸化物超電導導体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、磁場中特性を向上できる磁束ピンニング物質を導入した酸化物超電導体および超電導導体の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、内部に窒化物粒子を磁束ピンニング物質として分散してなる酸化物超電導体および酸化物超電導導体に関する。前記窒化物粒子として、Fe4N、Mn4N、NbN、HfN、ZrN、TaN、TiN、REN(希土類元素の窒化物)、Zn3N2、Mg3N2、Cu3N、Ba3N2、Sr3N2、W2N、VN、Si3N4、AlNのいずれか1種又は2種以上を選択することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導体及び酸化物超電導導体に関する。
RE123系の酸化物超電導体は、REBaCu7−δ(RE:希土類元素)なる組成で表記され、液体窒素温度(77K)よりも高い臨界温度を有し、超電導マグネットや変圧器、限流器、モータ等、各種超電導機器への応用開発がなされている。
一般に、RE123系の酸化物超電導体を用いて良好な結晶配向性を有するように成膜された超電導体は、自己磁場下で高臨界電流特性を示す。しかしながら、超電導体に侵入している量子化磁束にローレンツ力が作用し、量子化磁束が移動すると、電流の方向に電圧が生じ、抵抗が生じてしまう。ローレンツ力は、電流値が増加するほど、また磁場が強くなるほど大きくなるので、外部磁場が強くなると超電導体の臨界電流特性が低下する問題がある。
その解決策として、酸化物超電導体の内部に不純物や異物、欠陥などのナノスケールの異相を混入させ、磁束をピン止めすることで、磁場中における酸化物超電導体の臨界電流特性を改善することがなされている。例えば、酸化物系ターゲット材にパルスレーザーを照射してプルーム(蒸気噴流)を形成し、該プルームの内部に基材を保持し、基材上に酸化物超電導層を生成するPLD法(パルスレーザー蒸着法)が知られている。このPLD法を実施する場合、酸化物系ターゲット材に異相となり得る酸化物粒子を含有させ、成膜した酸化物超電導層中にナノスケールの酸化物粒子を磁束ピン止め物質として分散させる方法が知られている(特許文献1参照)。
この種のピン止め物質を導入する技術として特許文献1には、ZrO、BaZrO、BaSnO、BaCeO、BaHfO、BaRuOのいずれか1種以上の酸化物粒子を合計で7mol%以下酸化物系ターゲットに添加する技術について開示されている。
再公表WO2009/044637号公報
前記特許文献1に記載の技術を基に、酸化物超電導層の結晶成長とともに人工ピンの導入を行う技術が研究されているが、この技術では、酸化物超電導層の結晶成長とともに酸化物粒子の結晶も成長し、磁場中特性において異方性を有する人工ピンが形成され易い問題を有していた。前記酸化物粒子を人工ピンとして導入する酸化物超電導層のピンニング特性は、現状、ある程度の限界を有しているので、優れたピンニング特性を発現し得る他の人工ピン材料の開発が望まれている。
また、PLD法によって酸化物超電導層を成膜する際、異相を導入しつつ酸化物超電導層を成長させると、PLD法により結晶がエピタキシャル成長する度合いが強いので、異相も棒状に成長し易く、棒状に成長した異相では上述のようにピン止め力に異方性が発現し易いという問題がある。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、異方性が少なく優れたピンニング特性を実現できる技術の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、内部に窒化物粒子が磁束ピンニング物質として分散されてなることを特徴とする酸化物超電導体に関する。
窒化物粒子を磁束ピンニング点として分散させた構造の酸化物超電導体であり、窒化物粒子がいずれも高融点であり、酸化物超電導体中において微細な粒子として分散できるので、磁場中特性における異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導体を提供できる。酸化物超電導体を結晶成長させる際、酸化物粒子を磁束ピンニング物質として選択すると、酸化物超電導体の結晶成長とともに異相としての酸化物粒子が柱状に成長してしまうおそれがあるが、窒化物粒子は酸化物超電導体の結晶成長とともに成長するおそれはないので、粒子状のまま酸化物超電導体の内部に異相として分散できる。このため、磁場中特性に異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導体を提供できる。
本発明の酸化物超電導体は、前記窒化物粒子が、FeN、MnN、NbN、HfN、ZrN、TaN、TiN、REN(希土類元素の窒化物)、Zn、Mg、CuN、Ba、Sr、WN、VN、Si、AlN、BN、TaN、Be、GaN、NbN、TaN、MoNのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする。
これらの窒化物粒子であるならば、高融点であり、酸化物超電導層中において特定の方向に結晶成長していない微細な粒子として分散できるので、磁場中特性における異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導体を提供できる。
本発明の酸化物超電導体は窒化物粒子を0.5モル%〜30モル%含有したことを特徴とする。
窒化物粒子を上述の範囲で含有することで、磁場中特性に異方性の少ない優れた超電導特性の酸化物超電導体を提供できる。
本発明の酸化物超電導導体は、基材の上方に、中間層と、酸化物超電導層とを備えた酸化物超電導導体であって、前記酸化物超電導層が前記酸化物超電導体であることを特徴とする。
窒化物粒子を磁束ピンニング点として分散させた構造の酸化物超電導層を備えた酸化物超電導導体であるならば、窒化物粒子がいずれも高融点であり、酸化物超電導層中において特定の方向に結晶成長していない微細粒子として分散できるので、磁場中特性における異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導導体を提供できる。
本発明によれば、窒化物粒子を磁束ピンニング点として分散させた構造の酸化物超電導体であるので、窒化物粒子が高融点であり、酸化物超電導体中において特定の方向に結晶成長していない微細な粒子として分散できるので、磁場中特性における異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導体を提供できる。よって、磁場中において超電導特性が低下するおそれの少ない優れた酸化物超電導体あるいは酸化物超電導導体を提供することができる。
本発明に係る人工ピンが導入された酸化物超電導導体の一例構造を示す斜視図。 図1に示す構成の酸化物超電導導体に設けられている酸化物超電導層を成膜している状態の一例を示す説明図。 本発明に係る人工ピンを導入した超電導バルク体の一例を示す斜視図。
以下、本発明に係る人工ピン(磁束ピンニング物質)が導入された酸化物超電導層を備えた酸化物超電導導体について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る人工ピンが酸化物超電導層に導入された酸化物超電導導体の一例構造を示す斜視図、図2は酸化物超電導層をPLD法(パルスレーザー蒸着法)により形成している状態の一例を示す側面図である。
本実施形態の酸化物超電導導体1は、基材2上に中間層5と酸化物超電導層6と金属安定化層7を積層し構成されている。
前記基材2は、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金やステンレスなどの耐熱性に優れた高強度の金属材料からなる。また、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金基材を適用することもできる。単結晶基板を用いてもよい。基材2の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、10〜500μmの範囲とすることができる。長尺の線材を得るためには、基材はテープ状の金属基材であることが好ましい。
前記中間層5は基材2の構成元素の拡散を防止する機能を有するとともに、酸化物超電導層6の結晶配向性を良好にして優れた超電導特性を発揮させるために、結晶配向性に優れたものが好ましい。前記中間層5は、Al、Y、GdZr、YSZ、MgO、CeO、LaMnO等の金属酸化物から1種または2種以上選択された材料が、スパッタ、レーザー、電子ビームなどの蒸着法により1層または2層以上、基材上に積層されて形成される。
中間層5は一例として拡散防止層5Aと配向層5Bとキャップ層5Cとを備えた構造を例示することができる。拡散防止層5Aは例えばAlが厚さ10〜400nmに成膜される。配向性向上のため、拡散防止層5Aの上にベッド層として例えばYを厚さ10〜100nmに形成してもよい。
配向層5Bは例えばMgOが厚さ5〜50nmでIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法により良好な2軸配向結晶に成膜され、キャップ層5Cは例えばCeOが50〜5000nmの厚さに形成される。これにより酸化物超電導層6の結晶配向性が良好となり優れた超電導特性を発揮できる。
酸化物超電導層6は高温超電導体として公知のもので良く、具体的には、REBaCu(REはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち、1種または2種以上の希土類元素を示す)なる材質のものを例示できる。この酸化物超電導層7として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示できる。
酸化物超電導層6は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザー蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等の蒸着法、有機金属塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができ、なかでも生産性の観点から、PLD(パルスレーザー蒸着)法、TFA−MOD法(トリフルオロ酢酸塩を用いた有機金属塗布熱分解法)又は化学気相蒸着法(CVD法)などを用いることができる。
酸化物超電導層6は、本実施形態では後に説明する構成の成膜装置Aを用いて後述するPLD法により形成することができる。酸化物超電導層6の厚みは、0.5〜10μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
本実施形態の酸化物超電導層6は、窒化物粒子を磁束ピンニング点として分散させて人工ピンが導入された構造を有する。酸化物超電導層6は酸化物超電導体の結晶が上述の製造方法により優れた配向性で結晶成長されて生成されているが、その内部に微細なnmオーダー1nm〜15nm程度の窒化物粒子が分散されている。
酸化物超電導層6に分散されている窒化物粒子は、FeN(融点1800℃)、MnN、NbN(融点2300〜2573℃)、HfN(融点3305℃)、ZrN(融点2980℃)、TaN(融点3087℃)、TiN(2950〜3205℃)、REN(希土類元素の窒化物、希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち、1種または2種以上を示す。)、Zn、Mg、CuN、Ba、Sr、WN(融点800℃)、VN(融点2050℃)、Si(融点1900℃)、AlN(融点2200℃)、BN(融点2700℃)、TaN(融点3000℃)、Be(融点2200℃)、GaN(融点2500℃)、NbN(融点2420℃)、TaN(融点2050℃)、MoN(融点2900℃)のいずれか1種又は2種以上である。
これらの窒化物粒子が酸化物超電導層6に0.5モル%〜30モル%の範囲で含有されていることが好ましい。含有量が0.5モル%未満ではピン止め効果が小さく、窒化物粒子をピン止め物質として添加した効果が得られない。含有量が30モル%を超えるようであると、酸化物超電導体そのものの占有率が低くなるので、酸化物超電導体からなる酸化物超電導層6そのものが発揮するべき臨界電流密度を発揮できなくなる。
金属安定化層(保護層)7はAgまたはAg合金などの良電導性かつ酸化物超電導層6と接触抵抗が低くなじみの良い層として形成される。金属安定化層7を成膜するには、スパッタ法などの成膜法を採用し、その厚さを1〜30μm程度に形成できる。
なお、図1には描かれていないが、金属安定化層7を第1の金属安定化層7と見立ててその上に第2の金属安定化層を設けても良い。第2の金属安定化層は、銅、Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等の銅合金、アルミニウムまたはその合金、ステンレス等の比較的安価な導電性の金属材料からなることが好ましい。超電導限流器に使用する場合、第2の金属安定化層に用いられる材料は、例えば、Ni−Cr等のNi系合金やステンレス鋼等の高抵抗金属が挙げられる。第2の金属安定化層の厚さは例えば10〜300μmとすることができる。
以上説明のように窒化物粒子を適切な量含有している酸化物超電導層6を備えた酸化物超電導導体1であるならば、窒化物粒子が磁束ピン止め点として有効に作用するので、磁場が作用した場合の臨界電流密度低下を抑制した酸化物超電導導体1を提供できる。
また、酸化物超電導層6に添加されている窒化物粒子は高融点であり、酸化物超電導体中において特定の方向に結晶成長していない微細な粒子として分散できるので、磁場中特性における異方性の少ない優れた超電導特性を有する酸化物超電導導体1を提供できる。
「酸化物超電導導体の製造方法」
本実施形態において、前記酸化物超電導導体1の酸化物超電導層6を以下に説明する図2に示す成膜装置Aを用いて製造することができる。
本実施形態の成膜装置Aは、レーザー光Bによってターゲット11から叩き出され若しくは蒸発した構成粒子の噴流(プルーム)F1を基材本体側に向け、構成粒子の堆積による薄膜を基材本体上に形成するレーザー蒸着法(PLD法)を実施する装置である。
本実施形態の成膜装置Aは、基材本体2上に中間層4までを形成し、その上に酸化物超電導層6を成膜する場合に用いることができる。
成膜装置Aは、図2に示すようにテープ状の基材本体2をその長手方向に走行させるための走行装置10と、この走行装置10の下側に設置されたターゲット11と、このターゲット11にレーザー光を照射するための図2に示すように処理容器(真空チャンバ)18の外部に設けられた図示略のレーザー光源を備えている。
前記走行装置10は、一例として、テープ状の基材本体2を成膜領域15に沿って供給するための供給リール装置16と、成膜領域15を通過後の基材本体2を巻き取るための巻取リール装置17を備えている。
供給リール装置16から繰り出された基材本体2は、成膜領域15を通過後、巻取リール装置17に巻き取られる。
前記走行装置10とターゲット11は処理容器18の内部に収容されており、処理容器18は、外部と成膜空間とを仕切る容器であり、気密性を有するとともに、内部が高真空状態とされるため耐圧性を有する構成とされる。この処理容器18には、処理容器内のガスを排気する排気手段が接続され、他に、処理容器内にキャリアガスおよび反応ガスを導入するガス供給手段が形成されているが、図面では略し、処理容器18の輪郭のみ描いている。
また、処理容器18の内部に、搬送途中の基材本体2を加熱するための熱板等の加熱装置23が設けられ、供給リール装置16から繰り出された基材本体2は加熱装置23の一面に沿って成膜領域15を通過後、巻取リール装置17に至るように構成されている。
加熱装置23は基材本体2をその裏面側から目的の温度に加熱できる装置であればその構成は問わないが、通電式の電熱ヒーターを内蔵した金属板からなる一般的な加熱ヒーターを用いることができる。
ターゲット11は、図示略のターゲットホルダに支持され、ターゲットホルダが回転機構と水平移動機構に支持され、これらの機構によるターゲットホルダの回転移動と往復移動により、ターゲット11の表面に照射されるレーザー光Bの照射位置を変更できるように構成されている。
ターゲット11は、図2に示す成膜装置Aで酸化物超電導層6を成膜する場合、形成しようとする酸化物超電導層6と同等または近似した組成、あるいは、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物の焼結体あるいは酸化物超電導体などの板材に前述した1種又は2種以上の窒化物粒子を含むものを用いることができる。
これら窒化物粒子の1種または2種以上をターゲット11において、0.5モル%〜30モル%の範囲で含有していることが望ましい。含有量が0.5モル%未満ではピン止め効果が小さく、窒化物粒子をピン止め物質として添加した効果が得られない。含有量が30モル%を超えるようであると、酸化物超電導体そのものの占有率が低くなるので、超電導体そのものが発揮するべき臨界電流密度を発揮できなくなる。
従って、酸化物超電導体のターゲットは、RE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−x:REはY、La、Nd、Sm、Eu、Gd等の希土類元素)またはそれらに類似した組成の材料に窒化物粒子を含む材料を用いることができる。RE−123系酸化物として好ましいのは、Y123(YBaCu7−x)又はGd123(GdBaCu7−x)等であるが、その他の酸化物超電導体、例えば、BiSrCaCuなる組成などに代表される臨界温度の高い酸化物超電導体と同一の組成か、近似した組成の材料に上述の窒化物粒子を含むものを用いることが好ましい。
処理容器18には図示略の窓部が形成されており、この窓部を介し外部のレーザー光源からのレーザー光Bをターゲット11に照射できるように構成されている。前記レーザー光源はエキシマレーザーあるいはYAGレーザー等のようにパルスレーザーとして良好なエネルギー出力を示すレーザー光源を用いることができる。
前記構成の成膜装置Aを用いて酸化物超電導層6を成膜するには、テープ状の基材本体2上に、拡散防止層5Aと配向層5Bとキャップ層5Cまでを先に説明した成膜法で種々形成したテープ状の基体を用いる。
これらのテープ状の基体を供給リール装置16から巻取リール装置17に図2に示すように移動させ、ターゲットホルダに目的のターゲット11を装着した後、処理容器18の内部を所定の圧力に減圧する。目的の圧力に減圧後、レーザー光源からパルス状のレーザー光をターゲット11の表面に集光照射する。
ターゲット11の表面にレーザー光源からのパルス状のレーザー光を集光照射すると、ターゲット11の表面部分の構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させて前記ターゲット11から構成粒子の噴流(プルーム)F1を発生させることができ、レーン状に走行しているテープ状の基材本体2のキャップ層5C上に目的の粒子堆積を行って、薄膜を形成できる。また、ターゲット11に含まれている窒化物粒子もレーザー光の照射により溶融されて上述の構成粒子とともにキャップ層5C上に飛来し、堆積中の薄膜の内部に取り込まれるように分散される。
ターゲット11に窒化物粒子を分散させていると、窒化物粒子は融点が高く高温でも安定なため、ターゲット11を製造する場合にターゲット11中に窒化物粒子を確実に分散配合できる。また、レーザー光の集光照射により窒化物粒子をナノレベルの粒子としてキャップ層5C上に酸化物超電導層の堆積とともに窒化物粒子も分散させることができる。
なお、窒化物粒子の一部がレーザー光の熱により分解され、窒化物ではない金属元素の単体粒子として噴流F1に沿ってキャップ層5C上に飛来することも考えられるので、この場合に金属元素の単体粒子は成膜雰囲気中に存在する微量の酸素と結合し、酸化物粒子として堆積することも考えられる。よって、酸化物超電導層6中に窒化物粒子とともに一部酸化物粒子が混在することがあっても差し支えない。
必要膜厚の薄膜を形成後、酸素雰囲気などの所定の雰囲気において300〜600℃に数時間〜数十時間、例えば、500℃に10時間程度加熱し、薄膜に酸素を供給し結晶構造を整えて薄膜を酸化物超電導層6とすることができる。
「超電導バルク体」
図3は本発明を酸化物超電導バルク体に適用した実施形態について説明するもので、この実施形態の酸化物超電導バルク体30は1つの例として円板状に形成されている。
酸化物超電導バルク体30を構成する元素は先の酸化物超電導層6を構成する成分元素と同等であるが、その内部の組成は先の酸化物超電導層6とは若干異なっている。
超電導バルク体は溶融法を用いて製造する。初期原料の組成を調整してRE:Ba:Cuを1:2:3の組成比から非超電導層である211相側に若干ずらし、包晶反応を利用して目的の形状に整形後、半溶融状態から徐冷することで結晶成長させて超電導バルク体を得る。半溶融状態の成形体に対し、Nd系やSm系の酸化物超電導体のバルク片を種結晶として接触させ、半溶融状態から冷却しつつ成形体の全体を結晶成長領域とすることで超電導バルク体30を得ることができる。
この方法により、123相中に211相が微細分散された組織が得られる。また、初期原料の中に、上述の窒化物粒子をnmオーダーの粉末状態で分散させておき、目的の形状に成型した後、上述の溶融法を実施することにより、図3に示す形状の超電導バルク体30を得ることができる。123相は、REBaCu(REは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち、1種または2種以上の希土類元素を示す)で示される組成比の相であり、211相は、REBaCuで示される組成比の相である。
超電導バルク体30において、123相のマトリックス中に211相粒子が分散されるとともに、123相のマトリックス中に先の実施形態で用いたものと同等の窒化物粒子が分散された組織を得ることができる。
超電導バルク体30は123相のマトリックス中に211相粒子が分散されることで211相がピン止め点となるので、バルクとしてのマクロ的な高い臨界電流密度Jcの向上から、捕捉磁場特性が優れているなどの利点を有するが、更に上述の窒化物粒子をピン止め点として分散させていることにより、より優れた捕捉磁場特性を得ることができる特徴を有する。
なお、図3に示す円板状の超電導バルク体30は、窒化物粒子を磁束ピン止め点として導入した酸化物超電導体の一例として示すものであり、磁束ピン止め点として窒化物粒子を導入した酸化物超電導体は図3の超電導バルク体30に限るものでは無い。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
ハステロイC−276(米国ヘインズ社商品名)からなる幅10mm、厚さ0.1mm、長さ1mのテープ状の基材上に、アモルファスAlの拡散防止層(厚さ80nm)と、アモルファスYのベッド層(厚さ30nm)と、イオンビームアシスト蒸着法によるMgOの中間層(厚さ10nm)と、PLD法によるCeOのキャップ層(厚さ300nm)を成膜したテープ状の基材を用意した。
次に、前記キャップ層上にGdBaCu7−x層(膜厚1μm)を成膜した。レーザー光源として、エキシマレーザー(KrF:248nm)を用いた。エネルギー密度3.0J/cm(300mJ)、T−S(ターゲット基材間距離):7cm、テープ基材の移動時の線速20m/h、パルスレーザーの繰り返し周波数200Hz、処理容器の酸素分圧PO=80mTorr、熱板によるテープ状基材本体の加熱温度970℃の条件で行った。成膜装置は図2に示す構造と同じように1つの供給リール装置から他の1つの巻取リール装置までシングルレーンを構成するように基材本体を搬送しつつ成膜する装置を用いた。
用いたターゲットは、GdBaCu7−xなる組成の酸化物超電導層を製造する目的でGdO粉末とBaO粉末とCuO粉末を上述の組成比になるように混合して混合粉末を得、これを1次焼成して焼成体とした後、この焼成体を粉砕して混合粉末を得、この混合粉末にZrN粒子(平均粒径500nm(N50))を混合し、この混合粉末をプレス成形して直径20mm、厚さ10mmのターゲットとした。ZrN粒子の量は、超電導層のZrN含有量が5モル%になるように調整した。
このターゲットを図2に示すレーザー蒸着装置にセットして上述の条件にて基材上方のキャップ層上に酸化物超電導層を成膜し、酸化物超電導導体を製造した。
また、上述のターゲットを製造する際、ZrNに替えて、ZrOの粒子を用い、混合して得たターゲットを用い、上述と同等の条件にてZrO含有量が5モル%になるように酸化物超電導層を形成し、酸化物超電導導体を製造した。上述のターゲットを製造する際、窒化物粒子を混合することなく、GdBaCu7−xなる組成となるように調整したターゲットを作製し、上述と同等条件にて酸化物超電導層を作製し、酸化物超電導導体を得た。
得られた各酸化物超電導導体について77Kに冷却し、磁場下における臨界電流密度を測定した。臨界電流密度は磁場印加角度依存性について調べた結果、磁場を印加する角度によって最大の臨界電流を示した場合の値をIc-maxと表記し、磁場を印加する角度によって最小の臨界電流を示した場合の値をIc-minと表記して以下の表1に示す。なお、Ic-maxの値はIc-minの値の比率にて示した。
Figure 2015011867
表1に示す結果から明らかなように、ZrNの窒化物粒子を酸化物超電導層中に分散させた酸化物超電導導体は、1Tの外部磁場が作用する環境において、人工ピンを用いていない酸化物超電導導体に比べて大幅に高い値を示し、ZrOを人工ピンとして用いた酸化物超電導導体に比べて更に高い臨界電流を示した。
また、本発明に係る酸化物超電導導体は、3T、5Tの強い磁場下においてIcの低下率が他の試料に比べ低くなった。このため、窒化物粒子を人工ピンとして導入した酸化物超電導導体として良好な臨界電流を得ることができた。
次に、上述のターゲットを製造する場合、ZrN粒子の添加量を変更して複数のターゲットを作製した。また、ZrN粒子に替えて、AlN粒子、VN粒子、TiN粒子、NbN粒子を用い、それぞれの粒子の超電導層における含有量を0.5モル%、1モル%、2モル%、5モル%、10モル%、15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、35モル%になるように複数のターゲットの組成を調整し、それぞれのターゲットを用いてキャップ層上に酸化物超電導層を形成し、窒化物粒子入りの酸化物超電導層を備えた超電導導体試料を得た。
得られた各酸化物超電導導体について77Kに冷却し、磁場下における臨界電流密度を測定した。臨界電流密度は磁場印加角度依存性について調べた結果、表2に磁場を印加する角度によって最小の臨界電流を示した場合の値をIc-minと表記して以下の表2に示す。
Figure 2015011867
表2に示す結果から、いずれの窒化物粒子であっても、添加していない試料より、0.5〜30モル%の範囲で添加した試料の方が優れた臨界電流密度を示した。しかし、添加量が30モル%を超えて35モル%添加した試料では添加していない試料よりもIc-minの値が低下した。このことから、窒化物粒子を磁束ピンニング物質として添加する場合、0.5〜30モル%の範囲で含有させることが好ましいことが判明した。
表2に示す5種類の窒化物粒子を酸化物超電導層に添加して得た試料のいずれにおいても目的のピン止め効果が得られたこと、窒化物は化学反応などが少なく、安定した物質であり、いずれも高融点物質であることから、窒化物粒子を磁束ピンニング物質として酸化物超電導体に対し有効利用できることが明らかである。
このため、他の窒化物粒子、FeN、MnN、HfN、TaN、REN(希土類元素の窒化物)、Zn、Mg、CuN、Ba、Sr、WN、Si、BN、TaN、Be、GaN、NbN、TaN、MoNのいずれの粒子であっても酸化物超電導体用の磁束ピンニング物質として有効であると推定できる。
本発明は、例えば超電導用送電線、超電導モータ、限流器など、各種電力機器に用いられ、磁場中における超電導特性の優れた酸化物超電導導体を提供できる技術に関する。
A…成膜装置、F1…プルーム(噴流)、1…酸化物超電導導体、2…基材、5A…拡散防止層、5…中間層、5A…下地層、5B…配向層、5C…キャップ層、6…酸化物超電導層、7…安定化層、10…搬送装置、11…ターゲット、16…供給リール装置、17…巻取リール装置、18…処理容器(チャンバー)。

Claims (4)

  1. 内部に窒化物粒子が磁束ピンニング物質として分散されてなることを特徴とする酸化物超電導体。
  2. 前記窒化物粒子が、FeN、MnN、NbN、HfN、ZrN、TaN、TiN、REN(希土類元素の窒化物)、Zn、Mg、CuN、Ba、Sr、WN、VN、Si、AlN、BN、TaN、Be、GaN、NbN、TaN、MoNのいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導体。
  3. 前記窒化物粒子が0.5モル%〜30モル%含有されたことを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導体。
  4. 基材の上方に、中間層と、酸化物超電導層とを備えた酸化物超電導導体であって、前記酸化物超電導層が請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物超電導体であることを特徴とする酸化物超電導導体。
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